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インベスコ・フィックスト・インカム(IFIグローバル・フィックスト・インカム・ストラテジー 201871 目次 タイトル 要旨 p.2 米国のマクロ・ファンダメンタルズ にとって貿易戦争はどのような 意味を持つか 過去30年間が貿易の⾃由化・拡⼤の時代だったため、情報は限定的 最も直接的に影響を受けるのは為替市場 貿易戦争の「⼆次効果」(⾦融環境のひっ迫)が強まるようであれば、リスク はより高まることに p.4 ⾦利⾒通し ⾒通しに⼤きな変化なく、米国のニュートラル、ユーロ圏のアンダーウェイトを継 p.6 通貨⾒通し 米ドルの⾒通しを引き上げ p.8 グローバル・クレジット・テーマ 投資適格社債や新興国債券についての⾒⽅や戦略に⼤きな変化なし(貿 易摩擦の影響をリスクとして考慮) バリュエーションの観点から⻑期ゾーンのクレジットに慎重に p.12 ボラティリティ上昇がアジアの米 ドル建て債券市場の投資機会 アジアの米ドル建て債券市場は、最近急速に発展 発⾏体、投資家の双⽅で同市場の圧倒的存在である中国で今年4⽉に理 財商品の取り締まりが強化されて以降、低格付け中⼼にスプレッドが急拡⼤ しかし、7⽉下旬に中国当局が公表した指針で再び投資妙味が高まる公算 p.16 ボトムライン︓マルチセクター・ア プローチの潜在的メリット マルチセクター投資は、さまざまな種類の債券に幅広く投資し、戦略的・戦術 的に配分をシフトすることでリターンの向上、リスクの抑制などを図る運⽤戦略 IFIのマルチセクター戦略は、特定のセクターにバイアスを置くことなく、マクロとセ クター戦略を組み合わせて収益源を分散 p.18 市場モニター

MC2018-106 IFI Global Fixed Income Strategy Jul …...インベスコ・フィックスト・インカム(IFI) グローバル・フィックスト・インカム・ストラテジー2018年7月

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インベスコ・フィックスト・インカム(IFI)グローバル・フィックスト・インカム・ストラテジー 2018年7月

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目次 タイトル 要旨

p.2 米国のマクロ・ファンダメンタルズにとって貿易戦争はどのような意味を持つか

過去30年間が貿易の⾃由化・拡⼤の時代だったため、情報は限定的 最も直接的に影響を受けるのは為替市場 貿易戦争の「⼆次効果」(⾦融環境のひっ迫)が強まるようであれば、リスクはより高まることに

p.4 ⾦利⾒通し ⾒通しに⼤きな変化なく、米国のニュートラル、ユーロ圏のアンダーウェイトを継続

p.6 通貨⾒通し 米ドルの⾒通しを引き上げ

p.8 グローバル・クレジット・テーマ 投資適格社債や新興国債券についての⾒⽅や戦略に⼤きな変化なし(貿易摩擦の影響をリスクとして考慮)

バリュエーションの観点から⻑期ゾーンのクレジットに慎重に

p.12 ボラティリティ上昇がアジアの米ドル建て債券市場の投資機会に

アジアの米ドル建て債券市場は、最近急速に発展 発⾏体、投資家の双⽅で同市場の圧倒的存在である中国で今年4⽉に理財商品の取り締まりが強化されて以降、低格付け中⼼にスプレッドが急拡⼤

しかし、7⽉下旬に中国当局が公表した指針で再び投資妙味が高まる公算

p.16 ボトムライン︓マルチセクター・アプローチの潜在的メリット

マルチセクター投資は、さまざまな種類の債券に幅広く投資し、戦略的・戦術的に配分をシフトすることでリターンの向上、リスクの抑制などを図る運⽤戦略

IFIのマルチセクター戦略は、特定のセクターにバイアスを置くことなく、マクロとセクター戦略を組み合わせて収益源を分散

p.18 市場モニター

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国際貿易戦争の激化と⻑期化は、次の3点で世界市場に影響を与えると私たちは考えています。まず、主要通貨のバリュエーションが、世界の交易条件の変化に合わせて調整される可能性が高いということ。次に、貿易戦争は世界の経済成⻑を抑制する可能性が高いということ。最後に、資産価格がより⼤きなボラティリティにさらされる可能性が高いということです。

関税は⽶国の成⻑を損なうとしたら、どれくらいか︖世界的な貿易戦争は米国の成⻑を損なう可能性がありますが、それがどれくらいかを評価することは難しいです。貿易の恩恵の1つは低コスト品へのアクセスであるため、貿易制限は高額品への切り替えを意味します。高額商品への切り替えは、消費者コストの上昇とインフレ調整後所得の減少を意味します。生産者の投 入コストの上昇も消費者に転嫁されることになります。これらの結果はいずれも消費と、最終的には成⻑を妨げることになります。

理論的には、最終製品や中間製品の代替は成⻑へのマイナスの影響を限定的なものにするでしょう。しかし現実には、新たに関税を付された品物をすばやく国内製品に切り替えることは難しく、貿易制限が突然に高まると、過去20年間に発展してきた多くのグローバル・サプライチェーンに直ちに影響を及ぼす可能性があります。グローバル・サプライチェーンが混乱すれば、経済ショックが発生し、成⻑と生産性が⼤幅に低下する可能性があります。ただし、完全なインパクトは不明なままです。貿易戦争が米国の成⻑に及ぼす影響に関する⾒通しの違いを説明するならば、ゴールドマン・サックスが0.1%の成⻑率低下を⾒込んでいる⼀⽅で、UBSは1.0%のマイナス成⻑を⾒込んでいます。

図表1︓世界の貿易⾼は過去数10年間に拡⼤

出所︓国際通貨基⾦(IMF)、データ期間︓ 1975年12⽉31⽇〜2018年3⽉31⽇。

兆米ドル

グローバル・マクロ・ストラテジー⽶国のマクロ・ファンダメンタルズにとって貿易戦争はどのような意味を持つか⽶国の関税の範囲が拡⼤トランプ政権が340億米ドルの中国製品に関税を課した7⽉5⽇ 1 、貿易戦争が発生する可能性は、単なる議論上のものから現実のものとなりました。この夏以降、当初の340億米ドルに関連した、さらに160億ドルの中国製品に対しても関税が発効することになるでしょう 1 。トランプ政権は、2,000億米ドル相当の中国製品に対する追加関税の準備を開始している 2 うえ、さらに5,000億米ドルの中国製品についても関税を適⽤する⽤意があると伝えています 3 。こうした中国に関連する関税に加えて、米国政府は外国製の⾃動⾞にも関税を課す準備をしています。⾃動⾞関税は、ヨーロッパや⽇本を含む世界各地を対象に、およそ2,750億米ドル相当の製品に影響する⾒込みです。

こうした情勢の変化により、世界貿易戦争の可能性がより明確に浮上し、世界の市場に⼤きな影響を与えています。しかし、貿易戦争がどのような意味を持つか評価することは難しいといえます。というのも、過去30年間が基本的に貿易⾃由化の進展と世界貿易の拡⼤という時代だったため、貿易戦争に⾦融市場がどう反応するかという点についての情報が限定的だからです。

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最も直接的に影響を受けるのは為替市場貿易戦争の最も重要な影響の⼀部は為替市場に現れる可能性が高いでしょう。貿易制限の高まりは、交易条件の変化により、経常⾚字が増加圧⼒を受ける国や、経常⿊字が減少する国の通貨に悪影響を及ぼすことになるでしょう。中国に対する米国の関税引き上げは、中国の経常⿊字を減少させ、貿易に基づいた⼈⺠元のバリューションを低下させることになるでしょう。米ドルへの影響は、保護貿易政策の強化によって米国の経常⾚字が減少する可能性があるため、同通貨を押し上げる⽅向に作⽤することでしょう。米国の貿易相⼿国が通貨安を関税の報復⼿段として使⽤するようであれば、米ドルの上昇は加速する可能性があります。例えば、中国は⼈⺠元の価値を下げ、輸出の競争⼒を高めるため、外為市場で介入する可能性があります。貿易戦争のさらなる副産物としては、投資家の信頼感低下が中国からの資本流出の急増に結びつき、⼈⺠元の急落につながる可能性が指摘できます。

貿易戦争の⼆次効果がもたらすより⼤きなリスク︓⾦融環境のひっ迫さらに関税が引き上げることの最⼤のリスクとして⾒込んでいるのは、私たちの3つの主要マクロ・ファクターの1つである「⾦融環境」のひっ迫です。これは米国の成⻑を⼤幅に抑制するに⼗分なほど強い効果が想定されます。資産価格のボラティリティが高まると、⾦融環境はひっ迫する傾向にあります。⾦融市場のひっ迫という⼆次効果は、貿易制限による当初の影響をはるかに上回ると想像できます。例えば、関税率の変更により、特定企業がデフォルトのリスクに直面しているとの思惑が高まると、株価のボラティリティとクレジット・スプレッドの拡⼤につながる可能性があります。このシナリオでは、資⾦調達コストの上昇はすべての米国企業に及ぶ可能性があります。⾦融環境のひっ迫は、政策当局がそれを安定させるべく介入しない限り、成⻑率を低下させることになるでしょう。

債券市場の反応はいかに︖貿易戦争のシナリオでは、⾦融環境がひっ迫し、より不確実な成⻑⾒通しと資産価格の変動性が拡⼤する可能性につながると予想されます。成⻑に関する不透明感の高まりと市場のボラティリティの高まりは、⻑期⾦利を押し下げ、クレジット・スプレッドを拡⼤させる可能性があります。この組み合わせはまた、米連邦準備理事会(FRB)による利上げの⼀時停⽌につながる可能性があります。⾦利が低下するとしても、米ドルは米国資産への「質への逃避」により上昇すると考えられます。

ジェームズ・オング(シニア・マクロ・ストラテジスト)

1. 出所︓ ワシントン・ポスト紙、” U.S. levies tariffs on $34 billion worth of Chinese imports”、2018年7⽉6⽇。

2. 出所︓ CNBC、” Trump administration announces list of tariffs on $200 billion in Chinese goods“、2018年7⽉10⽇。

3. 出所︓ ロイター、” Trump threatens tariffs on all $500 billion of Chinese imports”、2018年7⽉20⽇。4. 出所︓ ゴールドマン・サックス・エコノミック・リサーチ、”Dissecting the Effect of Tariffs on US-China Trade”、

2018年7⽉9⽇。5. 出所︓ ゴールドマン・サックス・エコノミック・リサーチ、”The Trade War: An Update”、2018年6⽉25⽇、UBSグローバル・リサーチ、” Trade Wars-What is the impact on growth, inflation and financial markets? A Top Down view”。

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⾦利⾒通し⽶国︓ ニュートラル 貿易不安の高まりとトレンドを上回る経済成⻑率とを背景に、米国の⾦利は⼀進⼀退の推移を続けるだろうと予想しています。貿易に関連した⼤きなショックがないと仮定すれば、米国の成⻑率は、エネルギー部門の設備投資の増加、雇⽤や消費の堅調な伸びにより、年内はトレンドを上回る可能性が高いとみています。2018年の国内総生産(GDP)成⻑率はおおむね2.8%と、⻑期的に持続可能なトレンド成⻑率を1%も上回るだろうと予想されます。コア(食品とエネルギーを除く)インフレ率は依然として抑制されており、今後2カ⽉で2.3%のピークに達した後、住宅やサービス価格の伸び鈍化により2%を下回る⽔準に低下する⾒込みです。貿易に関連したトランプ政権の⾏動により、私たちが重視する3つのマクロ・ファクターの1つである⾦融環境は世界的にタイト化してきており、8⽉遅くから秋にかけて実施が予想されるさらなる関税の適⽤は⾦融市場のボラティリティを高めることになるでしょう。そうした場合、米国債に資⾦が流入し、利回りが押し下げられる可能性があります。

ユーロ圏︓ アンダーウエート 不透明な世界情勢、イタリアの政局動向、6⽉の欧州中央銀⾏(ECB)理事会でのハト派的な決定などを背景とした「質への逃避」から、欧州中核国の国債は過去2カ⽉間は底堅く推移しました。私たちは、ユーロ圏の2018年前半の経済指標の鈍化は、⼤幅な景気原則というよりはむしろ経済活動の落ち着きを⽰しており、2018年後半の経済指標はユーロ圏の景気がトレンドをかなり上回る⽔準で推移することを⽰すだろうと引き続き予想しています。景気の強さと現在の割安なバリュエーションとを踏まえると、欧州の⾦利はタームプレミアムの上昇を織り込み始める(⻑短⾦利差が拡⼤する)と考えています。欧州⾦利に対するアンダーウエートを維持します。

中国︓ オーバーウエート 中国国債のイールドカーブはスティープ化し、短期債利回りの低下が続くだろうと予想しています。中央銀⾏である中国⼈⺠銀⾏による⾦融緩和措置と、市場がより積極的な財政政策を期待しているからです。理財商品に対する詳細な規制が短期債への需要増につながると予想されます。⻑期国債は、現在の⽔準では、短期の高格付け債ほど魅⼒的ではない可能性があります。政策銀⾏債や高格付け社債のクレジット・スプレッドは当面はさらに縮小すると予想しています。

日本︓ ニュートラル ⽇本銀⾏は、7⽉の⾦融政策決定会合で、小規模の⾦融政策の調整を明らかにしました。 それには、①イールドカーブ・コントロール(YCC)下での10年国債利回りのある程度の変動の許容、②マイナス⾦利が適⽤される政策⾦利残高の縮小、③⽇銀が買い入れている上場投資信託(ETF)の構成変更(東証株価指数(TOPIX)連動型の拡⼤)が含まれます。また、⽇銀は政策⾦利のフォワードガイダンスの導入を決定し、当分の間、現在の極めて低い⻑短⾦利の⽔準を維持するとしたことから、⽇本国債は上昇しました。今後は、輸出と⺠間部門の需要回復により、⽇本の景気は、落ち込みが⾒られた2018年1-3⽉期から回復すると予想しています。

英国︓ ニュートラル メイ首相の内閣は、7⽉初旬に起草された英国の欧州連合(EU)離脱(「ブレグジット」)の交渉戦略で連帯責任を採択するのに苦労しています。国⺠投票で英国のEU離脱が決まったのは2年以上も前のことです。離脱までの9カ⽉しかないにもかかわらず、その後に英国がEUとどのような貿易関係になるのか判明しない状態が続いています。様々な結果が想定されます。メイ首相への不信任投票、総選挙や国⺠投票の再実施、EU離脱⽇の延期、ハード・ブレグジット、さらには英国がEUに残り続ける可能性などです。英国の政治家たちが夏休みに入るため、事態の進⾏は停滞することでしょうが、彼らが戻る9⽉には緊張が高まる可能性があります。私たちは、英国が最悪でもソフト・ブレグジットを選択することをメインシナリオとしていますが、その解決は最後の瞬間まで待たねばならないでしょう。

カナダ︓ ニュートラル 中央銀⾏のカナダ銀⾏(BoC)は、7⽉の会議で政策⾦利を1.75%に引き上げました 1 。この利上げは、米国との貿易交渉が停滞しているにもかかわらず、BoCがゆっくりと利上げ軌道が適切だと考えているという事実を反映しています。経済データは、住宅の伸びが鈍化する⼀⽅、雇⽤は引き続き堅調で、インフレは緩やかに上昇するなど、いくぶん混然としています。カナダの10年国債利回りは、5⽉に2.52%でピークを打ち、その後は2.0%をわずかに上回る年初とほぼ同⽔準まで低下してきました 2 。この⽔準からさらに利回りが低下することは難しいだろうと私たちは⾒ています。

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オーストラリア︓ ニュートラル オーストラリアの経済統計は依然として退屈なままです。6⽉の雇⽤の伸びは堅調でしたが、労働参加率の上昇により、失業率は5.4%のままでした 3 。住宅信⽤の伸びは鈍化しましたが、管理可能な範囲にとどまっているようです。賃⾦の伸びが勢いに⽋け、インフレも抑制されているため、中央銀⾏のオーストラリア準備銀⾏(RBA)は政策⾦利を据え置くことができています。10年国債利回りは年初来の最低⽔準近辺にありますが、世界の経済成⻑がさらに鈍化しない限り、さらなる低下は⾒込みにくいでしょう。

インド︓ ニュートラル インド債券では、10年国債利回りが8%に達するようであればバリュエーション重視の投資家が購入に踏み切ることで、レンジ内の推移にとどまると考えています。 魅⼒的なバリュエーションが⼤幅な下落を抑制しているものの、マクロ経済のリスクは利回り上昇⽅向にあると考えています。原油価格の上昇、ここ数カ⽉間のコア(食品とエネルギーを除く)インフレ率の上昇、最近の農作物の最低支持価格の引き上げなどが相まって、総合インフレ率がさらに上振れすることへの警戒感が高まっています。コア消費者物価上昇率は6⽉に6.35%まで上昇したことを背景に、中央銀⾏のインド準備銀⾏(RBI)が8⽉の⾦融政策委員会で再び利上げを⾏う可能性は⼤幅に高まったと考えています。

ロブ・ワルドナー(チーフ・ストラテジスト)ジェームズ・オング(シニア・マクロ・ストラテジスト)ノエル・コラム(アソシエイト・ポートフォリオ・マネジャー)レイン・バイター(マクロ・アナリスト)イー・フー(シニア・アナリスト)ショーン・コネリー(ポートフォリオ・マネジャー)ブライアン・シュナイダー(ヘッド・オブ・ノースアメリカン・レート・ポートフォリオ・マネジメント)スコット・ケース(ポートフォリオ・マネジャー)アムリッパル・シドゥー(クオンツ・アナリスト)

1. 出所︓ BoC、2018年7⽉11⽇。2. 出所︓ Bloomberg、2018年5⽉17⽇〜2018年7⽉20⽇。3. 出所︓ オーストラリア統計局、2018年7⽉19⽇。4. 出所︓ Bloomberg、2018年7⽉12⽇。

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通貨⾒通し⽶ドル︓ ニュートラル 貿易をめぐる緊張により、私たちは⾒⽅を⼀部変更しました。米ドルが広範な通貨に対して弱含むとの予想を修正し、貿易をめぐる緊張の高まりにつれ、米ドルが中国に関連した通貨に対して上昇すると考えています。いかなる関税の引き上げも、中国⼈⺠元や韓国ウォンなど(⽇本円を除く)アジア通貨のバリュエーションに不利な影響を与える可能性があると私たちは考えています。さらに、関税によって生じるボラティリティが、これらの国々からの資⾦流出を引き起こし、米ドルに対する⼀段安につながる可能性があります。米ドルが下落するとすれば、それは成⻑率がトレンドを上回り、中央銀⾏が引き締め⽅向へのサプライズをもたらす国の通貨に対してということになるでしょう。

ユーロ︓ オーバーウエート 最近のユーロの値動きの収束は完了し、1ユーロ=1.15米ドルが下半期のユーロ/米ドル為替レートの下限として確⽴されたと考えています 1 。新興国通貨がさらに混乱するようであれば、新興国通貨に対するユーロの支援材料となり、逆に新興国通貨に対するリスク許容度が回復するようであれば、米ドルに対するユーロ支援材料となるでしょう。

中国⼈⺠元︓ ニュートラル 貿易戦争と中国のオンショアの⾦融緩和措置が⼈⺠元の圧迫要因となり、7⽉中旬時点の⼈⺠元は1米ドル=6.7元から同6.8元への元安となりました。流出⽅向への資本規制は依然として厳しく、MSCI EM指数への中国A株の追加や、今後のブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・アグリゲート・ボンド・インデックスへの中国債券の組み入れなどの⾦融開放により、中国オンショア資産に対する海外からの需要が増加し、 安定した流入につながる可能性はあります。しかし、貿易摩擦や中国国内の⾦融緩和措置は、当面、⼈⺠元に押し下げ圧⼒として作⽤し続ける可能性が高いでしょう。私たちは、1米ドル=6.9元が⼈⺠元の次の下値めどになると予想しています。

日本円︓ ニュートラル 7⽉の円は米ドルに対して横ばいで推移しました。⽉初は、貿易戦争への懸念の緩和に伴い、米国の利回りと株価の上昇に追随して1米ドル=113円レベルに達した後、7⽉末の⽇銀の⾦融政策決定会合で⾦融引き締め⽅向の決定がなされるのではないかとの思惑により同111円まで円高が進みました 1 。しかし、実際に発表された⽇銀の⾦融政策の調整は、市場ではハト派的と⾒なされたようです。投資家の円買い米ドル売りポジションの巻き戻しに伴い、ドル円レートは再び円安推移となり、1米ドル=112円に戻りました。

英ポンド︓ ニュートラル 英ポンドは、ブレグジットをめぐる議論の進展と利上げ期待に左右されることになるでしょう。私たちはブレグジットが近いうちにめざましい進展を⾒せるとは予想していません。しかし、ヘンリー王子の結婚、とりわけ暑い夏、FIFAワールドカップ・サッカー⼤会でのイングランド代表チームの善戦などを背景に経済統計は回復しており、中央銀⾏のイングランド銀⾏(BoE)は⼗分な⾃信を持って8⽉の⾦融政策委員会(MPC)で利上げを決めることでしょう。中期的には、英ポンドが引き続き堅調に推移すると予想していますが、それが実現するには、ブレグジット交渉でいくつかの前向きな情勢の進展が必要となるでしょう。

カナダドル︓ ニュートラル 年初来、カナダドルはほとんど下落傾向にあります。BoCは7⽉に政策⾦利を1.75%に引き上げましたが、カナダドルを下支えする効果はほとんどありませんでした 3 。住宅の伸びが鈍化しても、経済データは概して好調です。雇⽤は引き続き堅調で、小売売上高は、天候の影響を受けた4⽉の減少の後、5⽉は⼤幅な回復を⽰しました。インフレ率はBoCのコア・インフレ指標が2.0%近くと、じりじりと上昇が続いています 4 。私たちは、カナダドルがそろそろ反発にさしかかるだろうと考えています。

オーストラリア(豪)ドル︓ アンダーウエート 豪ドルは、中国の成⻑鈍化や米中の関税引き上げ競争を受け、最近は圧⼒を受けています。中国の成⻑鈍化は⾦属コモディティ価格を押し下げ、豪ドルのショート・ポジションへの関⼼の高まりにつながっています。住宅市場の伸び鈍化や消費が頭打ちとなっていることも豪ドルの圧迫要因となっています。貿易紛争に終わりが⾒えないことから、私たち現在、豪ドルが上昇するとは⾒込んでいません。

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インドルピー︓ ネガティブ インドルピーは⼤きく売られ、年初来で米ドルに対し7.94%安となっています 5 。これは主に、原油価格の上昇、海外投資家の資⾦流出、経常⾚字の拡⼤に対する投資家の懸念などによるものです。今後についても、資本収支のマイナス、原油高、貿易⾚字の拡⼤により国際収支が依然として悪化する公算であることから、ルピーのリスクは下落⽅向にあると考えています。

レイ・ユイ(ヘッド・オブ・マクロ・リサーチ・アンド・カレンシー・ポートフォリオ・マネジメント)、ジェームズ・オング(シニア・マクロ・ストラテジスト)イー・フー(シニア・アナリスト)ショーン・コネリー(ポートフォリオ・マネジャー)ブライアン・シュナイダー(ヘッド・オブ・ノースアメリカン・レート・ポートフォリオ・マネジメント)スコット・ケース(ポートフォリオ・マネジャー)アムリッパル・シドゥー(クオンツ・アナリスト)

1. 出所︓ Bloomberg、データ期間︓ 2018年7⽉17⽇〜2017年7⽉27⽇。2. 出所︓ Bloomberg、2018年7⽉31⽇。3. 出所︓ BoC、2018年7⽉11⽇。4. 出所︓ カナダ統計局、2018年7⽉20⽇。5. 出所︓ Bloomberg、2018年7⽉24⽇。7

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地域別テーマ

投資適格社債︓ ファンダメンタルズの⾒通しは依然として堅調だが、需給面の「ゴルディロックス」状態にはピークアウトの兆し

論理的⾒解2018年前半が記録的な利益・売上高成⻑となるなど、社債のファンダメンタルズは多くの国・地域とセクターで改善が続いています。レバレッジは最近の循環的なピークからやや縮小しており、株主は調達コストの上昇に対応して、レバレッジを引き下げるよう圧⼒を強めており、昨年末に成⽴した税制改革も、過剰な利払いに不利に働きます。その結果、バランスシートは今後改善すると予想されます。S&P500指数構成企業の2018年の利益は前年から18%増加し、その半分近くが減税効果によるとみられます。こうした好調なファンダメンタルズ環境にもかかわらず、世界的な貿易摩擦がコストを押し上げ、年初来は好調だった設備投資を先延ばしさせる可能性があります。米国の利上げを受けたヘッジコストの上昇により、米国外投資家からの需要が減退している様子が⾒られます。米国企業が海外に蓄え、そのほとんどが短期の投資適格社債で運⽤されていたキャッシュを米国に送⾦することも、短期債への需要低下につながります。FRBがバランスシート縮小に伴って債券投資の減額を進める中、米国債の発⾏額増加がTビルから⻑期債にシフトすると予想されることも、需給面の弱材料です。幸いにも、残存期間の⻑い社債への機関投資家の需要は依然として堅調で、国内ではミューチュアル・ファンドや上場投資信託(ETF)への資⾦流入も、昨年よりは低調ではあるものの、続いてはいます。欧州では、ブレグジットやイタリアなどでの政治的な不確実性が残存しますが、市場は概してクレジットサイクルの初期の段階にあり、レバレッジもそれほど高まっていません。多くの資産クラスでクレジット・スプレッドが今サイクルの最低⽔準からは拡⼤していることや良好なファンダメンタルズ⾒通しを踏まえると、投資適格社債市場のリターンは安定が⾒込まれます。IFIの戦略投資適格社債については、最近、オーバーウエートからニュートラルに⾒⽅を変更し、米国や英国、アジアよりも⼤陸欧州を強気に⾒ています。注視している材料としては、①全体として世界のクレジットフローに影響を及ぼすと⾒られるFRBやECB、⽇銀、BOEなどの将来の⾦融政策の変化、②財政や規制面の政策動向、③「ソフト」統計(センチメントなどの先⾏指標)に⾒られる改善が「ハード」統計(受注高や売上高など)で確認されるかどうか、④関税が需要や投資に及ぼす影響と世界貿易戦争がより不安定になる可能性―などがあります。

新興国債券︓政治面の不透明さの⼀⽅、マクロ経済のファンダメンタルズは引き続き良好論理的⾒解ソブリン債のクレジットは、特にハイ・イールドかつ景気敏感の分野で改善してきました。米ドル建ての資⾦調達はいくぶん緩和したものの、中短期⾦利がある程度低下するまで、市場に戻る資⾦は限定的で、市場の需給⾒通しははっきりしないでしょう。中国は、成⻑鈍化により、⾦融・財政両政策を通じた緩和措置を加速させました。中国ではさらなる緩和措置が打ち出され、同国経済の影響を受けやすい国の短期的な支援材料となる可能性があります。メキシコとトルコの⼤統領選挙を終え、新興国の政治リスクはいくぶん緩和していますが、市場は両国が計画通りに政策を実⾏できないことを警戒しています。さらに、10⽉のブラジル⼤統領選挙がどうなるかは非常に不透明なままです。IFIの戦略市場は新興国に対して米⾦利と米ドルの上昇から生じるリスクを過剰に織り込んでいると私たちは引き続き考えていますが、最近の選挙結果(や今後の選挙の予定)を受けていくつかの国では個別リスクが高まりました。中国がハード・ランディングしないとの想定を基本シナリオとし、今年後半には幅広い新興国資産が回復すると予想しています。それでも、政治面や地政学面の不透明さが高まっていることを踏まえ、ポートフォリオ運営では選別的な姿勢を強め、来る選挙の結果、市場にとって好ましくない政策を採⽤する可能性がある国については静観する⼀⽅、ファンダメンタルズが良好で、国内の政治情勢の不透明感が低く、バリュエーションが魅⼒的な国の市場を選好します。

グローバル投資テーマ

グローバル・クレジット・テーマこのセクションでは、IFIのグローバルなマクロやクレジットに関するリサーチ・プロセスとその⾒通しに影響し得る主要なテーマに焦点を当て、紹介します。テーマは、市場動向や予想に基づいて、随時更新されます。

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⽶国商業⽤不動産ローン担保証券(CMBS)︓ 新規発⾏の顕著な減少、小売業界のファンダメンタルズを注視

論理的⾒解小売業界に関する暗い報道が目につきますが、CMBSは代替が難しい資産クラスであることから、私たちは価格上昇を理由とした売りの推奨はしません。純新規発⾏は引き続き若⼲プラスを予想していますが、⾦利の上昇や取引量の減少を踏まえると、ノン・エージェンシーCMBSの発⾏額は私たちの当初予想である800億米ドルには届かない⾒込みです。米国の不動産価格は引き続き上昇していますが、そのペースはオフィスや商業・小売セクターで特に減速しています。対照的に、集合住宅と産業施設物件への需要は依然として堅調です。IFIの戦略スプレッドの⼤幅な縮小を踏まえ、組成から年数が経過したCMBSを選好しているほか、AAA格のCMBSが最も魅⼒的と考えています。銘柄間の信⽤⼒格差が拡⼤し、銘柄選択の重要性が増していることから、⼤型地⽅モールへの銘柄集中に対しては注意を要します。単⼀物件の借り⼿が効果的なエクスポージャー管理の⼿段となりえます。⽶国住宅ローン担保証券(RMBS)︓ 好調なファンダメンタルズ、フラット化し過ぎたクレジット・カーブ、活発な発⾏

論理的⾒解住宅のファンダメンタルズは依然として良好で、限られた供給と健全な雇⽤環境が住宅価格の⼤幅な上昇を支えています。⾦融危機前の延滞率はゆっくりと改善を続けており、新たな住宅ローンの借り⼿のパフォーマンスは、さまざまなセクターで住宅危機後は厳しい引き受け基準が実施されていることを⽰しています。新規供給は増加していますが、市場参加者が過去に発⾏されたRMBSへのエクスポージャーを置き換えているほか、危機後に発⾏されたRMBSのプリペイメントのペースが速いため、何の問題もなく消化されています。クレジット・カーブは、非投資適格債の好パフォーマンスによりフラット化していますが、今後のクレジット・スプレッド縮小余地は限定的と考えられます。

IFIの戦略高格付けの従来型RMBS、ノン・クオリファイド・モーゲージ(non-QM)のシニア債、組成から年数が経過した投資適格の信⽤リスク移転(CRT)証券を選好しています。⼀⽅で、新たに発⾏された非投資適格でデュレーションが⻑い劣後クラスの債券についてはアンダーウエートとしています。

⽶国資産担保証券(ABS)︓正常化するファンダメンタル、中⽴的な需給要因、デュレーションの短いエソテリック債に投資機会

論理的⾒解銀⾏貸出の正常化と経済の健全さに関する⾒通しが2018年も引き続き消費者信⽤のパフォーマンスを下支えすると考えます。債券市場は引き続きトランプ政権の政策の⻑期的な影響とFRBによる今後の追加利上げの動向を⾒定めようとしていますが、こうした不確実性は、デュレーションが短く比較的安定したABS市場に有利に働くはずです。

IFIの戦略⾦利上昇により変動⾦利ABSに有利な環境ですが、中短期ゾーンがスティープ化している現在の環境を踏まえ、短期の満期に近いABSを選好しています。スプレッドが乗っているという点では、業務⽤⾞両レンタル、⾃動⾞販売会社の在庫担保融資(フロアプラン)、機材、オートリースなどを裏付け資産とした指標外セクターのAAA格ABSも依然として魅⼒的です。利回りの向上を求めるならば、⼀部の低格付けのエソテリック債(複雑な資産を裏付けとする証券化商品)も、同等の社債に比べて前向きな判断をしています。⼀⽅で、規模が小さく、プライベート・エクイティ会社がスポンサーとなった、信⽤度が著しく低いサブプライム⾃動⾞ローンABSは回避しています。

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消費関連のグローバル規模での⾒通しの差は縮まり、⽶国の財政政策の影響に注目

論理的⾒解堅調な米国の労働市場と消費者信頼感は支援材料ですが、消費者は価格に対してより敏感となっているうえ、米国外の消費需要は依然として⼀様ではありません。ブレグジットによる欧州の消費動向の変化も注目材料です。

IFIの戦略私たちは、レジャーや住宅関連のセクターを含む米国の消費者セクターを選択しています。 差別化されていないデパートやショッピングモールには否定的です。 新興国の消費者セクターは選別的に選考している⼀⽅で、悪化する貿易環境を踏まえ、相⼿先商標(OEM)の⾃動⾞メーカーにはさらに慎重になっています。

M&A後のレバレッジ低下を⾒据えたポジショニング

論理的⾒解M&A活動は落ち着いてきたものの、企業の海外での⼤量のキャッシュ保有、税制改革成⽴後の資⾦還流の可能性、適度な資⾦調達コスト、有機的売上高成⻑の鈍さ、事業ポートフォリオ⾒直しの必要性などから、引き続きリスクがあります。

IFIの戦略発⾏額や流動性を考慮し、コンセッション(発⾏時のディスカウント)やレバレッジの引き下げ計画に特徴付けられるM&A完了後の新規発⾏案件に妙味を感じています。ただし、M&Aに関連した新規発⾏パイプラインは、減少してはいるものの、依然として潤沢であるため、より綿密な精査が重要だと考えます。

テクノロジー・メディア・通信(TMT)︓データと接続性

論理的⾒解データ利⽤量の増加トレンドは加速し、データ配信やネットワーク技術の進化が必要になると予想します。

IFIの戦略無線通信や電波塔、メディアなどの分野における⻑期持続的な勝者へのエクスポージャーを選考します。テクノロジー分野では、非常に効率的なクラウド・ベースのソリューションを有するデータ配信業者を選好しています。

セクターに関するテーマ

コモディティ︓世界的な供給懸念からエネルギー価格は不安定であり、パイプラインを選好

論理的⾒解コモディティは世界同時経済成⻑からの恩恵を受け、予想を上回る需要から、過去1年で価格が⼤幅に上昇しました。しかし、製造業購買担当者指数(PMI)の低下などに同時成⻑が崩れる兆しが現れつつあり、世界的なコモディティ需要の減退が、最近の価格下落につながっています。利払前・税引前・減価償却前利益(EBITDA)の伸びが続くなど企業のファンダメンタルズは良好と予想されますが、設備投資が回復しているため、フリー・キャッシュフローの創出は弱まっています。しかし、中国⼈⺠銀⾏が⾦融環境を引き締めている⼀⽅で、中国の鉄鋼消費の過熱を伴って⾦属在庫が増加していることは、下振れリスクを高めています。

IFIの戦略良好な需給動向の恩恵が⾒込まれるうえ、債券のバリュエーションも魅⼒的なアルミや銅の生産会社に加え、中南米の総合石油会社、ロシアの⼀部の石油・ガス生産会社、米国の⼀部のパイプライン会社を選好しています。

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トニー・ウォン(ヘッド・オブ・グローバル・リサーチ)、ジョセフ・ポルテラ(ハイ・イールド・アンド・マルチセクター・クレジット CIO)、マイケル・ハイマン(グローバル・インベストメント・グレード・アンド・エマージング・マーケッツCIO)マリオ・クレメンテ(ヘッド・オブ・ストラクチャード・インベストメント)

イールド・カーブに関するテーマ

クレジット・カーブに応じたポジショニング、⻑期ゾーンは割安さを消失

論理的⾒解米国債利回りのフラット化により、利回り⽔準を重視する投資家にとって、中短期ゾーンがより魅⼒的となっています。この米国債利回りのフラット化を相殺する形で、投資適格社債のカーブはスティープ化を強いられており、投資家に退出を促しています。30年社債利回りが落ち着きどころを⾒いだしたことから社債カーブのスティープ化は最近⼀段落しましたが、年初に比べれば、スプレッドはかなり拡⼤しています。10年債もある程度拡⼤してきましたが、依然として似たような需給動向にあります。

IFIの戦略クレジット・カーブのスティープ化が進んだことから、スプレッドの観点からは30年社債が魅⼒的になり始めているようです。しかし、私たちはある程度カーブがスティープ化しながらも、30年に比べればボラティリティが小さい7-10年ゾーンを選好しています。

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グローバル・クレジット・ストラテジーボラティリティ上昇がアジアの⽶ドル建て債券市場の投資機会にアジアの米ドル建て債券市場は近年急速に成⻑し、現在の時価総額は1兆米ドルを超えています(図表1)。この拡⼤は、新規発⾏総額の増加に支えられています。2017年末現在、新規発⾏量は市場全体の約3分の1を占め、発⾏体と買い⼿双⽅のかなりの割合が中国の⾦融機関でした(図表2)。同時に、中国当局は、国内市場を開放し、⾦融システムのレバレッジを減らし、クレジット・カーブを正常化する政策目標を実施しています。

このセクションでは、IFIが運⽤するさまざまな債券資産に関するIFIのクレジット分析⾒通しに焦点を当てています。

図表1︓アジアの⽶ドル建て債券市場の成⻑(発⾏国ごとの残高)

出所︓HSBC、Bloomberg、インベスコ、データ期間︓2010年12⽉31⽇〜2018年7⽉18⽇。

百万米ドル

中国本土 香港 韓国 インドネシア インド フィリピンシンガポール マレーシア その他

図表2︓アジアの⽶ドル建て債の発⾏総額

出所︓Bloomberg、HSBC、2018年5⽉31⽇現在。

10億米ドル

このことは、同資産クラスのチャンスと課題の双⽅を提⽰しています。7⽉21⽇の週末に発表された最新の政策は、4⽉の新しい資産運⽤ルールで⽰された⽅向性に比べてクレジット条件を緩和するものであり、市場で非常に前向きに受け入れられました。

中国の債券発⾏体は、2017年の発⾏総額の70%以上を占めていました(図表3)。累積でも、中国は現在、アジアの米ドル建て債券市場の60%以上を占めています(図表4)。

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中国の需要は安定的に増加アジアの米ドル建て債券市場では、新規発⾏された債券の⼤半をアジアの投資家が購入してきました(図表5)。このプライマリー市場においても、中国の投資家は支配的な存在で、継続的に国際債券市場への投資先分散を進めてきました。

図表3︓アジアの⽶ドル建て債の新規発⾏に占める⼤中華圏のウエート

出所︓HSBC、2018年5⽉31⽇現在。

図表4︓アジアの⽶ドル建て債の発⾏体のシェア

出所︓Bloomberg、JPモルガン、インベスコ、2018年5⽉31⽇現在。その他アジア諸国は、韓国、インドネシア、モンゴル、インド、フィリピン、マレーシア、シンガポール、タイ、スリランカ、パキスタン、ベトナム、モルジブ、バングラデシュ。

⼤中華圏60.3%

その他アジア諸国39.7%

図表5︓アジアの⽶ドル建て債プライマリー市場における投資家の内訳

出所︓BoAメリルリンチ、Bloomberg、データ期間︓2010年12⽉31⽇〜2018年6⽉30⽇現在。

アジア 米国 欧州

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最近の情勢の変化はアジアの⽶ドル建て債券市場の下押し圧⼒にここ数年の中国の好調な需給動向は、アジアの米ドル建て債券市場の急速な成⻑を支えてきました。それによって、アジアの米ドル建て債券市場のクレジット・スプレッドは、2018年1-3⽉期まで米国の社債市場に比べて全般的に小さいものでした(図表6と図表7)。この好影響は、投資適格よりもハイ・イールド債券で顕著に⾒られました。

4⽉下旬、中国当局は、同国のシャドー・バンキング活動の⼤部分を構成する理財商品に関する新たな規制を発表しました。理財商品は、中国のほとんどの非国有企業にとって重要な資⾦調達源です。無保証の理財商品の総額は、2017年末時点の推定で22.2兆元(約3.4兆米ドル)でした 1 。新しい規制が始まることは市場や中国の⾦融機関の間で広く予想されていましたが、新しい規制の中には、詳細が明らかになっていない項目がありました。規制当局からのさらなる指針を待つ間、⼀部の中国の⾦融機関は、理財商品事業を⼀時停⽌または⼤幅に縮小しました。無保証の理財商品の総額は、6⽉末時点で5.3%減の21兆元(3.1兆米ドル)と急減しました 1 。これは、中国の多くの非国有企業にとっては「クレジット・クランチ・シナリオ」です。市場では、中国の米ドル建てハイ・イールド債券の発⾏体が借り換えリスクに直面するとの認識が⼤幅に高まり、オフショア市場における急速なクレジット・スプレッドの拡⼤につながり、アジアの米ドル建てハイ・イールド債券市場全体に波及しました(図表6と図表7) 。

図表6︓⽶ドル建てハイ・イールド社債のスプレッド比較(アジアから⽶国を控除した差)(OAS比較)

出所︓Bloombergで提供されるICE債券インデックス(BoAメリルリンチ)、Bloomberg、インベスコ。アジア︓ICE BofA Merrill Asian Dollar High Yield Corporate Constrained Index(ACCY、2018年7⽉13⽇時点の平均格付け=Ba3、平均デュレーション=2.96年)。米国︓ICE BofA Merrill US High Yield Index(H0A0、2018年7⽉13⽇時点の平均格付け=B1、平均デュレーション=4.12年)。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。現在のパフォーマンスはパフォーマンスが⽰すよりも高かったり低かったりする可能性があります。

図表7︓⽶ドル建て投資適格社債のスプレッド比較(アジアから⽶国を控除した差)(OAS比較)

ベーシスポイント

ベーシスポイント

出所︓Bloombergで提供されるICE債券インデックス(BoAメリルリンチ)、Bloomberg、インベスコ。アジア︓ICE BofA Merrill Asian Dollar Investment Grade Corporate Index(ACIG、2018年7⽉13⽇時点の平均格付け=A3、平均デュレーション=4.92年)。米国︓ICE BofA Merrill US Corporate Constrained Index(C0AC、2018年7⽉13⽇時点の平均格付け=A3、平均デュレーション=7.03年)。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。現在のパフォーマンスはパフォーマンスが⽰すよりも高かったり低かったりする可能性があります。

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新たな政策措置がアジアの⽶ドル建て債を下支えする可能性7⽉21⽇の週末に、中国当局は新たな理財商品規制に関する詳細な指針を発表しました。新たな規制は、中国におけるシャドー・バンキング活動をいっそう引き締めることにつながる可能性が高いですが、健全な理財商品については再活性化させることになるでしょう。したがって、中国の米ドル建てハイ・イールド社債に関連した借り換えリスクに関する市場の認識は改善すると予想されます。

加えて、中国⼈⺠銀⾏が7⽉18⽇にまとめた中期貸出ファシリティー(MLF)は、中国の銀⾏が低格付けのオンショア社債を購入するよう促すと期待されています 2 。この新たな措置は、中国のハイ・イールド債券の発⾏体が直面する借り換えリスクを即座に著しく改善するものではないかもしれませんが、中国当局がレバレッジの引き下げとより正常なクレジット・カーブを追求する過程においても、不必要なクレジット・クランチを避けたい意向だとのよいシグナルを市場に提供することになると考えています。こうした最近の前向きな政策の進展に基づき、私たちは⼀部の中国およびアジアの米ドル建て債、とりわけハイ・イールド社債に価値を⾒いだしています。

ケン・フー(アジア・パシフィック CIO)マシュー・コン(シニア・クレジット・アナリスト)リック・ウェン(フィックスト・インカム・アナリスト)コナン・ロー(アソシエイト)デービッド・トッド(ヘッド・オブ・グローバル・インベストメント・グレード・アンド・エマージング・マーケッツ・リサーチ)

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1. 出所︓中国銀⾏保険監督管理委員会(CBRC)、2018年7⽉20⽇。2. 出所︓ Bloomberg、”China Flirts with Easier Monetary Policy Amid Slowing Growth”、2018年7⽉18⽇。

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ボトム・ラインマルチセクター・アプローチの潜在的メリット

IFIのマルチセクター戦略の責任者に、債券市場のメリットを捉えることを目的とする同戦略についてヒアリングしました。

質問1︓「マルチセクター投資」とは何ですか︖ワルドナー︓マルチセクターは「マルチプル・セクター」の略で、国債や社債、証券化商品などの異なるタイプの債券(セクター)を意味します。マルチセクター債券投資は、異なるセクターを幅広く投資対象とし、予想される投資環境における期待パフォーマンスに基づいて各セクターへの資⾦配分を決定するものです。クレジットのリスクを取ることが報われる場合があれば、不利に作⽤する場合もあります。マルチセクター債券戦略は、適切な時期に異なるセクター間での配分を変化させることによってリターンの向上を試みます。セクター間で戦略的に配分をシフトすることがマルチセクター投資の本質です。

質問2︓投資家がマルチセクター戦略の利⽤を検討すべき理由とは何ですか︖ワルドナー︓投資家は、パフォーマンス、分散、コスト、利便性という4つの理由からマルチセクター戦略を検討すべきと考えられます。パフォーマンスの観点からは、資産クラスとセクターのパフォーマンスには、その時々で⼤きな差が存在します。ある時期に最もパフォーマンスがよい資産は、その後、最悪のパフォーマンスとなる場合があります。きちんとした能⼒に基づいた「セクター・ローテーション」は、アロケーションをそのままとする場合に比べて、⼤幅なパフォーマンスの向上に結びつく可能性があります。マルチセクター・ポートフォリオはまた、様々な債券セクターに投資することで分散を追求することになります 1 。コストについては、投資家はセクター間の配分をマルチセクターという1つの戦略プラットフォームに集約し、資産配分のシフトに必要な⼿数料や諸経費を節約することが可能です。最後に、マルチセクター戦略ならば、プロの運⽤者が資産配分とリスク管理を⾏ってくれるという容易さや利便性のメリットを投資家は受けることができます。

マルチセクター戦略は、パフォーマンスの向上を企図できることに加えて、伝統的な、あるいは単⼀セクターの債券投資戦略からの分散を提供することを目指しています。⾦利上昇時に、複数資産から成るポートフォリオに安定性を加える可能性もあります。

質問3︓現在の投資環境で、投資家はマルチセクター・アプローチにどのようなメリットを期待できますか︖シルビア︓投資家は、どのような市場環境においてもマルチセクター・アプローチの恩恵を受ける可能性がありますが、現在のように市場の不透明感が高いときにはさらに有益だといえるかもしれません。マルチセクター・アプローチの潜在的メリットの1つは、資産クラス間、セクター間で迅速に配分を変更できる柔軟性です。これにより、ポートフォリオの下振れリスクを最小限に抑えられる可能性があります。多くの資産クラスが市場サイクルの後期に位置しており、かなりの地政学的不確実性が広がっていることを踏まえると、「何を保有しないか」が「何を保有するか」と同じくらい重要になるでしょう。マルチセクター・アプローチを利⽤すれば、運⽤者はポートフォリオに魅⼒的な証券の追加を続けると同時に、厳しい環境にあるセクターから遠ざかることもできます。

質問4︓IFIのマルチセクター・アプローチはどのようなものですか︖アイザック︓私たちは、今後の債券市場が過去30年間と同じような展開になるとは考えていません。⻑期的な⾦利低下トレンドは終わったと考えています。今後、魅⼒的なリスク調整後収益を生み出すには、より柔軟なアプローチが求められるでしょう。私たちのマルチセクター・アプローチは、①オポチュニスティックと②アンコンストレインド/絶対リターンという2つの主要な戦略に分かれます。両者の主な違いは、①オポチュニスティック戦略がインカムと純資産価値(NAV)の安定性を中⼼に置いている⼀⽅、②アンコンストレインド/絶対リターン戦略はプラスのトータル・リターンと、より広範な債券や株式との低相関に主眼を置いているということです。

ポルテラ︓どの戦略が採⽤されても、IFIは「深さ」と「プロセス」という2つの利点を提供します。深さとは、戦略的ベータ(⻑期的な平均資産配分)、戦術的ベータ(短期的なセクター間の入れ替え)、アルファ(ボトムアップの個別銘柄選択)、リスク管理(制約条件の設定、目標リスク管理、

ロブ・ワルドナーチーフ・ストラテジスト 兼ヘッド・オブ・マルチセクター・ポートフォリオ・マネジメント

ドーン・シルビアシニア・クライアント・ポートフォリオ・マネジャー

ガレス・アイザックEMEA CIO

ジョセフ・ポルテラハイ・イールド・アンド・マルチセクター・クレジット CIO

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目標資産配分のトラッキング、悪影響を回避するためのヘッジ)の4つに分散されたパフォーマンスの源泉のことです 1 。プロセスの面では、私たちは経済モデル、市場の関連指標、バリュエーションから体系的に⾒通しと配分を組み⽴てます。厳密さと反復は結果を確実なものにするのに役⽴ちます。

質問5︓IFIのマルチセクター戦略は他社と何が違うのですか︖シルビア︓当社のマルチセクター戦略は、ベンチマークにとらわれず、さまざまな制約を課していません。特定の債券セクターを重視してもいません。世の中に出回っている同様の戦略のなかには、ハイ・イールド債券やクレジット偏重だったり、グローバル・マクロや通貨を重視していたり、証券化商品に入れ込んでいるものもあります。IFIでは、マクロ関連戦略とセクター関連戦略を組み合わせて、多様な収益源を提供しています。

質問6︓マルチセクター・アプローチを検討する際に注意した⽅がよいことなどはありますか︖アイザック︓投資には相当のリスクが伴います。私たちは、マルチセクター投資の⽅が、ある単⼀セクターへの配分よりも頼りになる可能性が高いと考えています。マルチセクター・アプローチは、その利⽤可能な⼿段の幅広さと注意深い戦術的資産配分により、単⼀セクター・アプローチとの比較において成功の機会が高まる可能性があります。

ポルテラ︓投資家は、マルチセクターの運⽤が、セクター間にまたがりつつも専⽤のリソースを備えた多様なプラットフォームに基づいて⾏われていることを確認する必要があります。マルチセクターの運⽤者はまた、グローバルな⼀連の投資機会に網を張りながら、アクティブな資産配分と戦術的なポジショニングを⾏う能⼒を有している必要があります。

ボトム・ライン(続き)

1. 分散は利益を保証するものではなく、損失の危険性を排除するものでもありません。17

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市場モニター

出所︓Barclays、JPMorgan、Bloomberg L.P.、2018年6⽉30⽇時点。Credit Suisse Leveraged Loanのデータは2018年6⽉30⽇時点。国債市場モニター︓米国国債︓Bloomberg Barclays U.S. Treasury Index、カナダ国債︓Bloomberg Barclays Global Treasury Canada Index、英国国債︓Bloomberg Barclays Sterling Gilts Index、ドイツ国債︓Bloomberg Barclays Global Treasury Germany Index、イタリア国債︓Bloomberg Barclays Global Treasury Italy Index、⽇本国債︓Bloomberg Barclays Global Treasury Japan Index、中国国債︓Bloomberg Barclays China Aggregate Treasuries Index、新興市場国債(現地通貨建て)︓JPMorgan GBI EM Broad Diversified Index。債券市場モニター︓グローバル・アグリゲート(米ドルヘッジ)︓Bloomberg Barclays Global Aggregate (US$ Hedged) Index、米国アグリゲート︓Bloomberg Barclays US Aggregate Index、米国モーゲージ︓Bloomberg Barclays US Mortgaged-backed Index、グローバル投資適格社債(米ドルヘッジ)︓Bloomberg Barclays Global Aggregate Corporate (US$ hedged) Index、投資適格社債︓Bloomberg Barclays Aggregate Corporate Index、新興市場ソブリン(米ドル建て)︓JPMorgan EMBI Global Diversified Index、新興市場社債︓JP Morgan CEMBI Broad Diversified Index、グローバル・ハイ・イールド社債(米ドルヘッジ)︓Bloomberg Barclays Global High Yield Corporate (US$ hedged)Index、米国ハイ・イールド社債︓Bloomberg Barclays US Corporate High Yield Index、バンクローン︓Credit Suisse Leveraged Loan Index、地⽅債︓Bloomberg Barclays Municipal Bond Index、ハイ・イールド地⽅債︓Bloomberg Barclays Municipal Bond High Yield Index。YTW(イールド・トゥ・ワースト)とは、償還期限と期限前償還を考慮した最低利回りのことを指します。オプション調整後スプレッド(OAS)とは、債券におけるコール、プット、減債基⾦、⼀部返済等の特性が内包されている、同様の償還期限を持つ国債に対する利回り較差のことです。過去のパフォーマンスは、将来の運⽤成果を保証するものではありません。インデックスに直接投資することはできません。1年未満のリターンは累積です。

1 プラスの数値は、米ドルに対して通貨が上昇していることを表し、マイナスの数値は米ドルに対して通貨が下落していることを表します。2 プラスの数値は、ユーロに対して通貨が上昇していることを表し、マイナスの数値はユーロに対して通貨が下落していることを表します。

債券市場モニター

国債市場モニター

為替市場モニター1

グローバル投資適格社債(米ドルヘッジ)

グローバル・ハイ・イールド社債(米ドルヘッジ)

バンクローン

グローバル・アグリゲート(米ドルヘッジ)

米国モーゲージ

地⽅債ハイ・イールド地⽅債

米国国債

英国国債ドイツ国債

⽇本国債

新興市場国債(現地通貨建て)

ユーロ/米ドル米ドル/⽇本円英ポンド/米ドル

クーポン(%)

YTW(%)

YTW1カ月変化

スプレッド1カ月変化現時点

10年間のレンジ

最低 最⼤

1カ月(%)

3カ月(%)

年初来(%)

12カ月(%)

クーポン(%) YTW(%)YTW

1カ月変化 1カ月(%) 3カ月(%) 年初来(%) 12カ月(%)

1カ月(%) 3カ月(%) 年初来(%) 12カ月(%)現時点 最低 最⼤

米国ハイ・イールド社債

米国投資適格社債

米国アグリゲート

新興市場ソブリン(米ドル建て)新興市場社債

カナダ国債

イタリア国債

中国国債

米ドル/中国⼈⺠元米ドル/スイスフラン豪ドル/米ドルカナダドル/米ドルユーロ/⽇本円2

ユーロ/英ポンド 2

過去10年間のレンジ リターン

リターン(現地通貨ベース)

オプション調整後スプレッド リターン

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インベスコ・アセット・マネジメント株式会社

⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第306号加入協会 ⼀般社団法⼈投資信託協会

⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会

MC2018-106

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