34
分科会①「ACTの経営基盤となる制度を知る」 「精神科診療所の立場から」 アイ・クリニック 吉本 博昭

「精神科診療所の立場から」 · 2014-11-06 · 分科会①「actの経営基盤となる制度を知る」 「精神科診療所の立場から」 アイ・クリニック

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

分科会①「ACTの経営基盤となる制度を知る」

「精神科診療所の立場から」

アイ・クリニック : 吉本 博昭

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
昨年は「可能性」であつたものが「実現へ」と題を改めた

私たちは精神の病気があっても、当り前の生活 をしたいと思います。家族とともに暮らし、友人 と交流し、縁があれば結婚し、子が授かれば、 子育てに苦労したいと思います。また、親戚づ きあいに顔を出し、学校行事や地域活動に参 加し、人の目を気にしないで服薬し、病気を隠 さないで仕事に就きたいと思います。

富山大会宣言(1)

第14回日本精神障害者リハビリテーション学会

そのような生活の実現のために、困ったときには気軽 に相談できる専門家が身近にいてほしいと思います。 病気が悪化したときには、いつでも適切な治療を受け ることができ、入院しても長期にならず、効果のあるリ ハビリテーションを受けて自分でも対処する力を高め、 地域で生活したいと思います。 仕事に就けない場合でも、地域の中にひとりひとりに 応じたさまざまな活動の場があり、自分らしい自立の あり方を自分で決めることができれば良いと思います。

富山大会宣言(2)

第14回日本精神障害者リハビリテーション学会

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
ゴールは何か→精神障害を持っていても可能な限り地域で生活ができるようになること。自分の人生が「(障害はあるけれども)生きていてよかった、価値のある人生であった」と思えるようになること。ゴールの具体的な姿→その人の望みの実現:仕事をすること、結婚すること、子育てすること・・・・.、(支援を受けながらでも)可能な限り普通の住まいにすむことが出来ること、 (支援を受けながらでも)可能な限り普通の職場に職を持っていること、 地域社会のなかに、集う場所、語り合える仲間を持っていること                                 

第1回 精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会(平成25年7月26日)資料より

第1回 精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会(平成25年7月26日)資料より

第1回 精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会(平成25年7月26日)資料より

第1回 精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会(平成25年7月26日)資料より

やっと動き出した日本の 精神医療改革

ACT実施に際して大事な事

3つのP

Plan(計画) Person(人) Place (開業の場所)

Passion(情熱) Pride(仕事に対する誇り) Professionalism (プロ意識)

私の場合の3つのP(前半)

• ACTと一般診療(ディケアを含めた)のセット • 総合病院との連携医療(サテライトクリニック的に) • 自分の専門性(アルコ-ル依存症)を取り込んだ治

療形態(ミーティングができる広さ) • 職員は半数以上は元の職場の同僚 • 元の勤務した総合病院の近くに開業場所を選択 • 高齢開業であるので投資額が少なくした(血液検査

以外は総合病院に紹介、賃貸物件、電子カルテ・レセプトは非メーカー製i-karte)

• 開業支援は医療に詳しい会計事務所に依託 *京都ビジコンはACTの開業に詳しい)

何故、ACTが広まらないのか

医療経済の問題が障壁か?

1.ACTは診療報酬の対象外 2.ACTを行って算定さできる代替 の診療報酬は、実際の対価とし ては低い。

開業前の医師に診療報酬の詳細理解は難しい

「医科点数表の解釈」、難解で咀嚼ができにくい。いろいろな解釈本が出版される

診療報酬の知識がないと経済的損失をもたらし、経営的危機をもたらす可能性あり

うーん、困った

ACT実施上での診療報酬

精神科訪問看護・指導料

往診

在宅患者訪問診療料

在宅時医学総合管理料

外来通院(基本診療料:初診料、再診料、外来診

療料)

精神科専門療法(通院・在宅精神療法、精神科継

続外来支援・指導料、精神科デイ・ケア、精神科

訪問看護・指導料)

往 診 料 往診 720点 緊急に行う往診 750点(650点) 夜間の往診 1500点(1300点)

(午後6時~午前8時、深夜を除く) 深夜の往診 2500点(2300点)

(午後10時~午前6時)

*( )の点数は機能強化型でない在宅療養支援診療 所の点数

*往診の距離は16kmを越えない *定期的・計画的でなく、突発的な病状の変化に 対して緊急的に行うもの

精神科訪問看護・指導料(1) 精神疾患を有する入院外の患者又はその家族等の了解を得て居宅を訪問し、個別に患者又は家族等に対して看護、療養指導及び社会復帰指導等を行った場合に算定

• 対 象 者:①1名個別 ②複数名個別 • 実 施 者:①保健師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士 ②准看護師 • 算定回数:週3回(退院後3ヶ月以内は5回)、急性増悪→ 7回~14回 • 加 算:①複数名訪問 ②長時間訪問(90分以上)

③緊急訪問 ④夜間・早朝、深夜訪問 • 留 意 点:医師は診療録に保健師等に行った指示内容の要

点を記載

精神科訪問看護・指導料(2)

2人まで 3人まで 週3日まで30分以上 575点 575点 288点 週3日まで30分未満 440点 440点 220点 週4日まで30分以上 675点 675点 338点 週4日まで30分未満 525点 525点 263点 週3日まで30分以上 525点 525点 263点 週3日まで30分未満 400点 400点 200点 週4日まで30分以上 625点 625点 313点 週4日まで30分未満 485点 485点 243点

保健師又は 看護師等に よる場合

精神科訪問看護・指導料 Ⅰ Ⅲ

准看護師に よる場合

保健師、看護師+保健師、看護師、PSW、OT → +450点 保健師、看護師+准看護師 → +380点 保健師、看護師+看護補助者 → +300点(但し週1回) *一般的な組み合わせ:看護師とPSWの2名で30分以上訪問した場合→1025点

在宅医療のイメージ

「e-らぽ~る」のHPより

在宅療養支援診療所の用件 1. 保険医療機関たる診療所

2. 配置職員は24時間連絡を受ける医師又は看護職員

3. 他の保険医療機関の保険医との連携

4. 他の保険医療機関、訪問看護ステーション等の看護職員と

の連携。24時間訪問看護の提供

5. 他の保険医療機関内において、在宅療養患者の緊急入院

を受け入れる体制を確保していること

6. 医療サービスと介護サービスとの連携を担当する介護支援

専門員(ケアマネジャー)等と連携していること

7. 当該診療所における在宅看取り数を報告すること

8. 患家の求めに応じて、連絡先や医師の氏名などの情報を文

書で提供していること

在宅療養支援診療所のタイプ 1. 診療所・病院単独型

常勤医師3名以上、緊急往診実績10件以上、

1年間の看取り実績4件以上

2. 在宅支援連携体制型 単独型の用件に、連絡先電話番号の一元化、

定期的カンファレンス等

3. その他(1,2の機能強化型以外で前スライド

用件を満たすもの) 在宅看取り件数の報告

在宅患者訪問診療料

• 同一建物居住者以外 → 833点 • 同一建物居住者

特定施設等に入居する者の場合 → 208点 上記以外の場合 → 103点

在宅での療養を行っている患者で、疾病、傷病のために通院による療養が困難な患者に対し定期的に訪問診療を行った場合。原則週に3回を限度

在宅時医学総合管理料 • 在宅患者のかかりつけ医機能の確立と在宅療養の推進を目的 • 算定対象は居宅で療養を行っている通院が困難な患者 • 厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方社会保険事務

局長に届け出た施設 • 患者の同意を得て在宅療養計画に基づき月2回以上訪問診療

(往診を含む)を継続して行った場合に月1回算定

院外処方交付あり 院外処方交付なし 同一建物居住者以外 4200点 4500点 同一建物居住者 1000点 1300点

*機能強化型でない在宅療養支援診療所の点数

iACTについて <開設まで> 平成18年12月:富山ACT(研究事業)の実施 平成19年4月:富山市民ACT立ち上げ 平成23年4月:iACTの開設 <特徴> クリニックの通院者の25%がアルコール依存症であることもあり、日本で初の依存症をアウトリーチの対象としている。また、総合病院との連携を積極的に図っているのも第二の特徴。

iACTの概略(1) 対象人口:富山市(420,549人:平成25年7月) 訪問対象者:アルコール依存症者を含めた重

い精神障害のある方。 訪問対象地域:車で30分以内の地域。 訪問曜日:月~土曜日(日曜・祝祭日は往診) 訪問スタッフ:精神科医師1名(1)、看護師4名

(4)、元保健婦1名、精神保健福祉士2名、臨

床心理士(2)、作業療法士1名、看護補助者3

名、ピュア・サポーター1名

iACTの概略(2) 訪問体制:多職種2名での訪問を原則とする。

1ないし3チームで訪問。

移動手段:軽自動車(3台)をスタッフが運転

医療報酬:精神科訪問看護・指導料を算定 2名を原則としているので1回のアウトリーチ

毎に条件によって750~1125点の範囲内で算

定。12月より在宅患者訪問診療料と在宅時医

学総合管理料を算定予定

iACTの実績(平成26年10月)

訪問対象者:34名

アウトリーチ回数:273回(平均週2回)

アルコール依存症者:8名で、男性7名、女性1名。41歳~67歳で、導入理由の多くは、双極

性障害の合併、認知機能障害や内科疾患な

どの疾病重篤性、一人暮らしや女性、経済的

困窮などの要因。

アイ・クリニックの診療統計 (26年10月)

外来延べ総人数:1802人

1日平均外来人数:39.8人

新患数(月):45人

総レセプト枚数:691件

ACT回数:273回

一般ディケア延べ人数:280人

ARP参加延べ人数:215人 (*平均デイケア算定人数:19人)

iACTの経営は • 現在は経営的に問題はなく、採算ベースに

あっている

• 法人化により相談支援事業所(指定の申請

中)や訪問看護ステーションを自前で持つこ

とが可能

• 在宅時医学総合管理料が算定できるように

なれば収益が増す

• 今後の職員の給与の増大に対応可能

ACTは発展できるのか? 医療経済的に可能か

ACT-JやACT-Kの報告より可能では 普及にはACTに見合う保険点数が必要

システム的問題 医療機関と訪問看護ステーションの連携 依頼システムの確立

スタッフの確保 病院から地域医療への人的シフト

超職種チームに見合ったケア概念の浸透