69
修士論文 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安定度に与える影響 Regular Staying out Effects on Blood pressure and Mental aspect of Adult Patients with Cerebral Palsy in Care Facility 札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期 理学療法学・作業療法学専攻感覚統合障害学分野 Goda Hiroshi 合田央志

定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

修士論文

定期的な外泊が成人脳性麻痺者の

血圧と精神面の安定度に与える影響

Regular Staying out Effects on Blood pressure and Mental aspect ofAdult Patients with Cerebral Palsy in Care Facility

札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期

理学療法学・作業療法学専攻感覚統合障害学分野

Goda Hiroshi合田央志

Page 2: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

学 位 論 文 要 旨

02MO-01保健医療学研究科 修士課程 学籍番号

理学療法・作業療法学専攻 氏 名 合田 央志

感覚統合障害学分野

論文題名(日本語)

定期的な外泊が成人脳性麻痺者の血圧と精神面の安定度に与える影響

論文題名(英語)

Regular Staying out Effects on Blood pressure and Mental aspect of AdultPatients with Cerebral Palsy in Care Facility

【はじめに】

脳性麻痺者の養護施設では,日常生活活動への援助と共に,人的・物理的環境を通じた精神

面の安定度の向上が重要な支援の一つとされている.環境が人間に与える影響については高

齢者を対象とした領域で,研究,報告がされている.しかし,言語理解に障害のある脳性麻痺

者の場合,質問紙等による精神面の安定度を把握することが困難なこともあり,これに対応する

客観的な指標が必要となる.今回,脳性麻痺者の客観的指標として,自律神経系の活動のひ

とつである血圧が有効であるかを検討したいと考えた.

【目的】

本研究の目的は,脳性麻痺者の血圧が健常者と比較して相違があるのかを日内変動も含めて

検討する.その上で,脳性麻痺者が外泊という環境変化によって,血圧がどのように変化する

のかを明確にし,この変化をストレス,精神の安定度の側面との関連から検討する.

【方法】

対象者は札幌市内の身体障害者療護施設 A に入所 し て お り , 専 門医に よ

っ て 痙直型脳性麻痺 と 診 断 さ れ た 6名とした.一方,コントロール群としては

同じ施設で就労している25歳の健常女性とした .

1. 血圧測定

CP者と 健 常 者 の 血圧測定 を 行 い , 日 内 変化 を 測 定 し た . 期 間 は 平 成

16年 5月 26日から 11月 15日のうち,施設での行事のない日に, 1時間毎に測定

した .対象時間は 9時から 17時 と した . 測 定 す る 姿 勢 は , CP者は 車 椅 子 座

位 , 健 常 者 は 椅 子 座位 と し た . こ れ を ,平日の血圧のばらつき,平日外泊

前後の血圧の変化の違いの点から比較,検討した.

2. コーネルメディカルインデックス (CMI)

平 成 16年 10月 19日に対 象者 の生 活 を 1年以上観察している,作業療法士

による代理記入とした.CMIの下位項目と血圧変化のばらつきを検討した.

3. ヘルスユーティリティインデックス (HUI)

HUIを参考に作成したチェックリストを用い,平成16年7月30日から9月6日の間,施設の作業療

法士が評価は5段階評価した.この精神面の安定度の状態の日における割合を算出し,平日,

Page 3: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

外泊前後での違いを比較,検討した.

【結果】

全てのC P者の平日の血圧の日内変動は,平均値の違いとしては認められ

なかったが,標準偏差の大小の傾向があった. C P者の平日の血圧の変動の

ばらつきから 2群に大別された.健常者の日内の血圧の変動は小さ く , ば ら

つ き の 大 き い 群 ( E氏 , F氏 ) と有意な差が認められた . 平 日 の 血 圧 の

変 動 が 大 き い 群 ( E氏 , F氏 )は外泊前日ではよ り , 不 規 則 に な っ た .

C P 者 で 外 泊 後 の 血 圧 の 変 動 は 平 日 の 血 圧 の 変 動 と 有 意 な 差 は

認 め ら れ な か っ た . 血 圧 の 測 定 日 毎 の ば ら つ き が 大 き か っ た E

氏 , F 氏 の み が C M I で は 「 緊 張 」 の 項 目 が チ ェ ッ ク さ れ て い た .

H U I の 変 化 で は , 平 日 と 外 泊 前 日 の 間 で は 4 名 で 違 い を 認 め

た . 同 様 に 平 日 と 外 泊 終 了 日 間 で は 5 名 の 脳 性 麻 痺 者 が 違 い を

示 し た .

【考察】

1. 平日の血圧変化のばらつきが大きかった脳性麻痺者の血圧測定値は,運動量,年齢,性

別,筋緊張の要素との関連は認められなかった.他の脳性麻痺者との違いはCMIで示される緊

張の要素であり,基本的な生活における安全性が影響を与えている可能性が示唆された.

2. 外泊前後で,ほとんどの脳性麻痺者で外泊前後の精神面の安定度で変化を認めた.この

変化は,外泊終了日に精神面の安定度が下がっているCP者が多く,安定度が低下しているよ

うに見受けられるが,脳性麻痺者の外泊が有意義な活動であるからこそ,精神面の安定度が低

下している可能性が逆説ながら考えられた.

1.外泊前後で血圧に変化を示した 2名のCP者は精 神 の 安 定 度 で も 変 化 示

し , 両 者 の 関 係 が 認 め ら れ た . こ の 状 態 は , 2 名 に と っ て 適度なス

ト レスを超 え た 環 境 か ら の 入 力 が さ れ て い る 可 能 性 が あ り , 生 活 環 境

の 調 整 が 重 要 で あ る と 思 わ れ た .

【結論】

脳性麻痺者の血圧の日内の変化,外泊前後での血圧の違い ,精神面の安

定度の変化を明らかにすることができた.

Page 4: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

Introduction

One of the signi f icant assist for adults’ cerebral palsy patients in faci l i

t ies is to support their ADL ski l ls and to coordinate their environment.

The ef fects from environment to human are reported for elder ly people.

But, cerebral palsy patients with speech disorder cannot answer the ques

tionnaire. Therefore, objective index are required to assist their balanced

mental statement. This time, we try to check up blood pressure changin

g as cerebral palsy patients’ subjective index.

Method

The purpose of this study is, first, we compared cerebral palsy patients’ blood pressur

e with healthy woman’s blood pressure. Second, we compared weekday’s blood pressure

results and before or after staying out, include mental aspects and balanced mental sta

tement.

Method

The subjects are 6 adults’ cerebral palsy pat ients who were diagnosed b

y medical special ist and l ive in faci l i ty. Another side, as a control, healt

hy woman who working at same faci l ity participate in this research.

Data col lection

1. blood pressure taking

Cerebral palsy patients and healthy woman was taken blood pressure acr

oss the day. Investigating term date is from 2004/5/26 to 2004/11/15, a

nd t ime is from 9:00 to 1700. Subjects’ posture taken blood pressure is

s itt ing posit ion. We check up the di f ference of blood pressure, weekday

- the day before staying out, and weekday- the day after staying out.

2.Cornel l Medical Index

As al l subjects cannot decis ion about quest ions, occupational therapist

working the faci l i ty for two years est imate and mark these quest ions at

2004/10/19. We check up between item of CMI and blood pressure.

3.Health Uti l ity Index

Check l ist was made using example from HUI. The item is made up 5 g

rades that are from Level 1 being the state of free from care to Level 5

being in anxious and terr ible. Occupational therapist observed cerebral

palsy patients in dai ly l i fe, and mark HUI from 2004/7/30 to 2004/9/6.

We check up among the balanced mental statement data of weekday, the

day before staying out and the day after staying out.

Result

There are no dif ferences among the average of blood pressure changing

in al l cerebral palsy patients. But, there are divided 2group from their s

tandard deviat ion. Healthy woman’s blood pressure changing is smal l , an

Page 5: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

d there is s igni f icant di f ference between changing of healthy woman and

of the groups that is widely changing. The groups of widely changing blo

od pressure come to more widely in weekend. And, they showed intensity i

n CMI. About the changing of HUI, there are 4 patients between weekday and the da

y before staying out, and there are 5 patients between weekday and weekend.

Discussion

Cerebral palsy patient’s blood pressure with difference is no relationship between and,

motion, age, sex and myotony. The difference between other patient’s blood pressure is

intensity expressed CMI. And this factor may be affected basically safety. Almost of th

e patients show the difference in balanced mental statement. Also, the content of differe

nce is decreasing of balanced mental statement of cerebral palsy patients. There are

2 patients showing the relat ion between blood pressure and balanced men

tal statement through the staying out. There is the possibi l i ty of ef fect

of excess stimulation from environment. And, we are required the coordin

ation of environment for cerebral palsy patients.

Conclusion

We made the blood pressure changing, ef fect to blood pressure, and bala

nced mental statement changing clear.

1 論文内容の要旨 日本語及び英語 は,研究目的・研究方法・研究結果・考察( )・結論,等とし,簡潔( 字程度相当)に要約すること.英語要旨も含め1,500ること.

2 枚目からも外枠だけは必ず付けること.2

Page 6: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- Ⅰ -

目次

1はじめに

2目的

3先行研究

………1 3.血圧変動,血圧測定を行う対象疾患と脳性麻痺者に対する血圧測定

……………………………………2 3.人間が日常感じている精神的ストレスの評価

…………………………………………………3 4.人間の精神面の安定に関する評価

5方法

………………………………………………………………………………………1 5.対象者

6倫理的配慮

……………………………………………………………………………………2 6.血圧測定

…………………………………………3 6.脳性麻痺者の行動からのストレスの評価

………………………………………………4 6.脳性麻痺者の精神面の安定度の評価

7データの分析方法

…………………………………………………………………1 7.血圧測定値の分析方法

…………………………………………………………………………2 CMI 7. の分析方法

…………………………………………………………………………3 HUI 7. の分析方法

7結果

1 7.脳性麻痺者と健常者の平日の血圧の日内変動

……………………2 8.脳性麻痺者の平日の測定日ごとの血圧測定値と変動係数

……………………………………………3 9.脳性麻痺者の外泊前後の血圧の測定値

……………………………………………………………4 CMI 10.脳性麻痺者の の結果

……5 HUI 10.脳性麻痺者の平日と外泊前日および平日と外泊終了日の の変化

……………………………………………………………………………6 11.結果のまとめ

12考察

1 12.脳性麻痺者の血圧の日内変動と測定日ごとの変化

…………………………………………2 CMI 12.血圧の測定日毎の変化と との関連

……………………………………………………3 HUI 13.血圧の日内変化と との関連

15まとめ

16謝辞

16文献

Page 7: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 1 -

はじめに

1948年に世界保健機構( )が定義した「健康」の概念は現在も採用されWHOており,我が国では 「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単1)2)

に疾病または病弱の存在しないことではない」と訳されている.これは健康が身

体的,精神的あるいは社会的にも調和のとれた状態であり 「到達しうる最高基,

準の健康を享有することは,万人の有する基本的権利の一つである」ことを示し

ている.この健康に対する考え方は時代と共に推進され, 年代には人々が1980自らの健康をコントロールし,改善することを増大させる「ヘルスプロモーショ

ン」の考えが台頭した .一方,我が国における健康の概念は 「ヘルスプロモ3) ,

ーション」の考えが現れた時期に,健康を主観と客観の視点から分けてとらえる

必要性が報告され, 年代には病気や悪い状態についての把握や治療だけで1990はなく 生活や人生を高めていく主体的な能力が必要であるという考えが現れた,.これらの歴史の中で,健康の定義は身体機能の改善が著しく認められない障4)

害者に対しても,精神的,社会的な安定のために支援し,生活や人生を高めてい

くことの重要性を示している.このうち日常生活により密着している精神面の健

康については,①自分を取り巻く現実をありのままに受け止めることができる,

②欲求があってもある程度コントロールできる,③自己の主体性を保ちながら他

者との間に良い人間関係を持つことができる,④新しい課題に直面したとき回避

せずに合理的な解決を図ることができる,⑤日常生活に楽しみを見いだし、社会

的役割と活動をすることができる、⑥将来に対して可能性や希望を持ち、自己実

現を目指すことができるなどが良好な健康の状態とされている .乳幼児期から5)

障害をもっている脳性麻痺児に対しても,身体面のみならずこの精神面の健康に

対して支援することも重要と考えられている.これまで,脳性麻痺児に対する支

, , ( )援としては 身体機能の維持・改善のための訓練 あるいは日常生活活動 ADL能力の維持・改善に対する評価や訓練が行われてきた.一方で,成人した脳性麻

痺者に対しては,身体機能の維持や改善に対する支援のみならず, や環境ADLの変化を通した精神面の安定が重要な支援となる.実際,著者が勤務する施設で

も施設職員との対人関係や外泊,施設行事などの人的・物理的環境が対象者の大

, .きな楽しみになっていたり 逆に負担になる場合があることを日々経験している

これは脳性麻痺者を取り巻く環境の変化が日常生活に楽しみを見いだしたり,近

い将来における希望を持つといった精神面の安定に影響をおよぼしていることの

証左の一つであると考えられ,環境への働きかけが脳性麻痺者にとっても有用な

支援になることが推測される .6-9)

環境が人間に与える影響に関しては,これまで高齢者へのリハビリテーション

や福祉的支援に関する領域で研究が行われてきており,環境の変化によっては知

的能力の低下や適応行動ができなくなる可能性が報告されている .このため,10)

高齢者に対しては,なじみやすい環境の提供や大きな環境変化を起こさないよう

な支援の重要性が指摘されてきている .一方,成人した脳性麻痺を対象とし11-13)

た環境の変化とその影響に関する研究はほとんど認められず, ら が外Furukawa 14)

Page 8: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 2 -

出機会の頻度,障害のタイプや 能力の程度が, モラールスケールで測ADL PGC定された日常生活の楽しみの度合いに影響することを報告しているに限られてい

る.しかし,この報告は横断的な調査であり,継続した関わりが脳性麻痺者にお

よぼす影響や,脳性麻痺者の精神面の変化が実際に対象者の中で何が変化したこ

とに基づいているのかといった点については明確ではない.したがって,脳性麻

痺者の生活を支える施設での継続した取り組みが脳性麻痺者の精神面に具体的に

どのように影響を与えているのかを明らかにすることは,施設での取り組みの有

用性を示す上で重要である.

一般的に,対象者の精神面の変化や状態を把握するためには,質問紙や心理テ

. , ,ストを用いた調査や面接が実施される しかし これらの評価法を行うためには

言語能力や知的能力が要求され,重度に言語理解がある脳性麻痺者の場合,これ

らの手段を用いて精神面を把握することは困難である.このため,臨床上,脳性

麻痺者の精神面の状態や変化に対応するような客観的な指標が必要となる.これ

まで,高齢者をはじめとした中途障害者の健康観の変化に関する研究では,レク

リエーションや運動が対象者に与えた主観的な影響に対応する客観的な指標とし

て,活性酸素,カテコールアミン,エンドセリンなどの自律神経系の機能による

指標の変化を採用することが検討されている .このため,精神面のような主15-17)

観な影響を表現することができない脳性麻痺者においても,自律神経系の指標は

これに対応する客観的な指標になり得ると思われる.しかし,脳性麻痺者に対し

て,血液検査を用いて客観的な指標を測定する方法は,作業療法の臨床応用にお

いては測定機器,技術,価格,資格の面から困難なことが多い.そのため,日常

的な臨床活動の中での脳性麻痺者の精神面の状態に結びついた自律神経系の働き

を簡便に測定できる客観的な指標が必要である.

人間の自律神経の機能を測定する指標としては心拍数,血圧,体温,発汗など

があるが,精神面との関連では高齢者への動物介在療法によって血圧上昇と適度

な精神的な負荷となり,観察を通した会話量や笑顔でも増加が認められたという

報告など,日常生活における対象者の楽しみの変化に対応する客観的な指標とし

ての血圧を用いて検討されている .そこで本研究でも脳性麻痺者の精神面の状,18)

態や変化に対応する指標として,血圧を用いることを考えたが,脳性麻痺者の血

圧に関する基礎的研究はほとんどされていない状況にあり,血圧の日内変動など

の基礎情報を収集する必要が考えられた.このため,環境の変化が脳性麻痺者に

与える影響を把握するために血圧測定を用いて調査した.

目的

本研究の目的は,脳性麻痺者の血圧が健常者と比較して相違があるのかを日内

変動と測定日ごとの変化の視点から検討する.その上で,外泊という環境変化が

脳性麻痺者の血圧,ストレス,精神面にどのような変化をもたらすのかを明らか

にし,それぞれの関連について検討する.

Page 9: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 3 -

先行研究

.血圧変動,血圧測定を行う対象疾患と脳性麻痺者に対する血圧測定1環境が人間に与える影響を生物学的側面から把握するための指標の一つとして

自律神経機能の活動がある.人間はストレスにより自律神経機能が活動し,内分

泌系が影響を受けて血圧にも変化を示す .このため,環境からの影響による自19)

律神経系の活動としても,血圧の測定を通して報告がされている .しかし,20-23)

6 10 10 20血圧の測定値そのものは健常者の場合 時から 時にかけて上昇 時から, ,

時にかけては安定し, 時から 時にかけて下降するという日内変動をすると20 24いわれている.この血圧の日内の変動は年代に関係なく存在していることが報告

されている .このため,日中の環境からの影響を自律神経系の視点から測定24-29)

する場合には,一日を通して血圧を測定する必要がある .血圧の日内変動を調30)

査した研究は,高血圧症患者に対する臨床診断のための根拠に関する報告,小児

や高齢者の健康管理の根拠に関する研究として報告されている .31,32)

一方 自律神経系の機能を把握する手段は,血圧の他に心拍数 皮膚温度等があ, ,る.脳性麻痺者の自律神経系の機能の把握に関する研究では,脳性麻痺者の運動

, ,中 運動後の心拍数を計測し 運動後に心拍数が増加し さらに時間が経過しても, ,もとの心拍数に戻りにくいという報告 ,脳性麻痺児が車椅子駆動を行うこと33-35)

により,著しく心拍数が増加するという報告がある .また レーザー照射 音 足36) , , ,浴を用いて 脳性麻痺者の皮膚温度が上昇したという報告もある .一方 血圧を, ,37-39)

指標とした研究として 痙直型の脳性麻痺者の歩行の荷重を免荷することにより,血圧と心拍数が減少したという報告 法を行うことによる血圧が上昇する40) ,Vojtaことに関する身体への負担に関する研究 が行われている.これらから,脳性麻41)

痺者の自律神経系の機能を測定する手段として,血圧や心拍数が主に用いられて

いるが,これらの報告のほとんどは脳性麻痺者が運動を遂行する上でのリスク管

理に関しての検討であり,限局された状態での血圧の変化に関するものである.

このため,我々は日中の環境からの影響を自律神経活動の視点から把握するため

には,脳性麻痺者における血圧を日内変動を把握することが重要であると判断し

た.しかし,脳性麻痺者の血圧の日内変動を調査した先行研究は認められなかっ

た.このため,本研究では,脳性麻痺者を対象とした血圧の日内変動を明らかに

する試みを行った.

.人間が日常感じている精神的ストレスの評価2血圧の測定値には,先に記載した日内における時間の影響のほかに,①年齢

の影響,②性差の影響,③高血圧症等の基礎疾患の影響,④気温や気圧などの

影響が報告されている .一方で,血圧に与える影響としてコントロールが4 2 , 4 3 )

困難な要素として,被測定者のストレスの影響がある.精神的ストレスを人間

に負荷することに関する研究では,高血圧症の患者が暗算をすることにより,

最高血圧が約 上昇するという報告 ,高齢者が暗算をすることよ30mmHg 4 4 , 4 5 )

り,最高血圧が するという報告 ,があり,人間のストレスは状態29mmHg 4 6 )

Page 10: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 4 -

は血圧にも影響を与えている.このストレス状態を把握するための評価法とし

- Zung Self-ratingて,我が国には,日本版状態 特性不安尺度, のうつ病尺度,4 7 )Depression Scale(SDS) General Health Questionnaire GHQ, ( )日本版 などがある

(表1 .これらの評価法の特徴として日本版状態 特性不安尺度, のうつ) - Zung病尺度と はうつ状態の判断のためのスクリーニング検査であり,いずれもSDS自己記入の評価法である.このため,言語能力や知的能力に障害のある脳性麻

痺者の場合,これらの質問に答えることが困難である.このため,臨床では全体

的な精神的側面を脳性麻痺者の行動を観察し判断している.全体的な精神面を,

回答を2択で行うことができる評価法がコーネルメディカルインデックス

( )である. はコーネル大学の おCornell medical index: CMI CMI Brodman, Erdmannよび らによって 患者の精神面と身体面の両方にわたる自覚症状を 比較的Wolff , ,短時間のうちに調査することを目的として考案されたものである .この評価法48)

の臨床的有用性として,精神的問題点が関与する程度を知る一助として スクリ,ーニングに広く使用されている.対象は 歳以上であり,二択で自己記入方式14である. の調査項目は身体的項目と精神的項目の つに大別される 身体的CMI 2 .

(A L) (M R) , 211 ,自覚症の質問 ~ と精神的自覚症の質問 ~ とが 合計で男子は 項目

女子は 項目からなっている 採点方法は身体的自覚症の総合点と精神的自覚213 .症の総合点を算出し,組み合わせから 段階に判定される.この分析方法以外に4も,質問項目から精神面を推察することが可能であり,重要であるされている.

は慢性疼痛の患者に対する認知行動療法の成果が で測定できたとCMI CMIいう報告 ,更年期の女性に対するカウンセリングの有用性を で測定で4 9 ) CMIきたという報告 など,口腔内痛を持つ患者やアルツハイマー病の患者など広5 0 )

範な領域の患者を対象に自覚症状の変化の検討がされている .このため,5 1 , 5 2 )

本研究でも脳性麻痺者の日常生活における全般的なストレス状態を把握するため

に を用いて調査した.CMI

.人間の精神面の安定に関する評価3先に述べたように精神面の健康には種々な視点が含まれているが,特に施設

生活を余儀なくされ,知的障害や言語障害を伴う脳性麻痺者の場合,日常生活

に楽しみを見いだし、自分が役に立つことを実感できることや,短期間の将来

に対しても可能性や希望を持ち、自己実現を目指すことができるなどができる

ことが重要である.これらの側面を評価する手段として テスPurpose-In-Life(PIL)Locus of Control LOC) Health Locus of Control PILト日本版 や などの評価法がある, ( .

テストは人間の生きる目的の動機付けを把握するための評価法であり 「人生,

の意味,目的」について 段階の中での選択や,自己記入による回答が要求さ7れる.また, は行動の達成に対する動機付けの程度を把握するための評価LOC法である.この評価法にはいくつかの種類があり,相反する つの文から選択2する評価法や,質問項目に対して 段階で回答するものもある.また, を4 LOC参考に患者の健康に焦点を当てられたものが になり,成人Health Locus of Control用と小児用がある.小児用の評価法でも「規則正しい生活をしていれば,健康

Page 11: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 5 -

でいられると思います」等の質問に対して 段階で回答する方法である.これ4らの評価法は全て対象者の時期記入が必要とされるために,知的障害や言語障

害を伴う脳性麻痺者がこれらの質問に答えることは困難である.このため,生

活における精神面の安定度を行動観察で評価できる手段が必要であり,検査者

Healthの視点から小児の健康状態を包括的に調査できる小児の評価法として,

( . , ( ),Utility Index MarkII HUI) 7 Sensation 4がある この評価法は つの項目 段階

Mobility 5 Emotion 5 Cognition 4 Self-care 4 Pain( ), ( ), ( ), ( ),段階 段階 段階 段階

( 段階 , ( 段階)から構成されている. は,ハミルトン市の児5 Fertility 3 HUI)

童をランダムサンプリングした 名を対象に,妥当性が検討されており,評293価結果は 通りの健康状態の中から特徴を示すことができる. を用い24,000 HUIた研究としては,白血病の子どものリスクの程度で や に違いをMobility Emotion示し,小児の健康状態を示す上で有効であるという報告や,小児の脳腫瘍の健

康状態では や で低下していることを示し,脳腫瘍の小児の生Emotion Cognition活の質の特性を把握することができるという報告など,小児の領域で使用され

ている .このため、言語障害や知的障害を伴う脳性麻痺者の観察から脳性麻53-57)

HUI Emotion痺者の精神面の安定度を行動を通した観察から把握するために, の

の下位項目を使用した.

方法

.対象者1対象者は成人脳性麻痺者6名と健常者1名とした.脳性麻痺者は,札幌市内の

身体障害者療護施設Aに入所しており,専門医によって痙直型脳性麻痺と診断を

受けており,血圧に関する問題は指摘されていなかった( 氏~ 氏 (表 .A F 2) )

25 28 26.1 4 2脳性麻痺者の年齢は 歳~ 歳 平均 歳である 性別は男性 名 女性, , . ,

名( 氏 氏)である.遠城寺乳幼児発達検査による対象者の発達的特徴としC ,Dては,移動や運動能力が全般的に低い特徴があった(図 .また,言語能力で1)

、は 遂行のための理解は 氏以外の 名が可能でありADL(Activities of Daily Living) E 5これの表現は 名が可能だった.しかし,日常生活以外の会話を他者と展開し共4有すること,あるいは脳性麻痺者の感じていることを文章あるいは段階付けをし

て表現することは全ての対象者が困難な状況だった.また,施設では脳性麻痺者

D F自身の居室は全員が理解をしているが,日付や時間を認識しているのは 氏と

氏のみであった.筋緊張は 氏, 氏, 氏で中等度の亢進, 氏, 氏, 氏A D E B C F. , ,では低緊張だった 能力は 全ての脳性麻痺者の移動手段が車いすでありADL

操作は自立していた.また,摂食動作が可能で,入浴動作では支援を必要として

いた. 氏は更衣動作と排泄動作が自立していた.尿便意を自ら表現することがD3 A D E BMI(Body Massできる対象者は 名( 氏, 氏, 氏)いた.体格的特徴として

では, 氏が軽度肥満となっていたが,他の脳性麻痺者は正常の体格とさIndex) Cれる範囲だった.これらの身体的特徴は調査期間において,変化は認められなか

った.全ての脳性麻痺者は週末に定期的な外泊を行っており,脳性麻痺者自身も

楽しみにしている様子が,職員の間で観察されている.また,行事や外出レクリ

Page 12: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 6 -

エーションのない日の日課は,大まかに固定されており,対象者による日課の明

らかな違いはなかった.

一方,脳性麻痺者の血圧の日内変動及び測定日毎の変化を比較するために健常

者も対象とした.健常者は医師から血圧に関する指摘を受けなく,体格的な特徴

からも肥満ではなかった.

倫理的配慮

本調査を行うにあたり,対象者や対象者の生活する施設の関係者および,脳性

麻痺者の家族に説明を実施し,同意書への署名を得た後に実施した (資料 ). 1-4

.血圧測定2測定は平成 年 月 日から 月 日のうち,脳性麻痺者にとって環境の16 5 26 11 15

変化となる施設行事や外出レクリエーションのない日に,脳性麻痺者と健常者の

血圧測定を ヶ月間継続して行った.場所は対象者の入所する身体障害者療護施6設 の機能訓練室とし,血圧測定は 時から 時までの1時間ごとの基準時間A 9 17ごとに行った.室温は機能訓練室の空気調整機により,同一温度( 度)とし25た.測定する姿勢は,脳性麻痺者は車椅子座位,健常者は椅子座位とした.対象

者には測定前に 分間の安静を確認した.測定に当たっては,対象者の測定部位5の上腕が心臓の高さになるようテーブルで調節した 測定機器は 自動血圧計 オ. , (

ムロン製 )を使用した.本測定機器の測定精度は であり、HEM-712C ±4mmHg心拍出および呼吸による血圧への影響は とされているため,測定誤差6mmHgは だった.10mmHg

.脳性麻痺者の行動からのストレスの評価3脳性麻痺者のストレス状態を把握するために, の精神的自覚症の評価を行CMI

った.この側面の下位項目と質問数は,不適応( 項目 ,抑うつ( 項目 ,不12 6) )

安( 項目 ,過敏( 項目 ,怒り( 項目 ,緊張( 項目)から構成されてい9 6 9 9) ) )

る.対象の脳性麻痺者は自己記入が困難であるため,対象者の生活を 年以上観1察している作業療法士が脳性麻痺者の日常生活行動から評価を実施した.評価は

平成 年 月 日に実施した.16 10 19

.脳性麻痺者の精神面の安定度の評価4脳性麻痺者の精神面の安定度を把握するために を参考に作成したチェッHUI

( ). , ,クリストを用いて評価した 表 は3 Health Utilty Index II(HUI) Sensation Mobility, , , , の つの要素から構成されている.今Emotion Cognition Self-care Pain Fertility 7

回は, のカテゴリーを参考にチェックリストを作成した.評価は 段階Emotion 5で行われ, は精神面が安心した状態であり, は不安状態が強いこLevel 1 Level 5とを示している.

評価は平成 年 月 日から 月 日の期間に行った. 日の の大ま16 7 30 9 6 1 Emotionかな様子を,脳性麻痺者の生活する施設で就労し,対象者に対して 年以上かか1

Page 13: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 7 -

わりを持ち,普段の生活状況を理解している作業療法士が記載した.また,評価

に当たっては,外泊や家族に焦点をあてた精神面の安定度として評価するよう教

示した.

データの分析方法

.血圧測定値の分析方法1脳性麻痺者の血圧測定の結果を①平日,②外泊前日,③外泊終了日の 群に分1) 3

け, 版 で分析した.Windows SPSS11.5J平日は火曜日,水曜日,木曜日とし,脳性麻痺者の平日の血圧の日内変動を明2)

らかにするために,基準時間ごとの血圧の平均値と標準偏差を算出した.また,

測定日ごとの平均血圧の変化を検討するために,日中の基準時間ごとの血圧を基

. , ,に平均血圧を算出した さらに 平日の平均血圧のばらつきを変動係数に換算し

対象者ごとの変動係数の平均値を求め,一元配列の分散分析を用いて比較した.

健常者の血圧の日内変動も脳性麻痺者の平日の血圧測定の分析と同様に平均血3)圧を変動係数に換算し分析を行った.

脳性麻痺者の外泊前日と,外泊終了日の測定日ごとの血圧測定の分析も,平均4)血圧を変動係数に換算した変動係数の平均値,標準偏差を算出し,平日と外泊前

日,外泊終了日のそれぞれの間に差異があるのかを対応のない 検定を用いて検t討した.

. の分析方法2 CMI脳性麻痺者ごとに の下位項目のうち精神的自覚症の不適応,抑うつ,不CMI

安,過敏,怒り,緊張の得点数を算出し,脳性麻痺者のストレスの傾向を検討し

た.さらに,脳性麻痺者の血圧との関係を検討した.

. の分析方法3 HUI脳性麻痺者の の結果を血圧の分析と同様に,①平日,②外泊前日,③外泊1) HUI

終了日の 群に分けて,分析を行った.32) LEVE 1平日は火曜日 水曜日 木曜日とした 平日 外泊前日 外泊終了日のうち, , . , ,

から までの評価がなされた日数の割合を算出した.LEVEL 5平日と外泊前日,外泊終了日の違いを検討した.また,評価と併せて行った精3)

神面の安定に関する記録とともに,外泊による脳性麻痺者の精神面の安定度の変

化を検討した.

結果

.脳性麻痺者と健常者の平日の血圧の日内変動1脳性麻痺者の平日の血圧測定値の基準時間ごとの平均値を表 に,対象者ごと4

の血圧の日内変動を図2~7に示した.象者の最高血圧の平均値の範囲は 氏A109.3±9.1mmHg 119.9±11.7mmHg B 123.3±5.8mmHg 130.9±12.0mmHg Cが ~ , 氏が ~ ,

Page 14: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 8 -

95.6±4.9mmHg 102.6±9.0mmHg D 93.2±7.2mmHg 104.6±10.8mmHg E氏が ~ , 氏が ~ ,

127.5±17.8mmHg 134.3±25.2mmHg F 109±15.1mmHg 115.0±11.7mmHg氏が ~ , 氏が ~

だった.

一方,最低血圧の基準時間ごとの平均値の範囲は, 氏が ~A 66.0±8.2mmHg, 氏が ~ , 氏では ~71.5±6.6mmHg B 84.4±12.6mmHg 91.1±4.6mmHg C 66.9±3.4mmHg, 氏が ~ , 氏が ~73.2±8.8mmHg D 57.6±7.3mmHg 57.6±63.1mmHg E 78.5±10.0mmHg, 氏が ~ だった.平均値でみた個人89.9±17.7mmHg F 65.3±9.0mmHg 74.1±14.9mmHg

内の基準時間ごとの血圧は全員が正常範囲にあったが, 氏, 氏は標準偏差がE F大きく測定日によりばらつきが多い傾向が認められた.

( )コントロール群としての健常者の血圧の測定値の基準時間ごとの平均値 表5

と血圧の日内の変化(図 )では,最高血圧の平均の範囲は ~8 85.0±5.3mmHgであり,最低血圧の平均値の範囲は ~ になっ91.9±5.9mmHg 61.3±6.7mmHg 51.6±7.5

た.

脳性麻痺者および健常者とも平均値で皆血圧の日内変動には規則的なリズムが

認められ,ほぼ一定な値で推移していた.また、基準時間毎の血圧の平均値は世

界保健機関( )で示されている血圧の分類では ,全ての対象者が正常範WHO 58)

囲だった。

.脳性麻痺者の平日の測定日ごとの血圧測定値と変動係数2脳性麻痺者のそれぞれの平日の測定日ごとの血圧の変化(図 ~ )と血圧9 14

6 A 113.5±7.0mmHg 69.0±5.2mmHgの平均値(表 )は, 氏が最高血圧で ,最低血圧で

. , , ,だった 同様に 氏では 氏ではB 127.8±5.0mmHg 88.8±3.8mmHg C 100.1±5.0mmHg, , , ,70.4±3.1mmHg D 97.5±3.9mmHg 59.1±2.3mmHg E 131.5±15.2mmHg氏では 氏では

, 氏では , だった.82.3±9.0mmHg F 111.7±5.4mmHg 69.5±4.4mmHg最高血圧では 氏が最も高く, 氏が最も低く,最低血圧では 氏が最も高E D B

く, 氏が最も低かった.また 氏, 氏では測定回数ごとのばらつきは共に大D E Fきかった.

6 Aさらに,測定日ごとの血圧の変動係数から算出した血圧の平均値(表 )は

氏が最高血圧で ,最低血圧で だった.同様に 氏では ,7.2±3.1 8.7±3.6 B 5.3±2.4, 氏では , , 氏では , , 氏では ,6.0±2.8 C 6.2±2.0 7.9±2.3 D 7.4±2.5 9.7±3.6 E 10.4±2.4, 氏では , だった.15.6±4.4 F 10.4±3.3 18.9±4.8

最高血圧の変動係数は 氏, 氏が最も高く, 氏が最も低く,最低血圧の変E F B動係数は 氏が最も高く, 氏が最も低かった.脳性麻痺者の最高血圧 最低血F B ,圧の変動係数の平均値と標準偏差を図 ,図 に示した.脳性麻痺者の個人間15 16の比較では,最高血圧,最低血圧ともに, , 両氏と他の対象者の間で有意なE F差が認められた .(p<0.05)

コントロール群としての健常者の測定日ごとの最高血圧,最低血圧の平均値

とそれぞれの変動係数(表 )では,最高血圧の平均値は ~7 79.9±2.8mmHg,最低血圧は ~ だった.また,最95.8±4.3mmHg 48.8±4.1mmHg 61.1±2.4mmHg

高血圧の変動係数の最大値は ,最小値は となり,最低血圧の変動係数の7.4 3.5

Page 15: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 9 -

最大値は ,最小値は となった(図 .また,健常者の最高血圧,最12.0 5.3 17)低血圧の変動係数の平均値と標準偏差(図 )では最高血圧の変動係数の1 8平均値は ,最低血圧の変動係数の平均値は であった.5.2±1.3 8.4±2.3

E脳性麻痺者と健常者の最高血圧,最低血圧の変動係数の比較では,健常者と

氏 氏との間で有意差 があり, 氏, 氏と 氏と特徴が異なっていたF (p<0.05) E F A-D(図 ,図 .19 20)

.脳性麻痺者の外泊前後の血圧の測定値3脳性麻痺者の外泊前日と外泊終了日の血圧測定値(表 )では外泊前日の最高8

血圧および最低血圧それぞれの平均値は 氏が , だA 115.7±7.4mmHg 71.3±3.6mmHgった.同様に 氏では , , 氏では ,B 131.8±4.6mmHg 90.8±3.5mmHg C 102.6±2.5mmHg

, 氏では , , 氏では ,71.5±2.4mmHg D 97.6±3.0mmHg 59.3±1.5mmHg E 133.2±6.4mmHg, 氏では , だった.最高血圧では 氏82.5±6.6mmHg F 112.0±6.2mmHg 65.5±6.5mmHg E

が最も高く, 氏が最も低く,最低血圧では 氏が最も高く, 氏が最も低かっD B Dた.

また,外泊終了日の最高血圧および最低血圧のそれぞれの平均値は, 氏がA, だ っ た . 同 様 に 氏 で は , ,117.1±5.6mmHg 70.6±2.3mmHg B 129.3±3.5mmHg, , , ,91.3±2.4mmHg C 105.4±3.3mmHg 72.7±2.7mmHg D 100.0±3.7mmHg氏では 氏では

, 氏では , , 氏では ,57.6±1.7mmHg E 139.0±mmHg 85.0±4.3mmHg F 118.3±6.7mmHgだった.最高血圧では 氏が最も高く, 氏が最も低く,最低血圧71.5±5.9mmHg E D

では 氏が最も高く, 氏が最も低かった.B D)平日と外泊前日の最高血圧の変動係数の平均値(表 を図 に示した. 氏1 9) 21 A

7.2±3.1 7.4±2.6 Bの平日の変動係数は ,外泊前日の変動係数は であった.同様に

氏は平日 ,外泊前日 , 氏は平日 ,外泊前日 , 氏は5.3±2.4 6.6±2.1 C 6.2±2.1 6.9±3.6 D平日 ,外泊前日 , 氏は平日 ,外泊前日 , 氏は平7.4±2.5 9.7±3.6 E 10.4±2.4 16.7±7.9 F日 ,外泊前日 だった.対象者の個人内の比較からは 氏が平日10.4±3.3 10.6±5.5 Eに比べ外泊前日に明らかに最高血圧の変化が大きかった ( .. )P<0.05

2 9 22 A)平日と外泊前日の最低血圧の変動係数の平均値(表 )を図 に示した.

8.7±3.6 10.1±4.9 B氏の平日の変動係数は だった 外泊前日の変動係数は であった, .

氏は平日 ,外泊前日 , 氏は平日 ,外泊前日 , 氏は6.0±2.8 7.2±3.2 C 7.9±2.3 6.8±2.4 D平日 ,外泊前日 , 氏は平日 ,外泊前日 , 氏は平9.7±3.6 8.2±4.2 E 15.6±4.4 19.6±8.9 F日 ,外泊前日 であった.対象者の個人内の比較からは 氏が平18.9±4.8 23.0±4.6 F日に比べ外泊前日に明らかに最低血圧の変化が大きかった ( .. )p<0.05

3 ( 10) 23 A)平日と外泊終了日の最高血圧の変動係数の平均値 表 を図 に示した.

氏の平日の変動係数は ,外泊終了日の変動係数は であった. 氏7.2±3.1 7.8±2.2 Bは平日 ,外泊終了日 , 氏は平日 ,外泊終了日 , 氏5.3±2.4 4.9±2.0 C 6.2±2.0 6.2±2.2 D

7.4±2.5 6.9±3.8 E 10.4±2.4 10.7±3.1 Fは平日 ,外泊終了日 , 氏は平日 ,外泊終了日 ,

, . ,氏は平日 外泊終了日 であった 対象者の個人内の比較からは10.4±3.3 10.4±5.8

Page 16: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 10 -

外泊前日のような最高血圧での明らかな差は認められなかった.

4 ( 10) 24 A)平日と外泊終了日の最低血圧の変動係数の平均値 表 を図 に示した.

, .氏の平日の変動係数は であり 外泊終了日の変動係数は であった8.7±3.6 7.7±3.5B 6.0±2.8 5.3±2.6 C 7.9±2.3 8.4±4.6 D氏は平日 外泊終了日 氏は平日 外泊終了日, , , ,

9.7±3.6 8.1±2.8 E 15.6±4.4 15.6±5.1 F氏は平日 外泊終了日 氏は平日 外泊終了日, , , ,

氏は平日 だった,外泊終了日 であった.対象者の個人間の比較18.9±4.8 21.9±6.0からは外泊前日のような最低血圧での明らかな差は認められなかった.

つまり,脳性麻痺者の血圧の変化は平日と外泊前日で認められた脳性麻痺者は

名いたが,平日と外泊終了日では差を認めた対象者はいなかった.2

.脳性麻痺者の の結果4 CMI脳性麻痺者に実施した の結果を表 に示した.脳性麻痺者ごとに のCMI 11 CMI

評価結果を見ると, 氏では「あなたはひどくはにかみやですか」といった過敏A状態 「ちょっとしたことでもかんにさわって腹が立ちますか」といった怒りの,

B C項目でチェックされていた. 氏はどの項目にもチェックされていなかった.

氏は「そばに知った人がいないとおどおどしますか」といった不適応状態 「よ,

く泣きますか」といった抑鬱状態 「ちょっとしたことでも気になって仕方がな,

いですか」という不安状態 「感情を害しやすいですか」という過敏でチェック,

. 「 」されていた 氏は 物事を急いでしなければならないときに頭が混乱しますかD「 」 ,「 」いつもそばに相談相手がほしいですか という不適応状態 よく泣きますか

という抑鬱状態 「ちょっとしたことでも気になって仕方がないですか」という,

E不安状態 感情を害しやすいですか という過敏状態でチェックされていた,「 」 .

氏はすべての項目にチェックされており 「そばに知った人がいないとおどおど,

しますか」という不適応状態 「よく泣きますか」という抑鬱状態 「人から神, ,

経質だと思われていますか」という不安状態 「ひどくはにかみやすいか神経過,

敏なたちですか」という過敏状態 「何かしようと思ったらいてもたってもいら,

」 , 「 」,れなくなりますか という怒り そして いつも興奮してイライラしていますか

「怒鳴りつけられると,すくんでしまいますか」という緊張状態でチェックされ

ていた. 氏は「人から神経質だと思われていますか」という不安 「感情を害F ,

しやすいですか」という過敏状態 「怒鳴りつけられたりすると,すくんでしま,

いますか」という緊張状態でチェックされていた.

項目毎にチェックされた数をみると,不適応,抑鬱では 氏, 氏, 氏が認C D EC D E F B Aめられ 不安は 氏 氏 氏 氏で 過敏は 氏以外で認められ 怒りは, , , , , ,

氏と 氏で認められた. の緊張の項目は日内の血圧変動の大きかった 氏E CMI Eと 氏だけがチェックがされていた.F

.脳性麻痺者の平日と外泊前日および平日と外泊終了日の の変化5 HUI脳性麻痺者ごとの平日と外泊前日,外泊終了日ごとの精神面の安定度の様子を

図 ~図 に示した. 氏の平日の精神面の状態はすべてが (大体楽25 30 A LEVEL1

Page 17: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 11 -

しそうである.そして心配とは無関係である)であったが,外泊前日には %83になり,外泊終了日には を示す日が あった.これは,外泊前日にはLEVEL2 50%親が迎えに来てくれるかどうかを心配する日があったり,外泊終了日には施設に

戻ってくることを楽しく思えない様子を反映しているものであった. 氏では平B日と外泊前日,外泊終了日のすべてが (大体楽しそうである.そして心LEVEL1配とは無関係である)であり,変化を示さなかった. 氏は施設職員からの質問Bでは外泊を非常に楽しみにしていると返答するが,自らそれを表現する言動はな

かったため,このような結果になった.しかしながら,家族の都合で外泊ができ

なかったときは,施設の電気を消したり,消灯時間になってもナースコールを繰

Cり返し押し 施設職員の注目を引こうとする行動が見受けられることがあった, .

氏では,平日は を示す日が %あるが,外泊前日では と減少し,LEVEL1 86 66%外泊後では %となった.これは,平日はあまり親や外泊のことを気にせず生100活をしているが,外泊前日になると親の迎えが心配になり,しかし,外泊すると

期待は達成されて満足して施設に戻ってくるという様子を反映していた. 氏でDは平日は を示す日が %あるが,外泊前日では と増加し,外泊後LEVEL1 66 86%では %と減少した.これは,平日の 氏が,不安を感じる他の脳性麻痺者か33 D

. ,ら影響を受けて自らも外泊についての不安を表現する様子を示していた しかし

前日になると,外泊中に家族としたいことを,職員に積極的に楽しそうに話して

いる様子を反映していた.一方で,施設に戻ってきたときには,家から離れたく

なかった様子が伺え,職員から注目を要求する生活態度を示していた. 氏は平E日で を示す日が %であり, (しばしば,いらだち,怒り,敏LEVEL1 10 LEVEL3感,心配,落ち込み,そして悪夢に苦しみを示す)を示す日の割合が %と多50く,さらに外泊前日には を示す日は %になり, (ほとんど,LEVEL1 0 LEVEL4いらだち,怒り,敏感,心配,落ち込みを示す)を示す日が %と精神面の安29定度が低下していた.また,外泊後では を示す日が %, を示LEVEL1 14 LEVEL4す日も %あった.これは, 氏が平日でも外泊日や親の迎えを気にしながら29 E生活している様子を示すものであった.さらには,外泊前日になると, 氏がさEらに不安状態で生活し,外泊後は親と施設に戻ってきて親と別れるときに,それ

を泣いて拒否する様子を反映していた. 氏では平日と外泊前日ではすべてFであるが,外泊後では に減少していた.これは, 氏が平日は外泊LEVEL1 83% E

中に父親とする活動を考えながら生活していたり,外泊前日には職員とともに外

泊日に着る服を選ぶという生活態度を反映しており,外泊終了日は,楽しい外泊

が終わったことに対して活気がなく生活している様子を反映していた.

これらの結果から,脳性麻痺者の精神面の安定度が の側面から,平日とHUI外泊前日の間で変化があったのは 名であり,平日と外泊終了日の間で変化があ4ったのは 名となった.5

.結果のまとめ6脳性麻痺者の平日の血圧変動のばらつきの大きさから 群に大別された.ま2

た,平日の血圧で日内変動と測定日毎との安定性に乏しい群( 氏, 氏)でE F

Page 18: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 12 -

は外泊前後に血圧変動がより大きくなる傾向を示した.健常者の血圧の日内変

動は小さく,脳性麻痺者の血圧における安定性に乏しい群と明確な差が認めら

れた.脳性麻痺者の日常におけるストレス状態として評価した では,脳CMI性麻痺者共通した傾向は認められなかったが,血圧変動の大きかった群の

みに緊張という特徴を示していた.作業療法士の観察による精神面の安定度

, ( , , ) .の変化は 平日と外泊前日では 名 氏 氏 氏 氏 で違いを認めた4 A C D F5 A C D同様に,平日と外泊終了日間では精神面の安定度の変化に 名( 氏, 氏,

氏, 氏, 氏)の脳性麻痺者が違いを示した.外泊前後による脳性麻痺者のE F精神面の安定度の変化では, 名( 氏, 氏)を除いて,外泊終了時の精神面2 B Cの安定度が最も低下していた.

考察

.脳性麻痺者の血圧の日内変動と測定日ごとの変化1脳性麻痺者に対する血圧を用いた先行研究は,運動に対するリスク管理の根拠

, .とする報告がほとんどであり 血圧を日内変動の視点から捉えた報告はない33-36)

このため,本研究では,脳性麻痺者の血圧変動の基礎情報を収集し,健常者の平

. ,日の血圧変動との違いを明らかにすることを目的の一つとした 今回の結果では

脳性麻痺者における血圧の日内変動は,平均値では個人内で大きく変わらないこ

とが明らかになった.一方で,血圧の時間帯ごとの標準偏差は, 氏のようにA-D健常者と変わらない脳性麻痺者と, 氏,F氏のように明らかに変動が大きい脳E性麻痺者がいた.また,測定日ごとの血圧測定値から算出した変動係数を用いた

比較でも,基準時間毎の変化と同様に①健常者と変わらない人( 氏 ,②測A-D )

定日毎の変化が大きく安定性に乏しい人( 氏, 氏)に大別された.さらに,E F平日と外泊前日の間ではこの変化が大きく安定性に乏しい 名ではさらに変化が2大きくなる傾向を示した.このような血圧の変化に関与する要因として をADL遂行するに伴う過剰な運動量,運動による疲労のしやすさを示すことや 頸椎59,60),症など関連する症状 が脳性麻痺者の一般的症状として考えられる.さらに,健61)

常者では,男性のほうが女性よりも血圧の測定値が高いという報告 や,過剰な62)

筋緊張が血圧上昇を引き起こす要因となる という報告がある.しかし,本研究63)

で測定日毎の血圧の安定性に乏しかった 名の脳性麻痺者は他の脳性麻痺者と筋2緊張, 能力,年齢,性差において明確な違いを示すものではなかった.一ADL般的に,血圧の変化には被検者の身体的側面と精神的側面が影響を与えると報告

されているが,本研究では身体的側面の影響は認められなかった.このため,脳

性麻痺者の精神的側面が脳性麻痺者の血圧の測定日毎の変化に影響を与えている

可能性が考えられた.そこで,脳性麻痺者の血圧変動に影響する要因を日常とし

てのストレスと精神面の安定度の側面から分析するために, と を用いCMI HUIて検討した.

.血圧の測定日毎の変化と との関連2 CMI血圧の測定日毎の平均値が不安定である脳性麻痺者 氏と 氏の の結果E F CMI

Page 19: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 13 -

では共通して「怒鳴りつけられたりすると,すくんでしまう 「特別な理由も」,

なく急におびえてしまう」などの質問を含む「緊張」の項目で共通して得点され

ていた.これは,生活の安全性や安定性を脅かすストレスとされ, 氏と 氏がE F日常的に特殊な状況にある可能性が考えられる結果であった.一般的に,環境か

ら人間がストレスを受けると自律神経系の機能に作用し,カテコールアミンなど

が放出され血圧が上昇するといわれており ,健常者を対象とした研究では,女19)

性に森林浴を促すことにより ストレスが少なるとともに交感神経の活動が抑制,されているという状態 ,高血圧症の患者にストレスを負荷すると交感神経の活64)

動が働き正の相関関係を示す状態を示すことが報告されている .また,ラット65)

を用いた継続的なストレスの影響では,脳内伝達系の変調や体温の日内変動にも

. , ,影響をおよぼすことなども報告されている 一方 精神科疾患と血圧の関係では66)うつ病患者の低血圧症と自己抑うつ感の間には直接的に関係が無いという報告

や,高齢者を対象とした抑うつ症状は日常生活の血圧が高いことと関係があるな

CMIど,統一した見解が得られていない.本研究の対象者である脳性麻痺者は

の項目で「不適応 「憂鬱 「不安 「過敏 「怒り」といったストレス状況」, 」, 」, 」,

を示しているにもかかわらず,規則的な血圧の日内変動を示している者も存在し

ていた.対象者が該当した の項目の概要は,知らない人がいるとおどおどCMIしますかという「不適応」状態,よく泣きますかという「憂鬱」状態,ちょっと

したことが気になって仕方がないですかという「不安」状態,ひどくはにかみや

ですかという「過敏」状態,そして,ちょっとしたことでもかんにさわっていら

いらしますかといった「怒り」状態であった.これに対して 「緊張」は脳性麻,

痺者の生活における見通しを十分にできないこと等による対人関係に対するスト

レスであり,脳性麻痺者の日中の生活において常に負荷となっているストレスの

性質であると思われた.これが生体へ直接的な影響をおよぼす状況である可能性

が推察されると共に,脳性麻痺者の血圧の日内変動を定期的に測定することでそ

の状況や程度を客観的に示すことができる可能性も示唆された.

.血圧の日内変化と との関連3 HUI12脳性麻痺者の外泊前後の血圧の変化と精神面の安定度の変化のまとめを表

に示した.精神面の安定度の指標として用いた の結果では,常に安定したHUI状況の認められた 氏以外は,外泊前後で精神面が不安定な日の割合が増加しBている傾向が認められた.このことは,逆説的ではあるが楽しみにしている外泊

が近づくことで,外泊前日には「迎えに来るのか」という不安が喚起される,外

泊後には「家族と離れたくない」という分離不安が生じていることがその背景と

して観察されていた.つまり外泊という環境変化そのものは対象者の精神面の安

定度を向上させる重要な要素であるが故に,その前後には不安定な状況に陥って

いる可能性があると考えられた.実際に対象者個々の様子として, 氏では職員Aに対して外泊の楽しみを明確に伝えないが 「外泊を時々止めてみよう」と職員,

から提案されると 「絶対いやだ」と返答する様子が観察されていた.また,大,

きな変化の見られなかった 氏でも家族の都合で外泊ができなかったときは,B

Page 20: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 14 -

施設の電気を消したり,消灯時間になってもナースコールを繰り返し押し,施設

職員の注目を引こうとする行動が見受けられることから,外泊が全般的な精神面

の安定に影響しているものと思われた.さらに, 氏は外泊前日には母親のお迎Cえがあるのか心配する様子, 氏では外泊前日には,家族が迎えに来ることが楽Dしみで精神面が安定している割合の日が増加しているものの,外泊終了日には家

族と離れたがらない様子が観察されていた.また,血圧の日内変化の不規則性が

認められた 氏と 氏も同様の傾向が認められた.特に, 氏では平日でも精神E F E面は不安定な状況で生活しているが,外泊前日はより精神面が不安定になり,外

泊終了後もその状況が引き続いている結果を示した. 氏にとっての外泊は母親Eと過ごせる貴重な機会であり,外泊前日には施設内で母親を探すため,そして外

泊終了日には母親との惜別の思いがあるため精神面が低下しているものと思われ

た.また, 氏は平日と外泊前日には安定した状態で生活しており,外泊終了日Fには精神面が低下している日を示した.これは,平日は外泊中に家族としたいこ

とを職員と話したり,外泊前日には,外泊日に着る服を選んだりしてすごしてい

るため,精神面の安定度が高く評価されたものと思われた.また,外泊終了日は

時折,家で過ごしたかったと思えるような活気のない言動が見られる様子が観察

されているため精神面の安定度が低下していると考えられた.このように脳性麻

痺者にとっての外泊は,家族と好きなことができる重要な機会であり,外泊は重

要な環境の変化であると思われた.

我が国では,障害をもった患者が身体機能の改善が認められない慢性期を長い

期間に渡って過ごしている.思春期や成人を迎えた脳性麻痺者も同様であり,精

神的,社会的な安定あるいは発達に対する支援が重要になる.これらの支援が脳

性麻痺者の健康の増進のために寄与しているが,健康の概念は量的・質的要素を

含む広範なものであり,これを包括的にとらえ支援を行うための枠組みとして

がある。 は を「個人が生活する文化や価値観の中で,目標や期QOL WHO QOL67)

待,基準および関心に関わる自分自身の人生の状況についての認識」と定義され

QOLている.障害者に焦点を当てた我が国のリハビリテーション領域における

, 「 , ,の定義は 上田らが 障害の軽減をはかるだけではなく 健全な能力を発見し68)

増進することによる最大の実現」とされている. の構成概念については厳QOL密な意味での合意は得られていないが, は大きく,①身体的状態,②心理QOL的状態,③社会的交流,④経済的・職業的状態,⑤宗教的・霊的状態に分類され

ている .今回の結果によって,長期の施設生活を余儀なくされている重度の知69)

的障害や言語障害を伴う脳性麻痺者にとっての定期的な外泊の の変化をQOLという精神的安定の度合いから把握することができると共に, の心Emotion QOL

理的状態に影響を与えている可能性が示唆された.

本研究の結果において, を用いて評価した外泊前後の脳性麻痺者の精神面HUIの安定度が低下している脳性麻痺者が多かった.しかし,これは単に外泊前後で

が低下していることを示すのではなく,外泊という脳性麻痺者の期待するQOL環境の変化が情緒的な変化をもたらしているものと思われた.これについては,

健康を維持あるいは増進するためには適度な身体的,精神的,社会的活動が必要

Page 21: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 15 -

であると言われており,特にストレスは 年代に が人間に有用な働きを1930 Selyeするユーストレスの存在を報告すると共に, らは心理的なストレスは,Lazarus人間と環境の間の特定な関係であり,その負担や資源は人間に影響を与えると報

告している .これについて,兵庫県の県民憲章においても適切なストレスが心70)

身の活性化につながること明言している .また,学校教育においても欲求やス71)

トレスと適切に調和することは,身体的,精神的健康状態にも影響あるといわれ

おり保健学習の指導目標にもされている .さらに,高齢者を対象とした研究で72)

は,精神的に活動においては適度なストレスを通して,高齢者の活動の増加が認

められたという報告や,大学生が生活の出来事を肯定的なストレスととらえてい

る群は楽観的という肯定的態度で生活しているという報告がされている .こ18 73) )

のため,脳性麻痺者の情緒的の変化は健康や に肯定的な影響を与えるためQOLに重要であると思われた.

以上述べてきたように外泊という環境変化は対象者の精神面の安定度に直接的

な影響与えると考えられたが,測定日毎の血圧が安定している対象者では血圧の

変化は認められなかった.先行研究では計算課題や運動負荷といったストレスが

血圧に影響を与えることが報告されているが ,本研究ではストレス状況時に42-44)

測定された血圧ではなく,一日の平均値を基準として用いているという方法論的

な問題が関与していることも推測された.従って,これらの対象者では測定場面

を家族と関連した話しをする時などの設定するといった工夫や,外泊時の血圧変

化も測定し比較を行うなど方法を検討する必要が考えられた.一方,測定日ごと

の血圧が不安定な 氏と 氏では,外泊前日で血圧が大きく変化する傾向にあE Fり,外泊できるかどうかといった精神的状況が 「緊張」を増悪させている可能,

性が考えられた.自律神経系に長期的な影響をおよぼすストレスは,生体に重大

な影響をおよぼす可能性もあり,このような対象者に対しては環境変化に対して

適切な調整が必要であると考えられた.

まとめ

今回,環境からの変化が脳性麻痺者の血圧にどのような変化をもたらすのかに

ついて検討してきた.今回の結果からは,脳性麻痺者にとって定期的な外泊は精

神面を変化させていたことが明らかになった.また,脳性麻痺者の平日の血圧の

日内変動は平均値から分析すると変わらないが,測定日ごとの変化から分析する

A-D E Fと健常者とかわらない安定した群 氏 と変化が大きく不安定な群 氏( ) ( ,

氏)に大別された.また,血圧の測定日毎の変化が不安定な群は で調査さCMI「 」 .れた 緊張 という対人関係のストレスが影響を与えている可能性が考えられた

外泊前後による精神面の安定度の変化と測定日毎の平均値からみた血圧の変化に

は直接的な関係は認められなかった.

今後の課題

本研究では脳性麻痺者の血圧が健常者と比較して相違があるのかを日内変動と

Page 22: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 16 -

測定日ごとの変化の視点から検討すると共に,外泊という環境変化が脳性麻痺者

の血圧にどのような変化をもたらすのかをストレスや精神面との関係から検討し

た.今回の研究法の特徴である1時間毎の測定の視点からは直接的な血圧と精神

面の関係は示されなかった.このため,脳性麻痺者の精神面の変化と血圧の変化

の関係を検討することが,直接的な関係を検討する上での知見になり得ると思わ

れる.

研究の限界

本研究は特定の施設を対象として実施したものであり,すぐに一般化できる

ものではない.

謝辞

調査を遂行するに当たり,被験者として快く協力して頂いた対象者の方,ご家

族の方,そして施設の方に深謝致します.また,稿を終えるに当たり,御指導な

らびに本論文の御高閲を賜りました主任指導教官の仙石泰仁助教授,副指導教員

の舘延忠助教授に謹んで感謝の意を表します.また,研究遂行に際し,貴重なご

助言をいただいた中島そのみ助手に深く感謝いたします.

文献

「 」 , ,1) .36.1.123-139桝本妙子: 健康 概念に関する一考察 立命館大学産業社会論集

20002)http://www.who.int/about/definition/en/助友裕子,島内憲夫: ヘルスプロモーションに関するオタワ憲章」を巡る今3) 「

7 94-99 2003日の日本的展開-オタワ憲章の枠組みに基づいた一考察-, , .

, , , . .4) 43 12 1005-1008生田清美子:健康観に関する一考察 日本公衆衛生学会誌

19965)http://www.cmh.ne.jp/m-health/m-health.html#anchor11593大迫秀樹:ネグレクトを背景に非行傾向を示すようになった児童に対する入所6)

21.2.146-157,2003施設での環境療法.心理臨床学研究

刀根洋子 発達障害児の母親の と育児ストレス-健常児の母親との比較-7) : QOL15.17-23,2002日本赤十字武蔵野短大紀要

8) : . 36.138-139, 2002和田明美 脳性麻痺を持つ子どもの両親の療育 PTジャーナル

9) : . .44.334-338,2002小宮久子 障害を持つ子供と家族への援助 保健の科学

谷口智美 浜田博文 岩瀬義昭 環境の変化が痴呆の発現に大きな影響を及ぼし10) , , :8 39-46.1998たと思われる一症例,鹿児島大学医療技術短期大学部紀要, ,

水主千鶴子:痴呆性高齢者グループホームの家庭的環境の実態.和歌山県立11).5.37-43,2002医科大学看護短期大学部紀要

大橋美幸 水野弘之:痴呆性老人と環境との関わり 環境調整を行うために.理12) , -.24. 4.225-232,1997学療法学

二宮由実 池田学 頼田綾子 小森憲治郎 田辺敬貴:老年期における心理社会的13) , , , ,

Page 23: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 17 -

- 18.5.551-556, 2003対応 老年期における心理社会的要因への対応.精神科治療学

14)Fukuhara A:A study on subjective well-being of adult patients with cerebral palsy,JPhysTherSci,13.31-35,2001

飯田稔 内藤義彦 小町喜男:活性酸素と運動 運動と循環器疾患の疫学 ,最新15) , , - -51 3 377-382.1996医学, , ,

高橋正行 野澤真人 堀江元 松本鉄也 中村保幸 木之下正彦 運動耐容能の程度16) , , , , , :,Japanese Circulation Journal,64,による運動中の交感神経系とエンドセリンの関与

Suppl.I,198.2000井上正康編著 活性酸素と運動 しなやかな健康と長寿を求めて,東京 共立出17) : - :,1999版

吉田恵美,亀山祐一:ウサギとモルモットを用いた訪問型動物介在活動-特18)別養護老人ホームとデイサービスにおける調査- 人と動物の関係学会,19) : , , ,1990真島英信 生理学 文光堂 東京

石原一成 三村達也 弘原海剛 西本勝夫 三村寛一 田中繁宏 藤本繁夫 在宅高齢20) , , , , , , :ADL QOL . .46. 1142-1152, 2001女性の身体機能と 及び の関連性 教育医学

佐藤修二 川村雅則 若葉金三 福地保馬,西山勝夫 長時間トラック運転労働に21) , , , :. .43. 1-7, 2001おける心拍変動 北方産業衛生

22) : . .46.303-308, 1998高田正信,平井晃 労働環境と血圧 日本災害医学会会誌

佐藤篤史,吉田燦 住宅熱環境が高齢者の血圧に及ぼす影響について 日本生気23) : .33.95-105,1996象学会雑誌

24) : . .122.421-424,1999河野雄平 高血圧と生体リズム 日医雑誌

25) : . .30.234-238,1993大塚邦明,渡邊晴雄 血圧の日内変動 自律神経

26)Drayer J.,Weber M.Nakamura D:Automated ambulatory blood pressure monitoring- A studyin age-matched normotensive and hypertensive men. Am Heart J 109:1334-1338,198527)van Boxtel MP, Gaillard C, van Es PN, Jolles J, de Leeuw PW: Repeated automatic versusambulatory blood pressure measurement: the effects of age and sex in a normal ageingpopulation. Journal of hypertension 14: 31-40, 199528)Wuhl E, Witte K, Soergel M, Mehls O, Schaefer F, Kirschstein M, Busch C, Danne T,Gellermann J, Holl R, Krull F, Reichert H, Reusz GS, Rascher W: Distribution of 24-hambulatory blood pressure in children: normalized reference values and role of body dimensions.J Hypertens oct: 1995-2007, 200229)Lurbe E, Thijs L, Redon J, Alvarez V, Tacons J, Staessen J: Diurnal blood pressure curve inchildren and adolescents.Journal of Hypertension. 14(1):41-6,199630) : 24 . .8.1089-1095, 2001林博史 血圧測定法-時間生物学より見た 時間測定- 血圧

31) : . .34.1402-1406, 2002森成正人,苅尾七臣 血圧とサーカディアンリズム 現代医療

大内尉義 老年者高血圧の治療-老年者における血圧値と日内変動- 血圧32) : .福士善信 小塚直樹 横井裕一郎 痙直型脳性麻痺児の歩行時の心拍数の変化 北33) , , : .

.11.65-67,1994海道理学療法

鈴木伸治 川澄本明 押味由香 三田勝己 痙直型脳性マヒの歩行時心拍数 両育34) , , , : ..42.68-69,2001

Page 24: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 18 -

小妻崇志 中瀬義弘 冨築一行 滝瀬定文 水泳運動における脳性麻痺者の心拍数35) , , , :. .3.2.111,2001と体温の変化 スポーツ整復療法学研究

野井真吾 渡辺美佐子 脳性まひ選手の競技中における心拍数変動 日本体育大36) , : ..26.2.145-150,1997学紀要

山田潔 低出力半導体レーザー照射による脳性麻痺児の表面皮膚温度の変化 療37) : ..37.77,1996育

下村依子 玉村由佳 巣黒慎太郎 松本和雄 音楽刺激による生体反応のポリグラ38) , , , :フ的研究 第 報 サーモグラフィーを中心として 日本バイオミュージック学会( II ) .

.18.1.109-116,2000誌

高橋ゆみ子 吉田ルリ子 脳性マヒ児の足部の皮膚温と温熱ケアの効果 療育39) , : ..43.97-98,200240)McNevin NH,Coraci L,Schafer J: Gait in adolescent cerebral palsy -the effect of partialunweighting.Archives of Physical Medicine & Rehabilitation.81(4):525-8, 200041)Beetz R, Jungst BK:Patterns of blood pressure and pulse frequency in infants during Vojtatherapy. Monatsschrift fur Kinderheilkunde. 131(10):716-20, 1983

藤尾美登世 玉川憲子 武井明 八竹直 川村祐一郎他 若年者における血圧値と身42) , , , , :体所見に関する検討 自律神経機能解析を含めて 日本高血圧学会総会 回プロ- - 24

182.2001グラム・抄録集,

43) , , : ,14,2,69-76.1996道広和美 丹羽哲也 松波晴人他 生理心理学と精神生理学

中尾睦宏 他 白衣高血圧症と本態性高血圧症の暗算ストレステストに対する44) :,Japanese Circulation Journal 61 Suppl.I 326 1997昇圧反応の比較 , , 号, ,

平泉武志 熊野宏昭 山内祐一 他 白衣現象と精神ストレス負荷時昇圧反応の45) , , , :, ,類似点と相違点 心理・行動特性 自律神経機能の側面から, Therapeutic Research

18(2) 533-536 1997, ,

吉田和代 他 老年者の精神ストレス 暗算 負荷に対する血行動態の変化,日本46) : ( )32(8 9) 602-603 1995老年医学会雑誌, ~ , ,

47) : , , ,2001上里一郎 心理アセスメントハンドブック 西村書店 東京

金久卓也 深町建 日本版コーネル・メディカル・インデックス 改訂版 その解48) , : ( ). ,1983説と資料 三京房

八 反 丸 健 二 増 田 彰 則 中 山 孝 史 黒 木 延 隆 鄭 忠 和 八 反 丸 真 人 心 身 医 学49) , , , , , :,44,3,193-200.2004

高松潔 太田博明 春日美智子 牧田和也 堀口文 野澤志朗 日本更年期医学会雑50) , , , , , :,8,2,172-178.2000誌

花田耕治 舌痛症と自律神経機能 心電図 間隔の周波数スペクトル解析 口腔51) : - RR ,,70,2,124-130.2003病学会雑誌

52) , , : ,14 ,2,217-224.2003石井敏明 舩水さかえ 竹内槙子 老年精神医学雑誌 巻

53)Feeny D, Furlong W, Barr RD, Torrance GW, Rosenbaum P, Weitzman S: A comprehensivemultiattribute system for classifying the health status of survivors of childhood cancer. Journal ofclinical oncology. 10(6).923, 199254)Feeny D,Leiper A, Barr RD, Furlong W, Torrance GW, Rosenbaum P, Weitzman S: The

Page 25: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 19 -

comprehensive assessment of health status in survivors of childhood cancer: application tohigh-risk acute lymphoblastic leukaemia. British Journal of Cancer. 67(5).1047-1052, 1993 May.55)Saigal S, Rosenbaum P, Stoskopf B, Hoult L, Furlong W, Feeny D, Burrows E, Torrance G:Comprehensive assessment of the health status of extremely low birth weight children at eightyears of age: comparison with a reference group. Journal of Pediatrics. 125(3).411-417, 199456)Saigal S, Feeny D, Furlong W, Rosenbaum P, Burrows E, Torrance G: Comparison of thehealth-related quality of life of extremely low birth weight children and a reference group ofchildren at age eight years. Journal of Pediatrics. 125(3).418-425, 199457)Nixon SpeechleyK, Maunsell E, Desmeules M, Schanzer D, Landgraf JM, Feeny DH, BarreraME: Mutual concurrent validity of the child health questionnaire and the health utilities index-an exploratory analysis using survivors of childhood cancer. International Journal of Cancer -Supplement.12.95, 199920)58)1999 World Health Organization-International Society of Hypertension Guidelines for theManagement of Hypertension. Guidelines Subcommittee:J Hypertens. 1999 Feb;17(2):151-83

西口宏美 障害者の作業能力評価法に関する一考察 第 報 脳性麻痺者のキー59) : ( 2 ). .4.(1).185-193,2002ボード操作能力評価について 九州看護福祉大学紀要

樋室伸顕 小塚直樹 荒井寿子 堀本佳誉 西部寿人 横井裕一郎 石倉昇子 脳性麻60) , , , , , , :. .19. 68-72,2002痺痙直型両麻痺児の立ち上がり動作分析 北海道理学療法

61) , : .MEDICAL REHABILITATION.35.70-77,佐藤一望 落合達宏 二次障害の予防と治療

2003藤尾美登世 玉川憲子 武井明 八竹直 川村祐一郎他 若年者における血圧値と身62) , , , , :

体所見に関する検討 自律神経機能解析を含めて 日本高血圧学会総会 回プロ- - 24182.2001グラム・抄録集,

63) : - ,Japanese宮城匡子 筋交感神経活動の周波数解析 心拍血圧変動との関連性

Circulation Journal,61,Suppl.II,649.1997細江雅彦 宮下久子 諏訪浩 青柳香織 佐藤雅美 大平英樹 森林浴の心理・生理面64) , , , , , :

. .27.1-10,2000への影響についての研究 岐阜県立下呂温泉病院温泉医学研究所年報

平泉武志 熊野宏昭 宗像正徳 吉永馨 田口文人 山内祐一 高血圧症患者における65) , , , , , :白 衣 現 象 に 対 す る 自 律 神 経 機 能 心 理 ・ 行 動 特 性 の 関 わ り 心 身 医 学, ..38.6.397-405,1998

森下克也 永田勝太郎 岡野寛 長谷川拓也 大槻千佳 低血圧を呈しているうつ66) , , , , :6( 6) 497-502 2002の臨床像に関する研究,心療内科, , ,

67)http://www.who.int/about/definition/en/68) : QOL. .9814-19, 1999上田敏,大川弥生 リハビリテーションと リハ研究

69)Bert Spilker , Bert, Phd, MD Spilker: Quality of Life and Pharmacoeconomics in ClinicalTrials, Lippincott Williams & Wilkins,199570 LazarusR,S, Folkman,S: Stress,appraisal and cping. New York: Springer. 1984)

71 http://web.pref.hyogo.jp/hanshinminami/action/3-1.pdf)

Page 26: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 20 -

72 http://www.edu.pref.kagoshima.jp/kari/san-ken/kenkou/hoken-naiyoukousei.pdf)

)小林正幸,豊田幸恵,沢宮容子:楽観性が心理的ストレスに与える影響につ73いて-日常的なストレスとの関連から-,東京学芸大学教育大学付属教育実践総

26 pp87-100,2002合センター研究紀要, ,

Page 27: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 21 -

付図・付表

Page 28: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 22 -

ストレスの評価法の記入方式と特徴表 1

評価法 対象 選択 記入方式 特徴

中学生以上 3択 自己記入 不安の概念を明確日本版状態-特性不安尺度

抑うつと不安傾向と分離

特定の個人にとって意味

の不明確な部分を除外

- 4段階 自己記入 抑うつ状態を評価Zungのうつ病尺度

高校生から 4段階 自己記入 抑うつ状態を評価SDS(Self-rating Depression

cale)S12歳以上 4段階 自己記入 神経症症状および不安や日本版GHQ

社会的な機能の不全さを

把握

Page 29: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 23 -

表2 全対象者のプロフィール

A B C D E F N

25 25 27 28 25 28 25年齢

男性 男性 女性 女性 男性 男性 女性性別

脳性 脳性 脳性 脳性 脳性 脳性 健常者疾患名

麻痺 麻痺 麻痺 麻痺 麻痺 麻痺

高 低 低 高 高 低 正常筋緊張

142cm 150cm 150cm 148cm 142cm 168cm 159cm身長

42.8kg 33.7kg 59.6kg 41.4kg 42.8kg 52.8kg 48.8kg体重

21.2 15 26.5* 18.6 21.2 18.7 19.4BMI

* は軽度肥満

Page 30: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 24 -

遠城寺乳幼児発達検査による脳性麻痺者の発達評価図 1

0

10

20

30

40

50

60

70

移動運動 手の運動 基本的習慣 対人関係 発語 言語理解

ヶ月

A

B

C

D

E

F

Page 31: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 25 -

表3 Health Utility Index を参考にしたEmotionの評価

Emotion

レベル 説明○

Level 1 大体楽しそうである.そして心配とは無関係である.

Level 2 時々,いらだち,怒り,敏感,心配,落ち込み,そして悪夢に苦しみを示す

Level 3 しばしば,いらだち,怒り,敏感,心配,落ち込み,そして悪夢に苦しみを示す

Level 4 ほとんど,いらだち,怒り,敏感,心配,落ち込みを示す

Level 5 病院での治療が要求されるほど,いらだち,怒り,敏感,心配,落ち込みを示す

Page 32: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 26 -

表 脳性麻痺者の平日の血圧測定値の基準時間ごとの平均値4

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

110.4 110.4 109.3 114.4 112.2 114.5 115.2 119.9 115.3最高血圧 A

8.0 10.9 9.1 16.6 10.5 7.3 7.2 11.7 10.7(mmHg) ± ± ± ± ± ± ± ± ±

129.7 128.9 127.8 130.9 130.0 125.7 127.3 123.3 125.8B

8.8 7.7 8.2 12.0 8.1 6.4 8.4 5.8 10.1± ± ± ± ± ± ± ± ±

100.9 100.1 95.6 99.7 99.5 102.4 100.9 99.0 102.6C

10.6 5.7 4.9 9.3 8.7 6.9 8.3 5.7 9.0± ± ± ± ± ± ± ± ±

95.8 93.1 93.2 98.3 98.4 104.6 97.4 97.8 99.4D

8.2 7.5 7.2 7.6 7.4 10.8 7.1 5.9 5.8± ± ± ± ± ± ± ± ±

132.2 127.5 133.1 131.4 133.6 134.3 131.6 131.5 128.5E

16.3 17.8 21.9 14.8 21.1 25.2 24.3 22.3 17.3± ± ± ± ± ± ± ± ±

109.7 109.6 109.1 13.7 109.3 114.2 115.0 113.8 111.3F

12.9 11.8 15.1 12.4 13.3 13.4 11.7 13.5 11.7± ± ± ± ± ± ± ± ±

68.6 68.6 69.0 67.2 66.0 71.5 69.0 71.1 69.7最低血圧 A

7.4 7.7 11.7 8.6 8.2 6.6 6.9 6.2 6.6(mmHg) ± ± ± ± ± ± ± ± ±

88.9 89.5 87.7 89.8 89.1 88.6 91.1 88.3 84.4B

10.6 3.9 7.7 6.3 8.8 4.5 4.6 6.0 12.6± ± ± ± ± ± ± ± ±

68.7 69.6 66.9 70.5 68.4 72.4 73.2 70.8 72.7C

5.4 4.7 3.4 7.7 5.3 8.2 8.8 5.8 4.1± ± ± ± ± ± ± ± ±

58.4 57.6 58.7 58.1 59.8 63.1 57.9 60.5 57.9D

5.2 7.3 6.3 5.6 6.1 8.8 5.0 5.8 4.3± ± ± ± ± ± ± ± ±

82.7 81.8 82.4 78.5 80.5 89.9 79.3 80.8 84.7E

11.1 13.7 13.7 10.0 16.6 17.7 14.3 17.2 21.0± ± ± ± ± ± ± ± ±

67.2 65.3 69.4 71.5 66.5 74.1 72.0 70.4 69.2F

11.0 9.0 13.1 14.0 12.7 14.9 15.7 17.7 12.9± ± ± ± ± ± ± ± ±

Page 33: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 27 -

図 氏の平日の血圧の日内変動2 A

0

30

60

90

120

150

180

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

測定時間

mmHg

最高血圧平均

最低血圧平均

Page 34: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 28 -

図 氏の平日の血圧の日内変動3 B

0

30

60

90

120

150

180

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

測定時間

mmHg最高血圧平均

最低血圧平均

Page 35: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 29 -

図 氏の平日の血圧の日内変動4 C

0

30

60

90

120

150

180

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

測定時間

mmHg最高血圧平均

最低血圧平均

Page 36: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 30 -

図 氏の平日の血圧の日内変動5 D

0

30

60

90

120

150

180

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

測定時間

mmHg最高血圧平均

最低血圧平均

Page 37: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 31 -

図 氏の平日の血圧の日内変動6 E

0

30

60

90

120

150

180

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

測定時間

mmHg 最高血圧平均

最低血圧平均

Page 38: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 32 -

図 氏の平日の血圧の日内変動7 F

0

30

60

90

120

150

180

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

測定時間

mmHg

最高血圧平均

最低血圧平均

Page 39: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 33 -

表 健常者の血圧の基準時間ごとの平均値5

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

91.4 89.4 89.8 91.9 89.5 89.1 86.6 89.0 85.0最高血圧

±7.5 ±6.8 ±6.1 ±5.9 ±7.7 ±5.1 ±4.8 ±8.0 ±5.3(mmHg)

61.3 59.0 55.1 55.3 52.8 52.6 54.3 54.6 51.6最低血圧

±6.7 ±6.4 ±4.4 ±4.1 ±5.1 ±5.5 ±6.1 ±8.5 ±7.5(mmHg)

Page 40: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 34 -

図 健常者の血圧の日内変動8

0

30

60

90

120

150

180

9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00

測定時間

mmHg

最高血圧平均

最低血圧平均

Page 41: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 35 -

図9 A氏の測定日ごとの平日の血圧の平均値(14日分のみ表示)

0

30

60

90

120

150

180

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

測定日数

mmHg最高血圧

最低血圧

Page 42: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 36 -

B氏の測定日ごとの平日の血圧の平均値(14日分のみ表示)図 10

0

30

60

90

120

150

180

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

測定日数

mmHg

最高血圧

最低血圧

Page 43: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 37 -

図11 C氏の測定日ごとの平日の血圧の平均値(14日分のみ表示)

0

30

60

90

120

150

180

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

測定日数

mmHg最高血圧

最低血圧

Page 44: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 38 -

図12 D氏の測定日ごとの平日の血圧の平均値(14日分のみ表示)

0

30

60

90

120

150

180

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

測定日数

mmHg最高血圧

最低血圧

Page 45: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 39 -

図13 E氏の測定日ごとの平日の血圧の平均値(14日分のみ表示)

0

30

60

90

120

150

180

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

測定日数

mmHg 最高血圧

最低血圧

Page 46: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 40 -

図14 F氏の測定日ごとの平日の血圧の平均値(14日分のみ表示)

0

30

60

90

120

150

180

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

測定日数

mmHg最高血圧

最低血圧

Page 47: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 41 -

表6 脳性麻痺者の血圧の平均値と変動係数

A B C D E F

113.5 127.8 100.1 97.5 131.5 111.7最高血圧の平均値

±7.0 ±5.0 ±5.0 ±3.9 ±15.2 ±5.4(mmHg)

69.0 88.8 70.4 59.1 82.3 69.5最低血圧の平均値

±5.2 ±3.8 ±3.1 ±2.3 ±9.0 ±4.4(mmHg)

7.2 5.3 6.2 7.4 10.4 10.4最高血圧の

±3.1 ±2.4 ±2.0 ±2.5 ±2.4 ±3.3変動係数

8.7 6.0 7.9 9.7 15.6 18.9最低血圧の

±3.6 ±2.8 ±2.3 ±3.6 ±4.4 ±4.8変動係数

Page 48: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 42 -

図15 脳性麻痺者の平日の最高血圧の変動係数の比較

0

5

10

15

20

25

30

35

A B C D E F

* p<0.05対象者

*

*****

**

Page 49: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 43 -

図16 脳性麻痺者の平日の最低血圧の変動係数の比較

0

5

10

15

20

25

30

35

A B C D E F

* p<0.05

******

**

対象者

Page 50: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 44 -

表7 健常者の測定日ごとの血圧の平均値と変動係数

最高血圧 最低血圧 最高血圧 最低血圧

(mmHg) (mmHg) 変動係数 変動係数

1 85.7±6.3 52.7±7.7 7.4 12.0

2 79.9±2.8 53.2±4.7 3.5 5.3

3 88.0±3.4 48.8±4.1 3.8 6.9

4 88.9±5.5 51.6±5.1 6.1 10.6

5 95.8±4.3 60.4±5.5 4.5 7.1

6 92.7±5.6 58.9±5.3 6.0 9.5

7 90.8±4.2 61.1±2.4 4.6 6.8

8 90.9±5.1 54.7±5.6 5.6 9.3

Page 51: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 45 -

図17 健常者の測定日ごとの血圧の平均値と標準偏差

10

30

50

70

90

110

130

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 日目

mmHg最高血圧

最低血圧

Page 52: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 46 -

図18 健常者の血圧の変動係数の平均値

0

5

10

15

20

25

30

35

最高血圧 最低血圧

Page 53: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 47 -

図19 平日の脳性麻痺者の血圧の変動係数と

健常者の最高血圧の変動係数の違い

0

5

10

15

20

25

30

35

A B C D E F 健常者

*

*

*p<0.05

対象者

Page 54: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 48 -

平日の脳性麻痺者と健常者の最低血圧の変動係数の違い図 20

0

5

10

15

20

25

30

35

A B C D E F 健常者

*

*

 * p<0.05

対象者

Page 55: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 49 -

表8 脳性麻痺者の外泊前日,外泊終了日の血圧の平均

A B C D E F

115.7 131.8 102.6 97.6 133.2 112.0外泊 最高血圧

±7.4 ±4.6 ±2.5 ±3.0 ±6.4 ±6.2前日 (mmHg)

71.3 90.8 71.5 59.3 82.5 65.5最低血圧

±3.6 ±3.5 ±2.4 ±1.5 ±6.6 ±6.5(mmHg)

117.1 129.3 105.4 100.0 139.0 118.3外泊 最高血圧

±5.6 ±3.5 ±3.3 ±3.7 ±9.2 ±6.7終了日 (mmHg)

70.6 91.3 72.7 57.6 85.0 71.5最低血圧

±2.3 ±2.4 ±2.7 ±1.8 ±4.3 ±5.9(mmHg)

Page 56: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 50 -

表 脳性麻痺者の外泊前日の血圧の変動係数9

A B C D E F

7.4±2.6 6.6±2.1 6.9±3.6 7.4±3.3 16.7±7.9 10.6±5.5最高血圧(mmHg)

10.13±4.9 7.2±3.2 6.8±2.4 8.2±4.2 19.6±8.8 23.0±4.6最低血圧(mmHg)

Page 57: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 51 -

図 平日と外泊前日の最高血圧の変動係数の違い21

0

5

10

15

20

25

30

35

A B C D E F

平日

外泊前日

*

* p<0.05

Page 58: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 52 -

図 平日と外泊前日の最低血圧の変動係数の違い22

0

5

10

15

20

25

30

35

A B C D E F

平日

外泊前日

*

* p<0.05

Page 59: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 53 -

表 脳性麻痺者の外泊終了日の血圧の変動係数10

A B C D E F

7.8±2.2 4.9±2.0 6.2±2.2 6.9±3.8 10.7±3.1 10.4±5.7最高血圧(mmHg)

7.7±3.5 5.3±2.6 8.4±4.6 8.1±2.8 15.6.±5.1 21.9±6.0最低血圧(mmHg)

Page 60: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 54 -

図 平日と外泊終了日の最高血圧の変動係数の違い23

0

5

10

15

20

25

30

35

A B C D E F

平日

外泊終了日

Page 61: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 55 -

図 平日と外泊終了日の最低血圧の変動係数の違い24

0

5

10

15

20

25

30

35

A B C D E F

平日

外泊終了日

Page 62: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 56 -

脳性麻痺者のCMIの結果表 11

A B C D E F

0 0 2 3 4 0不適応

0 0 1 1 1 0抑鬱

0 0 1 2 1 1不安

2 0 1 2 1 1過敏

2 0 0 0 1 0怒り

0 0 0 0 3 1緊張

4 0 5 8 11 3合計

Page 63: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 57 -

図25 A氏の平日,外泊前日,外泊終了日のHUIの測定日に対して

評価されたLEVELの割合

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平日 外泊前日 外泊終了日

LEVEL 5

LEVEL 4

LEVEL 3

LEVEL 2

LEVEL 1

Page 64: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 58 -

図26 B氏の平日,外泊前日,外泊終了日のHUIの測定日に対して

評価されたLEVELの割合

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平日 外泊前日 外泊終了日

LEVEL 5

LEVEL 4

LEVEL 3

LEVEL 2

LEVEL 1

Page 65: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 59 -

図27 C氏の平日,外泊前日,外泊終了日のHUIの測定日に対して

評価されたLEVELの割合

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平日 外泊前日 外泊終了日

LEVEL 5

LEVEL 4

LEVEL 3

LEVEL 2

LEVEL 1

Page 66: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 60 -

図28 D氏の平日,外泊前日,外泊終了日のHUIの測定日に対して

評価されたLEVELの割合

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平日 外泊前日 外泊終了日

LEVEL 5

LEVEL 4

LEVEL 3

LEVEL 2

LEVEL 1

Page 67: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 61 -

図29 E氏の平日,外泊前日,外泊終了日のHUIの測定日に対して

評価されたLEVELの割合

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平日 外泊前日 外泊終了日

LEVEL 5

LEVEL 4

LEVEL 3

LEVEL 2

LEVEL 1

Page 68: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 62 -

図30 F氏の平日,外泊前日,外泊終了日のHUIの測定日に対して

評価されたLEVELの割合

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

平日 外泊前日 外泊終了日

LEVEL 5

LEVEL 4

LEVEL 3

LEVEL 2

LEVEL 1

Page 69: 定期的な外泊が成人脳性麻痺者の 血圧と精神面の安 … › ot › SI2 › dissertation › gouda.pdfPatients with Cerebral Palsy in Care Facility 【はじめに】

- 63 -

脳性麻痺者の平日-外泊前日,平日-外泊終了日での血圧とHUIの変化表 12

平日-外泊前日 平日-外泊終了日

血圧の変化 HUIの変化 血圧の変化 HUIの変化

A - 下降 - 下降

B - 変化なし - 変化なし

C - 下降 - 上昇

D - 上昇 - 下降

E + 下降 - 下降

F + 変化なし - 下降

(血圧: +:変化あり,-:変化なし)