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Lag-‐Fit: 睡眠不足に対するゲーミフィケーション
適用手法の提案
Life-‐Cloud B4 zukky 親 boroさん
1
卒論最終発表
概要
• 睡眠をゲーミフィケーションに適用する上での必要要件を満たす睡眠評価手法の提案
• 本研究にて提案した睡眠評価手法を用いたスマートフォンアプリケーション「Lag-‐Fit」の実装
2
背景
• 現代人の睡眠時間の減少傾向 – 男子高校生の場合、平均睡眠時間は6h36m、睡
眠不足を感じている人の比率は57.5% である
• ライフログデータが身近なものに – 近年、スマートフォンやウェアラブルデバイスの普
及によりライフログデータの検知が容易になった
3
ゲーミフィケーション
• ゲームの遊び自体のノウハウをゲーム以外の分野に活用すること
• ゲーミフィケーション 17 の技術 – 人が楽しくなる・夢中になる要素の代表的なもの
を17 種類に体系化したもの
– 例: 競争、協力、スコアとランキング…
4
ライフログデータの ゲーミフィケーション適用例
• Fitbit – 歩数データを「スコアとラ
ンキング」形式で表示
5
• Nike+ – 運動データを共有した
り、特定の条件を達成すると「バッチと実績」の報酬が貰える
睡眠データの ゲーミフィケーション適用例
• Fitbit – 睡眠目標時間を超えた時に星マークが貰える • 多すぎる睡眠を取った時にも付与される
6
• SOMNOMETER – Shirazi らが提案した睡眠
データをFacebook上に共有できるアプリケーション • 睡眠データを公開することへ
の抵抗
Fitbit: 睡眠ログページ
問題意識
• 睡眠データの特徴として「多ければ多いほど良い数値的特徴」を持っていない – 「競争」や「バッジと実績」などの一部の手法が適
用できない
• 睡眠時間帯を知られることはプライバシーが大きく、共有することに抵抗がある人も多い
7
ゲーミフィケーションに適した 睡眠評価手法を作成
ゲーミフィケーションに適用する上での睡眠評価手法の必要要件
• 大きいほど良い、または悪い数値的特徴を持つ
• デバイスから取得したデータを使う
• 適した睡眠時間の違いを考慮している
• 睡眠不足を考慮している
• 一日単位で評価ができる
8
既存の睡眠評価手法
• ピッツバーグ睡眠質問表(PSQI) – 睡眠障害の評価として広く使用されている – 睡眠の質、睡眠時間、睡眠困難などの7要素を0〜3点の4段階、合計21点で算出する
• アテネ睡眠尺度 • セントマリー病院睡眠質問表
9
明確な基準のない自己採点の要素を多く含んでいるためゲーミフィケーションへの適用が難しい
概日リズム
• 概日リズム(Circadian Rhythm)
– 約 24 時間周期で変動する生理現象
• クロノタイプ(ChronoType)
– 時間的なタイミングの傾向
– 一般的に朝型夜型などと呼ばれるもの
• 社会的ジェットラグ(Social Jetlag)
– 実際のクロノタイプに対して、社会的な時間の制約によって起こる時差ボケのようなもののこと
10
ミュンヘンクロノタイプ質問紙[1] (Munich ChronoType QuesWonnaire: MCTQ )
• 平日、休日それぞれの就寝時間、起床時間からクロノタイプを評価する質問紙
• 社会的制約による平日の睡眠不足を考慮しており、社会的ジェットラグも評価可能
• 社会的制約が大きいことが前提
11
[1]Till Roenneberg, Anna Wirz-‐JusWce, and Martha Merrow. Life between clocks: daily temporal pa]erns of human chronotypes. Journal of biological rhythms, Vol. 18, No. 1, pp. 80–90, 2003.
MCTQの計算式
12
MCTQの計算方法例
13 月曜日から金曜日まで仕事があり睡眠不足を抱える人の場合
MCTQのゲーミフィケーション に対する適正
• デバイスから取得できるデータを用いて社会的ジェットラグが評価可能
• しかし最低でも一週間分のデータが必要であり即時性がない
14
社会的ジェットラグの概念を基にした一日単位で評価が可能な睡眠評価手法を提案
提案する睡眠評価手法の方針
• その日の睡眠がどの程度社会的ジェットラグが削減される睡眠であるかを評価
• 評価方法 1. 目標睡眠時間帯を2つの質問から算出 2. その日の睡眠を「睡眠時間」「睡眠効率」「睡眠
時間帯」の3つの観点からそれぞれ目標睡眠時間帯と比較し、100点法で評価
3. 3評価軸から最終得点を算出 15
提案する睡眠評価手法の計算式
16
計算例
17
睡眠情報
各要素と最終的な評価点
88
Lag-‐Fit
• 本研究で提案した睡眠評価手法を用いて複数のゲーミフィケーションを適用したiOSアプリケーション「Lag-‐Fit」を実装
• 睡眠データはFitbitから取得できる「就寝時間」「起床時間」「睡眠効率」を用いる
18
Lag-‐Fit 利用手順
1. Fitbitデバイスを着用した状態で睡眠を取る 2. Fitbitデバイスと Fitbitアプリを同期させる 3. 自身のアカウントを用いてログインぺージか
らLag-‐Fitにログインする. 4. MyPageから今日の睡眠評価を確認する.
19
Lag-‐Fit ステータスバー
• ユーザの基本情報およびユーザレベルを見る事が可能である
• 「レベルアップ」に該当
20
Lag-‐Fit 実績ページ
• 個人の過去一ヶ月分の睡眠データを見る事が可能
• 80点以上で王冠が金色になる
• 「バッジと実績」に該当
21
Lag-‐Fit ランキングページ
• その週 (月〜日) の全ユーザの合計スコアをランキング形式 で見る事が可能
• 「スコアとランキング」と「競争」に該当
22
Lag-‐Fit チーム戦ページ
• 2チームにわけ、その週 (月〜日) の各チームの合計点を表示し、別チームとの競争を促す
• 「協力」に該当
23
Lag-‐Fit 設定ページ
• ユーザの目標時間を変更できる • 目標時間が以下の2つの質問を答えることで
算出される
– 平日の大体の就寝時刻と起床時刻を教えてください。目覚ましなどを使って起きる必要がある日を平日とします
– 問 1 に加え、平日の睡眠時間はどの程度足りていないと思いますか?
24
Lag-‐Fit 画面遷移図
25
システム構成図
26 Lag-‐Fitシステム構成図
実験目的
• 本実験では以下のことを明らかにする • 睡眠評価手法の精度 – 社会的制約の強弱が評価精度にどう影響するの
か – 社会的ジェットラグの特徴を引き継いでいるか
• 睡眠評価手法を適用した各ゲーミフィケーションが睡眠にどのように影響を与えるか
27
実験内容(1/2)
• 被験者10人 – 社会的制約の強いグループ5人(佐倉ラグビー部) – 社会的制約の弱いグループ5人(Life-‐Cloud)
• 期間は4週間(12/14~1/10) • 被験者全員にFitbitを貸出し、各自のiPhone
に「Lag-‐Fit」を入れてもらう • 実験前後と毎週末にアンケートをとる • 「Lag-‐Fit」内で毎日アンケートをとる
28
実験内容(2/2)
• 毎日以下のことをやってもらう – 就寝時Fitbitデバイスを着用して睡眠を取る – 起床後Fitbitアプリケーションを開き同期をする – 同期後Lag-‐Fitを開き今日の睡眠を0~100点で評
価する
29
被験者から収集するデータ
• 睡眠データ • Lag-‐Fitのアクセスログ • Lag-‐Fitでの毎日のアンケート • 実験前、毎週末、実験後のアンケート結果
30
被験者のFitbitデバイスと Lag-‐Fitの使用率と頻度
• Fitbit デバイスの着用は週平均約5.4回 • Lag-‐Fitのアクセス率は平均約62%
31 Lag-‐Fit:アクセス数 Lag-‐Fit:アクセス率
睡眠評価手法の評価結果 (グループごと)
32 本研究で提案した睡眠評価手法(X)と社会的ジェットラグ(Y)の相関関係
40 50 60 70 80 90 100
020
6010
0
Score(pt)
Soci
al J
etla
g(m
inut
es)
40 50 60 70 80 90 1000
2060
100
Score(pt)
Soci
al J
etla
g(m
inut
es)
(Life-‐Cloud)(r=.009) (佐倉ラグビー部)(r=-‐.440***)
• 社会的制約が強いチームのみに負の相関がある – 社会的ジェットラグの特徴を引き継いでいる
40 50 60 70 80 90 100
020
6010
0
Score(pt)
Soci
al J
etla
g(m
inut
es)
80 85 90 95 100
020
6010
0
Score(pt)
Soci
al J
etla
g(m
inut
es)
40 50 60 70 80 90 100
020
6010
0
Score(pt)
Soci
al J
etla
g(m
inut
es)
睡眠時間得点(r=-‐.204* ) 睡眠効率得点(r=-‐.008 ) 睡眠時間帯得点(r=-‐.470***)
睡眠評価手法の評価結果 (睡眠の要素ごと)
• 睡眠時間帯、睡眠効率、睡眠時間の順に社会的ジェットラグとの相関が高い – 特に睡眠効率との相関はみられなかった
33 各睡眠の要素と(X)と社会的ジェットラグ(Y)の相関関係(佐倉ラグビー部)
睡眠評価手法の評価結果 (自己採点と各要素ごと)
• 睡眠時間、睡眠効率、睡眠時間帯の順で自己採点との相関が高い
34
20 40 60 80 100
2040
6080
100
Score(pt)
Self−Score(pt)
20 40 60 80 100
2040
6080
100
Score(pt)
Self−Score(pt)
20 40 60 80 100
2040
6080
100
Score(pt)
Self−Score(pt)
各要素得点(X)と自己採点得点(Y)の相関図 (全体)
睡眠時間得点(r=.290***) 睡眠効率得点(r=-‐.081) 睡眠時間帯得点(r=.164*)
各ゲーミフィケーション手法 ごとの評価
• 実験後、各手法が睡眠のモチベーションにどれだけ影響したかを5段階(最大5.0)で評価した
• スコアとランキングがもっとも効果が高く、協力がもっとも低い結果になった
35
手法 評価
レベルアップ 3.2
バッジと実績 3.4
スコアとランキング 3.8
協力 2.8
共有とプライバシー 睡眠データの種類
• 共有する睡眠データの種類ごとに共有への抵抗をアンケートにて5段階で評価した
• 就寝時間などと比べて本研究で提案した評価手法で算出した得点への抵抗が少なかった
36
種類 評価
本研究で提案した評価手法で算出した得点 4.8
就寝時間 4.2
起床時間 4.2
睡眠時間 4.5
睡眠効率 4.9
共有とプライバシー 公開する相手
• 公開する相手ごとの抵抗をアンケートにて5段階で評価した
37
公開する相手 評価
自分のチームメンバー 4.8
他のチームメンバー 4.7
先輩 4.0
リーダー、上司 3.9
家族 4.4
医者 4.7
Twi]erなどのSNS 3.3
社会的ジェットラグの変化
• 実験前アンケートと比べ、初週は両チームともに減少している
38
• その後アプリケーションの使用回数が減っていくにつれて増加している
今後の展望
• 評価精度向上
– 機会学習などから「快眠度」などの主観的な要素の導入
• 睡眠以外へのライフログデータへの応用 – 多いほど良いという数値的特徴を持っていないラ
イフログデータが多く存在
• サービスとしての運用
39
まとめ
• 睡眠不足をゲーミフィケーションに適用可能な睡眠評価手法を提案した
• 当睡眠評価手法を用いたiOSアプリケーション「Lag-‐Fit」を実装した
• 当睡眠評価手法は社会的ジェットラグの特徴を中程度再現した
40
補足スライド
41
ゲーミフィケーション17の技術
42
Fitbit
• Fitbitから取得された睡眠データを表示
– 目標時間を超えた時☆マークが貰える
43
ShutEye
• 良い睡眠習慣を時間単位で可視化し、スマホの背景画像にする
• 可視化
Reverse&Alarm
• 明日起きる時間と目標の睡眠時間から寝るべき時間にアラートしてくれるアプリケーション
• 可視化
BuddyClock
• 目覚まし時計にリアルタイムで友人の睡眠状態が表示される
• SNS共有
SOMNOMETER
• 睡眠を評価し、facebookに上げることが可能
• SNS共有
目標睡眠時間帯を決める質問
• 社会的ジェットラグは平日の睡眠不足によって起こるため、以下の2つの質問から目標睡眠時間帯を求める 1. 平日の就寝時刻と起床時刻を答えよ. 2. 問 1 に加え, 平日の睡眠時間はどの程度足りて
いないと思うか?
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