1

日本

傳

染

病

學

會

雜

誌

第十

一巻第十

二號

昭和十

二年

九月三十

日

原

著

及

綜

説

赤痢

ニ關

スル實驗的研究

(本研究

ハ日本學術振興會

ノ援助

ヲ受

ケ駒

込病

院

ニ於

テ行

ヒツ

、アル「赤痢

ノ病

理Pathogenese

ニ關

スル實驗的研究」ノ

一部

ニ屬

ス)

東京市立駒

込病院

(指導

院長

高木教授)

醫

學

士 箙

弓

之

助

緒

論

志

賀

博

士(1)(2)

ニヨリ

テ赤

痢

菌

ノ發

見

セラ

レテ

ヨリ既

ニ四

十年

ヲ經、ソ

ノ間

赤

痢

菌

ニ關

ス

ル研

究

業

續

ハ實

ニ枚

擧

ニ遑

ア

ラ

ズ。微

ニ亙

リ細

ヲ

穿

チ

ソ

ノ範

圍

ハ廣

汎

ニ亙

レ

ル

モ動

物

ニ於

ケ

ル實

験

赤

痢

ハ未

ダ

不

確

實

ノ域

ヲ腕

セズ

、

只僅

ニ猿

類

、犬

類

及

ビ家

兎

ニ就

テ

ノ成績

ニ多

少

見

ル

ベ

キ

モ

ノ

ァ

ル

ニ過

ギズ

。由

來

猿類

及

ビ

犬類

ハ自然

的

ニ細菌

性

赤

痢

ニ罹患

シ、既

ニ猿

類

ノ自

然

感

染

例

ハ

Ravautet Dopter(3);

Bowman(4)

Bem

hardt u. Markoff(5);

Scott(6);

Lovell(7);

Petran(8);Bach,Fulscher u. Harnack(9)

ノ諸

氏

ニヨリ

テ、

犬類

ニ就

テ

ハ

Dold u.

Fisoher(10)(11)

ニヨリ

テ報

告

セ

ラ

レタ

リ。

今

動

物

ニ於

ケ

ル實

験

赤痢

ニ關

シ、

先

人

ノ業績

研

究

ヲ窺

フ

ニ、猿

類

ニ關

シ

テ

ハ

Pirth(12);

Bem

hardt u.Markoff(5);

Sonne(13);

Dack and

Petran Elizabeth(8);

Kruse(14)(15);T

ebbutt(10);

Rutschko u. Hoder(17)

ノ實

驗

中

、成

功

ヲ報

ゼ

ラ

ル

・モ

ノ

ハF

irth;Bernhardt u.Mark

箙=赤痢

ニ關ヌル實驗的研究

一三二七

2

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三二八

off;Some;

Dack and Pegan Elizabeth

ノ四實

驗

ナ

リ。

犬

ニ關

シテ

ハ志

賀(1)(2)

、Flexner(18)

ハ症

候

學

的

ら赤

痢

近

似

ノ症

状

ヲ發

セ

シ

メタ

ル

モ、

病

理

解

剖

學

上

之

ニ近似

ノ

モノ

ニハ

ア

ラザ

リ

キ。

Dold;Joetten(12)

ハ犬

ニ赤痢

菌

ヲ飼

食

セ

シ

メ

テ

長

ク菌

保

有

ノ状

態

ニナ

シタ

ル

モ、

發

症

セシ

ム

ル

コト能

ハザ

リ

キ。

幼

若

猫

ヲ用

ヒ

テ實

驗

セ

シ

バ、

志賀(1)(2)

及

ビ齋

應(19)ニ

シテ兩

氏

ハ共

ニ

非

特

異

性

ナ

ル

腸

炎

ヲ之

ニ起

サ

シ

メタ

リ。

家

兎

ニ關

シ

テ

ハ、

Com

adi(20);Thjφ

tta(12)(20);J

oetten(12);

Dudgeon(20)

、小野

村(11)

等

ハ成

功

セズ

ト

ナ

シ。Kazarinow(22)ハ若

キ

家

兎

ニ赤

痢

菌

五

斜

面

培

養

ヲ胃

内

ニ送

入

ス

ル

モ罹患

セザ

ル

ニ反

シ、

之

ニ絶

食

二

日、胃

液中

和

、阿

片

丁幾

ノ腹

腔

内

注射

ヲ行

ヒテ

六

斜

面

培養

ヲ胃

内

ニ送

入

シ

タ

ル家

兎

ノ

一頭

ニ於

テ

ハ始

メテ症

候

擧

上竝

ニ病

理解

剖

學

上

人類

赤

痢

ニ近

似

セ

ルヲ經

驗

セリ。

Dudgeon(20)

ニヨ

レバ

、

ソ

ノ後

幾多

ノ研

究業

績

出

デ

タ

ル

モ、

カ

、ル

Kazarimw

ノ如

キ成

績

ヲ得

タ

ル記

載

ナ

シ

ト。Dopter u. Repgci(23)

、ハ大

量

ノ志賀

菌

ヲ家

兎

ノ

胃

内

ニ送

入

シ

テ、

症

候學

上

竝

ニ病

理解

剖

學

上

人

類

赤

痢

ニ近

似

セ

シ

メ得

タ

ルモ、

糞

便

中

ヨ

リ該菌

ヲ證

ス

ルヲ得

ザ

リ

キ。

Besredka(12)

ニヨ

レバ、

幼

若家

兎

ハ容

易

ニ赤痢

ニ罹

患

セ

シ

メ得

ト

ナ

セリ。

遠

城寺(24)ハ哺

乳

期

ニア

ル

生後

一ケ月

以

内

ノ家

兎

ニ天

然

榮

養

ヲ繼

續

セシ

ム

レバ

一斜

面

ノ赤

痢

菌

ヲ與

フ

ル

モ無爲

ナ

ル

ニ反

シ、

牛

乳

ヲ以

テ

人

工榮

養

ヲ行

ヒ、同樣

一斜

面

ノ赤

痢

菌

ヲ與

フ

レバ、

症

候擧

上竝

ニ病

理解

剖學

上

赤

痢

ニ近

似

セ

ル疾

病

ヲ惹

起

ス

ト

セリ。

以

上

述

ベ

タ

ルガ如

ク、動

物

ハ極

メテ稀

ニハ自

然

ニ細菌

性

赤痢

ニ罹

患

ス

ルコ

ト

ア

ル

モ、

之

ヲ實

驗

的

ニ罹患

セ

シ

ム

ル

ハ極

メテ困

難

ナ

ルコ

ト

ニシテ、

此

ノ意

味

ニ於

テ赤

痢

ハLentz(10)

ノ謂

ヘルガ

如

ク、

人類

ニ特

有

ナ

ル疾

患

ナ

リ

ト云

フ

ヲ得

ベ

シ。

而

シ

テ赤痢

患

者

ノ周

圍

ニ

ハ屡

々

多

数

ノ所

謂

健

康

保

菌

者

ノ存

在

ガ

證

明

セ

ラ

レ()、

細菌

性

赤

痢

ニ對

シテ感

受

性

高

キ人

類

ニ於

テ

ス

ラ、均

シ

ク感

染

ノ機

會

ヲ有

シ

ナガ

ラ

一ハ罹

患

シ、他

ハ單

ニ保

菌

者

ト

シ

テ止

ル。

之

ニヨリ

テ發

病

ニ至

ル迄

ニ

ハ

一定

ノ條

件

ノ具

ハ

ル必

要

ア

ル

コト

ヲ知

ル

ベ

シ。

而

シ

テ動

物

ニ於

テ

ハ實

驗

的

ニ罹

患

セ

シ

ム

ル

コト

ノ困

難

ナ

ル

ハ上述

ノ如

シ

ト雖

モ、稀

ニハ自

然

感

染

例

ノ報

告

モア

リ

テ其

ノ罹

患

試

驗

ハ必要

ズ

シ

モ不

可

能

ナ

ラ

ザ

ル

ベ

キ

ヲ思

ハ

シ

ム。

余

ハ現

時東

京

地

方

ニ於

ケ

ル赤

痢

流

行

ノ主要

ナ

ル菌

種

、驗

込

B菌

及

ビ川

瀬

菌

ヲ以

テ種

々

ナ

ル條

件

ノ下

ニ動

物

ヲ處

置

シ、

稍

々見

ル

ベ

キ所

見

ニ到

達

セ

ルテ以

テ以

下

之

ヲ述

べ

ン

ト

ス。

第

一編

猿

ニ於ケル赤痢

ノ實驗的研究

3

目

次

第

一章 緒

言

第二章 試驗材料

第

一節 試驗

ニ用ヒシ猿類

第二節 試驗

ニ用ヒシ菌種

第三章 試驗方法

第

一節 供試菌ノ使用方法

第二節 供試猿ノ試驗後ノ觀察又ハ檢索

第

一項 症候學的觀察

第二項 細菌學的檢索

第

一目 糞便中ノ細菌學的檢索

第二目 弊死獸ノ各臓器ニ於ケル細菌學的檢索

第三項 血清學的檢索

第四項 病理解剖學的檢索

第四章 前處置ヲ施サズシテ經口菌投與試驗群

第

一節 症候學的觀察

第二節 細菌擧的檢索

第

一項 糞便中ノ赤痢菌ノ檢索

第二項 糞便中ノ「ファージュ」ノ檢索

第三節 血清學的檢索

第四節 弊死獣ノ各臓器

ニ於ケル細菌學的檢索

第五節 病理解剖學的檢索

第

六節

本章

ノ小括

第五章

絶食、胃液中和

ノ後經

口菌投與試驗群

第

一節

症候學的觀察

第

二節

細菌學的檢索

第

一項

糞便中

ノ赤痢菌

ノ檢索

第

二項 糞便中

ノ「フ

ァージ

ュ」ノ檢索

第三節

血清學的檢索

第四節 弊

死獣

ノ各臓

器

ニ於

ケル細菌學的檢索

第

一項 各臓

器

ニ於

ケル赤痢菌

ノ檢索

第

二項

各臓

器

ニ於

ケル「フ

ァージ

ュ」ノ檢索

第五節 病理解剖學的檢索

第六節 本血早ノ小括

第

六章

外科的處置試驗群

第

一節 症候學的觀察

第

二節 細

菌學的檢

索

第

一項

糞便中

ノ赤痢菌

ノ檢索

第

二項

糞便中

ノ「ファージ

ュ」ノ檢索

第三節 弊

死獸

ノ各臓

器

ニ於

ケル赤

痢菌

ノ檢索

第四節 病

理解剖學的檢索

第五節

本章

ノ小括

第七章

本編

ノ総括

竝

ニ考按

第八章

本編

ノ結論

第

一章 緒

言

先人

ノ猿

類

ニ於

ケ

ル實

驗

赤

痢

ニ關

ス

ル報

告

ヲ精

細

ニ觀

ル

ニ、菌

種

ニ關

シ

テ

ハ

Firth(12)

ハ志

賀

菌

ヲ用

ヒ、Bernhardt u.Markoff(5)ハY

箙

=赤

痢

ニ關

スル實驗的研究

一三二九

4

箙

=赤痢

ニ關

スル實驗的

研究

一三三〇

菌

ヲ、Tebbutt(16)

ハ

Schmitz菌

ヲ、Sonne(13)

ハ

Sonne-Kruse

菌

ヲ、Dack and Petran Eliz

abeth(8)ハ

Flexner

菌

ヲ

以

テ

セリ。

而

シテ自

然

感

染

例

ニ於

テ

モ

一定

セ

ル菌

種

ナ

ク、敦

レ

ノ菌

種

モ赤

痢

感

染

可

能

ナ

ル

コト

ヲ示

ス

モ

ノ

、如

シ。

赤

痢

菌

累

代

移

植

ノ赤

痢

感

染

ニ及

ボ

ス影

響

ニ就

テ

ハ

Dack an

d Petran Eliz

gbeth(8)ハ猿

ヨリ

分

離

セ

シ古

キ菌

種

ニテ

ハ感

染

不

可

能

ナ

リ

シ

ニ反

シ、患

者

ヨリ

分

離

後

新

鮮

ナ

ル

菌

株

ハ感

染

可

能

ナ

リ

シ

コ

ト

ヲ報

ゼリ。猿

類

ノ種

屬

ハ殆

ド凡

テM

acacus rhesus

ニシ

テ、使

用

頭數

ハ

Bernhardt u.Markoff(5)

ハ三

頭

(内

一頭

發

病)、Sonne()モ三

頭

(内

一頭

發病

)ヲ

用

ヒ

タリ。供

試

菌

ノ投

與

方

法

ハ

Bem

hardt u.Markoff(5)

ハ米

ト共

ニ與

へ、Sonne(13)

ハ

白

「パ

ン」ト胡

羅

萄

ト

ニ混

ジ

テ

一週

間

連續

投與

セリ。Dack and Petran Elizabeth(8)ハ猿

四頭

ヲ

ニ群

ニ分

チ、一群

ニ

ハ經

口的

ニ大

量

ノ赤

痢

菌

ヲ投

與

シテ、

赤

痢

樣

症

状

ヲ發

セ

シ

メ、他

ノ群

ニハ赤

痢

菌

ノ最

モ強

ク侵

ス部

ニ人

工

肛

門

ヲ作

リ、

直

接

該

部

ニ赤痢

菌

ヲ前

群

ヨリ少

量

與

ヘ

タ

リ。

而

シテ後

群

ノ猿

ハ有

形

便

ヲ排

泄

シテ、何等

正

常

ト變

ル所

ナ

キ

モ、

人

工

肛門

ヨリ

ハ粘

血

性

ノ分

泌物

ヲ漏

シテ

明

ニ赤

痢

症

状

ヲ起

ス

コ

ト

ヲ報

ぜ

リ。

次

ニ試

驗

ニ用

ヒ

シ菌

量

ハ何

レ

モ

驚

ク

ベキ

大

量

ニシテ、

小量

ナ

レバ殆

ド無

爲

ナ

リ。

即

チB

ernhardt u.Markoff(5)

ハ

一斜

面

培

養

ヲ

用

ヒ、

Dack and Petran Elizabeth(8)ハ十

六時

間

培

養

十四

寒

天

平

板

ヲ用

ヒ

タ

リ。而

シ

テ其

等

ノ潜

伏

期

ハ短

ク、多

ク

ハ試驗

後

二

十

四時

間

以

内

ニ發

病

シ、

只B

ernhardt u.Markoff(5)

ノ

一頭

ハ五

日

ノ潜

伏

後

發

病

セリ。

試

驗

後

猿

ノ症

状

ハ粘

液

便

、

粘

血

便

ノ排

出

ヲ主

要

症

状

ト

シ、

他

ニ食

思

不

振

、體

温

上

昇

、體

重

ノ減

少

、

白

血球

増

多

症

ヲ参

考

ト

セ

ル

モ

ノ多

シ、

而

シ

テ粘

液

又

ハ粘

血

便

ノ排

泄

期間

ハ短

ク永

續

性

ニ乏

シ

ソ

ノ經

過

モ亦短

ク、且

ツ發

病

ス

ルヤ、經

過

急

激

ニシ

テ藪

日

ノ間

ニ死

ノ轄

歸

ヲ

ト

ルカ、然

ラザ

ル

モ

ノ

ハ自

然

治癒

ヲ

ナ

ス

ニ至

ル。

赤

痢

菌

ノ排

泄

ハ試

驗

後

一日

ヨリ始

マリ、ソ

ノ期

間

ハ短

ク長

期

ニ亙

ル

モノ

ナ

シ。

而

シ

テ菌

ノ血

清

學

的

竝

ニ生物

學

的

性

状

ハ試

驗

前

ト動

物通

過

後

ト同

一ナ

ル

モ、

Bem

hardt u.Markoff(5)

ノ例

ハ供

試

菌

ト猿

通

過後

ノ菌

ト

ハ

「マ

ルト

ー

ゼ」分解

能

ヲ異

ニセ

リ。

血

清

學

的

檢

索

ハ凝

集

反應

ノ

ミ

ニ就

テ行

ハレ

タリ。Dack and Petran Eliz

abeeh(8)ハ供

試

十

二

日後

ノ猿

ノ血

清

ハ供試

菌

ニ對

シ百

六

十

倍

乃

至

三

百

二

十

倍

ニ、Bernhardt U.Markoff(5)

ハ赤

痢

罹

患

後

死

亡

セ

ル猿

ノ血

清

ハ百

倍

ニ凝集

セ

リ

ト報

告

セ

リ。

病

理解

剖學

上胃

及

ビ腸

ノ所

見

ハ急

性

加答

兒

ニ

シテ、特

ニ大

腸

ニ於

テ粘

膜

ノ浮

腫

竝

ニ充

血

強

シ。

出

血

ハ時

ト

シテ之

ヲ見

ル。

而

シテ定

型

的

ノ潰

瘍

若

クバ僞

膜

形

成

ヲ見

タ

ル例

ヲ聞

カズ。

弊

死

セ

シ試

驗

動

物

ノ各

臓

器

ニ於

ケ

ル細

菌

學

的

檢

索

ハ胃

及

ビ腸

ノ各

部

ニ供

試

菌

ヲ檢

出

シ得

ル

モ、

腸

間

膜

腺、脾

臓

竝

ニ膿

嚢

ニ菌

ヲ證

明

セ

シ

例

ナ

シ。

5

「ファージュ」ノ檢索ヲ行ヒシ

モノナシ。

余

ハ前述セシ如ク、種々ナル條件

ノ下

ニ動物ヲ前處置シ、猿

ノ消化管内

ニ赤痢菌ヲ與

へ、之ヲ症候學、細菌學、血清學及ビ病理擧上ヨ

リ系統的

ニ研究ヲ行

ヘリ。

第

二章

試

驗材

料

第

一節

試驗

ニ用

ヒ

シ猿類

試驗

ニ用ヒシ猿類

ハ總數十八頭、内種屬、番號左ノ如シ。

一、

南

洋

猿

(M

acacus fascicularis Reffles)

一二

頭

(A1、

A2、

A3、

A4、

A5、

A6、

A7、

A8、

A9、

A10、

A11、

A16、)

二

、

臺

灣

猿

(Macacus cyclopis S. W

.)

三

頭

(A13、

A14、

A15)

三

、

和

猿

(Macaous fudscatus Blyth)

三

頭

(A12、

A17、

A18)

第

二節

試驗

ニ用

ヒシ菌種

孰

レ

モ昭

和

九年

十月

以降

、

駒

込

病

院

ニ於

テ重

症

患

者

ヨリ分

離

シタ

ル新

シ

キ左

記

菌株

ヲ使

用

セリ。

一、

細淵

株

(駒

込BIII

菌

)

二

、

小

林株

(川

瀬

菌

)

三

、

佐藤

株

(駒

込BI菌

)

是

等

菌

株

ハ孰

レ

モ「フ

ァー

ジ

ュ」ヲ保

有

セズ。

又

「フ

ァー

ジ

ュ・フ

ェス

ト」ニアラ

ズ。

又

變

異

菌

ニ

モア

ラズ

。

是等

菌株

ノ生擧

的

性

状

ハ第

一表

ニ掲

ゲ

タ

リ。

「註

」

「ノ

イ

ト

ラ

ル

ロー

ト」(-)ハ還

元性

竝

ニ瓦

斯産

生

ナ

キ

コト

ヲ意

味

ス。

=赤痢

ニ關

スル實驗的

研究

一三

三

一

6

箙

=赤痢

ニ關

スル實驗

的研究

一三三二

是等菌株

ノ凝集反應成績

ハ第

二表

ニ示

セリ。

第一表 生物學的性状

第二表 凝集反應成績

(37℃二時間後)

第三表 カステ ラニー凝 集素吸收試驗

吸收 ニ用 ヒシ菌細淵株(37℃ 二時間後 ノ成績)

第 四表 カステ ラニー凝集素 吸收試驗

吸收 ニ用 ヒシ菌小林株(37℃ 二 時間後 ノ成績)

尚是等菌株ノ菌型決定バカ

ステラニー凝集素吸收試驗

ニヨリタリ。ソノ成績

ハ第三表(細淵株)、第四表(小林株)、第五表

(佐藤株)三示

セリ。

是等菌株

ノ墨小致死量ハ三株共

二十二瓦ノ「マウス」ニ對シ1/5白金耳量ナリ。

7

第五表 カス テラニー凝集素 吸收試驗

吸收 ニ用 ヒ シ菌佐藤株(37℃ 二 時間後 ノ成績)

第

三章

試驗

方法

供試猿

ハ一定

ノ橿

ノ中

ニ夫々

一頭ヅ

、ヲ入レ、毎日約六〇〇乃至九〇〇瓦ノ甘薯、二〇瓦ノ白菜類

ヲ

以テ飼育

シ、供試前

一定期間觀察

シ、充分健康ナルコトヲ確

メ、赤痢ノ自然感染例モ既

ニ報告サレタ

レバ(2)(4)(9)(6)(7)

、反復檢便シテ糞便

ニ赤痢菌

ノ陰性ナルコトヲ確

メ、且ツ「ファージ

ュ」ノ有無ヲ檢シ、採

血

シ得ラル、モノハ血清

ノ赤痢菌

ニ對

スル凝集反應ヲ檢

セリ。

第

一節

供

試菌

ノ使

用方

法

供試菌

ノ培養

ハ左記ノ如ク、二方法ヲ用ヒタリ。

一、三%寒天李板培養二十時間

ノモノ。該

一平板培養

ノ菌量

ハ約

一〇〇瓱ナリ。

二、

一五%寒天斜面培養六時間

ノモノ。該

一斜面培養

ノ菌量

ハ約三・四瓱ナリ。

而

シテ供試菌

ハ試驗

ニ供

スル際、五乃至二〇竓ノ「ブイヨン」ニ浮游セシメテ用

ヒタリ。

第

二節

供試

猿

ノ試

驗後

ノ觀

察又

ハ檢索

試驗後猿

ハ之ヲ症候學上、細菌擧上、血清擧上、病理解剖學上ヨリ觀察檢索セリ。

第

一項 症候學的觀察

糞便ノ性状

ニ重キヲ置

キ、食慾、

一般状態、體重

ノ増減ヲ參考トセリ。而シテ糞便

ノ性状、食慾及ビ

一般状態

ハ毎日之ヲ觀察

セリ。

糞

便

ノ性

状

ハ有

形

便

、軟

便

、

下痢

軟

便

、

粘

液

便

及

ビ粘

血

便

ニ分

チ

、

左

記

ノ如

ク表

ハセ

リ。

而

シ

テ

一日

ノ便

ノ性

状

ハ最

惡

ノ

モ

ノ

ヲ採

レ

リ。

一、有形便……

形

二、軟

便……

軟

三、下痢軟便又ハ水樣便……

下

四、粘液便……

粘

簸=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三三三

8

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三三四

五

、

粘

血

便……

血

第

二

項

細菌

學的

檢

索

第

一目

糞

便

ノ細

菌

學

的檢

索

毎

日採

便

管

ヲ以

テ肛

門

ヨ

リ糞

便

ヲ採

取

シ、コ

レヲ

「ブ

イ

ヨ

ン」ニ浮

游

セ

シ

メ、

該

浮

游

液

ヨリ各

一白

金

耳

量

ヲ

ト

リ、

ド

リ

ガ

ル

スキー

平

板

培

地

三

枚

ニ塗

布

、

赤

痢

菌

ノ有

無

ヲ檢

セ

リ。

尚糞

便

中

ニ屡

々變

形

菌

ヲ含

ミ、

培

地

ニ

Hauchbildung

ヲ

ナ

シ

テ赤

痢

菌

ノ分

離

困

難

ナ

ル

コト

ア

リ。

カ

、ル際

ハガ

スネ

ル

ノ培

養基

ヲ使

用

シテ變

形

菌

ヲO

型

ト

ナ

シ

テ赤

痢

菌

ヲ分

離

セリ

。

ヲ

ァー

ジ

ュ」ノ檢

索

法

ト

シ

テ

ハ前

記

「ブ

イ

ヨ

ン」浮

游

液

ヲ三

十

七度

ノ孵

卵

器

中

ニ

一書夜

納

メ、翌

朝

五

十

七度

定

温

重

湯

煎

中

ニ

一時

問

放

置

シ

タ

ル後

、

該

液

ヲ以

テデ

レ

ル氏

現

象

ノ陽

否

ヲ檢

シ

タ

リ。尚溶

菌

作

用範

圍

ヲ見

ンガ

タ

メ

ニ使

用

シタ

ル赤痢

菌

種

ハ當

研

究

室保

存

ノ志

賀

菌

、

駒

込

A菌

、

駒

込

B菌

、

川

瀬

菌

、

中

村

菌

、

大

原

菌

及

ビ

本實

驗

ニ際

シ

余

ノ使

用

シ

タ

ル菌

株

、即

チ細

淵

株

、

小

林

株

、

佐

藤

株

ノ

三菌

株

中

ノ

一株

都

合

七株

ニシテ、

外

ニ大

腸

菌

一株

ヲ

用

ヒテ

コノ大

腸

菌

株

ヲ溶

解

ス

ル「フ

ァー

ジ

ュ」ヲ除

外

シ、殘

リ

ノ該

大腸

菌

ヲ溶

解

セザ

ル「フ

ァー

ジ

ュ」

ハ奥

山(26)ノナ

セ

ル方法

ニ做

ヒテ

「フ

ァー

ジ

ュ」ノ増

強

、

赤

痢

菌

以

外

ノ菌

株

多

數

對

照

ト

シテ

用

ヒ、

該

「フ

ァー

ジ

ュ」ノ赤

痢

菌

ニ對

ス

ル特

異

性

、

非

特

異

性

ヲ決

定

セリ。

而

シテ赤

痢

菌

ヲ特

異

的

ニ溶

解

ス

ル

「フ

ァー

ジ

ュ」ヲ奥

山

ニ傚

ヒ

テ赤痢

「フ

ァー

ジ

ュ」ト稱

シ、更

ニ同

氏

法(26)ニ從

ヒテ

分類

セリ。

第

一郡

「バ

、

フ

ァー

ジ

ュ」

ソ

ノ溶

解

範

圍

狭

小

ニシテ、

赤痢

菌

型

ノ個

々

ニノ

ミ作

用

ス

ル

モノ

ナ

リ。

第

二群

「バ

、

フ

ァー

ジ

ュ」

溶

菌

範

圍

ノ最

モ廣

汎

ナ

ルモ

ノ

ニシテ

各菌

型

ニ對

シ同

一程度

ノ溶菌

作

用

ヲ有

ス

ル

モノ。

第

三群

「バ、

フ

ァー

ジ

ュ」

二種

或

ハ三種

ノ赤痢

菌

型

ニ作

用

ス

ル

モ

ノナ

リ。

第

二

目

斃

死

獸

ノ各

臓

器

ニ於

ケ

ル細

菌

學

的檢

索

猿

ノ艶

死

後

可

及

的

早

期

ニ剖

檢

ニ附

ス

ル

コト

・シ、同時

ニ次

ノ各

臓

器

組

織

ニ就

テ

ナ

ルベ

ク無菌

的

操

作

ノ下

ニ細

菌

擧

的

檢索

ヲ施

セ

リ。

即

チ

解

剖

ニ際

シ

テ

ハ、

器

具

ハ凡

テ煮

沸

滅

菌

セ

ル

モノ

ヲ用

ヒ、

細

菌

學

的

檢

査

ニ供

ス

ル材

料

ノ採

取

ニ當

リ

テ

ハ、

同

一ノ刀

、鋏

、

「ピ

ン

セ

ット」、

注

射

器

等

ノ類

ハ各

一囘

限

リ使

用

ス

ル

コト

、セ

リ。

屍體

解

剖

ニ當

リ

テ先

ヅ

動

物

ノ外皮

ヲ充

分

ニ消

毒

シ、

次デ

型

ノ如

ク胸

腹

部

ヲ開

檢

シ、腸

間

膜

腺

、

膵

臟

、

脾臟

、

腎臟

、肝

臟

ハ充

分

採

取部

ノ表

面

ヲ酒

精

綿

ヲ以

テ消

毒

シ消

毒

面

下

ノ組

織

ヲ

一片

無菌

的

ニト

リ之

ヲ

「ブ

イ

ヨ

ン」ニ投

ゼ

9

り。

又

胃

及

ビ

十

二

指

腸

、

小腸

中

部

、

小腸

終

部

、

盲

腸

、

大

腸中

部、大

腸

終

部

ハソ

ノ内容

採取

部

位

ヲ酒

精

綿

ニテ消

毒

、

ソ

ノ部

ニ「ブ

イ

ヨ

ン」

二

竓

ヲ注射

器

ヲ以

テ

注

入

シテ

「ブ

イ

ヨ

ン」ト胃

又

ハ腸

ノ内

容

ト混

ゼ

シ

メ、コ

ノ

一部

ヲ注射

器

ニ吸

引

シテ

之

ヲ

「ブ

イ

ヨ

ン」中

ニ投

ぜ

リ。

又

膽

嚢

、

膀

胱

、

心血

ハ前

同

樣

ノ注意

ノ下

ニ注

射

器

ヲ以

テ内

容

ヲ吸

引

、

之

ヲ

「ブ

イ

ヨ

ン」ニ投

ゼリ。

該

「ブ

イ

ヨ

ン」ハ同

項第

一目

ニ準

ジ

テ赤

痢

菌

竝

ニ赤

痢

「フ

ァー

ジ

ュ」ノ檢

索

ヲナ

セリ

。

第

三

項

血

清

學

的

檢索

血

清

學

的

檢索

ハ猿

ノ試

驗

前

後

ノ血

清

ノ凝

集

反

應

ヲ比

較

觀

察

セリ。

而

シ

テ猿

ノ供

試

後

ノ

血

清

ハ試

驗

二

週

間

乃

至

三

週間

ノ間

ニ採

取

シテ

之

ニ供

シ、ソ

ノ以前

ニ、斃

死

シ

タ

ルモ

ノ

ハ死

後

可

及

的

早

期

ニ心臟

ヨ

リ採

取

セ

ル血清

ヲ

用

ピタ

リ。凝集

反

應

ニ供

セ

ル菌

種

ハ同

節

第

二項

ノ「フ

ァ

ー

ジ

ュ」作

用

ノ檢

索

ニ用

ヒ

シ赤

痢

菌

ヲ以

テ

セリ。

而

シ

テ凝集

反

應成

績

ハ三

十

七度

ノ孵

卵

器

ニ納

メ二時

間

後

ノ値

ヲ讀

ムコ

ト

、セリ

。

第

四項

病

理

解

剖

學

的

檢

索

剖

檢

ハ可

及

的

斃

死

直後

ニ之

ヲ行

ヒ、

内臟

ノ病變

ニ注意

シ、

更

ニ細

菌

學

的

檢

索

ヲ行

ピタ

リ。

解

剖

學

的

檢

討

ハ主

ト

シ

テ消

化

管

ノ所

見

ニ重

キ

ヲ置

キ、其

ノ他

ノ諸

臟

器

ノ變

化

ニ就

テ

ハ特

ニ死

因

ト

シ

テ關

係

ア

ルベ

キ

モノ、

例

ヘバ

肺

炎

、

腸

重

積

等

ア

ル場

合

ニ

ハ之

ヲ注

意

記

載

セ

リ。

消

化

管

ニ於

テ

ハ對

照

ト

シテ他

ノ種

ノ實

驗

ニ用

ヒタ

ル

モ

ノヲ檢

シ、

粘

膜

ガ對

照

ノ健

康

例

ニ比

シテ、

發

赤

、浮

腫

及

ビ粘液

附

著

等

ノ有

無

及

ビ

出

血

、

潰

瘍

形

成

等

ニ就

テ檢

セリ。

以

下各

章

ニ於

テ述

ブ

ル剖

檢

所

見

ヲ次

ノ如

キ記

號

ヲ以

テ表

示

セリ。

+

粘

液

分

泌

ノ増

加

、

充

血

及浮

腫

ア

ル

モ

ノ

++

ソ

ノ高

度

ナ

ル

モ

ノ

+++

充

血

及

ビ浮

腫

竝

ニ粘

液

分

泌増

加

高

度

ニ

シテ湖

濁

腫

脹

叉

ハ出

血

ヲ認

メラ

ル

、モノ

++++

左

記

ノ病

變

高

度

ニシテ更

ニ淺

小

ノ潰

瘍

形

成

ヲ認

メ得

ル

モノ

附

記、

一般

ニ猿

ノ腸

管壁

ハ非

薄

ニシテ腸腔

モ比較的細小、空腸

ニ於

ケル粘膜

ノ雛襞

モ人類

ノ夫

レ

ニ比

シ發育著

シカラズ。又大腸

ニ於

テ

ハ結腸腺

及

ビ腸

ノ陷凹

ノ状態著

明

ナラズ。リ

ノ全長短

ク、

S字

状部著明

ナラズ。蟲樣突

起

ハ單

ニ淺

キ憩室

ヲナ

シテ、盲腸

ノ

一部

ニ位

セルノミナリ。

箙

=赤痢

ニ關

スル實驗的

研究

一三三五

10

箙

=赤痢

ニ關

スル實驗的

研究

一三三六

第

四章

前處

置

ヲ施サズ

シテ經

口菌

投與試

驗

群

何等前處置ヲナサズ正常ナ

ル健康状態

ニ於テ經口的

ニ赤痢菌、細淵株

(駒込B菌)ヲ與

ヘシ試驗群ナリ。

投與方法

ハ供試菌二十時間培養

ノモノヲ猿

ニ「プ

ロキロ」菌量最大三〇〇瓱

ヨリ最少四〇瓱

マデ「ブイヨン」二〇竓

ニ浮游

セシメ、之ヲ

胃消息子ヲ以テ胃内

ニ注入

セリ。試驗

ニ供セシ猿

ハ七頭(A1、A2、A3、A4、A6、A6、A7)ニシテ、試驗

ノ概要

ハ第六表

ニ掲ゲタリ。

第

一節

症

候

學

的

觀

察

A1 體重

一・七五冠、菌

量「プ

ロキ

ロ」三〇〇

瓱投與

試驗後

一般

状態、食慾竝

ニ便

ノ性

状

ハ試驗前

ト何等異

ル所

ナク、試驗

ニ耐

過

セリ。

A2 體重

二瓩、菌

量「プ

ロキ

ロ」二五〇瓱投與

試驗後

二十二日目

マデ

ハ殆

ド認

ムベ出症

状ヲ發

セザ

リキ。然

ル

ニ試驗後

二

十

三日目

ニ突然

一般

状態惡

ク、食

思缺如、糞便

ハ粘血便

トナリ、肛門外

ニ

腸

ノ

一部露出

シテ苦悶

スル

コト甚

シク、體温

三十六度五分、試驗後

二十七

日目

ニ死

ノ轉歸

ヲト

レリ。死

因

ハ腸重積

ナリキ

(第五節、

剖檢所見

ノ項參

照)。

A3 體重

三・三五瓩、菌量

「プ

ロキ

μ」二〇〇瓱投與

試驗後

モ

一般

状態、食慾、便

ノ性状

ハ試驗前

ト殆

ド異

ル所

ナク、

試驗

ニ耐

過

セリ。

A4 體重

三・三

五瓩、菌量「プ

ロキロ」一〇〇瓱投與

試驗後何等認

ムベキ症状ヲ發

セズ、試驗

ニ耐過

セリ。

A5 體重二・九瓱、菌

量「プ

ロキロ」一〇〇瓱投與

試驗後何等認

ムベキ症状ヲ發

セズ、試驗

ニ耐過

セリ。

A6 體重

一・五瓩、菌

量「プ

ロキロ」四〇瓱投與

試驗翌日

ハ一般

状態佳良、體温

三十

八度、有形便

ヲ排出

セシモ食

思振

ハズ。

試驗

後二日目

ニハ數囘軟便

ヲ排泄、毛並

ハ稍

々光澤

ヲ歓

キ鑑

ノ隅

ニ蹲

リ、

運動

不活溌

ナリキ。

三日目

ハ體温

三十八度六分、

一般状態重篤、

毛並

ハ光

澤

ヲ失

ヒ、食思缺如、

下痢

ヲ起

シタリ。五日目

ニ稍

々恢

復

シ、食思僅

ニ認

メラ

レ、軟便

ヲ排出

セリ。

六日目及

ビ七日目

ニハ食

思

ヲ認

ムル

モ、甚

ダ振

ハズ、稍

々衰弱

ヲ認

メ、便

ハ數囘下痢軟便ヲ排

泄、

ソノ中兩日各

一囘宛粘

血便

ヲ排出

セリ。試驗後八日目

ヨリ漸次諸症

状恢

復

シテ試驗

ニ耐過

セリ。

而

シテ試驗後

八日目

ニ測

リタル

體重

ハ一・二瓩

ニシテ試驗

前

ニ比

ジ減少ヲ

示

セリ。

A6 體重二・五瓩、

菌量「プ

ロキロ」四〇瓱投與

試驗後何等

認

ムベキ症状

ヲ發

セズ、試驗

ニ耐過

セリ。

以上本試驗群

ニ於テ、一頭

ハ試驗後三日目

ニ下痢ヲ起

シ、六日目及ピ七日目

ニハ

一過性ナレド粘血便ヲ排泄シタリ。他ノ五頭

ハ試驗後

何等症状ヲ發

セズ、試驗前ト

一般状態、食慾、便ノ性状

ハ殆ド變ルコトナカリキ。而

シテ本試驗群

ニ於テハ殆ド凡テ試驗

ニ耐過セリ、

11

第六表 前處置ヲ施サズシテ經口菌投與試驗群ノ概要

(但シ試驗後二十七日目

ニ腸重積

ニテ斃死セル一頭

ハ除ク)。

第

二節

細

菌學

的檢索

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三三七

12

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三三八

第

一項 糞便中ノ赤痢菌ノ檢索

七

頭中

六

頭

ニ於

テ糞

便

中

ニ赤

痢

菌

ヲ證

明

セリ。

而

シテ

ソ

ノ排

菌

状

態

ハ第

六表

ニ示

セ

ル如

ク、試

驗翌

日

ニ始

マリ

ソ

ノ多

ク

ハ二

日乃

至

六

日

間

連

續

的

ニ排

菌

ヲ

ナ

セリ。

而

シテ粘

血便

ヲ排

泄

シ

タ

ル

一頭A6ハ菌

投

與

後

一囘

モソ

ノ糞

便

中

ニ菌

ヲ

證

明

ス

ルヲ得

ザ

リ

キ。

又

試

驗

後

二

十

三

日

目

ヨリ粘

血便

ヲ排

出

シ

タ

ル例A2ハ試

驗後

五

日

目

ヨリ死

ニ至

ル

マデ

糞

便

中

ニ菌

ヲ檢

出

シ能

ハザ

リ

キ。

是

等

糞

便

中

ヨリ檢

出

シ

タ

ル赤

痢

菌

ハ生物

學

的

竝

ニ血

清

學

的

性

状

ハ供

試

菌

タ

ル細

淵株

ニ

一致

セ

リ。

第

二

項

糞

便

中

ノ

「フ

ァー

ジ

ュ」ノ檢

索

六頭

中

四頭

(A1、A3、A4、A7)ニ於

テ糞

便

ヨリ赤

痢

「フ

ァー

ジ

ュ」ヲ檢

出

セリ。

ソ

ノ排

泄

状

態

ハ第

六表

ニ示

セ

ル如

ク、連續

的

ニ排

泄

セ

ル

モ

ノ

ハA1ノ

一頭

ニシテ他

ノ三

頭

ハ唯

一囘糞

便

ニ證

シタ

ル

ノミ。

又

是

等

「フ

ァー

ジ

ュ」ノ出

現

ハ試

驗

翌

日

ニ現

ハ

レシ

モ

ノ三

頭

、他

ノ

一頭

ハ試

驗

後

八

日目

ニ現

ハタ

リ。是

等

「フ

ァー

ジ

ュ」ノ溶

菌

範

圍

ハ大

部

分

大

原

菌

及

ビ

時

ニ志賀

菌

ヲ除

ク他

ノ赤痢

菌

種

ヲ溶

解

ス

ル奧

山

ノ赤痢

第

二

及

ビ第

三群

「フ

ァー

ジ

ュ」ナ

ル

モ、

獨

リA7ノ「フ

ァー

ジ

ュ」ノ

ミ

ハ第

一群

赤

痢

「フ

ァー

ジ

ュ」ニ屬

シ駒

込

B菌

ニ種

特

異

性

ナ

リ。

第七表 凝集反應成績

第

三節

血

清學的

檢索

試驗前ノ血清ハ何等陽性

ノ凝集反應ヲ呈セズ。之

ニ反シ試驗後十四竝

ニ十五日目

ニ採取セル血

清

ハ赤痢菌

ニ對

シ著明ナル凝集反應ヲ示

セリ。而シテ駒込B菌

ニ對

スル凝集價高度

ニシテ大部

分二百倍乃至五百倍陽性ナリ。又志賀菌竝

ニ大原菌

ニ對スルモノヲ除ケバ、副凝集反應

モ多少

出現セリ

(第七表參照)。

第

四節

斃

死獸

ノ各臟

器

ニ於

ヶ

ル細

菌學的

檢索

斃死セシバA2ノ

一頭(試驗後二十七日目

ニ死亡)ニシテ各臟器

ニ於テ供試菌及ビ「ファージ

ュ」ヲ

檢出シ得ザリキ。

第

五節

病理

解剖學

的檢

索

A2ノ胃及ビ腸

ハ加答見性病變ヲ缺ク、廻盲部ヲ起點

トシテ小腸

ノ廣汎ナル部位

ニ亙リテ飜轉陷

入シ、該部

ハ全膿

トシテ暗赤色ヲ呈シ強ク腫脹シ壞死状ヲ呈

セリ。血便

ハコノ重積

ニヨルモノ

13

ナ

リ

。

第六

節

本章

ノ小括

本試驗群

ハ健康ナル猿

ニ何等前處置ヲ施スコトナク、赤痢菌

(駒込B菌)ヲ「プ

ロキロ」最大三〇〇瓱

ヨリ最小四〇瓱

ノ大量ヲ經口的

ニ與

ヘタルモノナリ。

ソノ結果

一頭

ハ試驗當初

ニ下痢

ヲ起

シ、一過性

ニ粘血便ヲ排泄セリ。他

ノ五頭ハ凡テ糞便中

ニ赤痢菌ヲ證明

シ得タル

モ、症候學的

ニ觀テ赤痢樣症状ヲ發シタルモノナク、試驗

ニ耐過

セリ(腸重積ノ

一頭

ハ除

ク)。サレド之ヲ血清學的

ニ觀ルトキハ、試驗

後二週ヲ經

タル猿

ノ血清

ハ供試菌種

ニ對

スル凝集反應著明

ニシテ、赤痢菌

ニヨリテ影響ヲ受ケタルコトヲ知リ得ベシ。

第

五章

絶食

、胃

液中

和後

經

口菌

投與試

驗群

A8、A9、A10、A11、A12ノ五頭

ノ猿ヲ用ヒ、前處置

トシテ、二日間絶食

セシメ先ヅ重曹五瓦ヲ約二十竓

ノ水ト共

ニ胃消息子ヲ以テ胃内

ニ入

レ胃液

ノ中和ヲ行ヒ、ソノ後約三分以内

ニ第八表

ニ示セル如キ量ノ供試菌

ヲ「ブイヨン」約二十竓

ニ浮游

セシメ、之ヲ胃内

ニ注入セリ。

供試菌株

ハ小林株

(川瀬菌)ニシテ、培養二十時間

ノモノヲ使用セリ。而

シテ本試驗成績

ノ概要

ハ第八表

ニ掲ゲタリ。

第

一節 症候學的觀察

A8

體

重

一・三瓩、

菌量「プ

ロキロ」三〇〇瓱投與

試

驗後十六時

間

ニ於

テ既

ニ食

慾缺如、

一般状態重篤

ニシテ檻

ノ隅

ニ蹲

リ、

毛ヲ立

テ毛並

ハ光澤ヲ缺

キ下痢激

シク、下痢軟便

ヲ排出

セリ。試驗

二十時

間後

ハ益

々

一般

状態

惡化、猿

ハ牀上

ニ横臥

シ、氣息奄

々タリ。體重

ハ減少

シテ

一瓩ト

ナレリ。

二十二時間後

ニ斃死

セリ。

A9

體

重

二・七〇瓩、菌

量

「プ

ロキ

ロ」三〇〇瓱投與

試

驗翌日

ハ一般

状態

佳良食

慾旺盛

ニジテ、便

ハ軟便

ヲ排泄

シ

タルノミ、二

日目

ハ下痢

ヲ起

セリ。四日目

ニ

一般状態惡

ク、食思振

ハズ、下痢頻囘、便

ノ性状

ハ主

トシテ下痢軟便

ナルモ時

ニ粘液便

ヲ排出

セリ。五日目

ハ食思缺

如、

一般状態

重篤

ニシテ運動

スルノ意志

ナキ

モノ

ヽ如

ク、牀

上

ニ横臥

シ、

下痢

頻發、便

ハ四日目

ト同樣下痢軟便時

ニ粘液便

ナリキ。體重減少

シテ二

瓩トナ

レリ。

同日斃死。

A10體重

二・六五瓩、菌量

「プ

ロキ

ロ」三〇〇瓱投與

試驗翌

日

ハ既

ニ一般状態重篤

ニシテ毛ヲ立

テ毛並

ハ光澤

ヲ缺

キ、檻

ノ隅

ニ

蹲

リ、運動不

活撥、食

思甚

ダ振

ハズ、下痢頻囘、便

ハ多

クノ場合下痢軟便

ナルモ、時

ニ粘

液便ヲ排

出

セリ。

二日目

ニ至

リ諸症状惡

化

シ、盤重

ハ減少

シテ二・三瓩ト

ナリ、終

ニ死

ノ轉

歸ヲ

トレリ。

A11體

重

三瓩、

菌量「プ

ロキ

ロ」二〇〇瓱投與

試驗後何等症状ヲ發

セズ、試驗前

ト同樣健康

ナリキ。

A12體重五・一瓱、

菌量

一〇〇瓱投與

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三三九

14

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三

四

〇

・

第八表 絶食胃液中和ノ後經口菌投與試驗群ノ概要

試驗翌

日

ニハ

一般状態惡

ク、

毛ヲ立

テ毛並

ハ光澤

ヲ缺

キ、

檻

ノ隅

ニ蹲

リ、食

思

甚

ダ振

ハズ、下痢

頻囘粘

液便

又

ハ粘血便

ヲ排出

セリ。

二日目

ニ至

リ體温

三十

九

度

四分、便

ハ膿性粘血便

トナリ、

三日目

ニハ食思缺如、

一般状態重篤

ニシテ牀

上

二横臥

シテ氣息奄

々毛

ハ糞便

ヲ以テ汚染

サ

レ、體重

ハ減少

シテ四・一五瓩トナ

リ、體温

三十

八度、便

ハ依然膿性粘血便

ヲ排泄

セリ、

四日目斃

死。

以

ヒ

本

試

驗

群

五

頭

ノ

中

四頭

ハ

菌

投

與

後

十

六時

間

乃

至

三

十五

時

間

ニシテ

下痢ヲ起シ、ソノ中三頭

ハ粘液或

ハ粘血便

ヲ排出シタリ。中、A9、A10ノ

排出シタル粘液便

ハ一過性ナリキ。而シテ上述ノ四頭

ハ一般状態重篤、

食思缺如、體重減少シテ試驗翌

日乃至五日目ノ間

ニ斃死セリ。唯

一頭、

(A11)ハ何等症状ヲ現

ハサズ試驗

ニ耐過

セリ。

第

二節

細

菌學

的檢索

第

一項 糞便中

ノ赤痢菌ノ檢索

五頭凡テニ於テ糞便中

ニ赤痢菌ヲ證明セリ。而

シテ大部分ノ猿ハ試驗後

五日目

マデ

ニ斃死

シタルタメ、菌ノ檢出期間短ク、ソノ最

モ長

キハA9ノ

五日ナリ。

コレ等猿

ノ排泄状態

ハ第八表

ニ示

セル如ク、A9ハ試驗翌日、

二日目及ビ五日目

ニ間状的

ニ證セラレ、A10、A11、A12ノ三頭ハ試驗翌日ヨ

リ、連續的

ニ證セラレタリ。是等糞便中

ヨリ檢出

シタル赤痢菌

ハ生物學

的竝

ニ血清學的牲状

ハ全ク供試菌タル小林株

ニ一致

ス。

第二項 糞便中ノ「フ

ァージ

ュ」ノ檢索

赤痢「ファージ

ュ」ヲ檢出

シタルモノハA9、A11、A12ノ三頭ナリ。ソノ排泄

状態

ハ第八表

ニ示

セル如ク、A9ハ試驗後五日目

ニA11及ビA12ハ三日目

ニ證

15

セ

ラ

レ、A9及

ビA12ハ「フ

ァー

ジ

ュ」檢

出後

二

十

四

時間

以内

ニ死

亡

シ

タ

ルタ

メソ

ノ排

泄

ノ消

長

ヲ知

ル

ニ由

ナ

ケ

レド

モ、

A11ハソ

ノ後

五

日目

及

ビ六日目

ニモ證明セラレタリ。次

ニ糞便中排泄關係

ハ三頭共

ニ菌

ノ排泄

ニ遲

レテ「ファージ

ュ」出現シ、A11ノ一頭

ハ菌ノ消失

ニ遲レテ消

失セリ。又是等「フアージ

ュ」ノ溶菌範圍

ハ凡テ大原菌及ビ志賀菌ヲ除ク他

ノ赤痢菌ヲ溶解

シ奧山ノ赤痢「ファージ

ュ」第三群

ニ屬

セリ。

第

三節

血

清學

的觀察

試驗前

ニ採取

セル血清

ハ赤痢菌六種

ニ對

スル凝集反應ハ五十倍陰性ナリ。試驗後三日目乃至五日目

ニ採取セル斃死猿

(A9、A10、A12)ノ血

第九表 凝集反應成績

清

ハ輕度ナルモ、川瀬菌種

ニ對

スル主凝集素

ノ出現ヲ認

ム。而

シテ試驗

ニ耐過

セルノ二週間目ノ血

清

ハ凝集價著明ナリ(第九表參照)。

第

四

節

斃

死

獸

ノ各臟

器

ニ於

ケ

ル細菌

學的

檢索

第

一項 各臟器

ニ於ケル赤痢菌

ノ檢索

第十表

ニ示

ス如ク、斃死猿

ニ於テハ凡テ消化管

ニ赤痢菌ヲ證明セリ。而

シテ胃及ビ大腸

ノ終部

ニ於

テハ四頭凡テ之ヲ檢出セリ。

尚脾臟

(A8)、膽嚢

(A12)、腸間膜腺

(A10、A12)ニ於テモ檢出

セラ

レタリ。

是等檢出セラ

レタル赤痢菌

ハ生物學的竝

ニ血清學的性状

ハ供試菌タル小林株

ニ一致

ス。

第二項 各臟器

ニ於ケ

ル「ファージ

ュ」ノ檢索

A9及ビA12ノ二頭

ニ於テ赤痢

「ファージュ」ヲ證明セリ。

是等

ノ檢出部位ハ第十表

ニ示セル如ク、胃及

ビ腸

ノ各部位及ビ膽嚢ナリ。

尚臟器

ニ於ケル赤痢菌ト赤痢「ファージ

ュ」トノ關係

ハ一定

ニシテ赤痢

菌

ノアル所「ファージュ」ヲ證セリ。

是等「ファージ

ュ」ノ溶菌範圍

ハ各供試猿ノ糞便

ニ證明シタル「ファージ

ュ」ノソレニ一致

セリ。

第

五節

病理解

剖學

的檢

索

斃死猿四頭共

ニ胃粘膜

ハ粘液ヲ以テ覆

ハレ、

浮腫及ビ充血ヲ認

ム。A8、A9及ビA10ノ三頭

ニ於テハ小

腸

ノ粘膜

ハ粘液分泌著シク増加、浮腫及ビ充血強シ。就中

コノ變化ハ十二指腸最モ強ク、小腸中部之

ニ次ギ、小腸

ノ終部弱

シ、大腸

ノ

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三四

一

16

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三四

二

第十表

各臟器

ニ於

ケル赤痢菌及

ビ赤痢

「ファー

ジュ」ノ分布状態

粘膜

ハ殆ド正常對照例ト差

違ヲ認メザ

ルカ(森)、僅微ノ浮腫充血ヲ認

ムルコトアリ(A9、A10)。A12ニ於テハ小腸粘膜

ハ全汎的

ニ浮腫ヲ見

廻盲部及ビ大腸

ハ全汎

ニ亙

リテ浮腫状ヲ呈シ、殊

ニ粘膜

ハ多量ノ粘血附著

シ、浮腫竝

ニ充血高度

ナリ。大腸末端

ニ於テハ出血及ビ淺小

ノ潰瘍ヲ認

ムル部アリ(第十

一表參照)。

第

六

節

本

章

ノ小

括

本試驗群

ハ猿ヲ二月間絶食

セシメ、重曹ヲ以テ

一時的

ニ胃液ヲ中和シテ赤痢菌

(川瀬菌)ヲ「プ

ロキロ」最大三〇〇瓩ヨリ最小

一〇〇瓱

ノ

大量ヲ經口的

ニ與

ヘタルモノナリ。ソノ結果五頭中四頭

ハ試驗十六時間乃至三十五時間後

ニ下痢ヲ起

シ、多クハ(三頭)粘液便乃至粘血

便ヲ排出

セリ。

サレド持續的

ニ粘血便ヲ排泄シタルハA12ノ一頭

ニスギズ。

他

ノ二頭ノ排出シタル粘液便

ハ何レモ

一過性

ノモノナリキ。

而シテ上述ノ

四例ハ一般状態重篤、

食思缺如

シテ試驗翌日ヨリ五日

マデ

ニ斃死セリ、

猶

コノ四頭ハ糞便中及ビ死後消化管内

ニ供試菌竝

ニ時

ニ赤痢

「ファージュ」ヲ檢出

シ、ソ

ノ多クハ(三頭)血清

ニ供試菌

ニ對スル凝集素

ノ出現ヲ認メタリ。

然

レドモ剖檢上ソノ病變

ハ多

ク小腸

ニ止

リ大腸

ニ著變

ヲ認メタルモノハ

一頭アルノミナリキ。

17

第十一表 胃及ビ腸ノ病理解剖學的所見

五頭中

一頭

ハ糞便中

ニ赤痢菌

ノ排出ヲ見タルモ、何等症状ヲ發

セズ、試驗

ニ耐過

セリ。

第六

章

外科

的處置

試驗

群

開腹術ヲ行

ヒテ赤痢菌

テ猿

ノ十二指腸内

ニ注入セシ者

ニKruse(12)

アルモ、猿

ヲ罹患

セシムルコトヲ得

ザリキ。余

ハ直接胃液

ノ作用ヲ蒙

ラザ

ル樣

ニシテ腸管

ニ赤痢菌

ヲ注入スレバ、如何ナル結果ヲ得

ルカ

ニ

就テ試驗

セントシテ次ノ如キ試驗ヲ行

ヒタリ。

一、 十二指腸内菌液注入試驗

二、 蟲樣突起内菌液注入試驗

三、 膽嚢内菌液注入試驗

而

シテ、是等試驗操作

トシテ、先ヅ供試猿

ニ全身庶醉

ヲ施シタリ。

即チ、0.05% Atropin sulfr. 2

%

Morphin hydrochl.

〇・五乃至

一竓ヲ皮下

ニ注射

シ、試驗前

一時間

ニ直腸

ニAvertin(

「プ

ロキロ」〇・八瓦)

ヲ與

ヘテ麻

醉

シ、

尚

手

術

中

時

々Ather庶

醉

ヲ

モ併

用

セリ。

次

ニ仰

位

ニ固

定

シ、

人類

ノ開

腹

術

ニ準

ジ

テ嚴

重

ナ

ル消

毒

ノ下

ニ開

腹

術

ヲ行

ヒ所要

ノ部

位

ヲ露

出

シ、該

部

ニ供

試

菌

ヲ

「プ

ロキ

ロ」菌

量

最大

一二

・七

瓱

ヨ

リ最

小

三

・〇

瓱

マデ

ヲ

「ブ

イ

ヨ

ン」五

竓

ニ浮

游

セ

シ

メ注射

器

ヲ

用

ヒテ

注

入

セリ。

而

シ

テ操

作

終

了

後

速

ニ該

部

ニ沃

度

丁

幾

ヲ塗

布

セリ。

コノ際

注射

針

ハ1/5「ミ

リ」以

下

ノ細

キ

モ

ノヲ

用

フ

ル

コト

ヽセ

リ。

特

ニ膽

嚢

内

ニ注

入

ス

ル場

合

ハ可

及

的

細

キ

モ

ノヲ選

ビ

タ

リ。

カ

ク

ス

レバ腹

腔

内

ニ内

容

ノ漏

出

シテ腹

膜

炎

ヲ起

ス

コト

ナ

シ。

供試

菌

株

ハ佐

應

株

(駒込

B菌

)ニ

シテ

六時

間

斜

面

培養

ノ

モノ

ヲ用

ヒタ

リ。

試驗

ニ供セシ猿

ハA13、A14(十二指腸内注入試驗群)、A15、A16、A17(蟲樣突起内注入試驗群)、A18(膽嚢内注入試驗)ノ六頭ナリ。尚本試驗群

成績

ノ概要ハ第十二表

ニ掲グ

タリ。

第

一節 症候學的觀察

A13體

重〇・八瓱、

菌量

「プ

ロキ

ロ」一二.八瓱十二指腸内

ニ注入。

試驗翌日既

ニ一般

状態重篤

ニシテ食

思缺如、下痢激

シク、便

ノ性

状

ハ下痢

軟便

ナリキ。

二日目

ニハ一般

状態益

く惡

ク床上

ニ横臥

シテ氣息奄

々

クリ。

體重減少

シテ〇・七瓩トナ

レリ、

同日午後斃死。

箙=赤痢

ニ關スル實驗的研究

一三四三

18

簾=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三四四

第十二表 享科的處置試驗群ノ概要

A14體重

一・一八瓩、菌量

「プ

ロキ

ロ」八・五瓱十

二指腸内

ニ注入

試驗後十

五時間目

ニハ既

ニ一般状態重篤

ニシテ食

思缺

キ、床上

ニ横臥

シ、

下痢頻囘、粘血便

ヲ排出、ソノ性状赤痢患者

ノ血便

ト類似

セリ。體重減少

シテ

一・〇

五瓩トナリ、

二十

二時間目

ニ斃死

セリ。

A15體重〇

.九瓩、菌量

「プ

ロキ

ロ、一一・三瓱蟲樣突起

内

ニ注入

試驗後

十五時間目

ニハ尚有

形便

ヲ排出

シ、何等試

驗前

ト異

ル所ナ

カリシモ

二十二時

間目

ニハ粘

血ヲ混ジ

クル有形便

ヲ排出

シ、二十四時

間目

二下痢ヲ

起

シ、赤

痢患

者

ニ見

ルガ如

キ粘血便

ヲ排出

シ、食

思振

ハズ。

二日目

ニハ

一

般

状態重篤、毛

ハ糞便

ヲ以

テ汚染

サ

レテ光澤

ヲ缺

キ、食

思缺

如

シ、粘血便

ヲ排泄

スル

コト頻囘、

同日斃死。

19

A16體重二・四五瓩、

菌量「プ

ロキ

ロ」四・一瓱蟲樣

突起内

ニ注入

試

驗後三日目

マデ

ハ試驗前

ト何等異

ル所

ナカリキ。

四日目

ニ至

リ下痢ヲ起

シクリ。ソノ便

ノ性

状

ハ主ト

シテ下

痢軟便ナ

リシモ

時

々粘血便ヲ出

シタリ。五日目

ニ於

テ

モ便

ハ下痢軟便

ニシテ唯

一囘粘液便

ヲ

排

出

セ

リ。

而

モ猿

ハ

コノ間

食

思

旺盛

、

一般

状態

モ

ヨク運

動

活

撥

ナ

リ

キ。

六

日

目

ヨ

リ便

ノ性

状恢

復

シ、

試

驗

ニ耐

過

セリ。

A17體重四・三五瓩、菌

量「プ

ロキ

ロ」三・〇瓱

蟲樣突起内

ニ注入

試

驗翌日既

ニ一般状態惡

ク、

毛ヲ逆立

タセ、檻

ノ

一隅

ニ蹲

リ、食思缺如、

下痢頻囘

ニシテ、軟便

ヲ出

セリ。

二日目

ハ

一般状態

益

々惡化、床

上

ニ横

ハ

リテ氣息

奄

々、粘血便數囘排出、同日斃死。

A18體重

三・八瓱、菌量

「プ

ロキ

ロ」三・六瓱宛膽嚢内注入

試

驗翌日既

ニ一般状態重篤、毛並

ハ光澤

ヲ缺

キ、

檻

ノ

一隅

ニ蹲

リ、食

思缺

如、

下痢ヲ起

シ、

粘

液ヲ少

量混ズ

ル

軟便

ヲ排出

セリ。

二日目依然食

思缺

如、下痢頻囘粘血便毎囘排出

セリ。

三日目

ヨリ、輕快

シ始

メ、軟便

トナリ

四日目

ヨリ食

思進

ミ全

ク恢復

セリ。

以上六頭

ハ試驗後二十二時間

目乃至四日目(多クハ試驗翌日)ニ下痢ヲ起

シ五頭ハ粘血便ヲ排泄

シタリ。

而

シテA16以外

ノ四頭

ニ於テ見

タル粘血便ハ各

々數囘以上持續的

ニ排泄シタリ。六頭中四頭

ハ一般状態重篤、

食思缺如、

下痢頻囘試驗翌日乃至二日目

マデ

ニ斃死セ

リ。他ノ二頭

ハ症状恢復

シテ試驗

ニ耐過

セリ(以上第十二表參照)。

第

二節

細

菌學

的檢索

第

一項 糞便中ノ赤痢菌

ノ檢索

試驗後糞便中

ヨリ、赤痢菌ヲ證明シタルモノハ、A14、A15、A18ノ三頭ナリ(第十二表參照)。然

レドモソノ中二頭ガ試驗後二日目

マデ

ニ斃

死シタルタメ、二日以上

ニ亙

リテ赤痢菌ヲ證明セシモノナシ。是等赤痢菌

ハ生理學的竝

ニ血清學的性状

ハ凡テ供試菌

タル佐藤株

ニ一致

セリ。

第

二項 糞便中ノ「ファージ

ュ」ノ檢索

A15、A18ノ二頭

ハ何

レモ試驗前

ヨリ非特異性「ファージ

ュ」ヲ證明セルヲ以テ之ヲ除外

シ、殘リ四頭

ニ就テ赤痢「ファージ

ュ」ヲ證シ得タ

ル

ハA14、A16ノ二頭

ニシテA14ハ試驗翌

日ニA16ハ試驗後五日目、七日目及ビ八日目

ニ糞便中

ニ證セリ(第十二表參照)。是等赤痢

「フアージ

ュ」

ノ溶菌範圍

ハ孰

レモ志賀菌及ビ大原菌ヲ除ク、駒込A及ビB菌、川瀬菌及ビ中村菌

ニ及ベリ。即チ奧山ノ赤痢

「ファージ

ュ」第三群

ニ屬

セリ。

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三四五

20

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三四六

第

三

節

斃

死獸

ノ各臟

器

ニ於

ケ

ル細

菌學

的檢索

第

一項 各臟器

ニ於ケル赤痢菌ノ檢索

斃死猿四頭中三頭

ハ臟器

ニ於テ赤痢菌ヲ檢出セリ。

ソノ中十二指腸注入試驗群

ニ於テハ二頭

(A13及ビA14)共

ニ小腸竝

ニ大腸ニ於デ赤痢

菌ヲ檢出セル外

ニ一頭(A13)ハ胃内

ニ之ヲ證シ、二頭共

ニ膽嚢内

ニ於テ檢出セリ。

第十三表 各臟器ニ於ケル赤痢菌及ビ赤痢「ファージュ」ノ分布状態

蟲樣突起内注入試驗群ル斃死

二頭中

一頭

ニ於テ小腸終部竝

ニ盲腸内

ニ赤痢菌ヲ檢出シ、他

ノ部

ニ於テハ檢出スル能

ハザリキ(第十三表

參照)。是等赤痢菌

ハ生物學的竝

ニ血清學的性状

ハ供試菌タル佐藤株

ニ一致セリ。

第

二項 各臟器

ニ於ケル「ファージ

ュ」ノ檢索

非特異性「ファージ

ュ」ヲ證明

シタルA15以外、他

ノA13、A14、A17ノ三頭

ハ赤痢「ファージ

ュ」ヲ證明シ得タリ。十二指腸内注入試驗群ノA13及

A14ハ胃

(A13ノ

ミ)及

ビ腸

ノ外

ニ肝臟

、

膽

嚢

、

膵

臟

、

脾

臟

及

ビ

腎臟

(ム

ノ

ミ)竝

ニ腸

間

膜

腺

(A13)ニ赤

痢

「フ

ァー

ジ

ュ」ヲ證

セ

リ。

A17(蟲

樣

突起

内注

入

試

驗

群

)ハ赤

痢

「フ

ァー

ジ

ュ」ヲ大

腸

中

部

内

ニ於

テ證

明

セ

リ

(第

十

三

表

參照

)。

是

等

「フ

ァー

ジ

ュ」ノ溶

菌範

圍

ハ是

等

猿

ノ糞

便中

ニ檢

出

シタ

ル赤

痢

「フ

ァー

ジ

ュ」ノ

ソ

レ

ニ

一致

セリ。

第四櫛 病理解剖學的檢索

21

斃死

セル四頭

(A13、A14、A15、A17)ノ中録

ハ胃及ビ勝

ニ何等認

ムベキ所見ナシ。

A14ハ胃及ビ小腸

ノ末端

ニ至

ルマデ著變

ヲ呈セズ、盲腸及ビ

大腸

ハ到ル處浮腫状

ヲ呈

シ、厚ク粘液ヲ以テ覆

ハレ且大腸

ノ内容

ハ多量ノ

第十四表 胃及ビ腸ノ病理解剖學的所見

血性粘液

ヲ混ゼリ。粘膜

ハ充血竝

ニ浮腫著明

ニシテ殊

ニ皺襞

ノ頂上

ニ一致シテ充血最

モ強ク、指壓

ニヨ

リテ褐色

セズ、明

ニ出血ヲ思

ハシムル部多ク、甚シキハ淺小ノ物質缺損ヲ呈

セル部アリ。即チ出血性

(潰

瘍性)大腸炎ノ像ヲ呈シタリ。

A15、

モA14ト略

々同樣

ノ所見ナリ。

A17ハ胃

ニ於テ多少浮腫、及ビ粘液

ノ分泌ヲ認ム。小腸

ハ著變

ヲ呈セズ。盲腸及ビ大腸ノ粘膜

ハ浮腫竝

ニ

充血強ク特

ニ溷濁腫脹著明ナリ。又多少出血ヲ思

ハシムル部アリ(第十四表參照)。

第

五節

本章

ノ小

括

本試驗群ハ猿

ニ全身麻醉ヲ施シ、開腹術ヲ行ヒテ、消化管

(十二指腸、蟲樣突起、膽嚢)内

ニ比較的少量

ノ赤痢菌ヲ注入セリ。供試猿六頭

ハ凡テ試驗後二十二時間目乃至四日目

(多

クハ試驗翌日)二下痢ヲ起

シ

五頭

ハ赤痢患者

ニ見

ルガ如キ粘血便ヲ排泄シタリ。内四頭

ニ見タル粘血便

ハ各々持續的

ニ排泄セラレ

一

過性ノモノナカリキ。六頭

ノ中四頭

ハ下痢食思缺如

一般状態重篤トナリ、試驗翌日乃至二日目マデ

ニ死

ノ,轄歸ヲトレリ。他

ノニ頭ハ症

状恢復シテ試驗

ニ耐過

セリ。而シテ剖檢上三頭

ハ大腸

ニ於ケ

ル病變著明

ニシテニ頭

ハ出血姓大腸炎

ノ像ヲ呈セリ。

第

七

章

本編

ノ總

括

竝

ニ考按

從來猿

ニ就テ行ハレタル實

驗赤痢

ノ多

クハ不成功

ニ終リ、偶々成功ヲ報ズ

ルモノト雖モ、ソノ實驗成績

ハ不確實

ニシテ

Bernhardt

u.

Markoff (5)

ノ例、Sonneノ例(13)

、孰

レモ試驗動物三頭ノ中

一頭ノ罹患ヲ見タルニ過ギズ。Dgch and Petran Elizab

eth(8)ノ如ク、ソノ

實驗

ニ確實性ヲ示シダ

ルモノ

ニ於テモ、猶從來

ノ實驗同様投與菌量

十六時間

培養十四平板

ト云フガ如キ大量ヲ使用セリ。余

ノ實驗

ニ

於テ

モ前處置ヲ施サズシテ經口菌投與試驗群

ニ於テハ「プ

ロキロ」四〇瓱乃至三〇〇瓱ノ大量ノ菌量ヲ投與

シタルモ、僅

ニ一頭ガ粘血便

ヲ、排泄

シタ

ルニ過ギズ。大部分

ハ赤痢菌

ヲ排泄

シタ

ルニ止リ、何等赤痢様症状ヲ發

セザリキ。茲

ニ於テ豫

メ猿ヲ絶食セシメ、

一時的

ニ胃

液

ヲ中和

シテ、之

ニ大量

(最

小

一〇〇瓱、最大三〇〇瓱)ノ赤痢菌ヲ投與

スル時

ハ猿ノ半數以上ガ粘液便乃至粘血便ヲ、排泄

スルニ至リ、更

箙=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三四七

22

箙=赤痢

ニ關スル實驗的研究

一三四八

ニ外科的處置群

ニ於テハ從

來何

レノ報告

ニモ例ヲ見ザ

ル如キ僅少ノ菌量ヲ以テ、大部分粘血便ヲ排出セリ。即チ吾人ガ日常赤痢患者

ノ

診斷

ニ際シテ便ノ性状

ニ最

モ重キヲオクコトヨリシテ、今此ノ實驗

ニ於ケル粘液便乃至粘血便ヲ以テ、赤痢

ニ罹患

スルモノトナス時

ハ

上述ノ例ハ何

レモ症候學上赤痢

ニ罹患

セルモノト爲

スヲ得ベク、殊

ニ是等

ノ猿

ニ於テ糞便中

ニ多クノ場合、投與セル菌ト

一致セル赤痢

菌ヲ證明シ、且ッ屡々赤

痢

「バクテリオ、ファージ

ュ」ヲモ證明シ、

一方

ニ於テハ、是等動物血清

ニ使用菌株

ニ對

シテ、特異的ナル凝集

素

ノ出現ヲ認ムルコトヨリ

スレバ、一層人類

ノ赤痢

ニ近似

セルモノト認

ムルヲ得

ベシ。而シテ剖檢所見

ニ於テハ、絶食、胃液中和ノ後

經口菌投與試驗群ノ

一頭及

ビ外科的處置群ノ三頭

ニ於テハ病變

ハ主トシテ大腸

ニ於テ認メ一フレ、粘膜

ノ浮腫充血及ビ粘液分泌強ク、出

血

モ亦

著

明

ナ

リ。

特

ニコ

ノ所見

大

腸

ノ下

部粘

膜

ノ皺

襞

ノ頂

上

ニ強

キ例

多

シ

(A12、

A14、

A15)。

又粘膜ガ著シク溷濁腫脹ヲ呈

セルモノアリ(A17)。余

ハ是等

ニ就テ組織學的

ニ檢査

スルヲ得ず

シモ、以上

ノ所見ハ或

ル程度

マデ人類

赤痢ノ腸ノ所見

ニ近似

セルモノナリト信ズ。余ノ實驗例中經口的

ニ菌投與ノ場合

ニ於テハ、症候學上赤痢様症状

ヲ呈シタルモノト雖

モ、病變

ハ胃及ビ小腸

ニ限局

シ、大腸

ハ殆ド侵サレザ

ル觀

ヲ呈

スルモノアリ。

次

ニ個々ノ所見

ニ就テ觀察

セントス。

一、罹患率及ビ濳伏期、先述

セル如ク、粘液便乃至粘血便ヲ以テ赤痢罹患ノ基準トナス時

ハ余

ノ試驗

ニ使用シタル猿十八頭ノ中、粘液

便乃至粘血便

ヲ排泄

シタルモノ九頭(腸重積

ニ因

ル粘血便

ヲ出

シタル一頭ハ除

ク)ナルヲ以テ、ソノ罹患率

ハ五〇%ナリ。是等九頭

ハ赤

痢菌投與後十六時間乃至四日目

ニ下痢ヲ起

シタリ。

而

シテ下痢ヲ以テ試驗動物

ノ初發症状トナストキハ所謂濳伏期ハ十六時間乃至三

日ナリ。

尚是

ヲ各試驗群

ニ就テ見

ルトキハ、前處置ヲ旛サズシテ經口菌投與試驗群

ニ於テハ粘血便ヲ出シタルモノ

預

ニシテ、罹患率

ハ

一四・

三%、濳伏期

ハニ日ナリ。絶食、胃液中和後經口菌投與試驗群

ニ於テハ三頭、罹患卒六〇%、濳伏期ハ十六時間乃至三十五時間ナリ。

外科的處置群

ニ於テハ五頭

ニシテ、罹患率

ハ八三・三%、濳伏期

ハ二十二時間乃至三日ナリ。是等試驗群中外科的處置群ガ粘液硬乃至

粘血便

ヲ排泄スルモノ多

ク、罹患率最

モ高

シ(以上第十五表參照)。

二、症

状

(イ)粘液便乃至粘血硬

十八頭ノ供試猿中九頭

ハ粘液便乃至粘血便ヲ排出シタルコト竝

ニ各試驗群別

ニ見テ外科的處置群ガ

最

モ多ク

23

粘液便乃至粘血便ヲ排泄

セシコトハ既

ニ述ベタル所ナリ。今更

ニ是等糞便

ヲソノ排泄囘數

ヨリ見

ルニ、試驗中ヲ通ジテ間歇的

ニ僅二囘

第十五表 各試驗群ニ於ケル粘液又ハ粘血便ノ排泄状態

乃至三囘排泄スル

一過性

ノモノト連續的

ニ數囘以上

ニ亙リテ排泄スル

持續

性

ノ

モ

ノト

ァリ。A6(前

處

置

ヲ施

サ

ズ

シテ經

口試

驗

群

)、A9、A10(絶

食

、

胃液

中

和後

經

口試

驗

群

)、A16(外科

的

處

置

試

驗

群

)ノ四

頭

ハ前

者

ニ屬

シ、

後者

ニ屬

スルモノハA12(絶食、胃液中和後經口菌投與試驗群)、A14、A15、

A17、A18(外科的處置試驗群)ノ五頭ナリ。而

シテコノ持續性ノ排泄期間

ハソノ短

キハ、七時間

(A14)、長キハ三日間

(A12)ナリ。

次

ニ粘液便乃至粘血便

ノ排泄状態ヲ見

ルニ、第十五表

ニ示

セル如ク、

試驗翌日

ニ之ヲ排泄シタルモノ五頭、二日目モ同樣五頭、三日目

一頭、

四及ビ五日目共

ニ二頭、六及ビ七日目共

ニ一頭

ニシテ、試驗翌日及ビ

二日目

ニ排泄スルモノ最モ多

シ。而

シテ試驗後八日目以後

ハ粘液又

ハ

粘血便ヲ排泄スルモノナシ(腸重積ノ

一頭

ハ除ク)。次

ニ粘液便乃至粘

血便ヲ出シタル九頭中、斃死シタルモノ六頭、恢復

シタルモノ三頭ア

リキ。而シテ持續性粘血便ヲ出シタル五頭中、四頭ハ斃死

一頭恢復、

一過性粘液便乃至粘血便

ヲ出

シタル四頭中二頭ハ斃死、二頭ハ恢復

セ

リ。

(ロ) 食慾

粘液便乃至粘血便ヲ排泄シタル九頭中、A16ノ

一頭ヲ除ク外

凡テ食思不振、

又

ハ缺如

セリ(粘液便乃至粘血便

デ

排泄

ゼザル編、

A13ノ如キモ食思缺如ヲ來セリ)。而シテ食思不振又

ハ缺如

ハ試驗翌日既

ニ現

ハヒ、試驗

ニ耐過

セルモノニアリテハ諸症状輕快ト共

ニ恢復セリ。

(ハ)體重ノ減少

粘液便乃至粘血便ヲ出シタ

ルモノ、或

バカ

・ル便ヲ

簸=赤痢ニ關スル實驗的研究

一三四

九

24

箙=赤痢ニ關ヌル實験的研究

一三五〇

排泄セザルモ斃死

シタルモノニ於テハ凡テ著明ナル體重

ノ減少ヲ來

セリ。即チ體重

ノ1/10乃至1/4ノ減ヲ來

セリ(凡テ試驗七日目以内)。

(ニ)體温

測定

セシ三頭(A2、A6、A12)中A6、A12ノ二頭ハ試驗當初明

ニ體温

ノ上昇ヲ認

メタリ。之

ニ反シA2ニ於テハ粘血便(腸重積

ニ因

ル)ヲ排泄シタル日(試驗後

二十三日目)ニ依然體温ノ上昇

ヲ示サゞリキ。

(ホ)一般状態

食慾不振又

ハ缺如ヲ來シタル猿

ニ於テハ大部分運動性減少、檻

ノ一隅

ニ踵リ、毛ヲ逆立

セ、毛竝ノ光澤ヲ缺キ、甚

シキ

ハ糞便ヲ以テ毛

ハ汚染サレ床上

ニ横臥スルニ至ルモノァリ。試驗

ニ耐過

セルモノハ諸症状輕快ト共

高恢復