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反復着床障害患者における子宮内細菌叢と 治療についての検討 小柳良子, 小林 正知, 関和 瞳, 石崎 健奨, 髭 友希, 山下 千波, 上田 尚美, 森中 美友, 川本 真, 佐々木真紀, 羽渕さゆき, 桑原聖子, 濱田亜紀, 園田桃代 園田桃代ARTクリニック 【 目的】 Lactobacillusを含めた子宮内細菌環境が 着床率や生児獲得率に影響を 及ぼすと さ れる が未だ確立さ れた治療法はなく 各施 設に委ねら れている.反復着床障害におけ る 子宮内細菌叢と 治療効果について検討 した. 【 方法】 2018年12月から2019年10月の期間に胚移 植3回以上の反復着床障害の患者27例に対 し 次世代シ ーク エ ン サーを 用い子宮内細 菌叢検査を 行い後方視的に検討し た. 16.1 0.1 8.1 0 0.1 0.1 0.5 0 0.2 27.8 0.3 88.9 0.5 21.7 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 症例 NLDMにおけるLactobacillus率(初回検査) *症例7,症例8はBifidobacterium優勢 11.7±23.2(0-88.9) 64回日本生殖医学会学術講演会 利益相反状態の開示 筆頭演者氏名: 小柳 良子 所属: 園田桃代ARTクリニック 私の今回の演題に関して,開示すべき利益相反状態はありません. 48.1 51.8 初回検査結果 LDM : 13症例 NLDM : 14症例 ( Bifidobacterium優位の2症例含む) 42.8% 28.5% 14.2% 14.2% NLDM 群優勢菌(初回検査 Gardnerella Streptococcus Prevotella Bifidobacterium 0.1 0.1 32.5 0 20.3 0 23.2 74.2 1.8 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 症例 NLDM群におけるLactobacillus率(再検査) 症例7.8は再検査未施行,症例1 2 はBifidobacterium 優位 8.1 32.5 0.1 20.3 0.2 23.2 27.8 74.2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 再検査にて Lactobacillus 率の改善を認めた 4 症例3 症例5 症例9 症例10 0.1 20.3 0.2 23.2 0 5 10 15 20 25 症例 5 ,症例 9 の治療 (初回 Lactobacillus1% 未満) 症例5 症例9 抗生剤 ラクトフェリン 乳酸菌内服 症例5 フラジール あり あり 症例9 サワシリ ン あり あり 8.1 32.5 27.8 74.2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 症例 3 ,症例 10 の治療 (初回 Lactobacillus1% 以上) 症例3 症例10 抗生剤 ラクトフェリン 乳酸菌内服 症例3 フラジール あり なし 症例10 サワシリ ン あり あり 0.1 0 0.1 0 0.3 1.8 0 0.4 0.8 1.2 1.6 2 再検査にて Lactobacillus 率が不変であった 4 (初回 Lactobacillus 1 %未満)と治療 症例2 症例4 症例6 症例11 抗生剤 ラクトフェリン 乳酸菌内服 症例2 サワシリ ン あり なし 症例4 フラジール あり なし 症例6 サワシリ ン あり あり 症例11 フラジール あり あり 16.1 0.1 88.9 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 再検査にて Lactobacillus 率の悪化を認めた 2 (初回 Lactobacillus 1 %以上)と治療 症例1 症例12 抗生剤 ラクトフェリン 乳酸菌内服 症例1 フラジール あり なし 症例12 サワシリ ン あり あり ( 但し 症例12はBifidobacterium優位初回検査 Lactobacillus Lactobacillus 率改 善例/乳酸菌製剤内 服あり Lactobacillus 率改 善例/乳酸菌製剤内 服なし 1 %以上 1 例/2例 *改善のな かっ た 1例は Bifidobacterium 優位 1 例/2例 1 %未満 2 例/4例 0 /2例 改善率 50 25 48.1 51.8 初回検査結果 NLDM : 14症例 治療: NLDM群のう ち Bifidobacterium優位の2症例を除 12例に対し抗生剤1週間内服+ ラクトフェリン内服開始(うち6 例で乳酸菌製剤内服併用),約1か 月後に10例に対し再検査施行. (2例は再検査結果待ち) 再検査結果 改善傾向: 4例 不変:4例 増悪:2例 (1例はBifidobacterium優位) 抗生剤: Gardnerella:メ ト ロニダゾール Streptococcus;広範囲ペニシリ ン系 Prevotella :メ ト ロニダゾール *27症例42周期に検査施行 *平均年齢:37.0±3.4(31-43) *内膜採取月経周期:15.9±3.4(6-25) *PIPETTE Ⅳ(MedGyn Products Inc), YUINOBRUSH ® EM(ニプロ株式会 社)を用いて全例子宮内膜より検体採取し 全例解析可能であった. 初回検査結果ま と め 反復着床障害症例の51.8%にNLDMを認 めた. NLDM群にてBifidobacterium優位であっ た2例を除く 12例中7例( 58.3%) は Lactobacillus率1%未満であった. NLDM群にて検出さ れた細菌は Gardnellera42.8%, Streptococcus28.5%, Prevotella14.2% と 高かっ た . 再検査結果ま と め 再検査にてLDMまで改善し た症例はなく ,6例( 60%) はLactobacillus1% 未満であっ た. 乳酸菌製剤の内服治療を 行っ たのは6例で Lactobacillus率1% 以上の群の50%, Lactobacillus率1%未満の群の50% で再検査にて Lactobacillus率の改善を認めた. 乳酸菌製剤の内服治療を 行わなかっ たのは4例で, Lactobacillus率1% 以上の群の50%で改善を認めたが, Lactobacillus率1%未満の群では改善例はなかった. 結論 反復着床障害患者においては51.8%が NLDM群であり ,治療には今回抗生剤,ラク ト フ ェ リ ン 及び症例によ っ て 乳酸菌製剤 の内服を 行っ たが細菌叢改善には不十分 な 症例も 多く ,今後乳酸菌製剤の投与経路 も 含めて考慮し 再検討し たい.

植NLDM 回以上の反復着床障害の患者 Gardnellera42.8 再 ......LDM : 13 症例 NLDM : 14 症例 ( Bifidobacterium 優位の2 症例含む) 42.8% 28.5% 14.2% 14.2% NLDM

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Page 1: 植NLDM 回以上の反復着床障害の患者 Gardnellera42.8 再 ......LDM : 13 症例 NLDM : 14 症例 ( Bifidobacterium 優位の2 症例含む) 42.8% 28.5% 14.2% 14.2% NLDM

ご参考) ←拡大印刷すると20×20cmサイズに なります。 演題番号スペースを設ける場合に、 サイズの目安としてご利用ください。

90×160cm印刷用

ページ設定※1(縮小サイズ※2) 幅 78.75cm 高さ 140cm

※1 PowerPointのバージョンによっては数値に若干 誤差が生じている場合がありますが、そのまま 作成いただいて問題ございません。 ※2 PowerPointの制限上、90×160cm原寸には設定 できないため、縮小サイズにしております。 (製作時に拡大印刷いたします。)

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データ作成における注意点については、 ご入稿前のチェックポイントをご参照ください。 (↑右クリックで“ハイパーリンクを開く”を選択)

反復着床障害患者における子宮内細菌叢と治療についての検討 小柳良子, 小林 正知, 関和 瞳, 石崎 健奨, 髭 友希, 山下 千波, 上田 尚美, 森中 美友, 川本 真, 佐々木真紀, 羽渕さゆき, 桑原聖子, 濱田亜紀, 園田桃代 園田桃代ARTクリニック

【 目的】Lactobacillusを含めた子宮内細菌環境が着床率や生児獲得率に影響を及ぼすとされるが未だ確立された治療法はなく 各施設に委ねられている .反復着床障害における子宮内細菌叢と治療効果について検討した .

【 方法】2018年12月から 2019年10月の期間に胚移植3回以上の反復着床障害の患者27例に対し次世代シークエンサーを用い子宮内細菌叢検査を行い後方視的に検討した .

16.1

0.1

8.1

0 0.1 0.1 0.5 0 0.2

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0.3

88.9

0.5

21.7

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60

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90

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0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

症例

NLDMにおけるLactobacillus率(初回検査)

*症例7,症例8はBifidobacterium優勢 11.7±23.2(0-88.9)

第64回日本生殖医学会学術講演会 利益相反状態の開示 筆頭演者氏名: 小柳 良子 所属: 園田桃代ARTクリニック 私の今回の演題に関して,開示すべき利益相反状態はありません.

初回検査結果

48.151.8

初回検査結果

LDM : 13症例 NLDM : 14症例

( Bifidobacterium優位の2症例含む)

42.8%

28.5%

14.2%

14.2%

NLDM群優勢菌(初回検査)

Gardnerella StreptococcusPrevotella Bifidobacterium

0.1 0.1

32.5

0

20.3

0

23.2

74.2

1.8 00

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0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

症例

NLDM群におけるLactobacillus率(再検査)

症例7.8は再検査未施行,症例1 2 はBifidobacterium優位

8.1

32.5

0.1

20.3

0.2

23.2

27.8

74.2

0

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再検査にてLactobacillus率の改善を認めた4例

症例3 症例5 症例9 症例10

0.1

20.3

0.2

23.2

0

5

10

15

20

25

症例5,症例9の治療

(初回Lactobacillus1%未満)

症例5 症例9

抗生剤 ラクト フェ リ ン 乳酸菌内服症例5 フラジール あり あり症例9 サワシリン あり あり

8.1

32.527.8

74.2

0

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20

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50

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症例3,症例10の治療

(初回Lactobacillus1%以上)

症例3 症例10

抗生剤 ラクト フェ リ ン 乳酸菌内服症例3 フラジール あり なし症例10 サワシリン あり あり

0.1

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0.1

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1.8

0

0.4

0.8

1.2

1.6

2

再検査にてLactobacillus率が不変であった4例

(初回Lactobacillus率1%未満)と治療

症例2 症例4 症例6 症例11

抗生剤 ラクト フェ リ ン 乳酸菌内服症例2 サワシリン あり なし症例4 フラジール あり なし症例6 サワシリン あり あり症例11 フラジール あり あり

16.1

0.1

88.9

00

10

20

30

40

50

60

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再検査にてLactobacillus率の悪化を認めた2例

(初回Lactobacillus率1%以上)と治療

症例1 症例12

抗生剤 ラクト フェ リ ン 乳酸菌内服症例1 フラジール あり なし症例12 サワシリン あり あり

( 但し症例12はBifidobacterium優位)

初回検査Lactobacil lus率

Lactobacil lus率改善例/乳酸菌製剤内服あり

Lactobacil lus率改善例/乳酸菌製剤内服なし

1%以上 1例/2例

*改善のなかった1例はBifidobacterium優位

1例/2例

1%未満 2例/4例 0例/2例

改善率 50% 25%

48.151.8

初回検査結果

NLDM : 14症例

治療:NLDM群のう ちBifidobacterium優位の2症例を除く 12例に対し抗生剤1週間内服+

ラクトフェリン内服開始(うち6例で乳酸菌製剤内服併用),約1か月後に10例に対し再検査施行.(2例は再検査結果待ち)

再検査結果改善傾向: 4例不変:4例増悪:2例 (1例はBifidobacterium優位)

抗生剤:Gardnerella:メ ト ロニダゾールStreptococcus;広範囲ペニシリン系Prevotella :メ ト ロニダゾール

*27症例42周期に検査施行

*平均年齢:37.0±3.4(31-43)*内膜採取月経周期:15.9±3.4(6-25)

*PIPETTE Ⅳ(MedGyn ProductsInc), YUINOBRUSH

®EM(ニプロ株式会

社)を用いて全例子宮内膜より検体採取し全例解析可能であった.

初回検査結果まとめ

•反復着床障害症例の51.8%にNLDMを認めた .

•NLDM群にてBifidobacterium優位であった2例を除く 12例中7例( 58.3%) はLactobacillus率1%未満であった .

•NLDM群にて検出された細菌はGardnellera42.8%, Streptococcus28.5%, Prevotella14.2%と高かった .

再検査結果まとめ

•再検査にてLDMまで改善した症例はなく ,6例( 60%)はLactobacillus1% 未満であった .

•乳酸菌製剤の内服治療を行ったのは6例でLactobacillus率1% 以上の群の50%,Lactobacillus率1%未満の群の50% で再検査にてLactobacillus率の改善を認めた .

•乳酸菌製剤の内服治療を行わなかったのは4例で , Lactobacillus率1% 以上の群の50%で改善を認めたが,Lactobacillus率1%未満の群では改善例はなかった .

結論

•反復着床障害患者においては51.8%がNLDM群であり ,治療には今回抗生剤,ラクト フェ リ ン及び症例によって乳酸菌製剤の内服を行ったが細菌叢改善には不十分な症例も多く ,今後乳酸菌製剤の投与経路も含めて考慮し再検討したい.