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大阪府に 2 か所のキャンパスを持つ大阪工業大学では、最新の技術を教育環境に適 用できるよう、教育系の情報基盤を 3 4 年の短い周期で更新するようにしています。 2008 年の夏には、その前年に導入された Windows ® XP ベースの基盤の後継を検討 する作業に着手。限られた本数のアプリケーションを有効利用すべく仮想デスクトップ を採用すると共に、最新の PC OS にアップグレードすることで、スピーディな起動 を目指しました。1 年を超える慎重な検討プロセ スを経て、新システムの構成が決まったのは 2010 1 月のこと。約 1,400 台の PC を入れ替える作 業は 3 か月で完了し、4 月から本稼働を開始しま した。導入効果として大阪工業大学が真っ先に挙 げるのは、学生に十分なサービスを提供できるよう になったこと。新しい基盤は、他大学との差別化 を図るうえでも役立つものと期待されています。 導入の背景とねらい 最新の教育環境を提供するために不可欠な情報基盤の更新 学校法人常翔学園が設置する大阪工業大学は、大宮キャンパス ( 大阪 市旭区 ) に工学部と知的財産学部、枚方キャンパス ( 枚方市 ) に情報 科学部を置く学生数約 8,000 の理工系大学です。大学が掲げる教育 の理念は、建学の精神である「世のため、人のため、地域のために、『理 論に裏付けられた実践的技術を持ち、現場で活躍できる専門職業人の 育成』を行う」に基づいています。ものづくりを重視した実践的な教育 を続けており、「就職に強い大学」というイメージも定着しています。 同大学では、学生が最新技術に触れられるよう、IT 環境の更新を意識 的に速い周期で行っています。たとえば、情報系の授業で使う演習室 や自習室の教育系情報基盤については、基本的に 3 年周期で更新して います。その背後にある考え方について、同大学 情報センターの課長 を務める八重垣 茂夫 氏は次のように語ります。 「最新の技術をなるべく短いスパンで導入するのは、それが学生にとって必要なことだと考えるか らです。3 年周期で入れ替えていけば、学生は入学から卒業までの間に 1 回は新しいマシンや OS に触れる機会を得られる計算になります。2007 年度に導入した教育系情報基盤についても、 当初から 3 年後の 2010 年度に入れ替えようと決めていました。また、 学生がどこからでもアクセスでき、情報を得たりアプリケーションを利 用できるという環境を作ることも重要で、そのための手段として仮想環 境を活用すべきだと考えています」。 2007 年度に導入された教育系情報基盤は、PC 側の OS として Windows XP を使ったものでした。その構成と運用方法を、同大学 情報センター 係長の山本公三郎氏は次のように説明します。 「両方のキャンパスにある演習室や自習室などには合計で約 1,400 台の Windows XP PC を配置していました。演習室では CAD/CAM グラフィックス ソフトウェアをファット クライアントとして使い、自習 ソリューション概要 ○プロファイル 大阪工業大学は、1922 年に創設された関西工 学専修学校を前身とし、1949 年に工学部のみか ら成る単科大学として設立されました。その後、 1996 年に情報科学部、2003 年には日本初の知 的財産学部を設置。現在では、3 学部 15 学科と 大学院 2 研究科 10 専攻、専門職大学院 1 研究 科で構成され、約 8,000 名の大学生および大学 院生が大宮キャンパス ( 工学部、知的財産学部 ) と、枚方キャンパス ( 情報科学部 ) で学んでいます。 また、本学園 ( 学校法人常翔学園) には、大阪工 業大学の姉妹校として、摂南大学、広島国際大学、 常翔学園高等学校、グループ校として常翔啓光学 園中学校および高等学校が設置されています。 ○シナリオ Windows XP ベースの教育系情報基盤を Windows 7 ベースのものに刷新 Windows Server 2008 上に仮想デスクトップ インフラストラクチャを構築し、限られた数のソ フトウェア ライセンスを有効利用 ○ソフトウェアとサービス Windows Server ® 2008 R2 Enterprise Edition Microsoft ® System Center Configuration Manager 2007 R2 Windows ® 7 Professional the Microsoft ® 2007 Office system Professional Microsoft ® Visual Studio ® 2008 Professional ○メリット 3 か月という短期間、低コストで教育系情報基 盤を Windows 7 ベースのものに刷新 既存のサーバー群の統合により、導入コストの 大幅な抑制を達成 仮想デスクトップ化により、導入本数が限られ ているアプリケーションをどの PC からも利用 可能に 堅牢なセキュリティを確保しつつリモート アク セス環境を実現 ○ユーザー コメント 「非常に短期間での導入となりましたが、教育系 情報基盤を無事に Windows 7 ベースのものに 入れ替えることができました。学生の皆さんに十 分なサービスを提供することができるようになり、 情報センターとしてもその出来栄えに深く満足し ています」 学校法人常翔学園 大阪工業大学 情報センター 課長 八重垣 茂夫 常翔学園 大阪工業大学 学校法人常翔学園 大阪工業大学 情報センター 課長 八重垣 茂夫 仮想デスクトップと Windows ® 7 の採用により、教育系情報 基盤のシステム構築をスムーズかつ低コストで実現 学校法人常翔学園 大阪工業大学 情報センター 係長 山本 公三郎 大阪工業大学 ( 大宮キャンパス)

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大阪府に 2 か所のキャンパスを持つ大阪工業大学では、最新の技術を教育環境に適用できるよう、教育系の情報基盤を 3 ~ 4 年の短い周期で更新するようにしています。2008 年の夏には、その前年に導入された Windows® XP ベースの基盤の後継を検討する作業に着手。限られた本数のアプリケーションを有効利用すべく仮想デスクトップを採用すると共に、最新の PC 用 OS にアップグレードすることで、スピーディな起動を目指しました。1 年を超える慎重な検討プロセスを経て、新システムの構成が決まったのは 2010

年 1 月のこと。約 1,400 台の PC を入れ替える作業は 3 か月で完了し、4 月から本稼働を開始しました。導入効果として大阪工業大学が真っ先に挙げるのは、学生に十分なサービスを提供できるようになったこと。新しい基盤は、他大学との差別化を図るうえでも役立つものと期待されています。

導入の背景とねらい最新の教育環境を提供するために不可欠な情報基盤の更新

学校法人常翔学園が設置する大阪工業大学は、大宮キャンパス (大阪

市旭区 ) に工学部と知的財産学部、枚方キャンパス (枚方市 ) に情報

科学部を置く学生数約 8,000 の理工系大学です。大学が掲げる教育

の理念は、建学の精神である「世のため、人のため、地域のために、『理

論に裏付けられた実践的技術を持ち、現場で活躍できる専門職業人の

育成』を行う」に基づいています。ものづくりを重視した実践的な教育

を続けており、「就職に強い大学」というイメージも定着しています。

同大学では、学生が最新技術に触れられるよう、IT 環境の更新を意識

的に速い周期で行っています。たとえば、情報系の授業で使う演習室

や自習室の教育系情報基盤については、基本的に 3 年周期で更新して

います。その背後にある考え方について、同大学 情報センターの課長

を務める八重垣 茂夫 氏は次のように語ります。

「最新の技術をなるべく短いスパンで導入するのは、それが学生にとって必要なことだと考えるか

らです。3 年周期で入れ替えていけば、学生は入学から卒業までの間に 1 回は新しいマシンや

OS に触れる機会を得られる計算になります。2007 年度に導入した教育系情報基盤についても、

当初から 3 年後の 2010 年度に入れ替えようと決めていました。また、

学生がどこからでもアクセスでき、情報を得たりアプリケーションを利

用できるという環境を作ることも重要で、そのための手段として仮想環

境を活用すべきだと考えています」。

2007 年度に導入された教育系情報基盤は、PC 側の OS として

Windows XP を使ったものでした。その構成と運用方法を、同大学

情報センター 係長の山本公三郎氏は次のように説明します。

「両方のキャンパスにある演習室や自習室などには合計で約 1,400 台の

Windows XP の PC を配置していました。演習室では CAD/CAM や

グラフィックス ソフトウェアをファット クライアントとして使い、自習

ソリューション概要

○プロファイル大阪工業大学は、1922 年に創設された関西工学専修学校を前身とし、1949 年に工学部のみから成る単科大学として設立されました。その後、1996 年に情報科学部、2003 年には日本初の知的財産学部を設置。現在では、3 学部 15 学科と大学院 2 研究科 10 専攻、専門職大学院 1 研究科で構成され、約 8,000 名の大学生および大学院生が大宮キャンパス (工学部、知的財産学部 ) と、枚方キャンパス (情報科学部 ) で学んでいます。また、本学園 (学校法人常翔学園 ) には、大阪工業大学の姉妹校として、摂南大学、広島国際大学、常翔学園高等学校、グループ校として常翔啓光学園中学校および高等学校が設置されています。

○シナリオ・ Windows XP ベースの教育系情報基盤を

Windows 7 ベースのものに刷新・ Windows Server 2008 上に仮想デスクトップ インフラストラクチャを構築し、限られた数のソフトウェア ライセンスを有効利用

○ソフトウェアとサービス・ Windows Server® 2008 R2 Enterprise Edition・ Microsoft® System Center Configuration

Manager 2007 R2・ Windows® 7 Professional・ the Microsoft® 2007 Offi ce system Professional・ Microsoft® Visual Studio® 2008 Professional

○メリット・ 3 か月という短期間、低コストで教育系情報基盤を Windows 7 ベースのものに刷新

・ 既存のサーバー群の統合により、導入コストの大幅な抑制を達成

・ 仮想デスクトップ化により、導入本数が限られているアプリケーションをどの PC からも利用可能に

・ 堅牢なセキュリティを確保しつつリモート アクセス環境を実現

○ユーザー コメント「非常に短期間での導入となりましたが、教育系情報基盤を無事に Windows 7 ベースのものに入れ替えることができました。学生の皆さんに十分なサービスを提供することができるようになり、情報センターとしてもその出来栄えに深く満足しています」

学校法人常翔学園大阪工業大学情報センター課長 八重垣 茂夫 氏

常翔学園 大阪工業大学

学校法人常翔学園大阪工業大学情報センター 課長八重垣 茂夫 氏

仮想デスクトップと Windows® 7 の採用により、教育系情報基盤のシステム構築をスムーズかつ低コストで実現

学校法人常翔学園大阪工業大学情報センター 係長山本 公三郎 氏

大阪工業大学 (大宮キャンパス)

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常翔学園 大阪工業大学

室では Microsoft Offi ce などの一般的アプリケーションをシン クライア

ントの形態で利用するといった使い方です」。

入れ替えの検討が始まったのは、2008 年夏のこと。2 年後の稼働を目

指して、まずは課題の収集と分析から手をつけることにしました。

「当時は大宮キャンパスと枚方キャンパスの教育系情報基盤が独立したシ

ステムになっており、ファイル サーバーや教室のメンテナンス サーバーも

それぞれに設置されていました。このため、クラブ活動などで他のキャン

パスを訪れた学生が帰りがけに PC を使おうとすると、いったん自分の

所属キャンパスにリモートから入ってからでなければ使えないといった不都

合がありました。また、高価なアプリケーションは必要最低限の本数し

か導入できないため、特定の演習室だけにインストールせざるを得ません。

その結果、演習室のやりくりが難しくなり、他の授業でその演習室が使

われているために目的のソフトウェアが使えなくなるといった事態も発生し

ていました」(八重垣 氏 )。

導入の経緯教育系情報基盤の共通化、サーバー群の統合、スピーディな起動、すべての要件を実現する新システムでは仮想化がポイントに

これらの課題を解決するための方策として大阪

工業大学が選んだのは、両方のキャンパスを高

速専用回線で接続して教育系情報基盤を共通

化し、既存のサーバー群を統合するというプラ

ンでした。また、サーバー上で仮想マシンを動

作させることで、デスクトップの仮想化が可能に

なり、教育系情報基盤のどの PC でも同じアプ

リケーションが使えるようになります。

一方、PC 用の OS については、「最新の OS で

あること」と「起動時間が短いこと」を主な要件

として選定を開始しました。

「大学では、演習室の PC をいつも同じ学生が使用するとは限りません。

アプリケーションをファット クライアントで運用する方式であっても、前

に使った学生の処理結果などが残らないよう、次の学生が使うときまで

に PC の内容をクリアにしておく必要があるわけです。そこで、システム

の環境や設定を初期状態に戻すための処理を PC の起動シーケンスに組

み込むことになりますが、そうすると普通の PC と比べて起動時間が長く

なってしまいます。90 分しかない授業時間を最大限に活用するには、PC

の起動時間は短いほど良いわけですから、新しい OS にもそれまで使っ

ていた Windows XP 並みの起動時間を望みました」(山本 氏 )。

以上の要件を取りまとめた大阪工業大学は、2008 年末、11 社のシス

テム インテグレーターやベンダーにシステム提案を要請。年が明けた

2009 年 1 月中旬に、各社からの提案書を受け取りました。提案書の内

容を基に要件の見直しと仕様の検討を進めて発注仕様書を作成し、各社

に見積もりを依頼したところ、8 月までに 5 社から回答がありました。

その中から株式会社インターネットイニシアティブ (以下、IIJ) が最終的

に選ばれたのは、2009 年末のことです。

IIJ の関西支社 営業部 営業4課長 北村 功一郎 氏は、提案および見積

もりにあたって次のような点に留意したことが受注につながったと考えて

います。

「キャンパス間を結ぶ専用線には 10Gbps の高

速回線を用意し、IPv4 と IPv6 のどちらにも

対応できるネットワークの構築プランを立てま

した。また、Microsoft Offi ce や Microsoft®

Visual Studio® を全学で使っていただけるよう

に、ソフトウェアのライセンス形態として全学で

の包括ライセンス契約もお勧めしました」。

また、営業担当として、北村 氏と共に動いてき

た IIJ 関西支社 営業部 営業4課 主任 原田 憲

人 氏は、仮想システムという新しいアイデアの

提案について、次のように語ります。

「サーバー統合と仮想デスクトップを可能にす

るプラットフォームとして、Windows Server®

2008 R2 とその上で動く仮想システムをご提案

しました。弊社には同種のシステムを他の教育

機関に納入した実績があり、そこで得られた経

験とノウハウを大阪工業大学様の案件にも役立

てることができました」。

さらに、PC 用の OS には、スピーディな起動

へのニーズがあることから、リリース直前の状

態にあった Windows 7 を選びました。この経

緯について、IIJ 関西支社 技術部 プロフェッショナルサービス2課 テク

ニカルマネジャーの枝 貴浩 氏は、次のように述懐しています。

「リリース直前の状態にあった Windows 7 を選んだのは、マイクロソフ

トの最新 OS であり、起動に要する時間も Windows XP 並みに短いと

いうことがわかっていたからです。ただ、2009 年夏の時点で Windows

7 への対応を正式に表明していたソフトウェア ベンダーはほとんどなかっ

たため、問題なく動作するかどうかの検証も弊社側で行ったうえで、ご提

案させていただきました」。

システム構築に要した期間は、2010 年 1 月からの約 3 か月。新しい教

育系情報基盤は、新年度が始まる 4 月に本稼働を開始しました。

システムの概要すべての PC を 32 ビット版の Windows 7 Professional で統一。仮想デスクトップによる PC 運用の柔軟性を確保

大宮と枚方、2 つのキャンパスにまたがる大阪工業大学の教育系情報基

盤は、図 1 のような構成になっています。

両方のキャンパスにあるサーバーと PC は、スイッチを介して 10Gbps の

専用線をベースとする IPv4/IPv6 ネットワークに接続するしくみです。ユー

ザー認証には Windows Server の Active Directory®、サーバーと PC

へのソフトウェア配布には Microsoft® System Center Confi guration

Manager 2007 R2 が使われています。情報センターの管轄下にある PC

のうち、最も台数が多いのが演習室用の約 1,200 台。この他、自習室に

約 150 台、図書館などの公共スペースに約 70 台の PC が設置されています。

「構築にあたっては、多数の PC が同時に起動されることを想定したサイ

ジングを行いました。大阪工業大学様の場合、演習室あたりの PC 台数

は多いところで 120 台。同じ時間帯に複数の演習室でいっせいに PC が

株式会社インターネットイニシアティブ関西支社 営業部営業4課長北村 功一郎 氏

株式会社インターネットイニシアティブ関西支社 営業部営業4課 主任原田 憲人 氏

株式会社インターネットイニシアティブ関西支社 技術部プロフェッショナルサービス2課テクニカルマネジャー枝 貴浩 氏

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大宮キャンパス

共通コンポーネント

枚方キャンパス

IPv6 ネットワーク IPv4 ネットワーク

サーバー統合

IPv6,IPv4DualStack

IPv6,IPv4DualStack

DMZ

VMware ESX サーバー

ブレード サーバーブレードサーバー

その他サーバーその他サーバー

ファイル サーバー

Floor SwitchCenterL3 Switch

CenterL3 Switch

10 ギガビットイーサネット

Floor SwitchFloor SwitchFloor Switch

アプリ配信

総合認証

サーバー統合

アプリ配信

メール サービス

授業支援システム

Linux 併用

Felica 認証

印刷管理

印刷制限

Felica 認証

セキュリティ対策

無線 LAN 環境

グループ制御

時間帯制御

Web 認証

監視カメラ

書画カメラ

ホワイトボードカメラ

Controller

AP AP AP

プリンター

基幹ネットワーク100 Mbps IPv4,v6

Web トラフィック用1 Gbps IPv4

Web トラフィック用1 Gbps IPv4

対外 (予備) 100 Mbps(Bフレッツ既存) IPv4

回線収容ルーター

ファイアウォール

ファイアウォール

IPv6 用ファイアウォール 仮想サーバー

VMware ESX サーバー

仮想サーバー

SSL-VPNIPsec-VPN

拠点間VPN

DMZ サーバー

DMZ

SSL-VPNIPsec-VPN

拠点間VPN

DMZ サーバー

回線収容ルーター

仮想マシン

VMware ACE

InterCLASS

常翔学園 大阪工業大学

起動された場合でもネットワークやサーバーが耐えられるようにと、弊社

内に『仮想教室』を作って負荷を計測し、社内に蓄積されているノウハウ

に基づいてベストの構成を決定しました」(枝 氏 )。

合計約 1,400 台の PC に搭載されている OS は、すべて 32 ビット版の

Windows 7 Professional で、the Microsoft® 2007 Offi ce system と

Visual Studio 2007 もすべての PC にインストールされています。

マイクロソフト製品以外の他社製アプリケーションについては、契約上、

導入本数が限られているアプリケーションは、サーバー上に構築した仮想

マシン上で動作させる仮想デスクトップ方式で運用。その結果、ライセン

ス数の厳守と柔軟な PC 運用をうまく両立させることができました。

また、同大学の教育系情報基盤は、リモートからも自由に利用できるし

くみになっています。

「枚方キャンパスの情報科学部ではリモート アクセスについても授業を

行っているわけですから、それが実際に使えなければ意味がありません。

そこで、教職員だけでなく学生にもリモート アクセスを開放することにし

ました。SSL-VPN で接続して所定のユーザー認証を済ませれば、自宅か

らもさまざまなアプリケーションを利用することができます」(山本 氏 )。

導入の効果と今後の展開最大の効果は最新の教育環境を学生に提供できたこと。テンポラリーな機能改善によりさらなるサービスの充実を目指す

2010 年 4 月から本格的に稼働を始めた新しい教育系情報基盤につい

て、八重垣 氏は次のように高く評価しています。

「非常に短期間での導入となりましたが、教育系情報基盤を無事に

Windows 7 ベースのものに入れ替えることができました。従来の基盤は

ハードウェア重視でどこか硬いイメージでしたが、今度の基盤はサービス

重視のしくみになっているのが特徴ですね。学生の皆さんに十分なサービ

スを提供することができるようになり、情報センターとしてもその出来栄

えに深く満足しています」。

また、従来は 2 つのキャンパスに重複配置されていたサーバーを統合し

たことで、導入コストの大幅な抑制を実現しています。教育に支障のない

範囲で一部製品のグレードを見直したことも、コストの合理化につなが

りました。情報センターにとって、最新 OS である Windows 7 への移行

を低コストで実施できたことは、大きな成果といえるでしょう。

「PC についても、最新の高速な機種への入れ替えを実施しました。結果

的に Windows の起動時間はこれまでとあまり変わっていませんが、さま

ざまなソフトウェアを追加したことを考えると、アップグレードしていなけ

ればもっと遅くなっていたはずです。それまでのスピードを維持できたこと

だけでも十分に意味があると考えています」(山本 氏 )。

まだ目に見える形にはなっていないものの、最新の技術を取り入れた情

報基盤は学校経営を側面から支援する役割を果たせるのではないかと八

重垣 氏は期待しています。

「テレビや新聞などで報道されているように、少子化と理系離れの影響で

日本の理工系大学の経営はますます厳しさを増しています。そうした中で、

この新しい教育系情報基盤の存在が、他大学との差別化に少しでもつな

図 1 大阪工業大学の教育系情報基盤のシステム構成。2 つのキャンパスを高速専用線で結び、約 1,400 台の Windows 7 PC で構築された基盤に共通化。

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常翔学園 大阪工業大学

〒151-8583 東京都渋谷区代々木 2 丁目 2 番 1 号 小田急サザンタワー

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がればと願っています。これから大学を受験される皆さんに向けて、当大

学の優れた教育環境について、今後はさまざまな広報活動を展開してい

くつもりです」(八重垣 氏 )。

今回の新教育系情報基盤の予定耐用年数は、これまでのスパンよりも 1

年長い 4 年間となっています。その間、システムの中核部分を変更する

考えはありませんが、細かな機能改善については適宜行っていく予定です。

既に決定しているのは、2010 年夏に行われる IPv6 の導入です。

Windows Server 2008 R2 も Windows 7 も IPv6 に対応していますか

ら、移行に大きな工数は必要ないと大阪工業大学 情報センターでは判

断しています。

また、Microsoft® Offi ce 2010 と Visual Studio 2010 についてもなる

べく早期に導入したいというのが情報センターの意向です。その他のマイ

クロソフト製品についても、教育に役立つものについては、学科や学部

の単位で導入してもよいのではないかと八重垣 氏は考えています。

仮想化の採用、ソフトウェアの活用法の見直しなど、新たなコンセプトを

取り入れたことで、最新の情報基盤をスピーディかつ低コストに構築した

大阪工業大学。常に学生にとって理想的な教育環境を提供していこうと

するその姿勢により、今後も「現場で活躍できる専門職業人」を数多く

輩出していくことでしょう。