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「公害防止ガイドライン」の概要 及びフォローアップについて 平成21324経済産業省 資料3

「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォロー …「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォローアップについて 平成 21年 月2 日

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Page 1: 「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォロー …「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォローアップについて 平成 21年 月2 日

「公害防止ガイドライン」の概要及びフォローアップについて

平成21年3月24日

経済産業省

資料3

Page 2: 「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォロー …「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォローアップについて 平成 21年 月2 日

●不適正事案の発生と関係者の認識の相対的低下

○一部の事業者による不適正な設備管理による排出基準の超過○環境負荷物質の測定データの改ざん等→事業者の公害防止の重要性に対する認識が相対的に低下

●事業者に対する社会的責任の高まり

○ISO14001の認証取得、環境報告書等の企業の社会的責任(CSR)の高まり○事業者の公害防止対策への取り組みについて国民からの信頼確保→多様な利害関係者との関わりを持ちながら社会的責任を果たすことが重要

●環境管理の在り方の再点検

○環境問題が多様化し、社会構造が変化○公害防止に関する適切な環境管理→事業者の自主的な公害防止への積極的な取組姿勢の再確認

1.検討の契機

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Page 3: 「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォロー …「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォローアップについて 平成 21年 月2 日

公害防止ガイドラインを策定するに至った不適正事案の概要

2.公害防止ガイドライン策定の背景

事案の概要 原 因 対 応

A社

□排出基準の超過□測定データの書換え

�一人の担当者に任せきり�上司から経営幹部に至る管理者が書換えを把握できなかった

�環境管理業務の機能低下�製造部門が自主的に環境管理を行うことが規定されていなかった

�幹部の認識不足から人員増強等の組織的対応が取れてなかった

�環境測定データのダブルチェック及び上司のチェック後、イントラネットで工場内共有

�環境管理部の設置�操業部門に対する操業停止指導権限を明記

�環境管理部門の人員増強�自動分析器の導入拡大

B社□排出基準の超過□測定データの書換え

�事業所に環境管理を直接所管する部署がなかった

�担当者が子会社と兼務し、また任せきり

�管理者の確認等が適切に行われなかった

�環境安全課を新設し、環境に関する責務及び権限を明確化

�子会社の環境管理に関する実務を明確化

�分析装置から直接オンラインでデータを転送、記録、出力するシステムに改善

C社□測定回数の不足□自動測定器の長期停止

�担当者の遵法精神の欠如�管理者のチェック機能、危機管理意識の欠如

�専門業務の補完要員確保や人材ローテーション計画の不備

�マニュアル等作業手順書の未整備

�環境安全部を新設し、環境管理に関する指示の徹底及び取締役会に現状報告

�コンプライアンス統括室が社内の遵法性を監視、及び社員教育の充実

�測定データの保管、コンピュータ記録方式の見直し

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事案の概要 原 因 対 応

D社□排出基準の超過□測定データの書き換え□測定回数の不足

�工場幹部の環境保全重視の認識欠落�担当者に任せきり�チェック体制の不備�環境保全を担う担当者の教育システムがない

�公害防止管理者を環境保全室長に任命、排水異常時は操業停止の権限を付与

�工場の環境管理状況を合同経営会議に報告

�本部役員による内部監査体制の整備

�環境管理等に関するマニュアルを整備し、勉強会を開催

�ダブルチェック体制の整備

E社□排出基準の超過□測定データの書き換え

�所長、副所長の環境管理に関する指導の不徹底

�測定データと報告データの照合確認する業務フローの未整備

�担当者の法令遵守精神が欠如

�管理職に対する指導力等向上研修の実施

�関係課室におけるダブルチェックの実施

�従業員及び関係者の再教育�コンプライアンス委員会の開催強化

F社□排出基準の超過□測定データの書き換え

�担当者にまかせきり�法令遵守より操業の継続の優先�基本的コンプライアンス体制の欠如�自動記録装置の運用作業手順の不備

�環境防災管理部への格上げし、操業停止権限を付与

�要員を増員し、環境管理データのチェック機能付加、環境パトロールを実施

�環境計測機器の増設及び更新�環境管理システムの全面更新�有識者参画のもと環境管理委員会の新設

�法令遵守のための社員教育の強化

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Page 5: 「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォロー …「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォローアップについて 平成 21年 月2 日

類 型 詳 細

全社的なマネジメントの不備 � 全社的な公害防止管理に係る方針策定の不足� 現場任せによる全社的な認識不足� 環境管理部門の操業部門に対する指導力の低下、人員不足� 現場での公害防止業務の本社への報告体制の未整備

工場でのマネジメントの不備 � 事業所での環境管理体制の不足� 環境管理部門の操業部門への監視の不足、人員不足� 担当者任せによる工場内での認識不足� 点検結果、分析結果のダブルチェック体制の欠如� 担当者から責任者への情報伝達の不備� 異常時における公害防止設備の不適切な操作� 公害防止設備の作業手順マニュアルの未整備

従業員教育の不徹底 � 管理職の危機管理意識の不足� 担当者の法令遵守に対する意識の不足� 担当者の環境法令及び公害防止協定に対する認識不足� 担当者の異動時・交代時の技術・ノウハウの引継ぎ不足

利害関係者との連携不足 � 平時における地方自治体との情報交換・意思疎通の不足� 地方自治体からの点検要請に対する不十分な対応

3.公害防止管理に係る問題の整理

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Page 6: 「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォロー …「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォローアップについて 平成 21年 月2 日

【全社的環境コンプライアンス全社的環境コンプライアンス】の具体的要件の具体的要件

①方針の明確化経営者自らが環境管理における社会的な要請とその重要性を理解し、全社的な方針を定める。

②組織の構築全社的な方針を実現し、適切な環境管理を実行するために最も合理的な本社・工場での組織を構築する。特に、公害防止統括者である工場長等の責務を確認した上で、責任と役割を明確化する。

③予防的取り組み具体的な取組方針を明確化し、組織の構成員に周知する。また、現場での「公害発生リスク・シグナル」や「取組方針に対する問題点」を自発的に発見し、組織的に吸い上げることにより未然防止を図る。

④事後的取り組み環境管理上の不適正事案の発掘と点検を実施し、発生の疑いがあれば、事実関係の把握と原因の究明により、適切な是正措置を早急に講じる。

⑤関係者との連携地方自治体や地域住民等の利害関係者と日頃から情報・意見交換を行うとともに、公害防止活動の実態や課題等について認識の共有化を図ることにより、関係者間の信頼関係を構築する。

4.公害防止に関する環境管理の基本的方向性

◎「全社的環境コンプライアンス」の実践経営者から従業員に至るまで、公害防止に関する環境管理の重要性を再確認した上で、実効性のある体制を整備・取組、問題の未然防止、早期発見、是正していく活動

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工場・事業所

工場長等

報告、要求、提案(人員、設備等)

経営者

本社環境管理部門

地域住民等

交流情報開示

投資家・金融機関等

評価、投資・融資

環境報告書等による情報発信

報告

資源投入

部・課長等

管理担当者等

◎工場内の環境管理体制を構築し、報告・連絡・相談・確認・指導の徹底を励行

情報提供

方針立案支援

関係会社 委託先

指導・監督

経営者が環境管理の全体方針を示すとともに、工場・本社がそれぞれの役割に応じた活動を行い、地方自治体や地域住民等とのコミュニケーションにより信頼関係を醸成

・環境管理の総責任者・環境法令違反のリスクを認知

・環境管理の方針を決定、伝達

・経営者とのコミュニケーション

・工場とのコミュニケーション

・現場の要求を踏まえた計画を提案

指導、監査、改善検討

公害防止統括者

公害防止主任管理者(資格要)

公害防止管理者(資格要)

検査・指導

地方自治体

日常的なコミュニケーション

・工場内に環境方針を徹底・工場の環境管理計画の決定

・工場内の体制整備・本社への設備・人材の投入要求

・本社環境管理部門と連携・データの真正性の確保

・自治体・住民等とのコミュニケーション

5.公害防止に関する環境管理における各主体の役割分担

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1.工場・現場における公害防止に関する環境管理への取り組み1.工場・現場における公害防止に関する環境管理への取り組み

2.本社・環境管理部門における全社的な公害防止に関する2.本社・環境管理部門における全社的な公害防止に関する環境管理への取り組み環境管理への取り組み

3.従業員教育への取り組み3.従業員教育への取り組み

4.利害関係者とのコミュニケーションへの取り組み4.利害関係者とのコミュニケーションへの取り組み

6.公害防止に関する環境管理の具体的方策

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Page 9: 「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォロー …「公害防止 ガイドライン 」の概要 及びフォローアップについて 平成 21年 月2 日

6.公害防止に関する環境管理の具体的方策

①実効性のある環境管理体制の整備と運用◇公害防止統括者(工場長)等の責務と役割を再確認し、工場内の具体的な責務・業務内容等を明確化◇工場長から現場までの指揮命令系統を確認、また関係部署の役割分担及び責任の所在の明確化◇測定データの改ざん防止のための多重的なチェックの仕組みの構築◇情報が現場から工場長まで届くための情報伝達の仕組みの構築◇常に改善すべき点を発見し、これに対応する体制面や設備面の整備を行う。

②本社とのコミュニケーション◇工場における基準超過事例やトラブル情報を迅速かつ的確に本社環境管理部門に報告◇設備の劣化による事故発生予防のため、本社に改善提案を提示し、必要な経営資源の投入を図る。

③異常発生時等の対応・整備◇異常発生時の危機管理体制(初動・報告・処理対応・情報公開)を整備◇異常発生時に備えた訓練を行うことにより、管理体制の有効性を検証

④環境管理手順の明文化と業務の記録・保管◇工場における一連の環境管理業務の手順を明文化◇公害防止管理者等が実施する環境管理業務の記録・保管体制を整備

⑤関係会社・委託先との連携強化◇環境管理に必要な役割、責任分担、連絡、検証体制等について明確化

(1)工場・現場における公害防止に関する環境管理への取り組み

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6.公害防止に関する環境管理の具体的方策

【本社・経営層】①環境管理業務の企業経営リスクとしての認識

◇環境管理は企業経営の前提。基準値超過、測定データの改ざん等は重大な経営リスクとなることを認識した上で全社的な方針を策定し、管理を実践

◇事業環境の変化などにも柔軟に対応できるよう、工場・現場の提案・要望を把握しつつ、人的・物的資源の確保に努める。

②公害防止管理者等有資格者の育成と配置

◇公害防止管理者等の資格取得の増加のための取組を促し、工場・現場において、公害防止管理者等を適正配置できるよう、人事面での配慮を図る。

【本社・環境管理部門】①関係会社等を含めた全社的リスク把握・対処のための取り組みの整備◇基準値超過データやトラブル発生情報を的確に把握し、経営層に報告できる体制や仕組みの構築◇不適正事案の早期把握、是正、再発防止を速やかに行える体制を構築◇子会社、関係会社、委託先などの環境管理業務を把握できるよう、環境管理に直接的に関係する作業工程を調査するとともに、必要に応じて委託要領や確認リストを策定

②多重的なチェック・監視体制の整備

◇本社が工場に対して行うモニタリングや監査の実効性を高めることが必要

③危機管理体制の整備と検証

◇緊急処置を講じるための手続きや異常発生時の危機管理体制を整備するとともに、教育・訓練を実施し、体制の実効性を確保

(2)本社・環境管理部門における全社的な公害防止に関する環境管理への取り組み

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6.公害防止に関する環境管理の具体的方策

①コンプライアンス教育の実施

◇工場長から従業員に至るまで、環境法令の背後にある社会的な要請まで理解して自律的に対応できるよう、環境法令の趣旨や重要性について教育

◇公害防止統括者等への教育により、工場幹部の環境管理に対する意識を高め、工場全体の取組を促進

②公害防止に関する環境管理のノウハウの継承

◇過去の失敗事例や改善事例の収集、マニュアルを作成する等により、ノウハウの継承を図る。

③公害防止管理者等の資格取得を含む環境実務研修の充実

(3)従業者教育への取り組み

(4)利害関係者とのコミュニケーションへの取り組み

①行政(地方自治体)とのコミュニケーション◇平常時においては、公害防止の取組に関する情報交換等を通じて信頼関係を構築◇異常発生時においては、速やかに行政に連絡し、円滑かつ継続的に連絡

②地域とのコミュニケーション◇環境管理に関する情報公開を積極的に行うとともに、環境問題が生じた場合には環境負荷の多寡、再発防止策等を分かりやすく説明することにより地域から信頼が得られるように努める。

◇地域住民の要望等に積極的に対応するとともに、定期会合や工場見学などにより、密接なコミュニケーションを図る。

③関係会社・取引先とのコミュニケーション◇事業者としての環境管理方針及び方策を関係会社、取引先に周知徹底し、関係会社や取引先においても環境管理方針を策定するよう働きかける。

◇必要に応じて、関係会社や取引先と共同で環境管理に取り組む。11

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7.公害防止ガイドラインの位置づけ

◎環境管理体制の構築に取り組む際の参考となる行動指針

基本的な方向性

先行事例

事業者の主体的な取り組みを促す

事業者の創意工夫

公害防止ガイドラインの構成

ガイドラインの趣旨を踏まえた上で、業種ごとの実態及び事業規模に応じた取り組みの実施

特定工場に該当しない企業(公害防止体制の整備が義務付けられない事業者)

ガイドラインの趣旨を理解した上で、必要な取り組みを検討し、事業者の状況に応じて公害防止に関する環境管理を実施することが必要

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(1)公害防止ガイドラインの普及啓発経済産業省は、平成19年3月に策定した「公害防止ガイドライン」を業界団体及び事業者に対し

普及促進させるために、各地でセミナーの開催、説明会を開催。また、公害防止ガイドラインにかかるホームページを平成19年4月開設。

� セミナー開催(東京、横浜、千葉、新潟、福岡、北九州等で9回)� 業界団体向け説明会(1業界団体、東京、名古屋、大阪、福岡で4回)� ホームページアクセス数(2月までの累計約1.4万件、月平均約1.2千件)

会合のメンバー

環境対策やコンプライアンスに係る有識者、自治体等11名で構成

スケジュール

年1回程度開催することとする。

・平成19年度;平成 19年11月、平成21年3月開催

(2)公害防止ガイドラインフォローアップ会合公害防止ガイドラインを踏まえた事業者及び産業界の取組状況を定期的に把握し、取組状況に

関する評価を行い、その結果を公表することにより、産業界の公害防止に関する自主的な取組を更に促進することを目的とする。

8.公害防止ガイドラインの普及啓発等に係る取り組み

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【参考資料】事業者向け公害防止ガイドラインのホームページ

経済産業省は、事業者が、「公害防止ガイドライン」の利用することで、実効性のある環境管理体制の構築を円滑に進めるべく、「公害防止ガイドライン」に関連する情報を一元的にとりまとめたホームページを作成

http://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/environmentguideline/index.html 14