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(編):御社がこの表彰を目指されたのは、どういうきっかけからだったのでしょうか。
社長:意識して表彰を目指したということではなくて、保安に一生懸命に取り組んだ結果だと思います。
(編):具体的には、どのような取組みでしょうか。
社長:昭和62年頃、当社にLPガスを卸していた竹沢興産(注1)の勧めで、集中監視システム(注2)のTOMS24を導入しようとしたことが始まりです。集中監視システムの導入率は、表彰を受ける場合の評価項目の中でも大きなウエイトを占めています。
(編):集中監視システムにはどういう特徴があるのでしょうか。
社長:ガス漏れや異常使用を自動的に感知して、必要な場合にはガスを遮断してくれます。漏れることは防げませんが、漏え
jjjjjjjj8年連続で経済産業省表彰を受賞 jjjjjjjj
土橋 克美 社長
(編):御社は、LPガス保安水準の向上を目的とした「液化石油ガス消費者保安功績者経済産業省商務流通保安審議官表彰」を8年連続受賞されています。これについてのご感想をお聞かせください。
社長:全国で2万以上あるLPガス販売事業者の中から、毎年20 ~ 30者が選ばれ、しかも、それを8年間も続けて戴けたということで、非常に光栄に思っています。
会社の展示スペース
(注1) 株式会社イングコーポレーションを経て、本年4月から伊藤忠エネクスホームライフ関東株式会社(注2) 電話回線を介して、消費者宅のガスの使用状況を監視センターで24時間監視する仕組み
LPガス保安優良事業者を訪ねて
連載のスタートとして、埼玉県蓮田市の「株式会社 どばし」を訪問し、土橋克美社長に話を伺いました。
───── 訪問先 ─────
株式会社 どばし
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LPガス事業団広報 No.200
jjjjjjjjj 集中監視システムの導入促進 jjjjjjjjj
いによる火災・爆発を防ぐことができます。このほか、残量把握によってガス切れも防いでくれます。
(編):8年も連続して表彰を受けるには、並外れた努力が必要ではないでしょうか。
社長:審議官表彰を受けるには、評価項目で高得点を維持しないといけないし、法令
違反や事故があると申請すらできません。最近、どの業界もコンプライアンスが強く言われているので、法令遵守は当たり前で、これは自分の努力でできると思います。でも、事故防止となると、相当な緊張感をもっていないといけません。どれだけ基準を守っても、それで事故が起きないという保証はありません。
(編):どういうご苦労があるのでしょうか。社長:TOMS24の導入を熱心にお客様に薦
めるんですが、あまりTOMS24の安全性を強調すると、逆に「LPガスってそんなに危ないんですか」と、お客様に不安を持たれることもあります。この辺の加減が難しい。
(編):集中監視システムの普及率は、全国平均で30%程度だそうですが、御社はどのくらいですか。
社長:お客様の費用負担も必要ですが、何とか70%を維持しています。お客様からすれば、事故はないのが当たり前です。だから、お客様は値段で選びがちです。当社が保安に一生懸命取り組んでも、なかなか評価されません。それどころか、最近は、保安にあまり熱心でないと思われる安売り業者にお客様を奪われることもあります。
(編):そういう安売り業者に言いたいことはありますか。
社長:保安を差し置いて安売りに走らないでほしいですね。保守点検をしっかりやっ
てほしいです。
(編):集中監視システムを取り入れた場合、通常の監視はセンターが行うそうですが、販売事業者が出動することはないのでしょうか。
社長:たいていの場合、監視センターの人がお客様に電話で確認や依頼をすれば解決します。販売事業者が現地に行かなければならないケースではセンターから連絡が入ります。ですから、私と社員が1人、24時間いつでも出かけられるようにしています。でも、実際に出向くのは、年に1回あるかないかです。
(編):現状に対する自己評価はいかがですか。
社長:表彰のチェックシートでは、まだ100点がとれていません。不完全燃焼防止装置機器への交換の項目が残っています。築年数の長いアパートの風呂釜がこれに対応できていないためです。オーナーを説得していますが、相手の都合もあるので、建て替え時期を待つしかないと思います。
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LPガス事業団広報 No.200
(編):社長がLPガスの事業を始められたきっかけを教えてください。
社長:当社は大正12年創業で、私は3代目です。祖父が創業した頃は、練炭や薪など固形燃料を販売していました。父の代のとき、ちょうど私が生まれた昭和30年に灯油を売り始め、33年からLPガスを取り扱っています。大学卒業のとき、進路に迷いましたが、結局、家業ということもあり、昭和56年からこの仕事をしています。
(編):創業者の代から、家訓として代々伝えられていることはありますか。
社長:5箇条からなる「信条」があり、額に入れて事務室に掲げてあります。最初に、LPガスの供給を通じて地域社会の生活の発展に貢献するということがうたわれています。
(編):LPガス保安に取り組む同業者に対して、アドバイスはありますか。
社長:昭和50年代は毎年数百件のLPガス事故がありました。このため、行政の指導もあり、業界あげてマイコンメーター、ヒューズガス栓、ガス漏れ警報器の普及に努めました。その結果、最近は、1年間の事故件数は200件程度まで減っています。これから大きな役割を果たすのは集中監視システムだと思います。これはお客様だけでなく販売事業者にも利点があるので、是非、導入に取り組んでほしいと思います。それから、評価のチェックシートを活用してほしい。これにより、自社の不得手な分野がわかり、そこに力をいれることができます。これで、業界全体のレベルアップになると思います。
(編):朝礼などで、社員にどんな話をされますか。日々の業務で留意されていることをお聞かせください。
社長:朝礼では「今日も一日笑顔でがんばろう」と言うぐらいで、難しいことは言いません。10年ほど前から、元日に机に向かい、1年の目標、キーワードを決めています。今年は、「きょうせい」です。競生、共生、協生などの意味を込めています。また、集中監視システムにより、検針の手間が省けたので、保守点検によりいっそう力を入れています。社員には、常日頃、巡回や保守点検の際には、笑顔で接し、お客様に好かれる社員になれと
jjjjjjjj 努力なくして成功なし jjjjjjjj
言っています。
(編):座右の銘をお聞かせください。社長:「努力なくして成功なし」です。怠け
ていたり、楽をしていたりでは、お客様はこちらを向いてくれません。決して手抜きをせず、丁寧な仕事をするということも含まれます。
(編):ストレス解消法を教えてください。社長:池井戸潤や東野圭吾の本を読んだり、
たまに行くゴルフです。池井戸潤の作品はテレビドラマにもなっていますが、こつこつやった人が最後には報われ、悪い
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奴がやっつけられるというところが気にいっています。中小企業の親父の必読書だとさえ思っています。
(編):この業界の将来展望はいかがでしょうか。
社長:LPガス100%のガス屋では生き残っていけません。この業界、どこもそうかもしれませんが、当社は、リフォームや住宅設備機器の販売にも力を入れています。LPガス保安で培ったお客様とのいい関係が、強味だと思います。
仕事を終えて、会社の敷地に隣接した自宅に戻り、LPガスで沸かした風呂に浸かっていると一日の疲れやゴルフによる筋肉痛がスーっと消え、明日も頑張ろうという意欲がみなぎるという。温厚な笑顔からは想像できない、保安に対する強い思い入れ。保安は金にならないと嘆くが、保安がなくなると信頼を失ってしまう。だから目立たなくても、仕事の基礎・基盤として保安にはしっかり取り組まなければならないという強い信念が窺えた訪問だった。
(会社の基本情報)
社 名 : 株式会社 どばし
所 在 地 : 埼玉県蓮田市東3-7-3
資 本 金 : 1,000万円
従業員数 : 7名
事業内容 : LPガス、ガス機器、住宅設備機器、灯油
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