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NTT技術ジャーナル 2014.972
2014年 5 月13~16日に,沖縄県名護市にて,欧州電気通信標準化機構(ETSI)のネットワーク仮想化技術標準化グループ(NFV ISG)のプレナリ会合が開催され,世界各国から多くの技術者,研究者が参加しました.ここでは本会合の開催概要について紹介します.
ETSI NFV ISGの概要
2012年 12月,ETSI(European Telecommunications Standards Institute)内にNFV ISG(Network Functions Virtualisation Industry Specifi cation Group)が設立されました.NTTグループでは,NTT研究所,NTTドコモが設立当初から参加しています.NFV ISG内には,技術検討の対象とするテーマごとにWG(Working Group),EG(Expert Group)が設けられており,それぞれが技術標準文書であるGS(Group Specifi cation)の作成に向けた作業を行っています.現在,4つのWGと 2つのEGが活動しています.その主要なミッションは,技術的な要求条件の整理です.その結果を基に,他の標準化団体で技術的な仕様が詰められています.
沖縄会合の概要
NFVのグローバル展開を促進するため,プレナリ会合のアジア開催が望まれる中で,KDDIとNTTにホストの打診がありました.プレナリ会合とはすべてのWG,EGが参加する重要な会合です.欧米以外では初の開催となった今回の第 6 回プレナリ会合は,KDDI研究所とNTTがホスト,またアラクサラネットワークス株式会社,NTTドコモ,富士通株式会社,株式会社日立製作所,KDDI株式会社,日本電気株式会社が協賛企業となり,さらには一般社団法人沖縄オープンラボラトリが事務局として運営に加わりました.また沖縄県からの協力もあり,日本の企業,団体が団結して,会合の開催に大きく貢献しました.会場は,2000年の九州 ・ 沖縄サミット首脳会合の舞台ともなった,万国津梁館です.南国情緒の中にも格調の高さを感じさせるこの会場で,参加者は活発な議論を行いました(写真 1,2).会場近隣にはブセナリゾートがあり,沖縄は梅雨の時期でしたが,幸い晴れ間が広がることも多く,議論
の合間の休憩時には,参加者たちが青く澄んだ美しい海を見ながら談笑する姿も見られました.今会合には,欧米,アジアを中心に,前回のプレナリ会合と同程度の約260名が参加しました.開催期間中の 5月14日夜にはソーシャルイベントが催され,参加者たちは沖縄伝
ETSI NFV ISGの概要
沖縄会合の概要
写真 2 会合風景
写真 1 会場となった万国津梁館
NFV
網仮想化
標 準 化
「ETSI NFV ISG第6回沖縄会合」開催報告
木きのした
下 健た け し
史 /尾お ば な
花 和かずあき
昭 /島し ま の
野 勝かつひろ
弘NTT未来ねっと研究所
NTT技術ジャーナル 2014.9 73
EVENT
REPORTS
統の舞踊の鑑賞などを楽しみながら,リラックスした雰囲気の中で親睦を深めていました(写真 3).
会合セッションでの議論
会合は,初日の全体セッションで始まりました.全員が参加する本セッションでは,NTT先端技術総合研究所村瀬淳所長が講演を行いました.その後の各WG,EGのセッションでは,GSにかかわる技術詳細についての活発な議論が展開されました.また,GSの完成に向けた今後の作業方針,スケジュールについても議論がなされました.現在のところ,第 8回プレナリ会合後の公開を目標とすることが合意されています.NFV ISGでは,外部の関連標準化団体との連携のあり方についても検討されています.NFVに関連する技術は多岐にわたり,さまざまな団体が標準化作業を進めています.技術の実用化を促進するためには,他団体による技術検討結果を有効に活用することが重要となります.一
方で,それぞれの技術標準の整合性について,各WG,EGで詳細検討が行われています.その成果については,リエゾン(連絡係)を通して他の関連団体に情報共有を行っていくことになります.
デ モ 展 示
NFV ISGでは,NFV技術のアピールと開発促進を目的として,NFVのユースケースの実現可能性を示す活動であるPoC(Proof of Concept)の募集と承認を行っています.これまでに18件が承認されており,NTTグループにおいてもNTT研究所からの 2 件の提案が承認を受けています(1),(2).今会合では,この 2件について,当該研究所からデモンストレーションが実施されました.いずれの展示においても,キャリアやベンダから多くの技術者,研究者が見学に訪れ,活発な意見交換がなされました.
今後の展開
2014年末に,NFV ISGの活動時限として当初設定されていた 2年が経過することをふまえ,今後の活動のあり方についても議論が行われました.2014年には,第 7回プレナリ会合,All WG Meeting,第 8 回プレナリ会合の開催が予定されていますが,第 8回からは,新しいフェーズとの位置付けで活動が続けられる見込みです.ETSIにおけるNFV技術標準化作
業は,多くのキャリア,ベンダが参加しており,今後も技術の開発において重要な役割を果たすものと想定されます.NTTグループにおいても,引き続き積極的に参加,貢献を行っていく予定です.
■参考文献(1) “サービスチェイニング技術を活用したユース
ケースが欧州の標準化団体ETSIにおいてコンセプト実証として認定”
http://www.ntt.co.jp/news2014/1402/140210a.html
(2) “サービスアプリケーションが求める信頼性 ・拡張性に応えるプラットフォーム技術が欧州の標準化団体ETSIのコンセプト実証として認定”
http://www.ntt.co.jp/news2014/1405/140501a.html
会合セッションでの議論
デ モ 展 示
今後の展開 (左から)木下 健史/ 尾花 和昭/ 島野 勝弘
ETSI NFV ISG第6回沖縄会合は,欧米以外では初のプレナリ会合となりました.日本の企業,団体が運営に大きく貢献した今会合には,世界各国から多くの参加者が参加しました.読者の皆様に,ぜひ本活動を知っていただければと思います.
◆問い合わせ先NTT未来ねっと研究所 メディアイノベーション研究部TEL 046-859-8594FAX 046-855-1284E-mail vsw-project lab.ntt.co.jp
写真 3 ソーシャルイベントの様子