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JFL日本語学習者のビリーフ研究 -日本語で「書く(打つ)」ことに関しての予備研究-
Estudos sobre crenças de aprendizes de Japonês como LE:
um estudo preliminar sobre a habilidade de escrita.
向井裕樹(ブラジリア大学)
Yûki Mukai (Universidade de Brasília)
1
2011年7月22日、23日、24日
ブラジリア日本語モデル校
「スキルアップコース」
2011年度スキルアップコースのテーマ:教室活動研究
目次 2
1. イントロダクション
2. 理論的枠組み
3. 研究方法
4. 分析&結果
5. 考察(まとめ)
6. 参考文献
略語 3
JFL = Japanese as Foreign Language
外国語としての日本語
Ex. ブラジル人がブラジルで学ぶ日本語
JSL = Japanese as Second Language
第2言語としての日本語
Ex. ブラジル人が日本で学ぶ日本語
1. イントロダクション (Introdução) 4
学習者のことをどれだけ知ってるか。
学習者は4技能のうち、何が一番大切だと思っているか。
日々、我々教師は「何をどう教えるか」といった教える内容ばかりに注意を払い、「学習者がどう考えているか」といった「学習者の内面」を考察することを忘れていないか。
教師自身、自分の教え方を内省する。
どのようにして?
例えば、学習者のビリーフやニーズをアンケートやインタビューを通して考察する。
キーワード (Palavras-chave) 5
教師の内省 (reflexão por parte do professor);
学習者のビリーフ (crenças dos aprendizes);
学習者のニーズ (necessidades dos aprendizes);
学習者の動機付け (motivação dos aprendizes);
自律学習 (autonomia/autodidata).
JFL日本語学習者のビリーフ研究 -日本語で「書く(打つ)」ことに関しての予備研究-
向井裕樹(ブラジリア大学)
ビリーフの理論的枠組み
Pressupostos teóricos (2)
ビリーフ(Belief)とは 7
確信(かくしん)=自分の判断を信じている。
信念(しんねん)= かたく思いこむ心。
Ação de crer na verdade ou na possibilidade de
uma coisa.
Convicção íntima.
Opinião que se adota com fé e convicção.
Fé religiosa. (fonte: http://www.dicio.com.br/crenca/)
ビリーフ (Belief) 8
何についての「確信」「信念」か?
⇒ 教育や学習
⇒ 外国語教育、外国語学習
⇒ 日本語教育、日本語学習
外国語教育におけるビリーフとは
Crenças no ensino de Línguas Estrangeiras 9
「ある外国語学習に関わる先入観や概念」(Horwitz, 1987)
「ことばやその学習に対して人が抱いている考え方や信念のようなもの」(国際交流基金, 2006)
外国語教育におけるビリーフとは
Crenças no ensino de Línguas Estrangeiras 10
Pajares (1992)
態度、価値観、判断、意見、思想、認識、概念、概念システム、先入観、個人的な理論、行動戦略、実践の規則や原則、見方など(原文は英語、向井訳)
atitudes, valores, julgamentos, opiniões, ideologias,
percepções, concepções, sistemas conceituais,
preconceitos, teorias pessoais, estratégias de ação,
regras de prática, princípios de prática,
perspectivas entre outros.
外国語教育における誰のビリーフ?
11
1) 学習者のビリーフ
2) 外国語教師のビリーフ
3) 校長、コーディネータのビリーフ (Silva, 2010)
教師と学習者のビリーフの例を見てましょう。
教師のビリーフ例 (1) 12
a)日本語を教える際、文法が一番大切である。
⇒教える内容(シラバス)に関するビリーフ
b)教室ではペアワークが一番大切である。
⇒教室活動に関するビリーフ
c) 読み物教材が一番大切である。
⇒教材に関するビリーフ
学習者のビリーフ例 (1) 13
a) 授業では会話が一番大切である。
⇒メソッドに関するビリーフ
b) 「聞く」技能が一番大切である。
⇒4技能に関するビリーフ
c) 漢字の学習が一番大切である。
⇒4技能の「書く」に関するビリーフ
d) 生教材が一番いい。
⇒教材に関するビリーフ
ビリーフの形成 (Formação de Crenças)
14
ビリーフは、私たちの過去や現在の経験(experiência)から生まれ、自分のおかれた環境(contexto)に合わせながら、相互作用(interação)や適応性(adaptação)に基づいて形成される。(Barcelos, 2006)(原文はポルトガル語、向井訳)
ビリーフの形成
Barcelos (2000)は、学習者(教師)自
身のビリーフを考察する際、学習者(教師)の今までの経験と社会的コンテキストが大切であると強調。
Conceição(2004)は、学習者(及び教
師)の過去の経験が現在の行動に影響を及ぼしていると言及。
15
外国語教育・学習におけるビリーフの形成(まとめ)
16
1. 過去や現在の教授・学習経験(experiência)に基づき、
2. その時々の環境(contexto)や、
3. 第三者とのインターアクション(interação)を通して
形成されていく。
⇒それが現在とる(教授、学習の)行動 (ação) のベースとなっている。
教師と学習者のビリーフの具体的な例を見てみましょう。
教師のビリーフの例 (2) 17
<日本人の英語教師Aの場合>
(過去の経験)
高校生のとき、英語を「文型積み上げ式」で勉強して、それがとても良かった。
(現在の経験)(行動)
「文型積み上げ式」で自分は上手くいったので、それを現在教えている中学校のクラスでも導入した。
(環境、第三者の影響)
幸い、周りの同僚も「文法積み上げ式」に賛成しているようだ。
(結論)
この教師Aのビリーフは?
教師のビリーフの例 (3) 18
<日本人の日本語教師Bの場合>
(過去の経験)
小学生のとき、同じ漢字を20回書いて覚えた。
(現在の経験)(行動)
現在、ブラジルの日本語学校で教えているが、あの経験が自分にとって良かったので、学習者にもそれを強制した。
(環境、第三者の影響)
ところが、学習者は20回書いても、なかなか漢字を覚えてくれないどころか、嫌々やっているようである。ブラジル人の同僚にもそれを批判された。
(リフレクション Reflexão)
漢字の反復練習は、学習者によっては必ずしもベストとは限らないので、他のメソッドを導入してみよう。
この教師Bのビリーフは?(ビリーフは内省を通して変わる)
学習者のビリーフ例 (2) 19
<ブラジル人の日本語学習者Cの場合>
(過去の経験)
高校生のとき、英語の音楽を聞いて英語を勉強してスピーキングが上達した。
(現在の経験)(行動)
大学では日本語を勉強しているが、英語を勉強したときと同じように、日本の音楽を聞いて日本語を学習している。
(環境、第三者の影響)
ところが、日本語の授業では文法や漢字の練習ばかりである。
(リフレクション Reflexão)
どうして先生は授業で音楽を使ってくれないのだろうか。
⇒学習者と教師のビリーフの相違
20
学習者のビリーフが、彼らのとる行動の土台となっていることから分かるように、外国語教育には学習者のビリーフやニーズを調査することが不可欠です。
⇒学習者のビリーフやニーズ調査をやったことがありますか?
教室活動の際にもビリーフ研究は不可欠
21
ビリーフ研究は、教室活動を考える際にも必要である。
(教室活動の例)
学習項目の提示と文法説明→機械的ドリル→コンテクストの中の練習→ペアワーク→ロールプレイ
(川口&横溝, 2005, p. 98)
A先生は、上記の流れで特に機械的ドリルが大切だと思っている。
クラスのほとんどの学生は機械的ドリルが嫌いで無意味だと思っている。
教師にとって大切なこと 22
自分のビリーフと学習者のビリーフを認識しておくことが大切。
自分が「いい」と思っていることをまずはっきりと把握して、なぜ「いいと思っているのか」認識しておき(McKAY, 2003, p. 2)、
それが目の前にいる学習者にとって、本当に「いい」ことなのか常に考えなければならない。(川口&横溝, 2005, p. 8)
⇒教師の内省
図1:教授活動、ビリーフ、自己評価、自己研修の繋がり
23
(林, 2005, p. 23)
24
「教授活動の実践を自己評価し、必要に応じて自己研修を行う姿です。背景にある言語学習、言語教育に関するビリーフ、そして、その基盤になっていると考えられるその人の哲学、人生観(生き方)の関係を示しています。」(林, 2005, p. 22)
⇒教師は授業をするだけではなく、時には立ち止まり、内省(reflexão)することも大切。
JFL日本語学習者のビリーフ研究 -日本語で「書く(打つ)」ことに関しての予備研究-
向井裕樹(ブラジリア大学)
研究方法 Metodologia (3)
研究の焦点 (Foco da Pesquisa) 26
4技能の「書く」に関する
学習者のビリーフ
「書く」⇒ 日本語のライティング・システム(ひらがな、カタカナ、漢字)を使って表記する能力だけではなく、場面を考慮し、コミュニケーションを意識し、相手(読み手)や媒体に応じて「書く」という社会的言語能力(competência sociolinguística)も含む。(由井, 2005)
研究目的 (Objetivos) 27
a) JFL の学習者の「書く(打つ)」ことに関するビリーフやニーズを調査、認識すること.
b) 学習者の「書く(打つ)」教材に対するビリーフやニーズを調査、認識すること.
c) それを通して、現在彼らがとっている行動を理解すること.
d) (最終目標)学習者のビリーフとニーズを元に「書く」教材開発を行うこと.
研究方法 (Método da Pesquisa) 28
質的研究
ケーススタディー(Nunan , 1992; Johnson, 1992)
Collective case study (Stake, 1994)
【研究のコンテキスト】
ブラジリア大学文学部外国語・翻訳学科日本語コース
参加者 (Participantes) 29
ブラジリア大学文学部外国語・翻訳学科日本語プログラムの正規の学生(主専攻)。
5学期(3年生)から7学期目の中級の学生。ブラジリア大学で初級800時間日本語を学習した者。
アンケートに賛同して解答した学生は、15名(5学期目6人、6学期目5人、7学期目4人)。
ほとんどの学生(9割以上)が日本語ゼロ初級で入学してくる。
入学前に英語&(又は)スペイン語の学習経験がある。
注)参加者の個人情報を保護するため、本研究では各参加者を番号で示す。
データ収集 (Coleta de dados) 30
アンケート調査とインタビュー調査をポルトガル語で行った。
アンケートは全部で16個の質問からなり、
「プリコード回答法」の「2項選択回答形式」「完全順位解答形式」と
「自由回答法」
を用いた。
インタビューでは、半構成的なものを用い、許可を得て録音した。
図2:アンケートの形式 31
方法論的トライアンギュレーションを意識して、アンケートでは3つの種類を用いた。
アンケートの形式
「プリコード回答法」 「自由回答法」
「2項選択回答形式」「完全順位解答形式」
(横溝, 2000, p. 166を本研究に合わせ簡略化したもの)
「プリコード回答法」の「二項選択回答形式」の例
32
日本語の授業で「書く(打つ)」指導を受けていますか、または受けたことがありますか。
はい / いいえ
「プリコード回答法」の「完全順位解答形式」の例
33
日本語の4技能(話す、書く、聞く、読む)の
中で、日本語の学習で大切だと思う順に番号を付けてください。
話す( ) 書く(打つ) ( ) 聞く( ) 読む( )
「自由回答法」の例 34
なぜ、「書く(打つ)」技能が他の技能よりもよ
り重要(必要)、またはより重要(必要)ではないと思うのか、思ったことを何でも書いてください。
分析プロセス (Procedimento de Análise)
35
アンケートでは
(1)日本語学習環境のもとで、4技能の1つ
である「書く(打つ)」行為に関して全般的にどんなビリーフを抱いているか。
(2)「書く」ことに関する教材や授業に対してどんなビリーフを抱いているか。
(3)どのような状況で日本語で「書く(打つ)」ことの必要性を感じているか。
36
以上の3つの観点から学習者のビリーフ及びニーズを2011年の6月に調査した。
次に、アンケートのすべてのデータを入力し、日本語へ翻訳した。
その後、アンケートだけでは見えにくい情報もあるため、中級のある1クラス(6学期目)のみに絞り、アンケートで書かれた内容についてインタビューを2011年7月に実施した。
その後、分析に使う部分のみ書き起こし、日本語へ翻訳した。
今回は、時間とスペースの都合上、以下のアンケート番号にのみ焦点を当てて分析を行った。
アンケートNo. 1, 2, 4, 10, 13, 15, 16. (アンケート用紙は、添付資料1を参照)
JFL日本語学習者のビリーフ研究 -日本語で「書く(打つ)」ことに関しての予備研究-
向井裕樹(ブラジリア大学)
分析&結果 (Análise e Resultados) (4)
アンケート1番 38
日本語の4技能(話す、書く、聞く、読む)の
中で、日本語の学習で大切だと思う順に番号を付けてください。
話す( ) 書く(打つ) ( ) 聞く( ) 読む( )
注) アンケートのオリジナルはポルトガル語
4技能別重要(必要)度(アンケート1番の結果)
39
1)1番目に重要(必要)=聞く
2)2番目に重要(必要)=話す
3)3番目に重要(必要)=読む
4)4番目に重要(必要)=書く
ブラジリア大学日本語コースの中級のJFLの学生は、
日本語で「書く」ことをそんなに重要(必要)だとは思っていないことが伺える。
この結果をJSLの学生と比較してみる価値はある。
図3:4技能別重要(必要)度 -平均値別-
(アンケート1番の結果) 40
0
0,5
1
1,5
2
2,5
3
3,5
4技能別重要度
2,8
1,5
3,3
2,4
話す
書く
聞く
読む 平均値
注)より重要 => 4ポイント、重要=> 3ポイント、普通=>2ポイント、あまり重要ではない=>1ポイントで計算(小数点第2位四捨五入)最高点は4点.
図4 :4技能別重要(必要)度 -人数別-
(アンケート1番の結果) 41
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
話す 書く 聞く 読む
6
0
7
2
3
2
6
4
3
4
1
7
3
9
1
2
とても重要
重要
普通
あまり重要ではない
人数
4技能別重要(必要)度(アンケート1番の結果)
42
「聞く」は、圧倒的に「とても重要」「重要」を選んだ学生が多かった。
「話す」は、「とても重要」を選んだ学生が一番多かったが、「聞く」には及ばなかった。
「読む」は、圧倒的に「普通」を選んだ学生が多かった。
「書く」は?
図5:「書く」の重要(必要)度 -人数別-
(アンケート1番の結果)
43
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
重要度
0
2
4
9
とても重要
重要
普通
あまり重要ではない
人数
4技能別重要(必要)度(アンケート1番の結果)
44
「書く」は、「とても重要」を選んだ学習者が一人もいなかった。
圧倒的に「あまり重要ではない」を選んだ学習者が多かった。
ただ、日本語で書くことは「あまり重要ではない」と考えてはいるが、日本語で「書く」ことは好きなようである(図6参照)。
図6:日本語学習の中で日本語で「書く」ことが好きか、嫌いか(アンケート4番の結果)
45
13
2
日本語で書くことが好きか、嫌いか
好き
嫌い
日本語学習の中で日本語で「書く」ことが好きか、嫌いか(アンケート4番の結果)
46
(1) 多くの漢字や書き順、意味、読みを覚えるのが難しくて大変ではあるが、(日本語で書くことは)大好きである。漢字を使って書くのはとても面白い。(No. 1-6) (←参加者番号+学期) (すべてのデータの訳は向井訳)
(2)(日本語で書くことは)好きであるが、漢字を覚えるのがとても難しい(習った漢字の読みは簡単であるのに)。(No. 2-6)
(3) 文の構造や漢字をマスターするのは難しいが、日本語で書くのは好きである。(No. 5-6)
(4) 嫌いである。なぜなら何を書いていいかアイデアがないから。(No. 11-7)
(5) 嫌いである。出されるテーマが面白くない。非生産的で退屈な活動となってしまう。(No. 13-7)
日本語学習の中で日本語で「書く」ことが好きか、嫌いか(アンケート4番の結果分析)
47
学習者のビリーフとして、「覚えて⇒書く」ことが前提とされていることが伺える。
リソース(紙媒体の参考書だけではなく、Googleなどを使ったネット検索、WEB辞書、WEB翻訳ツールなど)の活用をもっと学習者に促すべき。それは、
⇒自律学習(autonomia)にも繋がる。つまり、
「覚えて⇒書く」から「リソースを使って⇒書く」へ。
どんな状況で日本語で「書く(打つ)」必要性を感じているか
(アンケート13番の結果)
48
順位 状況 回答数複数有
1) 宿題、練習問題 8
2) ネットでのチャット 5
3) メール 4
4) 手紙 3
日本語の試験 3
6) ソーシャルネットワーク 2
(Facebookなど)
インターネットでの検索 2
授業 (中) 2
49
順位 状況
回答数 (複数回答有)
1 宿題、練習問題 8 2 ネットでのチャット 5 3 メール 4
4 手紙 3 日本語の試験 3
5
ソーシャルネットワーク(Facebookなど) 2 インターネットでの検索 2 授業 2
6
作文 1 文書 1 レポート 1 漢字の読みが分からないとき(電子辞書) 1 オンライン辞書 1 日本語で打つ練習 1 日本語のサイト 1 申込み用紙記入 1 スピーチコンテストの原稿 1 歌詞の翻訳 1
表1:どんな状況で日本語で「書く(打つ)」必要性を感じているか
(アンケート13番の結果)
どんな状況で日本語で「書く(打つ)」必要性を感じているか
(アンケート13番の結果分析)
50
「宿題」と「練習問題」を挙げた学生が一番多かった。4番目、6番目に挙げられた「日本
語の試験」「授業(中)」を含めると、本研究のJFL学習者の日本語で書く状況のほとんど
は、「日本語の授業、学習」に関することであると言える。
⇒JFLの環境では、教室が<学生によっては>唯一日本語に触れられる場である。
⇒教室活動がいかに大切かが分かる。
どんな状況で日本語で「書く(打つ)」必要性を感じているか
(アンケート13番の結果分析)
51
次に注目に値するのは、2番目と3番目に多かった「ネットでのチャット」「メール」、そして6番目に多かった「ソーシャルネットワーク(Facebook
など)」など、ネットの活用、及び日本語を手で書くというより「打つ」行為である。
JSLの学生は、携帯電話で「打つ」機会も多いと思われるが、ブラジルの携帯電話ではiPhoneなど限
られた機種でしか日本語で入力したり読むことができない。そのため、本調査では携帯電話を状況に挙げる学生が一人もいなかった。
どんな内容を日々、日本語で書いて(打って)いるか
(アンケート15番の結果)
52
内容 回答数複数有
a) 先生とのコミュニケーション 3
b) チャットで日常的なこと 3
c) ネットで書く日常のこと 3
(ソーシャルネットワーク
Facebook, twitterなど)
d) 日常的なこと(テクノロジー、料理、 3
交際、ニュース等)
e) 特になし 3
f) レポート、発表 2
g) 宿題 2
53
内容 複数回答有 A 先生とのコミュニケーション 3 B チャットで日常的なこと 3 C ネットで書く日常のこと(ソーシャルネットワーク
Facebook, twitterなど) 3
D 日常的なこと(テクノロジー、料理、交際、ニュース等) 3 E 特になし 3 F レポート、発表 2
G 宿題 2 H 作文 1 I 試験 1 J 教室で書く手紙や作文 1 K 手紙 1 L カード 1 M メッセージ 1 N 旅行 1 O 家族の近況 1 P 自分の興味のあること(ブラジルや日本の関係など) 1 Q 教室外では使わない 1
表2:どんな内容を日々、日本語で書いて(打って)いるか
(アンケート15番の結果)
どんな内容を日々、日本語で書いて(打って)いるか
(アンケート15番の結果分析)
54
表2に挙げられた項目を分析してみると、以下の2つの内容に集約することができる。
a) 日本語の勉強に関すること
b) 日常的なこと
特に「日常的なこと」に関することを書く際、ネットを使っていることから、日本語で「打っている」ことが伺える。
「特になし」が上位に位置しているのも問題である。⇒ 学生が日本語で書く「動機のなさ」の表れであろうか。
今後書きたいテーマ(アンケート16番の結果)
55
順位 テーマ 回答数複数有
1位 映画 3
2位 特になし 2
56
テーマ 複数回答有 複数回答有 映画 3 軍事、防衛 1 特になし 2 日本人とのコミュニケー
ション 1
代表的な料理 1 より抽象的なテーマ 1 日本の観光スポット 1 物語 1 歴史的な重要なスポット 1 芸術、デザイン 1 歴史的に重要なイベント 1 詩 1 宗教 1 音楽 1 ブラジルの音楽の歴史 1 歴史 1 日本の武道 1 政治 1
インターネットは日本語教育をどう変えたか
1 経済 1
日本とブラジルの関係(経済、時事問題など)
1 文学 1
日本語コースの内容・目的に関連したこと
1 応用言語学 1
日本についてのニュース 1 外国語教育 1 日本の社会現象 1 ブラジルと日本の異文化 1 心理学 1 日本語教授法 1 人類学 1 書類 1 世界時事問題 1
表3:今後書きたいテーマ(アンケート16番の結果)
今後書きたいテーマ(アンケート16番の結果分析)
57
多種多様なテーマが挙げられた。
この事実は、図6の結果(日本語学習の中で日本語で「書く」ことが好きか、嫌いか)を反映していると思われる。本研究の学習者は、日本語で書くのが好きではあるが、書く必要性をあまり感じておらず(図3から5を参照)、また日本語で書くことに対して苦手意識を抱いている。
またアンケート4番でも考察したが、書くことが嫌いな学生は何を書いていいかアイデアがない。それが「書く」ことに対する動機の喪失に繋がっていると思われる。
4技能の中での「書く」の位置づけ理由 (アンケート2番の結果)(「書く」のビリーフ)
58
「書く」を4番目(あまり重要ではない)にした学生のビリーフ
(6) 「話す」ことよりも「理解(聞くこと)」の方が大切です。さもなければ会話が進みません。「書く」ことは最後に洗練されるものでいい。他のスキルがより実用的であるから。(No.5-6)(←参加者番号+学期)
(7) 私にとって重要なのは、実用的かつ迅速に「話す」ことを通して「理解する」ことです。読み書きに関して言えば、「書く」ことは「読む」ことを通して伸びると思います。(No. 7-5)
4技能の中での「書く」の位置づけ理由 (アンケート2番の結果)(「書く」のビリーフ)
59
(8) 私にとって日本語を理解することの方がより大切なので、「聞く」と「読む」の順位を高くしました。(No. 9-5)
(9) 私にとって情報を受入れて解釈する方にプライオリティがあります。(No. 10-5)
(10) 「話す」ことと「書く」ことは、「聞く」ことと「読む」ことを通して伸ばすことができます。「話す」と「聞く」スキルが「書く」ことより大切なのは、それらのスキルを通してその言語でコミュニケートすることができるからです。(No. 13-7)(この学生にとって、コミュニケート=話す、聞く)
4技能の中での「書く」の位置づけ理由 (アンケート2番の結果) (「書く」のビリーフ)
60
「書く」を3番目(普通)にした学生のビリーフ
(11)「書く」を3番にしたのは、上手に書くために
は、まずよく「聞いて」「話す」必要があります。(No.1-6)
(12)「読む」ことが一番大切です。「書く」力を伸ば
すから。「聞く」ことは「話す」力を付けます。(No.11-7)
(13) 目標言語で「話す」「聞く」ことを通して、「読む」「書く」ことを学ぶと思えます。(No. 14-7)
(14) 上手に「書く」ためには、たくさん「読む」必要があります。(No. 15-5)
4技能の中での「書く」の位置づけ理由 (アンケート2番の結果) (「書く」のビリーフ)
61
「書く」を2番目(重要である)にした学生のビリーフ
(15)(まず)先生が伝達するメッセージを理解
するのが重要。(中略)上手に話せないとき、伝えたいメッセージを「書く」ことにより表現できます。(No. 3-6)
(16) ローマ字と全く異なる日本語の「書く」システムに慣れる(必要がある)。(No. 6-5)
4技能の中での「書く」の位置づけ理由 (アンケート2番の結果分析) (「書く」のビリーフ)
62
本研究の学生は、「書く」ことに対して、以下のビリーフを抱いていると分析することができる。
「書ける」ようになるには、まずよく「聞いて」「話す」必要がある。
⇒ そのために、「書く」の順位が最低だったと思われる。
4技能の中での「書く」の位置づけ理由 (アンケート2番の結果分析)
63
受容技能(input: 聞く、読む)が産出技能(output: 話す、書く)の前提とされている。
今後の課題⇒
a)「書ける」とは具体的に何か、更に詳細に分
析する必要あり。「頭の中で覚えた文字や文型を表出する」ことか。
b)受け身の学習から「(読めないけど)色々なリソースを活用すれば書ける」自律学習へ。
どんな「書く」教材を望んでいるか(アンケート10番の結果)
64
(17) ただ漢字を繰り返す教材だけではなく、連携して漢字や漢字の読みを覚え吸収できるような教材。また文をどのように組み立てるかといった教材。(No. 1-6)
(18) ポルトガル語学習者のための教材が不足している。多くの教材は英語である。そのため、日本語からポルトガル語に訳すとき、ときにはまず英語に訳す必要がある。また英語に訳された翻訳がポルトガル語では意味をなさないときがある。(No. 3-6)
どんな「書く」教材を望んでいるか(アンケート10番の結果)
65
(19) 学習者自身が産出でき、既習したものが練
習でき、ポルトガル語から日本語(またはその逆)の翻訳を含む教材。(No. 4-6)
(20) アニメのシーン、文学、音楽、マンガ。(No.
9-5)
(21) よりコンテキストがあり、今日のテーマを扱った教材。(No. 10-5)
(22) 書き順に焦点を当てると(書く学習が)容易になる。(No. 12-5)
どんな「書く」教材を望んでいるか(アンケート10番の結果)
66
(23) 学習時間を要するより複雑なテキスト。役に立つ漢字や語彙が同時に使えるもの。テキストは興味深いものであるべき。興味深くて、チャレンジでき(簡単すぎず)、役に立ちそうなテキストは、勉強する動機付けになる。(No. 13-7)
(24) 使用している教材ができるだけ(本当に使われている)日本語に近いもの。(No. 14-7)
(25) 疑問が生じたらいつでも調べられる教科書。(No. 15-5)
どんな「書く」教材を望んでいるか(アンケート10番の結果分析)
67
本研究の学習者の「教材」に対するニーズをまとめると、彼らは
1)ポルトガル語母語話者向けで、
2)ただ繰り返し練習する教材ではなく、
3)文脈化されアップデートされたテーマ(アニメのシーン、文学、音楽、マンガなどを取り入れた)を扱った教材で、
簡単すぎず、実用性も含んだ教材
を望んでいると言える。
どんな「書く」教材を望んでいるか(アンケート10番の結果分析)
68
つまり、本研究のJFLの学習者が望んでいる教材は、
1)母語での説明は不可欠であり(学習を促す) 、
2)教室外ではなかなか日本語が使えない状況であるから、機械的な練習ではなく文脈化(実際に日本でありそうなコンテキスト)された教材で、
3)かつ、最近のテーマを扱い、日本に行ってすぐに使えるより実用的な教材
JFL日本語学習者のビリーフ研究 -日本語で「書く(打つ)」ことに関しての予備研究-
向井裕樹(ブラジリア大学)
考察 (Considerações finais) (5)
考察(まとめ) 70
調査をした結果、以下の点が明らかとなった。
1)本研究のJFL学習者は、日本語で日々書く(打つ)行為は、他の技能(話す、聞く、読む)よりもあまり重要ではないといったビリーフを抱いている(図3から5参照) 。
「書ける」ようになるには、まずよく「聞いて」「話す」必要があるといったビリーフが多く観察された。そのため「書く」の順位が最低であった。
2)しかし、日本語で書くことは(苦手意識を持ちつつも)好きであり(図6参照)、それは、今後書いてみたいテーマが多種多様挙げられた(表3参照)ことからも推測できる。
71
3)「どんな状況で日本語で書く必要性を感じているか」(表1参照)、また「日々書いていること」(表2参照)の結果が似ていた。
⇒ 日本語の勉強に関すること(宿題、練習問題など)と日常的なことである。
JFLの環境では、学習者によっては、教室が日本語に触れられる主な場であることもあり得る。
ただし、ネットでチャット、メール、またfacebookなどの
ソーシャルネットワークを通して日本語で「打つ」学習者も目立ったことから、今後更に教室外でも日本語を「書く(打つ)」機会が増えていくと思われる。
72
4)彼らのモチベーションを高めるような「書く」教材や機会が不足している。
アンケート4番でも考察したが、書くことが嫌いな学生は
何を書いていいかアイデアがない。もしくはテーマが面白くない。それが「書く」ことに対する動機の喪失に繋がっていると思われる。
5)教材に対するビリーフとしては、母語での説明が不可欠であり、教室外ではなかなか日本語が使えない状況であるから、機械的な練習ではなく実際に日本でありそうなコンテキストを鑑みた教材、かつ最近のテーマを扱ったより実用的な教材を望んでいることが明らかとなった。
73
これらの結果から考察できるのは、JFLの学習者が日本語で「書く(打つ)」技能を伸ばせるためにも、
1)日々日本語で書く(打つ)ためのモチベーションを高める教材や機会が必要
2)手書きだけではなく、「打つ」練習、教材や機会も必要
3)テーマが多種多様であることからも、一律の教材ではなく、学習者一人ひとりのニーズにあった教材が求められている。
74
4)そのためには紙媒体だけではなくウェブ教材を含んだ教材開発も求められている。
5)つまり、教室内の活動のみならず、教室外の活動(ネット検索、ウェブ辞書、ウェブ翻訳、メール、ブログの書き方など)も視野に入れて、教材開発をしていかなければならない。
75
グローバル化、インターネットの普及で日本語教育及び学習のあり方が変わってきた。
(ブラジリア大学では、1科目の20%までならOnlineで授業が行えるようになった)
JFLの学習者もネットを通して簡単に日本から発信されている情報にアクセスできる。
つまり、ネット上にはJFLとJSLに国境はない。
WEB教材開発の利点はそこにもある。
WEB教材だと、学習者の多様化やニーズ(野田, 2005 小林, 2005)にも対応しやすい。
本研究の貢献 (Contribuição desta pesquisa)
76
ネット上にはJFLとJSLに国境はないとは言え、
現実には教授、学習環境など大きな違いがある。
そんな中、ブラジリア大学のJFL学習者のビ
リーフやニーズの一傾向が、今後「書く」に関する(WEB)教材開発の際、参考になれば幸いである。
今後の課題 (Sugestões para futuras pesquisas)
77
本研究は、JFL学習者の調査結果である。今後、JFLとJSLの学習者の
調査結果を比較し、日本語学習の環境により、学生はどんなビリーフやニーズを感じているのか、どんな違いがあるのか検討する必要がある。
ケーススタディのため、限られた人数にしか調査が行えなかった。今後、中級だけではなく、初級の学生、更にはブラジリア大学だけではなく、ブラジルの他の大学や語学学校でも同様な調査を行う価値はある。
⇒ 量的に調査をしないと、結果を一般化することはできないからである。
言語習得をグローバルな視点から理解するには、他の技能(「読む」「聞く」「話す」)でも同様の調査を行う必要がある。
終わりに 78
日々、我々教師は「何をどう教えるか」といった教える内容ばかりに注意を払い、「学習者がどう考えているか」といった「学習者の内面」を考察することを忘れていないか。(イントロダクションで見たQuestion)
学習者のことをどれだけ知ってるか。
⇒無視することはできない。
a) 教師自身、自分の教え方を内省するために、
b) 学習者の動機付けを再考するために、
学習者のビリーフやニーズを知る必要がある。
JFL日本語学習者のビリーフ研究 -日本語で「書く(打つ)」ことに関しての予備研究-
向井裕樹(ブラジリア大学)
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92
【備考】
本研究は「平成21-25年度科学研究費補助金基盤研究(A)「コミュニケーションのための日
本語ウェブ教材の作成と試用」(研究代表者:小林ミナ,課題番号21242012)」のサポートを受けています。
ブラジリア日本語普及協会の先生方の「4技能に関する」ビリーフ
追記 93
教師の4技能に関するビリーフ 94
2011年度7月スキルアップに参加し、7月23日に会場にいらした日本語の先生方に以下のアンケートをお願いした。
1)日本語の4技能(話す、書く、聞く、読む)の中で、
日本語を教える際、大切だと思う順に番号を付けてください。
話す( ) 書く ( ) 聞く( ) 読む( )
2)なぜ、「書く」技能が他の技能よりもより重要(必要)、またはより重要(必要)ではないと思うのか、思ったことを何でも書いてください。
アンケート参加者 95
28名の先生方が回答してくださったが、その内1名が誤って番号をふってしまったため、27名分の回答を集計して分析した。
アンケートにご協力してくださった先生方は、ブラジリア日本語普及協会の会員校(http://page.freett.com/aeljb/)で日本語教育に携わっていらっしゃる先生方。
図7:日本語教師による4技能別重要度 -平均値別-
96
0
0,5
1
1,5
2
2,5
3
3,5
4技能別重要度
3
1,7
3,1
2,2
話す
書く
聞く
読む
注)より重要 => 4ポイント、重要=> 3ポイント、普通=>2ポイント、あまり重要ではない=>1ポイントで計算(小数点第2位四捨五入)最高点は4点.
図8:日本語教師による4技能別重要度 -人数別-
97
0
2
4
6
8
10
12
14
16
話す 書く 聞く 読む
10
2
11
4
9
3
12
3
6 6
1
14
2
16
3
6
とても重要
重要
普通
あまり重要ではない
人数
結果考察 98
ブラジリア日本語普及協会会員校の日本語教師の4技能に関するビリーフが、本研究で考察したブラジリア大学のJFL学習者の結果と非常によく似ていることが伺える。
⇒仮説として、教師の4技能に関するビリーフ
が学習者のビリーフに影響を与えている可能性があることも考えられる(今後の課題)。
(謝辞)アンケートにご協力してくださった先生方に改めて御礼申し上げます。