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最終報告書
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社2020年2月28日
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務2
本報告書について
本報告書は、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以降JOGMECとする)が、経済産業省資源エネルギー庁より受託した平成31年度鉱物資源開発の推進のための探査等事業に業する委託事業において、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以降デロイトとする)へ再委託した結果をまとめたものです。
本報告書の内容は、必ずしもJOGMECとしての見解を示すものではありません。本報告書に基づき取られた行動の帰結につき、JOGMEC及びデロイトは何らの責任を負いかねます。
本報告書に記載されている情報は、公開情報に加え、本調査の分析に利用する承諾を得た上で、ヒアリング等で第三者から提供を頂いたデータも含まれています。これら情報自体の妥当性・正確性については、 JOGMEC及びデロイトは責任を負いません。
本報告書における分析手法は、多様なものがありうる中でのひとつを採用したに過ぎず、その正確性や実現可能性に関して、 JOGMEC
及びデロイトがいかなる保証を与えるものではありません。
目次
2 レアアース製品のサプライチェーン 77
2.1 中間製品のサプライチェーン 77
2.2 最終製品のサプライチェーン 83
3 サプライチェーン上のリスク 87
4 結論 89
Appendix 1 レアアース価格の推移 91
Appendix 2 米国におけるレアアース関連企業 93
エグゼクティブサマリー 4
Executive Summary 17
1 レアアースの需給 30
1.1 レアアースの供給 30
1.2 レアアースの需要 52
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務4
エグゼクティブサマリー
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務5
本事業の背景
レアアースは、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下、「JOGMEC」という)の今中期計画において重要鉱種の一つと定められており、鉱物資源の中でも特に優先的に確保すべき鉱物である。
現状、我が国は国内で消費するレアアースの約6割*を中国から輸入しており、将来の安定供給確保の見地から、供給源の多角化が特に求められている。特にネオジムやジスプロシウムは、自動車産業やロボット産業等で用いられる永久磁石の原料であり、我が国の製造業の競争力維持・強化の観点から重要な鉱種である。
米国は稼働中の大規模レアアース鉱山を有し、その生産量は中国と豪州に続き第三位の国である。また、需要面では自国の先端産業等でレアアースを消費する主要国でもある。一方、米国はレアアース鉱石の分離・精製や中間製品製造といったレアアースの処理プロセスを米国内に十分に有していないといった課題を抱えている。
本事業の目的
本事業では、世界のレアアースの生産から消費に至るサプライチェーンを分析することにより、サプライチェーンにおける主要プレーヤーを特定し、我が国や米国で使用されるレアアースがどのような経路で供給されているかを明らかにする。
また、米国におけるレアアース需要量を用途別・鉱種別に推計することで、米国のサプライチェーンにおける安定供給確保の観点から懸念される潜在的なリスクを分析する。
本事業では我が国や米国における産業上の重要性が高い鉱物としてレアアースの世界的なサプライチェーンの詳細調査と分析を実施した
エグゼクティブサマリー
*出所: JOGMEC 「鉱物資源マテリアルフロー2018 改訂版」より
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務6
レアアースの供給
レアアースの需要
中間製品のサプライチェーン
サプライチェーン上のリスク
ヒアリング
文献調査
ヒアリング
文献調査
ヒアリング
文献調査
世界的なレアアースの生産動向と、各生産国を起点としたサプライチェーンを整理した
世界的なレアアースの用途や活用状況を整理し、米国におけるレアアース需要量を推計した
レアアースを用い中間製品のうち、特に産業上の重要性が高い磁石と触媒について、プレーヤーやサプライチェーンを整理した
ヒアリング
文献調査
レアアースの安定供給におけるサプライチェーン上のリスクを分析した
定量分析
(1) レアアースの需給 (2) レアアース製品のサプライチェーン
定量分析定量分析
(3)サプライチェーン上のリスク
本事業における調査項目
本事業では世界のレアアースの生産から消費に至るサプライチェーンを調査し安定供給におけるサプライチェーン上のリスクを分析した
調査項目
1-1 1-2 3
エグゼクティブサマリー
2-1 2-2
最終製品のサプライチェーン
ヒアリング
文献調査
主要な最終製品として、次世代車や航空機のプレーヤーやサプライチェーンを整理した
定量分析
結論
総括
世界のレアアースサプライチェーンとそのリスクを分析した結論を示した
4
概要
(4)結論
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務7
本事業におけるヒアリング先一覧
本調査では国内・海外のレアアース業界関係者約20名に対し現地調査を含めた徹底的なヒアリングを行った
エグゼクティブサマリー
政府系機関
調査機関
OSTP -
DoEDirector
R&D Consortia Program Manager 等
USGS -
A社 Principal
鉱山事業者
B社CFO
Process Manager 等
磁石メーカー D社 Former CEO
航空機部品メーカー
E社 Director Corporate Procurement
F社 Director of Mechanical Division
FCC触媒メーカー G社 Global Business Development Director
C社 CEO
K 社 General Manager磁石メーカー
中国
P 社 部長エアコンメーカー
N 社 部長航空機メーカー
O 社 チーフエンジニア船舶メーカー
M 社 部長磁石メーカー
L 大学 准教授大学
日本
自動車触媒メーカー
H社 Division Procurement Lead
航空機メーカー J 社 Supply Chain Lead
自動車モーターメーカー
I社 Chief Technology Officer
米国米国
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務8
本事業における調査結果サマリー
本調査における総括は以下のとおり
エグゼクティブサマリー
米国のマウンテンパス鉱山は軽希土が含有量の98.7%を占めており、中重希土の産出が少ない。このため各鉱種における国内需要を満たすには他国からの輸入に頼る必要があるが、採掘から電解/還元を一貫して実施可能な国は中国に限られるのが課題である。
需要の観点では、触媒に用いられるCeやLaの年間需要は約6,400トンと多いが、供給量も多いために課題とはならない。対して磁石に用いられるNdやDy等の中重希土は、年間需要は約297トンだが、様々な産業にて用いられる。マウンテンパス鉱山からの産出量も少ないことから、安定的な調達経路を構築する政策的意義が大きいと考えられる。
磁石に用いられるネオジムやジスプロシウム等の中重希土は様々な産業に用いられるため安定的な調達経路を構築する政策的意義が大きい
我が国は中国に次ぐ希土類磁石生産国であるが、世界的なシェアとしては中国が多くを占める。これは、中国はレアアースの採掘から電解/還元を一貫して実施することで生産コストを抑制し、安価な磁石を製造できるためである。
次世代車や航空機については磁石の品質の高さが要求されることに加え、品質の安定のために一度契約したサプライヤーを変更することは少ない傾向にあるため、技術力の高い日系メーカーが一定のプレゼンスを発揮している。
一方で風車などについては要求される磁石の品質が次世代車や航空機ほど高くないことから、近隣にて一貫したサプライチェーンを持ちコストの低い生産が可能な中国製磁石が採用される傾向にある。
特に中重希土においてはサプライチェーンに偏りが見られており、分離・精製や電解/還元等の上流工程におけるサプライチェーンの多様性の低さがリスクとなっている。
次世代車や航空機においては技術力の高い日系メーカーが一定のプレゼンスを発揮しているが磁石の品質の高さを必要としない産業も多いことから世界的なシェアの多くを中国が占めている
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務9
米国のMt. Passはその生産の8割以上を安価なセリウムとランタンで占めており、高価な中重希土類が殆ど産出されない。
中重希土が46%と豊富な鉱山は中国南部にのみ存在するが、豪州のMt. Weldも中重希土の割合が5.3%と米国より高い。
各鉱床におけるレアアース含有率
レアアース鉱山のうち中重希土類が豊富に含まれる鉱山は中国にしか存在しないが米国と比較して豪州の鉱山では中重希土類の含有率が高い
Mt. Pass Bayon OboA
鉱種別割合
年間
生産量*
特徴
15,000t N/A59,500t20,000t
軽希土が含有量の98.7%を占め、中重希土の産出が少ない
中国北部には軽希土の鉱山が、南部には中重希土の鉱山が多く分布している
米国Mt.Passと比較して中重希土の含有量が多く、
Dyが0.25%を占める
B Mt. Weld
軽(54.4%)
中・重(45.6%)
軽(98.1%)
中・重(1.9%)
軽(98.7%)
中・重(1.3%)
La
(34.0%)
Ce
(48.8%)Nd
(11.7%)
Ce
(50.0%)
La
(23.1%)
Nd
(18.6%)
Sm
(0.8%) Dy (0.1%)
Xinfeng
La
(27.7%)
Ce
(3.3%)
Sm (4.6%)
Dy (3.8%)
その他中重希土(37.2%)
軽(94.7%)
中・重(5.3%)
La
(23.9%)
Ce (47.5%)
Nd
(18.1%)
Sm (2.4%)Dy (0.25%)
C-1 C-2
*:レアアース酸化物換算の重量を表す
Sm
(0.8%)
その他中重希土 (Tb, Y 等)
エグゼクティブサマリー
Nd (17.8%)
Pr
(4.2%)Pr (5.2%) Pr (6.2%)
Pr (5.2%)
サプライチェーン上のリスク
製品のサプライチェーン
レアアースの需給
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務10
放射性廃棄物の処理や分離・精製と電解/還元における技術力の観点から、自国内に採掘から電解/還元までのサプライ
チェーンを持つ国は中国のみである。また、ベトナムやタイにも電解/還元施設があるが、多くは中国資本である。
採掘から電解/還元までの主要サプライチェーンの整理
レアアースサプライチェーンの上流に着目すると中国を除いて採掘から電解/還元までを一貫して実施できている国は存在しない
中間製品化分離・精製 電解/還元採掘 ・選鉱
生成物
鉱石
精鉱
合金NORM* TENORM*_
米国
*:NORMは自然起源放射性物質、TENORMは人為的に濃度が高められた自然起源放射性物質を意味する
レアアース製品のサプライチェーンについては
第2章で詳述
酸化物
・・・
・・・
助触媒材
・ ・ベトナム タイ
TREI (Toyotsu Rare Earth India)
A
ロシア
Lovozerskiy
GOK
Solikamsk
MW
NPM Silmetエストニア
ベトナム Vietnam Rare EarthE
インド
D
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成*: 日本はリサイクルにて回収されたレアアースの処理など、一部の例において分離・精製や電解/還元の能力を有する
:非稼働:稼働中
メタル
・・・
等
中国 ・ ・
ベトナム タイ
C
豪州
マレーシア
・ ・ベトナム タイB
(精製加工)
*
盛和資源控股
IREL (Indian Rare Earth) TREI (Toyotsu Rare Earth India)
Solvay
六大レアアース集団
エグゼクティブサマリー サプライチェーン上のリスク
製品のサプライチェーン
レアアースの需給
(軽希土)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務11
2014年から2018年までの米国のレアアース年間総需要量は平均約6,718トンと推計された。このうち磁石用途は全体の
3.6%程度だが、内訳として次世代車や風車などの成長分野が占める割合が大きい。
米国のレアアース需要量
米国のレアアース需要量は年間約6,700トンであり特に磁石用途に関しては次世代車や風車などの成長分野における需要が大きい
航空機
58.6
130.0
7.3
風車
次世代車
100.7
エアコン
84.9%
10.6%
次世代車
(1.9%)
FCC触媒
エアコン(0.9%)
風車
(1.5%)
航空機
(0.1%)自動車触媒
永久磁石に用いられるNd, Dyは
次世代車や風車など成長分野における需要が大きいため、安定した調達ルートの確保が求められる
Nd Dy Ce La
平均需要量 (2014~2018)
用途
総需要量(5年分平均)
6,717.9t
用途別需要量 磁石用レアアース需要量
総需要量のうち多くを触媒用途が占めているが、米国内で生産可能である。安価なCe, Laが主体であるため、調達ルート確保の緊急性は低い
航空機 6.8 t 0.5 t
風車 97.3 t 3.5 t
次世代車 117.4 t 12.6 t
磁石
合計 276.2 t 20.4 t 2953.9 t 3467.4 t
FCC触媒 2238.5 t 3467.4 t
自動車触媒
715.5 t
触媒
A
B
54.7 t 3.9 tエアコン
磁石需要(5年分平均)
296.6t
エグゼクティブサマリー サプライチェーン上のリスク
製品のサプライチェーン
レアアースの需給
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務12
米国における磁石用途のレアアース需要量は、次世代車が5年間の平均で約130トンと大きなシェアを占める。風車、エア
コンが続いており、航空機は1台当たりの需要量は多いが年間需要台数が少ないために総レアアース需要量も小さい。
米国におけるレアアース需要量(磁石用途)
米国産・米国消費の次世代車・風車・航空機・エアコンに用いられる磁石用途のレアアース需要量は 2018年では合わせて年間約322トンである
A
0
150
300
450310.9271.1 307.6 271.5
322.2
Total
201820162015 20172014
0
100
6.7
5.86.3 7.40.4
7.0
0.4 6.5 0.60.5 0.5 7.9
6.2 7.9 8.4
117.6 103.2 107.5 111.0 148.011.5
15.9
0
300
11.9
163.8
12.6 11.1
130.2 119.0114.2 122.9
125.4 123.7 85.44.5 4.4
0
300
2.774.4 77.4
77.1
2.8 3.1
129.9 128.1 80.2 88.5
次世代車
風車
航空機
エアコン
(t)
Nd
Dy
(t)
(t)
(t)
Nd
Dy
Nd
Dy
風車*
エアコン
次世代車(EV/HEV)
航空機
0
300
61.5
53.752.853.2 3.8 4.03.8 3.8 56.4 57.4 4.1
57.0 56.6 57.6 60.4
Nd
Dy
*:風車は最終組み立てが現地にて行われるため、米国にて導入されたものは全て米国産としての条件を満たすと仮定し推計した
(t)
エグゼクティブサマリー サプライチェーン上のリスク
製品のサプライチェーン
レアアースの需給
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務13
米国における触媒用途のレアアース需要量は、FCC触媒が年間約5,700トンと非常に大きい。次いで自動車触媒の需要
量も年間約720トンと、磁石用途と比較して米国産・米国消費の最終製品における触媒の需要量が大きい。
米国におけるレアアース需要量(触媒用途)
米国産・米国消費のFCC触媒・自動車触媒に用いられる触媒用途のレアアース需要量は 2018年では合わせて年間約6,400トンである
B
5,657.3 5,708.5 5,830.3 5,664.3 5,668.8
0
2,500
5,000
7,500 6,362.1
704.7 746.3 756.4 676.4 693.5
6,454.8 6,586.7 6,340.7 6,362.2
Total
201820162015 20172014
2,219.4 2,239.5 2,287.3 2,222.2 2,223.9
3,437.9 3,469.0 3,543.0 3,442.2 3,444.9
0
2,500
5,000
7,5005,657.3 5,830.35,708.5 5,664.3 5,668.8
704.7 746.3 756.4 676.4 693.5
0
2,500
5,000
FCC触媒
自動車触媒
Ce
(t)
Ce
La
FCC
触媒
自動車触媒
(t)
(t)
出所:JOGMEC“自動車触媒における白金族使用同行及び関連技術動向”、各社ヒアリング等を基に作成
エグゼクティブサマリー サプライチェーン上のリスク
製品のサプライチェーン
レアアースの需給
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務14
日系完成車メーカーの多くはモーター製造を内製化しており、磁石も日系企業から調達している。米系完成車メーカーでも
品質の高さから日本製のモーターや磁石が採用されるが、一部では中国製の磁石を用いたモーターを採用している。
日米の次世代車のサプライチェーン
日系・米系の次世代車メーカーは共に上流のサプライチェーンにおいて品質の観点から日本製の磁石やモーターを活用するケースが多い
次世代車駆動モーター磁石
日系次世代車
: 日系企業
出所: 専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
米系次世代車
エグゼクティブサマリー サプライチェーン上のリスク
製品のサプライチェーン
レアアースの需給
H社は日系電機メーカーから調達
E社は自社製造と系列のトランスミッションメーカーからの調達が混在している
日系完成車メーカー
E社
F社
G社
H社
日系磁石メーカー
A社
C社
B社
D社
基本的には、品質の高さから日系メーカー製の磁石が採用される
完成車メーカーF社は、日系磁石メーカーD社からDyフリー磁石を調達している
多くのメーカーが内製化している
中国製磁石は採用が検討され始めた段階である
EVベンチャー 販売の拡大に伴いモーター製造を内製化した
中国系磁石メーカーI社
中国系磁石メーカーJ社
Big3
日系磁石メーカーA,B,C社 日系Tier1 K,L社
韓国系Tier1 M社
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務15
出所: 専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
航空機分野では品質が重視される傾向より、一度選定されたサプライヤーが継続的に選定されることが多い。また高性能
機器を製造可能な日系精密モーターメーカーが高いシェアを占めるなど、日系を含む先進国メーカーのシェアが高い。
レアアースを用いた航空機部品のサプライチェーン
航空機のアクチュエーターの選定は実質的にTier 1が行っておりTier 1は品質を重視して磁石やモーターを日米のメーカーから調達している
航空機メーカーTier 1部品メーカー
航空機
: 日系企業
Boeing
Airbus
米系コングロマリット F
米系企業
英系企業
アクチュエーター
アビオニクス
ジェネレーター
APU
エンジン
米系メーカー2社
エンジン
モーター磁石
日系精密
モーターメーカー
米系モーターメーカー
欧系モーターメーカー
日系磁石メーカー
C社
欧系磁石メーカー D
A社
米系磁石メーカー E
ネオジム磁石
サマコバ磁石
中国系磁石メーカー
品質が重視されることに加え、一度選定したサプライヤーが継続的に選定される傾向から、日系メーカーが強い
B社
水平安定板 フラップ カーゴドア
等に用いられる
フライバイワイヤ化に伴う油圧システムの電動化に用いられる
欧系溶射材料メーカー
コーティング材米系メーカー
2社
(全機種)
Tier 1が選定
選定
コーティング材として納入された粉末を、エンジンメーカーが溶射している
米系コングロマリット F
米系コングロマリット G
米系コングロマリット G
高速回転するエンジン周辺は非常に高温となるため、熱に強いサマコバ磁石が用いられる
(A320シリーズ) ネオジム磁石は日本製が多く、サマコバ磁石は欧米企業が強い
磁石メーカー
エグゼクティブサマリー サプライチェーン上のリスク
製品のサプライチェーン
レアアースの需給
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務16
中重希土は米国や豪州でも産出されるが、分離・精製を実施可能な国は中国のみである。このため分離・精製プロセスを
中心に供給経路を多角化できておらず、サプライチェーン上のリスクとなっている。
中重希土のサプライチェーンにおけるリスク
中国のみが中重希土の分離・精製施設を持つことから分離・精製工程を中心に供給経路を多角化できていないことが課題である
電解/還元 合金化 磁石製造中間製品製造(駆動モーター等)
最終製品製造(次世代車等)
分離・精製採掘・選鉱
主要国
日本
ドイツ
米国
豪州
日本
米国
欧州
韓国
日本
米国
欧州等
中国 中国
中国
中国
ベトナム
中国
サプライチェーン上のリスク中重希土の分離・精製を実施可能な国が中国のみである
エグゼクティブサマリー サプライチェーン上のリスク
製品のサプライチェーン
レアアースの需給
中国
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務17
Executive Summary
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務18
Background
Rare earth minerals (here after REE) have been selected as important minerals in the current midterm plan for the Japan Oil, Gas
and Metals National Corporation (known as JOGMEC) and should be secured in special priority.
Currently, 60%* of REE consumed in Japan have been imported from China. Therefore, from the perspective of improving supply
security, diversification of supply source of REE is important. In particular, neodymium and dysprosium are used in permanent
magnets for automobiles and robots manufacturing. Thus, neodymium and dysprosium are vital minerals from the perspective of
maintaining and strengthening Japan’s manufacturing competitiveness.
US is the primary consumer of REE, while at the same time, is the third largest producer of REE after China and Australia,
having a large-scale REE mine. However, US lacks midstream REE supply chain, namely separation, purification, and
intermediate product manufacturing within the country.
Purpose
This study identifies global REE supply chain from mining to consumption and their main players to realize production-demand
balance and market trend of REE related to Japan and US.
Additionally, this study estimates the amount of US REE demand by usage and by mineral type, and clarifies potential risks in US
supply chain.
This study investigated global supply chain of rare earth, which is
industrially important minerals in Japan and US, and identified the risk of it
Executive summary
*Source:Based on public information(JOGMEC “鉱物資源マテリアルフロー2018 改訂版”), Interviews with REE experts and so on.
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務19
Summary
Review
Summary and
conclusion of
the study for
global REE
supply chain
Study items
This study investigated the global REE supply chain and identified the risk
of Japanese REE supply chain
Executive summary
REE
supply
REE
demand
Supply chain for
intermediate
products utilizing
REE
The Risk of
REE Supply
Chain
Interview
Desktop research
Interview
Desktop research
Interview
Desktop research
Global REE
production trends
and supply
chains
Global REE
usage and
utilization status,
and estimated
US REE demand
Supply chains
and major US
players regarding
intermediate
products such as
magnets and
catalysts
Interview
Desktop research
Interview
Desktop research
The identified
risk of Japanese
REE supply
chain on a
security
Quantitative analysis
(1) REE supply and demand (2) REE product supply chain
Quantitative analysisQuantitative analysis
(3) The Risk of
REE supply chain
1-1 1-2 2-1 32-2
Quantitative analysis
Stu
dy ite
ms
Ove
rvie
w
Supply chain for
final products
utilizing REE
Supply chains
and major US
players regarding
final products
such as EV/HEV
and aircrafts
4
(4)Summary
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務20
List of interview participants
This study conducted extensive interviews with various experts who have
the knowledge of REE in related industries
Executive summary
OSTP -
DoEDirector
R&D Consortia Program Manager
USGS -
Company A Principal
Company BCFO
Process Manager
Company D Former CEO
Company E Director Corporate Procurement
Company F Director of Mechanical Division
Company G Global Business Development Director
Company C CEO
Company K General ManagerMagnet
Manufacturers
China
Company P ManagerAir Conditioner
Manufacturers
Company N Chief EngineerAircraft
Manufacturers
Company O Chief EngineerVessel
Manufacturers
Company M Manager of Magnet DivisionMagnet
Manufacturers
University L Associate ProfessorUniversity
Japan
Automotive
Catalyst
ManufacturersCompany H Division Procurement Lead
Aircraft
ManufacturersCompany J Supply Chain Lead
Motor
Manufacturers Company I Chief Technology Officer
USUS
Government
Institutions
Investigative
Agencies
Mining Operators
Magnet
Manufacturers
Aircraft Parts
Manufacturers
FCC Catalyst
Manufacturers
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務21
Survey summaries
Survey summaries are as below
Since, 98.7% of US’s Mt. Pass mine production is LREE (known as light rare earth elements), US cannot supply enough middle and heavy
rare earth elements (or collectively called as SEG+) by themselves. Thus, US must rely on foreign countries to meet their domestic demand
of SEG+ in particular. Currently, there are few countries has entire supply chain of SEG+ from mining to refining.
Although annual demand of neodymium, dysprosium, and other SEG+ are about 297 tonnes (it is significant small than demand of LREE),
SEG+ is indispensable minerals used in magnets and various industries. Given that the Mt. Pass mine produces only low quantities of SEG+,
building a stable supply chain would be politically significant.
Because the neodymium, dysprosium and other SEG+ are used in various industries, building a stable
supply chain would be politically significant
Japan is the 2nd largest producer of REE magnets after China, but China has a significantly larger share of the world market. This is because
China is able to keep production costs low by covering the whole upstream process of REE supply chain.
EV/HEVs and aircrafts require high-quality magnets, and companies rarely change suppliers once they have contracted with one due to
quality concerns. This has enabled Japanese manufacturers with their sophisticated technology to keep some presence in the market.
On the other hand, the quality requirements for magnets to be used in wind turbines and other items are not as high as those for EV/HEVs
and aircrafts, so Chinese magnets are frequently used in such applications.
The lack of diversification of supply chain notably in SEG+ separation process is the risk of current global supply chain.
Japanese manufacturers have large market share for magnets and motors used in EV/HEVs and aircrafts;
however, many other industries do not require such high quality magnets, Chinese magnet are often used
Executive Summary
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務22
Over 80% of REE production from US’s Mt. Pass is of low-value cerium and lanthanum, with SEG+ hardly being
produced. Australia’s Mt. Weld has SEG+ in a ratio of 5.3%, which is higher than that of US.
Ratio of REE contained in each deposit
Mines with SEG+ deposits exist only in China; however, compared to US
Australia has a higher ratio of SEG+
Mt. Pass Bayon OboA
Ra
tio
by m
ate
ria
l ty
pe
Ye
arl
y
pro
du
ctio
n
am
ou
nt*
Ch
ara
cte
ri
stics
15,000t N/A59,500t20,000t
LREE accounts for 98.7% of
contents. Share of SEG+ are low
In China, LREE rich mines are mainly in the north,
while SEG+ rich mines mainly in the south
Compared to Mt. Pass (US)
deposits, containing high
amounts of SEG+, with 0.25% Dy
B Mt. Weld
LREE(54.4%)
SEG+(45.6%)
LREE(98.1%)
SEG+(1.9%)
LREE(98.7%)
SEG+
(1.3%)
Xinfeng
Other SEG+
(37.2%)
LREE(94.7%)
SEG+(5.3%)
C-1 C-2
*: Represents REE oxide conversion weight
Executive Summary The Risk of
Supply Chain
REE Product
Supply Chain
REE Supply
and Demand
Other SEG+ (e.g. Tb, Y)
La
(34.0%)
Ce
(48.8%)Nd
(11.7%)
Ce
(50.0%)
La
(23.1%)
Nd
(18.6%)
Sm
(0.8%) Dy (0.1%)
La
(27.7%)
Ce
(3.3%)
Sm (4.6%)
Dy (3.8%)La
(23.9%)
Ce (47.5%)
Nd
(18.1%)
Sm (2.4%)Dy (0.25%)Sm
(0.8%)
Nd (17.8%)
Pr
(4.2%)Pr (5.2%) Pr (6.2%)
Pr (5.2%)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務23
Due to regulations on radioactive materials and the technological capabilities for each processing, there are no
countries other than China has an entire REE supply chain within their own borders.
Major supply chains from mining to refining
In upstream REE supply chain, China is the only country that can perform
the entire process from mining to refiningP
rod
uct
US
The supply
chain of
intermediate
products is
detailed later.
・・・
・ ・Vietnam Thailand
TREI (Toyotsu Rare Earth India)
A
Ru
ssia
Lovozerskiy
GOK
Solikamsk
MW
NPM SilmetEstonia
Vietnam Vietnam Rare EarthE
Ind
ia
D
Source:Based on public information, Interviews with REE experts and so on.
*: Japan has separation, purification and refining capabilities in some cases, such as the processing of rare earth collected by recycling.
Chin
a
・ ・Vietnam Thailand
C
Au
str
alia Malaysia
・ ・Vietnam ThailandB
(Purification)
*
Leshan Shenghe
Rare Earth
IREL (Indian Rare Earth) TREI (Toyotsu Rare Earth India)
Solvay
The six major producers
Executive Summary The Risk of
Supply Chain
REE Product
Supply Chain
REE Supply
and Demand
Intermediate
productSeparation and Purification RefiningMining and Concentration
Ore
Concentrate
AlloyNORM* TENORM*_
*:NORM means naturally occurring radioactive material, TENORM means artificially enriched naturally occurring radioactive material
Oxide
・・・
Co-catalyst
Metal
・・・
:Non - Operation :Operation
(LREE)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務24
Average yearly demand for US REE usage is estimated as 6,660 tonnes. REE usage is growing notably for
EV/HEVs and wind turbine applications.
US REE demand
130.0
100.7
Wind turbines
EV/HEVs
58.6
7.3
Aircrafts
Air conditioners
84.9%
10.6%
Wind turbines
(1.5%)EV/HEVs
(1.9%)
Automotive Catalysts
FCC catalysts
Aircrafts
(0.1%)
Air conditioners(0.9%)
There is great demand in growing
industries such as EV/HEVs and Wind
turbines for Nd and Dy, which are used in
permanent magnets. Because of this,
there is a need to establish a secure
procurement route
Nd Dy Ce La
Average Demand (2014~2018)
Usage
Total demand
(5 year average)
6659.3t
Demand by usage Demand by magnet usage
Usage in catalysts takes up most of the
total demand, but as the primary
components (low-cost Ce and La) are
able to be produced within US.
Therefore, securing a procurement route
is of low urgency
Aircrafts 6.8 t 0.5 t
Wind
turbines97.3 t 3.5 t
EV/HEVs 117.4 t 12.6 t
Ma
gn
ets
Total 276.2 t 20.4 t 2953.9 t 3467.4 t
FCC
catalysts2238.5 t 3467.4 t
Automotive
catalysts715.5 t
Ca
taly
sts
A
B
54.7 t 3.9 tAir
conditioners
Magnet demand
(5 year average)
296.6t
Executive Summary The Risk of
Supply Chain
REE Product
Supply Chain
REE Supply
and Demand
US REE demand is approximately 6,700 tons per year; there is great
demand for magnets in EV/HEVs and wind turbines
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務25
As for annual rare earth demand as a magnet in US, EV/HEVs consume about 130 tonnes in average of recent 5
years, followed by wind turbines and air conditioners.
Rare earth annual demand as a magnet in US
Rare earth demand of EV/HEVs, wind turbines, air conditioners and
aircrafts that produced and consumed in US on 2018, is about 322 tonnes
A
0
150
300
450271.1 307.6 310.9 271.5
322.2
Total
201820162015 20172014
0
100
0.46.3 0.56.5 5.8 0.4
7.0
7.4 0.5 7.9 0.6
6.7 6.2 7.9 8.4
117.6 103.2 107.5 111.0 148.011.5
15.9
0
300114.2
12.6 11.1
119.0
11.9
130.2 122.9 163.8
125.4 123.7 85.44.5 4.4
0
300
74.42.7
77.1
77.43.12.8
129.9 128.1 80.2 88.5
EV/HEVs
Aircrafts
Air conditioners
Wind turbines
(t)
Dy
Nd
(t)
(t)
(t)
Nd
Dy
Nd
Dy
Wind
turbines*
Air
conditioners
EV/
HEVs
Aircrafts
0
300
3.8
56.6
53.2 4.052.8 4.13.8 3.853.7 56.4 57.4
57.0 57.6 60.4 61.5
Nd
Dy
*:Since final assembly of wind turbines are done on-site, all of wind turbines installed in US satisfied the terms of US production in this study
(t)
Executive Summary The Risk of
Supply Chain
REE Product
Supply Chain
REE Supply
and Demand
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務26
As for annual rare earth demand as a catalyst in US, demand for FCC catalysts is about 5,700 tonnes in average
of recent 5 years, followed by automotive catalysts. REE demand of catalysts is much larger than that of magnets.
Rare earth annual demand as a catalyst in US
Rare earth demand of FCC catalysts and automotive catalysts that
produced and consumed in US on 2018, is about 6,362 tonnes
B
5,657.3 5,708.5 5,830.3 5,664.3 5,668.8
0
2,500
5,000
7,500
704.7 746.3 756.4
6,586.7
676.4 693.5
6,454.86,362.1 6,340.7 6,362.2
Total
201820162015 20172014
2,219.4 2,239.5 2,287.3 2,222.2 2,223.9
3,437.9 3,469.0 3,543.0 3,442.2 3,444.9
0
2,500
5,000
7,5005,664.35,830.35,657.3 5,668.85,708.5
704.7 746.3 756.4 676.4 693.5
0
2,500
5,000
7,500
FCC Catalysts
Automotive
Catalysts
Ce
(t)
Ce
La
FCC
Catalysts
Automotive
Catalysts
(t)
(t)
Source:Based on public information(JOGMEC “自動車触媒における白金族使用同行及び関連技術動向”), Interviews with REE experts and so on.
Executive Summary The Risk of
Supply Chain
REE Product
Supply Chain
REE Supply
and Demand
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務27
Japanese EV/HEV manufacturers tend to manufacture their motors internally and procure Japanese magnet. Part
of American manufactures also procure Japanese motors and magnets because of their high quality.
Supply chain for Japanese and American EV/HEVs
Both Japanese and American EV/HEV manufacturers often procure
magnets and motors from Japanese companies because of their quality
EV/HEVsMotorMagnet
Company H procures their motor
from Japanese electronic manufacturers
Company E manufactures
their motor internally or by
Affiliates
Ja
pa
ne
se
EV
/HE
Vs
Ma
nu
factu
rers
E
F
G
H
Japanese
Manufacturers
A
C
B
D
Basically, Japanese magnets are used
because of their high quality
Some Japanese EV/HEV manufacturer
procures Dy free magnet from
Japanese company
Many of them manufacture
their motors internally
Chinese magnets are just beginning to
be considered for procurement
EV Venture Switched to in-house manufacturing
due to sales expansionChinese Manufacturer I
Chinese Manufacturer J
Big3
Japanese Manufacturers
A,B,C
Japanese Tier1
K,L
Korean Tier1 M
Ja
pa
ne
se E
V/H
EV
sA
me
rican
EV
/HE
Vs
Executive Summary The Risk of
Supply Chain
REE Product
Supply Chain
REE Supply
and Demand
:Japanese company
Source:Based on public information, Interviews with REE experts and so on.
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務28
They rarely change their suppliers after once they select suppliers due to high quality and reliability. Thus, Tier 1
companies procure magnets and motors from Japanese, American, and European manufacturers.
Supply chain for combat aircraft parts utilizing REE
Tier 1 usually select components of aircrafts, and tend to procure magnets
and motors from Japanese manufacturers due to high quality
Aircraft
ManufacturersTier 1
Components
Manufacturers
Aircrafts
Boeing
Airbus
American
conglomerate F
American
Company
British
Company
Actuator
Avionics
Generator
APU
Engine
Engine
MotorMagnet
Japanese
Motor Manufacturer
American
Motor Manufacturer
Japanese Manufacturers
C
European
Manufacturers D
A
Nd
Magnet
Sm
Co
Magnet
Chinese
Manufact
urers
Quality and reliability is
important for Tier 1
Once-selected
suppliers are tend to be
selected continuously
B
Used in
Horizontal stabilizers
Flaps
Cargo doors
Used for electrification
of hydraulic system with
fly-by-wire technology
European coating
materials manufacturer
Coating materialsTwo American
Manufacturers
(All types)
Selected by Tier 1
Selected
Engine manufacturers
spray coating powder
by themselves
(A320 series) Japanese company has large
share in Nd magnets, and
Europeans and Americans
are in SmCo Magnets
Magnet
Manufacturers
American
Manufacturers E
European
Motor Manufacturer
Two American
Manufacturers
:Japanese company
American
conglomerate F
American
conglomerate G
American
conglomerate G
Since around the engine became
high temperature, SmCo Magnet
are often used
Executive Summary The Risk of
Supply Chain
REE Product
Supply Chain
REE Supply
and Demand
Source:Based on public information, Interviews with REE experts and so on.
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務29
Since SEG+ are also produced in US and Australia, separation plants of it only exist in China. Thus, supply chain
is not be diversified notably in the separation and purification process.
Risk of the REE Supply Chain
Because only China has the separation plants of SEG+, supply chain is not
diversified notably in the separation and purification process
Refining AlloyingMagnet
Manufacturing
Intermediate Product
Manufacturing
Final Product
Manufacturing
Separation and
Purification
Mining and
Beneficiation
Ma
in C
oun
try
Japan
Germany
US
Australia
Japan
US
Europe
South Korea
Japan
US
Europe
ChinaChina
China
China
Vietnam
China
Risk of the REE Supply ChainOnly China has separation plant of SEG+ mixture
China
Executive Summary The Risk of
Supply Chain
REE Product
Supply Chain
REE Supply
and Demand
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務30
1. レアアースの需給
1.1 レアアースの供給
1.1.1 レアアース生産の概況
1.1.2 レアアース生産国のサプライチェーン
1.1.3 鉱山・探鉱プロジェクト
1.1.4 米国における環境規制
1.2 レアアースの需要
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務31
米国調査機関であるUSGSによれば、世界のレアアース埋蔵量は約1.2億トンとされ、そのうち4割程度を中国が占めてい
る。一方、米国の埋蔵量については、全体の1%程度に過ぎない。
レアアース埋蔵量
世界のレアアース埋蔵量のうち中国が4割程度を占めている
44
(38%)
22
(19%)
22
(19%)
12
(10%)
7
(6%)
1
(1%)
中国
ブラジル インド
ベトナム
ロシア
豪州
米国
その他
2018年レアアース埋蔵量
1.2億トン
(Mt)※酸化物換算
出所: USGS 「Mineral Commodity Summaries」
レアアースの需給1
※ ベトナムについてはUSGSのデータ上は埋蔵量が計上されているが、その他の調査では確認が取れないため、想定ベースの値であると考えられる※ アフリカにもレアアース鉱床が存在するが、調査・開発が進んでおらず、計上されていない
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務32
1982年に、中国北部に位置する世界最大のレアアース鉱床であるバヤンオボー鉱山でレアアース生産が開始された。以
降、世界で消費されるレアアースの大部分を中国が生産している。
長期的なレアアースの生産量の推移
1970年代は米国・豪州が主なレアアース生産国であったが1980年代から台頭した中国が現在のレアアース生産の大部分を占めている
40
80
0
60
20
100
120
140
160
180
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2018
(千トン)※酸化物換算
中国 豪州 米国 その他
出所: USGS 「Mineral Commodity Summaries」
直近10年分については、次頁で内訳を詳述
1982年に中国でレアアース生産が開始
米国マウンテンパス鉱山が一時閉鎖
レアアースの需給1
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務33
中国における2018年のレアアース生産量は12万トンにのぼり、世界全体での生産量の7割を占めている。米国について
は、マウンテンパス鉱山が再稼働し、1.5万トン(9%)を生産している。
近年におけるレアアースの生産量の推移
2012年以降稼働を再開した米国のマウンテンパス鉱山をはじめ世界的なレアアース生産量は増加傾向にある
出所: USGS 「Mineral Commodity Summaries」
15
120 129 130105 95 95 95
105 105105
120
0
100
150
50
200
124
7
110
170
2008 20122009 2010
111
2011
6
126
2013
7
2014 2015
4
133
2016
128
2017 2018
134
111 114
132
中国
豪州 ロシア
米国 インド
その他
稼働閉鎖稼働閉鎖
米国マウンテンパス鉱山の稼働状況
中国 120 71%
豪州 20 12%
米国 15 9%
ロシア 3 2%
インド 2 1%
その他 10 6%
合計 170
2018年
千トン シェア
マウンテンパス鉱山
レアアースの需給1
A
B
C
D
E
(千トン)※酸化物換算
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務34
A
B
E D
:USGSのデータ上ではレアアース産出量が計上されているが、実態としては該当国における鉱山は非稼働であると考えられている国
USGSのデータ上では11か国からレアアース産出量が計上されているが、専門家へのヒアリングによれば実態として稼働
中の鉱山を有するのは中国・豪州・米国・インドの4か国のみである。
主要なレアアース鉱山と採掘事業者 (1/2)
稼働中のレアアース鉱山を有する国は中国豪州米国 インドの4か国のみである
その他の内訳
ミャンマー
0.5
(3.0%)
ブラジル マレーシア
タイ
0.1
(0.6%)
0.1
(0.6%)
ブルンジ共和国
ベトナム
0.1
(0.6%)
0.04
(0.2%)
0.02
(0.1%)
12.0
(72.1%)
2.0
(11.9%)
2018年レアアース生産量
17万トン
1.0
(5.1%)
0.3 (1.8%)0.2 (1.2%)
1.5
(8.9%)
Mt. Weld
[Lynas]
Browns
[Northern Minerals]
Araxa
[CBMM]
Gakara
[Rainbow Rare Erath Ltd]
Bayan Obo
[Baotou Streel Rare Earth
Co]
Manavalakurichi
[Indian Rare Earth Limited]
Dong Pao
[Lavreco/Sojitz/Toyota]
Mt. Pass
[MP Materials]
Kerala
[Kerala Metals and Minerals]
Kokang
[Myanmer Ye Huang
Mining Corporation]
Novgorod
[Arcon]
Buena Norte
[Nuclear Industries of Brazil]
Kinta Valley
[Pegang Mining Co]
Revda
[Lovozerskiy GOK]
鉱山名[採掘事業者名]
(万トン)※酸化物換算
レアアースの需給1
※ 中国は多数のレアアース鉱山が存在しているため、北部・南部の主要鉱山を記載している
XinFeng[Jiangxi Ganzhou Xinfeng
Xinli Rare-Earth]
※
出所: USGS 「Mineral Commodity Summaries」
:稼働中の鉱山を有する国
※
C
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務35
MP Materials Mt. Pass LRE (LRE:98.7% / MRE・HRE:1.3%) 稼働中1.5
(8.9%)A
Lynas Mt. Weld LRE (LRE:94.7% / MRE・HRE:5.3%) 稼働中
Northern Minerals Browns N/A 非稼働
2.0
(11.9%)B
Lovozerskiy GOK Revda LRE (LRE:94.8% / MRE・HRE:5.2%) 稼働中(小規模)
Arcon Novgorod N/A 非稼働
0.3
(1.8%)E
12.0
(72.1%)
中国北方希土集団ハイテク株式有限公司
Bayan Obo(北部主要鉱山) LRE (LRE:98.1% / MRE・HRE:1.9%) 稼働中
中国南方希土集団有限公司 Xinfeng(南部主要鉱山) HRE (LRE:54.4% / MRE・HRE:45.6%) 稼働中C
IREL (Indian Rare Earth) Manavalakurichi LRE (LRE:95.5% / MRE・HRE:4.5%) 稼働中(一部)
Kerala Metals and Minerals Kerala LRE (内訳:N/A) 非稼働
0.2
(1.2%)D
Myanmar Ye Huang Mining Kokang N/A 不明※3
Nuclear Industries of Brazil Buena Norte LRE (内訳:N/A) 非稼働
CBMM Araxa N/A 非稼働
N/A N/A N/A 非稼働
Rainbow Rare Earths Gakara LRE (LRE:98.0% / MRE・HRE:2.0%) 非稼働
Pegang Mining Kinta Valley LRE (内訳:N/A) 非稼働
Lavreco/Sojitz/Toyota Dong Pao LRE (内訳:N/A) 非稼働
0.5
(3.0%)
0.1
(0.6%)
0.1
(0.6%)
0.1
(0.6%)
0.04
(0.2%)
0.02
(0.1%)
主要なレアアース鉱山と採掘事業者 (2/2)
中国では複数の鉱山から軽希土と中重希土の両方が産出されるが豪州と米国では軽希土を主に産出する鉱山が各々1箇所存在する
生産量(万トン※1 ) 採掘事業者 鉱山 主要鉱種※2
※1 レアアース酸化物換算の重量を表す ※2 LRE:軽希土、MRE・HRE:中重希土を示す ※3 ミャンマー政府の実効支配が及ばない地域にて運営されており、現行の稼働状況は不明である
レアアースの需給1
稼働状況国
ミャンマー
ブラジル
タイ
ブルンジ共和国
マレーシア
べトナム
インド
ロシア
米国
豪州
中国
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務36
米国のMt. Passはその生産の8割以上を安価なセリウムとランタンで占めており、高価な中重希土類が殆ど産出されない。
中重希土が46%と豊富な鉱山は中国南部にのみ存在するが、豪州のMt. Weldも中重希土の割合が5.3%と米国より高い。
各鉱床におけるレアアース含有率
レアアース鉱山のうち中重希土類が豊富に含まれる鉱山は中国にしか存在しないが米国と比較して豪州の鉱山では中重希土類の含有率が高い
Mt. Pass Bayon OboA
鉱種別割合
年間
生産量*
特徴
15,000t N/A59,500t20,000t
軽希土が含有量の98.7%を占め、中重希土の産出が少ない
中国北部には軽希土の鉱山が、南部には中重希土の鉱山が多く分布している
米国Mt.Passと比較して中重希土の含有量が多く、
Dyが0.25%を占める
B Mt. Weld
軽(54.4%)
中・重(45.6%)
軽(98.1%)
中・重(1.9%)
軽(98.7%)
中・重(1.3%)
Xinfeng
軽(94.7%)
中・重(5.3%)
C-1 C-2
*:レアアース酸化物換算の重量を表す
その他中重希土 (Tb, Y 等)
La
(34.0%)
Ce
(48.8%)Nd
(11.7%)
Ce
(50.0%)
La
(23.1%)
Nd
(18.6%)
Sm
(0.8%) Dy (0.1%)
La
(27.7%)
Ce
(3.3%)
Sm (4.6%)
Dy (3.8%)
その他中重希土(37.2%)
La
(23.9%)
Ce (47.5%)
Nd
(18.1%)
Sm (2.4%)Dy (0.25%)Sm
(0.8%)
Nd (17.8%)
Pr
(4.2%)Pr (5.2%) Pr (6.2%)
Pr (5.2%)
レアアースの需給1
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務37
明確に量産が確認できる分離・精製施設を有するのは中国・マレーシアなど4か国である。豪州は環境規制の影響から自
国に施設を建設する際の環境コストが高い。米国には現在分離・精製プロセスがなく、精鉱を中国に輸出している。
主要なレアアース分離・精製事業者 (1/2)
分離・精製施設については 必ずしも生産国に立地しているものではない
レアアースの需給1
LAMP
Silmet(一部)
Solvay
CBMM
Longnan County Wanbao
Rare Earth Separation
IREL
SARECO
IRESCO
Solikamsk Magnesium
Works
Acron
Vietnam Rare Earth
Company Limited
Northern Minerals
:稼働中の分離・精製施設を有する国
:非稼働中の分離・精製施設有する国
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務38
Ce: フランス(Solvay)・中国他: 日本・ベトナム・タイ
欧州・日本
-
LAMP (Lynas Advanced
Materials Plant)稼働中11,000t 分離・精製
Solvay 稼働中10,000t(生産量7,000t)
分離・精製
CBMM 非稼働- -
豪州 (Lynas)
マレーシア (LAMP)
(主にセリウムを輸入)
ブラジル(自社)
中国北方希土集団ハイテク株式有限公司
稼働中N/A分離・精製、(電解/
還元)グローバル中国南方希土集団有限公司
米国 (MP Materials)
主要なレアアース分離・精製事業者 (2/2)
稼働中の分離・精製施設は限られており米国や豪州産のレアアースは中国やマレーシアにて分離・精製が行われる
国名 事業者 ケイパビリティ
レアアースの需給1
稼働状況処理能力 供給先
中国
マレーシア
-TREI (Toyotsu Rare Earth
India)稼働中(三割程度)
N/A 分離・精製インド (IREL)インド
フランス
中国
-
-
-
中国
Vietnam Rare Earth
盛和資源有限公司
不明(非稼働想定)
非稼働
700t
-
分離・精製、(電解)
分離・精製
IRESCO
SARECO
非稼働
非稼働
-
-
-
-
Northern Minerals 非稼働- -
ロシア
N/A
ロシア (Solikamsk Magnesium Works)
ロシア (Solikamsk Magnesium Works)
豪州(自社)
ベトナム
カザフスタン
豪州
ブラジル
供給元
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
欧州・米国オーストリア (Treibacher)
Silmet 稼働中(小規模)
3,000t 分離・精製ロシア (Solikamsk Magnesium Works)
エストニア
エストニア・ベトナム
-
Solikamsk Magnesium Works
Acron
不明(非稼働想定)
非稼働
-
-
選鉱
-
ロシア (Lovozerskiy GOK)
ロシア(自社)ロシア
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務39
1. レアアースの需給
1.1 レアアースの供給
1.1.1 レアアース生産の概況
1.1.2 レアアース生産国のサプライチェーン
1.1.3 鉱山・探鉱プロジェクト
1.1.4 米国における環境規制
1.2 レアアースの需要
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務40
放射性廃棄物の処理や分離・精製と電解/還元における技術力の観点から、自国内に採掘から電解/還元までのサプライ
チェーンを持つ国は中国のみである。また、ベトナムやタイにも電解/還元施設があるが、多くは中国資本である。
採掘から電解/還元までの主要サプライチェーンの整理
中国を除いて採掘から電解/還元までを一貫して実施できている国は存在しない
中間製品化分離・精製 電解/還元採掘 ・選鉱
生成物
鉱石
精鉱
合金NORM* TENORM*_
米国
*:NORMは自然起源放射性物質、TENORMは人為的に濃度が高められた自然起源放射性物質を意味する
レアアース製品のサプライチェーンについては
第2章で詳述
酸化物
・・・
・・・
助触媒材
・ ・ベトナム タイ
TREI (Toyotsu Rare Earth India)
A
ロシア
Lovozerskiy
GOK
Solikamsk
MW
NPM Silmetエストニア
ベトナム Vietnam Rare EarthE
インド
D
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成*: 日本はリサイクルにて回収されたレアアースの処理など、一部の例において分離・精製や電解/還元の能力を有する
:非稼働:稼働中
メタル
・・・
等
中国 ・ ・
ベトナム タイ
C
豪州
マレーシア
・ ・ベトナム タイB
(精製加工)
*
レアアースの需給1
サプライチェーン分析 サマリー
盛和資源控股
IREL (Indian Rare Earth) TREI (Toyotsu Rare Earth India)
Solvay
六大レアアース集団
(軽希土)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務41
MP Materialsの前身であるMolycorpがマウンテンパス鉱山を操業していた際にはエストニアにて分離・精製を行っていた
が、Molycorpの経営破綻後は輸出先を中国へと移した。
米国産レアアースのフロー
米国は分離・精製以降のプロセスを有しておらず中国に下流のサプライチェーンを依存せざるを得ない状況である
米国
レアアースの需給1
A
米国内に分離・精製施設が存在しないため、精鉱の多くを中国へ輸出している
MP Materialsの前身であるMolycorpはSilmetを買収しエストニアに精鉱を輸出していたが、Molycorpの経営破綻後は米国からの供給は途絶えている
分離・精製 電解/還元採掘・選鉱
米国内に電解/還元施設が存在しないため、分離・精製から続けて中国で処理されるものが多い
一部はベトナムやタイの中国資本の施設において電解/還元を実施している
エストニア
米国で稼働中のレアアース鉱山はMP Materialsの保有するマウンテンパス鉱山のみである
レアアース生産量は年間約1.5万トンであり、そのうち98.7%が軽希土である
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
:非稼働:稼働中
等
NPM Silmet
盛和資源控股
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務42
豪州産の精鉱は全てマレーシアで分離・精製されているが、施設近隣における放射性廃棄物の処理が懸念されている。
分離・精製後は、セリウム・ランタンはSolvayと中国に、ネオジムなどは日本などに輸出され、製品化される。
豪州産レアアースのフロー
豪州産のレアアースはマレーシアの分離・精製プロセスを通じてフランスやアジア圏など多方へ輸出される
豪州
レアアースの需給1
B
分離・精製 助触媒材化 ・ 電解/還元採掘・選鉱
豪州で唯一稼働しているレアアース鉱山はLynasが保有するMt. Weldである
年間生産量は約2万トンであり、中重希土の含有量が5.3%と一定量の生産がある(参考:Mt. Passは1.3%)
マレーシアの分離・精製施設はLynasの保有するLAMP (Lynas Advanced Materials Plant) のみであり、Mt. Weldからの精鉱の処理を行っている
2012年12月から稼働を開始し、現地雇用を創出し
たが、一方で放射性廃棄物の処理を巡り長期的に住民の反対運動を受けている
LAMPでは軽希土の分離・精製能力しか有していないため、中重希土混合物は中国に輸出またはストックしている
セリウム・ランタンは単価が低く、7,000トンをSolvayに、残りを中国に輸出している
我が国でも一部の磁石メーカーが磁石用レアアースの電解を実施している
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
Solvayは主に触媒用途としてセリウムの精製加工を実施している
その他、関連企業からの需要に応じてランタン・イットリウムの精製加工も実施している
触媒需要
磁石需要 ネオジム等の電解は、中国・ベトナム・タイで実施している
なお、サマリウムの還元工程については中国に依存している
Northern Mineralsは12年ほど前から試掘を実施し
パイロットプラントを建設したが、本格的な稼働には至っていない
:非稼働:稼働中
Northern
Minerals
Solvay
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務43
中国では政府主導で企業統合が進み、六大レアアース集団が形成された。採掘事業者だけでなく分離・精製や電解/還元
事業者も同時に統合されたため、六大レアアース集団が自グループ内で採掘から還元までの実施能力を持つ。
中国産レアアースのフロー
中国のレアアース事業者は六大レアアース集団へと統合されており自グループ内で採掘から電解/還元までを一貫して実施できる
中国
レアアースの需給1
C
分離・精製 電解/還元採掘・選鉱
ベトナム
一部はベトナムやタイの中国資本の施設において電解/還元を実施している
タイ
多くの場合、六大レアアース集団が自グループ内で採掘から電解/還元まで一貫して実施していると考えられる
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
中国においては、六大レアアース集団が採掘から電解/還元までを実施している
採掘による環境影響への配慮から年間の採掘量上限を14万トンに設定しているため、休鉱中の鉱山も存在している
:非稼働:稼働中
中国北方希土集団ハイテク株式有限公司
中国南方希土集団有限公司
五鉱希土集団有限公司
広東省希土産業集団有限公司
中国希有希土株式有限公司
厦門タングステン業株式有限公司
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務44
インドではミネラルサンド中のモナザイトからトリウムとレアアースが産出される。しかし、トリウムは放射性燃料としての扱
いが難しく実用性に欠けたため、トリウムの回収プロセスの衰退に伴いレアアースの生産も低下した。
インド産レアアースのフロー
インドの南海岸ではミネラルサンドからトリウムと共にレアアースが回収されるが現在はレアアース生産プロセスの一部しか稼働していない
インド
レアアースの需給1
D
分離・精製 電解/還元採掘・選鉱
:非稼働
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
:一部稼働
IRELはインド政府の原子力庁傘下の企業として、Kerala州ChavaraとTamilnadu州Manavalakurichi
にて40年前から事業を行っている
海岸の砂に含まれるモナザイトから、トリウムを回収する際の副産物としてレアアースを生産していた
トリウムは放射性燃料としての扱いが難しく、需要が減少すると共にレアアースの生産も減少した
KMML (Kerala Metalsand Minerals)
豊通の100%子会社であるTREIはIRELと2016
年からの2年間の原料調達契約を締結し、レアアースの分離・精製事業を実施していた
ネオジム・セリウム・ランタン・プラセオジムを我が国及び欧米諸国向けに輸出していた。
KMMLはKerala州政府傘下の企業として、IRELと同様にKerala州Chavaraにて海砂からトリウムの回収を行っていたが、現在は稼働していない
一部稼働中
以前はKerala州にてSmの分離を行っていた
インドは国内に電解/還元プロセスを持たない
IREL (Indian Rare Earth)TREI
(Toyotsu Rare Earth India)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務45
ロシアでは採掘と選鉱は異なる事業者が実施する。以前はエストニアだけでなくベトナムなどでも分離・精製が行われてい
たが、現在はエストニアのNPM Silmet が小規模に処理しているのみである。
ロシア産レアアースのフロー
ロシアではマグネシウムの副産物としてレアアースが回収されるが現在はエストニアで小規模に処理されているのみである
ロシア
レアアースの需給1
E
分離・精製 電解/還元
ロシアではAcronをはじめ複数の企業が採掘プロジェクトを持っているが、実際に稼働が確認されたのはLovozerskiy GOKのみである
※ カザフスタンでは、ウラン鉱石残渣に含まれるレアアースの回収・分離・精製を目的とし、住友商事とKazatomprom(国営原子力公社)の合弁会社SARECOが設立されたが、放射線物質の量が多く稼働していない。なお、住友商事は撤退済みである。
出所: 各種公表情報及びレアアース関連の専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
エストニア
カザフスタン
ベトナム Vietnam Rare Earthは中国企業と比較して技術力が劣るため、買い手が付かず稼働を停止している
Solikamsk Magnesium
Worksの精鉱を分離・精製して
いたが、現在の稼働状況は不明である
Lovozerskiy GOKが採掘し、Solikamsk
Magnesium Worksが選鉱している
現在ごく一部ではあるが稼働しており、マグネシウムの副産物として産出されるレアアースをSilmetに流している
:非稼働:稼働中
一部稼働中(小規模)
採掘 選鉱
Silmetは1990年よりロシア産レアアースを生産していたが、2011年にMolycorpに買収されて以降は米国産レアアースの処理に切り替わった
Molycorpの経営破綻後はNeo Performanceが保有しており、細々とマグネシウムの副産物として産出されるロシア産精鉱を処理している
Acron
NPM Silmet
IRESCO
Lovozerskiy
GOK
Solikamsk
Magnesium
Works
Vietnam
Rare Earth
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務46
1. レアアースの需給
1.1 レアアースの供給
1.1.1 レアアース生産の概況
1.1.2 レアアース生産国のサプライチェーン
1.1.3 鉱山・探鉱プロジェクト
1.1.4 米国における環境規制
1.2 レアアースの需要
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務47
1
5
3
4
67
2
北米における鉱山・探鉱プロジェクト - 米国 -
北米において現在操業中の鉱山はマウンテンパス鉱山のみだが開発中や稼働予定のプロジェクトは複数存在する
出所: USGS「Critical Mineral Resources of the United States – Economic and Environmental Geology and Prospects for Future Supply」、各種公表情報等に基づき作成
稼働予定(2021)
住民からの反対運動により停止
停止
操業中
稼働予定(2020)
資金難により停止(再稼働検討中)
開発中(FS未了)
4過アルカリ火成岩
3
6
7
1
2
プロジェクト
カーボナタイト
5
Ce, La, Nd, Pr
Sm, Eu, Gd,
Y, Dy, Tb, Er,
Tm, Yb, Lu, Ho
- Sc
Ce, La, Nd, PrSm, Eu, Gd,
Y, Dy, Tb
Ce, La, Nd Y
Ce, La, Nd, Pr Sm, Y
Ce, La, Nd Sm, Y
NdEu, Y, Dy,
Tb, Erカーボナタイト
熱水性鉱床
酸化鉄型銅金鉱床
カーボナタイト
過アルカリ火成岩
レアアースの需給1
Round top
Elk Creek
Lehmi Pass
Diamond Creek
Mountain Pass
Bokan Mountain
Bear Lodge
Texas Mineral
Resources
NioCorp
USA
Rare Earth
USA
Rare Earth
MP Materials
Ucore
Rare Metals
Rare Element
Resources
0.63%
微少
2.6%
0.33%
1.2%
8.2%
0.58%
事業者 品位 鉱床 軽希土 中重希土 ステータス場所
鉱種
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務48
北米における鉱山・探鉱プロジェクト - カナダ -
カナダにも開発中のプロジェクトは多く存在するが現在明確にレアアースを量産しているプロジェクトは無い
出所: USGS「Critical Mineral Resources of the United States – Economic and Environmental Geology and Prospects for Future Supply」、各種公表情報等に基づき作成
8
12
1314
910
1115
停止
開発中
開発中
開発中
開発中
開発中
稼働予定(2023)
開発中
15 Kipawa and Zeus過アルカリ火成岩
- Dy, Y, Tb
10 Two Tom過アルカリ火成岩
Nd -
11 Foxtrot過アルカリ火成岩
Nd, Pr Eu, Dy, Y, Tb
9 Eldor カーボナタイト Nd Eu, Dy, Y, Tb
14 Clay-Howells過アルカリ火成岩
Ce, La, Nd -
13 Montviel カーボナタイト Nd Eu, Dy, Y
8 Strange Lake過アルカリ火成岩
Ce, La,
Nd, Pr
Sm, Eu, Gd,
Dy, Tb
12 Nechalacho過アルカリ火成岩
Nd, PrEu, Gd, Tb,
Dy, Y, Lu
レアアースの需給1
Quebec
Precious Metals
Canada
Rare Earth
Search Minerals
Commerce
Resources
Canada
Rare Earth
Geomega
Resources
Torngat Metals
Avalon
Advanced
Materials
0.51%
0.73%
1.5%
1.7%
0.98%
1.2%
1.9%
0.93%
プロジェクト 事業者 品位 鉱床 軽希土 中重希土 ステータス場所
鉱種
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務49
豪州における鉱山・探鉱プロジェクト
豪州において現在操業中の鉱山はマウントウェルド鉱山のみであるが稼働が予定されているプロジェクトは米国・カナダよりも多い
出所: USGS「Critical Mineral Resources of the United States – Economic and Environmental Geology and Prospects for Future Supply」、各種公表情報等に基づき作成
16
18
17
20
21
22
23
24
25
26
19
操業中
開発中
開発中
開発中
開発中
開発中
稼働予定(2022)
開発中
稼働予定(2021)
稼働予定(2021)
16
25
26
23
24
22
20
21
19
18
17
Mt Weld
Charley Creek
Mary Kathleen
Brockman
South Darwin
Yangibana
Nolans
Dubbo
Avonbank
Browns Range
Wimmera
カーボナタイト
砂状鉱床
酸化鉄型銅金鉱床
火山性鉱床
酸化鉄型銅金鉱床
モナザイト
熱水鉱脈
過アルカリ火成岩
カーボナタイト
堆積性熱水鉱床
モナザイト
La, Ce,
Pr, Nd
Sm, Eu, Gd,
Dy, Y, Tb
La,Ce,Pr,
Nd
La, Ce,
Nd, Pr
-
La,Ce
Pr,Nd
Pr,Nd
Pr,Nd
Dy, Y, Tb
-
Dy, Y
-
Dy, Tb
-
Gd, Dy,
Y, Tb
Pr,Nd
-
Dy, Tb
Dy, Tb, Lu
Pr, Nd Dy, Tb稼働予定(2023)
レアアースの需給1
Lynas
Crossland
Hammer Metals
Hastings
Corona
Resources
Hastings
Arafura
Resources
Alkane
WIM Resource
Northern
Minerals
Iluka
5.4%
3.3%
0.63%
5.5%
2.6%
0.74%
1.1%
0.21%
2.0%
0.03%
0.52%
プロジェクト 事業者 品位 鉱床 軽希土 中重希土 ステータス場所
鉱種
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務50
1. レアアースの需給
1.1 レアアースの供給
1.1.1 レアアース生産の概況
1.1.2 レアアース生産国のサプライチェーン
1.1.3 鉱山・探鉱プロジェクト
1.1.4 米国における環境規制
1.2 レアアースの需要
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務51
レアアース鉱山の操業にあたっては、IAEAを始め複数の機関による規制がかかる。主なものは放射性物質への対処と適
切な体系での操業を要求するものであり、鉱山事業者は全ての規制の要件を満たす必要がある。
米国における環境規制(カリフォルニア州の場合)
米国鉱山事業者は国際機関から州機関までの各機関の規制により放射性物質への対処と適切な体系での操業を要求される
規制内容
規制機関(略称)
1グラム当たりのベクレル(Bq/g)が
10Bq/gを上回る物質については放射性物質
Class 7として定義され、輸出する際に規制がかかる
国際原子力機関(IAEA)
トリウムとウランの合計濃度が0.25%w/wを超えるものは、処理や輸送にライセンスが
必要となる
米国原子力規制委員会(NRC)
従業員の労働環境を保証するために、
安全・健康・業務管理などを監視する
鉱山安全衛生局(MSHA)
従業員と公衆の被曝防止のため製品・廃棄物の流れに関するライセンスを必要とする
カリフォルニア州安全衛生局放射線保安部門(CDPH-RHB)
即時的な処理や販売計画の無い備蓄の取り扱いに関して特定のライセンスが必要となる
貯水池を用いた排水や残差の処理について、放射性物質の浸出・漏洩を防ぐための管理
を要求する
カリフォルニア州ラホンタン地域水質管理委員会
(Water Boards)
レアアースの需給1
要求項目の有無
放射性物質
操業体系
規模 国際機関 政府機関 州機関
機関の規模に依らず、全ての規制要件を満たす必要がある
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務52
1. レアアースの需給
1.1 レアアースの供給
1.2 レアアースの需要
1.2.1 レアアースを用いた製品の概況
1.2.1-1 レアアースの概要と主な用途
1.2.1-2 磁石と触媒におけるレアアースの活用状況
1.2.2 米国におけるレアアース需要
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務53
*ランタノイド57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71
**アクチノイド89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103
1 2
3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36
37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54
55 56*
72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86
87 88**
104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118
レアアースの基礎情報‐周期表‐
レアアースは自然界において単体として分離されにくい元素群の総称であるが各鉱種が単体として有する性質はそれぞれ異なる
レアメタル
レアアース
出所:国立研究開発法人物質・材料研究機構等より引用
非鉄金属のうち、流通量・使用量が少ない希少な47種類の元素の総称
レアメタルの一種で、17種類の元素(希土類)の総称
軽希土類 中重希土類
レアアースの需給1
Li
H
Na
Be
Mg
Fr Ra Rf Db Sg Bh Hs Mt Ds Rg Cn Fl Lv Og
B C N O F Ne
K ScCa Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
AI Si P S Cl Ar
Rb YSr Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
Cs Ba Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
He
La Ce Pr Nd Pm Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu
Ac Th Pa U Np Pu Am Cm Bk Cf Es Fm Md No Lr
Nh Mc Ts
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務54
軽希土類中重希土類
中希土類 重希土類
La Ce Pr Nd Pm Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu Sc* Y*
ランタン セリウムプラセオジウム
ネオジムプロメチウム
サマリウム
ユウロピウム
ガドリニウム
テルビウム
ジスプロシム
ホルミウム
エルビウム
ツリウムイッテルビウム
ルテチウム
スカンジウム
イットリウム
磁石 ○ ○ ○ ○ ○ ○
触媒 ○ ○ ○ ○ ○
研磨剤 ○
治金 ○ ○
電池 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
ガラス添加 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
セラミックス ○ ○ ○ ○ ○
蛍光体 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
レアアースの主な用途
レアアースは原料の一部として添加されることで製品の機能を向上させることから先端技術製品の製造には欠かせない鉱物である
出所:特許庁「平成26年度特許出願技術動向調査報告書(概要) レアメタル関連技術」、DBJ 「レアアースの需給動向と技術立国に向けた課題」、専門家へのヒアリングを基に作成*:本調査ではSc, Yを重希土と定義した
レアアースの需給1
A
B
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務55
レアアースを用いた磁石は磁力が強く、次世代自動車や風車などにおけるモーターやアクチュエーターの一部品として用
いられ、各最終製品の軽量化・小型化に貢献している。他にも触媒や研磨剤など様々な製品に含まれ、関連分野は広い。
レアアースを用いた製品のサプライチェーン
レアアースは磁石触媒電池等の汎用性の高い部品に用いられる為それらを含む最終製品としての用途は多岐に渡る
レアアースの需給1
レアアース
ガラス用研磨剤、半導体用研磨剤 等研磨剤
鋳物、メタルハニカム 等治金
ニッケル水素電池、燃料電池 等電池
光学レンズ、光ファイバー、太陽電池 等ガラス添加
セラミックコンデンサ 等セラミックス
LED、蛍光灯、レーザー素子 等蛍光体
最終製品段階中間製品段階原材料
ガソリン・軽油 等
自動車
FCC触媒
自動車触媒触媒
次世代車
風車
航空機
モーター
アクチュエーター磁石
B
A
Ce, La など
Nd, Dy, Sm など
Ce など
La, Ce など
La, Sc など
Sm, Er など
La, Y など
Y, Eu など
出所:特許庁「平成26年度特許出願技術動向調査報告書(概要) レアメタル関連技術」、DBJ 「レアアースの需給動向と技術立国に向けた課題」、専門家へのヒアリングを基に作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務56
1. レアアースの需給
1.1 レアアースの供給
1.2 レアアースの需要
1.2.1 レアアースを用いた製品の概況
1.2.1-1 レアアースの概要と主な用途
1.2.1-2 磁石と触媒におけるレアアースの活用状況
1.2.2 米国におけるレアアース需要
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務57
磁石にはサマリウムやネオジム、ジスプロシウムなどが、触媒にはセリウムやランタンが用いられる。米国は国内に磁石製
造プロセスを持たないため磁石用途の消費が無いが、モーターなどの二次製品以降では多岐に渡って使用されている。
レアアースの用途別消費量の内訳
中間製品段階におけるレアアースの用途別消費量では磁石用途と触媒用途が大部分を占めている
23%
12%
8%
8%
7%
6%
3%
9% 磁石
ガラス添加
触媒
蛍光体
研磨剤
治金
(金属材料・合金)
その他
電池
セラミックス
出所:Roskill, 2016 、USGS「MINERAL COMMODITY SUMMARIES」、新金属協会「日本のレアアース需要推移(平成31年3月27日)」等の各種公開資料を基に作成
レアアースの需給1
60%15%
10%
10%
5%
触媒
ガラス添加、
セラミックス
治金
(金属材料・合金)
研磨剤
その他
米国(2018年)
9,500 トン(酸化物換算) 56%32%
11%
触媒・研磨剤
その他
磁石
日本(2018年)
17,831 トン(酸化物換算)
グローバル 米国 日本
2014年時点までは、磁石用途として10%の消費
内訳が存在したが、その後米国内の希土類磁石工場が閉鎖したため、消費量なしとなっている
A
B
グローバル(2015年)
119,650 トン(酸化物換算)
自動車触媒5.5%
FCC触媒18.5%
24%
A
日本は中国に次ぐ磁石生産国である。磁石製造における特許を有している企業が多く、中国磁石メーカーと技術供与契約を結ぶ例も多い
B
B
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務58
磁石を用いる製品の小型化・高性能化の流れから、磁力・保磁力の強い希土類磁石の需要が高まっている。一方でサマ
コバ磁石は硬度が、ネオジム磁石は耐食性や高温安定度に劣ることから、用途に応じた使い分けがなされる。
磁石の種類
永久磁石には様々な種類があるがレアアースを用いる磁石は磁力の強さなどの特徴により需要が高まっている
レアアースの需給1
A
出所:株式会社マグファイン「磁石の特性比較について」等の各種公開資料を基に作成
◎
◎
◎ ◎
◎
永久磁石
金属磁石
希土類磁石
サマコバ磁石
ネオジム磁石
アルニコ磁石
フェライト磁石
セラミック磁石
磁力 保磁力 耐食性・耐防錆 高温安定度 硬度 コスト磁石の分類磁力当たりのコスト
◎
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務59
希土類磁石はレアアースを含む合金を粉砕し、磁性の向きを揃えた上で成形・着磁され製造される。ネオジム磁石は中重
希土であるジスプロシウムを必要とし、また製造工程において多数の特許技術が用いられる。
磁石の製法(焼結法)
希土類磁石であるサマコバ磁石とネオジム磁石はどちらも合金より製造されるが溶解や焼結などのプロセスにおいて一部製法が異なる
レアアースの需給1
出所:信越レア・アースマグネット「希土類磁石の加工工程」、ネオマグ株式会社「磁石の製造方法・製造工程」等の各種公開資料を基に作成
A
磁場中成形電解/還元 原料配合 溶解 粉砕 焼結・熱処理 加工 表面処理 着磁・時効
メタル 合金 磁石
サマコバ磁石
ネオジム磁石
使用レアアース 配合比
サマリウム(Sm)
ネオジム(Nd)
ジスプロシウム(Dy)
Sm: 24~28 wt%
Co: 42~56 wt%
Cu: 5~10 wt%
Fe: 15~20 wt%
Nd: 27~30 wt%
Dy: 2~ 8 wt%
B: 1~ 2 wt%
Fe: 60~70 wt%
1350℃
1250℃(溶解後高速冷却)
溶解温度
平均粒形
3~5μm
15~30kOe
4~5g/cc
1200~1300℃
800~900℃
1100~1150℃
500~1000℃
切断加工・平面研削・外周研磨等
不要
ニッケルメッキ・銅メッキ
パルス着磁機
磁場強度
成形密度
焼結温度
熱処理温度
焼結温度
熱処理温度
加工手法
めっき厚み
磁場強度
10~20μm
※ 含まれるNd,
Feが錆びやすいため
20~100kOe
例:粒界拡散合金法(信越化学特許技術)
焼結後、磁石に液状化させた酸化ジスプロシウムを塗布又は同化合物内に浸漬させることで磁石表面に同化合物の膜を作る。その上で熱処理を施すことで同化合物を分解し、ジスプロシウムを粒界に拡散させる。
ジスプロシウムの必要量を約半減できる ジスプロシウムの電解/還元プロセスが不要となる
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務60
サマコバ磁石は高温に強い特徴を持つため、熱の発生しやすい部品に用いられる傾向にある。ネオジム磁石は最も磁力
が強い磁石であることから、軽量化・小型化と高性能化を両立でき、様々な電子機器に用いられる。
磁石の用途
希土類磁石の用途はモーターやアクチュエーターなど動力としての利用が主である
出所:CRS 「Rare Earth Elements in National Defense: Background, Oversight Issues, and Options for Congress」、株式会社二六製作所HP、株利子会社マグファインHP等の各種公開情報を基に作成
レアアースの需給1
A
使用レアアースと役割
強磁性体のコバルトと結合し、高い磁気エネルギーと磁気異方性を発揮する
磁化しやすい方向に鉄原子の向きを揃え、維持する(磁気異方性)
サマリウム
ネオジム
サマコバ磁石
ネオジム磁石
形状 主な用途
防錆性が高い 高温条件下で使用可能
磁力が非常に強い
強度が高く衝撃に強い
コストが安い
特徴
モーター等回転機器 音響機器 磁気センサー等
アクチュエーター(高温条件下でも機能するため、特に誘導ミサイルや誘導爆弾の翼の制御に用いられる)
モーター HDD
EV, HEV
家電用品等
アクチュエーター モーター(磁力の強さから、軽量化や小型化が望まれる兵器や防衛システムに用いられる)
反磁界や熱による減磁を防ぎ保磁力を向上させる
磁気エネルギーは低下してしまう
ジス
プロシウム
円柱型・角型・リング型など様々
機能
モーター
様々な電子機器の部品にて、動力として用いられる
VCM(ボイスコイルモー
ター)
長所
短所
長所
短所
強度が低く衝撃に弱い
コストが高い
防錆性が低い 高温条件下で使用できない
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務61
酸化セリウムや硝酸ランタンなどは、触媒の効率を向上させる助触媒材として用いられる。主に重油の分解反応を促進す
るFCC触媒や自動車の排気ガス用のデノックス触媒の一部として配合される。
触媒の製法
触媒用途として用いられるレアアースは単体で触媒の役割を果たすのではなく触媒の反応を促進する助触媒材として用いられる傾向にある
出所:Solvay ・第一稀元素化学工業・キャタラー等各社HP、坂「新規マトリックス成分として第一リン酸アルミニウムを配合したFCC触媒の開発及びその応用展開」等の各種公開資料を基に作成
レアアースの需給1
B
助触媒材 触媒
分離・精製 助触媒材化 配合 塗布
FC
C
触媒
自動車触媒
助触媒材
酸化レアアース酸化セリウム (CeO2)
酸化ランタン (La2O3)
硝酸ランタン (La(NO3)3) 等
ゼオライト 20~40 wt%
粘土鉱物 30~50 wt%
シリカ 20~40 wt%
リン含有ラダー状化合物酸化ランタン・酸化セリウム
FCC触媒
貴金属(プラチナ・パラジウム等)
酸化セリウムアルミナ
スラリー
スラリーハニカム構造体
自動車触媒
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務62
FCC触媒は原油の蒸留後に分離した重油を分解し、ガスやガソリンを得る反応を促進する。自動車触媒は自動車のエン
ジン近くまたは床下にて、通過する排気ガス中の一酸化炭素・窒素酸化物を無害化する反応を促進する。
触媒の用途
レアアースを用いる触媒としては FCC触媒と自動車触媒が主である
レアアースの需給1
使用レアアースと役割
重油の分解効率の向上 分解反応の残渣である石油コークスの減少
重油の分解効率の向上
重油を分解しガスやガソリンを得る
流動接触分解反応を促進する
貴金属触媒の耐久性向上 水性ガスシフト反応の促進による一酸化炭素の無害化
セリウム
ランタン
セリウム
ランタン 貴金属触媒の耐久性向上
ガソリン車・ディーゼル車の排気ガス中に含まれる一酸化炭素・
窒素酸化物を無害化する
FC
C
触媒
自動車触媒
形状 用途 機能
粉状
筒状
製油所にて原油の蒸留後に分離した重油を処理する
自動車のエンジン近くまたは床下にて通過する排気ガス
と反応する
B
分解能力と
耐久性の両方が求められる
排気ガスと反応しやすいハニカム構造を
取る
特徴
重油
出所:Economics & Statistics Department American Chemistry Council「The Economic Benefits of the North American Rare Earths Industry」、JOGMEC「石油精製技術と石油需給動向」、キャタラー社HP等の各種公開資料を基に作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務63
1. レアアースの需給
1.1 レアアースの供給
1.2 レアアースの需要
1.2.1 レアアースを用いた製品の概況
1.2.2 米国におけるレアアース需要
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務64
原料配合 溶解 磁石
メタル 合金最終製品製造
米国のサプライチェーンでは最終製品に至るまでに輸出入が繰り返されるため、レアアース需要を推計する際に範囲を明
確に定義する必要がある。本調査では、米国産業との関わりが最も深い、米国産・米国消費の需要を推計範囲と定めた。
米国におけるレアアース製品のサプライチェーン
本調査では米国産業との関わりが最も深い米国産・米国消費の製品におけるレアアース需要量を推計した
米国
海外
採掘
Mt. Pass
中間製品メーカーレアアースの処理プロセスが米国内に存在しないため、精鉱を全て中国に輸出している
国内生産分
輸入分
最終製品メーカー
中国
日本
その他
中間製品製造
アクチュエーター
消費分離・精製 / 合金化
×
本調査にて着目すべき需要量
世界各国の最終製品施設
米国における本質的なレアアース需要量
中国ではレアアース企業集団が採掘から合金化までのプロセスを
一貫して実施可能なケイパビリティを持つ
中国
輸出
輸入
輸入
輸入
レアアースの需給1
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務65
レアアース需要量推計式
米国におけるレアアース需要について以下の式に基づき推計を行った
中間/最終製品
レアアース需要量推計式
米国産・米国消費の最終製品における年間需要量最終製品1単位あたりに占める中間製品の使用量
レアアースの含有量
レアアースの需給1
*1:販売台数ベースでの割合の値を用いた*2:風車は最終組み立てが現地にて行われるため、米国にて導入されたものは全て米国産としての条件を満たすと仮定し推計した
磁石
米国産・米国消費の自動車台数
(生産台数-輸出台数)
1単位あたりの磁石使用量
磁石中のレアアース含有量
次世代車(EV/HEV)
風車米国における風車導入基数*2
永久磁石を用いるダイレクトドライブ方式の風車が占める割合
自動車のうち次世代車の占める割合*1
触媒
自動車触媒
FCC触媒
米国産・米国消費の自動車台数
(生産台数-輸出台数)
自動車のうちEV以外の占める割合
1台あたりの自動車触媒数
自動車触媒中のレアアース含有量
4気筒以下の割合
5気筒以上の割合
1製油所あたりのFCC触媒消費量
FCC触媒中のレアアースの含有量
米国における稼働可能な製油所数
製油所の稼働率
A
B
航空機Boeingが製造した
米国産・米国消費の商用機Airbusが製造した
米国産・米国消費の商用機
エアコン米国産・米国消費のエアコン台数
インバーター付きのエアコンの割合
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務66
2014年から2018年までの米国のレアアース年間総需要量は平均約6,718トンと推計された。このうち磁石用途は全体の
3.6%程度だが、内訳として次世代車や風車などの成長分野が占める割合が大きい。
米国のレアアース需要量
米国のレアアース需要量は年間約6,700トンであり特に磁石用途に関しては次世代車や風車などの成長分野における需要が大きい
レアアースの需給1
130.0
航空機
次世代車
7.3
100.7
風車
58.6
エアコン
84.9%
10.6%
次世代車
(1.9%) 航空機
(0.1%)
風車
(1.5%)
FCC触媒
エアコン(0.9%)
自動車触媒
永久磁石に用いられるNd, Dyは
次世代車や風車など成長分野における需要が大きいため、安定した調達経路の確保が求められる
Nd Dy Ce La
平均需要量 (2014~2018)
用途
総需要量(5年分平均)
6,717.9t
需要推計 サマリー
用途別需要量 磁石用レアアース需要量
総需要量のうち多くを触媒用途が占めているが、米国内で生産可能である。安価なCe, Laが主体であるため、調達経路確保の緊急性は低い
航空機 6.8 t 0.5 t
風車 97.3 t 3.5 t
次世代車 117.4 t 12.6 t
磁石
合計 276.2 t 20.4 t 2953.9 t 3467.4 t
FCC触媒 2238.5 t 3467.4 t
自動車触媒
715.5 t
触媒
A
B
54.7 t 3.9 tエアコン
磁石需要(5年分平均)
296.6t
サプライチェーンについては後述
サプライチェーンについては後述
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務67
希土類磁石の用途として、次世代車の駆動モーター、風車の発電機、航空機のアクチュエーターなどが代表的な例として
挙げられる。また、部品の軽量化・小型化のニーズが強いため、用途の多くにはネオジム磁石が使用される。
米国における主な希土類磁石用途
希土類磁石が用いられる主な製品として航空機次世代車風車などが挙げられる
レアアースの需給1
A
エアコン用モーター
エンジン冷却ファン用モーター
燃料ポンプ用モーター
パワーステアリングモーター / センサー
駆動モーター
発電機
発電機ブレード角度調整用アクチュエーター
(各ブレードに1つずつ)誘導発電機(増速機有り)
同期発電機(ダイレクトドライブ)
巻線式 永久磁石式
発電機の種類
含有率(想定)
Nd
磁石
磁石種類
単位あたり使用量
出所:JOGMEC“電動自動車関連部材のレアメタル使用実態”、Molycorp“Molycorp Update”、矢野経済研究所“レアメタル2020年展望”、各社ヒアリング等を基に作成
レアアースが用いられる種類
次世代車(EV/HEV)
風車
1台あたり
1.2kg
1基あたり
500kg
Nd
Dy
Nd
Dy
28%
3%
28%
1%
フラップ用アクチュエーター
水平安定板用アクチュエーター
降着システム用アクチュエーター
エンジンカーゴドア用
アクチュエーター
航空機1機あたり
100kg
Nd
Dy
28%
2%
HEV
PH
EV
EV1台あたり
2kg
エアコン インバーター
1台あたり
(家庭用) 80g
(業務用) 350g
Nd
Dy
28%
2%
1
2
4
3
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務68
米国における磁石用途のレアアース需要量は、次世代車が5年間の平均で約130トンと大きなシェアを占める。風車、エア
コンが続いており、航空機は1台当たりの需要量は多いが年間需要台数が少ないために総レアアース需要量も小さい。
米国におけるレアアース需要量(磁石用途)
米国産・米国消費の次世代車・風車・航空機・エアコンに用いられるレアアース需要量は 2018年では合わせて年間約322トンである
レアアースの需給1
A
0
150
300
450310.9271.1 307.6 271.5
322.2
Total
201820162015 20172014
0
100
6.7
5.86.3 7.40.4
7.0
0.4 6.5 0.60.5 0.5 7.9
6.2 7.9 8.4
117.6 103.2 107.5 111.0 148.011.5
15.9
0
300
11.9
163.8
12.6 11.1
130.2 119.0114.2 122.9
125.4 123.7 85.44.5 4.4
0
300
2.774.4 77.4
77.1
2.8 3.1
129.9 128.1 80.2 88.5
次世代車
風車
航空機
エアコン
(t)
Nd
Dy
(t)
(t)
(t)
Nd
Dy
Nd
Dy
風車*
エアコン
次世代車(EV/HEV)
航空機
1
2
3
4
0
300
61.5
53.752.853.2 3.8 4.03.8 3.8 56.4 57.4 4.1
57.0 56.6 57.6 60.4
Nd
Dy
*:風車は最終組み立てが現地にて行われるため、米国にて導入されたものは全て米国産としての条件を満たすと仮定し推計した
(t)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務69
次世代車のレアアース需要量は、米国産・米国消費の次世代車台数を算出し、1台あたりのレアアース使用量を掛けるこ
とで推計した。磁石の性能の要求水準が高いため、磁石中のDy比率は3%とその他用途と比べて高い。
次世代車におけるレアアース需要量
次世代車に使用されるレアアースの年間需要量は2018年ではネオジムが約148トン ジスプロシウムが約16トンである
レアアースの需給1
A-1
297 321 347 353 374
840 857 847 737 724
0
500
1,000
1,5001,0901,1941,137 1,178 1,098
201820162015 20172014
117.6 103.2 107.5 111.0148.0
0
100
200130.2
12.6 11.911.1 11.515.9119.0114.2 122.9163.8
0.3%0.2% 0.4%
0.5% 0.7%2.8% 2.2% 2.0% 2.1% 1.8%
100%
0%
0.4% 0.5% 1.4%0.6%0.4%
小型自動車輸出台数
小型自動車における次世代車割合*
小型自動車生産台数
レアアース需要量
211 201 197 198 180
0
250
500
(万台)
(万台)
(t)
出所:FOURIN“世界自動車統計年刊 2019”等を基に作成*:販売台数ベースの値を用いた
小型車
HEV
その他PHEV
EV
乗用車
小型商用車
Nd
Dy
※1台あたりNd磁石1.2kg
(EVは2kg)
※ 合わせて小型車と呼ばれる
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務70
風車のレアアース需要量は、米国産・米国消費の風車のうち、発電形態が永久磁石式ダイレクトドライブである基数を算
出し、1基あたりのレアアース使用量を掛けることで推計した。磁石中のDy比率は1%と低い。
風車におけるレアアース需要量*1
風車に使用されるレアアースの年間需要量は2018年ではネオジムが約85トン ジスプロシウムが約3トンである
レアアースの需給1
A-2
発電機の種類別比率*2
レアアース需要量
風力発電導入基数
201820162015 20172014
74.4125.4 123.7
77.4 85.4
0
100
200
4.5
2.7
4.4
2.8 3.1
128.1
77.1
129.9
80.2 88.5
20.8% 20.8% 20.8% 20.8% 20.8%0%
50%
100%
4,306 4,247
2,659 2,933
4.3
8.3 8.8
6.2 6.8
0
2
4
6
8
10
0
5,000
10,000
2,556
(基) (GW)
出所:EIA“2018 Form EIA-860 Data”、GWEC“Supply Side Data 2018 report”等を基に作成*1:風車は最終組み立てが現地にて行われるため、米国にて導入されたものは全て米国産としての条件を満たすと仮定し推計した *2:2018年の数値を全年にて用いた
永久磁石式ダイレクトドライブ
従来型
ハイブリッド型
巻線式ダイレクトドライブ
(t)
(導入容量)
容量
基数
Nd
Dy
※1基あたりNd磁石500kg
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務71
エアコンのレアアース需要量は、米国で販売されるエアコンの種類別シェア・米国産比率・インバータ比率を掛けることで
推計した。米国で最もシェアの大きいエアコンであるセントラル型は、米国産比率・インバータ比率共に高い。
エアコンにおけるレアアース需要量
エアコンに使用されるレアアースの年間需要量は2018年ではネオジムが約54トン ジスプロシウムが約4トンである
レアアースの需給1
A-3
53.2 52.8 53.7 56.4 57.40
100
200
57.0 56.6
3.8
61.5
3.8
57.6
3.8 4.0 4.1
60.4レアアース需要量
インバータ
比率
米国におけるエアコン年間販売台数
米国産
比率
Nd
Dy
※ 1機あたりNd磁石住宅用:80g
業務用:350g
97%
出所:Statista“Air conditioner demand worldwide from 2012 to 2018, by region”、専門家へのヒアリング等を基に作成
201820162015 20172014
18%
0%
0%
0%
100%
100%
8%
100%
3%
米国特有の種類のエアコンについては殆どが米国産である
インバータ付きエアコンはレアアースを用いるため高価であり、普及率が低い
(千台)
0
5,000
10,000
15,000
20,00015,59014,60014,460 14,350 15,320
ルーフトップ
セントラル
ウインド
壁掛け
ビル用セントラル
米国内
シェア
内訳
50%10% 3% 13% 24%
セントラル型
セ
ウ 壁ル
ビ
ビル用セントラル型ルーフトップ型壁掛け型ウインド型
(住宅用) (住宅用) (住宅用) (業務用) (業務用)
(t)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務72
航空機のレアアース需要量は、米国産・米国消費の航空機数をBoeing製とAirbus製について合算し、1機あたりのレア
アース使用量を掛けることで推計した。磁石中のDy比率はレアアース磁石としては一般的な2%である。
航空機におけるレアアース需要量
航空機に使用されるレアアースの年間需要量は2018年ではネオジムが約8トン ジスプロシウムが約0.6トンである
レアアースの需給1
A-4
0
500
1,000 806723 762 748 763
201820162015 20172014
7.90
20
40
6.3 6.50.45.8
0.5 0.4 7.40.5 0.6
6.7 7.0 6.2 7.9 8.4
31.1% 30.4% 25.7% 30.1% 28.9%0%
50%
100%
787
737
747
777
767
(機)
出所:Boeing Annual Report (2016-2018)等を基に作成*:※2014,2015年については、海外収益額を2016~2018年の平均と仮定して推計した
レアアース需要量
Airbus
Bobile工場生産台数
Boeing
引渡し台数
商用機の地域別収益割合*
15 35 48
0
100
200
300(機)
Nd
Dy
Airbus
Mobile産
海外
米国
※1機あたりNd磁石100kg
(t)
(A320シリーズ)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務73
レアアースを用いる触媒として、重油の分解を促進するFCC触媒、自動車の排気ガスにおけるNOx, COxを浄化する自動
車触媒が挙げられる。FCC触媒と自動車触媒のどちらもCeとLaの両方が用いられるが、自動車触媒は殆どがCeである。
レアアースが用いられる主な触媒として FCC触媒と自動車触媒が挙げられる
レアアースの需給1
米国における主な触媒用途B
FCC
触媒
自動車触媒
製油所1箇所あたり1日10,000kg
(レアアース酸化物換算)
レアアース内訳
単位あたりレアアース使用量
Ce
La
40%
60%
Ce 100%
4気筒以下
5気筒以上
1台あたり2個
1台あたり4個
自動車触媒1個あたり25~30g
排ガス浄化触媒
製油所
流動接触分解装置
FCC触媒
レアアース含有率約1.5%
出所:JOGMEC“自動車触媒における白金族使用同行及び関連技術動向”、各社ヒアリング等を基に作成
1
2
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務74
米国における触媒用途のレアアース需要量は、FCC触媒が年間約5,700トンと非常に大きい。次いで自動車触媒の需要
量も年間約720トンと、磁石用途と比較して米国産・米国消費の最終製品における触媒の需要量が大きい。
米国におけるレアアース需要量(触媒用途)
米国産・米国消費のFCC触媒・自動車触媒に用いられるレアアース需要量は 2018年では合わせて年間約6,400トンである
レアアースの需給1
B
5,657.3 5,708.5 5,830.3 5,664.3 5,668.8
0
2,500
5,000
7,500 6,362.1
704.7 746.3 756.4 676.4 693.5
6,454.8 6,586.7 6,340.7 6,362.2
Total
201820162015 20172014
2,219.4 2,239.5 2,287.3 2,222.2 2,223.9
3,437.9 3,469.0 3,543.0 3,442.2 3,444.9
0
2,500
5,000
7,5005,657.3 5,830.35,708.5 5,664.3 5,668.8
704.7 746.3 756.4 676.4 693.5
0
2,500
5,000
FCC触媒
自動車触媒
Ce
(t)
Ce
La
FCC
触媒
自動車触媒
1
2
(t)
(t)
出所:JOGMEC“自動車触媒における白金族使用同行及び関連技術動向”、各社ヒアリング等を基に作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務75
FCC触媒に含まれるレアアースの割合は1.5%前後であり、メーカーの戦略によって異なる。FCC触媒には酸化セリウムと
酸化ランタンのどちらも用いられるが、ランタンの方が使用量が多い。
FCC触媒におけるレアアース需要量
FCC触媒に使用されるレアアースの年間需要量は2018年ではセリウムが約2,200トン ランタンが約3,400トンである
レアアースの需給1
B-1
製油所稼働率
レアアース需要量*
米国の製油所数
201820162015 20172014
88.3% 90.4% 91.0% 89.7% 91.1%
0%
50%
100%
※稼働中の製油所1箇所あたりFCC触媒消費量10トン / 日
(施設)
139 137 139 137 135
0
100
200
2,219.4 2,239.5 2,287.3 2,222.2 2,223.9
3,437.9 3,469.0 3,543.0 3,442.2 3,444.9
0
2,500
5,000
7,5005,664.35,657.3 5,708.5 5,830.3 5,668.8
Ce
La
出所:EIA“PETROLEUM & OTHER LIQUIDS”、各社ヒアリング等を基に作成*:FCC触媒におけるレアアース含有量は1.5%として推計した
(t)
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務76
自動車触媒の成分としては貴金属類が代表的だが、その助触媒材としてレアアースが使用される。レアアース成分のほと
んどをセリウムが占めており、自動車触媒1つあたり25~30g程度用いられる。
自動車触媒におけるレアアース需要量
自動車触媒に使用されるレアアースの年間需要量は2018年ではセリウムが約700トンである
レアアースの需給1
B-2
1,137 1,178 1,194 1,090 1,098
0
500
1,000
1,500
29 32
1,2201,16627
1,131
29 33
1,211 1,119
201820162015 20172014
704.7 746.3 756.4 676.4 693.5
0
500
1,000
99.6% 99.6% 99.5% 99.4% 98.7%
0%
50%
100%
自動車輸出台数
EV以外の割合*1
自動車生産台数
レアアース需要量*2
211 201 197 198 1800
250
500
223
1312212
11 1310
207 211 193
(万台)
(万台)
(t)
出所:FOURIN“世界自動車統計年刊 2019”、各社ヒアリング等を基に作成*1:販売台数ベースの値を用いた *2:エンジン構成は4気筒以下の割合と5気筒以上の割合を1:1と仮定した
小型車
中・大型車
非EV
EV
小型車
中・大型車
Ce
※自動車触媒1個あたりレアアース27.5g
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務77
2. レアアース製品のサプライチェーン
2.1 中間製品のサプライチェーン
2.1.1 磁石のサプライチェーン
2.1.2 触媒のサプライチェーン
2.2 最終製品のサプライチェーン
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務78
米国の安全保障の観点から、国防総省(DoD)は国防権限法を毎年改定している。2018年の国防権限法により、中国など
4か国において合金化・製造されたサマコバ磁石やネオジム磁石を、米国内の軍事産業に使用することが禁止されている。
国防権限法の概要
米国では2018年の国防権限法により国内の軍事産業において中国など4か国にて合金化・製造された希土類磁石の使用が禁止されている
中国 ロシア 北朝鮮 イラン
John S. McCain National Defense Authorization Act
規制
対象国
対象製品
国防総省は以下の調達を禁止する 対象国で溶解・製造された対象材料 対象国で溶解・製造された(対象材料を含む)最終製品
国防総省は、国益のためにならないと判断した場合には、国防用備蓄より対象材料を対象国やその対象国のブローカー、代理人、または対象国の利益になるように行動している第3者に販売することを禁止する
名称SEC871:Prohibition on acquisition of sensitive materials
from non-allied foreign nations.
サマコバ磁石 ネオジム磁石 タングステン粉末 タングステン合金
国防総省の軍需向けレアアースの調達先から中国等を排除
出所:John S. McCain National Defense Authorization Act SEC871を基に作成
規制対象国
レアアース製品のサプライチェーン2
軍事産業において、指定された国からレアアース製品のサプライチェーンを独立させる
米国の軍需向けレアアースのサプライチェーンについて国際情勢からの影響を受けにくくする
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務79
サマリウムの還元施設は中国にしか無く、その他の国は金属を中国から輸入せざるを得ない。一方で米国では国防権限
法により中国製の合金・磁石の軍事使用が制限され始めたため、国内及び日本・英国からの調達ルートを開拓中である。
米国で使用されるサマコバ磁石の主なサプライチェーン
2018年の国防権限法より中国製サマコバ磁石や合金の軍事使用が制限されたため米国は日本や英国からの調達ルートを開拓中である
米国にて消費
レアアース製品のサプライチェーン2
二次製品・最終製品化
磁石製造電解/還元分離・精製 合金化
※ 国防権限法により、中国産の合金は米国での軍事利用が禁止されている
軍事使用不可
軍事使用可
出所: 専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
中国北方希土集団ハイテク株式有限公司
中国南方希土集団有限公司
五鉱希土集団有限公司
広東省希土産業集団有限公司
中国希有希土株式有限公司
厦門タングステン業株式有限公司
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務80
我が国はネオジム磁石製造における特許技術を多く有していたため、サマコバ磁石と比べて日系企業のシェアが大きい。
また国防権限法より中国製の合金・磁石の軍事使用が制限され始めた点はサマコバ磁石と同様である。
米国で使用されるネオジム磁石の主なサプライチェーン
2018年の国防権限法より中国製ネオジム磁石や合金の軍事使用が制限されたため米国は日本や英国からの調達ルートを開拓中である
二次製品・最終製品化
磁石製造電解/還元分離・精製 合金化
レアアース製品のサプライチェーン2
合金メーカー
米国にて消費
軍事使用不可
軍事使用可
磁石メーカー
磁石メーカー
※ 国防権限法により、中国産の合金は米国での軍事利用が禁止されている
日系メーカー(現地法人)
・
現地メーカー
中国製の磁石は磁石の品質の高さが現在重視されていない、風車などに用いられる傾向にある
出所: 専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
(リサイクル)
次世代車や航空機など、磁石の品質の高さが要求されるため、日本製磁石が採用されやすい傾向にある
2.2節にて詳述
中国北方希土集団ハイテク株式有限公司
中国南方希土集団有限公司
五鉱希土集団有限公司
広東省希土産業集団有限公司
中国希有希土株式有限公司
厦門タングステン業株式有限公司
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務81
2. レアアース製品のサプライチェーン
2.1 中間製品のサプライチェーン
2.1.1 磁石のサプライチェーン
2.1.2 触媒のサプライチェーン
2.2 最終製品のサプライチェーン
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務82
二次製品・最終製品化
FCC触媒や自動車触媒に用いられる助触媒材には、主にセリウムとランタンの酸化物が用いられる。日系企業と仏系企
業の2社が主要なサプライヤーであり、この2社で世界の8割のシェアを占めている。
米国で使用されるレアアースを含む触媒のサプライチェーン
触媒の反応を促進する助触媒材の主要サプライヤーは限られており日系企業と仏系企業の2社で世界の8割のシェアを占めている
助触媒材化分離・精製
マレーシア
FC
C
触媒
自動車触媒
マレーシア
六大レアアース集団
六大レアアース集団
年間約7,000トン
出所: 専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
六大レアアース集団
レアアース製品のサプライチェーン2
世界シェアの
8割
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務83
2. レアアース製品のサプライチェーン
2.1 磁石のサプライチェーン
2.2 最終製品のサプライチェーン
2.2.1 次世代車のサプライチェーン
2.2.2 航空機のサプライチェーン
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務84
日系完成車メーカーの多くはモーター製造を内製化しており、磁石も日系企業から調達している。米系完成車メーカーでも
品質の高さから日本製のモーターや磁石が採用されるが、一部では中国製の磁石を用いたモーターを採用している。
日米の次世代車のサプライチェーン
日系・米系の次世代車メーカーは共に上流のサプライチェーンにおいて品質の観点から日本製の磁石やモーターを活用するケースが多い
次世代車駆動モーター磁石
日系次世代車
: 日系企業
出所: 専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
米系次世代車
H社は日系電機メーカーから調達
E社は内製化と系列のトランスミッションメーカーからの調達が混在している
日系完成車メーカー
E社
F社
G社
H社
日系磁石メーカー
A社
C社
B社
D社
基本的には、品質の高さから日系メーカー製の磁石が採用される
完成車メーカーF社は、日系磁石メーカーD社からDyフリー磁石を調達している
多くのメーカーが内製化している
中国製磁石は採用が検討され始めた段階である
EVベンチャー 販売の拡大に伴いモーター製造を内製化した
中国系磁石メーカーI社
中国系磁石メーカーJ社
Big3
日系磁石メーカーA,B,C社 日系Tier1 K,L社
韓国系Tier1 M社
レアアース製品のサプライチェーン2
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務85
2. レアアース製品のサプライチェーン
2.1 磁石のサプライチェーン
2.2 最終製品のサプライチェーン
2.2.1 次世代車のサプライチェーン
2.2.2 航空機のサプライチェーン
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務86
出所: 専門家へのヒアリング結果等に基づき作成
航空機分野では品質が重視される傾向より、一度選定されたサプライヤーが継続的に選定されることが多い。また高性能
機器を製造可能な日系精密モーターメーカーが高いシェアを占めるなど、日系を含む先進国メーカーのシェアが高い。
レアアースを用いた航空機部品のサプライチェーン
航空機のアクチュエーターの選定は実質的にTier 1が行っておりTier 1は品質を重視して磁石やモーターを日米のメーカーから調達している
航空機
: 日系企業
Boeing
Airbus
米系コングロマリット F
米系企業
英系企業
アクチュエーター
アビオニクス
ジェネレーター
APU
エンジン
米系メーカー2社
エンジン
モーター磁石
日系精密
モーターメーカー
米系モーターメーカー
欧系モーターメーカー
日系磁石メーカー
C社
欧系磁石メーカー D
A社
米系磁石メーカー E
ネオジム磁石
サマコバ磁石
中国系磁石メーカー
品質が重視されることに加え、一度選定したサプライヤーが継続的に選定される傾向から、日系メーカーが強い
B社
水平安定板 フラップ カーゴドア
等に用いられる
フライバイワイヤ化に伴う油圧システムの電動化に用いられる
欧系溶射材料メーカー
コーティング材米系メーカー
2社
(全機種)
Tier 1が選定
選定
コーティング材として納入された粉末を、エンジンメーカーが溶射している
米系コングロマリット F
米系コングロマリット G
米系コングロマリット G
高速回転するエンジン周辺は非常に高温となるため、熱に強いサマコバ磁石が用いられる
(A320シリーズ) ネオジム磁石は日本製が多く、サマコバ磁石は欧米企業が強い
レアアース製品のサプライチェーン2
航空機メーカーTier 1部品メーカー磁石メーカー
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務87
3. サプライチェーン上のリスク
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務88
中重希土は米国や豪州でも産出されるが、分離・精製を実施可能な国は中国のみである。このため中重希土のサプライ
チェーンは全て中国を経由しており、供給経路を多角化できていないことが課題である。
中重希土のサプライチェーンにおけるリスク
中国のみが中重希土の分離・精製施設を持つことから分離・精製工程を中心に供給経路を多角化できていないことが課題である
電解/還元 合金化 磁石製造中間製品製造(駆動モーター等)
最終製品製造(次世代車等)
分離・精製採掘・選鉱
主要国
日本
ドイツ
米国
豪州
日本
米国
欧州
韓国
日本
米国
欧州等
中国 中国
中国
中国
ベトナム
中国
中国
サプライチェーン上のリスク3
サプライチェーン上のリスク中重希土の分離・精製を実施可能な国が中国のみである
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務89
4. 結論
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務90
本事業における調査結果サマリー
本調査における総括は以下のとおり
米国のマウンテンパス鉱山は軽希土が含有量の98.7%を占めており、中重希土の産出が少ない。このため各鉱種における国内需要を満たすには他国からの輸入に頼る必要があるが、採掘から電解/還元を一貫して実施可能な国は中国に限られるのが課題である。
需要の観点では、触媒に用いられるCeやLaの年間需要は約6,400トンと多いが、供給量も多いために課題とはならない。対して磁石に用いられるNdやDy等の中重希土は、年間需要は約297トンだが、様々な産業にて用いられる。マウンテンパス鉱山からの産出量も少ないことから、安定的な調達経路を構築する政策的意義が大きいと考えられる。
磁石に用いられるネオジムやジスプロシウム等の中重希土は様々な産業に用いられるため安定的な調達経路を構築する政策的意義が大きい
我が国は中国に次ぐ希土類磁石生産国であるが、世界的なシェアとしては中国が多くを占める。これは、中国はレアアースの採掘から電解/還元を一貫して実施することで生産コストを抑制し、安価な磁石を製造できるためである。
次世代車や航空機については磁石の品質の高さが要求されることに加え、品質の安定のために一度契約したサプライヤーを変更することは少ない傾向にあるため、技術力の高い日系メーカーが一定のプレゼンスを発揮している。
一方で風車などについては要求される磁石の品質が次世代車や航空機ほど高くないことから、近隣にて一貫したサプライチェーンを持ちコストの低い生産が可能な中国製磁石が採用される傾向にある。
特に中重希土においては、分離・精製工程が全て中国一国に集中していることに加え、その他の上流工程において中国が大きなシェアを占めており、サプライチェーンに偏りが見られる点がリスクとなっている。
次世代車や航空機においては技術力の高い日系メーカーが一定のプレゼンスを発揮しているが磁石の品質の高さを必要としない産業も多いことから世界的なシェアの多くを中国が占めている
結論4
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務91
Appendix 1 レアアース価格の推移
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務92
レアアースメタルの価格推移
レアアース価格は 2011年に中国の輸出規制により急騰したが2016年以降は安定している
2014
2.000
201120102008
1.500
2009 201520132012 2016 2017 2018
5.500
20190
500
1.000
2.500
3.000
3.500
4.000
4.500
5.000
6.000
ネオジム
ジスプロシウム
イットリウム
ランタン
セリウム テルビウム
プラセオジウム
サマリウム
ユウロピウム
エルビウム
($1,000 / t)
出所:Bloomberg等より作成
鉱物最高値
USドル/トン(該当年)
現在値USドル/トン(2019/03)
最高値からの減少率(%)
イットリウム197,500(2011/07)
2,750 98.6
ランタン140,050(2011/05)
1,930 86.3
セリウム150,550(2011/05)
1,930 98.7
プラセオジム250,250(2011/07)
56,000 77.6
ネオジム369,750(2011/07)
43,500 88.2
サマリウム135,550(2011/07)
1,850 98.6
ユウロピウム5,590,000
(2011/07)37,000 99.3
テルビウム4,195,000
(2011/07)457,500 89.1
ジスプロシウム
2,499,000(2011/07)
214,500 91.4
エルビウム295,000(2011/06)
22,200 92.5
Appendix 1 レアアース価格の推移
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務93
日本が輸入している磁石は加工済みのものであり、加工コストが付与されているために単価が高い。輸出価格に関して
は、国からの多額の補助金を得ている中国磁石メーカーの方が安く磁石を製造できる。
各国における磁石の貿易価格*1
国からの補助金を受けて低品質~中品質な磁石を大量に製造する中国に対し日本の磁石メーカーは高品質高付加価値な磁石を製造することで対抗している
Appendix 1 レアアース価格の推移
2014 2015 20182016 2017
30,000
10,000
0
40,000
20,000
50,000
60,000
0201620152014
50,000
2017 2018
10,000
20,000
30,000
40,000
60,000
磁石輸入 磁石輸出
中国
日本
米国 日本
中国
($/t)
(年)
($/t)
*1:UN Comtradeより、HSコード8505.11の各国の貿易額を重量で割ることで算出
(2018年)価格
日
米
中
59,730 $/t
43,468 $/t
45,924 $/t
6,337 t
9,346 t
8,313 t
日
中
41,612 $/t
18,639 $/t
12,685 t
110,680 t
重量 (2018年)価格 重量
(年)
日本は中国よりも高額な磁石を輸入している
自国で磁石を製造可能な日本は、輸入する磁石はフィリピン等で加工された最終製品のため単価が高い
中国は日本よりも安価な磁石を輸出している
国からの補助金より中国は低~中品質の磁石を安く製造できる
日本は高品質・高付加価値な磁石を強みとしている
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務94
Appendix 2 米国におけるレアアース関連企業
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務95
下流
上流サプライチェーン関連企業
米国におけるレアアースの上流サプライチェーンに関連する企業は以下のとおり
Appendix 2 米国におけるレアアース関連企業 中流上流
採掘・選鉱事業者 分離・精製事業者 電解/還元事業者
精製加工事業者
MP Materials
NioCorp
Texas Mineral Resources
USA Rare Earth
Ucore Rare Metals Blue Line
Innovation Metals
Rare Element Resources Neo Performance Materials
その他上流事業者
有力事業者なし
出所:Australian Government “Critical Minerals Supply Chain in the United States”等に基づき作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務96
中流サプライチェーン関連企業
米国におけるレアアースの中流サプライチェーンに関連する企業は以下のとおり
Appendix 2 米国におけるレアアース関連企業 下流中流上流
合金メーカー 磁石・アセンブリメーカー
ACI Alloys
Eutectix
Infinium MetalsAmerican Elements
(リサイクル品より合金製造)
Arnold Electron Energy Corporation
Eneflux-Armtek MagneticsAdams Magnetic Products
AEC Magnetics Alpha Magnetics
その他中流事業者
有力事業者なし
出所:Australian Government “Critical Minerals Supply Chain in the United States”等に基づき作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務97
下流サプライチェーン関連企業(運輸系)
米国におけるレアアースの下流サプライチェーンのうち航空機や船舶に関連する企業は以下のとおり
Appendix 2 米国におけるレアアース関連企業 下流中流上流
運輸系メーカー
中間製品 最終製品
BAE Systems
(アビオニクス)
Pratt & Whitney
(航空機エンジン)
General Atomics
(アビオニクス・無人機)
Boeing
(航空機・戦闘機)
Lockheed Martin
(戦闘機)
Huntington Ingalls Industries
(戦艦)
General Dynamics
(潜水艦等 コングロマリット)
Safran USA
(アビオニクス)
GE
(航空機エンジン)
Raytheon
(レーダー・ミサイル)
MTU America
(エンジン)
Collins Aerospace
(アビオニクス・アクチュエーター)Honeywell
(アビオニクス・アクチュエーター)
Northrop Grumman
(レーダー)
United Technologies
コングロマリット
航空機系
船舶系
出所:Australian Government “Critical Minerals Supply Chain in the United States”等に基づき作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務98
下流サプライチェーン関連企業(触媒系)
米国におけるレアアースの下流サプライチェーンのうち触媒に関連する企業は以下のとおり
Appendix 2 米国におけるレアアース関連企業 下流中流上流
触媒系メーカー
W.R.Grace
(FCC触媒)Albemarle
(FCC触媒)
Air Liquide Electronics U.S.
(化学系触媒)
Basfin
(FCC触媒)
Bayer
(農業用触媒)
Lyondellbasell Industries
(化学系触媒)
Rohm and Haas Company
(化学系触媒)
Fisher Scientific
(化学系触媒)
Praxair
(化学系触媒)
Sigma-Aldrich Corporation
(化学系触媒)
Dow Du Pont
(農業用触媒)
Monsanto
(農業用触媒)
Saint-Gobain Corporation
(医薬品用触媒)
Johnson Matthey
(自動車用触媒)Umicore USA
(自動車触媒)
Phillips 66
(石油精製)Shell
(石油精製)
出所:Australian Government “Critical Minerals Supply Chain in the United States”等に基づき作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務99
下流サプライチェーン関連企業(電化製品系)
米国におけるレアアースの下流サプライチェーンのうち精密機器に関連する企業は以下のとおり
Appendix 2 米国におけるレアアース関連企業 下流中流上流
電化製品系メーカー
Bosch
(電子機器部品)
Maxim Integrated
(センサー)
Apple
(電子機器)
Bose
(音響機器)
Dell
(電子機器)
AMETEK
(ディスプレイ)
Nvdia
(半導体)Seagate Technology US
(HDD)
Western Digital Corporation
(HDD)
Finisar
(光ファイバー)
Maxwell Technologies
(コンデンサ)
Intel
(マイクロプロセッサ)Advanced Micro Devices
(マイクロプロセッサ)
中間製品 最終製品
出所:Australian Government “Critical Minerals Supply Chain in the United States”等に基づき作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務100
下流サプライチェーン関連企業(その他)
米国におけるレアアースの下流サプライチェーンのうちその他の産業に関連する企業は以下のとおり
Appendix 2 米国におけるレアアース関連企業 下流中流上流
Siemens Gamesa
(陸上風車・洋上風車)
Nordex Acciona
(陸上風力)
Vestas
(陸上風車)Parchem
MHI Vestas
(洋上風力)
Sherwin-Williams Company
(塗料・コーティング)
GE Wind
(陸上風力)
風車メーカー 建材メーカー 商社
Goldwind
(陸上風力)
Corning Incorporated
(ディスプレイガラス)
出所:Australian Government “Critical Minerals Supply Chain in the United States”等に基づき作成
北米におけるレアアースのサプライチェーン状況分析業務101
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りません。また、本資料の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するため
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