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Microsoft ® Hyper-V 構成ガイド Microsoft ® Hyper-V テクノロジは、魅力的な機能を提供します。その一方で、仮想化環境特有の技術 にこれまでの知識が通用しないことも多く、要件に合わせた仮想マシンの構成ができずに困惑する IT 技術者も少なくありません。このホワイト ペーパーでは、IT 技術者が要件に合わせて Microsoft ® Hyper-V 仮想マシンを構成するために必要な情報提供を目的としています。 発行日 : 2011 12 最新情報については、http://www.microsoft.com/japan/windowsserver/ を参照してください。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド

Microsoft® Hyper-V テクノロジは、魅力的な機能を提供します。その一方で、仮想化環境特有の技術

にこれまでの知識が通用しないことも多く、要件に合わせた仮想マシンの構成ができずに困惑する IT

技術者も少なくありません。このホワイト ペーパーでは、IT 技術者が要件に合わせて Microsoft®

Hyper-V仮想マシンを構成するために必要な情報提供を目的としています。

発行日 : 2011 年 12 月

最新情報については、http://www.microsoft.com/japan/windowsserver/ を参照してください。

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目次

はじめに ........................................................................................................................................... 1

Hyper-V仮想マシンの構成要素 ....................................................................................................... 2

ストレージの構成 ............................................................................................................................. 8

ストレージの物理的な構成要素の選択 ............................................................................................. 8

仮想ハードディスクの種類と選択 .................................................................................................. 10

仮想ストレージ コントローラーの種類と選択 ............................................................................... 12

ストレージの構成手順 .................................................................................................................... 13

仮想ハードディスク(VHD)の構成変更 ............................................................................................ 17

ゲスト クラスター構成を行う場合の共有ストレージ構成.............................................................. 19

ネットワークの構成 .......................................................................................................................21

ネットワークの構成要素................................................................................................................. 21

ネットワーク I/Oをどのような指針で分散すべきか? ................................................................... 22

仮想ネットワークの構成方法 ......................................................................................................... 23

オフロード テクノロジの利用によるネットワークの最適化 .......................................................... 29

その他の構成 ..................................................................................................................................34

メモリ ............................................................................................................................................. 34

プロセッサ ...................................................................................................................................... 35

自動アクション (開始アクション / 停止アクション) ...................................................................... 41

Hyper-V仮想マシンの管理 .............................................................................................................42

エクスポート / インポート.............................................................................................................. 42

スナップ ショット .......................................................................................................................... 44

パフォーマンス モニター................................................................................................................ 45

スクリプトによる Hyper-Vの操作 .................................................................................................. 49

最後に .............................................................................................................................................51

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 1

はじめに

Microsoft® Hyper-Vをインストールし、ウィザードを使って仮想マシンを作成することは簡単です。しかし、

その後、何をどう設定してよいか分からないという IT技術者も少なくないようです。このような混乱が起こるの

は、仮想化環境の構築には、仮想化された構成と物理的な構成の両方を理解しなければならないからです。

このホワイト ペーパーでは、Microsoft® Hyper-Vをよりよく活用していただくために、Microsoft® Hyper-Vを

要件に合わせて構成するために必要な情報を提供します。

なお、このホワイト ペーパー初版では、物理ホスト上のフェールオーバー クラスターによるライブ マイグ

レーション、RemoteFX、および仮想化環境のセキュリティに関する記述はありません。予めご了承ください。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 2

Hyper-V仮想マシンの構成要素

本ホワイトペーパーでは、仮想マシンを用途に合わせて構成できるようになるための情報を提供します。この

章では、まず、仮想マシンの標準構成を作成する手順を紹介します。Hyper-Vを既に利用されている方は、本章

を割愛いただいて問題ありません。

まず、Hyper-V仮想マシンの主な構成要素を紹介します。Hyper-V仮想マシンの主な構成要素としては、以下

のものがあります。

図 1 仮想マシンの構成要素

構成要素をそれぞれ解説する前に、まずは、Hyper-V仮想マシンの基本構成を作成してみましょう。Hyper-V

仮想マシンの基本構成は、”仮想マシンの新規作成ウィザード”のデフォルト設定によって簡単に作成することが

できます。基本構成作成の手順を、以下に示します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “Hyper-V マネージャー”の左ペインのツリーで、[Hyper-V マネージャー]-[<サーバー名>]を右クリッ

クし、コンテクスト メニューから、[新規]-[仮想マシン]メニューを選択。”仮想マシンの新規作成ウィ

ザード”を起動。

・BIOS (起動順序)

・メモリ

・プロセッサ

・ストレージ (IDEコントローラー / SCSIコントローラー)

・ネットワーク (ネットワーク アダプター)

・COMポート

・フロッピー ディスク

・名前

・統合サービス

・自動アクション (開始アクション / 停止アクション)

本ホワイト ペーパーでは、上記の構成要素を、用途に合わせてどのよ

うに構成すればよいかを順を追って紹介します。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 3

図 2 仮想マシンの新規作成

3. “開始する前に” ダイアログで、[次へ]ボタンをクリック。

4. “名前と場所の指定” ダイアログで、[次へ]ボタンをクリック。

5. “メモリの割り当て” ダイアログで、[次へ]ボタンをクリック。

6. “ネットワークの構成” ダイアログで、[次へ]ボタンをクリック。

7. “仮想ハードディスクの接続” ダイアログで、[次へ]ボタンをクリック。

8. “インストール オプション” ダイアログで、[次へ]ボタンをクリック。

9. “仮想マシンの新規作成ウィザードの完了” ダイアログで、[完了]ボタンをクリック。

図 3 仮想マシンの新規作成ウィザード

基本構成を作成した後は、OSをインストールすることになります。OSをインストールする場合は、基本構成

に OSインストール用の CD/DVDもしくは ISOイメージを接続することで行います。具体的な手順は、以下の

通りです。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 4

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

図 4 Hyper-V マネージャーから仮想マシンを設定

2. “Hyper-V マネージャー”の左ペインのツリーで、[Hyper-V マネージャー]-[<サーバー名>]を右クリッ

クし、中央のペインから、先ほど作成した”新しい仮想マシン”を選択。右クリックのコンテクスト メ

ニューから、[設定]を選択し、”新しい仮想マシンの設定” ダイアログを表示

図 5 新しい仮想マシンの設定ダイアログ

3. ”新しい仮想マシンの設定” ダイアログで、左ペインから[IDEコントローラー1]を選択。[メディア]-[イ

メージ ファイル]で、OSインストール用の ISOイメージファイルを選択。(もしくは、[メディア]-[物

理 CD/DVDドライブ]で、OSインストールで使用する物理 CD/DVDドライブを選択)

4. “新しい仮想マシンの設定” ダイアログで、[OK]ボタンをクリック。

5. “Hyper-V マネージャー”の中央のペインから、”新しい仮想マシン”を選択。右クリックのコンテクスト

メニューから、[接続]を選択し、”localhost上の新しい仮想マシン - 仮想マシン接続” ウィンドウを起動。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 5

図 6 仮想マシンへの接続

6. ”localhost上の新しい仮想マシン - 仮想マシン接続” ウィンドウの[操作]-[開始]メニューから、仮想マ

シンを起動。

7. これ以降は、通常の OSインストール作業と同じ手順を、仮想マシン内で行い、インストール作業を完

了。

OSのインストールを行った後は、統合サービスのインストールを行います。統合サービスのインストール手順

は以下の通りです。

8. OS起動後、”localhost上の新しい仮想マシン - 仮想マシン接続”ウィンドウの[操作]-[統合サービス

セットアップ ディスクの挿入]メニューを選択。

9. ”localhost上の新しい仮想マシン - 仮想マシン接続”ウィンドウのゲスト OS上に表示される”自動再生”

ダイアログで、[Hyper-V 統合サービスのインストール]を選択。

10. ”localhost上の新しい仮想マシン - 仮想マシン接続”ウィンドウのゲスト OS上に表示される”Hyper-V

統合サービスのアップグレード”ダイアログで、[OK]ボタンをクリック。

11. ”localhost上の新しい仮想マシン - 仮想マシン接続”ウィンドウのゲスト OS上に表示される”インス

トールの完了”ダイアログで、[OK]ボタンをクリック。

統合サービスをインストールすることによって、VMBusを経由した仮想ネットワーク アダプターや、SCSIコン

トローラーなど、高速なデバイスを利用できるようになります。現在、統合サービスが提供されている OSは、

以下の表 1の通りです。

表 1 統合サービスが提供されているゲスト OS

ゲスト OS デバイスとサービスのサポート状況

Windows Server 2008 R2 ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート, バックアップ (ボリューム スナップショット)

Windows Server 2008 (64-bit editions and x86

editions)

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート, バックアップ (ボリューム スナップショット)

Windows Server 2003 (x64 editions) with

Service Pack 2

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート, バックアップ (ボリューム スナップショット)

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 6

Windows Server 2003 (x86 editions) with

Service Pack 2

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート, バックアップ (ボリューム スナップショット)

Windows 2000 Server with Service Pack 4 ドライバー: IDE, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート

Windows 2000 Advanced Server with Service

Pack 4

ドライバー: IDE, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート

CentOS 6.0 and 6.1 (x86 edition and x64

edition)

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, マウス

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

CentOS 5.2 – 5.7 (x86 edition and x64 edition) ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

Red Hat Enterprise Linux 6.0 and 6.1, x86

edition and x64 edition

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, マウス

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

Red Hat Enterprise Linux 5.7 (x86 edition and

x64 edition)

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

Red Hat Enterprise Linux 5.6 (x86 edition and

x64 edition)

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

Red Hat Enterprise Linux 5.5 (x86 edition and

x64 edition)

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

Red Hat Enterprise Linux 5.4 (x86 edition and

x64 edition)

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

Red Hat Enterprise Linux 5.3 (x86 edition and

x64 edition)

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

Red Hat Enterprise Linux 5.2 (x86 edition and

x64 edition)

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

SUSE Linux Enterprise Server 11 (x86 edition

and x64 edition) with Service Pack 1

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

SUSE Linux Enterprise Server 10 (x86 edition

and x64 edition) with Service Pack 4

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク

サービス: 時刻の同期, オペレーティング システム シャットダウン, ハートビート

Windows 7 ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート, バックアップ (ボリューム スナップショット)

Windows Vista (64-bit editions) with Service

Pack 1

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート, バックアップ (ボリューム スナップショット)

Windows Vista (x86 editions) with Service

Pack 1

ドライバー: IDE, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート, バックアップ (ボリューム スナップショット)

Windows XP Professional (x86 editions) with

Service Pack 2 or 3

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート

Windows XP Professional x64 Edition with

Service Pack 2

ドライバー: IDE, SCSI, ネットワーク, ビデオ, マウス

サービス: オペレーティング システム シャットダウン, 時刻の同期, データ交換,

ハートビート

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 7

統合サービスが提供されていない OSに関しては、残念ながら Hyper-Vのすべての機能を利用することができま

せん。統合サービスが提供されているゲスト OSについての最新情報は、以下の TechNetサイトをご参照くださ

い。

About Virtual Machines and Guest Operating Systems

http://technet.microsoft.com/en-us/library/cc794868(WS.10).aspx

基本構成を作成する手順は、ウィザードのデフォルト設定を選択する範囲では難しい作業ではありません。しか

し、IT技術者の要件に合わせた仮想マシンを構成する場合は、デフォルト設定を変更する必要があります。この

ホワイト ペーパーでは、”仮想マシンの新規作成ウィザード”の各ダイアログで何を設定すべきか、作成された基

本構成を、用途に合わせてどう変更すればよいのか、その考え方と操作手順について、ストレージ構成とネット

ワーク構成を中心に紹介します。このホワイト ペーパーをご一読いただくことで、用途に合わせた仮想マシンの

構成ができるようになります。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 8

ストレージの構成

仮想化するということは、物理的な要素を抽象化することに他なりません。そのため、仮想化した場合は、1

つの要素を構成する場合も、物理的な要素と、仮想化された(抽象化された)要素という、複数の要素を構成する

必要があります。これはストレージの構成でも同じで、目的に合わせて、物理的な要素と仮想化された要素をそ

れぞれ構成し、組み合わせて利用します。

ストレージの場合の物理的な要素および、仮想化された要素は、それぞれ、以下のようになります。

仮想マシンは、ストレージの構成によってそのパフォーマンスが大きく影響されます。そのため、仮想マシンの

性能を左右するのは、ストレージ構成の良し悪しといって差し支えありません。この章では、ストレージの物理

的な要素と、仮想化された要素をどのように構成すればよいかについて説明します。

ストレージの物理的な構成要素の選択

仮想マシンがストレージにアクセスする場合、基本的には仮想ハードディスク (VHD)を利用します。VHDの実

体は、拡張子*.vhdのファイルです。この VHDファイルの実体を保存する物理的な記憶装置の構成によって、仮

想マシンのパフォーマンスが大きく影響されます。そこで、まず検討しなければならないのは、VHDファイルを

どういう構成の物理的なストレージに配置すべきかということです。この節では、VHDファイルを保存する物理

ストレージの構成に関して解説します。

I/O の多い複数の仮想マシンの VHDファイルを、同じ物理ストレージ上に配置するべきではありません。同じ

物理ストレージ上に配置すると、ストレージへの I/Oが仮想マシンのパフォーマンス低下の要因になります。同

じ理由から、ペアレント OS のインストール ドライブと仮想マシンの VHDファイルは、同じ物理ストレージ上

に配置するべきではありません。この考え方は、ストレージの物理的な構成を決定する上での原則です。この原

則に基づいて、次の点を考慮して物理的なストレージを構成ください。

物理的な要素

接続方式 (DAS / iSCSI / Fibre

Channel)

性能と台数

冗長構成

仮想化された要素

どの種類の仮想ハードディスク

(VHD)を選択するか?

どの種類の仮想ストレージ コント

ローラーを利用するか?

物理的な要素のどこに保存する

か? (物理的な要素の、性能と台

数に該当)

×

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 9

接続方式 ・・・ Hyper-V は、物理ストレージとして、DAS (Direct Attached Storage)、FC (Fibre

Channel)、iSCSI 接続をサポートしています。DAS および FC 接続のための HBA (ホスト バス アダプ

ター) は、 I/O のパフォーマンスに大きく影響するので、スループットの高いものを選択してください。

iSCSI ストレージを利用する場合は、パフォーマンスとセキュリティの両方の観点から、コンピューター間

の通信用ネットワークとは独立した、ストレージ専用のネットワーク アダプターを確保してください。パ

フォーマンスを最大化するために、1 Gbps 以上の高速なネットワーク アダプターとネットワーク スイッ

チで構成することを推奨します。また、iSCSI オフロード機能をサポートしたネットワーク アダプターの使

用を推奨します。

※ iSCSI ストレージを利用する場合、ゲスト OS 上で iSCSI イニシエーターを構成することもできます。

この場合、iSCSI ディスクはゲスト OS の起動ディスクとしては使用できません。

性能と台数 ・・・物理的なストレージの性能は、仮想マシンのパフォーマンスに大きく影響します。費用対効

果を考慮し、適切な性能を持つストレージを選定してください。SATA を利用する場合は 7,200 rpm 以上、

SAS の場合は 10,000 rpm 以上、SANの場合は 15,000 rpm 以上を推奨します。また、I/O がボトル

ネックにならないようにするためには、高い I/Oを必要とする仮想マシンの場合は、1つの仮想マシンあた

り、1 ディスク ドライブ (スピンドル) 以上の物理ディスクが理想です。

図 7 物理コンピューターのストレージ構成例

冗長構成 ・・・ ストレージの信頼性とパフォーマンスを両立するために、仮想マシンごとのワークロードに最

適な 冗長構成を検討してください。ペアレント OS を Hyper-V の管理専用として使用する限り、ペアレン

ト OS のインストール ドライブのある物理ディスクに高いパフォーマンスは求められませんが、障害から

保護するため、ミラーリング構成を推奨します。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 10

仮想ハードディスクの種類と選択

仮想マシンには仮想ハードディスクとして、VHD (Virtual Hard Disk) 形式の仮想ハード ディスク、または物理

ハードディスクを割り当てることができます。VHD は、最大 2,040 GB (2 TB) のサイズをサポートし、容量固定、

容量可変、および差分の 3 種類のタイプがあります。また、VHD形式の他に、物理的なストレージを仮想マシ

ンから直接利用する方法として、パス スルーディスクと、iSCSIをサポートしています。

それぞれの仮想ハードディスクには、メリット / デメリットがあります。そのメリット / デメリットを理解し

た上で、要件に合わせて使い分ける必要があります。この節では、仮想ハードディスクの種類と、それぞれのメ

リット / デメリットについて解説し、仮想ハードディスクの具体的な構成方法について紹介します。

仮想ハードディスクの種類

容量可変 VHD ・・・ Hyper-V のデフォルトでは、容量可変 VHD が割り当てられます。容量可変 VHD は、仮

想マシンのゲスト OS が実際に書き込んだ容量に応じて、ファイル サイズが動的に拡張していきます。ディ

スク領域を最も効率的に使用できますが、ファイル サイズ拡張の処理のオーバーヘッドにより、容量固定

VHD と比較すると書き込み性能が劣ります。また、容量可変タイプは、VHDファイルが断片化し、 I/O の

スループットを低下させることがあります。なお、容量可変 VHD のオーバーヘッドは、Hyper-V 2.0

( Windows Server 2008 R2に搭載) で大きく改善されました。

容量固定 VHD ・・・ 容量固定 VHD は、仮想ディスクのサイズと同じ容量の領域を、最初から物理ディスク上

に確保します。最初にディスク領域を確保するため、VHD ファイルの断片化が少ないというメリットがあ

ります。容量固定 VHD は、3種類の VHDの中で、最もプロセッサのオーバーヘッドが少ないのも特徴です。

物理ストレージの I/O 性能と比べると、若干の性能劣化はありますが、一般的なワークロードをサポートす

るのに十分な性能を提供することができます。

差分 VHD ・・・ 既存の VHD を親とし、その差分を子 VHDに保存します。親 VHD を読み取り専用で使用し、

ゲスト OS が書き込んだ変更部分を子 VHD に書き込みます。差分 VHD は、最大で 50 段までの多段連結が

可能です。ただし、親 VHD の種類とは関係なく、差分 VHD は常に容量可変 VHD になります。そのため、

容量可変 VHD の性能低下というデメリットの影響を受けることになります。また、差分 VHD の多段接続

もチェインをたどる処理がオーバーヘッドになり、あまりにも多段接続が多いと性能低下が無視できなくな

ります。

パススルー ディスク ・・・ 仮想マシンの仮想ストレージとして、VHD の代わりに物理的なハード ディスク

または SAN 上の LUN (Logical Unit Number) を割り当てることができます。この機能は、パススルー ディ

スクと呼ばれ、ゲスト OS の I/O を、ペアレント OS の NTFS ファイル システムを介さずに、物理デバイ

スへ直接渡します。ペアレント OSを介さないため、I/O 処理に関連するプロセッサのオーバーヘッドが少

なく、仮想マシンに対してネイティブと同程度の高速な I/O 性能を提供します。また、容量に関して仕様上

の上限がありません。

VHD の種類と特徴について、以下の”表 2 仮想ストレージの種類と特性”に示します。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 11

表 2 仮想ストレージの種類と特性

種類 特徴 メリット デメリット

仮想ハード

ディスク

(VHD)

ファイル

容量固定 ・ VHD のサイズは割り

当て領域と同サイズ

・ 高速な I/O 性能 ・ 大きなデータ領域が必要

・ 複製や移動に時間がかかる

容量可変 ・ ゲスト OS の書き込み

に応じてサイズ拡張

・ ディスク領域の効率利用 ・ ファイル サイズの拡張によりディスク容

量を圧迫する恐れがあり

・ 物理ディスク領域が断片化し、性能が劣化

差分 ・ 親 VHD (読み取り専用)

との差分を保持する

・ 同じ VHD を親とする差

分 VHD を複数作成可能

・ 容量可変 VHD と同じデメリット

パススルー ディスク

・ 物理ディスクまたは

LUN をマウント

・ 最高の I/O 性能

・ 2 TB 以上をサポート

・ スナップショット機能が利用できない

・ ペアレント OS からの VSS バックアップ

に非対応

・ 仮想マシンの可搬性が低い

ストレージ容量を抑えたい場合の選択

容量可変 VHD および差分 VHD は、ストレージ容量を削減できるメリットがあります。しかし、容量可変

VHD は、仮想マシン内で利用するストレージ容量が増加すると、物理的に使用するストレージ容量も増加します。

よって、実際に容量可変 VHDを使用する場合は、容量可変 VHD ファイルの容量増加に注意が必要です。また、

一度サイズが大きくなった VHDファイルは、ゲスト OS内で使用しているストレージ容量を削減しても、VHD

ファイルそのものの容量は小さくなりません。ゲスト OS内で使用しているストレージ容量を削減し、VHDファ

イルそのものを小さくしたい場合は、別途、最適化処理を行う必要があります。最適化処理については、”仮想

ハードディスク(VHD)の構成変更” (P17)をご参照ください。

差分 VHDは、動作を確認するだけの(パフォーマンスを要求されない)テスト環境や、研修用の仮想マシンを、

ストレージ容量を抑えながら構成したい場合に適しています。展開用に準備された OSを親 VHDファイルとす

る差分 VHDを利用することで、ストレージ容量を抑えながら、多くの種類のゲスト環境を作成することができ

ます。展開用に準備された OSの VHDファイルを作成する場合は、”ひな形となる仮想マシンの作成方法につい

て” (P43) が参考になります。

実際に、Windows Server 2008 R2 SP1で、ドメイン コントローラー、メンバー サーバー、クライアント

(Windows Serverで、デスクトップ テーマを有効にしたもの)の 3つの仮想マシン(メモリはそれぞれ 2GB割り当

て、仮想メモリは、”自動的に管理する”設定)を、容量可変 VHDで構成した場合と、差分 VHDで構成した場合の

容量差を紹介しておきます。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 12

表 3 3 台の仮想マシンを容量可変 VHD で構成した場合と、差分 VHD で構成した場合とのストレージ容量の差

構成 容量可変

VHD (GB)

差分

VHD (GB) 差 (GB)

親 VHD 0.00 9.73 9.73

Domain Controller 10.20 2.49 -7.71

Member Server 10.10 1.99 -8.11

Windows Client 10.00 1.89 -8.11

集計 30.30 16.10 -14.20

上記の表 3は、ドメインへの参加直後で、アプリケーションのインストールなどを行っていない状態での比較で

すが、使用するディスク容量に、14GB以上という大きな差が出ていることが確認できます。

高いディスク I/O が必要な場合の選択

先に記述した通り、容量可変 VHDや差分 VHDにはオーバーヘッドがあるため、パフォーマンスが求められる

実稼働サーバーには、容量固定 VHD、もしくはパススルー ディスクを推奨します。容量固定 VHDもしくは、パ

ススルー ディスクを使用する場合、仮想ディスクの I/O は、安全のためにマージンとして 15 % 考慮することを

推奨します。特に高速な I/O や 2 TB 以上の大容量のディスク領域を必要とするワークロードに対しては、パス

スルー ディスクの使用を検討してください。大規模なデータ用ドライブとして、パススルー ディスクは最大の

パフォーマンスを提供することができます。ただし、パススルー ディスクは仮想化のメリットの一部とトレード

オフの関係にあることに注意が必要です。パススルー ディスクの仮想マシンに対しては、スナップショット、エ

クスポート / インポート機能が利用できません。また、パススルー ディスクを持つ仮想マシンは、特定の物理ス

トレージに依存してしまうため、ハードウェアから OS を切り離すという仮想化の大きなメリットが失われます。

つまり、仮想マシンを別の物理コンピューターに簡単には移動できないということです。

ゲスト OS がパススルー ディスクを使用するためには、該当の物理ストレージがペアレント OS 上でオフライ

ン状態である必要があります。このため、パススルー ディスク上のデータはペアレント OS から直接アクセスで

きません。また、ゲスト OSからパススルー ディスクに対する I/O 処理以外の操作 (SAN ストレージのハード

ウェア構成など) はできない点にも注意が必要です。

仮想ストレージ コントローラーの種類と選択

ISO / VHDファイル、およびパススルー ディスク は、仮想マシン上の仮想 IDE コントローラーまたは 仮想

SCSI コントローラーに接続できます。ゲスト OS 起動用の仮想ディスクと仮想 CD/DVD ドライブは、必ず IDE

コントローラーに接続する必要があります。ゲスト OS 用の起動ディスクには、IDE接続を、データ用には

SCSI接続を使用することを推奨します。

仮想マシン上の IDE コントローラーは、エミュレートされた(VMBus経由ではない)デバイスであり、統合サー

ビスが有効化される前でも利用することができるため、ゲスト OS の新規インストールが可能です。IDE コント

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 13

ローラーは、ゲスト OS に統合サービスをインストールすることにより、VMBus を経由する統合デバイスに対

してリダイレクトされ、高速化されます。SCSI コントローラーは統合デバイス(VMBus 経由のデバイス)であり、

高いスループットとレスポンスを提供し、プロセッサのオーバーヘッドを低減します。仮想マシンに統合サービ

スをインストールすれば、仮想 IDE コントローラーと 仮想 SCSI コントローラーのパフォーマンスに差はほとん

どありません。しかし、拡張性や管理性の面からは SCSI コントローラーが優れています。拡張性の面では、

IDEコントローラーよりも SCSIコントローラーの方が、仮想マシンに接続できるコントローラー数や、コント

ローラーあたりの接続デバイス数が多いという特徴があります。表 4に、拡張性の面での IDEコントローラーと

SCSIコントローラーの比較をまとめておきます。

表 4 1 つの仮想マシンに接続可能な VHD 数

管理性の面で、SCSIコントローラーが優れているポイントとしては、仮想ストレージをホット プラグ (ホット

アド、ホット リムーブ) ができるようになったことが挙げられます。ホット プラグ機能により、Windows

Server 2008 R2 の Hyper-V では、仮想マシンをオンラインのまま、ストレージ領域を拡張することができます。

ストレージの構成手順

これまで記述した内容に基づき、用途に応じてストレージ構成を決定した後に、仮想マシンに対するストレー

ジ構成の設定を行います。この節ではストレージを構成する上での、以下の具体的な手順を紹介します。

仮想ストレージコントローラー (IDEもしくは SCSI)の追加と取り外し

仮想ハード ディスクの新規作成

仮想ハードディスク (.vhd) ファイルの接続

物理ディスク (パススルー ディスク)の接続

仮想ハードディスク (.vhd) ファイルの構成変更

仮想ストレージ コントローラーの追加と取り外し

まず、仮想ストレージ コントローラーを追加します。”仮想マシンの新規作成ウィザード”のデフォルト設定で

は、”IDEコントローラー”が 2つと、”SCSIコントローラー”が1つ接続されている状態になっています。”IDEコ

ントローラー”については、既に上限値である 2つのコントローラーが接続されているので、必要に応じ

て、”SCSIコントローラー”を追加します。ここでは、”SCSIコントローラー”の追加手順を紹介します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “SCSIコントローラー”を追加したい仮想マシンを、”Hyper-V マネージャー”の中央ペインで選択し、右

クリック メニューから[設定]を選択。

接続タイプ コントローラー数 コントローラーごとのデバイス数 VHD 使用時の最大容量

IDE コントローラー 2 2 8 TB (2 TB × 4 VHD)

SCSI コントローラー 4 64 512 TB (2 TB × 256 VHD)

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 14

3. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの左のリストから、[ハードウェアの追加]を選択。

4. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの右のリストから、[SCSIコントローラー]を選択し、[追加]ボタ

ンをクリック。

5. [OK]ボタンをクリックし、[<仮想マシン名>の設定]ダイアログを終了

デフォルトで仮想マシンを作成した場合、”SCSIコントローラー”が追加された状態になっています。不要な

“SCSIコントローラー”を取り外す場合は、以下の操作を行います。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “SCSIコントローラー”を追加したい仮想マシンを、”Hyper-V マネージャー”の中央ペインで選択し、右

クリック メニューから[設定]を選択。

3. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの左のリストから、取り外したい[SCSIコントローラー]を選択。

4. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの右のペインの、[コントローラーの取り外し]ボタンをクリック。

5. [OK]ボタンをクリックし、[<仮想マシン名>の設定]ダイアログを終了

仮想ハード ディスクの新規作成

ここでは、“仮想マシンの新規作成ウィザード”のデフォルト設定で作成される VHDファイル以外の VHDファ

イルを作成したい場合の手順を紹介します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “Hyper-V マネージャー”の右ペインの[操作]メニューで、[新規作成]-[ハード ディスク]をクリックし、”

仮想ハード ディスクの新規作成ウィザード”を起動。

3. [仮想ハードディスクの新規作成ウィザード]ダイアログの、”開始する前に”画面で、[次へ]ボタンをク

リック。

4. [仮想ハードディスクの新規作成ウィザード]ダイアログの、”ディスクの種類の選択”画面で、[容量固定]、

[容量可変]、[差分]のいずれかを、用途に合わせて選択し、[次へ]ボタンをクリック。

5. [仮想ハードディスクの新規作成ウィザード]ダイアログの、”名前と場所の指定”画面で、名前、VHD

ファイルの場所を入力。

6. [仮想ハードディスクの新規作成ウィザード]ダイアログの、”ディスクの構成”画面で、[新しい空の仮想

ハードディスクを作成する]を選択し、[サイズ]欄に必要な容量を入力。[次へ]ボタンをクリック。

手順 4.で、[差分]を選択している場合は、”新しい差分仮想ハード ディスクの親として使用する仮想

ハード ディスクを指定してください”の[場所]欄で、親として使用する VHDファイルを指定し、[次へ]

ボタンをクリック。

7. [仮想ハードディスクの新規作成ウィザード]ダイアログの、”仮想ハード ディスクの新規作成ウィザード

の完了]画面で、[完了]ボタンをクリック。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 15

仮想ハードディスク (.vhd)ファイルの接続

ここでは、仮想マシンに既に接続されている仮想ストレージ コントローラーへ、仮想ハードディスク (.vhd)

ファイルを接続する手順を紹介します。

”仮想マシンの新規作成ウィザード” のデフォルト設定を利用して仮想マシンを作成する上では、容量 127GB

の容量可変仮想ハードディスク(VHD)が、フォルダ ”C:¥Users¥Public¥Documents¥Hyper-V¥Virtual hard disks¥”

に作成されます。一般的に、CドライブはWindows OS本体が保存されているストレージであるため、大きな容

量を必要とする VHDを保存するには不向きです。Windows OS本体が保存されている Cドライブ以外の大容量

ストレージを指定することをお勧めします。また、物理ストレージが複数利用できる場合は、VHDファイルの保

存先を分散することで、I/Oを分散させ、仮想マシンのパフォーマンスを改善することができます。

仮想マシンが接続する VHDファイルの接続先を変更する方法を以下に紹介します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “仮想ハードディスク(.vhd)ファイルを接続”したい仮想マシンを、”Hyper-V マネージャー”の中央ペイ

ンで選択し、右クリック メニューから[設定]を選択。

3. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの左のリストから、接続先を変更したい[ハード ドライブ]を選択。

4. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの右ペインの[仮想ハードディスク(.vhd)ファイル]で、接続したい

VHDファイル名を入力。もしくは、[参照]ボタンをクリックし、接続したい VHDファイルを選択。

5. [OK]ボタンをクリックし、[<仮想マシン名>の設定]ダイアログを終了。

デフォルトの VHDファイルの保存先、”C:¥Users¥Public¥Documents¥Hyper-V¥Virtual hard disks¥”に VHDファ

イルを作成してしまった場合には、別の場所へ VHDファイルを移動してから、上記の操作を行います。

また、デフォルトの VHDファイルの保存先は、以下の手順で変更することができます。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “Hyper-V マネージャー”の右ペインの[操作]メニューで、[Hyper-Vの設定]をクリック。

3. [Hyper-Vの設定]ダイアログの左側のリストから、[仮想ハードディスク]を選択。

4. [Hyper-Vの設定]ダイアログの右ペインで、デフォルトで VHDファイルの保存先として利用したい

フォルダを入力するか、[参照]ボタンでフォルダを選択。

5. [OK]ボタンをクリックし、[Hyper-Vの設定]ダイアログを終了

上記手順の 3.で、[仮想ハード ディスク]を選択する代わりに、[仮想マシン]を選択すると、VHDファイルではな

く、仮想マシン関連の設定ファイルのデフォルトの保存先を変更することができます。

物理ハードディスク(パススルー ディスク)の接続

仮想マシンに既に接続されている仮想ストレージ コントローラーへ、物理ハードディスク (パススルー ディス

クを接続する手順は、基本的に仮想ハードディスク (.vhd) ファイルを接続する手順と同じです。ただし、仮想マ

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 16

シンに割り当てる物理ハード ディスクまたは LUN (Logical Unit Number)は、ペアレント OS 上でオフライン状

態になっている必要があります。

仮想マシンに接続したい物理ハードディスクをオフラインにする場合は、以下の手順の操作を行います。

1. [スタート]-[管理ツール]-[コンピューターの管理]メニューで、”コンピューターの管理”を起動。

2. “コンピューターの管理”の左ペインのツリーから、[記憶域]-[ディスクの管理]を選択。

3. コンピューターの管理”の中央ペインで、仮想マシンに接続したい物理ハード ディスクを選択し、右ク

リックメニューから、[オフライン]を選択。(下図 8参照)

図 8 仮想マシンから物理ディスク(パススルーディスク)を接続するための準備

以上で、接続したい物理ハードディスクをオフラインにすることができます。次に、オフラインにしたディスク

を、仮想マシンに接続します。物理ハードディスクを仮想マシンに接続する場合は、以下の操作を行います。

4. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

5. “物理ハードディスク”を追加したい仮想マシンを、”Hyper-V マネージャー”の中央ペインで選択し、右

クリック メニューから[設定]を選択。

6. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの左のリストから、”物理ハードディスク”を接続したい[ハード ド

ライブ]を選択。

7. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの右ペインの、[物理ハード ディスク]をチェックし、ドロップダウ

ン リストから、先ほどオフラインにした”物理ハード ディスク”を選択。(下図 9参照)

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 17

図 9 物理ハードディスク(パススルー ディスク)の接続

8. [OK]ボタンをクリックし、[<仮想マシン名>の設定]ダイアログを終了。

これで、物理ハードディスク (パススルー ディスク)を仮想マシンへ直接接続することができます。なお、1つの

仮想マシンへパススルー ディスクとして接続した物理ディスクは、他の仮想マシンや、ホスト マシンから参照

することはできません。

仮想ハードディスク(VHD)の構成変更

3 種類の VHD は、後から変換 (容量可変 VHD から容量固定 VHD への変換、容量固定 VHD から容量可変

VHD への変換、および差分 VHD と親 VHD の統合) することができます。また、後から容量を拡張することもで

きますが、縮小すること(容量可変 VHDの最適化は可能)はできません。

仮想ハードディスクの構成を変更する場合は、”仮想ハードディスクの編集ウィザード”を使います。ここでは、

差分 VHD から容量可変 VHD への”変換”処理と、仮想ハードディスクの”最適化”処理の 2 つの手順を紹介します。

まずは、差分 VHDから容量可変 VHDへの変換手順(親 VHDと子 VHDの結合操作)を紹介します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “Hyper-V マネージャー”の右ペインの[操作]メニューで、[ディスクの編集]操作をクリックし、[仮想

ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログを起動。

3. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”開始する前に”画面で、[次へ]ボタンをクリック。

4. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”仮想ハード ディスクの場所”画面で、容量可変

VHD へ変換したい差分 VHD ファイル(親 VHD ではなく、子 VHD)を選択し、[次へ]ボタンをクリック。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 18

5. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”操作の選択”画面で、[結合]を選択し、[次へ]をク

リック。

6. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”差分ディスクの変更の結合”画面で、[新しい仮想

ハード ディスクに結合する]を選択し、変換後の新たな仮想ハードディスクのファイル名を指定。(親

VHDと 1つのファイルにしたい場合は、[親仮想ハードディスクに結合する]を選択。ただし、親 VHD

に結合してしまうと、他の子 VHDから、この親 VHDを参照できなくなってしまう点には注意が必要)

7. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”差分ディスクの変更の結合”画面の、[新しい仮想

ハードディスクの種類]で、[容量可変仮想ハードディスク]にチェックして[次へ]ボタンをクリック。

8. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”仮想ハード ディスクの編集ウィザードの完了”画

面で、[完了]ボタンをクリック。

VHDの”変換”処理には、大きなディスク I/Oが発生し、時間がかかります。稼働中の仮想マシンの VHDが保存さ

れている物理ディスク上で”変換”処理を行う場合には、稼働中の仮想マシンへの影響を考慮する必要があります。

次に、仮想ハードディスクの”最適化”操作を紹介します。操作手順を紹介する前に、そもそも”最適化”処理がな

ぜ必要かを説明しておきます。容量可変 VHD (差分 VHDを含む)では、仮想マシン内でファイルを削除しても、

容量可変 VHDファイルの容量は小さくなりません。つまり、使えば使うほど容量可変 VHDファイルの容量は大

きくなります。”最適化”処理では、仮想マシン内で削除された空き領域を整理し、容量可変 VHDファイルの容量

を小さくします。なお、仮想マシン内で削除された空き領域がない場合は、”最適化”処理を行っても容量可変

VHDファイルの容量は小さくなりません。仮想マシン内でのディスクの使用量と、容量可変 VHDファイルの容

量に大きな違いがある場合に、”最適化”処理は有効です。では、以下に”最適化”処理の手順を紹介します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “Hyper-V マネージャー”の右ペインの[操作]メニューで、[ディスクの編集]操作をクリックし、[仮想

ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログを起動。

3. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”開始する前に”画面で、[次へ]ボタンをクリック。

4. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”仮想ハード ディスクの場所”画面で、”最適化”し

たい、VHDファイル名を指定し、[次へ]ボタンをクリック。

5. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”操作の選択”画面で、[最適化]を選択し、[次へ]ボ

タンをクリック。

6. [仮想ハードディスクの編集ウィザード]ダイアログの”仮想ハードディスクの編集ウィザードの完了]画面

で、[完了]ボタンをクリック。

以上で、”最適化”処理の操作は完了です。”最適化”処理は、”変換”処理と同様に大きなディスク I/Oが発生し、時

間もかかります。稼働中の仮想マシンの VHDが保存されている物理ディスク上で”最適化”処理を行う場合には、

稼働中の仮想マシンのパフォーマンスに影響がないように考慮する必要があります。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 19

ゲスト クラスター構成を行う場合の共有ストレージ構成

複数の仮想マシンのゲスト OS 間でフェールオーバー クラスターを構成し、ゲスト OS 上のサービスやアプリ

ケーションの可用性を高めることができます。Hyper-V をホストする物理マシンのクラスター サービスを使用す

るホスト クラスターに対して、ゲスト OS のクラスター サービスを使用するこの方式を、ゲスト クラスターと

呼びます。ゲスト クラスターでは、ゲスト OS 側にフェールオーバー クラスターが実装され、アプリケーショ

ン レベルでフェールオーバーができるという特徴があります。

図 10 ゲスト クラスターの構成

ゲスト クラスターを実装するには、ゲスト クラスターを構成するゲスト OSが、共有ストレージに接続され

ている必要があります。共有ストレージへの接続は、iSCSI 接続の共有ストレージのみがサポートされています。

仮想マシンは、仮想ネットワーク アダプター以外の 仮想 HBA (Host Bus Adapter) を持たないため、FC 接続や

SAS 接続の共有ストレージは利用できません。(次期バージョンの Hyper-Vでは、仮想 HBAがサポートされる予

定です)

iSCSI接続で共有ストレージに接続するためには、これまで説明してきた仮想マシンのストレージ設定ではな

く、ゲスト OS上に iSCSI イニシエーターを構成する必要があります。Windows Server 2008 以降には iSCSI イ

ニシエーターが標準搭載されています。Windows Server 2003 R2 以前のバージョンの場合は、Windows Server

2003用の iSCSI イニシエーターを、次の URL からダウンロードして使用します。

ゲスト クラスター

クラスター サービス

NIC NIC

クラスター サービス

NIC NIC

iSCSI 共有ストレージ

高可用性サービス

SQL Server など

フェール オーバー

VHD VHD

仮想マシン 仮想マシン

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 20

Microsoft iSCSI Software Initiator Version 2.08

http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=12cb3c1a-15d6-4585-b385-

befd1319f825&DisplayLang=en

実際にゲスト クラスターを本番環境で利用する場合は、Hyper-V ホストが単一の障害点にならないように、ゲス

ト クラスターの物理ノードである仮想マシンは、それぞれ別の Hyper-V ホストに配置することを推奨します。

また、SQL Server 2005 / 2008 によるゲスト クラスターはサポートされますが、使用するゲスト OSは

Windows Server 2008 以降である必要がある点は、ご注意ください。

ハードウェア仮想化環境で実行している Microsoft SQL Server の製品のサポート ポリシー

http://support.microsoft.com/kb/956893/ja

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 21

ネットワークの構成

ストレージの次に重要な構成要素がネットワークです。別の表現をすれば、ストレージの次に I/Oの多い要素

であり、この構成によって仮想マシンのパフォーマンスが大きな影響を受けます。物理ネットワーク アダプター

と、仮想ネットワーク アダプターをつなぐ、仮想ネットワーク スィッチの設定は、Hyper-Vサービスを有効化

する際のインストール ウィザードで初期設定が行われます。そのため、Hyper-Vの仮想ネットワークの動作をよ

く理解しないまま、仮想ネットワーク スィッチの構成を行ったという方も多いのではないでしょうか。仮想マシ

ンを要件に合わせて稼働させるためには、Hyper-Vのネットワークに関する知識は不可欠です。そこで、この章

では、Hyper-Vでのネットワーク構成を行うために必要な、以下の情報を提供します。

ネットワークの構成要素

ネットワーク I/Oをどのような指針で分散すべきか?

仮想ネットワークの構成方法

オフロード テクノロジの利用によるネットワークの最適化

ネットワークの構成要素

まず、Hyper-V仮想化環境のネットワークのイメージを図 11に示します。仮想化環境のネットワークを構成

するということは、”①物理ネットワーク アダプター (+デバイス ドライバー)”、”②仮想ネットワーク スィッチ”、

③仮想ネットワーク アダプター”の 3つの要素を要件に合わせて設定することです。

図 11 仮想化環境のネットワークのイメージ

これ以降では、ネットワークの 3つの構成要素を、要件に合わせて構成するための情報を提供します。

①物理 ネットワーク アダプター

仮想マシン

有線 LAN

ペアレント OS

②仮想ネットワーク スイッチ

VMBus

VMBus デバイス ドライバー

③仮想 ネットワーク

アダプター

仮想マシン ルート パーティション

ゲスト OS ゲスト OS

③仮想 ネットワーク

アダプター

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 22

ネットワーク I/O をどのような指針で分散すべきか?

最も重要なことは、各仮想マシンが要求する I/Oを効率的に処理する方法を検討することです。いくら仮想マ

シンを作成しても、物理ネットワーク アダプターが処理できる I/Oの上限を超えて処理することはできません。

仮想化を行って、仮想マシンを手軽に作成することができるようになると、この当たり前のことを忘れがちです。

この節では、ネットワーク I/Oを分散させ、要件に合わせた性能を発揮させるための、以下の 3つの指針につ

いて説明します。

仮想マシンのネットワーク I/Oの分散

ルート パーティションと仮想ネットワークの分離

ストレージ接続用ネットワークの分離

仮想マシンのネットワーク I/O の分散

Hyper-V ホスト上の仮想マシンおよびペアレント OS は、物理ネットワーク アダプターを共有します。複数の

仮想マシンのネットワーク I/O が単一の物理ネットワーク アダプターに集中すると、ネットワークのスループッ

トが低下します。仮想ネットワークのスループットは、安全のためマージンとして 15% 考慮してサイジングを

行うことを推奨します。複数の仮想マシンのネットワーク I/O を分散するため、複数の物理ネットワーク アダプ

ターの実装を検討してください。Hyper-V は、複数の仮想ネットワーク スイッチ を作成できます。この仮想

ネットワーク スイッチを介して、各仮想ネットワーク アダプターをそれぞれ別の物理ネットワーク アダプター

に接続できます。

※ Hyper-V の仮想ネットワークとしてサポートされるのは、有線ネットワークのみです。ワイヤレ

ス ネットワークを使用して仮想ネットワークを構成することはできません。

ルート パーティションと仮想ネットワークの分離

ルート パーティションのペアレント OS と仮想マシンで物理ネットワーク アダプターを共有する場合、仮想

ネットワーク スイッチの構成変更に伴うネットワーク接続の切断など、仮想ネットワークの変更時にリモート管

理が一時的にできなくなるリスクがあります。このリスクを最小限にするため、複数の物理ネットワーク アダプ

ターを実装し、その 1 つをペアレント OS へのリモート アクセス専用(管理専用)に確保することを推奨します。

リモート アクセス専用(管理専用)の物理ネットワーク アダプターを言い換えると、仮想ネットワーク スイッ

チに接続しない物理ネットワーク アダプターと表現することができます。また、ペアレント OSと仮想マシンで

物理ネットワーク アダプターを共有する (Hyper-Vの管理ツール上の設定用チェックボックスでは”管理オペレー

ティング システムにこのネットワーク アダプターの共有を許可する”という名称になっている)ことを言い換える

と、ペアレント OSが、物理ネットワーク アダプターに直接接続するのではなく、仮想ネットワーク アダプ

ターを介して物理ネットワーク アダプターに接続することと表現できます。具体的には、この設定を行うと、ペ

アレント OSの[コントロールパネル]-[ネットワークとインターネット]-[ネットワーク接続]画面に仮想ネットワー

ク アダプターが表示され、この仮想ネットワーク アダプターを介して、ペアレント OSは、物理ネットワーク

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 23

アダプターを利用します。(“図 12 ペアレント OSのネットワーク接続画面例。”では、”ローカル エリア接続 -

仮想ネットワーク"を介して、物理ネットワークアダプター”Realtek PCIe GBE Family Controller”を利用してい

る。)

図 12 ペアレント OS の”ネットワーク接続”画面例。

ストレージ接続用ネットワークの分離

iSCSI ストレージを利用する場合は、iSCSI 接続用にも専用の物理ネットワーク アダプターを確保してくださ

い。これにより、ディスク I/O のトラフィックと、仮想マシンおよびルート パーティションのトラフィックを分

離することができ、ネットワークとディスク I/O のパフォーマンスを最適化できます。iSCSIストレージを利用

する場合は、仮想マシンが利用する物理ネットワーク アダプター、リモート アクセス専用(管理用) 物理ネット

ワーク アダプター、ストレージ接続専用物理ネットワーク アダプターの 3系統を、物理マシン上に実装するこ

とが推奨されます。また、要件に合わせてこの 3系統を冗長化することになります。

仮想ネットワークの構成方法

この節では、前節の”ネットワーク I/Oをどのような指針で分散すべきか?”に基づいて、仮想ネットワークを

実際に構成するための操作手順を中心に紹介します。この節に含まれる内容は、以下の通りです。

仮想ネットワーク アダプターの種類と選択

仮想ネットワーク スイッチの種類と選択

仮想ネットワーク スイッチの作成方法

仮想ネットワーク アダプターの作成と、仮想ネットワーク スイッチへの接続方法

Network Load Balancing (NLB)クラスターを利用する場合の仮想ネットワーク アダプターの構成

仮想ネットワーク アダプターの種類と選択

各仮想マシンには、仮想化されたネットワーク アダプターが接続されます。この仮想ネットワーク アダプ

ターを、仮想ネットワーク スイッチと対応付けし、物理ネットワーク アダプターを介してネットワーク I/Oを処

理します。仮想ネットワーク アダプターには 2つの種類があります。一つは VMBusを介して高速にアクセスで

きる統合デバイスのネットワーク アダプターで、もう一つはエミュレートされたデバイスであるレガシ ネット

ワーク アダプターです。Hyper-V仮想マシンには、(統合デバイスの)ネットワーク アダプターを 8つ、レガシ

ネットワーク アダプターを 4つの、最大 12の仮想ネットワーク アダプターを接続することができます。いずれ

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 24

の種類の仮想ネットワーク アダプターも仮想ネットワーク スイッチに接続して、実際のネットワークにアクセ

スする点は同じです。では、2つの仮想ネットワーク アダプターの違いはどこにあるのでしょう?

Windows Server ゲスト OS の場合、(統合デバイスの)ネットワーク アダプターは 10 ギガビット イーサネッ

ト (10 GbE) に対応した Microsoft Virtual Machine バス ネットワーク アダプターとして認識され、レガシ ネット

ワーク アダプターは 10/100 Mbps の Intel 21140-Based PCI Fast Ethernet Adapter (Emulated) として認識され

ます。

通常、仮想マシンには統合デバイスのネットワーク アダプターのみを割り当ててください。レガシ ネット

ワーク アダプターはエミュレーションのため、プロセッサの オーバーヘッドが大きく、効率的ではありません。

レガシ ネットワーク アダプターの使用は、ゲスト OS のセットアップ中 (PXE ブートによるネットワーク イン

ストールや、セットアップ中のインターネット アクセスのため) など、統合サービスをインストールする前や、

統合サービスが利用できない状況下でのみの使用に限定してください。

※ Hyper-V の仮想マシンは、PXE (Pre-Execution Environment) ブートで起動して、ゲスト OS

をネットワーク インストールできます。PXE ブートに対応しているのは、レガシ ネットワーク

アダプターだけです。

統合サービスが提供されているゲスト OSについては、” 表 1 統合サービスが提供されているゲスト OS”

(P5) をご参照ください。表 1に掲載されていないゲスト OSを利用したい場合は、レガシ ネットワーク アダプ

ターを利用することになります。

仮想ネットワーク スイッチの種類と選択

仮想ネットワーク スイッチは、仮想的なネットワーク スイッチとして機能します。これには、外部、内部、

プライベートの 3 つのタイプがあります。

外部 ・・・ 物理ネットワーク アダプターへの接続を作成し、仮想マシンから物理ネットワークへのアクセス

を可能にします。

内部 ・・・ ペアレント OS と仮想マシンとの間の通信を提供します。

プライベート ・・・ 仮想マシン間のみの通信を提供します。

本番環境で、外部とのネットワーク アクセスが必要な場合は、”外部”を選択することになります。しかし、仮

想マシン間のみの通信しか必要としないテスト環境では、”プライベート”を選択します。また、本番環境であっ

ても、外部ネットワークから隠蔽するために仮想マシン間の通信に限定する場合は、”プライベート”を利用しま

す。”プライベート”を利用することで、”プライベート”仮想ネットワーク スイッチのみを利用する仮想マシンを、

外部ネットワークの脅威から保護することができます。

“内部”ネットワークは、ペアレント OSとの通信に利用します。”内部”ネットワーク スイッチを利用すると、

ペアレント OSの [コントロール パネル]-[ネットワーク接続]に新たなアダプターが追加されます。ペアレント

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 25

OSとゲスト OS間で正しく通信を行うためには、ペアレント OSに追加された新たなアダプターの IP設定と、

仮想マシンのゲスト OSに接続された仮想ネットワーク アダプターの IP設定を適切に行う必要があります。下

図 13の例では、”内部”ネットワーク スイッチに接続された"ローカル エリア接続 4"の IP設定を適切に行うこと

で、”内部”ネットワーク スィッチに接続された仮想マシンと通信することができます。

図 13 "内部"ネットワーク スィッチが追加されたホスト OS の"ネットワーク接続"画面。

なお、各仮想マシンの仮想ネットワーク アダプターには、固有の MAC アドレスが動的または手動で設定でき、

同一のハードウェア内の別の仮想マシン間、あるいはネットワーク上の物理コンピューターや仮想マシンとの間

で通信が可能です。また、仮想ネットワーク アダプターには、VLAN (仮想 LAN) ID を指定することができるの

で、同じ物理ネットワーク アダプターを使用する、仮想マシンのネットワーク トラフィックを VLAN を使用し

て分離することができます。

仮想ネットワーク スイッチの作成方法

仮想ネットワーク スイッチは、Hyper-Vの役割を追加した際に、”役割の追加ウィザード”内でデフォルト設定

がされています。デフォルトでは、利用できる有線 LANのイーサネット カードがすべて表示され、選択できる

ようになっています。データセンターなどにホスト マシンが設置され、ネットワーク経由のリモートでホスト

マシンを管理する場合は、管理専用のイーサネット カードを仮想ネットワーク スィッチとして利用しないよう

に設定しておく必要があります。これは、仮想ネットワーク スイッチの設定を変更する度に、一時的にそのイー

サネットカードを経由した通信が失われるためです。これから、ホスト マシンに Hyper-Vの役割を追加する場

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 26

合は、”役割の追加ウィザード”の”仮想ネットワークの作成”画面で、管理専用に使用するイーサネット カードの

チェックを外しておきます。

図 14 仮想ネットワーク スイッチに接続しない物理イーサネット カードを除外

テスト環境などで、ネットワーク経由ではなく、直接ディスプレイとキーボード/マウスを操作して管理できる

ホスト マシンの場合は、必ずしもこの点を気にする必要はありません。また、既に”役割の追加ウィザード”で、

管理専用に使用するイーサネット カードのチェックを外さなかった場合は、”仮想ネットワーク マネージャー”か

ら、該当する”仮想ネットワーク”を選択し、[削除]ボタンをクリックすることで、そのイーサネット カードをホ

スト マシン専用(仮想マシンから使用できない状態)にすることができます。

逆に、物理的なネットワーク アダプターを仮想マシン専用にし、ホスト マシンの管理 OSから使用できない

状態にすることも可能です。その場合は、”仮想ネットワーク マネージャー”から、仮想マシン専用にしたい”仮想

ネットワーク”を選択し、[管理オペレーティング システムにこのネットワーク アダプターの共有を許可する]

チェックを外します。

図 15 仮想ネットワークスイッチを仮想マシン専用にする設定画面

ここまで、仮想ネットワーク スイッチの概要を紹介してきましたが、これ以降は、”仮想ネットワーク マネー

ジャー”を使用して、仮想ネットワーク スイッチの作成手順をステップ バイ ステップで紹介します。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 27

まずは、仮想ネットワーク マネージャーから、仮想ネットワーク スイッチを追加する手順です。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “Hyper-V マネージャー”の右ペインの[操作]メニューで、[仮想ネットワーク マネージャー]をクリック

し、”仮想ネットワーク マネージャー”画面を起動。

3. “仮想ネットワーク マネージャー”画面の左ペイン[仮想ネットワーク]-[新しい仮想ネットワーク]を選択。

4. “仮想ネットワーク マネージャー”画面の右ペイン[どの種類の仮想ネットワークを作成しますか]の一覧

から、”外部”、”内部”、”プライベート”のいずれかを、要件に合わせて選択し、[追加]ボタンをクリック。

(以下の手順は、”外部”を選択した場合を想定して記述)

5. “仮想ネットワーク マネージャー”画面の右ペインで、適当な[名前]を入力し、[接続の種類]-[外部]ド

ロップダウン リストから、作成した仮想ネットワーク スイッチを接続する物理イーサネット カードを

選択。

6. 物理イーサネット カードを、仮想マシン専用にする場合(ホスト マシンの管理 OSから使用できない状

態)は、[管理オペレーティング システムにこのネットワーク アダプターの共有を許可する]チェックを

外す。

7. [OK]ボタンをクリックし、”仮想ネットワーク マネージャー”を終了。

上記手順 5.で、[外部]ではなく、[内部のみ]もしくは、[プライベート仮想マシン ネットワーク]を選択すると、仮

想ネットワーク スイッチの種類を変更することができます。

仮想ネットワーク アダプターの作成と、仮想ネットワーク スイッチへの接続方法

ここまで、ホスト マシン上の仮想ネットワーク スイッチの管理手順を紹介してきましたが、ここからは、仮

想マシン上の仮想ネットワーク アダプターの管理手順について紹介します。”仮想マシンの新規作成ウイザード”

のデフォルト設定で仮想マシンを作成すると、VMBus経由で接続される”ネットワーク アダプター”が作成されま

す。ただし、デフォルトのままで何の設定も行わなかった場合は、この仮想ネットワーク アダプターは、どの仮

想ネットワーク スイッチにも接続されていない状態になっています。そこで、まず、仮想マシンの”ネットワー

ク アダプター”に、仮想ネットワーク スイッチ”を接続する手順を紹介します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “ネットワーク アダプター”の設定を変更したい仮想マシンを、”Hyper-V マネージャー”の中央ペインで

選択し、右クリック メニューから[設定]を選択。

3. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの左のリストから、設定を変更したい”ネットワーク アダプター”を

選択。

4. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの右ペインの、[ネットワーク]ドロップダウン リストから、この仮

想ネットワーク アダプターに接続したい仮想ネットワーク スイッチを選択。

5. [OK]ボタンをクリックし、[<仮想マシン名>の設定]ダイアログを終了。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 28

なお、この設定は、仮想マシンが起動している状態でも変更することが可能です。

次に、複数の仮想ネットワーク アダプターが必要になった場合のために、仮想ネットワーク アダプターの追

加手順を紹介します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “ネットワーク アダプター”を追加したい仮想マシンを、”Hyper-V マネージャー”の中央ペインで選択し、

右クリック メニューから[設定]を選択。

3. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの左のリストから、設定を変更したい”ハードウェアの追加”を選択。

4. [<仮想マシン名>の設定]ダイアログの右ペインの、[ハードウェアの追加]のリストから、[ネットワー

ク アダプター]もしくは、[レガシ ネットワーク アダプター]を選択し、[追加]ボタンをクリック。

5. 手順 4.で追加された仮想ネットワーク アダプターが[<仮想マシン名>の設定]ダイアログの左ペインで

選択された状態で、右ペインの[ネットワーク]ドロップ ダウンリストから、接続したい仮想ネットワー

ク スイッチを選択。

6. [OK]ボタンをクリックし、[<仮想マシン名>の設定]ダイアログを終了。

上記の手順で、必要な数の仮想ネットワーク アダプターを追加することができます。

Network Load Balancing (NLB)クラスターを利用する場合の仮想ネットワーク アダプターの構成

Hyper-V ホスト上の複数のゲスト OS 間で NLB クラスターを構成することができます。Web サーバーなどへ

のネットワーク アクセスを、NLB クラスターによりゲスト OS 間で負荷分散することができます。ゲスト OS

の障害などにより NLB クラスターの状態が変化すると、収束プロセスにより負荷が再構成されるので、負荷分

散とともに冗長化することもできます。NLB クラスターは、同じ Hyper-V ホストで稼働する複数のゲスト OS

間で構成することもできますし、別の Hyper-V ホストで稼働するゲスト OS 間で構成することもできますが、冗

長化の観点では、単一障害ポイントを避けるため、別の Hyper-Vホストで稼働するゲスト OS間で構成すること

が推奨されます。

仮想マシンで NLB クラスターを実装するには、次の点に留意してください。

ゲスト OSがWindows Server 2008 の場合には、ゲスト OS に更新プログラム KB953828

(http://support.microsoft.com/kb/953828) 、もしくは Windows Server 2008 SP2 の適用が必要です。この更

新プログラムは、ゲスト OS が Windows Server 2008 R2 の場合には不要です。

同一の Hyper-V ホスト上の複数の仮想マシンで NLB クラスターを構成する場合、物理ネットワーク アダプ

ターが単一の障害点とならないように、それぞれの仮想マシンを、異なる物理ネットワーク アダプターを使

用する異なる仮想ネットワークに接続してください。また、Hyper-V ホストのリモート アクセス用に専用の

物理ネットワーク アダプターを確保してください。

NLB クラスターをマルチ キャストおよび IGMP マルチ キャスト モードで構成する場合、仮想マシンのネッ

トワークについて、特別な対応は必要ありません。静的または動的な MAC アドレスをそのまま使用できま

す。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 29

NLB クラスターをユニキャスト モードで構成する場合、Hyper-V 2.0 の仮想マシンでは、[MAC アドレス

のスプーフィングを有効にする]をオンにすることで対応できます (静的な MAC アドレスの設定は不要)。

[MACアドレスのスプーフィングを有効にする]方法を、以下に示します。

※ 仮想マシンをオフライン (停止) にした状態で仮想マシンのプロパティを開き、NLB クラスターで

使用するネットワーク アダプターについて、[MAC アドレスのスプーフィングを有効にする]を

オンにします。このオプションは既定でオフになっています。

図 16 NLB を利用するために、MAC アドレスのスプーフィングを有効にする

オフロード テクノロジの利用によるネットワークの最適化

Windows Server 2008 Hyper-V では、ネットワーク アダプターのハードウェアが備えるオフロード テクノロ

ジとして、Large Send Offload (LSO) v1 と IPv4 Checksum Offload がサポートされています。Windows Server

2008 R2 Hyper-V では、対応テクノロジが拡張され、Large Send Offload (LSO) v2、IPv4 / IPv6 Checksum

Offload、TCP Chimney Offload、およびギガビット イーサネットにおける Jumbo Packet をサポートします。ま

た、ハードウェアは限定されますが、VMQ (Virtual Machine Queue) という、仮想環境向けの新しいテクノロジ

のサポートが追加されています。ネットワーク アダプターのハードウェアに実装されたこれらのオフロード テ

クノロジを利用することで、ネットワーク I/O の処理をハードウェアにオフロードすることができ、ネットワー

ク I/O に関連する Hyper-V ホストのプロセッサ使用率を削減し、仮想マシンのパフォーマンスを向上できます。

LSOv2 および Checksum Offload

物理ネットワーク アダプターが LSOv2 や Checksum Offload をサポートしており、ペアレント OS において

物理ネットワーク アダプターのドライバー構成でこれらの機能が有効になっている場合、仮想マシンのネット

ワーク トラフィックは必要に応じて物理ネットワーク アダプターにオフロードされます。仮想ネットワーク ア

ダプターでは、LSOv2 および Checksum Offload の機能が既定で有効になっています。また、今日のほとんどの

物理ネットワーク アダプターは、LSOv2 および Checksum Offload をサポートしており、既定で有効になってい

ます。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 30

図 17 物理ネットワーク アダプターのオフロード設定

上図 17に、物理ネットワークアダプターのオフロード設定の例を示しました。ここでは、Realtek社と Intel社

のネットワーク アダプターを例示しています。製品によって設定画面やオフロード設定の表記に若干の違いがあ

る点にご注意ください。また、下図 18に、仮想ネットワーク アダプターのオフロード設定画面例を示します。

図 18 仮想ネットワーク アダプターのオフロード設定画面例

Jumbo Packet (ジャンボ フレーム)

物理ネットワーク アダプターと物理ネットワーク スイッチで、Jumbo Packet が利用可能な場合、Jumbo

Packet の使用を有効化できます。Jumbo Packet を有効にするには、物理ネットワーク アダプターのドライバー

構成で Jumbo Packet を有効にしたうえで、仮想マシンの仮想ネットワーク アダプター (Microsoft Virtual

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 31

Machine バス ネットワーク アダプター) でも有効にする必要があります。Jumbo Packet を有効にした場合、

イーサネット標準のフレーム サイズ (1,518 バイト) よりも大きなフレーム (最大 9,014 バイト) で通信します。

これにより、通信バイト数あたりの TCP/IP のオーバーヘッドが減少し、ネットワーク スループットが向上しま

す。また、ネットワーク スタックからネットワーク ドライバーへの呼び出し数が減少するため、プロセッサ使

用率も大幅に削減されます。Jumbo Packet は、iSCSI 接続など通信量の大きなリンクに使用すると効果的です。

Jumbo Packet を有効にする場合、仮想マシンが通信する相手との間に介在するすべての物理ネットワーク アダ

プターおよび物理ネットワーク スイッチで Jumbo Packet がサポートされている必要があります。また、仮想マ

シンのゲスト OS に統合サービスがインストールされている必要があります。

TCP Chimney Offload

TCP Chimney Offload は、OS の TCP/IP スタックが行う TCP コネクションの管理を、TCP Offload Engine

(TOE) を搭載した物理ネットワーク アダプターのハードウェアにオフロードする機能です。Windows Server

2008 R2 は既定で TCP Chimney Offload の設定が automatic になっており、物理ネットワーク アダプターで

TOE が利用可能かつ特定の条件 (10 Gbps ネットワーク、20 ミリ秒以下のラウンド トリップ時間、130 KB 以上

のデータ送受信など) が揃うと、自動的に TCP Chimney Offload を使用します。仮想マシンのゲスト OS が

Windows Server 2008 を実行している場合、TCP Chimney Offload は既定で無効になっています。TCP Chimney

Offload は、次のコマンドラインで確認、有効化 (または無効化) できます。Windows Server 2008 R2 では、以下

のグローバル設定が既定で automatic になっています。

netsh interface tcp show global

netsh interface tcp set global chimney=enabled (または disabled)

Virtual Machine Queue (VMQ)

Virtual Machine Queue (VMQ) は、仮想マシンのネットワークを最適化する、Windows Server 2008 R2 の新機

能です。VMQ を使用しない、従来のネットワーク処理では、ペアレント OS の仮想ネットワーク スイッチが、

宛先 MAC アドレスと VLAN ID に基づいて分類を行い、ペアレント OSと仮想マシンのメモリの間で、送受信

データのコピーが行われ、オーバーヘッドが発生していました。VMQ および VMQ 対応の物理ネットワーク ア

ダプターを使用することで、上記の処理を物理ネットワーク アダプターにオフロードできます。VMQ により、

物理ネットワーク アダプターに仮想マシンごとのキューが割り当てられ、物理ネットワーク アダプターが MAC

アドレスと VLAN ID の仕分けを行います。そして、データを適切なキューへ渡します。キューは仮想マシンの

アドレス空間へマップされているため、データがダイレクトにやり取りされ、コピーが発生しません。これによ

り、Hyper-V ホストのプロセッサ使用率を低減し、仮想マシンのネットワーク スループットを向上できます。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 32

図 19 VMQ の ネットワーク I/O パス (点線は VMQ を使用しない通常のパス)

VMQ を有効化するには、VMQ に対応した物理ネットワーク アダプターおよびドライバーが必要です。また、

VMQ は既定で無効になっています。VMQ を有効化するには、物理ネットワーク アダプター、ペアレント OS、

およびゲスト OS のそれぞれで設定が必要です。設定方法については、以下のドキュメントを参照してください。

Networking Deployment Guide: Deploying High-Speed Networking Features

http://download.microsoft.com/download/8/E/D/8EDE21BC-0E3B-4E14-AAEA-

9E2B03917A09/HSN_Deployment_Guide.doc

※ ネットワーク アダプターが VMQ と TCP Chimney Offload の両方をサポートしている場合、VMQ

が優先されます。

※ System Center Virtual Machine Manager (SCVMM) 2008 R2 を使用している場合、[仮想ネッ

トワーク最適化を有効にする]オプションを使用して、VMQ の設定を行うことができます。

VLAN 使用時のドライバー

仮想ネットワーク アダプターの VLAN 機能を利用する場合は、VLAN に対応した物理ネットワーク アダプ

ターが必要です。物理ネットワーク アダプターが VLAN をサポートしていても、Windows Server 2008 R2 に標

準搭載されているドライバーには VLAN に対応していないものがあります。その場合は、ハードウェア ベン

ダーまたは開発元が提供する最新のドライバーを使用してください。

NIC Teaming (NIC チーミング)

複数の物理ネットワーク アダプター (またはマルチ ポートの物理ネットワーク アダプター) で NIC チーミング

によるポートのフェールオーバーを利用する場合、物理ネットワーク アダプターとドライバーの両方が NIC

ゲスト OS

物理 ネットワーク

アダプター

仮想マシン

ペアレント OS

ゲスト OS 仮想ネットワーク スイッチ

VMBus

VMBus

仮想

ネットワーク

アダプター 1

仮想マシン ルート パーティション

Port 1 Port 2

ルーティング

VLAN フィルタリング

データ コピー

Q1 Q2

VMQ

VMQ

TCP/IP TCP/IP

デバイス ドライバー

仮想

ネットワーク

アダプター2

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 33

チーミングに対応している必要があります。NIC チーミング テクノロジは、ハードウェア ベンダーのサポート

範囲になります。ハードウェア ベンダーから提供される最新のドライバーを利用してください。なお、すべての

NIC チーミング ソリューションを Hyper-V 環境で利用できるわけではありません。

Microsoft Support Policy for NIC Teaming with Hyper-V

http://support.microsoft.com/kb/968703

参考情報 (各社サイト) :

HP:Using HP ProLiant Network Teaming Software with Microsoft Windows Server 2008 Hyper-V

http://h20000.www2.hp.com/bc/docs/support/SupportManual/c01663264/c01663264.pdf

日本電気:Hyper-V 対応 LAN ドライバー アップデート手順書

http://support.express.nec.co.jp/dload/410477-A01/LAN_update.pdf

日本 IBM:Windows Server 2008 に関する FAQ

http://www-06.ibm.com/jp/domino04/pc/support/Sylphd07.nsf/jtechinfo/SYJ0-02BFA60

DELL: Microsoft® Hyper-V™ Server 2008 for Dell™ PowerEdge™ Systems Networking Solutions

Guide (英語)

http://supportapj.dell.com/support/edocs/software/HyperV/en/nsg/HTML/index.htm

Intel:技術情報

http://www.intel.com/support/network/sb/cs-006333.htm

http://www.intel.com/support/network/sb/cs-029843.htm

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 34

その他の構成

このドキュメントではここまで、ストレージの構成とネットワークの構成を中心に紹介してきました。この章

では、残る構成項目のうち、メモリ、プロセッサ、自動アクションの 3つについて簡単に紹介します。

メモリ

サイジングの目安は、ペアレント OS 用に 2 GB を確保しておくことを推奨します。ただし、ペアレント OS

として Server Core インストールを選択し、マルウェア対策ソフトウェアやシステム管理ツールのエージェント

など、必要最低限のサービスに限定した場合は 512 MB 以上でも動作可能です。仮想マシンが利用するメモリ容

量の合計は、安全のためマージンとして最初の 1 GB で 32 MB、追加 1 GB 単位に 8 MB 加算することを推奨し

ます。仮想マシンごとに、最低でも 512 MB 以上のメモリを割り当てることを推奨します。

Hyper-V は仮想マシンごとに最大 64 GB までのメモリを割り当てることができます。物理メモリが 32 GB 以

上必要な場合は、ペアレント OS として Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2 の Enterprise または

Datacenter を使用してください。Windows Server 2008 R2 SP1 では、Hyper-V動的メモリという新機能が導入

されました。動的メモリは、使用状況に応じて、VM に割り当てられているメモリを動的に増減します。その結

果、メモリをより効率的に使用できるようになり、仮想マシンの収容率を高めることができます。動的メモリは、

本番環境で使用することを想定してデザインされており、ユーザーには、サーバーのパフォーマンスが予測でき

るようになり、本番環境で一貫性のあるスケーラビリティを実現できるというメリットがあります。

動的メモリを使用するには、ゲスト オペレーティング システムでホット アド メモリの機能がサポートされて

いる必要があります。現在、この機能をサポートしているゲスト オペレーティング システムは、次のとおりで

す。

クライアント オペレーティング システム

Windows Vista、Enterprise、Ultimate

Windows 7、Enterprise、Ultimate

サーバー オペレーティング システム

Windows Server 2003 SP2 Enterprise、Datacenter

Windows Server 2003 R2 SP2 Enterprise、Datacenter

Windows Server 2008 Enterprise、Datacenter

Windows Server 2008 R2 Enterprise、Datacenter

最新情報は、以下の TechNetサイトをご参照ください。

Hyper-V の動的メモリ構成ガイド

http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ff817651(WS.10).aspx

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 35

プロセッサ

プロセッサのサイジングの目安は、仮想マシンに割り当てるプロセッサ量の合計が、物理コンピューターの

85% 以内になるよう見積もることを推奨します。各仮想マシン、物理コンピューターのプロセッサは、[プロ

セッサ速度]×[プロセッサ利用率]×[プロセッサ (コア) 数]で算出できます。また、ペアレント OS上の管

理目的のソフトウェア用に別途プロセッサ (物理 1 コア相当) を確保しておくことを推奨します。

以上のサイジングの目安を踏まえて、この節では、プロセッサを構成するために必要な、以下の情報を提供し

ます。

論理プロセッサと仮想プロセッサ

仮想プロセッサの最大構成

仮想プロセッサのリソース コントロール

ホスト クラスターを行う場合の設定

プロセッサ互換モードの仕組み

論理プロセッサと仮想プロセッサ

Hyper-V 環境では、物理プロセッサを、論理プロセッサ (Logical Processor: LP) と仮想プロセッサ (Virtual

Processor: VP) の 2 つの概念で扱います。

1 つの物理プロセッサは複数の実行コア (またはハイパースレッディング) をサポートしており、複数の論理プ

ロセッサが提供されます。たとえば、クアッド コア (ハイパースレッディングなし) の物理プロセッサが 6 基搭

載されている物理コンピューターの場合は、論理プロセッサ数が 24 になります。Windows Server 2008 R2

Hyper-V 2.0 は最大 64 の論理プロセッサをサポートします。Hyper-V 1.0 は、最大 24 の論理プロセッサまでを

サポートします。

仮想プロセッサは、ハイパーバイザーが仮想環境のために提供するプロセッサです。各仮想マシンには 1、2、

3、または 4つ (最大) の仮想プロセッサを割り当てることができます (Hyper-V 1.0 では 3 つは指定できません) 。

割り当てられた仮想プロセッサは、仮想マシンの起動中にのみ生成されます。ゲスト OS により割り当て可能な

仮想プロセッサの最大数は異なります。以下の表 5と表 6を参照してください。

表 5 サポートするサーバーのゲスト OS と 仮想プロセッサ数

サーバーゲスト OS エディション 仮想プロセッサ

Windows Server 2008 R2 with Service Pack 1 Standard, Enterprise, Datacenter, and Web editions 1, 2, 3, or 4

Windows Server 2008 R2 Standard, Enterprise, Datacenter, and Windows Web

Server 2008 R2

1, 2, 3, or 4

Windows Server 2008 Standard, Standard without Hyper-V, Enterprise, Enterprise

without Hyper-V, Datacenter, Datacenter without Hyper-V,

Windows Web Server 2008, and HPC Edition

1, 2, 3, or 4

Windows Server 2003 R2 with Service Pack 2 Standard, Enterprise, Datacenter, and Web 1 or 2

Windows Home Server 2011 Standard 1, 2 or 4

Windows Storage Server 2008 R2 Essentials 1, 2 or 4

Windows Small Business Server 2011 Essentials 1 or 2

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 36

Windows Small Business Server 2011 Standard 1, 2, or 4

Windows Server 2003 R2 x64 Edition with

Service Pack 2

Standard, Enterprise, and Datacenter 1 or 2

Windows Server 2003 with Service Pack 2 Standard, Enterprise, Datacenter, and Web 1 or 2

Windows Server 2003 x64 Edition with Service

Pack 2

Standard, Enterprise, and Datacenter 1 or 2

Windows 2000 Server with Service Pack 4 Server, Advanced Server 1

CentOS 6.0 and 6.1 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

CentOS 5.2-5.6 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

Red Hat Enterprise Linux 6.0 and 6.1 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

Red Hat Enterprise Linux 5.7 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

Red Hat Enterprise Linux 5.6 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

Red Hat Enterprise Linux 5.5 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

Red Hat Enterprise Linux 5.4 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

Red Hat Enterprise Linux 5.3 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

Red Hat Enterprise Linux 5.2 x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

SUSE Linux Enterprise Server 11 with Service

Pack 1

x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

SUSE Linux Enterprise Server 10 with Service

Pack 4

x86 edition and x64 edition 1, 2, or 4

表 6 サポートするクライアントのゲスト OSと 仮想プロセッサ数

クライアント ゲスト OS エディション 仮想プロセッサ

Windows 7 with Service Pack 1 Enterprise, Ultimate, and Professional. This applies to

both 32-bit and 64-bit editions, as well as N and KN

editions.

1, 2, 3, or 4

Windows 7 Enterprise, Ultimate, and Professional. This applies to

both 32-bit and 64-bit editions, as well as N and KN

editions.

1, 2, 3, or 4

Windows Vista Business, Enterprise, and Ultimate, including N and

KN editions

1 or 2

Windows XP with Service Pack 3 (SP3) Professional 1 or 2

Windows XP with Service Pack 2 Professional 1

Windows XP x64 Edition with Service Pack 2 Professional 1 or 2

表 5と表 6の最新情報は、以下の URLをご確認ください。

About Virtual Machines and Guest Operating Systems

http://technet.microsoft.com/en-us/library/cc794868(WS.10).aspx

また、論理プロセッサが 2 つの物理コンピューターの場合は、仮想マシンには最大 2 つの仮想プロセッサまで

しか設定できません。 なお、ペアレント OS には、論理プロセッサと同じ数の仮想プロセッサが自動的に認識さ

れます。

仮想プロセッサの最大構成

同時実行される、すべての仮想マシンに割り当てる仮想プロセッサ数の合計は、物理コンピューターの論理プ

ロセッサ数を超えることができます。論理プロセッサに対する仮想プロセッサ数の比率は、最大 1:8 までサポー

トされます。Hyper-V 2.0 がサポートする最大構成の 64 論理プロセッサでは、最大 512 の仮想プロセッサを利

用できることになります。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 37

最大 1:8 まで構成は可能ですが、仮想マシンへの仮想プロセッサ数の合計が論理プロセッサ数を超えた時点か

らパフォーマンスへの影響が出てきます。パフォーマンスを重視する場合は、仮想プロセッサ数の合計が論理プ

ロセッサ数を超えないようにすることを推奨します。

仮想プロセッサのリソース コントロール

仮想プロセッサは、ハイパーバイザーにより、論理プロセッサにスケジューリングされます。仮想マシンが使

用する仮想プロセッサを、特定の論理プロセッサに関連付けることはできませんが、リソース コントロール機能

を使用して、複数の仮想マシン間でリソースの配分を調整、制御することができます。リソース コントロール機

能では、仮想マシンで使用可能なプロセッサ リソースの合計の一定の割合を特定の仮想マシンに確保する予約機

能、仮想マシンで使用できる最大の割合を指定する限度機能、および複数の仮想マシンが要求するリソースが競

合する際に優先順位を決める重み付けが可能です。これらのパラメーターは、実行中の仮想マシンに対して動的

に設定することができます。 (下図 20参照)

図 20 仮想プロセッサのリソース コントロール

以下、3つのリソース コントロール機能、”仮想マシンの予約”、”仮想マシンの限度”、”相対的な重み”について紹

介します。

仮想マシンの予約 ・・・ すべての仮想マシンが使用可能なリソースの合計に対して、この仮想マシンが予約す

る割合を指定します。この設定により、仮想プロセッサ使用率の下限値がこの仮想マシン用に確保されます。

予約したリソースは、仮想マシンが必要としたときにのみ確保されるので、予約により活用されないリソー

スが発生することはありません。この値はオンラインで動的に変更できますが、実行中の各仮想マシンの予

約の合計が、システム全体のリソースを超えることはできません。そのため、この値は仮想マシンの同時実

行数に影響します。

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仮想マシンの限度 ・・・ すべての仮想マシンで使用可能なリソースの合計に対して、この仮想マシンで使用で

きる最大の割合を指定します。この設定は、仮想プロセッサ使用率の上限の目安になるもので、仮想マシン

の同時実行数には影響しません。なお、この設定を 0 に近い値に設定すると、ゲスト OS のパフォーマン

スが極端に劣化するので注意してください。

相対的な重み ・・・ 仮想マシン間でリソースの競合が発生した場合に、リソースを割り当てる際の優先度を指

定します。この値は 1 ~ 10000 の範囲で設定することができ、より大きな値を持つ仮想マシンの優先度が

高くなります。

これらの設定は、仮想マシン間のワークロードを予測可能な範囲に制御するのに効果的です。リソース コント

ロールの効果を確認するには、ペアレント OS から仮想プロセッサの使用率 (Hyper-V Hypervisor Virtual

Processor¥% Total Run Time) を監視してください。

次の 2 つの例は、実際にリソース コントロール機能を使用した際の、仮想マシンのプロセッサ使用率を計測した

ものです。

図 21 リソースの限度を設定によるプロセッサ使用率の推移

上図 21のグラフは、2 つの仮想マシンのゲスト OS に 100 % のプロセッサ負荷をかけ続けた状態で、途中で一

方の仮想マシンの限度を既定の 100 から 50 に変更したときの、プロセッサ使用率の変化を計測したものです。

限度を変更していない仮想マシンのプロセッサ使用率は 100 % 付近のまま推移していますが (赤)、限度を 50 に

変更した仮想マシンの使用率は約 50 % まで下がり (緑)、論理プロセッサ (LP) 全体の使用率は両者の平均値の約

75 % まで下がっています (紫)。

限度すべて 100

ペアレント OS

限度 50

LP 全体

限度 100

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図 22 相対的な重みの変更によるプロセッサ使用率の推移

上図 22のグラフは、4 つの仮想マシンのゲスト OS に 100 % のプロセッサ負荷をかけ続けた状態で、途中で 2

つの仮想マシンの相対的な重みを変更したときの、プロセッサ使用率の変化を計測したものです。1 つの仮想マ

シンの重みは既定の 100 から 150 へ、もう 1 つの仮想マシンの重みは既定の 100 から 50 へ変更しています。

重みを変更していない仮想マシンのプロセッサ使用率は変化していませんが (赤と緑)、変更を加えた 2 つの仮想

マシンの使用率は、重みを増した仮想マシンでは上昇し (青)、重みを減じた仮想マシンでは加工しています (桃)。

論理プロセッサ全体の使用率は 100 % で変化はありません (紫)。相対的な重みの設定は、仮想プロセッサのスケ

ジューリング優先度にのみ影響し、ワークロード全体の処理量を変化させるわけではないことを示しています。

※ ルート パーティションのペアレント OS もまた仮想プロセッサを使用しますが、仮想マシンのような

リソース コントロール機能は提供されません。そのため、ペアレント OS で Hyper-V 以外の役割やア

プリケーションを実行しないようにして、ペアレント OS でリソースを出来る限り消費させないように

留意する必要があります。

ホストクラスターを行う場合の設定

ホスト クラスターを構成する各物理ノードは、潜在的な問題を最小限に抑えるため、ハードウェアおよびシス

テム設定を可能な限り同じにすることをお勧めします。システム拡張などで、異なるプロセッサのバージョンが

混在しなければならない場合は、仮想マシンのプロセッサの互換性オプションで、[プロセッサ バージョンが異

なる物理コンピューターへ移行する]をチェックしてください。このオプションを設定しないと、仮想マシンが

異なるプロセッサのバージョンの物理ノードに移行する際に、移行に失敗することがあります。なお、このオプ

ションの設定に関わらず、プロセッサ メーカーが混在した環境 (Intel と AMD 間) での移行はサポートされませ

ん。

重みすべて 100

ペアレント OS

重み 100

LP 全体

重み 100

重み 50

重み 150

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 40

図 23 プロセッサの互換性

現在、企業における仮想化の範囲が急速に拡大するにつれて、物理的なホスト間で VM を移行する際にはハード

ウェアの制限が課題となっています。以前のバージョンの Hyper-V では、このような移行は、基本的に、同一の

CPU アーキテクチャを備えているホスト間でしか行えませんでした。ですが、Windows Server 2008 R2 の

Hyper-V では、ライブ マイグレーション用にプロセッサ互換モードという新機能が導入されました。

プロセッサ互換モードを使用すると、IT 管理者は、CPU アーキテクチャが異なる物理ホスト間で VM を自由に

移行できます。ただし、そのアーキテクチャがハードウェア依存の仮想化機能をサポートしており、CPU 製品

ファミリが同じであることが条件になります。つまり、Intel から Intel、AMD から AMD への移行は可能です

が、Intel と AMD 間の移行はできません。このモードは、次の 3 つの基本的なユーザー シナリオに対応するた

めに開発されました。

1. ホスト A で実行している仮想マシンをホスト B に移行して、物理ホスト間で効率的な負荷分散を実現す

る必要がある場合。

2. 同一のプロセッサを搭載している複数台のコンピューターで構成されたホスト クラスターがあり、その

うち 1 台のコンピューターで障害が発生した場合。システム管理者は、サーバーを 1 台購入して、クラ

スターにサーバーを追加しますが、追加したサーバーでは、既存のクラスター メンバー サーバーよりも

新しい CPU テクノロジが採用されています。ですが、この場合も、VM の移行がサポートされる必要が

あります。

3. ホスト A で実行中の仮想マシンが保存された場合。後で、システム管理者は、その VM を復元して、別

の Hyper-V ホストでメモリをアクティブにする必要がありますが、別のホストでは、元のホストと同一

の構成の CPU が搭載されているとは限りません。

プロセッサ互換モードの仕組み

ホスト マシンで仮想マシン (VM) を起動すると、ハイパーバイザーでは、そのホストの基盤となるハード

ウェア上で利用可能なサポートされているプロセッサ機能の一覧が VM に提示されます。このプロセッサ機能一

覧は、ゲスト用プロセッサ機能と呼ばれます。このプロセッサ機能の一覧は、VM が再起動されるまで VM で利

用できます。実行中の VM を別のホストに移行すると、Hyper-V では、まず、現在実行中の VM で利用できる

プロセッサ機能が、移行先のホストで利用できるかどうかを確認します。移行先ホストのプロセッサで、現在

VM が利用できる全機能がサポートされていない場合、VM を移行することはできません。

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プロセッサ互換モードを有効にすると、Hyper-V では、同じプロセッサ アーキテクチャ (つまり、AMD の場

合は AMD、Intel の場合は Intel) の全プロセッサで利用できるプロセッサ機能のみをゲスト VM に提供します。

この機能により、同じプロセッサ アーキテクチャのハードウェア プラットフォームに VM を移行できるように

なります。プロセッサ機能を提供しないようにする処理は、VM の CPUID 命令をインターセプトして、返され

たビットの中で、提供しない機能に対応するビットをクリアすることによって行います。

プロセッサ互換モードで VM を起動した場合に提供されない機能には、次のようなものがあります。

表 7 プロセッサ互換モードで VM を起動した場合に提供されない機能

AMD ベースのプロセッサを実行しているホスト Intel ベースのプロセッサを実行しているホスト

SSSE3、SSE4.1、SSE4.A、SSE5、POPCNT、LZCNT、

Misaligned SSE、AMD 3DNow!、Extended AMD 3DNow!

SSSE3、SSE4.1、SSE4.2、POPCNT、Misaligned SSE、

XSAVE、AVX

自動アクション (開始アクション / 停止アクション)

物理コンピューターの起動およびシャットダウンと連動して、仮想マシンを自動的に起動およびシャットダウ

ン (または保存) するように、仮想マシンごとに構成できます。自動開始アクションでは仮想マシンの起動待ち時

間を秒単位で指定できます。UPS (無停電電源装置) による停電対策を行う場合などには、この設定の利用を検討

してください。

複数の仮想マシンをホストしている場合、ホスト マシンの起動時に、ホストしているすべての仮想マシンが同

時に起動すると、リソースの競合、特にディスク I/Oの競合が発生し、パフォーマンスが著しく低下する場合が

あります。そのような場合には、仮想マシンを順次起動させるように待ち時間を設定することで、リソースの競

合によるパフォーマンスの低下を回避することができます。また、ドメイン コントローラーのような重要なサー

ビスを実行する仮想マシンは、その重要なサービスを使用する他の仮想マシンよりも先に起動している必要があ

ります。不要な起動時のエラーを避けるため、重要なサービスを実行する仮想マシンが先に起動するように、自

動開始アクションの[起動待ち時間]を構成します。

図 24 自動開始アクションの構成 (画面は既定値)

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Hyper-V仮想マシンの管理

ここまで、仮想マシンの構成について紹介してきました。これ以降では、仮想マシンを運用していく上で必要

となる、以下の 4つの管理機能について概説します。

エクスポート / インポート

スナップショット

パフォーマンス モニター

スクリプトによる Hyper-Vの操作

エクスポート / インポート

仮想マシンの実体は基本的にファイル ベースです。仮想ストレージとしてパススルー ハード ディスクを使用

する構成を除き、仮想マシンは次の種類のファイル群で構成されます。

XML ファイル (.xml) ・・・ 仮想マシンの構成情報を格納します。

VHD ファイル (.vhd) ・・・ 仮想ハード ディスクのファイルです。容量固定 VHD は、割り当てたサイズと同

容量、容量可変 VHD はゲスト OS が実際に書き込んだサイズになります。

BIN ファイル (.bin) ・・・ 仮想マシン起動時に作成され、状態保存時に仮想マシンの実行中のメモリの状態を

保持します。仮想マシンに割り当てたメモリ容量と同じサイズになります。

VSV ファイル (.vsv) ・・・仮想マシン起動時に作成され、状態保存時にデバイスの状態を保持します。20 ~

50 MB のサイズになります。

AVHD ファイル (.avhd) ・・・ スナップショット作成時にディスクの内容の差分を保持します。

Hyper-V マネージャーを使用すると、仮想マシンを構成するこれらのファイル群を、エクスポート / インポー

トできます。この機能を利用して、オフラインの仮想マシンは、簡単に複製することも、別の Hyper-V ホストに

インポートすることもできます。また、エクスポートされたファイル群は、仮想マシンのバックアップとして使

用でき、障害発生時にインポートすることで簡単に復元できます。この仮想マシンのポータビリティの高さは、

仮想化のメリットの 1 つです。なお、物理的なハードディスクまたは LUN を使用するパススルー ディスクは、

エクスポート / インポートすることができません。

エクスポート / インポートの手順

ここで、エクスポートとインポートの手順を紹介しておきます。まずは、エクスポートの手順です。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “エクスポート”したい仮想マシンを、”Hyper-V マネージャー”の中央ペインで選択し、右クリック メ

ニューから[エクスポート]を選択。

3. “仮想マシンのエクスポート”ダイアログの[場所]欄に、エクスポート先のフォルダを指定して、[エクス

ポート]ボタンをクリック。

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 43

以上で、エクスポートは完了です。エクスポート処理では、数 GB~数十 GBのファイルコピー処理が行われる

ので、同じ物理ストレージを利用している稼働中の仮想マシンへの影響を考慮して実行する必要があります。

次に、インポートの手順を紹介します。

1. [スタート]-[管理ツール]-[Hyper-V マネージャー]メニューで、”Hyper-V マネージャー”を起動。

2. “Hyper-V マネージャー”の右ペインで、[仮想マシンのインポート]操作を選択。

3. “仮想マシンのインポート”ダイアログの[場所]欄で、インポートしたい仮想マシンのフォルダを指定。

4. “仮想マシンのインポート”ダイアログの[インポートの設定]チェックで、[仮想マシンを移動または復元

する(既存の一意な IDを使用する)]もしくは、[仮想マシンをコピーする(新しい一意な IDを作成する)]

を選択。ここでの一意な IDは、仮想マシンの IDを指し、Windows OSの SIDではない。

5. “仮想マシンのインポート”ダイアログの[すべてのファイルを複製し、同じ仮想マシンを再度インポート

できるようにする]をチェックすると、仮想ハードディスクを保存する既定のフォルダと、仮想マシンを

保存する既定のフォルダへ、インポートする仮想マシンのファイルが複製される。なお、仮想ハード

ディスクを保存する既定のフォルダを変更する場合は、”仮想ハードディスク (.vhd)ファイルの接続”

(P15)をご参照ください。

6. “仮想マシンのインポート”ダイアログの[インポート]ボタンをクリック。

以上の簡単な操作で、インポートは完了です。上記手順 5で、すべてのファイルを複製する指定を行わなかった

場合は、すぐにインポートが完了します。しかし、この場合は、事前にエクスポートされたファイルのバック

アップを取得しておかなければ、次回、このエクスポートされたファイルを再利用できなくなります。上記手順

5で、すべてのファイルを複製する指定を行っている場合には、エクスポート処理と同様、数 GB~数十 GBの

ファイルコピー処理が行われるので、同じ物理ストレージを利用している稼働中の仮想マシンへの影響を考慮し

て実行する必要があります。

雛形となる仮想マシンの作成方法について

ゲスト OS をインストールして初期構成した仮想マシンの VHD を複製し、同一構成の仮想マシンの展開に利

用することで、ゲスト OS の展開タスクを省力化し、短時間で仮想マシンの展開を完了できます。ただし、SID

(Security Identifier: Windows コンピューターごとに固有のセキュリティ識別子) の重複を避けるため、複製した

VHD ファイルに対して Sysprep (システム準備ツール) を実行しておく必要があります。Sysprepは、OSを初期

化し、SIDを再生成します。これにより、SIDの重複を避け、安全に仮想マシンの複製を行うことができます。

同じ構成の仮想マシンを複製する場合は、複製したい構成の仮想マシンを作成した後、Sysprepを実行して雛

形となる仮想マシンを作成します。ここで作成した雛形となる仮想マシンをエクスポートしておけば、あとはイ

ンポートを行うだけで、簡単に同じ構成の仮想マシンを作成することができます。また、Sysprepを実行し、エ

クスポートした雛形となる仮想マシンの VHDファイルは、差分 VHDの親ディスクとしても有効です。仮想マシ

ンのメリットを最大限に享受するために、組織内で利用する仮想マシンの雛形を作成しておくことをお勧めしま

す。

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Sysprep の提供方法は Windows のバージョン、サービス パックごとに異なります。Windows Server 2008 お

よび Windows Vista 以降には Sysprepが標準搭載されており (%Windir%¥System32¥Sysperp¥Sysprep.exe)、す

ぐに利用することができます。使用方法も簡単ですので、仮想マシンの雛形作成時にご活用ください。

図 25 VHD をゲスト OS の展開用に使用するため Sysprep を実行する

Sysprep を利用する際には、以下の情報も参考にしてください。

Sysprep テクニカル リファレンス

http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/dd744263(WS.10).aspx

システム準備ツール (Sysprep.exe) を使用して、ディスクの複製を実行する方法

http://support.microsoft.com/kb/298491

Windows Server 2003 SP2 用のシステム準備ツールの更新版

http://support.microsoft.com/kb/926028

Windows XP Service Pack 2、Windows Server 2003、および Windows XP Tablet PC Edition

2005 用のシステム準備ツールの更新版

http://support.microsoft.com/kb/838080

スナップ ショット

Hyper-V のスナップショット機能は、実行中または停止中の仮想マシンの状態を保存し、いつでもその状態に

ロールバックできる機能です。実行中の仮想マシンに対してスナップショットを作成すると、仮想マシンを停止

することなく、その時点の VHD の状態と、実行中のメモリの内容を保存することがでます。

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スナップショットは、仮想化環境特有の便利な機能であり、システム構成や更新パッチの影響調査、開発、テ

ストなどに非常に役立ちます。しかし、使い方を誤ると、仮想マシンのゲスト OS や関連するアプリケーション、

データベースに重大な影響を与える可能性があることに注意してください。特に、本番環境では安易に使用する

べきではありません。実運用を意識したバックアップ / リストアとは異なる方法で、システムの状態をロール

バックしてしまうと、データベースのデータやサーバー間のシステム情報の整合性が失われる危険性があります。

また、スナップショットの多用は、仮想マシンのディスク I/O 性能に少なからず影響します。

図 26 スナップショット機能

また、スナップショットは、仮想マシンのバックアップにはならないことに留意してください。スナップ

ショットは、仮想マシンの構成ファイルや VHD ファイルと同じ場所に保持されます。そのため、仮想マシンの

ホストの障害により、仮想マシンが失われると、同時にスナップショットも失われてしまいます。いったん仮想

マシンをオフライン (停止)にしてからバックアップしてもよければ、エクスポート / インポート機能が、仮想マ

シンをバックアップするための一つの手段になります。しかし、オンライン バックアップにより、仮想マシンを

オンライン(実行状態のまま)でバックアップしたい場合は、Microsoft® System Center Data Protection Manager

2010もしくは、サード ベンダーのバックアップ製品を利用する必要があります。

パフォーマンス モニター

ゲスト OS やアプリケーションのパフォーマンス測定は、物理環境と同じように、ゲスト OS 上のパフォーマ

ンス モニターを使用します。ただし、その測定結果は仮想マシン単体のものであり、別の仮想マシンを含む

Hyper-V ホスト全体のパフォーマンスとは区別する必要があります。ルート パーティションのペアレント OS も

また、仮想プロセッサを参照しているため、Hyper-V ホスト全体のプロセッサ使用率を測定するために、

Processor カウンターを使用することはできません。

この節では、仮想化環境でパフォーマンス測定を正しく行うために、以下の 2つの情報を提供します。

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Hyper-Vが提供するパフォーマンス カウンター

仮想マシンでのパフォーマンス モニター

Hyper-V が提供するパフォーマンス カウンター

Hyper-V ホストでは、Hyper-V 固有のパフォーマンス カウンターが提供され、物理コンピューター上で稼働す

る個々の仮想マシンのプロセッサ、メモリ、ディスク、ネットワークのパフォーマンスをペアレント OS から測

定することができます。また、すべての仮想マシンのパフォーマンスを包含した、Hyper-V ホスト全体のパ

フォーマンスを測定することもできます。

Hyper-V ホスト全体のプロセッサ使用率は、Hyper-V Hypervisor Logical Processor カウンターで取得する

ことができます。また、ペアレント OS のプロセッサ使用率は、Hyper-V Hypervisor Root Virtual Processor

で、個々の仮想マシンのプロセッサ使用率は、Hyper-V Hypervisor Virtual Processor です。これらはペアレン

ト OS のパフォーマンス モニターを使用して取得することができます。

図 27 Hyper-V 固有のパフォーマンス カウンター

“表 8 ペアレント OS で監視すべきパフォーマンス カウンター” に、ペアレント OS から測定可能なパフォーマ

ンス カウンターのうち、Hyper-V ホスト全体およびゲスト OS のパフォーマンス監視に役立つものを示します。

表 8 ペアレント OS で監視すべきパフォーマンス カウンター

カテゴリ 主なカウンター 用途

Hyper-V Hypervisor Logical

Processor

% Total Run Time

% Guest Run Time

% Hypervisor Run Time

物理コンピューター全体の論理プロセッサ (LP) の使用率

Hyper-V Hypervisor Root Virtual

Processor

% Total Run Time

% Guest Run Time

ペアレント OSが利用する仮想プロセッサ使用率 (ペアレ

ント OS では LP ごとに 1 VPが自動的に割り当てられま

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Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 47

% Hypervisor Run Time す)

Hyper-V Hypervisor Virtual Processor % Total Run Time

% Guest Run Time

% Hypervisor Run Time

仮想マシンに割り当てた仮想プロセッサ使用率

Memory % Committed Bytes In

Use

Available MBytes

Pages/sec

物理メモリおよび仮想メモリの使用状況

PhisicalDisk Avg. Disk sec/Read

Avg. Disc sec/Write

物理ディスクの読み取りおよび書き込み状況

Hyper-V Virtual IDE Controller Read Bytes/sec

Write Bytes/sec

仮想マシンの IDE コントローラーの読み取りおよび書き

込み状況 (統合サービスにより最適化されていない場合に

使用)

Hyper-V Virtual Storage Device Error Count

Read Bytes/sec

Write Bytes/sec

仮想マシンの仮想ディスクの読み取りおよび書き込み状

Network Interface Bytes Total/sec

Output Queue Length

物理ネットワーク アダプターの送受信状況

Hyper-V Virtual Network Adapter Bytes Received/sec

Bytes Sent/sec

仮想ネットワーク アダプターの送受信状況

Hyper-V Virtual Switch Bytes Received/sec

Bytes Sent/sec

Packets Flooded/sec

仮想ネットワーク スイッチの送受信状況

Hyper-V Virtual Switch Port Bytes Received/sec

Bytes Sent/sec

仮想ネットワーク スイッチのポートごとの送受信状況

上表 8で示したパフォーマンス カウンターの一部について、これ以降で解説します。

Hyper-V Hypervisor Logical Processor(_Total)¥% Total Run Time ・・・ このカウンターは、ペアレント

OS とすべてのゲスト OS の実行に消費されたプロセッサ時間の使用率をパーセンテージで示します。%

Total Run Time は、% Guest Run Time と % Hypervisor Run Time の合計値です。パフォーマンスの

分析には、次の値を参考にしてください。

60% 以下 = 正常

60% ~ 89% = 監視または注意が必要

90% ~ 100% = 重大、パフォーマンスに悪影響

Hyper-V Hypervisor Logical Processor(_Total)¥% Guest Run Time ・・・ このカウンターは、ゲスト OS

が消費した総プロセッサ時間の割合です。

Hyper-V Hypervisor Logical Processor(_Total)¥% Hypervisor Run Time ・・・ このカウンターは、ハイ

パーバイザー コードが消費した総プロセッサ時間の割合です。

Memory¥% Committed Bytes In Use ・・・ このカウンターは、ページング ファイルに対して領域が予約さ

れている物理メモリの割合を示します。この値が常に高い値 (90% 以上) を示す場合、物理メモリとページ

ング ファイルの両方の追加が必要です。

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Memory¥Available Mbytes ・・・ このカウンターは、Hyper-V ホスト全体の物理メモリ容量に対する利用可

能な空きメモリの割合を示します。パフォーマンスの分析には、次の値を参考にしてください。

50% 以上の空きメモリ = 正常

25% の空きメモリ = 監視が必要

10% の空きメモリ = 注意が必要

5% 以下の空きメモリ = 重大、パフォーマンスに悪影響

Memory¥Pages/sec ・・・ このカウンターは、ハード ページ フォールトを解決するためにディスクから読み

取られた、またはディスクへ書き込まれたページの数を示します。ハード ページ フォールトを解決するた

めには、OS はメモリの内容をディスクにスワップする必要があります。これは、パフォーマンスにネガ

ティブな影響を与えます。このカウンターが過度のページ数を示す場合、物理メモリ容量が不足しています。

パフォーマンスの分析には、次の値を参考にしてください。

500 以下 = 正常

500 ~ 1000 = 監視または注意が必要

1000 以上 = 重大、パフォーマンスに悪影響

PhisicalDisk(*)¥Avg. Disk sec/Read および Avg. Disk sec/Write ・・・ これらのカウンターは、ディスクか

らの読み取り平均時間 (秒) およびディスクへの書き込み平均時間 (秒) を示します。パフォーマンスの分析

には、次の値を参考にしてください。この値は 7200 rpm の単一のディスク ドライブの、キャッシュなし

の一般的なシーク時間をベースとした目安になります。

1 ms ~ 15ms = 正常

15 ms ~ 25ms = 監視または注意が必要

26 ms以上 = 重大、パフォーマンスに悪影響

Hyper-V Virtual IDE Controller¥Read Bytes/sec および Write Bytes/sec ・・・ これらのカウンターは、仮

想マシンの IDE コントローラーで 1 秒間に読み取られた、または書き込まれたバイト数を示します。

Hyper-V Virtual Storage Device ¥Error Count ・・・ このカウンターは、仮想マシンのディスク (VHD ディ

スクまたはパススルー ディスク) で発生したエラーの合計数を示します。ディスク単位で監視することがで

きます。

Hyper-V Virtual Storage Device ¥Read Bytes/sec および Write Bytes/sec ・・・ これらのカウンターは、仮

想マシンのディスク (VHD ディスクまたはパススルー ディスク) から、1 秒間に読み取られた、または書

き込まれたバイト数を示します。ディスクごとのインスタンスを指定して、ディスク単位で監視することが

できます。

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仮想マシンでのパフォーマンス モニター

仮想マシンごとのパフォーマンスは、ゲスト OS のパフォーマンス モニターを使用して取得します。物理コン

ピューターのパフォーマンス測定と基本的な考え方は同じです。仮想マシンのゲスト OSで監視すべきパフォー

マンス カウンターの一例を、下表 9に示します。

表 9 仮想マシンのゲスト OS で監視すべきパフォーマンス カウンター例

カテゴリ 主なカウンター 用途

Processor % Privileged Time

% Processor Time

% User Time

仮想マシンのプロセッサ使用率

Memory % Committed Bytes In Use

Available MBytes

Pages/sec

仮想マシンの物理メモリおよび仮想メモリの使

用状況

Paging File % Usage 仮想マシンのページ ファイルの使用率

PhisicalDisk Avg. Disk Read Queue Length

Avg. Disk Read Write Length

Avg. Disk sec/Read

Avg. Disk sec/Write

仮想マシンのディスク使用状況

Network Interface Bytes Received/sec

Bytes Sent/sec

Output Queue Length

Packets Outbound Discarded

Packets Outbound Errors

Packets Received Discarded

Packets Received Errors

仮想マシンのネットワーク アダプターの送受

信状況

スクリプトによる Hyper-V の操作

Hyper-V仮想マシンの操作は、GUI以外に、Hyper-V WMI (Windows Management Instrumentation) Providerを

通して行うことができます。

Hyper-V WMI Provider

http://msdn.microsoft.com/en-us/library/cc136992(v=VS.85).aspx

ただし、Hyper-V WMI Providerを直接利用するのは煩雑であるため、既存の PowerShellスクリプトを通して

Hyper-Vを操作するのが一般的です。この章では、PowerShellスクリプトを通して Hyper-Vを操作する方法とし

て、以下の 2つの情報を提供します。

PowerShell Management Library for Hyper-V

Microsoft System Center Virtual Machine Manager 2008 R2

PowerShell Management Library for Hyper-V

PowerShellから Hyper-Vを操作するために最も簡易な方法は、”PowerShell Management Library for Hyper-V”

を利用することです。”PowerShell Management Library for Hyper-V”は、オープンソースとして無償で提供され

ているツールで、以下の URLよりダウンロードが可能です。

Page 52: Microsoft Hyper-V 構成ガイドdownload.microsoft.com/download/2/6/D/26D42F6E-B69B-4181...Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 1 はじめに Microsoft® Hyper-V をインストールし、ウィザードを使って仮想マシンを作成することは簡単です。

Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 50

PowerShell Management Library for Hyper-V

http://pshyperv.codeplex.com/

このライブラリを利用すれば、Hyper-Vで提供される基本機能を、Hyper-V WMI Providerの知識なしに、

PowerShellスクリプトから利用することができ、特定の操作を自動化することが可能です。

Microsoft System Center Virtual Machine Manager 2008 R2

“PowerShell Management Libraryfor Hyper-V”は、オープンソースとして無償で公開されているツールです。一

方、Microsoft System Center Virtual Machine Manager 2008 R2で提供される PowerShellコマンドレットでは、

Hyper-V単体の機能を自動化するだけでなく、System Center Virtual Machine Managerによって提供されるより

高度な管理機能も PowerShellスクリプトから利用することができます。より高度な管理機能の一例としては、

Hyper-Vだけでなく VMware ESXの管理機能や、複数の物理ホストマシン間の仮想マシンの移動などが挙げられ

ます。仮想マシンをホストする物理マシンが複数台数ある場合は、Microsoft System Center Virtual Machine

Manager 2008 R2の利用をお勧めします。

実際に、Microsoft System Center Virutal Machine Manager 2008 R2の PowerShellコマンドレットで何ができ

るかについては、以下のコマンドレット リファレンス(英語)でご確認ください。

System Center Virtual Machine Manager 2008 R2 Cmdlet Reference (英語)

http://www.microsoft.com/download/en/details.aspx?id=2193

Page 53: Microsoft Hyper-V 構成ガイドdownload.microsoft.com/download/2/6/D/26D42F6E-B69B-4181...Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 1 はじめに Microsoft® Hyper-V をインストールし、ウィザードを使って仮想マシンを作成することは簡単です。

Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 51

最後に

このホワイト ペーパーでは、Microsoft® Hyper-Vを要件に合わせて構成していく上で必要な情報を概説しまし

た。より詳細な情報が必要になった場合は、以下の TechNetライブラリをご参照ください。

TechNet ライブラリ: Hyper-V

http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc753637(WS.10).aspx

また、このホワイト ペーパーは、以下のドキュメントをベースに、加筆、修正を行ったものです。

サーバー仮想化における システム構成ガイド ホワイト ペーパー – 第 2 版

http://technet.microsoft.com/ja-jp/virtualization/ff603844.aspx

必要に応じて、上記ドキュメントもご参照ください。

以上

Page 54: Microsoft Hyper-V 構成ガイドdownload.microsoft.com/download/2/6/D/26D42F6E-B69B-4181...Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 1 はじめに Microsoft® Hyper-V をインストールし、ウィザードを使って仮想マシンを作成することは簡単です。

Microsoft® Hyper-V 構成ガイド 52

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Microsoft、Windows Server 2008 Hyper-V、Windows Server 2008 Standard、Enterprise および Data Center、Windows Server® ボリューム シャドウ コピー

サービス、Microsoft SQL Server 2005 TM、Active Directory® ドメイン サービス、Microsoft SQL Server 2005 Express Edition SP1、Microsoft SQL Server 2005

Standard Edition SP1 または SP2、Microsoft SQL Server 2005 Enterprise Edition SP1 または SP2、Microsoft SQL Server 2008、Microsoft SQL Server 2008

Standard Edition、Microsoft SQL Server 2008 Enterprise Edition、Microsoft System Center Data Protection Manager、および Microsoft System Center

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