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血尿
泌尿器科 宗政 修平
平成29年9月14日
2017.9.14 モーニングレクチャー
・血尿とは?
・血尿の原因となる疾患は?
・血尿の患者さんが来られたら。
・血尿の治療。
本日の内容
血尿とは?
尿の通り道
左右の腎でつくられた尿は、尿管を通って膀胱へたまり、尿道より排出される。
この経路のどこから出血しても血尿になる。
「泌尿器科アトラスボード(吉田修監修バイエル薬品提供)」より転載
血尿には
肉眼的血尿・赤い(黒っぽい)尿として目に見える。
・1Lの尿に約1ml以上の血液が混じることにより自覚される
顕微鏡的血尿 (RBC 5個/hpf以上)・目で見ても赤く見えないけれど、顕微鏡で検査すると赤血球がみ
られる。
・自分で見ても赤くないのに、健康診断で「尿潜血が出ています」と
いわれるのはこちら。
血尿 比色表
血尿患者の有病頻度
沈渣赤血球
血尿患者の有病頻度
福岡県泌尿器科医会HPより抜粋
血尿の原因となる疾患
出血部位の推定
初期血尿
排尿の初めのみ
⇒ 前部尿道
終末時血尿
排尿の最後に
⇒ 膀胱頚部~前立腺部尿道
全血尿
排尿の初めから終わりまで
⇒ 腎~尿管~膀胱
●悪性腫瘍:腎癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、尿道癌など
●結石:腎結石、尿管結石、膀胱結石など
●感染症:腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎など主に細菌が原因となるが、ウイルス性や結核性もある。
●感染以外の膀胱炎・放射線性膀胱炎 (子宮癌の放射線治療後など:
数十年たってから発症することもある。)
・薬剤性膀胱炎 (一部の抗アレルギー薬の副作用また、シクロフォスファミドで膀胱出血を来たす。)
●外傷:腎外傷、膀胱外傷、尿道外傷●異物:膀胱異物、尿道異物●良性疾患:前立腺肥大症、尿道カルンクル、尿道脱●腎血管異常:腎動静脈瘻、ナットクラッカー現象など
●腎下垂(遊走腎)●糸球体疾患:腎炎など●血液凝固異常:血友病、DIC、抗凝固療法●過度の運動によるもの●性行後(男性)●特発性腎出血あるいは無症候性血尿
諸検査を行っても原因不明のもの。
膀胱癌 (乳頭状有茎性)
写真:筆者事例による(以降、同じ)
膀胱癌 (乳頭状有茎性)
経尿道的膀胱腫瘍切除術
膀胱癌 (非乳頭状)
続発性膀胱癌(大腸癌の膀胱浸潤)
腎癌
「泌尿器科アトラスボード(吉田修監修バイエル薬品提供)」より転載
前立腺癌の尿道浸潤
腎結石
尿路結石症の検査- 腎・尿管・膀胱結石とまぎらわしい陰影について -
骨盤内静脈石
腸骨動脈の石灰化
精管壁の石灰化
胆石
他膵結石女性の子宮筋腫
など
放射線性膀胱炎
膀胱異物
釣り糸、安全ピン、ガラス棒ねぎ、体温計、ガム、ろうそくetc
前立腺肥大症
尿道脱
血尿ではなく尿道からの出血もある。
血尿の原因となる疾患まとめ
血尿の原因はさまざま。
頻度から言えば、結石か膀胱炎によるものが多い。
無症候性肉眼的血尿は、悪性腫瘍(特に膀胱癌)を念頭に置く。
血尿の患者さんが来られたら
外来で血尿の患者さんが来られたら
(泌尿器科へ紹介する前に)
・問診・検尿・超音波検査(水腎症の有無、残尿、血塊)
・CT・血液検査 (PSA:50歳以上の男性、腎機能など)・尿細胞診の提出
問診のポイント
随伴する症状。
いつから始まったか。(運動後、外傷後)
過去の血尿歴は?
血尿? 尿道から出血?
女性は不正性器出血の時もあり
既往歴 (結石、尿路感染、悪性腫瘍)
内服薬 (抗血栓薬)
症状を伴う血尿
側腹部から下腹部の痛み
尿管結石
排尿時の痛み,頻尿(尿が近い)
膀胱炎、尿道炎
高熱がでる
急性腎盂腎炎,急性前立腺炎
排尿障害
前立腺肥大
自覚症状のない血尿でも要注意!
命にかかわる重大な病気
悪性腫瘍(膀胱癌、腎癌など)
治療が必要な病気
腎結石,膀胱結石,水腎症,尿路感染症など
膀胱癌がみつかる典型的なきっかけは無症候性肉眼的血尿です!
検 尿
http://heart-clinic.jp/index_qhm.php?FrontPageより抜粋
白血球はあるか→尿路感染症?
蛋白尿はあるか→糸球体疾患?
http://heart-clinic.jp/index_qhm.php?FrontPage
正常腎臓 正常膀胱
超音波検査
イラスト:「泌尿器科アトラスボード(吉田修監修バイエル薬品提供)」より転載
超音波検査
腎結石
水腎症尿管結石
膀胱腫瘍
膀胱結石
膀胱タンポナーデ
緊急ですぐに泌尿器科医へコンサルトする必要がある血尿は?
膀胱タンポナーデ濃い肉眼的血尿で,血塊により尿閉状態。
外傷性腹部や背部,股間を打撲した後にでた血尿。
水腎症のある場合の発熱結石などによる閉塞性腎盂腎炎の可能性。
血尿の患者さんが来られたらまとめ
まず、よく問診を。症状から、ある程度原因が類推できる。
超音波検査をしてみる。
膀胱タンポナーデ、外傷、高熱は泌尿器科専門医へ。
無症候性でも要注意。
血尿の治療
血尿の治療
1.止血剤投与(アドナ、トランサミン)2.抗菌薬投与3.輸液(必要に応じて)4.原因疾患の治療
患者さんへの指導
・水分摂取をすすめる。・飲酒を控える。・泌尿器科専門医へ受診。
原因の検索が必要
血尿の治療まとめ
とりあえずは止血剤、(抗菌薬)処方。
安静、水分摂取を指示。
原因がわかれば、その治療を。
血尿がおさまっても、泌尿器科受診を。