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Kobe University Repository : Kernel タイトル Title マイクロコンピュータによる防除薬液自動希釈・散布システムについ (A Microcomputer-based Dilution and Spray System for Agricultural Liquid Chemicals) 著者 Author(s) 岡本, 嗣男 / 西村, / 川村, 恒夫 / 井上, 剛己 掲載誌・巻号・ページ Citation 神戸大学農学部研究報告,14(1):157-163 刊行日 Issue date 1980 資源タイプ Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 版区分 Resource Version publisher 権利 Rights DOI JaLCDOI 10.24546/81006445 URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81006445 PDF issue: 2020-12-20

Kobe University Repository : Kernel · Tsuguo OKAMOTO,** 1sao NISHlMURA,** Tsuneo KAWAMURA** and Tsuyoshi 1NOUE**本 Abstract A rnicrocornputer-based dilution and spray systern

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Kobe University Repository : Kernel

タイトルTit le

マイクロコンピュータによる防除薬液自動希釈・散布システムについて(A Microcomputer-based Dilut ion and Spray System for AgriculturalLiquid Chemicals)

著者Author(s) 岡本, 嗣男 / 西村, 功 / 川村, 恒夫 / 井上, 剛己

掲載誌・巻号・ページCitat ion 神戸大学農学部研究報告,14(1):157-163

刊行日Issue date 1980

資源タイプResource Type Departmental Bullet in Paper / 紀要論文

版区分Resource Version publisher

権利Rights

DOI

JaLCDOI 10.24546/81006445

URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81006445

PDF issue: 2020-12-20

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神大農研報 (Sci.Rept. Fac. Agr. Kobe Univ.) 14: 157-163, 1980

マイクロコンピュータによる防除薬液自動希釈

-散布システムについて*

岡本嗣男料・西村 功**・川村恒夫料・井上剛己料*

(昭和54年8月10日受理)

A MICROCOMPUTER-BASED DILUTION AND SPRAY SYSTEM

FORAGRICULTURAL LIQUID CHEMICALS*

Tsuguo OKAMOTO,** 1sao NISHlMURA,** Tsuneo KAWAMURA** and Tsuyoshi 1NOUE**本

Abstract

A rnicrocornputer-based dilution and spray systern has been developed and was experirnental1y studied

to rnake the autornation of pest control in the greenhouse.

The results obtained frorn this study are surnrnarized as fol1ows.

1. Water level was electrical1y detected to decide the required volurne of diluted solution.

2. Two rnethods were tested to control the dilution of chernicals with water. ,The one of thern was

to caluclate the arnount of liquid chernicals, and the other was to rneasure the density of diluted solution.

3. The liquid chernicals dripped frorn a constant low volurne purnp of which the丑owrate was O. 218

rnl per second and the dripping tirne which caluculated the arnount of liquid was control1ed by the

rnicrocornputer.

4. The corrected electrical conductivity on 20"C liquid ternperature which was in proportion to the

density of solution was rneasured and control1ed by the rnicrocornputer.

緒 官~E司

ハウス内での防除作業は,露地栽培に比べて作業頻度

が高く,高温多湿条件下での困難な作業のため労働負荷

の軽減が望まれている。また,閉鎖環境内での有人農薬

散布作業は保健衛生上好ましくなく,作業の無人化が緊

急の諜題である。

本研究では,当研究室で取組んでいるハウス栽培管理

のマイグロコンピュータ・オンライン制御・ンステム3-9)

の一部として,防除作業の自動化を目的に良薬自動希釈

・散布システムを試作し,制御のためのソフトウェアを

開発したので報告する。

実験装置および方法

第1図に計測・制御システムの概要を示す。本システ

ムは計測装置,コ γピュータシステムおよび希釈・噴霧

散布装置により構成されている。計測の項目は希釈液

*一部は良業機械学会関西支部例会 (1979年3月神戸)で誠

部i*構図場機械学研究室

***日本専売公社

量,液温および溶液濃度の3点である。希釈装置は希釈

タンク,液剤供給用の定・低流量ミニポンプおよび給水

電磁パルプよりなる。

1. 希釈液量の計混.IJ 所要量の薬液を調整するために

は給水量を計量しなければならない。ここでは,タシク

中の水位を検出することにより液量を計測した。第2図

に水位計測のための電子回路1)を示す。セγサ部は直径

1.4mmのエナメル被覆線を2本平行に並べたものであ

る。 2本のエナメノレ線の薄いエナメノレ被覆が誘電体とし

て 2本のエナメル線開でコンデンサを形成する。水の

比誘電率 (80)が空気の比率電率(1)に比べて非常に大き

いためこのコ γデγサの静電容量は水につかっているエ

ナメノレ線長すなわち水位に比例する。したがってこの部

分のエナメル線開の静電容量を測ることによりタンク内

の液量を知ることができる。第3図は水位Hと出力電圧

VHとの関係な示したもので、 タンクにー斗缶 (235mm

x 235mm x 350mm)を用いて較正した結果である。断面

積)定のタシクで計測すれば液量と水位とは正比例の関

係にある。また断面積が変化するタ γPの場合でも、予

め水位と液量の関係を求め,コ γビュータ内に記憶して

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158 岡本嗣男・西村 功・ JII村恒夫・井上剛己

第 11当計襖IJ制御システム

おけば換算ができるので,必ずしも一定断而積の容器で

ある必要はなL、。なお本検出装置における,液温変化の

出カ電圧への影響は極めて小さく,また薬液剤混入の影

響も低濃度の希釈液においては徴小であり,共に無視で

きる。

2. 希釈液の温度計測 ここでは濃度(希釈倍率)を

計測する方法として,容液の導電率を検出 した。容液中

の電解質の種類が一種で,その濃度が低くしかも温度が

一定の場合は,導電率は電解質の濃度に比例することよ

り,導電率を検出する ことによって電解質の濃度を知る

ことができる。

ハウス栽培等でよく施期される農薬液剤の大部分は乳

剤あるいは水和知lであり, これらは水に費量溶で,微粒子

の状態で水中に分散しイオン化しなL、。そのため,農薬

の量を水容液の導電率によって知ることは困難である。

そこでこの農薬液剤中に強電解物質(例えば塩化カリウ

ム,出化カノレシウム等,液剤を変質させす.しかも施用対

象作物に有害とならないもの)を微量, トレーサとして

混入しその混合液を水で希釈すればトレーサ入り農薬

の濃度を求めることができる。なお今回の実験では,導

電率によりどのくらいの精度で希釈倍率の制御ができる

かを調べるのを一つの目的としており, トレーサ物質と

しては導電率測定での標準液としても使用されている食

邸を利用した。

噂電率の検出に色とった電子回路2)を第4図に示す。セ

ンサ部は 1辺10皿の正方形ステンレス板を10皿の間隔で

平行に対向させたものを電極とした投込型である。電極

問には交流電圧を印加して分極現象を防止し,容液中を

流れる電流を検出することにより電極間の抵抗を求め

た。演算増幅器A,は発振器. A2は減衰器. Aaは電流

検出およびA~t主ローパスフィルタとして動作している。

センサに印加される減衰器出力電圧振幅は一定であるの

で.m桜間を流れる電流は溶液の抵抗に反比例する。し

たがって電流検出回路出力は電流振幅に比例した交流言E

fEとなり, これを半波整流ならびに平滑して導電率に比

例した直流電圧出ブJを得ている。

第21濁水位検出回路

3

2

(〉)ジ出"兵吾

0- -10-20 30 '0

水 位 H (cm)

第3凶水位検出特性

eda--

4

.

ヲてず凶岨曹Rヨ+岡崎・・珊

o 0.1 0.2

食温温度 w (~ /t)

0.3

第5図 食滋濃度とi尊'道事計出力電圧の関係

第5図に示す結果は,本回路により測定した水温 7.2

・Cにおける食極濃度 w C9!.e)と出力電圧VKA(V)と

の関係である。その回帰式は次式のとおりである。

VKA= 1O.68w + 1.712 (1)

図からも明らかなように,温度一定のもとでは,導電率

計出力電圧は渡度に正比例している。なお,温度はシリ

ヨンダイオードのPN接合混度特性を利用した検出回協

3)により計測した。

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7 イクロコンピュータによる防除システム 159

3. コンビュータシステム コンビュータ システムは

第1図に示したように, マイクロコンピュ-~. I!O

インター フ£ース,タイムベース,アナログマルチプレ

クサ.A/Dコンパータおよびシステムタイ プライタよ

りなる。

マイグロ コ ンピュ-~はCPUに8080裂を使用したP

DC-80 (日本シスエム開発社)で,内蔵メモリはシス

タイ プラ イタ制御用ROMとRAM8Kパイトである。

タイムベースでは,計測のためのFイミングパルス T2

(lOHz)および時計用クロッ クパノレスTo (1160Hz).

T 1 (1 Hz) を発生させた。 アナロ グマルチプ レクサ

11. 多点の計測点のうちからコンピュータのチ ャンネノレ

選択信号によって指定される任意のチャ ンネルのアナロ

グ信号を次のA/Dコンパ-17へ伝えるもので, ここで

は. CMOS型のアナログスイ ッチを用いた。アナログ

電庄信号をデジ タ ル信号に変換するA/D コ ンパ -~は,

ランプ積分型 BCD3桁 02ピット )で変換速度は 50

ms以下である。システムタイプライタとしては, 紙テ

ープ穿孔ならびに紙テー プ読取機能を備えたインクジ z

ット方式のタイピュータ(カシオ電算機)を用いた。ま

た、制御のためのソフトウェアはアセンプラ言ー語を使用

した。

第6図 制御サブルーチンのフローチャー ト

第 1表 プ ロ グ ラム リ ス ト

:'A t QU hll UU OUT "'UL1 1"1、 CPH ト(lU 包Uト-,'" l-Al pkNr 1 AIJ RIし

lil 。OU 理U十 ¥U Rf T (.1・ 1 古L心 JNX 0 オド$キ HA1N PROGRAH ヰ育、 当'*傘 5UsR 5PRAY 本宅考 Rr/ 1NX H

X 1 S $200(1 5P時Y lA1 "'20 111l もLlU lAX 0 r̂" I.IATR OUT $00 lぐI.T CPH しAL HI N 1 X1H $16υリ 布、吻 bU8R I'I<INI *吟与 DCX H r AI ~f'h' Y lCJ $00 I'km CAI 伏()I.I rJCX [1 Hl1 51 lsI $(lA X I H $16[1。 終ET

牢,.t :"'lJl<R WA TE何 事ヰ牢 52 lE1 $0[3 lOI !.(lU *喝 4ド :;U[3R PRN 1 本*市

ωATR lAI 1010 CAL MtSR P1 lE.l $υι PRN 1 1 A1 $AO our 1000 DC日 r.Al OlNK CAl TYPE XIH S16'_lll JFZ 57 ιAl II Nf 1 A門

1 C1 $00 X¥O OAφ2 lR1 ~,OA AN1 $OF ω1 lsl S.OA CAL COHP P;> lE.l $03 01<1 $30 ωE 1 EI $013 JFC 5.3 CAl 日LNK CAL TYPE

CAl 門r,.ト lNX H CAl I'RN 1 lNX H XID 1 A lNX H OCC IA門

XOE lNC RTZ ANl $FO CAl COHI' J門P 51 DC日 RRC XOE S.3 lA 1 $80 ~)r 1 P~' RRC JFC 1.13 OUT $00 1 Al 1>0A RRC OCO CAl PRNT CAL ! YI'L RRC JFZ 1,/2 RET .JHP P1 OR 1 $30 lNX H 布市本 5UOR ROI.I 本*本 ヨ年字本 5UOR HEA5URE キ*キ CAl TYPE INX H ROI.I LA 1 SOA 門[SR lNP $00 lA門

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¥13 lA 1 $80 CAl OlNK lAE CAl TYPE OUT $00 lsI $01 口UT $01 INX H lNC Rt lEl $06 INP $00 RET CAl PRNT CAl OL NK N̂l 1".02 本刻Vキ 5UsR BLANK 寺本牟

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CAl 何E5R CAl BlNK RRC OCB lA 1 $41 RRC JFZ H2 CAl TYPE L刊AINX H lA 1 $OA lNX H lNX H CAL TYPE INP $01 JNC RET lt1A LA OAφ6 事訓炉* 5UBR lINE 本*ヰ OCX H CPC llNE lAO RET JFZ 門1 ORI $30 本本字 SUBR COHPARE *本容

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剛己

停止を制御する。停止の時点はタンク水位が臨界水位

Hc以下になる時であり. Hcはポンプの空回転を防止す

るために設定した水位である。

第7図は. HE =20 (四).TE =60 (s) • Hc = 5

(cm)に設定(希釈倍率約 850倍)したときの制御結果

を示したものである。流下液~Jとしては蒸留水 IIに食

塩 l∞fを溶解したものを使用した。給水開始直後の水

位増加に時間遅れがあるのは,水位検出センサ最下部と

タンク底面が一致していなかったためである。以後,水

位は上昇して行き,設定水位20cmに到達すると給水が停

止している。ここで制御の途中経過をそニタするため,

1秒ごとに計測してメモリに格納しておいた水位情報を

システムタイプライタで印字記録した。また,導官E率計

出力電圧ならびに散布時の水位も各サブルーチンの終り

でまとめて記録した。その結果に基づいてプロットした

ものが第7図である。

次に液剤の流下が始まり導電率計出カ電圧が次第に期

加する。なお,その上昇が直線になっていないのは,か

く枠むらのためと考えられるQ 本実験ではかく狩を手動

により行ったが,給水と液剤流下の順序を逆にすれば給

水圧を利用したかく枠が可能である。

なお, ここで食短水を用いたのは希釈状態をそニタす

るためで,実際には薬液~Jを流下させればよ L 、。

2. 導電率による制御

1) 海電車区温度特性 議液の導電率は温度の影響を受

け,温度とともに増加する。希釈に用いられる水の温度

は,季節,天候あるいは用水の種類によっても変化する

ため,同じ濃度の希釈液でも条件によってき事電率は異な

った値を示す。ここでは導電率に影響を及ぼすこつの因

4 4

-----ぺ57

30

溶液I温度と導電車weカ電圧

20 25

o (・0

15

水温

10

ゐí~ 8図

恒夫 ・井上

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凶W-円帆

+刷附柑師明鴛

功 ・川村嗣男 ・西村

1. 定流量ポンプによる制御

所要希釈液量をタンクの水位により,また希釈倍率を

農薬液弗jの定量により制御しようとするのが本制御のね

らいである。液剤の供給は微小容量の定流量ポンプ(ミ

ニポンプ)を使用した。その流畳は13.1I1l/働に設定し,

流量精度は土 1%以内である。流量一定のポンプを用い

れば,供給量は供給時間に比例する。したがって,液剤

の供給時間をコンピュータにより制御することによって

希釈倍率を決定できる。

制御のためのフローチャー トを第6図に示す。また,

第 1表にプログラムリストを示す。 制御は. (1)水の供

給. (2)液剤の供給. (3)希釈液散布の三つの部分に分けら

れ,プログラムにおいても主プログラムではスタックポ

インタ指定後は順次三つのサフツレーチン(l)WA T R. (2)

MINI. (3)SPRYを実行する。

制御プログラムの実行が開始されると,先ずマイク ロコ

ンピュータからの給水リレー駆動出力信号により給水パ

ルプが開き,給水が開始される。続いてタンクの水位H

が計測され, 予め設定した水位HEと比較し タンク水

位HがHE以上になるまで,計測・比較が〈り返される。

水位Hの計測時間間隔は 0.1秒である。水位が設定水位

を越えると給水パルプは閉じ給水は停止される。

次いでミエポγプが作動し,液剤がタンクに流下し始

める。同時に, タイムベースで発生する10Hzクロック

パルス信号を検出計数して流下時聞を算出し,設定流下

時間TEと大小比較する。またこのループで導電率計出

力電圧を計測したのは,液剤流下量と濃度との関係をモ

ユタするためである。流下時間Tが設定流下時間TEを

越えるとミニポンプは停止して液型~J流下が終了する。以

上の方法により希望の希釈倍率の薬液を希望量だけ調整

するには,設定水位HEと設定流下時間TEに所定の値を

与えておけばよL、。

散布のためのサフソレーチンでは,動力噴霧機の作動と

「一一一一一一一,ー

定流量ポンプによる希釈倍率制御結果

実験結果および考察

6し0:'~,ド〆担

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岡本

20

第7図

160

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7 イクロコンピュータによる防除システム 161

第2表回帰係数bおよび温度係数C

帰 式 戸し数係度瓶1日数係帰回

VKA 0.04290 + 1.44 0.0429 1.87

A ( 水 101 VKA = 0.04320 + 1.36 0.0432 1.94

VKA = 0.04880 + 1.32 0.0488 2.12

VKA 0.07170 + 2.39 0.0717 1.87

B (水101+食:liU g) VKA = 0.07230 + 2.34 0.0723 1.91

VKA = 0.06660 + 2.40 0.0666 1. 79

VKA 0.08930 + 3.27 0.0893 1. 77

c (水101+食塩2g) V KA = O. 0858 0 + 3. 27 0.0858 1. 72

VKA = 0.09220 + 3.34 0.0922 1. 78

子(濃度,温度)の効果を実験により調べた。

希釈に用いた水は当学部用雑用水である。実験区は,

要因として濃度をとり, A (水1Of), B (水1O.e+食

Y.n g)およびc(水10.e+食塩2lj)の3水準に設定

しt.::.o これらの各水単においてくり返し数3回,合計9

回の測定を,順序をランダマイズして行った。

f共試溶液の液温はヒータにより 10・Cより30・Cまで加温

し 5秒ごとに導電率計出力電圧VKAおよび液温8をマ

イクロコンピュータにより測定した。なお10.eの供試溶

液を10・Cから30・Cまで加湿するに要した時聞は約15分で

あった。その間十分なかく狩を行い温度むらの発生を防

ぐとともに,温度検出センサを導電率検出セン+の近く

に設置した。

第8図に測定結果の一部を示す。図より明らかなよう

に,導電率計出力電圧は温度上昇につれて直線状に増大

している。また上昇の度合は高濃度の溶液ほど大きい。

第2表に実験結果より得られた回帰式、回 d局係数b(V/

.C)および温度係数C(%/・C)を示す。ここに温度係数C

は次式で定義する。

c=ぅ b -x 100 VKA(20)

(2)

ただしVKA(初}は 0=20・Cにおける導電率計出力である。

第3表分散分析表

回帰係数 b 温度係数 C要因 門由度

平方和 F 平方和 F

濃度 2 294,168 142ホ* 728 5.06

残差 6 6,225 428

総和 8 3∞.393 1,156

柿 1%有意、

回帰係数bは 1・C当りの増加電圧を表わしており,温度

係数Cは1・C当り20・Cのときの出力電圧の何%増加する

かを意味している。

第3表に濃度を要因とする,回帰係数bおよび温度係

数CIこ関する分散分析表を示す。本表より回帰係数bに

関しては高度に有意となり,濃度の違いにより温度に対

する導電率計出力の変化率が異なるといえる。各水準に

おける回帰係数bの推定値およびその95%信頼区聞を図

示すると第9図のとおりである。また温度係数Cに関し

ては各水準聞に有意な差は認められなし、。すなわち,温

度係数Cは濃度の影響を受けないと考えてよい。温度係

数Cの95%信頼区聞はC=1.86土0.14である。このと

き,導電率計出力電圧VKAと20・Cにおける出力電圧VKA

{釦}との間には次の関係がある。

VKA=aVKA(加) (3)

日=1 +(0-20) ・ -J:~ (4) 1∞

ただし ここでOは液温である。両式にC=l目前を代入

すると,

VKA(却)= . _ VKA__ (5) 0.01860+0.628

が得られる。本式により液温0・CのVKAを20・Cに補正し

0.10

( 、J. ¥ 0.08 〉

.I)

塁。ω~ 固

0.04

中o 0.1 0.2

食温J濃度 W (g 12 )

第9図回帰係数bに対する濃度の効果

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剛己恒夫・井上功・ JII村嗣男・西村岡本162

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られるO

ここでは, 液剤(蒸留水 l.e+食塩1009)の1.0∞倍液を1O.e調猿する制御突験を行った。希釈液の食甑濃

度は. 0.1 (gf.e)となるので(ω式より設定導電率は

.cOE=85.6+KOで与える。第12図に水温9・C.20・Cおよ

び30・Cにおける結果を示す。ミニポンプの作動後、導定

率 κおよび 20・C補正導電率的共,時間の経過とともに

増加して行き, κoが.cOE (= 223μσ/cm)を越えた時

にミニポンプがOFFし,液剤の流下が停止している。

ミニポンプ流量は o.218.t/ 5より 1O.tの液剤流下に重要

する時間は約46秒であり,各温度における ミニポンプの

作動時聞がこの値に近い値となっえいることからも,農

薬希釈に本方法を用いることによって十分な精度の濃度

制御の可能なことが確かめられた。

なお,本実験では,制御の可能性を確かめるためトレ

ーサとして便宜的に食極水を用L、,また農薬を使用して

の制御実験は行っていないが,食塩に代えて極化カリウ

ムあるいは極化カルシウムの高濃度水溶液を小量だけ薬

液剤に混入することにより実用化は可能と考えられる。

これらについては次回報告の予定である。

滋屯本による ~lilj御払'i~初12図i持i草取1M御サフツレーチ γ

のフローチャー卜

た, 20・C補正導電率計出力 VKA(却を求めることができ

る。

。=7.2・Cにおける食温濃度wと出力電圧VKAとの関係

は(1)式で表わされるが,これを20・Cに補正すると

VKA(20)= 14.02w +2.247 (6)

となる。上式の勾配より w=l(gf.e)当り VKA(加は

14.02(V)猶加することになる。導電率標準試料(食極

2649を20・Cの蒸留水 l.eに溶解したものでき車電率は

0.226 (J/cm)からの換算より w=lでの導電率増加は

856.1 (μσ/cm)となる。 これより出力電圧 1(V)が

61. 06 (μ (J/cm)に相当する。いま 20・C補正導電E与

を.c0(μ(J/cm)とすればVKA.。との関係は次式で与

えられる。

第11閃ぇq屯ネのiW.支布li花~1O図

61.06VKA 0.01860+0.628

本式を用いて温度補正をした結果を第10図に示す。どの

濃度の溶液も,温度とともに導電率sが増加しえいるの

に対して. 20・C補正導電率κoはほぼ一定の値をとる。

これはκoが溶液の濃度によって定まることを示してい

る。

(7) .c0

ハウス内防除作業の自動化をマイクロコ ンピュ ータの

オンライン制御により行うシステムの開発を目的とし

て,農薬自動希釈システムを試作した。その概主要は次の

とおりである。

1.希釈液量の計量は,水位を検出して行った。

2.希釈倍率の制御は,液剤の定量による方法と溶液

の濃度による方法とを行い,そのためのソフトウェアを

作成した。

摘2) 制御導電率による制御のフローチャートを第11

図に示す。第6図における液剤流下のサフソレーチンに代

えて第11図のサフソレーチンを使用する。所定量の給水が

終了した後, 先ず水の温度と導電率計出力電圧を計調IJ

し,希釈に用いた水の20・C補正導電率正oを求める。ま

た, 所要の希釈倍率に対応する設定導電率的Eを計算

する。この後よりミニポンプを動作させ液剤流下を始め

る。液~J流下と同時に希釈液の液温 8 と導電率3十出カ電

圧VKAの計測を開始し,時々刻々の海電率.c0を計算し

て,この.c0が設定倒的Eに達するまで液剤j流下が続け

Page 8: Kobe University Repository : Kernel · Tsuguo OKAMOTO,** 1sao NISHlMURA,** Tsuneo KAWAMURA** and Tsuyoshi 1NOUE**本 Abstract A rnicrocornputer-based dilution and spray systern

マイクロコンピュータによる防除システム 163

3.液剤の定量は,低・定流量ポγフ。からの流下時間

をマイクロコンピュータにより制御して行った。

4.溶液の濃度は, 20・C温度補正導電率により制御し守'

れ』。

引 用文献

1)電子展望編:エレクトロニグス 301回路祭, 47,誠

文堂新光社,東京, 1976.

2)松岡節・日英久英:電子展望, 15(2), 77-80, 1978.

3)西村功・岡本嗣男・川村恒夫・荒木裕二:農業機械

学会関西支部報, 42, 82-83, 1977.

4)西村功・岡本嗣男・川村恒夫・調j田賢三:農業機械

学会関西支部報, 42, 84-85, 1977.

5)西村功・岡本嗣男・川村恒夫・品川正夫:農業機械

学会関西支部報, 42. 86-87, 1977.

6)西村功・岡本嗣男・川村恒夫・山田久也:農業機械

学会関西支部報, 44, 59-60, 1978.

7)西村功・岡本嗣男・川村恒夫・岡田庄治:農業機械

学会関西支部報, 44, 61-62, 1978.

8)西村功・岡本嗣男・川村恒夫・井上剛己:農業機械

学会関西支部報, 46. 71-72, 1979.

9)西村功・悶本嗣男・川村恒夫・橘昌男:農業機械学

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