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2020年5月22日 IT新戦略の策定に 必要な事項について 資料3

IT新戦略の策定に 必要な事項について...10原則』の完全撤廃に向けた 法令上の対応と数値的な進捗管理 など DXの経営業務改革 税制などの必要なインセンティブ措置の強化

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2020年5月22日

IT新戦略の策定に必要な事項について

資料3

本日のキーメッセージ

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○DXの規制制度改革『アナログ10原則』の完全撤廃に向けた法令上の対応と数値的な進捗管理 など

○DXの経営業務改革税制などの必要なインセンティブ措置の強化

○デジタル時代における地方分権の再定義

○IT戦略を支えるスタートアップやベンチャー企業の振興を政策として位置付け対応

コロナ問題を契機とした規制・制度/経営・業務改革の見取図(新経済連盟政策提言4月9日より抜粋)

規制・制度改革 経営・業務改革

コロナ対処に直結

コロナ問題を契機とした新たな国づくり

オンライン医療提供体制 オンライン教育 オンライン株主総会 労働法制の改革 マイナンバー制度の活用

リモートワークの推進

社会全体のデジタル化の推進 レガシー規制の見直し データ連携・活用の環境整備 国民運動の実施 ほか

DXの見える化 DX連携の支援 DX投資のインセンティブ

スタートアップやベンチャー企業の活躍

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1.マイナンバーカードの更なる活用について

① 今回のコロナ対応では諸外国の迅速な給付金支給との対比などにより、マイナンバーカード活用の必要性が広く認識

② 預金口座との紐づけ早期整備をはかるとともに、普及に弾みをつけるためにも、第一弾の給付金について、マイナンバ―カードを所持する人にはマイナポータルでの受付などにより早期支給(マイナンバー受付のファーストレーン化)

③ 第二弾、第三弾の経済対策も見据え、9月以降実装されるマイナポイントによる給付金支給等も検討

④ そのため、給付金申請書の送付にあたっては、マイナンバーカードの申請方法及び申請書、マイナポータルの登録方法も同封

押印原則への対応

必要な対応(

緊急)

2.押印問題等 ~課題認識と必要な対応~

その他のアナログ原則への対応

「押印」のためだけに会社に出社せざるを得ない人が続出 法令上と慣行上において、官・民、民・民手続きの両方でまだ押印作業が残っており、本当に

押印が必要なのかを含めて整理がされていない(⇒Appendixに、会員企業から事例紹介) 国民の健康を守る観点からも一刻も早い「すべての押印手続きの撤廃」が必要

「押印仕分け」を実施、押印が不要なものをリスト化し一括法令改正+運用改善(請求書、領収書、勤怠管理などに押印は法律上必須ではないという解釈を関係省庁がガイドライン等で明確化)

金融機関や不動産関係の手続きについて、金融庁や国交省等事業官庁から押印不要を指導

自治体の書類も押印廃止含め総務省から指導 国による先導プロジェクト(審議会委員就任手続きの押印撤廃、公印廃止等)

民・民手続きが電子契約等に移行するためのインセンティブを導入

中長期対応(右図)の早期化のため政府の座組を設置(法務省、IT室、規制改革会議等)

実印がいるとしても印鑑証明書まで求めていない場合はID/PW方式

印鑑証明書まで求めている場合は電子署名方式で認めるように法令改正(要件限定などのやり方は排除)

商業登記電子証明書などの高コスト、低UI・UXについては改善

必要な対応(中長期)

問題認識

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アナログ原則の完全撤廃 新しい規制・制度による新市場の創出① 社会全体のデジタル化の推進 『社会全体のデジタル化』を進めるための更なる立法措置

『アナログ原則』撤廃のための一括整備法令 デジタル手続きへのインセンティブ措置や優先的処理

② DX推進のための国民運動の実施 DXを阻む『アナログ慣行』の見直し(営業をインサイドセールスに転換/バーチャル株主総会へ転換/リモートワーク推進)

オンライン選挙、インターネット投票 政府会議・記者会見等のオンライン対応推進

③ レガシー規制の見直し AI等を活用した新たな事業融資制度構築 株式投資型クラウドファンディング規制見直し リスクテイク投資家層の拡大/私募ルール見直し AI・ブロックチェーンを前提とした規定見直し デジタル著作権法制整備 オンラインでのエンタメ市場・スポーツ振興・コンテンツ拡大のための関係法令整備(ギフティングやオンラインベッティング等)

④ データを連携・活用できる環境の整備 オープンデータ推進とAPI開放デフォルト化 個人情報保護法制2000個問題 国/地方の情報システムの標準化/クラウド化(地方のLGWANシステムの問題解消)※自治体は、クラウド化の方針が不明確であり、ネットワーク分離が前提となっているため、依然としてテレビ会議やネット申請対応などが進まない構造

⑤ 規制・制度のDX等を進めるための枠組みの整備(⇒後述)⑥ 規制・制度の適用と執行のイコールフッティング

どちらにとっても基盤となる仕組みの整備

3.規制・制度のDX ~打ち手の全体像~

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規制制度のDXの数値管理の重要性① ~行政手続き全体~

(出典)2020年5月20日日本総研リポート『新型コロナ禍が促す公的セクターのデジタル革新』より抜粋

○中央政府のオンライン完結率(件数ベース) 7.5%○市区町村のオンライン対応率(対応市区町村数ベース)大多数が5割未満

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規制制度のDXの数値管理の重要性② ~押印必要手続き~

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① 対面/面前原則② 書面での作成・備置・提出・交付・通知の原則③ 押印原則④ 行政機関に対する、印紙での支払原則⑤ 様式原則 (一定の記入様式を定めるもの)⑥ 出頭原則 (情報アクセスやデータ取得が出頭を前提)⑦ 現場・店頭での専門家の常駐/配置要請の原則⑧ 人手による目視での調査・点検・検査の原則⑨ 原本原則 (書面を証拠書類・原本とするもの)⑩ 現金原則

『アナログ10原則』

新経済連盟提言よりhttps://jane.or.jp/proposal/pressrelease/10170.html

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規制改革推進会議に寄せられた民間要望への各省庁の回答の一例

(要望)「借地借家契約の電子化」

(法務省回答)「借地借家法には契約内容について賃借人が十分に理解することができることなどを目的として書面によることを契約の成立要件としている場合がありますが、書面性の要件は郵送等によっても満たすことができ、対面での対応は必要とされていない。このため、特段の対応は不要であると考える。」

3.規制・制度のDX ~枠組みの整備~

規制・制度DXの『質の指標』作成と定期評価、進捗管理 例えば今後予定される『iDeCoの加入申し込み等のオンライン化』は内容の

レベルを検証する必要がある(マイナンバー制度を活用することにより、全手続きが加入者から見てオンライン完結の使い勝手のいいものになるのかなど)

『デジタル法制局』機能により法令のDXを評価 既存法の評価と必要に応じ改正要請の機能 新規立法の法案提出の際にDXを阻害していないかを事前審査(cf デンマークの事例)

諸外国並みに、行政手続きに係る対応コストベースでの総量規制の導入(1-in/2-out ル-ルなど、ポスト『行政コスト2割削減』)

オンライン手続きを優先するファーストレーンを制度化(cf 千葉市の事例)

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4.コロナ問題を契機とした経営・業務改革 ~打ち手の全体像~

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DXの見える化 DX推進指標の因数分解 DX情報の開示拡充 DX推進企業の表彰制度 DXのベストプラクティス共有

DX連携の支援 DX版J-Startup DX官民連携プラットフォーム

経営のあり方、仕組み

DX投資のインセンティブ DX投資促進税制

• クラウド化• リモートワークの導入• DX人材への投資 など

DX研究開発税制

顧客視点でどのような価値を創出するか、経営陣の問題意識やビジョンを明確化する必要(号令だけでは不十分)

そのうえで、実際にDX推進のためのサービスを提供する側の企側の支援やそうした企業とのマッチングを促す仕掛けが必要

レガシーステムの保守・運用に押しつぶされる状況を脱し、クラウド化を推進する必要

有形資産偏重の税制優遇は改め、無形資産への投資を促す仕掛けが必要

問題認識

打ち手

経営のあり方、仕組み 基盤となるITシステム

【参考】 DX推進の枠組み

DX推進企業 DXサービス企業

政府

行政情報の連携(補助金、税制など)

DX銘柄DX表彰

DX版J-Startup

IPA自己診断

ベンチマークベストプラクティス

選定 選定・支援

規制改革関係の要望

官民連携プラットフォーム登録 登録

事業領域、業務領域などで構造化

登録

自治体

登録

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DX投資促進税制DX研究開発税制

5.3段構えのスタートアップ支援

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超短期 短期・中長期

スタートアップに特化した要件の創設

専用の受付窓口の設置 国としてスタートアップ向けの支援パッケージの一元的な情報集約、メッセージの発信

すでにスタートアップ投資(特にシード期)は冷え込みの兆候

先細りしないような投資の下支えが必要

投資支援 社会実装支援資金繰り支援

公共調達の改革

オープンデータの推進

従来型の支援パッケージは中小企業が主な対象

スタートアップの事業モデルに当てはまらず(特に売上減少要件)

官民の徹底的なDX推進にスタートアップの一層の活用が必要

問題認識

打ち手

小規模POC(実証実験)に対する支援

コロナ対応やDX推進に資する技術・サービスへの投資促進

• オープンイノベーション税制の深堀

• 政府系ファンドによるマッチング出資

(参考)コロナ環境下で雇用維持・拡大と経営DXを両立するための打ち手

雇用維持のための打ち手 雇用拡大のための打ち手

雇用拡大に伴う社会保険料負担分補助

コロナ環境下という厳しい環境下でも雇用拡大を促進する中小企業について、今後新たに正社員を雇い入れた部分ついて、社会保険料事業主負担分を一定期間補助

【海外事例参考】 米国CARES Act (3/27/2020)

適格雇用者が各四半期に負担する賃金の約50%を当該四半期の雇用者負担分から税額控除(※買収事例に限らない)

雇用維持型M&Aに伴う課税の減免 コロナ環境下という厳しい環境下でも社会

全体で雇用維持をはかるために、通常のM&Aで発生する課税(法人税、消費税等)につき、雇用維持型M&Aの場合には売り手・買い手双方の企業に対して課税免除

雇用維持型M&Aの場合の雇用調整助成金の助成率拡充の延長

既に行われている助成率拡充につき、雇用維持型M&Aの場合には買い手企業に対して施策の期間を一定程度延長

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コロナ環境下で雇用への不安が増大 一方、コロナ環境でも強い企業によるM&A等を通じて雇用維持を図りながら、経営DXを一気に進める打ち手を通じて、産業の新陳代謝をはかる

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Appendix

新経済連盟のデジタル政策提案~失われた『7年』~

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2013年4月17日 第6回産業競争力会議資料より抜粋三木谷代表理事による『対面原則書面交付原則撤廃』提案

ネットの持つ優位性

17(出典)2013年4月17日 第6回産業競争力会議 三木谷代表理事提出資料より抜粋

規制・制度のDXの見取図

アナログ原則の完全撤廃ex)デジタル化率;官民手続き33%、民民取引6%

新しい規制・制度による新市場

①消費者、事業者(個人・企業)、行政の『トランザクションコスト』の社会全体での低減による効率化ex)民間が行政に対応するためのコスト 少なくとも71.2万人/年相当

②労働力不足への対応、高付加価値部門への業務シフトex) 行政対応コスト2割削減分の業務シフトにより少なくともGDP1.3兆円/年の押上げ効果ex)企業のバックオフィス業務のデジタル完結により少なくとも2兆円の生産性向上効果

③第4次産業革命によるデータ駆動型経済への環境整備

世界一のデジタル・イノベーション国家への転換ex)世銀発表のビジネス環境ランキング25位(2019年)

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民間企業が対応する年間コスト『行政コスト』①

コスト 国(実績)※1 都道府県(試算)※2 国+都道府県※3

作業時間(時間) 3億3,377万 8億9,901万 12億3278万

金銭換算(円) 8,208億 2兆2,862億 3兆1,070億

従事人数換算(人) 19万 52.2万 71.2万

【出典】2019年12月公表の(独法)経済産業研究所・石崎隆・上席研究員レポート『事業者目線での行政手続コスト削減』※1 8分野の行政手続532項目のみ。すべての手続をカバーしているわけでない。※2 鳥取県の事例を参考に都道府県全体に試算。※3 市町村の手続きは含まれず、国も税制対応手続等は含まれておらず、日本全体の行政手続を全部カバーしていない。

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民間企業が対応する年間コスト『行政コスト』②

【出典】総務省統計局資料 産業別民営事業所数と従業者数(平成28年)

●『人数換算コスト71.2万人』の有する規模感~他産業での従業者数との比較~

・上回るケース農林漁業(36.3万)、電気ガス水道(18.8万)、複合サービス事業(48.4万)

・産業分野全体の従業者数の約半数相当に迫るケース情報通信業(164.2万)、金融・保険業(153万)、不動産業(146.2万)

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『出頭原則』等により不動産業者が支払うコスト

(出典)2020年3月9日 未来投資会議 産官協議会「次世代インフラ/スマート公共サービス」会合(第2回) ㈱コラビット提出資料21

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【参考】官・民手続きの押印リスト(会員企業の例)

A社(新経済連盟加盟企業)における行政手続きの押印リスト

(※1)法令上「記名押印又は署名」とあるが代表者が署名することは現実的ではないため実際は押印(※2)税務署の手続きを踏めば電子化可能(※3)電子署名要件が限定的で活用困難

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A社(新経済連盟加盟企業)における行政手続きの押印の工数

【参考】官・民手続きの押印リスト(会員企業の例)

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【参考】官・民手続きの押印リスト(その他の例)

新経済連盟に寄せられている行政手続きの押印リスト 古物営業許可申請(根拠法に規定はないが実印まで求められる) 地方自治体ではシステム開発等の一般入札において入札前審査がありその時点で印鑑

証明書提出(その時点で押印書類はなし。本審査(コンペ)に進んで押印する書類発生) この度の事業継続緊急対策(テレワーク助成金)の申請も印鑑証明+実印必須(2か所) 消防法関係

• 防火管理者・消防計画・訓練通知書・自動通報• 工事・使用開始• 設備の設置・設備業届出• 防火・防災対象物点検報告• 設備点検報告

医療法人の書類• 申請書届出書の類はすべて• 監事監査報告書/指導:運営の手引きに実印と記載(都道府県により異なる)• 役員就任承諾書、履歴書(両方印鑑証明提出)/印鑑証明の提出を含めて指導事項• 役員名簿(法人印/そもそも提出自体が指導事項)など

法定調書合計表 調達関係の書類全般 そもそものオンライン申請の前提となる電子証明書の発行申請書に印鑑が必要

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【参考】その他様々な会員からの声

新経済連盟に寄せられている声

人事労務では、ずいぶん電子申請が進んできていますが、国系はまだ残っているなと思うところです。 保育園などの入園や継続の際に市区町村に提出する、就労証明書等はまだ原本・捺印が必要で、電子に変えていただきたいなと思います。 健康保険証などの個人宛の郵送物があると、本人への転送が必要でしたので、個別に配送するなど、何かいい方法が欲しいです。協会けんぽではなく、健康保険組合(関東IT)などはまだ電子申請が遅れています。国の機関への請求書(弊社が発行側の際)は原本(原紙)郵送の対応を求められたりしています。また金融機関(401kは手紙、入社書類は印鑑が必要)も遅れており、口座開設や融資などの書類も押印が必要です。

GtoBの契約書について電子化が認められていない。印刷・製本・押印が必須となっている。この慣行を見直すための所管官庁が存在しない。

バックオフィス業務にいて郵送・押印という作業がリモートワークのボトルネックとなります。電子署名やスマートコントラクト等のデジタル契約技術に印鑑と同様の法的効力を持たせられるよう規制の見直しを希望します。