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調査の目的と実施要領 アンケート回答企業の属性 調査結果 取り組み状況 多様化する地域貢献活動 まとめ 参考 企業事例 2008 年 12 月 1 日 小企業の地域貢献に関する実態調査結果について 日本政策金融公庫 <問い合わせ先> 日本政策金融公庫 総合研究所 小企業研究第1グループ TEL 03-3270-1687 担当 古泉、竹内

小企業の地域貢献に関する実態調査結果について(n=3,065) 教育学習支援業 0.8 飲食店・ 宿泊業 法人 6.7 62.5 個人 37.5 (n=2,948) (n=2,910) 100万人以上

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Ⅰ 調査の目的と実施要領

Ⅱ アンケート回答企業の属性

Ⅲ 調査結果

1 取り組み状況

2 多様化する地域貢献活動

Ⅳ まとめ

参考 企業事例

2008 年 12 月 1 日

小企業の地域貢献に関する実態調査結果について

総 合 研 究 所

日本政策金融公庫

<問い合わせ先>   日本政策金融公庫 総合研究所   小企業研究第1グループ   TEL 03-3270-1687   担当 古泉、竹内 

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Ⅰ 調査の目的と実施要領

1 調査目的

2 調査要領

① 調査時点 2008年5月

② 調査対象 国民生活金融公庫(現・日本政策金融公庫国民生活事業)が2007年10月に融資した企業10,000社

③ 調査方法 調査票の送付・回収ともに郵送、アンケートは無記名

④ 有効回答数 3,065件(回収率30.7%)

 商店街が、単なる購買機会の提供にとどまらず、地域文化の維持に協力したり地域住民の交流の場となったりしている

といわれるように、小企業は、経済的な役割を果たすと同時に、地域社会を多方面から支える経済外的な役割も担ってい

ると考えられている。だが、その実態は明らかになっていない。そこで、小企業がどのように地域に貢献しているのかを

把握するために本調査を実施した。

1

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3 地域貢献活動の定義

 〇 本調査では、以下のとおり、地域貢献に関する活動を大きく6つに分類し、さらにそれぞれを細かく分けて「その他」を  含めた合計31項目を回答者に提示した。これらの活動を地域貢献活動と定義する。

①経済の振興に 関する活動

②文化・環境に 関する活動

③教育に関する 活動

④雇用に関する 活動

⑤治安・安全・ 防災に関する 活動

⑥保健・医療・ 福祉に関する 活動

地場産業の活性化商店街の活性化特産品や農水産物など地域資源の活用創業支援や他企業の経営支援その他

経済、金融、消費者教育起業家教育職場体験・インターンシップの受け入れその他

高齢者の雇用・就業支援障害者の雇用・就業支援ニート・フリーターの雇用・就業支援ホームレスの雇用・就業支援元受刑者の雇用・就業支援外国人労働者の雇用・就業支援その他

防犯活動交通安全活動消防・防災活動その他

高齢者の生活支援障害者の生活支援生活困窮者やホームレスの支援食の安全確保育児支援その他

祭りや伝統行事の開催や維持地域における文化やスポーツの振興地域の美化や緑化地域の環境保全その他

2

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Ⅱ アンケート回答企業の属性

組織形態 (単位:%) 業 種 (単位:%)

従業者数 (単位:%) 事業所所在地の人口規模 (単位:%)

1~4人53.2

5~9人23.9

10~19人13.4

20人以上9.5

(n=3,054)

平 均 8.5人中央値 4.0人

製造業12.5

情報通信業1.9

運輸業3.1

卸売業10.3

不動産業3.7

医療・福祉3.0

その他1.5

建設業18.2

小売業21.3

サービス業17.0

(n=3,065)

教育学習支援業0.8

飲食店・宿泊業6.7法人

62.5

個人37.5

(n=2,948)

(n=2,910)

100万人以上の市(東京23区を含む)

22.7

30万人以上100万人未満の市

20.5

10万人未満の市町村

35.1

10万人以上30万人未満

の市21.6

(注) 従業者にはパート・アルバイトを含み、派遣・請負社員は含まない。 (注) 小数第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100にならない。以下同じ。

3

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業 歴 (単位:%)   最近の売上高傾向 (単位:%)

採算状況 (単位:%) 経営者の年齢 (単位:%)

30年以上43.4

5年未満13.8

5~10年未満9.7

(n=3,065)

10~20年未満18.8

20~30年未満14.3

赤字基調47.0

黒字基調53.0

(n=2,948)

34歳以下3.8

35~44歳13.5

45~54歳23.9

55~64歳36.9

65歳以上22.0%

(n=3,041)平 均  55.7歳中央値  57.0歳

平 均  29.0年中央値  25.0年

あまり変わらない

34.0

増加傾向21.0

減少傾向45.0

(n=3,005)

4

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Ⅲ 調査結果1 取り組み状況(1)小企業における取り組み状況

図-1 小企業における取り組み状況

(単位:%)

企業かつ個人として取り組みあり    (A)

企業として取り組みあり       (A+B)

個人として取り組みあり       (A+C)

企業または個人として取り組みあり (A+B+C)

企業、個人とも取り組みなし      (D)

<参考> 小企業経営者による取り組み状況     (企業としての取り組み別)

33.8%

52.5%

企業としての取り組み

A25.9%

B18.7%

C7.9%

D47.5%

経営者個人としての取り組み

47.5%

25.9%

44.6%

有 無

 〇 地域貢献活動への取り組み状況をみると、小企業の44.6%が「取り組んでいる」と回答している(図-1)。 〇 なお、アンケートでは、経営者個人についても地域貢献活動に取り組んでいるかどうかを質問している。企業として取り組んでいる  ケースと個人として取り組んでいるケースとをまとめたものが、参考で示した表である。表が示すように、33.8%が経営者個人として  取り組んでおり、企業または経営者個人として取り組んでいる割合は52.5%に上る。ただし、経営者個人としての取り組みには、企業  としての取り組みとは関連のないケースも含まれるため、以下では、企業としての取り組みのみを取り上げる。

44.6%

33.8%(n=3,065)

取り組んでいる44.6

取り組んでいない55.4

5

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(2)企業属性別にみた取り組み状況

図-2 従業者規模別にみた取り組み割合 (単位:%) 図-3 事業所所在地の人口規模別にみた取り組み割合 (単位:%)

図-4 業歴別にみた取り組み割合 (単位:%) 図-5 経営者の年齢別にみた取り組み割合 (単位:%)

 〇 地域貢献活動に取り組んでいる企業の割合は、従業者規模が大きいほど多くなる(図-2)。 〇 企業の事業所が所在する地域の人口規模別にみると、概ね、人口が少ない地域ほど取り組んでいる割合が多い(図-3)。 〇 業歴別では業歴が長い企業ほど取り組んでいる割合が多い。ただし、「5年未満」の企業は36.7%となり、「5~10年未満」の  企業を上回る(図-4)。 〇 経営者の年齢別にみると、年齢が高くなるにつれて取り組み割合も多くなるが、「45~55歳」がピークで、以後はしだいに減少  していく(図-5)。

36.7

31.6

40.2

41.9

52.7

5年未満(n=422)

5~10年未満  (n=297)

10~20年未満  (n=577)

20~30年未満  (n=439)

30年以上(n=1,330)

52.0

43.5

44.0

37.9

人口10万人未満の市町村 (n=1,020)

人口10万人以上30万人未満の市 (n=630)

人口30万人以上100万人未満の市 (n=598)

人口100万人以上の市  (東京23区を含む)      (n=662)

37.0

48.6

56.8

59.0

1~4人(n=1,625)

5~9人(n=729)

10~19人(n=410)

20人以上(n=290)

37.4

39.0

51.4

44.1

42.7

34歳以下(n=115)

35~44歳(n=410)

45~54歳(n=726)

55~64歳(n=1,122)

65歳以上(n=668)

6

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(3)業績との関連

図-6 最近の売上高傾向別にみた取り組み割合 図-7 採算別にみた取り組み割合(単位:%) (単位:%)

 〇 企業の業績を示す指標となる「最近の売上高傾向」「採算」と、地域貢献活動への取り組み状況との関連をみると、売上高が減少傾  向、採算が赤字基調にある企業でも、半数近くが地域貢献活動に取り組んでおり、業績による差異はみられない(図-6、図-7)。

44.1

45.8

44.5

増加傾向(n=632)

あまり変わらない (n=1,022)

減少傾向(n=1,351)

44.7

44.3

黒字基調(n=1,563)

赤字基調(n=1,385)

7

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(4)活動分野

図-8 企業として取り組んでいる地域貢献活動の分野(複数回答)

1.0

10.3

0.41.0 0.41.12.00.3

1.92.90.9

10.8 10.5

0.21.7

0.11.52.3

5.76.9

1.70.7

8.2

13.8 13.2

1.01.93.3

10.4

6.6 6.49.3 8.3

20.3

34.2

17.6

26.6

0

5

10

15

20

25

30

35

40

 

地場産業の活性化

 

商店街の活性化

 

特産品や農水産物など地域

 

資源の活用

 

創業支援や他企業の経営支援

 

その他

 

祭りや伝統行事の開催や維持

 

地域における文化やスポーツ

 

の振興

 

地域の美化や緑化

 

地域の環境保全

 

その他

 

経済・金融・消費者教育

 

起業家教育

 

職場体験・インターンシップ

 

の受け入れ

 

その他

 

高齢者の雇用・就業支援

 

障害者の雇用・就業支援

 

ニート・フリーターの雇用・

 

就業支援

 

ホームレスの雇用・就業支援

 

元受刑者の雇用・就業支援

 

外国人労働者の雇用・就業

支援

 

その他

 

防犯活動

 

交通安全活動

 

消防・防災活動

 

その他

 

高齢者の生活支援

 

障害者の生活支援

 

生活困窮者やホームレス

 

の支援

 

食の安全確保

 

育児支援

 

その他

(%) (n=3,065)

 〇 地域貢献活動の分野を6分類でみると、「②文化・環境に関する活動」(34.2%)に取り組む割合が最も多く、以下「⑤治安・安全 ・防災に関する活動」(20.3%)、「①経済の振興に関する活動」(17.6%)と続く。 〇 各分類をさらに細かくみると、「祭りや伝統行事の開催や維持」や「商店街の活性化」など、従来からみられる活動に取り組む企  業が多い。一方、「職場体験・インターンシップの受け入れ」や「障害者の雇用・就業支援」といった今日的な活動に取り組む企業  も存在する。(図-8)。

①経済の振興に関する活動

②文化・環境に関する活動

③教育に関する活動

④雇用に関する活動

⑤治安・安全・防災に関する活動

⑥保健・医療・福祉に関する活動

8

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(5)地域の人口規模と分野別の取り組み状況

図-9 事業所所在地の人口規模別にみた6分野の取り組み割合(単位:%)

 〇 6分野での取り組み状況を事業所所在地の人口規模別にみると、「①経済の振興に関する活動」「②文化・環境に関する活動」  「⑤治安・安全・防災に関する活動」では、人口が少ない地域ほど取り組み割合が多くなる傾向がみられる。一方、「③教育に  関する活動」「④雇用に関する活動」「⑥保健・医療・福祉に関する活動」については、人口規模による差はあまりみられない  (図-9)。

13.0

15.2

17.5

22.9

26.3

32.9

34.9

41.8

9.1

7.9

9.0

11.1

7.1

7.5

8.1

10.3

13.6

18.1

19.2

27.5

4.7

7.9

5.1

8.3

人口100万人以上の市  (東京23区を含む)      (n=662)

人口30万人以上100万人未満の市    (n=598)

人口10万人以上30万人未満の市    (n=630)

人口10万人未満の市町村  (n=1,020)

①経済の振興に関する活動

②文化・環境に関する活動

③教育に関する活動

④雇用に関する活動

⑤治安・安全・防災に関する活動

⑥保健・医療・福祉に関する活動

9

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(6)最も力を入れている活動

図-10 取り組んでいる地域貢献活動の数 図-11 企業として最も力を入れている地域貢献活動(上位10項目)

(単位:%) 23.9

10.48.5

7.5

5.2 5.2 5.0 4.9 4.4 4.3

0

5

10

15

20

25

祭りや伝統行事の

開催や維持

商店街の活性化

地域における文化や

スポーツの振興

地域の美化や緑化

交通安全活動

消防・防災活動

防犯活動

職場体験・インターン

シップの受け入れ

地場産業の活性化

地域の環境保全

(%)

(n=1,111)

 〇 地域貢献活動に取り組む企業のうち、複数の活動に取り組んでいる企業は72.1%を占める(図-10)。 〇 取り組んでいる活動が1つだけの企業も含め、地域貢献活動を始めた理由や成果などを分析するために、取り組んでいる活動のな  かで最も力を入れているものを尋ねた。その結果、「祭りや伝統行事の開催や維持」(23.9%)が最も多く、以下「商店街の活性化」  (10.4%)、「地域における文化やスポーツの振興」(8.5%)と続く(図-11)。

3つ以上50.1

2つ22.0

1つ27.9

(n=1,366)

(注) 何らかの地域貢献活動に取り組んでいる企業に  ついて集計した。以下同じ。

10

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(7)活動理由

図-12 最も力を入れている地域貢献活動を始めた理由

 〇 最も力を入れている地域貢献活動を始めた理由をみると、「地域の企業として当然のことだから」が51.1%と突出して多くなって  いる。一方、「企業の業績向上に直結するから」(6.4%)、「企業の評判が高まると思うから」(1.6%)など、企業の利益を求めて  地域貢献活動を始めるケースは少ない(図-12)。

51.1

7.411.0

6.42.1 1.6 1.5

7.94.7 6.2

0

10

20

30

40

50

60

地域の企業として当然

のことだから

そもそもこの活動をする

ための企業だから

長い目で見れば企業の

利益になると思うから

企業の業績向上に直結

するから

従業員の確保につな

がるから

企業の評判が高まる

と思うから

社員の士気を高めるため

知人等に誘われたから

加入している団体等が

決めたことだから

その他

(%)

(n=745)

11

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(8)活動の評価

図-13 最も力を入れている活動の成果 (単位:%) 図-14 活動に当たっての問題点 (単位:%)

 〇 最も力を入れている活動の成果については、予想通りもしくは予想以上の成果を上げているという企業が54.2%となった。一方、  「成果は上がっているが、予想を下回っている」「成果は上がっていない」といった、思うような成果を上げられていない企業も少  なくない(図-13)。 〇 活動に当たっての問題点をみると、「資金不足」「人手不足」「適格なマネージャーがいない」と回答した企業が4割を超えてい  る(図-14)。小企業が地域貢献活動を展開する上で、資金や人材の不足が問題となっている現状がうかがえる。

15.9

19.5

18.4

42.7

52.3

63.3

活動の目的や趣旨が企業内に浸透していない       (n=737)

活動の手法が確立されていない    (n=719)

適格なリーダーがいない

   (n=723)

適格なマネージャーがいない

     (n=651)

人手不足(n=696)

資金不足(n=684)

予想通りの成果を上げて

いる48.8

予想以上に成果を上げて

いる5.4成果は上がっ

ていない15.7

成果は上がっているが、予想を下回っ

ている30.1

(n=814)

12

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2 多様化する地域貢献活動(1)活動開始年で分類した活動のタイプ

表 活動開始年(中央値)

ホームレスの雇用・就業支援 2007 0.1 2外国人労働者の雇用・就業支援 2006 1.7 41育児支援 2003 1.1 26ニート・フリーターの雇用・就業支援 2003 1.5 36創業支援や他企業の経営支援 2003 1.9 48職場体験・インターンシップの受け入れ 2003 6.9 179障害者の雇用・就業支援 2002 2.3 56高齢者の生活支援 2001 2.9 69高齢者の雇用・就業支援 2001 5.7 138起業家教育 2000 1.0 24障害者の生活支援 2000 1.9 43特産品や農水産物など地域資源の活用 2000 3.3 80食の安全確保 1999 2.0 40生活困窮者やホームレスの支援 1998 0.3 3経済・金融・消費者教育 1998 1.7 32元受刑者の雇用・就業支援 1997 0.4 8地場産業の活性化 1996 6.6 156防犯活動 1996 10.3 232地域の美化や緑化 1996 13.2 304地域の環境保全 1994 8.2 182地域における文化やスポーツの振興 1994 13.8 319交通安全活動 1992 10.8 223消防・防災活動 1990 10.5 224祭りや伝統行事の開催や維持 1990 26.6 638商店街の活性化 1988 10.4 246

活動開始年 実施割合(%) n

 〇 活動項目ごとに活動開始年の中央値を算出すると、活動内容によって開始年が異なることがわかる。 〇 「商店街の活性化」や「祭りや伝統行事の開催や維持」など、取り組み割合が10%を超えるものは、中央値が1990年代以前となっ  ているのに対し、「職場体験・インターンシップの受け入れ」や「高齢者の雇用・就業支援」といった活動は2000年以降となってい  る。地域貢献活動の内容がより社会全体に関わるものへと多様化してきていることがわかる。 〇 そこで、活動開始年の中央値が1999年以前のものを「従来タイプの活動」、2000年以降のものを「新タイプの活動」と定義し、そ  れぞれの活動に取り組んでいる企業の比較をしていく(表)。

新タイプの活動(2000年以降に開始した活動)

従来タイプの活動(1999年以前に開始した活動)

13

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(2)新タイプの活動に取り組む企業の属性

図-15 組織形態 (単位:%) 図-16 従業者規模 (単位:%)

図-17 業 種 (単位:%)

 〇 新タイプの活動に取り組んでいる企業が、従来タイプの活動に取り組んでいる企業に比べてどのような特徴があるのかをみるため  に、以下では、最も力を入れている活動に新タイプの活動を選択し、かつ従来タイプの活動に取り組んでいない企業を「新タイプ」、  最も力を入れている活動に従来タイプの活動を選択し、かつ新タイプの活動に取り組んでいない企業を「従来タイプ」と定義する。 〇 「新タイプ」の企業は、「従来タイプ」に比べて法人の割合が多く、従業者数も多い(図-15、図-16)。業種別では、情報通信業、  医療・福祉、サービス業などの割合が、「従来タイプ」よりも多い(図-17)。

49.6

32.0

26.0

29.0

14.5

22.0

9.8

17.0

従来タイプ (n=681)

新タイプ(n=100)

20.5

11.0

10.8

12.0 5.0 2.0

10.9

5.0

25.3

12.0

3.8

2.0

6.3

4.0 14.0 1.0

14.8

31.0

1.3

1.0

1.2 2.6 1.7

0.7

従来タイプ (n=687)

新タイプ(n=100)

33.8

25.5

66.2

74.5

従来タイプ (n=677)

新タイプ(n=98)

  個人 法人   1~4人 5~9人 10~19人 20人以上

 建設業 製造業

情報通信業

運輸業

卸売業

小売業 不動産業

飲食店・宿泊業

医療・福祉

教育学習支援業

サービス業 その他

14

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図-18 事業所所在地の人口規模 (単位:%) 図-19 業 歴 (単位:%)

図-20 経営者の年齢 (単位:%) 図-21 経営者の性別 (単位:%)

36.6

32.0

22.8

11.3

21.0

23.7

19.5

33.0

従来タイプ (n=661)

新タイプ(n=97)

9.9

25.0

6.4

12.0

17.2

24.0

14.4

13.0

52.1

26.0

従来タイプ (n=687)

新タイプ(n=100)

 〇 事業所所在地の人口規模をみると、「従来タイプ」の企業は「10万人未満の市町村」が最も多い。これに対し、「新タイプ」の企業  は、「100万人以上の市(東京23区を含む)」が最も多い。ただし、「10万人未満の市町村」でも同程度の割合を占めている(図-18)。 〇 業歴をみると、「新タイプ」の企業は、「従来タイプ」よりも業歴が短い(図-19)。経営者の年齢をみても、「従来タイプ」よりも  年齢が若い(図-20)。 〇 また、「新タイプ」の企業では、女性経営者の割合が多い(図-21)。

2.6

8.0 18.0

28.2

37.0

38.3

30.0

19.6

7.0

11.3従来タイプ (n=682)

新タイプ(n=100)

91.8

83.0

8.2

17.0

従来タイプ (n=683)

新タイプ(n=100)

女性34歳以下

45~54歳 55~64歳

65歳以上

35~44歳

100万人以上の市(東京23区

を含む)

30万人以上100万人未満

の市

    10万人以上    30万人未満

    の市

10万人未満の市町村

  5年未満5~10年未満

10~20年未満 30年以上

20~30年未満

  男性

15

Page 17: 小企業の地域貢献に関する実態調査結果について(n=3,065) 教育学習支援業 0.8 飲食店・ 宿泊業 法人 6.7 62.5 個人 37.5 (n=2,948) (n=2,910) 100万人以上

(3)業 績

図-22 最近の売上高傾向 (単位:%) 図-23 採 算 (単位:%)

16.7

34.7

36.2

31.6

47.1

33.7

従来タイプ (n=677)

新タイプ(n=98)

 〇 「新タイプ」の企業における業績をみると、「従来タイプ」に比べて売上高が増加傾向にある企業の割合が多い。採算状況に  ついても、「従来タイプ」よりも黒字基調の割合が多い(図-22、図-23)。

52.7

67.7

47.3

32.3

従来タイプ (n=659)

新タイプ(n=99)

      増加傾向 あまり変わらない 減少傾向 赤字基調      黒字基調

16

Page 18: 小企業の地域貢献に関する実態調査結果について(n=3,065) 教育学習支援業 0.8 飲食店・ 宿泊業 法人 6.7 62.5 個人 37.5 (n=2,948) (n=2,910) 100万人以上

(4)活動理由

図-24 タイプ別、最も力を入れている地域貢献活動を始めた理由

28.6

14.3

21.4

7.110.7

0.0 1.8 3.6 1.8

10.7

52.2

5.78.2

5.5

0.2 1.8 1.6

10.76.4 7.7

0

10

20

30

40

50

60

地域の企業として当然の

ことだから

そもそもこの活動をする

ための企業だから

長い目で見れば企業の利益

になると思うから

企業の業績向上に直結する

から

従業員の確保につながる

から

企業の評判が高まると思う

から

社員の士気を高めるため

知人等に誘われたから

加入している団体等が

決めたことだから

その他

(%)

 〇 「新タイプ」の企業について、活動を始めた理由をみると、「地域の企業として当然のことだから」(28.6%)が最も多くなっている  が、「従来タイプ」に比べると23.6ポイントも少ない。反面、「長い目で見れば企業の利益になると思うから」「そもそもこの活動を  するための企業だから」など、事業との関連で地域貢献活動に取り組んでいる企業が多いといえる(図-24)。

新タイプ(n=56)

従来タイプ(n=439)

17

Page 19: 小企業の地域貢献に関する実態調査結果について(n=3,065) 教育学習支援業 0.8 飲食店・ 宿泊業 法人 6.7 62.5 個人 37.5 (n=2,948) (n=2,910) 100万人以上

(5)活動の評価

図-25 最も力を入れている活動の成果 (単位:%) 図-26 活動に当たっての問題点 (単位:%)

 〇 最も力を入れている活動の成果については、「新タイプ」「従来タイプ」とも、予想通りもしくは予想以上の成果を上げている  という企業が半数を超えている。一方、いずれのタイプも、「成果は上がっているが、予想を下回っている」「成果は上がってい  ない」といった、思うような成果を上げられていない企業も少なくない(図-25)。 〇 活動に当たっての問題点をみると、「新タイプ」「従来タイプ」とも、「資金不足」「人手不足」「適格なマネージャーがいな  い」と回答した企業は4割を超えている。小企業が地域貢献活動を展開する上では、活動のタイプにかかわらず、資金調達や人材  確保が課題となっているといえる(図-26)。

17.2

19.6

28.1

20.2

25.0

17.8

46.3

46.2

43.6

51.6

60.0

61.9

新タイプ(n=58)

従来タイプ(n=393)

新タイプ(n=57)

従来タイプ(n=391)

新タイプ(n=56)

従来タイプ(n=393)

新タイプ(n=54)

従来タイプ(n=346)

新タイプ(n=55)

従来タイプ(n=376)

新タイプ(n=55)

従来タイプ(n=370)

活動の目的や趣旨が企業内に浸透していない

活動の手法が確立されていない

適格なリーダーがいない

適格なマネージャーがいない

人手不足

資金不足

1.7

6.1

50.8

48.9

30.5

25.9

16.9

19.1

新タイプ(n=59)

従来タイプ(n=460)

予想以上に成果を上げて いる

予想通りの成果を上げて いる

成果は上がっているが、予想を下回っている

成果は上がっていない

18

Page 20: 小企業の地域貢献に関する実態調査結果について(n=3,065) 教育学習支援業 0.8 飲食店・ 宿泊業 法人 6.7 62.5 個人 37.5 (n=2,948) (n=2,910) 100万人以上

19

Ⅳ まとめ

〇 小企業の44.6%が地域貢献活動に取り組んでおり、そのうち約7割が複数の活動を実施している。赤字企

業でも44.3%が取り組んでおり、多くの小企業が、地域貢献活動を地域の一員として当然のことと考えて

いる。小企業は、経済的な役割を果たすと同時に、地域社会を多方面から支える経済外的な役割も担って

いる。

〇 地域貢献活動の内容は多様化している。とくに2000年以降、「職場体験・インターンシップの受け入れ」や

「ホームレスの雇用・就業支援」といった、より社会的な問題の解決に取り組む企業が増加している。

〇 取り組んでいる地域貢献活動に対して、54.2%の企業は「成果を上げている」と評価しているが、そうした

企業を含めた多くの企業で、資金調達や人材の確保が課題となっている。

Page 21: 小企業の地域貢献に関する実態調査結果について(n=3,065) 教育学習支援業 0.8 飲食店・ 宿泊業 法人 6.7 62.5 個人 37.5 (n=2,948) (n=2,910) 100万人以上

20

参考 企業事例

A社(障害者、ホームレスの雇用) B社(創業支援や他企業の経営支援) C商店街(職場体験の受け入れ)

事業内容 ビル清掃 ソフトウエア開発

所在地 大阪府大阪市 岐阜県大垣市 東京都荒川区

創業年 1980 年 1985 年

従業者数 70 人 12 人

年 商 4億円 1億円

活動内容

・ A社は、2003 年から知的障害者を雇用して

いる。その際、連携しているのが、知的障

害者の就労を支援するビル清掃組合であ

る。職業訓練にとどまらず、就職後のフォ

ローや生活まで手厚くサポートするこの

組合の協力により、障害者の戦力化を実現

している。

・ 最近では、ホームレスの雇用にも積極的に

取り組んでいる。清掃業務を請け負った公

園で生活しているホームレスが掃除をし

ている光景を見たことを機に、彼らを追い

出すのではなく、自社で雇用すれば、ホー

ムレス問題を解決できると考えた。

・ ホームレスは借金やアルコール依存など

の問題を抱えているケースが多いが、同社

は、NPOの力を借りながら、一つひとつ

問題を解決し、ホームレスの社会復帰を支

援している。

・ このように、同社は、障害者やホームレス

の雇用を軌道に乗せたことで、従業者数を

急速に増やしている。

・ B社は、社長が理事を務めるNPO法人を通

じて、創業支援や他企業の経営支援を行って

いる。

・ このNPO法人は、サイトを通して融資やセ

ミナー情報など、創業や中小企業経営に関す

る情報を提供している。また、交流会を開く

など、企業間のネットワークづくりにも力を

入れている。

・ 会員には、創業してまもない企業のほか、経

営基盤の強化や、第二創業の実現などを目的

に入会する企業も少なくない。そのため、単

なる親睦会にとどまらず、例えば、介護ビジ

ネスを行っている企業同士が互いに課題を

相談しあったり、ITの活用法を教えあった

りといった経営相談の場となっている。

・ 支援を受けた企業が数年後に支援側に回る

ケースも多い。2004 年にNPO法人が設立し

てから、会員数は 120 社を超えるまでに増え

ている。

・ C商店街は、72 の商店からなる近隣型

商店街である。周辺の商店街との合同売り

出しを開催するなど、地域の活性化に努め

てきた。

・ 2002 年からは、より地域に必要とされる商

店街となるために、地元小中学校の生徒の

職場体験を受け入れたり、福祉団体と提携

して、障害者が製作した商品を販売する場

を提供したりしている。

・ 小学生の職場体験では、各商店に 2、3人の

生徒を配置し、店頭で「いらっしゃいませ」

と声をかけたり、商品の包装や配達などを

手伝ったりする仕事を通じて、商売の楽し

さを伝えている。また、各商店のチラシに、

手伝った生徒の名前を載せてあげること

で、本人や、その父兄を喜ばせている。

・ 2007 年からは、都内の商業高校とも提携

し、奉仕体験の授業として生徒を受け入れ

る活動も始めている。