Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

Embed Size (px)

Citation preview

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    1/10

     

    いわき市役所における傾斜基盤を対象にした微動観測 

    中川博人1)、林田拓己2)、横井俊明3)、鹿嶋俊英4)、小山信5)、 

    WIRADIKARTA Chiko Bhakti Mulia6)、GUERRA CARBALLO José Roberto7) 

    1) 正会員  独立行政法人建築研究所  構造研究グループ、研究員  博士(工学)

    e-mail : [email protected]

    2) 独立行政法人建築研究所  国際地震工学センター、研究員  博士(理学)

    e-mail : [email protected]

    3) 正会員 

    独立行政法人建築研究所 

    国際地震工学センター、センター長 

    博士(理学)

    e-mail : [email protected]

    4) 正会員  独立行政法人建築研究所  国際地震工学センター、主任研究員  博士(工学)

    e-mail : [email protected]

    5) 正会員  独立行政法人建築研究所  構造研究グループ、上席研究員  博士(工学)

    e-mail : [email protected]

    6) Research Institute for Human Settlements, Min. of Public Works, Indonesia

    7) The Urban Planning Office of the San Salvador Metropolitan Area, El Salvador

    要  約 

    2011年東北地方太平洋沖地震で被害のあったいわき市役所では、既往のボーリング調査結

    果から工学的基盤が傾斜していることがわかっている。本報告では、工学的基盤の傾斜し

    ているサイトにおいて実施した微動観測から得た結果と、PS検層およびボーリングデータ

    に基づく1次元構造から得られる計算値の対応について考察を行った。得られた知見は以下

    のようにまとめられる。1) H/Vスペクトル(特に谷の位置)は観測値と計算値とがおおむね対

    応する。2) 観測記録にCCA法を適用して推定した位相速度は、H/Vスペクトルの谷付近よ

    り高振動数側では計算値と対応するが、H/Vスペクトルのピーク周期付近では推定精度が低

    下する傾向にある。3) 得られた観測記録を使って逆解析を行った結果、基盤深度はボーリ

    ング結果に比べて深く推定されることを確認した。 

    キーワード:傾斜基盤、不整形地盤、微動、 H/V スペクトル、位相速度、CCA法、逆解析  

    1.はじめに 

    2011年東北地方太平洋地震で震度6弱が観測されたいわき市役所(本庁舎は地上8階、地下1階、塔屋2

    階のSRC造建物)では、本庁舎のコンクリート壁の亀裂、仕上げや天井の剥離・損傷、隣接する議会棟と

    のエキスパンションジョイント部の損傷等の被害が見られた。建築研究所では、いわき市役所本庁舎内

    においても強震観測を実施しており、非構造部材が損傷を受けて建物の固有周期が低下する様子を克明

    に捉えている1)。 実際に被害のあったサイトにおける地震動特性や地盤振動特性を検討することは耐震

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    2/10

     

    設計や減災の観点から重要であり、そのためにサイトの地盤構造を把握する必要がある。 

    2011年6月から約2か月にわたって実施された敷地の北側と南側における余震観測1)では、2点間の距離

    が150m程度しか離れていないにもかかわらず、北側では周期0.2~0.3秒付近が卓越し、南側では周期1

    秒前後の地震動が卓越することを確認している。これを受けて収集した既往の地盤調査結果(ボーリング

    データ)からは、敷地内では工学的基盤の傾斜が認められ、表層地盤はいわゆる不整形地盤となっている

    ことがわかった。建築物の設計では工学的基盤の傾斜角が5度を超えるような場合には、表層地盤の増幅特性について何らかの検討が要求される 2)。詳細な地盤調査を元に建物への入力地震動を評価するとな

    れば、経済面等を勘案して微動探査が効率的な手法のひとつとして挙げられる。しかしながら、微動探

    査は1次元の水平成層構造における表面波の伝播が理論的根拠となっているため、不整形地盤域での適用

    性については検討の余地がある3)。最近では「不整形地盤における微動」というテーマに対していくつ

    かの検討がなされており、不整形性が推定される位相速度やH/Vスペクトルに与える影響が指摘されて

    いる4) 5) 6)が、いまだ不明な点が多く残されている。特に、ボーリングデータ等が充実したサイトにおけ

    る実記録を用いた検討事例は少ない。以上の背景より、本報では不整形地盤における微動探査の適用性

    検討を目的として、基盤傾斜が認められるサイトに対して微動探査を実施したので、その結果について

    報告する。 

    .

    2.当該サイトにおける既往の地盤調査概要 

    図1に示す通り、いわき市役所敷地内およびその周辺では複数のボーリングが実施されており、サイト

    から東に100~200m程度離れた地点ではPS検層も実施されている。 N 値分布およびPS検層結果を見ると、

    S波速度が100~150m/s程度の軟弱な沖積地盤が工学的基盤の上に堆積していることがわかる。庁舎の敷

    地内についても、 N 値分布の傾向はほぼ同様であり工学的基盤の上に軟弱な地盤が堆積している。図1の

    コンターマップはボーリングデータ( N 値が50以上となる深度)から作成した工学的基盤の深度分布であ

    る。補間にはGMT7)のSurface(T=0.25)を使用した。基盤深度は複雑に変化しており、本庁舎から市役所の

    敷地南側および西側に向かって深くなっていく様子がわかる。 

    図1 いわき市役所周辺のボーリング分布(○)および工学的基盤上面の深度分布(上)と 

    N  値分布およびPS検層によるS波速度構造(下)

    Depth [m]

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    3/10

     

    いわき市役所敷地内を対象として、2012年12月に敷地内でMASWおよび微動探査(SPAC法8))による地

    盤調査9)が実施されている(以下、これを第1回の観測と呼ぶ)。図2にMASWの測線および微動アレイの配

    置図10)を示す。Wiradikarta10)によるMASWの結果では、軟弱な表層地盤の層厚が西側に行くにしたがっ

    て厚くなっていく様子をとらえている。しかしながら、MASWによる位相速度の推定値は低振動数側で

    150m/s程度であり、MASWのみでは工学的基盤の傾斜を把握できない。また、図3に微動のアレイ観測

    記録から推定された位相速度を示す。Lアレイ、MアレイおよびSSアレイによるSPAC係数を組み合わせて推定した位相速度は場所によって変化しており、敷地南西側のアレイ(L2、M2、SS2)では比較的位相

    速度が遅く、敷地の北東側(SS5)あるいは本庁舎南側(L1、M1、SS3)では比較的位相速度が速くなってい

    る。この傾向は図1に示す基盤深度の変化と調和的である。ただし、図4に示す逆解析結果による推定基

    盤深さは北側のSS5を除いたすべての地点で深さ40m~50m程度となっており、図1に示す敷地内のボー

    リング調査結果に比べて、基盤深度を深く推定している傾向にある。この理由のひとつとして、底辺長

    150mのLアレイや底辺長75mのMアレイでは長周期帯域まで感度のあるセンサー(VSE12-CC、(株)東京測

    振製)を使用したが、底辺長25~50m程度の小規模微動アレイ(SSアレイ)で使用したセンサー(L22D、

    Sercel Ltd.製)の固有振動数が2Hzだったことから、2Hz付近から低振動数側の位相速度が適切に評価され

    ていない可能性が示唆される。 

    図2 第1回の観測点および測線配置図10)(MASW(左)および微動アレイ(右))

    Lアレイは底辺長150mの7点観測、MアレイはLアレイの中心で実施した底辺長75mの4点観測である。 

    図3 各アレイより得られた位相速度10)  図4 位相速度の逆解析により推定したS波速度構造10) 

    L1, M1

    L2, M2

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    4/10

     

    3.微動観測 

    3.1 観測概要 

    第2回の観測は2014年1月25日、26日の日中に実施した。図5に微動アレイの観測点配置図を示す。観測

    Aは底辺長4~5m、観測Bは底辺長20mの観測を敷地中央から南側で、観測Cは底辺長17.5mのアレイを敷

    地の西側で行っている。観測時間はそれぞれのケースで1~2時間程度である。第1回の微動観測では、SSアレイに使用したセンサーが長周期帯域まで精度を有していないこと等により、工学的基盤の傾斜に

    関する検討が必ずしも十分でない。これに対し、本観測では、長周期帯域まで感度のあるセンサー(SE-321、

    (株)東京測振製)を使用し、極小アレイあるいはやや小さいアレイサイズで工学的基盤の傾斜が把握でき

    るかどうかを試みた。また第1回の観測では、微動の鉛直成分のみを観測したが、H/Vスペクトル等の検

    討を行うことを考え、ここでは3成分観測を行っている。なお、敷地内では他にもいくつかの観測を行っ

    ているが、本報告では割愛する。 

    図5 第2回の微動観測点配置図 

    3.2 観測記録の処理方法 

    工学的基盤の傾斜を把握するという目的を踏まえ、小さなサイズのアレイで、より深部の情報を得る

    ためにCCA法11)によって位相速度を推定した。また、アレイ内で得られた上下動からCCA法によって、

    位相速度を推定するとともに、水平動と上下動からH/Vスペクトルを算出した。具体的には観測波形記

    録を次のように処理した。 

    ○CCA法による位相速度の推定 

    ・得られた観測波形を 20.48秒のセグメントに分ける。 

    ・各セグメントの観測波形(上下動)に対して、RMS値を計算する。 

    ・RMS値の小さい方から 80セグメントを選択する。 

    ・選択された各波形の最初と最後に 2秒のコサインテーパーを施す。 

    ・テーパーを施した波形に対して、それぞれ FFTを行い、1つの観測セット(正三角形の 3点)に対して

    平均パワースペクトルと重みつき平均パワースペクトルをそれぞれ10セグメントずつスタックし、8

    つのパワー比 s(r , ω)を算出する。なお、今回は Parzen Window等による平滑化は施していない。 

    ・得られた 8つのパワー比 sから、8つの位相速度 cを(1)式 12)により算出し、それらを平均して最終的

    な位相速度を得た。 

    Obs. A

    A1

    A2

    A3

    A4

    A5A6A7A9

    A8

    Depth [m]

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    5/10

     

    ○H/Vスペクトルの算出 

    ・上記位相速度の推定の際に選択された80セグメントと同じ時間帯の水平動二成分を上下動と同様に選

    択する。 ・選択された各波形の最初と最後に2秒のコサインテーパーを施す。 

    ・テーパーを施した各成分の波形に対して、それぞれ FFT  を行い、各成分のフーリエスペクトルを 10

    セグメントずつスタックし、8つの H/Vスペクトルを算出する。この際、水平二成分は二乗和平方根

    により合成した。なお、今回は Parzen Window等による平滑化は施していない。 

    ・H/Vスペクトルを位相速度と同様に1つの観測セット(正三角形の3点)の代表とするために、正三角形の

    3点で算出した計24のH/Vスペクトルを単純平均することで、最終的なH/Vスペクトルを得た。 

    4.微動観測結果およびボーリングデータに基づく1次元構造との比較 

    図6および図7にH/Vスペクトルと推定されたレイリー波の位相速度を示す(赤線)。図中には、観測点(正

    三角形の中心点)の直下の構造をもとに水平成層構造を仮定して計算したH/Vスペクトルおよび位相速

    度もあわせて示している(黒線)。H/Vスペクトルの計算の際にはレイリー波およびラブ波の高次モードを

    Medium Response13)によって考慮し、レイリー波とラブ波の水平振幅比 R/ Lは振動数によらず0.7としてい

    る14)。また、位相速度の計算値は中心点直下の1次元構造に対するレイリー波の基本モードを示している。

    計算に使用した1次元構造は、補間によって得られた任意地点における工学的基盤の深度とPS検層によ

    る工学的基盤までの深度の比を算出し、PS検層による各速度層の層厚にその比を乗じることにより作成

    した。なお、H/Vスペクトルおよび位相速度の計算に際して、いわき市役所直下の深部地盤構造 15)を接

    続している。図6および図7より以下の点が指摘できる。 

    ・H/Vスペクトルは直下の1次元構造を元にした計算結果と形状がおおむね対応する。 

    ・H/Vスペクトルの谷の部分については、観測

    Bのいくつかの点を除いて計算値と良く対応している。

     ・推定された位相速度は、H/Vスペクトルのピーク付近(分散曲線の勾配が急な帯域)では計算結果に比べ

    て速度が遅い。 

    ・推定された位相速度は、H/Vスペクトルの谷の位置よりも高振動数側(分散曲線の勾配が比較的緩やか

    な帯域)では1次元の計算結果とよく対応している。 

    位相速度に比べて、H/Vスペクトルの方が、1次元仮定の結果と対応することについては、傾斜基盤を対

    象にした既往の報告4)にも同様の指摘がなされている。上林ら4)は、位相速度の推定精度が低下する理由

    として、不整形性により波動場が複雑になるためとしている。特にH/Vスペクトルのピーク付近では実

    体波の寄与が他の振動数域にくらべて大きくなることが考えられる16)ため、位相速度の推定精度が低下

    している可能性がある。推定精度の低下には、観測システム内部のノイズや、センサーの設置条件等、

    他にもいくつか理由が考えられるが、今後、不整形性を考慮した解析等、さらなる検討をする必要がある。特に今回対象としたいわき市役所本庁舎は建物の固有周期が0.5~1秒程度1)である、また地下階を有

    することが波動場に影響を与えた可能性がある17)。 

    一方で、H/Vスペクトルの谷よりも高振動数側では観測の位相速度は計算値とおおむね対応している。

    この値は、既往10)のMASWによる値ともおおむね対応する。元木ら5)が「基盤が傾斜しているサイトに

    おける微動アレイ探査に1次元解析を適用する際は、逆解析に用いる周期範囲に注意を払う必要がある。」

    と述べているとおり、分散曲線の勾配が比較的緩やかな帯域をH/Vスペクトルと合わせてうまく使うこ

    とも考えられる。ただし、既往の検討結果から不整形地盤においては、位相速度のみならずH/Vスペク

    トルも影響を受けると報告されており6) 18) 19)、不整形性の強い地点で観測されたH/Vスペクトルを逆解析

    すると、推定された基盤深度には3~4割程度の誤差が生じることもある16) 20)。これについても、今後のさ

    らなる検討と事例の蓄積が必要である。 

    (1)

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    6/10

     

    図6 観測A、B、CにおけるH/Vスペクトルの比較 

    (赤色は観測、黒色は正三角形の中心点の直下の構造から計算した)

    Obs. A

    A1

    A2

    A3

    A4

    A5A6A7A9

    A8

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    7/10

     

    図7 観測A、B、Cにおける位相速度の比較 

    (赤線は観測、黒線は正三角形の中心点の直下の構造から計算した位相速度(レイリー波の基本モード))

    Obs. A

    A1

    A2

    A3

    A4

    A5A6A7A9

    A8

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    8/10

     

    5.H/Vスペクトルと位相速度の逆解析 

    先に述べたとおり、観測された位相速度は低振動数側で推定精度が低下していると考えられるため、

    ここでは試行的に逆解析を行い、その結果得られるS波速度構造について検討した。逆解析方法はGA21)

    で、観測値と計算値の残差を文献22)に倣って定義し、最小化させた。H/Vスペクトルと位相速度の重み

    は1:4とした。逆解析のパラメータは表層のS波速度を100、120、150、200、250、300m/sに固定して、各層の層厚を0~25mで変化させた。GAのパラメータは個体数を100、世代数を100、交差確率を0.85とし、

    変異確率は各個体間の残差のばらつきを考慮して0.0005~0.25の間で変化させている21)。図8に観測A5を

    対象に逆解析を行った例を示す。図中の青線は逆解析によって推定された速度構造から計算した結果を

    示している。図8を見るとわかるとおり、位相速度は観測記録とよく対応しているが、H/Vスペクトルの

    谷の位置はボーリングをもとに作成したモデルに比べて若干ずれている。逆解析により推定された S波

    速度構造は、ボーリングやPS検層結果をもとに作成した速度構造と表層の部分については調和的である

    ものの、両者の基盤深度は対応しておらず、ボーリングによる基盤深度の位置に比べて逆解析結果では2

    倍程度深く推定されている。敷地内ではPS検層の情報が存在しないのでボーリングによる基盤深度(深さ

    20m程度)におけるS波速度が400m/s程度であることは確認できないが、固結した頁岩(換算 N 値で100以上

    となっている)のS波速度が150~250m/s程度とは考えにくい。したがって、基盤深度の位置を推定すると

    いう目的で、基盤が傾斜しているサイトにおける微動アレイ探査に1次元解析を適用する際は、逆解析に

    用いる周期範囲に注意を払う必要があると考えたほうが良さそうである。 

    図8 観測A5におけるH/Vスペクトルと位相速度の逆解析結果 

    6.まとめ 

    工学的基盤が傾斜しているサイトを対象に、微動観測を行った。PS検層とボーリングデータから観測

    点直下の1次元構造を評価し、観測記録と1次元構造から得られる計算値との比較を行った。得られた結

    果は次のようにまとめられる。 

    1) 

    H/Vスペクトル(の特に谷の位置)は観測値と計算値とがおおむね対応する。 2)  観測記録からCCA法によって推定された位相速度は、分散曲線の勾配が比較的緩やかなH/Vスペク

    トルの谷付近より高振動数側では計算値と対応するが、分散曲線の勾配が急なH/Vスペクトルのピ

    ーク周期付近では推定精度が低下する傾向にある。 

    3)  得られた観測記録を使って逆解析を行った結果、基盤深度はボーリング結果に比べて深く推定され

    ることが確認された。 

    ただし、上記はあくまで今回のサイトについてのものであり、地盤構造が異なる他のサイトについて

    も同様なことがいえるとは限らない。検討の蓄積が待たれるところである。 

    今回のサイトについては、今後、基盤の傾斜や建物の存在を考慮した解析17)等、さらなる検討をする

    必要がある。また敷地内の地震観測記録の再現解析等を行うことで、モデルの妥当性を検証するととも

    に不整形地盤と入力地震動の関係について検討を進める予定である。 

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    9/10

     

    謝  辞 

    いわき市には微動観測・余震観測についてご許可いただくとともに、本庁舎や周辺のボーリングデー

    タ等の地盤調査資料をご提供いただきました。第1回の観測・探査は、応用地質(株)の永野修一氏、岡田

    聡氏にご協力いただきました。第2回の微動観測で使用した観測システムは(独)産業総合技術研究所活断

    層・火山研究部門の地震災害予測研究グループよりお借りしました。GAの計算サブルーチンには

    PIKAIA21)

    を利用しました。一部の図の作成には、GMT7)

    を使用しました。記して関係各位に謝意を表します。 

    参考文献 

    1)  鹿嶋俊英、小山信、石原直、飯場正紀:いわき市庁舎における2011年東北地方太平洋沖地震の強震記

    録と余震観測、日本地震工学会大会-2011梗概集、 pp. 294-295、2011

    2)  国土交通省住宅局建築指導課ほか:建築物の構造関係技術基準解説書、2007年版、全国官報販売協同

    組合、 p. 436、2007

    3)  堀家正則:微動の研究について、地震、第2輯、第46巻、 pp. 343-350、1981

    4)  上林宏敏、川辺秀憲、釜江克宏、宮腰研、堀家正則:傾斜基盤構造推定における微動H/Vスペクトル

    の頑健性とそれを用いた大阪平野の南部域の盆地構造モデルの改良、日本建築学会構造系論文集、第

    74巻、第642号、 pp. 1453-1460、2009

    5)  元木健太郎、渡辺哲史、加藤研一、武居幸次郎、山中浩明、飯場正紀、小山信:微動アレイ計測に傾

    斜基盤構造の推定、日本建築学会構造系論文集、第78巻、第688号、 pp. 1081-1088、2013

    6)  中川博人、中井正一:斜面地盤が短周期微動のH/Vスペクトルと分散曲線に与える影響、日本建築学

    会構造系論文集、第75巻、第656号、 pp. 1827-1835、2010

    7)  Wessel, P. and Smith, W. H. F.: New, Improved Version of Generic Mapping Tools Released, EOS, AGU,

    1998

    8)  Aki, K.:Space and Time Spectra of Stationary Stochastic Waves, with Special Reference to Microtremors.,

    Bull. Earth. Res. Inst. Univ. Tokyo, pp. 415-457, 1957

    9)  応用地質株式会社:いわき市役所敷地地盤構造調査業務報告書、

    201310) Wiradikarta, C. B. M.:Underground Velocity Structure Exploration Using Surface Waves in Iwaki City Hall,

    Japan, Master Paper of Seismology Disaster Management Policy Program, 2013

    11) Cho, I., T. Tada, and Y. Shinozaki:Centerless Circular Array Method: Inferring Phase Velocities of Rayleigh

    Waves in Broad Wavelength Ranges using Microtremor Records, J. Geophys. Res., Vol.111, B09315,

    doi:10.1029/ 2005JB004235, 2006

    12) 横井俊明:小アレイ微動探査の為の計器特性の補正及び長波長近似の改良について、物理探査、第67

    巻、第4号、 pp. 255-266、2014

    13) Harkrider, D. G.:Surface Waves in Multilayered Elastic Media, I. Rayleigh and Love Waves from Buried

    Sources in a Multilayered Elastic Half-Space, Bull. Seism. Soc. Am., Vol. 54, No. 2, pp. 627-679, 1964

    14) 時松孝次、新井洋:レイリー波とラブ波の振幅比が微動の水平鉛直スペクトル比に与える影響、日本

    建築学会構造系論文集、第511号、 pp. 69-76、199815) 地震調査研究推進本部:「長周期地震動予測地図」2012年試作版、2012

    http://www.jishin.go.jp/main/chousa/12_choshuki/index.htm

    16) 中川博人、中井正一:2次元傾斜地盤へのレイリー波入射における実体波とレイリー波の寄与  -薄

    層要素法と有限要素法-による結合解析、日本建築学会構造系論文集、第74巻、第644号、 pp.1715-1722、

    2009

    17) 中井正一、中川博人:傾斜基盤と剛基礎を有する地盤における入射表面波場、第14回日本地震工学シ

    ンポジウム論文集、 pp. 1875-1884、2014

    18) Uebayashi, H.:Extrapolation of Irregular Subsurface Structures Using the Horizontal-to-Vertical Spectral Ratio

    of Long-Period Microtremors, Bull. Seism. Soc. Am., Vol. 93, No. 2, pp. 570-582, 2003

    19) Matsushima, S., T. Hirokawa, F. De Martin, H. Kawase and F. J. Sánchez-Sesma:The Effect of Lateral

  • 8/18/2019 Nakagawa Etal JAEE(14JEES) 2015 Rev02

    10/10

     

    Heterogeneity on Horizontal-to-Vertical Spectral Ratio of Microtremors Inferred from Observation and

    Synthetics, Bull. Seism. Soc. Am., Vol. 104, No. 1, pp. 381-393, 2014

    20) 新井洋、上林宏敏:大阪堆積盆地における水平成層仮定のH/Vスペクトル逆解析による基盤深度の推

    定誤差、日本建築学会大会学術講演梗概集、B-2、 pp.207-208、2013

    21) Charbonneau, P.:Genetic Algorithms in Astronomy and Astrophysics, Astrophys. J. Suppl. Ser., Vol. 101,

     pp.309-334 , 199522) Arai, H. and Tokimatsu, K.:S-wave Velocity Profiling by Joint Inversion of Microtremor Dispersion Curve

    and Horizontal-to-Vertical (H/V) Spectrum, Bull. Seism. Soc. Am., Vol. 95, No. 5, pp. 1766-1778, 2005

    A Microtremor Exploration in Iwaki City Hall

    for Evaluation of Inclined Bedrock

     NAKAGAWA Hiroto1)

    , HAYASHIDA Takumi2)

    , YOKOI Toshiaki3)

    ,

    KASHIMA Toshihide4)

    , KOYAMA Shin5)

    ,

    WIRADIKARTA Chiko

     Bhakti

     Mulia

    6)and

     GUERRA

     CARBALLO

     José

     Roberto

    7) 

    1) Member, Research Engineer, Dept. of Structural Engineering, Building Research Institute, Dr. Eng.

    2) Research Scientist, International Institute of Seismology and Earthquake Engineering,

    Building Research Institute, Dr. Sci.

    3) Member, Director, International Institute of Seismology and Earthquake Engineering,Building Research Institute, Dr. Sci.

    4) Member, Senior Research Engineer, International Institute of Seismology and Earthquake Engineering,

    Building Research Institute, Dr. Eng.

    5) Member, Chief Research Engineer, Dept. of Structural Engineering, Building Research Institute, Dr. Eng.

    6) Research Institute for Human Settlements, Min. of Public Works, Indonesia

    7) The Urban Planning Office of the San Salvador Metropolitan Area, El Salvador

    ABSTRACT

    In this paper, we conducted microtremor exploration in Iwaki city hall in order to investigate the effect of inclined

     bedrock. For the sake of comparison, the velocity structure model was constructed by taking into account bothdown-hole S-wave logging data and distribution of standard penetration test N values. From this study, the

    following conclusions are made: 1) It was found from the result that the H/V spectra from observation data are in

    good agreement with those calculated from the 1-D model. 2) It has also revealed that observed phase velocities

     by applying CCA method show a tendency of accuracy degradation in the vicinity of H/V spectral peak. On the

    other hand, in the vicinity of H/V-trough, phase velocities are consistent with those computed theoretically. 3) It

    is also confirmed that the depth of the bedrock estimated by the joint inversion analysis of H/V spectrum and phase

    velocity is deeper than that determined from geotechnical data due to accuracy degradation of phase velocity.

     Keywords: Inclined Bedrock, Irregular Ground, Microtremor, H/V Spectrum, Phase Velocity, CCA Method,

     Inversion Analysis