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コロナ問題を契機とした規制・制度/経営・業務改革の見取図(新経済連盟政策提言4月9日より抜粋)
規制・制度改革 経営・業務改革
コロナ対処に直結
コロナ問題を契機とした
新たな国づくり
✓ オンライン医療提供体制✓ オンライン教育✓ オンライン株主総会✓ 労働法制の改革✓ マイナンバー制度の活用
✓ リモートワークの推進
✓ 社会全体のデジタル化の推進✓ レガシー規制の見直し✓ データ連携・活用の環境整備✓ 国民運動の実施 ほか
✓ DXの見える化✓ DX連携の支援✓ DX投資のインセンティブ
スタートアップやベンチャー企業の活躍
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本日のプレゼン内容
規制・制度改革 経営・業務改革
コロナ対処に直結
コロナ問題を契機とした
新たな国づくり
✓ オンライン医療提供体制✓ オンライン教育✓ オンライン株主総会✓ 労働法制の改革✓ マイナンバー制度の活用
✓ リモートワークの推進
✓ 社会全体のデジタル化の推進✓ レガシー規制の見直し✓ データ連携・活用の環境整備✓ 国民運動の実施 ほか
✓ DXの見える化✓ DX連携の支援✓ DX投資のインセンティブ
スタートアップやベンチャー企業の活躍
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【目標】
3
世界一のデジタル・イノベーション国家への転換
2019年11月28日の自民党行革推進本部規制改革チームの提言『デジタル規制改革に関する提言』の概略と今回の我々要望の関係
【意義】
【切り口】
before
after
➢ 規制根拠;バッチ処理、一時点のデータ
➢ 規制手法; 一律
➢ 規制根拠;リアルタイムデータ/ビッグデータ
➢ 規制手法; リスクに応じた適正なもの
➢ 基準/時点 マーケットイン時点、固定的
➢ ネットワーク接続;なし
➢ 基準/時点 ソフトウェアのアップデートを前提
➢ ネットワーク接続;あり
➢ 硬直的➢ 事前規制➢ 細かい行為義務(ルール)
➢ 事後規制中心➢ 政府はゴール示す➢ 民間関与の下での柔軟な中間的規律
『アナログ原則』の撤廃の提案、新ルールメイキングを提案
規制・制度と経営・業務の両方のDXについて言及
レガシー規制によるイノベーション阻害を除去
AI、ブロックチェーン等具体例提示
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1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革
3.コロナ問題を契機とした経営・業務改革
(参考)日本経済救済パッケージ施策
(参考)Japan Ahead 2
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1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革
3.コロナ問題を契機とした経営・業務改革
(参考)日本経済救済パッケージ施策
(参考)Japan Ahead 2
押印原則への対応
必要な対応(
緊急)
1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題①問題認識と必要な対応
その他のアナログ原則への対応(⇒後述)
➢ 「押印」のためだけに会社に出社せざるを得ない人が続出
➢ 法令上と慣行上において、官・民、民・民手続きの両方でまだ押印作業が残っており、本当に押印が必要なのかを含めて整理がされていない(⇒次頁以降、会員企業から多数の事例紹介)
➢ 国民の健康を守る観点からも一刻も早い「すべての押印手続きの撤廃」が必要
➢ 「押印仕分け」を実施、押印が不要なものをリスト化し一括法令改正+運用改善(請求書、領収書、
勤怠管理などに押印は法律上必須ではないという解釈を関係省庁がガイドライン等で明確化)
➢ 金融機関や不動産関係の手続きについて、金融庁や国交省等事業官庁から押印不要を指導
➢ 自治体の書類も押印廃止含め総務省から指導
➢ 審議会委員就任手続きの押印撤廃、公印廃止
➢ 民・民手続きが電子契約等に移行するためのインセンティブを導入
➢ 中長期対応(右図)の早期化のため政府の座組を設置(法務省、IT室、規制改革会議等)
➢ 実印がいるとしても印鑑証明書まで求めていない場合はID/PW方式
➢ 印鑑証明書まで求めている場合は電子署名方式で認めるように法令改正
(要件限定などのやり方は排除)
➢ 商業登記電子証明書などの高コスト、低UI・UXについては改善
必要な対応(
中長期)
問題認識
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【参考】官・民手続きの押印リスト(会員企業の例)
◼ A社(新経済連盟加盟企業)における行政手続きの押印リスト
(※1)法令上「記名押印又は署名」とあるが代表者が署名することは現実的ではないため実際は押印(※2)税務署の手続きを踏めば電子化可能(※3)電子署名要件が限定的で活用困難
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【参考】官・民手続きの押印リスト(その他の例)
◼ 新経済連盟に寄せられている行政手続きの押印リスト
➢ 古物営業許可申請(根拠法に規定はないが実印まで求められる)
➢ 地方自治体ではシステム開発等の一般入札において入札前審査がありその時点で印鑑証明書提出(その時点で押印書類はなし。本審査(コンペ)に進んで押印する書類発生)
➢ この度の事業継続緊急対策(テレワーク助成金)の申請も印鑑証明+実印必須(2か所)
➢ 消防法関係
• 防火管理者・消防計画・訓練通知書・自動通報
• 工事・使用開始
• 設備の設置・設備業届出
• 防火・防災対象物点検報告
• 設備点検報告
➢ 医療法人の書類
• 申請書届出書の類はすべて
• 監事監査報告書/指導:運営の手引きに実印と記載(都道府県により異なる)
• 役員就任承諾書、履歴書(両方印鑑証明提出)/印鑑証明の提出を含めて指導事項
• 役員名簿(法人印/そもそも提出自体が指導事項)など
➢ 法定調書合計表
➢ 調達関係の書類全般
➢ そもそものオンライン申請の前提となる電子証明書の発行申請書に印鑑が必要
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【参考】その他様々な会員からの声
◼ 新経済連盟に寄せられている声
➢ 人事労務では、ずいぶん電子申請が進んできていますが、国系はまだ残っているなと思うところです。 保育園などの入園や継続の際に市区町村に提出する、就労証明書等はまだ原本・捺印が必要で、電子に変えていただきたいなと思います。 健康保険証などの個人宛の郵送物があると、本人への転送が必要でしたので、個別に配送するなど、何かいい方法が欲しいです。協会けんぽではなく、健康保険組合(関東IT)などはまだ電子申請が遅れています。国の機関への請求書(弊社が発行側の際)は原本(原紙)郵送の対応を求められたりしています。また金融機関(401kは手紙、入社書類は印鑑が必要)も遅れており、口座開設や融資などの書類も押印が必要です。
➢ GtoBの契約書について電子化が認められていない。印刷・製本・押印が必須となっている。この慣行を見直すための所管官庁が存在しない。
➢ バックオフィス業務にいて郵送・押印という作業がリモートワークのボトルネックとなります。電子署名やスマートコントラクト等のデジタル契約技術に印鑑と同様の法的効力を持たせられるよう規制の見直しを希望します。
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◼ その他のアナログ原則(以下アナログ10原則)についても対応
① 対面/面前原則
② 書面での作成・備置・提出・交付・通知の原則
③ 押印原則
④ 行政機関による印紙による支払原則
⑤ 様式原則 (一定の記入様式を定めるもの)
⑥ 出頭原則 (情報アクセスやデータ取得が出頭を前提)
⑦ 現場・店頭での専門家の常駐/配置要請の原則
⑧ 人手による目視での調査・点検・検査の原則
⑨ 原本原則 (書面を証拠書類・原本とするもの)
⑩ 現金原則
1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題②その他のアナログ原則への対応
新経済連盟提言よりhttps://jane.or.jp/proposal/pressrelease/10170.html
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1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題②その他のアナログ原則への対応 -不動産賃貸・売買取引-
◼ コロナ感染症は不動産賃貸・売買取引にも大きな打撃
◼ 賃貸取引については、2017年10月より、契約時の重要事項説明をITを活用して非対面で行う「IT重説」が本格運用されている
◼ 個人を含む不動産売買取引については、国土国通省による「IT重説」の社会実験(本年9月まで)が行われているが、売買取引においてもIT重説の早期の本格運用が必要
某社(IT重説社会実験の登録事業者)における、個人向け売買取引IT重説の実施件数(2020年4月累計97件)
国土交通省「賃貸取引におけるIT重説の実施状況」(2019年12月時点で累計59,709件、トラブルの相談件数は0件)
1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題②その他のアナログ原則への対応 –士業の2か所事務規制-
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◼ 在宅勤務が税理士法の二ヵ所事務所設置禁止規定等との関係が不明確で士業のリモートワークが進んでいない
◼ 士業のリモートワークの法令との関係の整理が必要
対象となる法令 改正目的・内容 アナログ原則との関係
薬機法4条、9条の3、36条の4、36条の6 等
➢ 薬局医薬品及び要指導医薬品の対面規制の撤廃
➢ 処方箋薬、薬局医薬品、要指導医薬品に係る対面規制の削除
➢ 「要指導医薬品」というカテゴリーの撤廃①対面/面前原則
電子処方箋の運用ガイドライン 等 ➢ 処方箋の完全電子化
➢ 現行は患者が処方箋IDが記載された『電子処方箋引換証』の紙を薬局に持参することとなっているが、医療機関から患者への処方箋のオンライン送信を可能にする。
②書面交付原則⑥出頭原則
金融商品取引法 等
➢ 金融商品取引契約等における説明方法としての電子書面交付のデフォルト化
➢ 金融商品取引契約等では、法令上、説明方法として、事業者側が電子交付をデフォルトの方法として選択できるようにする。
②書面交付原則
宅建業法上の解釈等➢ 不動産取引の重要事項説明
での対面原則の完全解禁
➢ ITを活用した不動産取引の重要事項説明について、社会実験の結果、賃貸は解禁されているがその他の分野についての解禁が課題として残っている。
①対面/面前原則
宅地建物取引業法34条の2、35条、37条 等
➢ 不動産取引における重要事項説明書面等の電子化
➢ 不動産取引における重要事項説明書面、媒介契約書面及び37条書面について現行法令上「書面」とのみあるのを電子署名したうえでの電磁的方法による交付も認めることとする。
②書面交付原則
借地借家法22条、38条、39条 等 ➢ 借地借家契約の電子化 ➢ 借地借家法上、「書面」とのみあるのを電子署名した
うえでの電磁的方法も認めることとする。②書面交付原則
消費税法8条、消費税法施行令18条、消費税法施行規則 6条・7条、消費税基本通達8-2-1、8-2-2、経産省・観光庁作成の『消費税免税店の手引き』
➢ 免税手続店カウンターでの物品同一性の確認のデジタル化
➢ 外国人旅行者向け消費税免税制度における『物品の同一性確認(物品とレシートの照合)の手段』が目視に限定されているので、スマホのカメラ機能の活用等も認めるべき
⑧人手目視調査原則
【参考】アナログ原則撤廃リスト 具体例①
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対象となる法令 改正目的・内容 アナログ原則との関係
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示)等
➢ オンライン診療における対面よりも限定された診療報酬付与要件緩和
➢ オンライン診療が適用される疾患が限定され、また適用がある疾患についても診療報酬を付与する要件が相当限定されており、電話等再診とは別にオンライン診療料の評価がされた後の方が、オンライン診療の利用が減っていることを踏まえ、適用疾患の制限、要件の緩和を早急に行う。
①対面/面前原則
旅行業法第12条の4、第12条の5、施行令第1条
➢ 旅行業における契約内容に関する電子書面交付デフォルト化
➢ 法令上、事業者側が電子交付をデフォルトの方法として選択できるようにする。
②書面交付原則
労働者派遣法施行規則21条3項、4項
➢ 労働者派遣契約の締結における書面記載という書面原則の撤廃
➢ 労働者派遣契約の必要契約事項について契約当事者に対して書面に記載させることとしていることについて、電磁的手段でもよいこととする。
②書面交付原則③押印原則
道路運送法、関係通達
➢ 運行管理における対面点呼原則の撤廃
➢ 現行法令では対面で点呼を実施するのが原則になっているが、必要ななりすまし防止対策を講じた上で、ITの利用を全面的に認める。(一部規制緩和されたが、グループ企業内でも他の事業者の管理はできないなど制限あり)
①対面/面前原則⑦現場配置原則
対内直接投資等に関する命令
➢ 事前届出、事後報告の書面原則の撤廃
➢ 外為法の改正により届出の対象範囲拡大したが、依然として書面での申請が必要となっており、オンラインのでの申請も可能とする。
②書面原則
出入国管理及び難民認定法施行規則
➢ 在留資格証明書の原本原則要件緩和
➢ 新型コロナウイルスの影響で国際郵便の引受が停止されている国もあり、証明書原本や自署が必要な書類のやり取りができないが、それでも原本しか認められない。非常時として就学・就業先への事前確認で済ますなどの対応を行えるようにする。
⑨原本原則
【参考】アナログ原則撤廃リスト 具体例②
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対象となる法令 改正目的・内容 アナログ原則との関係
税理士法第40条
➢ 税理士事務所の2か所事務所禁止規定の見直し
➢ 自宅やサテライトオフィス等で税理士がリモートワークすることは、本規定違反の可能性を指摘されリモートワークが進まない。
➢ 開業税理士が同じ事務所の税理士を業務監督している場合には、この規定違反でないことを明らかにする。
⑦現場常駐原則
商業登記法 、商業登記規則 ➢ 会社登記の「完全」電子化
➢ 申請手続きは電子化されているが、添付書類に押印が求められ、電子署名は認められない。
➢ 例えば、全登記類型(取締役会に委任された株式の発行、株式分割に伴う発行可能株式総数の変更など)について、取締役会議事録が取締役全員の実印押印でなく認められる電子署名に使用する電子証明書の要件が限定されないようにするなどの改正が必要
③押印原則
地方自治法施行規則、総務省関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則
➢ 民間と地方自治体の電子契約の条件の緩和
➢ 地方自治体と民間の電子契約においては、認められる電子署名の条件が。民間どおしのときの電子契約より厳しい、つまり、総務省関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則第二条2項二で定める電子証明書に限定されており、実態的に民間の電子契約サービスが使えなくなっている。
③押印原則
建設業法第26条
➢ 建設工事の監理技術者が「遠隔監理」で複数の工事現場の業務を兼務することの解禁
➢ 請負事業者は専任の監理技術者が常駐することが原則。遠隔監理で代替することを解禁する
⑦現場常駐配置原則
食品衛生法第50条第2項➢ 食品衛生責任者の「遠隔管理」による無人店舗の実現
➢ 食品衛生責任者の配置基準につき、遠隔管理も認められるよう明確化する
⑦現場常駐配置原則
【参考】アナログ原則撤廃リスト 具体例③
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1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革
3.コロナ問題を契機とした経営・業務改革
(参考)日本経済救済パッケージ施策
(参考)Japan Ahead 2
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革①規制・制度のDXの見取図
アナログ原則の完全撤廃ex)デジタル化率;官民手続き33%、民民取引6%
新しい規制・制度による新市場
①消費者、事業者(個人・企業)、行政の『トランザクションコスト』の社会全体での低減による効率化ex)民間が行政に対応するためのコスト 少なくとも71.2万人/年相当
②労働力不足への対応、高付加価値部門への業務シフトex) 行政対応コスト2割削減分の業務シフトにより少なくともGDP1.3兆円/年の押上げ効果
ex)企業のバックオフィス業務のデジタル完結により少なくとも2兆円の生産性向上効果
③第4次産業革命によるデータ駆動型経済への環境整備
世界一のデジタル・イノベーション国家への転換ex)世銀発表のビジネス環境ランキング25位(2019年)
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アナログ原則の完全撤廃 新しい規制・制度による新市場の創出
① 社会全体のデジタル化の推進➢ 『社会全体のデジタル化』を進めるための更な
る立法措置➢ 『アナログ原則』撤廃のための一括整備法令➢ デジタル手続きへのインセンティブ措置や優先
的処理
② DX推進のための国民運動の実施➢ DXを阻む『アナログ慣行』の見直し(営業を
インサイドセールスに転換/バーチャル株主総会へ転換/リモートワーク推進)
➢ オンライン選挙、インターネット投票➢ 政府会議・記者会見等のオンライン対応推進
③ レガシー規制の見直し➢ AI等を活用した新たな事業融資制度構築➢ 株式投資型クラウドファンディング規制見直し➢ リスクテイク投資家層の拡大/私募ルール見直し➢ AI・ブロックチェーンを前提とした規定見直し➢ デジタル著作権法制整備➢ オンラインでのエンタメ市場・スポーツ振興・
コンテンツ拡大のための関係法令整備(ギフティングやオンラインベッティング等)
④ データを連携・活用できる環境の整備➢ オープンデータ推進とAPI開放デフォルト化➢ 個人情報保護法制2000個問題➢ 国/地方の情報システムの標準化/クラウド化
(地方のLGWANシステムの問題解消)※自治体は、
クラウド化の方針が不明確であり、ネットワーク分離が前提となっているため、依然としてテレビ会議やネット申請対応などが進まない構造
⑤ 規制・制度のDX等を進めるための枠組みの整備(⇒後述)⑥ 規制・制度の適用と執行のイコールフッティング
どちらにとっても基盤となる仕組みの整備
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革②打ち手の全体像
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革③規制・制度のDX等を進めるための枠組みの整備
◼ 規制・制度DXの『質の指標』作成と定期評価、進捗管理➢ 例えば今後予定される『iDeCoの加入申し込み等のオンライン化』は内容の
レベルを検証する必要がある(マイナンバー制度を活用することにより、全手続きが加入者から見てオンライン完結の使い勝手のいいものになるのかなど)
◼ 『デジタル法制局』機能により法令のDXを評価➢ 既存法の評価と必要に応じ改正要請の機能
➢ 新規立法の法案提出の際にDXを阻害していないかを事前審査
(cf デンマークの事例)
◼ 諸外国並みに、行政手続きに係る対応コストベースでの総量規制の導入(1-in/2-out ル-ルなど、ポスト『行政コスト2割削減』)
◼ オンライン手続きを優先するファーストレーンを制度化(cf 千葉市の事例)
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【参考】1-in/2-out ル-ル①
(出所) 2019年12月公表の(独法)経済産業研究所・石崎隆・上席研究員レポート『事業者目線での行政手続コスト削減』より抜粋
◼ 今後の行政手続コスト削減の枠組み(総量規制(1-in/2-out ル-ル等))
➢ 欧米では、2000 年代に既存の行政手続コスト(ストック)の削減に注力する取組を行っ た後の方策として、2010 年代からは、一旦削減した既存の行政手続コストをこれ以上増や さないというフローの総量規制(「1-in/2-out」等)が、新たな国際的な潮流となりつつあ る。
➢ なお、1-in/1-out ルールは、新たな規制を1つの追加した場合に1つの規制を廃止するという個数ベースの総量規制ではなく、新た規制の遵守に必要な追加コスト相当分を、既 存の規制の廃止・緩和等により捻出・削減するというコストベースの総量規制である。
➢ 例えば、英国では、2010 年から1-in/1-out(追加的コスト 1 ポンドに対し削減するコス ト 1 ポンド捻出)に取組んだ。この取組が期待以上の成果を収めたため、2013 年から 2015 年にかけて、1-in/2-out に拡大した。その結果、2010 年から2015 年の 5 年間で、100 億 ポンド(約 1 兆 3255 憶円)のコスト削減を実現した。さらに、2015 年から1-in/3-out と 取組を深堀している。
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【参考】1-in/2-out ル-ル②
(出所) 2019年12月公表の(独法)経済産業研究所・石崎隆・上席研究員レポート『事業者目線での行政手続コスト削減』より抜粋
➢ また、カナダでは、2012 年から1-for-1ルールが導入し、さらに 2015 年に「行政手続負担軽減法」(Red Tape Reduction Act)を制定し、この取組を法令上の義務とした。
➢ さらに、 2015 年からドイツで1-in/1-out が導入された。最近では、米国トランプ政権が、2017 年 1 月、大統領令を発出し、1-in/2-out を導入した。大統領府によれば、「当初の目的を大幅に上回る成果(67項目の規制緩和に対して 3 項目の新規規制の導入)を挙げ、2017 年に81億ドル(8900 億円)の規制コストの削減を実現し、2018 年にも 98 億ドル(1 兆 780 億円)以上の削減が確実とされている。また、政権就任時に導入が計画されていた規制のうち、635項目が撤回され、244項目が停止され、700項目が延期されている。
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分野 関係法律等 問題の所在 必要対応策
医療 次世代医療基盤法医薬品医療機器法
➢ 医師等に法律の要請より厳格に情報管理を行う意識がある一方で、基準が曖昧であるためデータ利用が進んでいないという声
➢ 医療データに特化した適切なルールを設計することでデータの流通促進を図るべき
➢ 電子処方箋等のデジタル化の推進も必要➢ プログラム医療機器の審査が遅くAI医療機器開発の遅延要因に
➢ 医療仮名化情報(当該データ単体では特定の個人を識別できないデータ)について、データの送り手・受け手を医師及び指定された研究者に限定するなど一定の要件の下、本人の同意なしで第三者提供を可能とする(CTスキャンの画像データなど)
➢ 電子処方箋引換証の紙交付のデジタル化➢ プログラム医療機器の審査期間の短縮(現状最短2年→半年程度に)
金融 貸金業法割賦販売法
➢ 既にAI活用が進む金融分野においてもさらなるイノベーションの可能性
➢ 新たな金融サービスを実装するための法的制約を取り除いていく必要
➢ クラウドソーシングデータ等を活用した新たな与信制度として、貸金業法や割賦販売法の年収による総量規制等を見直し、非正規雇用やフリーランス等も広く与信を得られるようにする
➢ AIによる精緻な与信審査により短期融資が可能になっているためスモールビジネス向け融資として金利制約(年利換算)を柔軟化
交通 道路交通法道路運送車両法
➢ CASE、MaaSの進化に向けた国際競争が激化
➢ 自動運転実証の加速化やMaaS実装に向けた情報連携
不動産、建築
建築基準法 ➢ 人出不足等による施工管理や検査などにデジタル技術等を入れる必要性が高まっている
➢ 建築物の定期検査等に目視でなくドローンを利用できることの明確化等
教育 調達の見直し等
➢ 初等中等教育においても国際的な教育デジタル化の流れの中で大きな遅れ
➢ ノートPCやタブレットの利用などITインフラの共同調達による迅速整備、遠隔教育の推進、教育コンテンツの普及
公共調達・政府統計、その他横断的整備
調達の見直し統計法個人情報保護法 等
➢ 政府や自治体等によるデータ利活用の遅れ➢ 政府統計で取得した調査票やそれに基づく匿名データ等はデータとして付加価値があるが未活用、一層の有効活用が統計制度の発展にも資する
➢ 公共におけるAI活用へのインセンティブ設計(診療報酬でのAI加点や公共窓口の一元化に向けたAIチャットボット活用補助金など)
➢ 統計法の匿名データについて一定のセキュリティを担保した企業の事業目的にも利用できるよう改正
➢ 利活用を主軸に置いた個人情報保護法等改正 24
【参考】AIを前提とした規定への見直し
◼ 分散型システムを前提としてない法制度の再定義
関係法律等 法律の概要 問題の所在
電子署名及び認証業務に関する法律
➢ 電子署名が本人のものであるとの認証業務について、本人確認方法等の信頼性を判断する目安を規定
➢ 認証対象となる設備の要件がクライアント・サーバモデルのみを想定
➢ 認証業務を技術的に分散的に処理するアーキテクチャの場合、どのように認証業務が認証されるのか不明
電子記録債権法
➢ 企業が保有する手形や売掛債権を電子化し、インターネットで取引可能な決済手段とすることにより、債権の流動化や資金調達の円滑化等を図るもの
➢ 電子債権記録業を営む電子債権記録機関の要件が、単独事業者のみを想定
➢ 電子記録のシステム要件が、クライアント・サーバモデルのみを想定
社債、株式等の振替に関する法律
➢ 株券の電子化により、株主の権利をほふりや証券会社等の口座で管理する「株式等振替制度」について規定
➢ 有価証券の権利移転は、許認可対象である中央管理者(金融商品取引業者、取引所、振替機関)を通じて行われることが前提
不動産登記法➢ 不動産の表示や権利を公示する
ための登記について規定➢ ブロックチェーンによる権利移転や記録が想定されておら
ず、登記として対抗要件にならない
民法➢ 債権譲渡の第三者対抗要件であ
る確定日付ある証書に関して規定
➢ 確定日付ある証書は原則紙が前提。例外も、指定公証人による日付情報付き電子ファイルに限定
【参考】ブロックチェーンを前提とした規定への見直し
25
26
1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革
3.コロナ問題を契機とした経営・業務改革
(参考)日本経済救済パッケージ施策
(参考)Japan Ahead 2
3.コロナ問題を契機とした経営・業務改革打ち手の全体像
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◼ DXの見える化
➢ DX推進指標の因数分解
➢ DX情報の開示拡充
➢ DX推進企業の表彰制度
➢ DXのベストプラクティス共有
◼ DX連携の支援
➢ DX版J-Startup
➢ DX官民連携プラットフォーム
経営のあり方、仕組み
◼ DX投資のインセンティブ
➢ DX投資促進税制
• クラウド化• リモートワークの導入
• DX人材への投資 など
➢ DX研究開発税制
➢ 顧客視点でどのような価値を創出するか、経営陣の問題意識やビジョンを明確化する必要(号令だけでは不十分)
➢ そのうえで、実際にDX推進のためのサービスを提供する側の企側の支援やそうした企業とのマッチングを促す仕掛けが必要
➢ レガシーステムの保守・運用に押しつぶされる状況を脱し、クラウド化を推進する必要
➢ 有形資産偏重の税制優遇は改め、無形資産への投資を促す仕掛けが必要
問題認識
打ち手
経営のあり方、仕組み 基盤となるITシステム
【参考】 DX推進の枠組み
DX推進企業DXサービス
企業
政府
行政情報の連携(補助金、税制など)
DX銘柄DX表彰
DX版J-Startup
IPA
自己診断
ベンチマークベストプラクティス
選定 選定・支援
規制改革関係の要望
官民連携プラットフォーム登録 登録
事業領域、業務領域などで構造化
登録
自治体
登録
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DX投資促進税制DX研究開発税制
(参考)コロナ環境下で雇用維持・拡大と経営DXを両立するための打ち手
雇用維持のための打ち手 雇用拡大のための打ち手
◆雇用拡大に伴う社会保険料負担分補助
✓ コロナ環境下という厳しい環境下でも雇用拡大を促進する中小企業について、今後新たに正社員を雇い入れた部分ついて、社会保険料事業主負担分を一定期間補助
【海外事例参考】
✓ 米国CARES Act (3/27/2020)
適格雇用者が各四半期に負担する賃金の約50%を当該四半期の雇用者負担分から税額控除(※買収事例に限らない)
◆雇用維持型M&Aに伴う課税の減免
✓ コロナ環境下という厳しい環境下でも社会全体で雇用維持をはかるために、通常のM&Aで発生する課税(法人税、消費税等)につき、雇用維持型M&Aの場合には売り手・買い手双方の企業に対して課税免除
◆雇用維持型M&Aの場合の雇用調整助成金の助成率拡充の延長
✓ 既に行われている助成率拡充につき、雇用維持型M&Aの場合には買い手企業に対して施策の期間を一定程度延長
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➢ コロナ環境下で雇用への不安が増大➢ 一方、コロナ環境でも強い企業によるM&A等を通じて雇用維持を図りながら、経営DXを一気に進める打ち手を通じて、産業の新陳代謝をはかる
30
1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革
3.コロナ問題を契機とした経営・業務改革
(参考)日本経済救済パッケージ施策
(参考)Japan Ahead 2
日本経済救済パッケージ施策概要(短期的施策①)
1.コロナ問題収束までの短期的施策
(1)コロナ防止策
①軽症者の早期発見と隔離の徹底等
②マスク、防護服、人工呼吸器の早急な整備充実
③確実な医療提供体制の確保
④全国のホットスポットなどへのAIサーモセンサーの導入
⑤社会的近接をさけることによる蔓延防止
⑥創薬・治験の促進
⑦コロナ問題の情勢分析の充実等
⑧緊急事態の最前線に直面している医療従事者に対する応援キャンペーンを含めた環境整備
⑨情報提供体制の充実 31
日本経済救済パッケージ施策概要(短期的施策②)
1.コロナ問題収束までの短期的施策
(2)コロナ問題を起因とした経済・社会的影響への手当て
①生活の維持と事業の継続への支援
・当面、消費税は執行せずゼロとする、その他各種税金の支払い猶予
・失業給付金の拡充など失業者への支援措置
・フリーランスと派遣労働者への現金給付
・営業が困難になるおそれのある外食産業、小売産業、サービス・接客
産業、交通産業、エンターテインメント産業等への各種支援措置(資金
繰り支援、雇用継続した場合の人件費等補填、家賃・テナント代補等)
・中小企業やスタートアップへの現金給付、資金繰り支援
・スタートアップが、今回のような緊急事態に対して社会問題を解決
する革新的なソリューションを提供することを踏まえ、スタートア
ップへの資金流入が先細りしないための支援措置
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日本経済救済パッケージ施策概要(短期的施策③)
1.コロナ問題収束までの短期的施策
(2)コロナ問題を起因とした経済・社会的影響への手当て
②オンラインレディを前提とした生活や事業にシフトするための施策
• 下記の規制制度改革の実施と当該措置の推進に向けた中小企業、関係者等への助成制度など支援措置の実施
✓ オンライン教育の実施
✓ リモートワークの推進(押印原則等の撤廃)と労働法制の見直し
✓ オンライン株主総会
✓ マイナンバー制度の積極的な活用(支援措置等の給付活動への積極活用など)
• オンラインレディを前提とした生活や事業を支えるためのソリューション提供に関する官民連携プロジェクト
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日本経済救済パッケージ施策概要(中長期的施策)
2.コロナ問題収束後の中期的施策
・コロナの再発を防ぐための措置の検討と必要な施策の実施
・現状行っている水際対策を当面継続する
・空港でのPCR設備の導入充実強化
・官民タスクフォースによる対策の検討
・当面、消費税は執行せずゼロとするほか、上記1.(2)で講ずる支援策に
つき、必要に応じて継続する等復興支援策の実施
・国内需要喚起に向けた支援措置の充実と官民連携でのプロジェクトの実施
3.その他主な中長期的施策
・今回のコロナ問題を機会ととらえ、世界最先端のデジタル社会を実現する
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1.コロナ対処に直結する押印などアナログ手続きの問題
2.コロナ問題を契機とした規制・制度改革
3.コロナ問題を契機とした経営・業務改革
(参考)日本経済救済パッケージ施策
(参考)Japan Ahead 2
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4.Japan Ahead 2「3つの柱で総額150兆円」
+150兆円以上
KPI法人実効税率開業率 など
インテリジェントハブ化構想
東京をシリコンバレーに
シェアリングエコノミーの市場規模キャッシュレス決済比率 など
最先端社会スマートネイション
移民受け入れ目標年間訪日外国人旅行者数訪日外国人の年間旅行消費額
人口減少、労働力不足問題への対応
移民政策
Japan Ahead 2
シェアリング・エコノミー電子化
4. Japan Ahead 2のKPI一覧①
施策プラン KPI(例) 現在値 目標値
①インテリジェント・ハブ化構想
日本発の次世代のトヨタのようなリーダー企業の育成なし
※トヨタ19兆、ソフトバンク10兆
時価総額20兆円企業の
誕生
英語力(TOEFL平均点数) 71点 80点
海外企業の本社・アジア本社の誘致数 年10社
法人実効税率29.97%
今年度から29.74%
20%程度に
開業率5.2%(2015年)
10%台
世界経済フォーラムIT競争力ランキング内「ICTに関する法制度」ランキング
27位(2016年)
10位以内
外国企業の対内直接投資残高24.4兆円
(2015年末)50兆円(※)
※ 既存の政府目標は、2020年までに35兆円。
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4. Japan Ahead 2のKPI一覧②
施策プラン KPI(例) 現在値 目標値
① 最先端社会・スマートネイション
シェアリング・エコノミーの市場規模1兆1,800億円
(2016年、情報通信総研調査)
10兆円台(2025年)
行政手続き原則オンライン化原則100%
(2020年度)
キャッシュレス決済比率18%
(2015年)3年以内に90%
② 人口減少・労働力不足問題
移民受入れ目標(参考)
外国人比率1.9%(2016年末)
移民基本法に基づき設定
年間訪日外国人旅行者数2,869万人(2017年)
1億人(2030年)(※)
訪日外国人の年間旅行消費額4兆4,162億円(2017年)
30兆円(2030年)
(※)
※ 既存の政府目標は、2020年までに、4,000万人、8兆円
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