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JSCA関西支部2008年度定例研究会

PD「安心・安全な社会をめざして」PARTⅢ-構造設計者の展望は?建築基準法改定から1年を経て-

2.話題提供

②技術基準はどう変わったか

-2 鉄骨造

金属系分科会・塚越 治夫(日建設計)

1JSCA関西支部 第二回 構造設計ゼミナール

1.開会の挨拶 多賀 謙蔵

2.趣旨説明 吉澤 幹夫

3.鉄骨造に関する法改正事項の概説 岡本 森廣

4.法改正施行以後の鉄骨造の設計事例紹介 ①中村 篤

②大川 正明

③澤井 祥晃

④塚越 治夫

5.構造計算適合性判定員の留意事項の概説 ①土肥 俊雄

②古久保恵一

「建築基準法に関する最新情報と対応事例(鉄骨造編)」

2008.02.08

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1.ルート1-2について■従来のルート1に、下記建物が適用されるルートが新設。

地上階数が2以下

スパン長が12m以下

延べ床面積が、2階建ての場合500㎡以下平屋の場合3000㎡以下

但し、偏心率が0.15以下であること

幅厚比の規定、梁の仕口・継手部の保有水平耐力接合梁の保有水平耐力横補剛・柱脚部の保有水平耐力接合

が必要。

層間変形角・剛性率の規定を除いた実質的には

ルート2の設計だが、適合性判定には廻らない。

H19告示第593号第1号ロ構造関係技術基準解説書(313~318)

鉄骨造に関する法改正事項の概説

32.層間変形角について

■層間変形角は応力解析結果の層間変位(梁部材芯

間でなく床間の層変位より計算していること)を階高で

除した値で算定。

■層間変形角の緩和値(1/120が限度)が用いられてい

る場合、帳壁、内外装材、設備等の変形追随性の検

討が適切に行われていることの確認。

■エキスパンションジョイントのクリアランスの根拠が適

切であるかの確認。

令第82条の2, H19告示第594号第1,第3構造関係技術基準解説書(215,294~296)改正法令等解説(2-98,173)

43.部材の変形能力確保について

■ルート2での幅厚比がルート3におけるFAランクであること

の確認。

■仕口部溶接による部材耐力が確保されていることの確認。

■継手が保有水平耐力接合であることの確認。

H12告示第1464号, S55告示第1791号H19告示第595号第2第4号, 5号構造関係技術基準解説書(319~324, 付録581~596)

54.横補剛について

■ルート2:塑性化が想定される梁に適切な間隔、かつ適切

な横補剛材が設けられていることを確認。

■ルート3:当該梁が横補剛不足となる場合、 FDランクとして

Dsを算定する。

※座屈時をメカニズムとするかについては、建物の性状に

より判断されている。

H19告第596号第3第3号イ

構造関係技術基準解説書(313~333,付録593~596)ICBA構造関係基準に関する質疑,回答No.26

65.冷間成形角形鋼管柱梁接合部について

■冷間成形角形鋼管を用いて

いる場合、ルート別の規定を

満足する。

■柱梁耐力比の検証が必要。

S55告示第1791号, H19告示第593号一イH19告示第594号第4第3号ロ, H19告示第595号第2第3号構造関係技術基準解説書(315,318,324~327,

付録575~580)

ルート1の場合の応力割増率

ルート3の場合の耐力低減率

76.柱脚について

■固定度を適切に評価して、設計ルートに応じて計算。

■アンカーボルトの伸び能力の確認。

■メカニズム時のアンカーボルト,ベースプレート,コンクリートの

立ち上がり,根巻き,埋め込みなどの検討。

■非保有耐力接合の場合は応力割増、Dsの割増、メカニズム

によるDsの見直しの有無を確認。

■コンクリートの破壊防止,柱脚部のせん断破壊防止,ベース

プレートの破断防止の確認。

令第66条, S55告示第1791号第2, H12告示第1456号H19告第593号第1号ロ, 構造関係技術基準解説書

(313~335,付録597~615)

87.保有水平耐力について

■各層の荷重変形曲線で最終勾配がほぼ水平になる崩壊

メカニズム時点を確認する。

■各崩壊形(全体、部分、局部)のうち最も小さい数値を保有

水平耐力とする。

■層が未崩壊の場合,部材種別について確認する。

■架構の崩壊状態が局部座屈、せん断破壊等の急激な耐力

低下になっていないことを確認する。

■非常に大きな層間変形角をもって保有水平耐力としている

場合はそれに伴うP-δ効果を適切に評価する。

H19告示第594号第4第1号, 2号、構造関係技術基準解説書(304~310, 参考資料技術的助言559)ICBA「構造計算適合判定の円滑な実施のために」

(追加説明を求める事例)

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材料について

■問題点

ヒンジを生じる大梁端部にSS490を採用している

■指摘

ヒンジを生じる大梁端部にはSS490を採用しない

■理由

SS490は溶接部の基準強度が定義されていない。また炭素当量が

0.45%程度と大きく溶接性が悪いため、塑性変形能力を期待する

部位への採用は望ましくない。(設計思想的にはSS400も同じ)

告示 平12建告第2464号 第1・第2(構造関係技術基準解説書p.488・507)

第1 鋼材等の許容応力度の基準強度 →基準強度(275)あり

第2 溶接部の許容応力度の基準強度 →基準強度なし

適合性判定員から見た注意事項

10許容応力度

■問題点

露出型柱脚BPLの板厚の検討で

許容曲げ応力度 F/1.3で設計されている

■指摘

許容曲げ応力度 F/1.5とする

■理由

・基準法ではF/1.5(短期の許容応力度 F値を超えない)

但し

鋼構造設計規準ではF/1.3

構造関係技術基準解説書でも現在F/1.3になっているが

正誤表で修正予定

出典:ICBAのQ&A No92

11幅厚比ランク変更部材

FB→FCH-390×300×10×16SM490H形鋼梁

FB→FA□-600×600×22BCP325角形鋼管

FB→FC□-600×600×19BCP325角形鋼管

FB→FC□-400×400×12BCR295角形鋼管

FB→FC□-300×300×9BCR295角形鋼管

FB→FCH-250×125×6×9SM490H形鋼柱

ランクメンバー材質断面形状部材

部材

断面形状

角形鋼管

部位 フランジ ウェブ - フランジ ウェブ

FA

FB

FC

FD

幅厚比又は径厚比

FA,FB及びFCのいずれにも該当しない場合

柱及びはりの種 別

柱及びはりの区分

H形鋼 H形鋼

柱 はり

F/2355.9

F/23512

F/2355.15

F/23543

F/23545

F/23548

F/23533

F/23537

F/23548 F/2355.15

F/2359

F/23511

F/23560

F/23565

F/23571

F値の関係でランクが下がったもの、上がったものあり

12純ブレース構造の幅厚比

■問題点

純ブレース構造の場合に、幅厚比の規定を適用していない

■指摘

純ブレース構造の場合も幅厚比の規定を適用する

■理由

通常のディテールで部材端に曲げが生じないことはなく

純ブレース構造であっても幅厚比に関する規定は適用すべきである

出典: ICBAのQ&A No71

13横補剛が満足しない場合のMp

■問題点

単にFD部材のDsを採用するのみでMpを低減していない

■指摘

横座屈を考慮したMcrに低減する

SS400の場合(一様曲げモーメントを受ける場合)

fbf

b

f

b

f

b

f

b

A/hl500

MpMcr1000

Ahl

300-A

hl0.00071-1MpMcr1000

Ahl300

MpMcr1.0MpMcr300

Ahl0

)(=≦≦

=≦≦

出典:塑性設計指針

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0.330.501.00Mcr/Mp

850567170H-600×200×11×17

960640192H-500×200×10×16

933622187H-450×200×9×14

975650195H-400×200×8×13

825550165H-350×175×7×11

Lb=675cmLb=450cmLb=135cmH-300×150×6.5×9

Lbh/Af=1500のときLbh/Af=1000のときLbh/Af=300のとき部材

Lbh/Af>1000300≦Lbh/Af≦1000

0≦Lbh/Af≦300範囲

Mcrの検討一覧表

(単位:cm)

Mcr算定式の範囲毎Lbの値とMcr/Mp比率(SS400の場合)

15柱脚

■問題点

柱脚をピンで設計している

■指摘

柱脚に回転剛性を考慮する

■理由

通常のディテールでは完全ピンにはなり得ない

(構造関係技術基準解説書 P.597)

出典: ICBAのQ&A No49

16ボックス柱と梁(H形鋼)の接合部のMu

jMu= jMfu+ jMwu

jMfu :梁フランジ接合部の最大曲げ耐力jMwu:梁ウエブ 接合部の最大曲げ耐力

jMfu=Af・db・Ffu

jMwu=m・Zwpe・Fwy

Zwpe:スカラップなどによる欠損を考慮した梁ウエブ有効断面の塑性断面係数

Zwpe=1/4(Db-2tbf-2Sr)2tbw

m:梁ウエブ接合部の無次元化曲げ耐力

出典:鋼構造接合部設計指針P.125

FwytbwFcybj

djtcf4,1minm

・Db

tbf

dj

シャープレート

tbftd

td

Sr

Sr

Sr

Sr

17梁ウエブ接合部の無次元化曲げ耐力計算例

0.64H-600×200×11×17□-500×500×12

0.85H-500×200×8×12□-450×450×12

0.60H-600×200×11×17□-450×450×12

0.57H-600×200×11×17□-400×400×12

0.80H-500×200×8×12□-400×400×12

1.00H-400×200×8×12□-400×400×12

m大梁柱

柱材質 BCR295 梁 SS400

18H形鋼のr(旧JISと新JISの対比)

0.9814601490H-450×200×9×14 (18→13)

0.9811701190H-400×200×8×13 (16→13)

0.99771775H-350×175×7×11 (14→13)

1.00481481H-300×150×6.5×9 (13→13)

0.98317324H-250×125×6×9 (12 → 8)

0.98181184H-200×100×5.5×8(11→8)

比率新JISのZ

(cm3)

旧JISのZ

(cm3)部材

2%程度ではあるが検定比が厳しい場合要注意

19その他主な指摘事項

JSCA関西アンケート調査より

①屋根梁の積雪時短期応力での検討(LLが0の場合)

②ブレース廻り・山形ラーメンの梁に軸力が考慮されてない

③BOX柱の長期2軸曲げが考慮されていない

④鉄骨詳細図の不備・不足・食違い

⑤露出柱脚設計ルート(①~⑫)を意識して設計されていない

アンカーボルトの伸び能力の有無・保有耐力接合の判定等

(構造関係技術基準解説書 P.599 付図1.2-25)

⑥図面と計算書との不整合、符号の抜け

20法改正に伴う雑感

法改正によって、従前以上に構造設計の成果品

(構造設計図・構造計算書)の正確さ、分かりやすさが求められている。

(メリット)

・いままで、施工者に頼りがちになっていた意匠・構造・設備の総合調整を、設計図に表現するようになった。

(デメリット)

・技術基準解説書の記述にあてはまらない設計が難しくなる。

・申請図書作成の手間が増大し、創造的な活動にあてられる時間が減っている。

・適合性判定で意思疎通が図れない、確認申請に時間がかかる、スケジュールが読めないこと、による精神的苦痛。

・さらに最近は、鉄骨の材料手配に時間がかかっており、ダブルパンチ。