Click here to load reader

毎月第四週は、 松浦武四郎のコレクション 2018 …...やはりその人生にイター〉といわれていますが、通 つう 底 てい している としてののは、〈旅人〉と〈コレクター〉気

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 文・河治和香  装画・りんたろう 編集・細山田正人 デザイン・DOMDOM 

    監修・松浦武四郎記念館

    松まつ

    浦うら

    武たけ

    四し

    郎ろう

    (1818 ~ 1888)三重県松阪市出身。幕末から明治にかけての探検家、著述家、蒐集家。蝦夷地(今の北海道)を 6度にわたり探査し、アイヌの人々と交流を深め、蝦夷地の詳細な記録や地図を作成した。維新後、蝦夷地に代わる新たな名称として〈北海道〉のもととなる〈北加伊道〉を含む 6案を政府に提案したことから〈北海道の名付け親〉と称される。

    ●毎月第四週は、 松浦武四郎のコレクション についてご紹介します

    第4号2018 年(平成 30 年)3 月 28 日(水)発行・北海道電力

    る案内人のアイヌを叩たたき起おこし

    て「あの川の名前はなんだっ

    け?」と聞いたりしました。

     このものすごい情熱は、〈地

    名を蒐しゅう集しゅうする〉コレクター気質

    に支えられていたようにも思い

    ます。明治以降、武四郎さんは

    趣しゅ味みの世界の蒐集に邁まい進しんしま

    す。毎月四週目は、そのコレク

    ションの数々を見ていくことに

    いたしましょう。

    握にぎる……という風ふうに、独どく特とくだっ

    たそうです。それで目にもとま

    らぬ速さで書いてゆく。手紙も

    いっぱい書きました。幕末の混こん

    沌とんとした中で武四郎さんの手紙

    は重じゅう要ような情じょう報ほう源げんだったので届く

    とみんな争あらそって書き写したとい

    います。

     ところが武四郎さんの字が汚きたな

    くて……読めない!

     親しい友人がたまりかねて武

    四郎さんに送った苦く情じょうの手紙が

    残っています。

    「今少し、テイネイに落ち着い

    てお書き下され」

     ちょっと笑っちゃいますね。

     でも、武四郎さんはいつも一いっ

    生しょう懸けん命めいでした。旅の途と中ちゅうでは宿やど

    に着いてもその日の記録を全部

    つけ終わるまではけっして草わら

    じ鞋

    を脱ぬいで上がりませんでした。

    蝦夷地探検中は、先に休んでい

     収しゅう集しゅう癖へき、というのは圧あっ倒とう的てきに

    男性の方が多いようです。男の

    子は小さい時から切手とかプラ

    モデルとか……集めるのが好き

    なんですね。

     武四郎さんは〈探たん検けん家か〉と

    か、〈北海道の名付け親〉とか

    〈アイヌの現げん状じょうを記しるしたルポラ

    イター〉といわれていますが、

    やはりその人生に通つう底ていしている

    のは、〈旅人〉と〈コレクター〉

    としての気き質しつではないかと思い

    ます。

     武四郎さんは、幕ばく末まつの頃、蝦え

    夷ぞ地ちに都つ合ごう六回渡り、アイヌ語

    の蝦夷地の地名を克こく明めいに記録し

    ました。その数、九千八百とも

    いわれています。気の遠くなる

    ような数字です。

     武四郎さんは、記き録ろく魔までした。

    ものすごい速さで書いていくの

    で、筆ふでの持ち方が指三本で軽く

    コレクター気質

    ▲「東西蝦夷山川地理取調図」(1859)部分 松浦武四郎記念館蔵