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La Madrugada 2015/09/29
さようなら、夏。 またいつか。
沖縄へ、敬意を込めて。
この南の果て、沖縄に移り住んでから、今年で5回目の夏を迎えた。 毎年毎年、殺人的な太陽に肌を焼かれながらも、私は沖縄で多くを学んできた。嫌でも汗をかき日焼けをし、この蒸し暑さに抗いながら毎日を生きてきた中で、日々変わる情勢を、この目で見つめてきた。 沖縄は、とても複雑でデリケートな問題を抱え続けてきた土地だ。 基地はいらないし、抑止力なんて馬鹿げているかもしれない。しかし現実的に考えると、基地がないと沖縄は、あの悲しい歴史を繰り返すことになりかねないのかもしれない。沖縄は、嫌でもアメリカと共に歩んできた土地だ。例えば君がのび太くんだとして、ジャイアンと簡単に絶縁できるのだろうか?玩具をジャイアンに差し出すのを、断れるのだろうか?(このたとえは壊滅的にへたくそだけれども) やはり、世の中に真の正解なんて存在しないのだ。
沖縄の人たちは優しいし、愛が強い。自分の家に、土地に、誇りを持っている。それゆえ、ナショナリズムに滅法よわい。絵の具の白、そのものだ。なんて儚い、悲しい、優しい世界なのだろう。
本誌の発行日、9/29をもって私は、この第二の故郷とも言える沖縄を去ることになった。人生の重要な期間を、沖縄で過ごせてよかったと心底思う。複雑でデリケートな問題に向き合う機会を得ることができて、よかった。この土地で生活することで、自己愛とは何か、平和とは何か、策略とは、共存とは何かを学び取ってこられたと思っている。 しかしそれも、一旦、リセット。経験を大いに活かして、ステップアップしていくつもりだ。沖縄も、ステップアップしていくと良いな。
さようなら、夏。 またいつか。
2015年 晩夏 沖縄県宜野湾市にて
靴の日エッセイ
Gli occhi possono mentire, un sorriso sviare, ma le scarpe dicono sempre la verità.
目は偽ることができるし、微笑みは当を得ないけど、
靴はいつも本当のことを語る。
KUTSUNOHIESSAY
靴は真実を語る
ナンパ師の目線の先に
有名な話で、ナンパ師が獲物を選ぶ際に、何を基準にしているのかというものがある。多くの人間を観察してきた彼らが真っ先に答えるのは、『靴』という答えだ。性格は靴にでる。靴が汚い女性は、性格もだらしないらしい。上記の諺も、女好きのイタリア人による諺である。
Chi viaggia con le scarpe d'oro, può arrivare sino alla fine del mondo. 黄金の靴で旅する者は、世界の果てまで行きつける。
これもイタリアの諺だ。
つまり、お洒落は足元から。
よい靴、綺麗な靴は、貴方をよい場所に連れて行ってくれるに違いない。
KUTSUNOHIESSAY
革が化けると書いて、靴。
漢字だと、紳士靴みたいなピカピカの靴がイメージされる。
KUTSUNOHIESSAY
これが平仮名でもなかなかイカす。
くつ
どちらかと言えば、「く」にアクセントを置いて読みたい。
平仮名だと、やはりスニーカーだろうな。
無地のバンズやらコンバースが浮かんでくるようだ。
KUTSUNOHIESSAY
片仮名だと、また違う側面が見える。
月の裏側を見てしまった秋の夜長を思わせる背徳感である。
クツ
長靴みたいなエナメル地の、無骨で実用的なクツ。
ロマン、極まる。
泥を寄せ付けぬ、作業履。履きつぶしてやりたくなるイメージ。クツ。
ESSAYOFTHEDAYOFSHOES
新しい靴は、あなたを新しい場所に連れて行ってくれる。
古い靴もまた、あなた懐かしい場所へと誘ってくれる。
明日はどの靴履いていこう。
ESSAYOFTHEDAYOFSHOES
La madrugada #3 2015年 9月 29日 Web版発行
編集 Shiba-dog
写真・文 Shiba-dog
本誌はフォトエッセイの為、予算の都合上なかなか書面化を致しておりません。ISSUUにて公開中のWeb版が、もしお気に召しましたら、下記までご連絡ください。喜んで、印刷版をお送りいたします。
Mail: [email protected]
編集後記 楽しかった過去のこと。今日のこと、これからなにが起こるのか。明日のこと、明日なんて来るのか。将来は何になろう。ごはんは何にしよう。新しいコーヒー豆、何買おう。そんなことを沖縄で考えられるのも、あと数日となってしまった。くだらない1日、1日が、とてつもなく愛おしい物であると気付きながらも、僕は歩みを止めない。正確に言えば、止めることができないのだ。 狂おしいほどに愛おしい若年期を、前へ前へと突き進むための武器、くつ。 今回は、大好きなくつに着目してみた。なんてことはなく、着想は、新しく買ったドクターマーチンからである。新しい靴は、あなたを新しい場所へ導いてくれる。人生のちょっぴり先輩である彼女は、そう言っていた。まちがいない。僕は新しい場所へ、新しいことをしにいくために、ドクターマーチンを手にいれたのである。(ほんとうは、店員さんが好みで好みでしょうがなくて、勢いで買ってしまったなんて口が裂けても言えまい。) 何はともあれ、これが留学前の、ほんとうに最後の沖縄からのメッセージである。楽しいことも苦いことも教えてくれた沖縄よ、さらば。また会おう。
(アヘアヘ編集長 Shiba-dog)