94
1 PEN November 2012 November 2012 Volume 3, Number 8 N E W S L E T T E R Public Engagement with Nano- based Emerging Technologies PEN ISSN 2185 - 3231

ISSN 2185 - 3231 PEN...Beatlesのギター曲Blackbirdに登場する「傷ついた鳥」はクロウタドリの事だそうです。英 国を代表するミステリ作家アガサ・クリスティの短編にも登場します。クロウタドリは日本で

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 1PEN November 2012

    November 2012

    Volume 3, Number 8

    N E W S L E T T E R

    Public Engagement with Nano-based Emerging Technologies

    PENISSN 2185 - 3231

  • 2 PEN November 2012

    Table of Contents

    国際標準化 ISO/TC266 Biomimetics 

    報告と今後の展望 ……………………………………… 2

    連載 生物規範工学 第十五回 ……………………………………………… 7

    寄稿 麗しくそして懐かしのストックホルム

    Swedish Biomimetics 3000 訪問記 …………………… 13

    海外動向 ……………………………………………………………………… 17

    国内動向 ……………………………………………………………………… 22

    Cutting-Edge Technologies

    プレスリリースより ………………………………………………………… 27

    豊蔵レポートより ………………………………………………………… 38

    台湾 ITRI より …………………………………………………………… 63

    韓国 NNPC より ………………………………………………………… 68

    韓国科学技術政策動向 ………………………………………………… 71

    Fraunhofer より ………………………………………………………… 77

    PE ヘッドラインより ……………………………………………………… 79

    MEMS 関連情報 ………………………………………………………… 86

    バイオミメティクス研究会より …………………………………………… 89

    イベント案内 …………………………………………………………………… 91

    編集後記 ……………………………………………………………………… 94

    Column Less waste, better results …………………………………………………………………………… 16

    Column 構造色をもつ鳥 ⑧ イソヒヨドリ ……………………………………………………………………… 21

    Column 月のウサギ ……………………………………………………………………………………………… 67

    Cover:クロウタドリ(Blackbird)

    Beatles のギター曲 Blackbird に登場する「傷ついた鳥」はクロウタドリの事だそうです。英国を代表するミステリ作家アガサ・クリスティの短編にも登場します。クロウタドリは日本では見ることができませんが、欧州から中国までのユーラシア大陸の広い地域やアフリカ北部の地中海沿岸などでは都市部でもよく見かける身近な鳥です。澄んだきれいな声で鳴きます。

  • 3PEN November 2012

    昨年から準備が進められてきたバイオミメティクスに関す

    る国際標準化がいよいよ本格的に動き出した。昨年 5 月、

    国際標準化機構(ISO) にバイオミメティクスに関する作業

    委員会の発足が決まって以降、日本においても、バイオミ

    メティクス研究の分野で指導的役割を果たしている東北大

    学の下村政嗣氏を中心に準備がされた。2012 年 3 月には、

    公益社団法人高分子学会のなかにバイオミメティクス研究

    会が設けられ、これが日本工業標準調査会(JISC)の国内

    審議委員会となった [1]。JISC の国内審議委員会には 28

    名の委員が選任されており、我々ナノテクノロジー戦略室

    は副委員長として JISC の活動をプロモートしてきた。国

    内でこのような準備をしたうえで、2012 年 10 月 9 日と

    10 日の 2 日間にわたりドイツのベルリンにあるドイツ規

    格協会(DIN)で開催された ISO/TC266 Biomimetics の第

    1 回総会に臨んだ。日本からは、下村氏をはじめとする 9

    名が JISC の代表として出席した。本稿では、第 1 回総会

    での議論の内容を簡潔に紹介し、今後のバイオミメティク

    スに関する国際標準化を展望する。

    1. 第 1 回総会までの流れ、ドイツの奮闘

    ISO に新しい技術委員会(TC)としてバイオミメティク

    スが設けられた背景には、バイオミメティクスの研究開発

    で他国に先行するドイツの奮闘があった。TC 立ち上げの

    準備を主導したのはドイツ政府が資金を提供するプロジェ

    ク ト Bionics Competence Network(BIOKON) で あ る。

    BIOKON は、様々なバイオミメティクス関連のプログラム

    を実施してきた実績がある。2011 年 3 月に、BIOKON と

    ドイツ技術者協会(VDI)は共同で、バイオミメティクス

    の国際標準化に向けた事前のイベント「ISO BIONIK」を

    開催した。5 月には今回の第 1 回総会のホストである DIN

    が、ISO に対して、バイオミメティクスに関する新しい

    TC の設立を提案した。5 月 20 日には ISO 技術管理委員

    会から加盟国に向けてドイツの提案の周知と意見聴取が行

    われ、ISO の第 266 番目の技術委員会として ISO/TC266

    Biomimetics の設置が決まった。

    第 1 回総会までに、ISO/TC266 Biomimetics には、ドイツ、

    ベルギー、チェコ、日本、韓国、中国、英国、オランダが

    参加を表明した。さらに、総会開催の 2 日前になって、そ

    れまでオブザーバー参加を予定していたフランスが正式な

    参加を表明した。これら 9 カ国は投票権のある参加国で、

    P-member と呼ばれる。TC266 には、この他に投票権のな

    いオブザーバー参加国 O-member が 15 カ国登録されてい

    る。TC266 は、たとえば最初から 30 カ国ほどが参加した

    ISO/TC229 Nanotechnologies に比べると、コンパクトな

    枠組みと言える。第 1 回総会には、日本からの 9 名を含

    む総勢 28 名が参加した。会議の 2 日前に急遽 P-member

    として参加することを決めたフランスも、フランス規格協

    会 AFNOR のメンバー 2 名を送り込んできていた。なお、

    中国は P-member であるが今回は出席していなかった。

    国際標準化 ISO/TC266 Biomimetics 第1回総会 報告と今後の展望

    産総研ナノシステム研究部門ナノテクノロジー戦略室 関谷瑞木

  • 4 PEN November 2012

    2. TC266 議長の決定と初日の議論

    初日の議論に先立ち、まずは事前に TC 設立提案国のド

    イツから推薦のあった議長が了承され、Olaf Rehme 氏が

    TC266 の議長となった。議長の Rehme 氏、事務局長の

    VDI の Christoph Lieske 氏、スイスの ISO 本部から参加し

    た Jose Alcorta 氏にの進行により、第 1 回総会に先立ち公

    開されていた VDI 作成のガイドラインと、事前にオブザー

    バーを含む参加国から寄せられた意見を基に議論が進めら

    れた。事前に公開されていた VDI の 3 点のガイドライン

    をたたき台に、三つのワーキンググループ(WG)を設置

    することがドイツより提案されていた。ガイドラインの作

    成に携わったドイツの担当者から簡単に説明が行われ、そ

    の後議論に移った。

    ◎ワーキンググループ 1 “Terminology and methodology”WG1 は、何がバイオミメティクスであって、そうでない

    のかといった基本的な定義やバイオミメティクスの手法に

    関する規格策定のための WG である。国際規格まで進める

    ためのプロセスや技術的な質疑はあったものの、基本的に

    WG の立ち上げについて事前の意見聴取も含めて反対意見

    はなく、すんなりと設置が決まった。また今後の議論の方

    向性についても、参加国間に大きな意見の相違はみられな

    かった。今後 WG1 の作業をリードするコンビナーには、

    ドイツの Heike Beismann 氏を選出した。

    ◎ワーキンググループ 2 “Structure and materials”WG2 は、事前の投票と意見聴取に対して英国とフランス

    から、たたき台である VDI のガイドラインの内容が適切で

    ないとの反対意見が出されていたため、議論となった。今

    後も WG の内容、議論の方向など、緊密なコミュニケーショ

    ンが必要との含みを持たせて、一応は設置の方向で議論は

    落ち着いた。WG2 のコンビナーにはドイツの Olga Speck

    氏を選出した。

    ◎ワーキンググループ 3 “Biomimetic optimaization”議論がもっとも紛糾したのが WG3 であった。英国とフラ

    ンスは、事前の意見聴取に対して WG3 で議論を予定して

    いる事項は WG2 で対応すべき内容であるとして、WG の

    立ち上げに反対したのである。WG3 を独立して設ける明

    確な意義がなく、技術的内容に関しては WG2 で一緒に議

    論すれば十分ではないかという意見であった。確かに、現

    時点ではドイツから提案されたガイドラインの内容はどの

    ような規格策定を目指しているのか今一つ明確ではない。

    しかし、WG3 は将来的には、環境、健康、安全(EHS)

    やリスク管理、コミュニケーション、社会受容といった様々

    な社会との相互作用の課題を議論する場であるとして最終

    的には WG 立ち上げが了承された。コンビナーはドイツの

    Iwiza Tesari 氏である。

    今回議長を務めたドイツは、できればドイツ以外の国々に

    WG2、WG3 のコンビナーを務めてほしいと要請していた。

    いずれの WG でも、実際にどのような議論が進められるの

    かは、今後の各 WG のコンビナーと参加国のエキスパート

    との話し合いによって詰めてゆくことになる。

    ISO/TC266 Biomimetics 第 1 回総会参加者。会場の DIN の中庭にて撮影。

  • 5PEN November 2012

    3.日本から新しいワーキンググループの立ち上げを提案

    す で に 本 誌 PEN で 報 告 し た と お り、 日 本 は 事 前 に ド

    イツの BIOKON や VDI の関係者と折衝を重ね、われわ

    れもその事前折衝に関わってきた。今回の ISO/TC266

    Biomimetics 第 1 回総会に、国内で戦略的議論を行って参

    加したのは、提案国ドイツと日本だけだったように思う。

    日本は、将来のバイオミメティクス産業化をにらんで国際

    標準化での議論を積極的にリードし、日本の産業の振興を

    支える重要なプラットホームの構築とその国際標準化を目

    指すべく、戦略的な対応を図った。下村氏が新しいワーキ

    ングアイテムとしてバイオミメティクスデータベースの構

    築を提案し、そのデータベースの内容について北海道大学

    の長谷山美紀氏がいくつかの重要なコンセプトを紹介し

    た。次回の ISO/TC266 Biomimetics 第 2 回本会議において、

    WG4 を立ち上げるかどうかについて議論することで合意

    された。長谷山氏の提案内容のキーコンセプトについては

    新学術領域研究「生物多様性を規範とする革新的材料技術」

    (長谷山氏の研究は A01 班で実施中)ウェブサイトで確認

    することができる [2]。

    4. 第 1 回総会で決められたこと

    第 1 回 総 会 で の 議 論 を 元 に、TC266 の ス コ ー プ は

    「Standardization in the field of biomimetics that includes

    but is not limited to methods and thechnologies in

    biomimetics auch as biomimetic materials, proceses and

    products, incorporating the most recent results of R&D

    projects」とされ、了承された。上述の各 WG の立ち上げ

    とコンビナーの決定に加え、各国のデータのとりまとめ

    をする Task Group を任命した。さらに、今後議論の進捗

    など情報の交換をするリエゾンに ISO 内部の 11 の TC と、

    外部リエゾンとして欧州標準化委員会(CEN)の 5TC が

    提案され、了承された。

    5. 今後の展望と課題

    国際標準はビジネスの基本となる約束事であり、国際標準

    化の会議とはビジネスルールを決める場である。他の国際

    標準化活動と同様に、ISO/TC266 Biomimetics も、将来の

    バイオミメティクス市場の行方を左右する駆け引きの場で

    ある。国際規格の先にある認証をビジネスにしてきたドイ

    ツが積極的に議論をリードしていること、フランスがぎり

    ぎりになって発言権のある P-member になったことなど、

    各国とも自国の産業振興のため走り出している。

    ISO/TC266 Biomimetics は、現時点ではまだ参加国の数も

    少なくコンパクトである。日本も積極的に発言し規格原案

    各ワーキンググループの構成

    ISO/TC266 “Biomimetics” の構成。日本はバイオミメティクスデータベースにかかわる規格策定のため WG4 の提案を行った。

  • 6 PEN November 2012

    を提示することで、日本のバイオミメティクスの研究開発

    を支え、民間事業者のバイオミメティクス領域の産業化と

    ビジネス展開に有用なルールを作っていくことが出来るは

    ずである。国際標準化とは、民間の産業化ニーズに応える

    ボランタリーな活動である。活動が始まった ISO/TC266

    Biomimetics を支え、民間のニーズを国際規格の策定に反

    映させるために、早急に民間事業者を主体とするコンソー

    シアムを立ち上げる必要がある。2013 年 5 月にはパリで

    ISO/TC266 Biomimetics の第 2 回総会が予定されている。

    議論しなくてはならない重要な課題はたくさん残されてい

    る。まだ半年あるが、わずか半年しかないともいえる。

    国際標準化の活動が、文部科学省の科研費の新学術領域研

    究として発足したばかりの「生物規範工学」の研究開発

    [2] や、バイオミメティクスの産業化と協奏的に連携して

    いくためには、ISO/TC266 Biomimetics に対する日本の戦

    略的取り組みや、今後年 2 回のペースで開催される ISO/

    TC266 Biomimetics の進捗について、関係者の間で十分

    に情報が共有される必要がある。その方針に基づいて、高

    分子学会バイオミメティクス研究会は、第 1 回総会の直

    後に科学技術振興機構の協賛を得て、「バイオミメティク

    ス研究開発の国際動向と国際標準化」と題するシンポジウ

    ムを開催した。産総研ナノシステム研究部門ナノテクノ

    ロジー戦略室は、このシンポジウムにおいて ISO/TC266

    Biomimetics 第 1 回総会の報告を行った [3]。

    新興の科学技術の研究開発には、新しいがゆえの科学的な

    不確実性がつきまとう。リスクの管理策や標準化といった

    社会基盤が整わない段階で研究開発を進め、責任をもって

    その成果を社会に展開していくためには、社会との双方向

    のコミュニケ―ションに基づくテクノロジーガバナンスが

    重要になる。ナノテクノロジー戦略室は本誌 PEN を新興

    の科学技術のテクノロジーガバナンスのための社会との双

    方向コミュニケーションの重要なツールと位置付け、バイ

    オミメティクスの研究開発を支えていく。

    また、ナノシステム研究部門では、ソフトメカニクスの研

    究開発に取り組んでいる。ナノテクノロジー戦略室は、そ

    の大きな将来価値を現在価値に転化して研究開発を支えて

    いく。研究開発の成果を社会基盤としての国際標準化に

    反映させること、国際標準化の動向を研究開発の現場に

    フィードバックすること、その両側面を産総研の社会貢

    献と位置付け、バイオミメティクスに関する国際標準化

    ISO/TC266 Biomimetics の展開に積極的な役割を果たして

    いく。

    [1] 公益社団法人高分子学会バイオミメティクス研究会

    http://www.spsj.or.jp/c12/gyoji/biomimetics.html

    [2] 平成 24 年度科学研究費補助金新学術領域研究「生物

    多様性を規範とする革新的材料技術」http://biomimetics.

    es.hokudai.ac.jp/index.html

    [3] 「バイオミメティクスの国際標準化動向」、○阿多誠文;

    関谷瑞木;安順花、高分子学会バイオミメティクス研究会

    「バイオミメティクス研究開発の国際動向と国際標準化」

  • 7PEN November 2012

    1. はじめに

    様々な生物において構造色と呼ばれる色素に因らない発色

    現象が観察される [1]。代表例としてモルフォ蝶の青いメ

    タリックな金属光沢が構造色であることは広く知られてい

    る。メラミン色素を含む黒い素地の上にクチクラと呼ばれ

    る棚状の多層膜構造が形成され、白色光のうち青色のみが

    選択的に反射される。

    硬い外皮をもつ甲虫類、たとえばタマムシ、クワガタ、カ

    ブトムシ、カナブンなどでも構造色は観察される。ニホン

    タマムシは2種類のクチクラが積層した多層膜干渉により

    構造色が発色する。正倉院の玉虫厨子に代表されるように、

    古くより装飾素材として利用されてきた。鳥類では虹色の

    羽が美しいクジャク、濃紺のカワセミ、あるいは青色〜緑

    色のハチドリの羽毛など、多様な色彩の構造色が人々を魅

    了している。

    水中生物に目を向けると、魚類の表皮(虹色素胞)の中に

    屈折率の高いグアニンと呼ばれる板状結晶(無色透明)が

    積層しており、薄膜干渉あるいは多層膜干渉により可視光

    を反射する。この現象はタチウオ、サンマ、カツオなどが

    銀白色に輝く原因でもある。さらに、一部の生物では構造

    色が変化することが 50 年以上前より知られていた。たと

    えば、英国の M. F. Land は 1966 年にホタテ貝の目の構造

    色に関する報告を行っている [2]。その中で塩濃度を変化

    させることで、浸透圧変化によって構造色が可逆的に変化

    することと、この現象がグアニンの板状結晶の配列間隔が

    変化するためだと報告している。

    近年、ナノテクノロジーの進展にともないこのような生物

    の構造色変化に関する学理研究やその仕組みを模倣し、環

    連載 生物規範工学 第十五回

    構造色が変化する生物とスマート材料設計へのヒント

    (独)物質・材料研究機構 先端フォトニックス材料ユニット 不動寺浩

    境応答型の高機能材料開発に応用しようという研究が盛ん

    になりつつある。

    2. 構造色が変化する生物

    ルリスズメダイ(コバルトブルー)は代表的な熱帯魚とし

    て知られており、青色が選択反射されることで構造色が発

    色している(図 1)。さらに、このコバルトブルーは外部

    から刺激を与えると、体表が変化する。東邦大学の藤井・

    大島らの研究により、運動性虹色素胞と呼ばれる組織と

    図 1 ルリスズメダイ(コバルトブルー)と虹色素胞の構

    造色変化の仕組み

  • 8 PEN November 2012

    その内部で構造色が変化する仕組みが明らかとなった [3]。

    図 1 の写真下のイラストにあるよう、反射小板(グアニン

    結晶板)の面間隔が変化するためで、回折波長が長波長側

    へシフトするため体表が青から緑へと短時間で変色する。

    図2に様々な生物における構造色が変化する仕組みを紹介

    する。運動性虹色素胞の一つとして、熱帯魚のネオンテト

    ラではベネチアン・ブラインドのような仕組みで構造色が

    変化する。図2Aに示す積層した反射小板の傾きの角度変

    化によって、反射小板から回折する波長が変化するためで

    ある [4]。

    また、内部構造の角度変化に依存した構造色が変化する生

    物として、ある種のクシクラゲにおいて、あたかも、虹色

    のネオンサインが点滅するような発色現象が報告されてい

    る [5]。図 2B のような繊毛内部に円筒が積層した周期構

    造によって入射した白色光が選択的に反射されるため構造

    色が生じる。海中で漂っているクシクラゲの繊毛が脈動に

    よって、構造色が変化する美しい動画がインターネット上

    に公開されている。

    イカやタコなどの頭足類の構造色変化の模式図を図 2C に

    示す。これらの構造色変化は、反射小板の多層膜干渉に起

    因する [6]。反射小板の厚みが変化することで、構造色が

    変化する。体色変化で、捕食者への警戒・擬態(カモフラー

    ジュ)そして仲間との間におけるコミュニケーションの手

    段として利用されていると考えられている。

    水中と異なり、地上の生物では屈折率変化を利用する構造

    色変化が多数報告されている [7]。例えば、モルフォ蝶の

    羽は撥水性で通常は水をはじくので構造色は変化しない。

    しかし、有機溶媒に漬すと、鮮明な青色が黄色あるいは緑

    色へと構造色が変色する。クチクラの周囲の屈折率が変化

    することがその原因である。また、一部の甲虫類では、ク

    チクラの 3 次元の多孔質構造を有している。多孔質の隙間

    を体液で充満させる、あるいは大気中の水分が吸着するこ

    とで構造色の発色を制御する(図 2D)。クチクラが空気と

    大きな屈折率差があるのが、湿潤することで屈折率差が小

    さくなるあるいは消失することが原因である。代表的な研

    究例として、カリドテラ・エグレギガとよばれるハムシの

    1種は、刺激を与えると1〜 2 分で体表を金色から赤色へ

    変色する。このハムシでは外皮の色を構成する構造色と赤

    色色素のうち構造色が消失し赤色のみが残る。

    ここまで見てきたよう、グアニンの反射小板の間隔が変化、

    反射小板の角度変化、そしてクチクラの周囲の屈折率変化

    が生物の構造色を動的に変化させる。

    3. 構造色が変化する材料設計

    虹色素胞における反射小板の間隔制御する仕組みを模倣し

    て高機能の光学材料を設計する方法として、図 3 に示す 2

    つの原理が試みられている [8]。一つは屈折率の異なる薄

    膜を積層した多層干渉である。もう一つは粒子径の揃った

    コロイド粒子を自己集積によって形成した 3 次元周期構造

    体(オパールコロイド結晶)におけるブラッグ回折である。

    多層膜はスピンコーターやディプコーターを利用し、異な

    る薄膜を 1 層ずつ繰り返し積層することで形成すること

    ができる。また、ブロック共重合体と呼ばれる高分子がミ

    クロ相分離により、自己組織化により屈折率の異なる領域

    に別れラメラ構造と呼ばれる多層膜を形成する [9]。また、

    屈折率の異なる 2 層膜をロールアップあるいは多重に重ね

    あわせる簡便な方法も提案されている [10]。

    図 2 様々な構造色が変化する

    生物とその仕組み

    A:ネオンテトラ(ベネチアン・

    ブラインド)

    B:クシクラゲ(ビート運動)

    C:頭足類(イカ・タコ類)

    D:甲虫類

  • 9PEN November 2012

    一方、オパールコロイド結晶は、溶液中で分散したコロイ

    ド粒子が基板上に自己集積により規則的に堆積することで

    形成される。代表的な成膜法は移流集積プロセスであり、

    親水化した基板をコロイドサスペンションのビーカーに漬

    け、オーブンで蒸発する方法と基板をビーカーより低速で

    引き上げる方法である。溶媒の蒸発による溶液のキャピラ

    リーの流れによってコロイド粒子が蒸発界面まで移動し、

    適切な条件で配列面が揃った 3 次元周期構造を形成する

    ことができる。移流集積プロセスでは面心立方最密充填で

    (111)面に配向した結晶成長が起こるため、構造色は主

    にこの(111)面の面間隔からのブラッグ回折に依存する。

    なお、この回折波長λは(111)面の面間隔 d111、平均屈

    折率 n、白色光の入射角θによって

    1112 22 sind nλ θ= −

    として表すことができる。

    図 3 のいずれのナノ構造体も配列周期や屈折率を変えると

    構造色が変色する。現在、様々なセンサー素子や構造色を

    利用した表示素子など、新材料の機能開発とその応用が進

    められている。次節ではオパールコロイド結晶の構造色が

    変化する研究例として、膨潤現象と応力変形を紹介する。

    4. オパールコロイド結晶の構造色

    4.1 オパールコンポジット材料

    コロイド粒子が最密充填したオパールコロイド結晶の隙間

    をエラストマー(弾性体)で充填することで粒子間隔を可

    変になったコンポジット材料を作製することができる。こ

    こでは著者らの開発したコンポジット材料を図 4 に示す

    [11]。ポリスチレン粒子(PS、ポリサイエンス社、粒子

    径 202nm)が規則配列したオパールコロイド結晶の隙間

    をシリコーンエラストマー(PDMS、ダウコーニング社、

    Sylgard184)で充填している。走査電子顕微鏡を用いオ

    パール薄膜の表面と断面の微細構造を観察した。断面部よ

    りコロイド粒子が積層方向に規則配列していることが分か

    る。この配列状態を図 4 左上に図示する。立方最密充填構

    造 CCP で(111)面の面間隔 d111 によって構造色を決定

    する。なお、ポリスチレン粒子及びシリコーンエラストマー

    の屈折率はそれぞれ 1.59 及び 1.40 であり、その差は 0.2

    程度にすぎない。

    4.2 膨潤現象による構造色変化

    図 5 では PDMS エラストマーの膨潤により面間隔を拡大

    する。写真にあるように、オパールコンポジット材料を溶

    媒に浸すと PDMS エラストマーが溶媒を吸収する。イラス

    トに示すようにエラストマーの体積が膨張する結果、粒子

    配列面の面間隔も d1 から d2 へと拡大する。この写真では

    乾燥部の紫(青)色と湿潤部では赤色へ変色していること

    が観察される。揮発性の有機溶媒(オクタン)を用いてお

    りオパールフォトニック結晶をビーカーより引き上げ乾燥

    させると元の赤色の状態に回復する。この構造色変化は有

    機溶媒の種類に影響を受ける。すなわち、シリコーンエラ

    ストマーが吸収する溶媒量に応じて、膨潤状態も変化する

    ため構造色も変化する。著者らは分子量の異なるシリコー

    ンオイルを用い、紫色から赤色の可視光域全体にわたって

    任意のカラー選択が可能であることを報告している。さら

    に、回折光の反射ピークのシフト量を利用することで、簡

    図 3 屈折率の周期変化による構造色:2 種類の薄膜が積

    層した多層膜のよる干渉現象、粒子径の揃ったコロイド粒

    子が最密充填した規則配列によって生じる可視光のブラッ

    グ回折

    図 4 オパール薄膜のポリスチレン粒子間をシリコーンエ

    ラストマーで充填した微構造の電子顕微鏡写真と模式図

    (ccp(111) 面配向)

  • 10 PEN November 2012

    易型の検査法としての応用も期待される。

    4.3 応力変形による構造色変化

    図 6 ではエラストマーの変形により面間隔を圧縮させる。

    オパールコンポジット材料の初期状態は赤色の構造色を呈

    している。この試験片を 1 軸方向に伸張するとポアソン比

    の関係から試験片の厚さ方向は圧縮する。この関係は水平

    方向に働く引っ張り応力と歪みの関係は

    0( / )X XE E L Lεσ = = ∆

    ここではヤング弾性率 E 、初期長 L0 、伸張量 ∆L = L - L0

    である。また、ポアソン比νを使って

    ( / ) ( / )z x ov E v L Lε σ= − = − ∆

    となるので厚み方向の歪み εz は縮小する。従って、イラ

    ストに示すよう粒子配列面の面間隔は d1 から d2 へと縮

    小することになる。ブラッグ回折ピークが 630nm から

    580nm まで短波長方向へシフトし、構造色もそのシフト

    量に応じ赤色から黄色、緑色へと変色する。変形によって

    構造色が変化することが分かる。試験片を元の状態に戻す

    と構造色も元の赤色へ回復する。構造色が応力変形に応じ

    て変色する新材料であり、歪みや応力センサーへの応用を

    検討している。

    5. オパールコロイド結晶の構成粒子と成膜プロセス

    最後にオパールコロイド結晶についてその原料や作製プロ

    セスの視点より考察してみる。まず、図 4 に示したオパー

    ル薄膜は単分散ポリスチレン製のコロイド粒子が基本構成

    要素である。図 7 にその合成プロセスを示す。主要な構

    成要素であるポリスチレン粒子は、基礎化学品の一つであ

    るスチレンモノマーの重合により合成する。スチレンモノ

    マーを純水(溶媒)中で攪拌しながら微量のラジカル重合

    開始剤(この実験では水溶性アゾ系試薬を使用)を添加し、

    ソープフリー乳化重合反応による 1 ステップで合成する。

    ここではポリスチレン粒子合成は加熱温度 70℃の窒素ガ

    ス雰囲気で数時間経過すると、写真Aのように乳白色のコ

    ロイドサスペンションが生成する。溶媒は水系でかつ合成

    図 5 膨潤による構造色変化、シリコーンエラス

    トマーが溶媒を吸収することで配列周期が拡大

    (d1 → d2)

    文献 8 の Fig.6 より転載、© 2011 National Institute

    for Materials Research and IOP Publishing Ltd.

    図 6 応力による構造色変化、シリコーンエラス

    トマーが伸びることで垂直方向の配列周期が縮小

    (d1 → d2)

    文献 8 の Fig.7 より転載、© 2011 National Institute

    for Materials Research and IOP Publishing Ltd.

  • 11PEN November 2012

    図 7 ソープフリー乳化重合によるコロイド粒子の調整:

    スチレンモノマーが純水中にてラジカル重合反応

    A:ポリスチレン懸濁液(90% 以上の高い収率)

    B:高い単分散性(粒子径 : 232nm)

    図 8  オ イ ル 被 覆 法 に

    よる人工オパール薄膜

    の結晶成長

    A:シリコンウエハ

    上への成膜

    B: 界 面 付 近 の 顕 微

    鏡観察

    に必要な加熱温度も比較的小さい。また、写真 B に示す

    ように、単分散性が極めて高く、かつ、合成収率も 90%

    以上と歩留まりが高い(廃棄ロスが低い)ことがこの合成

    プロセスの特長の一つである。なお、ポリスチレン粒子の

    粒径(写真Bではφ 232nm)は合成温度及びモノマー濃

    度で制御可能である。粒子径が揃っている原因はラジカル

    重合の初期段階の核生成とその後の粒成長が最適な条件に

    なっているためである。比較的少ないエネルギー消費で低

    コストの工業原料であるスチレンモノマーから、純水中で

    合成できるため環境負荷の少ない合成プロセスであると言

    える。

    コロイドサスペンションに分散したコロイド粒子を適切な

    条件で蒸発させると、自己集積現象によりオパールコロイ

    ド結晶を形成することができる。このような成膜プロセス

    は、3 次元規則構造を形成するボトムアップ型のナノテク

    ノロジーの一つと言える。成膜方法は数多く提案されてい

    るが、ここでは著者の開発した成膜法を図 8 に示す [12]。

    図 8 写真 A は 3 インチのシリコンウエハ上で 202nm のポ

    リスチレン粒子が成膜している途中である。親水処理した

    基板表面をコロイドサスペンション(乳白色)で被覆し、

    さらにその上面をシリコーンオイルでカバーする。このシ

    リコーンオイル層が、サスペンションからの水の蒸発をコ

    ントロールする。図 8 の写真 A の左部分は緑色に変色し

    ており、この部分はオパールコロイド結晶が形成している

    領域である。乳白色と緑色の界面付近を顕微鏡で観察した

    のが図 8 写真 B で、顕微分光スペクトルの解析を踏まえ、

    写真下部に示すような過程を経由して結晶化が進行してい

    ると考えている。すなわち、ブラウン運動でランダム運動

    しているコロイド粒子が界面にて非最密型のコロイド結晶

    を形成し、さらに粒子間隔が縮小し最終的に最密充填する

    ことでオパール膜を形成する。このように室温にて自己集

    積現象を利用した成膜プロセスなので、少ないエネルギー

    消費で簡便に 3 次元規則構造を形成できるため、環境負荷

    の小さい作製プロセスと言える。

    6. おわりに

    生物の構造色は古くより物理学者や生物学者の知的探求心

  • 12 PEN November 2012

    を魅了し、学理的な視点から研究が進められてきた。また、

    最近の研究の新潮流として生物の構造色の仕組みから、新

    規光学材料の設計へ反映させる生体模倣材料の研究も盛ん

    になってきている [13]。本稿では構造色の変化に焦点を

    絞って、構造色が変化する生物とそれにヒントを得た構造

    色が変化する新材料として著者らの人工オパール薄膜の研

    究例を紹介した。また、この人工オパールは低コストの工

    業素材を用い、室温に近いマイルドな条件で自己集積現象

    によって 3 次元規則構造が形成できる。生物の構造色の発

    色の仕組みと比べ、単純であるものの新しい発色原理に基

    づくスマート材料あるいはインテリジェント材料と呼べる

    新材料を設計することができた。生物の多種多様で複雑な

    構造の足下にも及んでいないが、その仕組みを理解するこ

    とは非常に重要であると考えている。

    References:

    [1] S. Kinoshita and S. Yoshioka (eds.) “Structural Colors

    in Biological Systems: Principles and Applications” Osaka

    University Press (2005); Serge Berthier“Iridescences: The

    Physical Colors of Insects” Springer-Verlag (2006); 木下修

    一 「生物ナノフォトニクス―構造色入門」 朝倉書店 (2010)

    [2] M. F. Land, J. Exp. Biol., 45, 433 (1966).

    [3] R. Fujii and M. Oshima, Zoolog. Sci., 2, 885 (1985).

    [4] S. Yoshioka, B. Matsuhana, S. Tanaka, Y. Inouye Y, N.

    Oshima and S. Kinoshita, J. R. Soc. Interface, 8, 56 (2011).

    [5] V. Welch, J. P. Vigneron, V. Lousse and A. Parker, Phys.

    Rev. E, 73 041916(2006).

    [6] A. R. Tao, D. G. DeMartini, M. Izumi, A. M. Sweeney, A. L.

    Holt A and D. E. Morse, Biomaterials, 31, 793 (2010).

    [7] L. P. Biro and J. P. Vigneron, Laser Photonics Rev., 5,

    27(2010).

    [8] H. Fudouzi, Sci. Technol. Adv. Mater., 12, 064704

    (2011); http://dx.doi.org/10.1088/1468-6996/12/6/064704

    [9] J. J. Walish, Y. Kang, R. A. Mickiewicz and E. L. Thomas

    , Adv. Mater., 21, 3078(2009).

    [10] M. Kolle, “Photonic Structures Inspired by Nature”

    Springer, Berlin (2001).

    [11] H. Fudouzi, Adv. Powder Technol., 20, 502(2009).

    [12] H. Fudouzi , J. Colloid Interface Sci., 275, 277(2004).

    [13] L. P. Lee and R. Szema, Science, 310, 1148(2005);

    C. Sanchez, H. Arribart and M. M. G. Guille, Nat. Mater.,

    4, 277(2005); A. R. Parker, Phil. Trans. R. Soc. A, 367,

    1759(2009); O. Sato, S. Kubo and Z. Z. Gu, Acc. Chem.

    Res., 42, 1(2009); J. Wang, Y. Zhang, S. Wang, Y. Song and

    L. Jiang, Acc. Chem. Res., 44, 405 (2001).

  • 13PEN November 2012

    寄稿

    麗しくそして懐かしのストックホルムSwedish Biomimetics 3000 訪問記

    株式会社 積水インテグレーテッドリサーチ 佐野健三

    10 月 の 9 日 10 日 に ド イ ツ ベ ル リ ン に て 第 1 回 ISO/

    TC266 “Biomimetics” 会 議 に 出 席 し た 後、11 日 に ス

    ウェーデンストックホルムの Swedish Biomimetics 3000

    (SB3000)を訪問した。同社を紹介してくださったのは東

    北大学の下村正嗣教授でしたが、ドイツからトンボ帰りさ

    れた。訪問者は物・材機構の細田奈麻絵氏、産総研の阿多

    誠文、関谷瑞木の両氏、そして筆者佐野の 4 名であった。

    SB3000 は民間の会社で TLO とベンチャー育成を兼ねたよ

    うな活動をしている。同社は 2004 年に設立され、3000

    年まで続けたいという意味合いが込められている。社長の

    Lars-Uno-Larsson 氏、 副 社 長 の Dr. Andrew J Copestake

    氏が迎えてくれた。

  • 14 PEN November 2012

    SB3000 成り立ちや事業内容については同社のウェブサイ

    トに詳しく記載されているので、ここでは訪問の際に強く

    印象に残った言葉、仕組みを報告する。

    ◎経営基盤:政府の補助金、4 人の投資家、大企業との提

    -社長は以前大手の銀行家であり、そういった方面で

    の顔が利くのであろう。

    ◎生物学者と工学者には「通訳」が必要。

    -同感である。

    ◎単なる模倣ではなく inspire されたことを工学に変換す

    ることが肝要

    -同感である。

    ◎ SB3000 のバイオミメティクスの実用化のコンセプト

    (図 1)。このサイクルの中で最も重要なことは「Platform」

    基幹技術を確立することにある。

    -これも同感である。

    ここへ至るにはものすごい努力と忍耐が必要で多くの場合

    ここへ至らない。

    ◎大企業はおしなべてバイオミメティクスが好き。

    -日本も同様の傾向にある。

    ◎学際連携が重要。

    ◎特許戦略も重要。

    -「オレの言いたいことを先に言うな」と、言いたい

    ほどである。

    図 2 SB3000 と様々な関係機

    関との関係

    図 1 SB3000 のバイオミメティクスの

    実用化に向けたコンセプト

    ◎ハチからのアプリケーションが一番進んでいて、マイク

    ロミストという基幹技術をもとにディーゼルエンジンでの

    採用が進み、さらに医療機器、食品、消防、日用品などに

    開発が進行中

    ◎関係団体との関わり(図 2)

    S B 3 0 0 0 の " μ M I s t ®

    Technology" に イ ン ス ピ

    レーションを与えたボン

    バルディア・ビートル

    - Swedish Biomimetics

    3000 の HP より

  • 15PEN November 2012

    筆者は 30 年前に半年間ストックホルムへ駐在した経験が

    あり、その時にスウェーデンの人々の自然に対する考え方

    には日本人のそれと近いものがあると感じた。今回もまっ

    たく同感で、SB3000 の社長の Lars Uno 氏の自然に対す

    る謙虚さ、感謝の心など実によく共感でき、信頼できる人

    物であると確信した。

    SB3000 の紹介の後、日本側からベルリンであった ISO/

    TC266 "Biomimetics" 第 1 回総会の様子、日本のバイオミ

    メティクス研究の状況、積水の「自然に学ぶものづくり研

    究助成」と日本でも早く SB3000 のような組織を創るべき

    だと考えていることなどを説明。

    午後からは、中心部近くの Royal Institute of Technology

    (KTH)バイオテクノロジー研究所を訪れ Vincent Bulone

    教授から主にセルロースにかかわる研究状況の説明を受け

    た。日本の研究者とも交流を持っており、国境を感じない

    研究内容であった。

    夜は伝統的なレストランで料理、ビール、ワインとともに

    会話がはずんだ。短い滞在ではあったがストックホルムの

    旧市街は 30 年前とほとんど変わりなく美しい街であった。

    スウェーデンは私にとって再度訪れたい国の最右翼であ

    る。

    Swedish Biomimetics 3000

    http://www.swedishbiomimetics.com/index.htm

  • 16 PEN November 2012

    Less waste, better results

    10 月 14 日は「世界標準の日」である。今から 66 年前、1946 年のこの日、主要先進国 25 カ国の関係者がロンドンに集まり、単一の工業標準と国際的な協力のために新しい国際機構の創設を決議した。翌年 2 月、その機能を担うものとして国際標準化機構 (International Organization for Standardization;ISO) は活動を開始し、今日その加盟国数は 167 カ国に至っている。

    ISO はその創設日にちなんで 10 月 14 日を「世界標準の日」と定め、毎年メッセージを発表している。今年のスローガンは「Less waste, better results - Standards increase efficiency」で、無駄を抑えてより良い成果をあげる、すなわち、標準により効率が向上するとアピールした。

    またメッセージの中で、「国際標準はグローバルマーケットで組織のポテンシャルを資本化するのに役立つ強力なツールである」としている。国際標準は各国の専門家により開発され、測定・比較に使われる国際的に調和したベストプラクティスが含まれており、効率性を上げ、資源の浪費を減らすことができるからである。

    このように標準は、企業のプロダクトを最適化し、顧客のニーズへの適合を助ける。行政はコンプライアンスを示す手段として、市場と消費者に親しまれる規制のベースとして国際標準を使うことができる。また国際標準は、製品ラベルや安全性のように、消費者に関わる効率性を促進することから、消費者は国際標準を確認して安心することができる。そういった意味で、国際標準は効率性の向上に極めて重要と説明されている。

    前回 PEN で紹介したように、現在バイオミメティクスの国際標準化が動き出している。日本のバイオミメティクス研究のポテンシャルを効率よく資本化する強力なツールとして、今後の国際標準化の進展に注目するとともに、大きな期待を寄せるものである。

    http://www.iso.org/iso/world-standards-day2012

    http://www.iso.org/iso/news.htm?refid=Ref1656

    ナノテクノロジー戦略室 安順花

    Column

  • 17PEN November 2012

    【化学物質管理、REACH】EU、 宝 飾 品 で の 鉛 の 使 用 を 制 限

    (2012.10.31)欧州連合(EU)は REACH 規則の付

    属書ⅩⅤⅡに「鉛および鉛化合物」

    を追加した。今後市場で販売される

    宝飾品のパーツに含まれる鉛濃度は

    0.05 重量パーセント以下でなくては

    ならない。エナメル、クリスタルガ

    ラス、時計の構造部品など一部適用

    除外がある。http://www.tuv.com/news/jp/japan/about_us_

    jp/press_2/news_1/newscontentjp_122368.jsp/

    Reach20121031

    【EC、政策、リスク評価】EC、「リスク評価の新たな課題に取り組む」へのパブリックコメント募集を開始(2012.10.25)欧 州 委 員 会(EC) は デ ィ ス カ ッ

    ションペーパー「リスク評価の新

    たな課題に取り組む」に対するパ

    ブリックコメントの募集を開始し

    た。本文書は、新興及び新たに特定

    された健康リスクに関する科学委員

    会(SCENIHR)と消費者安全委員会

    (SCCS)のジョイントワーキンググ

    ループが作成したもの。両委員会は、

    ナノテクノロジー製品のようなより

    複雑な製品やプロセスの評価の必要

    性について検討し、ナノ材料の適切

    なライフサイクルアセスメントモデ

    ル構築のための研究が必要と述べて

    いる。パブリックコメントの受付は

    11 月 30 日まで。http://nanotech.lawbc.com/2012/10/articles/

    international/ec-begins-public-consultation-on-

    discussion-paper-addressing-the-new-challenges-for-

    risk-assessment/

    海外動向

  • 18 PEN November 2012

    【政策、EC】NGO、EC の第二次のナノ材料管理策見直しへコメント

    (2012.10.25)欧州の環境 NGO の European Environmental Bureau(EEB)

    は、他の環境 NGO などと共同で、欧州委員会(EC)へ、

    EC が 10 月 3 日に公開した第 2 回目の「ナノ材料の規制

    策考察」の結論に対して深い懸念を表明する文書を送った。

    EEB は、ナノ材料への曝露に潜在的なリスクがある可能性

    が指摘されていながら、EC が予防原則の適用を見送った

    ことなどに対して、「EC はナノ(の管理)に関するリーダー

    シップを失いつつある」と非難した。http://www.nanowerk.com/news2/newsid=27087.php

    【政策、化学物質管理、EHS】オーストラリア政府、CNT を有害物質へ分類(2012.10.24)オーストラリアの労働安全審議会(Safe Work Australia)

    は、レポート「カーボンナノチューブのヒトへの有害性評

    価と分類」とその概要を紹介するインフォメーションシー

    トを公開し、有害でないというデータが提供されない限り、

    多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は有害化学物質へ

    分類するように勧告した。レポートは化学品の登録と評価

    を行うオーストラリア工業化学品届出審査機構(NICNAS)

    が、CNT の有害性に関する文献調査に基づいて作成したも

    の。http://nanotech.lawbc.com/2012/10/articles/international/safe-work-australia-

    recommends-classification-of-carbon-nanotubes-as-hazardous-chemicals/

    ◎外部編集委員山根秀信氏に情報の提供をいただきまし

    た。

    【コミュニケーション、地震予知】予 知 失 敗 で イ タ リ ア の 地 震 学 者 に 懲 役 刑 の 言 い 渡 し

    (2012.10.22)3 年前にイタリア中部で発生した地震について、直前に「群

    発地震には大地震の予兆とする根拠はない」と発表した地

    震学者に禁固 6 年の刑が言い渡された。科学者らしいい

    い回しで、「わからない」と明言しなかったために、安全

    宣言と受け取られ、結果として懲役刑が言い渡された。地

    震学者だけでなく、科学的な不確実性についての適切なコ

    ミュニケーションという難題に取り組む世界中の関係者の

    関心を集めた。http://phys.org/news/2012-10-italy-scientists-sentenced-quake-trial.html

    http://agora-web.jp/archives/1496400.html

    http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/italy/9626075/LAquila-

    earthquake-scientists-sentenced-to-six-years-in-jail.html

    http://www.ilcambiamento.it/territorio/terremoto_l_aquila_condannati_scienziati.

    html

    【コミュニケーション、食品、イノベーション】専門家、市民とナノテクノロジーの応用とイノベーションについて議論(2012.10.19)ベ ル ギ ー に 本 拠 を 置 く 食 品・ 飲 料 の 業 界 団 体

    FoodDrinkEurope は、毎年恒例のステークホルダーダイア

    ローグを開催した。第 5 回目の今回はナノテクノロジーの

    応用とイノベーションをテーマに議論が繰り広げられた。

    参加者は政策担当者、リスク評価の専門家、食品業界関係

    者、市民までと広範であった。当日話題を提供したのは大

    学や公的研究機関の専門の異なる研究者達であった。一日

    の締めくくりに FoodDrinkEurope の Knowles 氏は「多く

    の人が、透明性、安全性、管理策そしてナノテクノロジー

    の定義について合意の形成が急がれると認識している」と

    述べた。http://www.nanowerk.com/news2/newsid=27046.php

    【食品、化学物質管理】Kraft Foods、チーズ工場で事故(2012.10.18)食品大手の Kraft Foods の工場で有毒ガスが発生し、非

    常事態が宣言されたため、従業員と付近の住民合わせて

    1750 人を一斉に避難させる事故が起きた。ガスが発生し

    たのは北ドイツ Bad Fallingbostel にあるチーズの加工工場

    で、誤って硝酸を水酸化ナトリウムのタンクに投入したた

    めにガスが発生したとみられている。けが人などはいない。

    非常事態宣言はすでに解かれており、現在 Kraft Foods が

    再発防止に向けた原因究明を行っている。http://www.dairyreporter.com/Regulation-Safety/Kraft-Foods-orders-evacuation-

    after-German-gas-cloud-incident

    【化学物質管理、REACH】ECHA、ナノ材料作業部会を立ち上げ(2012.10.18)欧州化学品庁(ECHA)は、欧州連合(EU)加盟国、欧州

    委員会(EC)、ECHA、認定された利害関係団体の専門家

    からなるナノ材料作業部会(ECHA-NMAG)を立ち上げた。

    ECHA-NMAG は、REACH および CLP の施行にあたってナ

    ノ材料に関連する科学的、技術的な問題を議論し、戦略的

    課題に対して非公式の助言を行う。http://chemicalwatch.com/12664/echas-working-group-on-nanomaterials-gets-

    underway

  • 19PEN November 2012

    【獣医学、医療応用】金 ナ ノ 粒 子 に よ る 抗 癌 治 療、 犬 に 特 別 な 影 響 な し

    (2012.10.15)ミズーリ大学の研究チームが、放射性金ナノ粒子を用いて

    新しい前立腺がんの治療方法の確立に取り組んでいる。研

    究チームは放射性金ナノ粒子の安全性について確かめるた

    め前立腺がんの犬を用いた動物試験を実施したところ、犬

    の健康には特段の有害な影響は見られなかったと発表し

    た。イヌはヒトと非常によく似たプロセスで前立腺がんの

    症状が進行する唯一の哺乳類である。研究チームの Axial-

    Bechtel 氏はこの結果について「臨床試験の実施に向けた

    大きな前進」と述べている。http://www.nanowerk.com/news2/newsid=26984.php

    【医療応用、遺伝子治療】DNA 治療用の鍵を握るのはナノ粒子の形状(2012.10.12)ジョンズ・ホプキンス大学とノースウェスタン大学の共同

    研究チームは、ロッド状、イモ虫状、球状など形状のみ様々

    に異なるナノ粒子を比較し、ナノ粒子を用いて DNA を体

    内に送り込むには、ナノ粒子の形状が大きく影響すること

    を明らかにした。したがってナノ粒子を用いた遺伝子治療

    では、材料形状のコントロールが重要になると述べた。http://releases.jhu.edu/2012/10/12/scientists-discover-that-shape-matters-in-dna-

    nanoparticle-therapy/

    【化学物質管理、EHS】EPA、チタン酸カリウムをデータ提供が義務付けられるSNUR の対象物質へ(2012.10.11)米国の環境保護庁(EPA)は、チタン酸カリウムについて、

    最終新規重要利用規則(SNUR)の対象とするとの告知を

    行った。チタン酸カリウムは、2008 年 3 月 18 日に「肺

    毒性と線維症を引き起こす可能性がある」物質で、ヒト

    の健康に不当なリスクをもたらす恐れがあるとして、特定

    の企業に対して保護措置の実施が求められていた。今回の

    SNUR の適用によって、この企業以外のチタン酸カリウム

    を製造、販売、輸入をする企業も、同様の保護措置を取る

    ことが求められるようになる。チタン酸カリウムに対する

    SNUR は、反対の意見表明がなければ 12 月 4 日に発効する。http://nanotech.lawbc.com/2012/10/articles/united-states/federal/potassium-

    titanium-oxide-snur-bans-manufacture-of-particle-size-less-than-100-nm/

    【研究開発プログラム】米国政府、ライス大学をナノカーボンプロジェクトに採用

    (2012.10.16)ライス大学で、同大の Richard E. Smally 研究所と国立標

    準技術研究所(NIST)の研究者が参加する新しい連携プ

    ログラムが開始される。プログラムは 5 年間で 270 万ド

    ルの資金が投じられる予定。ライス大学と NIST は共同で、

    フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンといった

    ナノ炭素材料と他の材料の分子・原子レベルでの相互作用

    の解明を目指す。http://news.rice.edu/2012/10/16/feds-enlist-rice-for-nanocarbon-project/

    【EHS】ナノ粒子、皮膚を透過せず(2012.10.16)英国のコンサルタント企業 Mango Solutions 社とバース大

    学の共同研究チームが、ブタの皮膚を用いたナノ粒子の

    曝露試験を行い、皮膚のどの深さまでナノ粒子が透過する

    のかについて調査した。ナノ粒子への曝露後に共焦点レー

    ザー顕微鏡で分析したところ、ナノ粒子は皮膚を完全には

    透過していないことが明らかになった。しわや裂け目があ

    る皮膚の部分にのみ透過したナノ粒子が観察された。研究

    チームは、本曝露試験の内容には限界があると認めつつ、

    ナノ粒子の皮膚との相互作用について系統的な評価は非常

    に難しいと指摘し、ナノ粒子が皮膚を透過するという結論

    に至った先行する研究の結果について疑問を呈した。http://www.nanolawreport.com/2012/10/articles/new-study-of-nanoparticle-skin-

    penetration/#axzz2Ary2MNUb

    ◎外部編集委員山根秀信氏に情報の提供をいただきまし

    た。

    【政策、国際連携】Rusnano とイスラエル、研究開発投資で連携(2012.10.15)ロシアの Rusnano の投資部門 Rusnano Capital とイスラ

    エ ル の Catalyst Equity Management 社 は 投 資 フ ァ ン ド

    Catalyst Ⅲを設立すると発表した。Rusnano の初期投資は

    5000 万ドル。Catalyst Equity Management 社は製品化の

    直前の段階にあるイスラエル企業への投資を行っているベ

    ンチャーキャピタル。http://en.rusnano.com/press-centre/news/20121015-russian-israeli-investment-

    fund

  • 20 PEN November 2012

    【消費者保護、リスク管理】NGO、EC が 消 費 者 保 護 を な お ざ り に し て い る と 批 判

    (2012.10.11)European Consumer Organization(BEUC)などの欧州の

    環境保護や消費者保護に関連する NGO は、欧州委員会(EC)

    がナノ材料を用いた製品のリスクを軽く見ていると批判し

    ている。さらに、消費者や、消費者と環境を守るべき行政

    が、依然として欧州市場に流通する製品中のナノ材料の使

    用実態についての十分な情報を持っていないことを問題視

    している。BEUC は、ナノ材料に対しても、他の化学物質

    と同様に「No data, no market」の原則を適用すべきであ

    ると述べている。http://www.nanowerk.com/news2/newsid=26950.php

    【労働衛生、リスク管理、政策】労働組合、ナノ材料からの労働者の保護が不十分と EC を批判(2012.10.5)欧 州 の 労 働 組 合 European Trade Union Confederation

    (ETUC)は、3 日に公開された欧州委員会(EC)のナノ材

    料管理に関する今後の方針について、EC の努力は認める

    が、労働者の保護が十分ではなく、落胆したと述べている。

    ETUC は、これまでに EC に対して「No data, no market」

    の方針を取り入れることと、不確実性は予防原則によって

    対処すべきことを要請している。また、労働者は多くの材

    料への曝露する可能性が高く、労働衛生への取り組みは優

    先的に行われるべきだと述べている。また、EC が描くナ

    ノテクノロジーによる新しい雇用創出と強い製造業という

    欧州市場の将来像について、現実的ではないと批判してい

    る。ETUC は、EC が見込んでいるような新しい雇用環境に

    簡単に移動できる高度な技能を備えた労働者はそう多くな

    いと分析している。3 日に公開された方針には取り上げら

    れておらず、ETUC はこの点についても批判している。http://www.nanowerk.com/news2/newsid=26908.php

    【政策、管理策】EC、 ナ ノ 材 料 の 管 理 に つ い て の 今 後 の 方 針 を 公 表

    (2012.10.3)欧州委員会(EC)は、ナノ材料の安全な使用を確実なもの

    とするための EC の法制度改訂についての今後の方針を伝

    える「第 2 回ナノ材料規制策考察」を公表した。本考察は、

    ナノ材料の定義、ベネフィット、安全性、法規制、情報と

    いった分野ごとに現状を分析・評価し、今後の方向性につ

    いてまとめたもの。また、合わせて専門家によるナノ材料

    の種類と使用実態に関する報告書を本考察の背景資料とし

    て公開された。

    http://ec.europa.eu/nanotechnology/policies_en.html

    【医療機器、政策、EC】EC、医療機器に関する二つの規制を改訂(2012.9.28)欧州委員会(EC)は、医療機器に関する二つの規制の改訂

    案を公開した。ナノ材料を含む医療機器はラベルにナノ材

    料を含むという表示をすることや、このような医療機器を

    最大の危険度を示す Class Ⅲに分類することが提案されて

    いる。ナノ材料の定義には 2011 年 10 月の EC の勧告が

    採用されている。http://ec.europa.eu/health/medical-devices/documents/revision/index_en.htm

  • 21PEN November 2012

    構造色をもつ鳥 ⑧ イソヒヨドリ

    海岸の岩場や港などでよく見かける 23cm ほどの中型の鳥で、アフリカからユーラシア大陸にかけて広く分布しています。その姿がヒヨドリに良く似ているので、磯にいるヒヨドリ、つまりイソヒヨドリと呼ばれていますが、分類上はヒヨドリ科ではなくツグミ科の鳥です。人工物を利用しながら人里へ適応し、最近では磯から内陸部へ生息域を広げています。

    成鳥のオスは濃い瑠璃色の背中や喉、黒い翼、赤褐色の腹部といった派手な配色が目立ちます。対してメスは全身が藍色がかった茶褐色の鱗模様をしており、地味です。イソヒヨドリは、大きく澄んだきれいな鳴き声をしています。複雑な節回しのさえずりには、地域や個体差があります。複数の持ち歌を持つ個体や、九官鳥のようにスズメやモズなどの鳴き声を真似する個体もいます。また、イソヒヨドリは繁殖期に関係なく年中良くさえずり、メスもオスと同じように美しい声でさえずることが知られています。

                                  ナノテクノロジー戦略室 関谷瑞木

    Column

  • 22 PEN November 2012

    京都大学山中伸弥教授にノーベル生理学・医学賞(2012.10.8)10 月 8 日、スウェーデンのカロ

    リンスカ研究所は 2012 年のノー

    ベル生理学・医学賞を京都大学教

    授の山中伸弥氏と英国ケンブリッ

    ジ大学教授のジョン・ガードン

    氏の 2 氏に授与すると発表した。

    今回の受賞は、山中氏が 2006 年

    に開発した、あらゆる組織や臓器

    の細胞になりうる多能性を持った

    「人工多能性幹細胞(iPS 細胞)」

    技術の樹立が高く評価されたも

    の。2006 年 8 月、山中氏はマウ

    スの皮膚細胞に 4 種類の遺伝子

    を入れ、あらゆる細胞を作り出す

    能力がある「万能細胞」の作製に

    成功、体細胞を受精卵と同じよう

    に様々な組織に分化できるように

    初期化する技術に成功した。ノー

    ベル賞の授賞式は 12 月 10 日、

    ストックホルムで行われる。http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/10/

    attach/1326704.htm

    国内動向

  • 23PEN November 2012

    京都大学 iPS 細胞研究所の高橋和利氏にニューヨーク幹細胞基金・ロバートソン賞(2012.10.11)ニューヨーク幹細胞基金は、ノーベル医学・生理学賞の

    受賞が決まった京都大学教授の山中伸弥氏の共同研究者

    で、教授自ら一番弟子と認める京都大学 iPS 細胞研究所

    の高橋和利氏に同基金のロバートソン賞を贈ることを決

    めた。この賞を日本人が受賞するのは初めてで、賞金

    は 20 万ドル。山中氏のノーベル賞受賞は、2006 年に

    発 表 し た 論 文 “Induction of pluripotent stem cells from

    mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined

    factors.” By Takahashi K, Yamanaka S. Cell. 2006 Aug

    25;126(4):663-76. Epub 2006 Aug 10. において、山中ファ

    クターと呼ばれる Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4 の 4 つの

    遺伝子が、体細胞の初期化に必要であることを見出したこ

    とがその理由に挙げられている。この 4 つの遺伝子は高橋

    氏の工夫に満ちた実験により特定された。ニューヨーク幹

    細胞基金・ロバートソン賞は、その高橋氏の功績に対して

    贈られる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16904174?dopt=Abstract

    化学物質のリスク評価結果と改正特化則等に関する意見交換会(2012.11.06)厚生労働省は、労働現場で使われている様々な化学物質に

    よる健康障害を防止するため、平成 18 年度からリスク評

    価を行い、その結果を元に必要な措置を講じてきた。平成

    24 年 8 月にまとめられたリスク評価では、「三酸化アンチ

    モン」について今後詳細なリスク評価に進むこと、「酸化

    チタン」については今後そのナノ粒子と併せてリスク評価

    を行うこと等の結果となった。また、昨年まとめられたリ

    スク評価結果に基づき、来年 1 月 1 日から「インジウム

    化合物」「エチルベンゼン」「コバルト及びその無機化合物」

    の 3 物質について改正特化則等が施行される。これらリス

    ク評価の考え方、その結果と対応について、行政検討会の

    メンバー、厚生労働省担当官と、労働現場において化学物

    質に関わる方々や広く一般の方々の参集により、意見交換

    を行う。http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ntq1-att/2r9852000002nttp.pdf

    放射性物質拡散予測の初歩的ミス(2012.11.6)原子力規制庁は、全国の原発でメルトダウン(炉心溶融)

    など過酷事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測で、九

    州電力の玄海原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)の予

    測に誤りがあったと発表した。誤りの原因は、九電が社内

    でデータ解析する際、風向を一般的な意味の「風が吹いて

    くる方向」ではなく、「風が吹いていく方向」(着目方位)

    と定義していることで、解析結果の方位が正反対になった。http://www.kyuden.co.jp/press_121106-1.html

    http://www.nsr.go.jp/activity/bousai/data/simulation_kyuuden.pdf

    http://www.nsr.go.jp/activity/bousai/data/press_kyuuden.pdf

    化学物質による健康障害防止指針が改正(2012.11.06)厚生労働省は化学物質による健康障害防止指針を改正、指

    針の対象物質として 2- アミノ -4- クロロフェノール およ

    び 1- ブロモブタンの 2 物質を追加した。http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/121105.pdf

    基礎研究体制の一層の拡充を願う(2012.10.15)日本学術会議は、京都大学教授山中伸弥氏のノーベル生理

    学・医学賞受賞が決まったことに関し、日本学術会議会長

    談話「山中伸弥教授のノーベル生理学・医学賞受賞を祝し、

    基礎研究体制の一層の拡充を願う」を公表した。http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-d2.pdf

    「情報収集活動員(みちのく・いまをつたえ隊)」が撮影した東日本大震災の一年後の記録をインターネット公開

    (2012.11.2)東北大学 災害科学国際研究所による東日本大震災アーカ

    イブプロジェクト「みちのく震録伝(しんろくでん)」は、

    東日本大震災の被災地において、震災や被災地の生活の記

    録をはじめ、住民の方々の現在の暮らしや日頃の考え、未

    来への想いなど、地域の様々な「残したい、伝えたい」情

    報を収集する活動を 2012 年 2 月から実施している。同

    研究所は、本プロジェクトの賛同・協力機関である科学技

    術振興機構および(株)サーベイリサーチセンターと連携

    し、宮城県内の沿岸被災 15 市町において現地調査員によ

    るフィールドワークを実施した。地元住民 16 名以上の「情

    報収集活動員(みちのく・いまをつたえ隊)」を組織し、

    現地でのヒアリング活動や写真撮影等を通じて様々な現地

    情報を収集した。今回、2012 年 2 月から 3 月にかけて撮

    影した被災地のデジタル写真のうち、13,760 枚に位置情

    報を追加し、Google Earth で公開した。http://michinoku.irides.tohoku.ac.jp/tsutaetai/MichinokuInfo.html

    第 6 回日中韓における化学物質管理に関する政策ダイアローグの結果(2012.11.2)環境省は 10 月 29 日(月)から 31 日(水)まで、中国・

    杭州で開催された「第 6 回日中韓における化学物質管理

    に関する政策ダイアローグ」の結果を公表した。10 月 30

  • 24 PEN November 2012

    平成 25 年度科学技術重要施策アクションプランの対象施

    策について- 社会的課題の解決に向けた科学技術最重点

    施策 -http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/h25ap/h25_tokutei.pdf

    平成 25 年度概算要求における科学技術関係予算の全体ヒ

    アリング概要http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing_h25.html

    なお、経済産業省関連の予算に関しては、以下の資料が公

    開されている。

    平成 25 年度 科学技術関係予算の概算要求とイノベーショ

    ン政策の重点についてhttp://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti01.pdf

    経済産業省における課題とその課題解決に向けた主な取組http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti02.pdf

    平成 25 年度科学技術関係予算概算要求の主な項目http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti03.pdf

    http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti04.pdf

    http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti05.pdf

    グリーン関連http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti06.pdf

    http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti07.pdf

    http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti08.pdf

    ライフ関連http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti09.pdf

    http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti10.pdf

    「価値創造経済」への転換による、「稼げる」産業・企業群

    の創出http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti11.pdf

    (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/hearing/h25/05_meti12.pdf

    デフレ脱却と経済活性化に向けた取り組み(2012.10.30)内閣府はデフレ脱却と経済活性化に向け、政府として効果

    的かつ体系的に経済政策を構築するとともに、物価等経済

    状況の点検を行うため、閣僚級の「デフレ脱却等経済状況

    検討会議」を開催している。10 月 30 日、政府としての

    基本方針を要約した「政府・日本銀行によるデフレ脱却に

    向けた取組について」が公表された。http://www5.cao.go.jp/keizai1/deflation/index.html

    EXTEND2010 に基づく平成 24 年度第 1 回化学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会の開催(2012.10.30)環境省は、「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の

    対応 -EXTEND2010-」に基づく、「平成 24 年度第 1 回化

    学物質の内分泌かく乱作用に関する検討会」を 11 月 9 日

    日に開催された、日本、中国及び韓国の政府関係者による

    政府事務レベル会合では、3 カ国の化学物質管理政策の最

    新動向として、新規化学物質の審査に関する法改正の状況、

    運用の内容、毒性及びばく露の評価方法等について活発な

    意見交換を行うとともに、化学物質管理に関する国際動

    向への対応等について情報交換がなされた。来年度の会合

    に向け、今後も引き続き、各国において実施される新規化

    学物質の審査におけるリスク評価等について情報共有を行

    い、調和を目指すことが合意された。これに先立ち、10

    月 29 日に開催された専門家会合では、日中韓における化

    学物質に係る生態毒性試験テストガイドラインの運用や化

    学物質のリスク評価手法に関する調和等について検討がな

    された。http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15904

    平 成 25 年 度 科 学 技 術 重 要 施 策 ア ク シ ョ ン プ ラ ン(2012.11.1)内閣府総合科学技術会議は、メリハリの効いた科学技術関

    係予算を充実・強化するために科学技術の戦略的な重点化

    を図り、真に重要な研究開発などが着実に実施され、大き

    な成果を生み、その成果が社会や国民に広く還元されるよ

    う、様々な取組を推進している。総合科学技術会議が司令

    塔となり、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改

    善(Action)の政策サイクル(PDCA サイクル)により施

    策の質の向上を図るとともに、「明日への投資」である科

    学技術関係予算の充実・強化を進めている。11 月 1 日、

    科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員名

    で、平成 25 年度科学技術重要施策アクションプラン、平

    成 25 年度科学技術関係予算重点施策パッケージの特定、

    平成 25 年度 科学技術に関する予算等の資源配分方針、平

    成 25 年度科学技術関係予算の重点化の具体的進め方な

    ど、来年度予算に関する基本方針が示された。平成 25 年

    度当初政府予算は 41,056 億円、うち科学技術振興費は

    13,809 億円となっており、いずれも第 2 期および第 3 期

    科学技術基本計画の 10 年間、第 4 期科学技術基本計画の

    平成 23 および 24 年度を上回っている。

    平成 25 年度科学技術重要施策アクションプランhttp://www8.cao.go.jp/cstp/budget/h25ap/h25ap_honbun.pdf

    平成 25 年度 科学技術関係予算重点施策パッケージの特定

    についてhttp://www8.cao.go.jp/cstp/budget/h25package.pdf

    平成 25 年度重点施策パッケージの重点化課題・取組http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/h25package_kadai.pdf

  • 25PEN November 2012

    に開催する。今回の検討会では、(1)野生生物の生物学的

    知見研究及び基盤的研究、(2)文献情報に基づく影響評価

    (信頼性評価)、(3)試験の実施、(4)国際協力、(5)情

    報提供等について検討する。 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15888

    平成 24 年度世界トップレベル研究拠点プログラムの採択拠点の決定(2012.10.30)文部科学省は、平成 19 年度より世界トップレベル研究拠

    点プログラム(WPI)を開始しており、高いレベルの研究

    者を中核とした世界トップレベルの拠点形成を目指す構想

    に対し集中的な支援を行い、システム改革の導入等の自主

    的な取組を促すことにより、第一線の研究者が是非そこで

    研究したいとして世界から多数集まってくるような、優れ

    た研究環境と極めて高い研究水準を誇る「目に見える拠点」

    の構築を目指している。10 月 30 日、平成 24 年度採択の

    3 拠点を決定した。先鋭な研究領域に焦点を絞ることによ

    り、世界トップレベルの拠点形成を目指す構想を支援する

    とともに、本プログラムにより推進してきたシステム改革

    を他機関にも広げる観点から、新規 3 拠点の拡充を図る。http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/10/1327472.htm

    過去のデルファイ調査に見る研究開発のこれまでの方向性(2012.10.30)科学技術政策研究所(NISTEP)は 1971 年から 2010 年

    の 40 年間に実施された「デルファイ調査」(科学技術発

    展の将来展望を専門家に問うアンケート)で取り上げられ

    た「トピック(実現が期待される科学技術等の記述)」を

    対象として、我が国の研究開発の方向性変化の例証を試み

    た。http://www.nistep.go.jp/archives/6361

    イノベーションコーディネータ表彰(2012.10.30)科学技術振興機構は、「イノベーションコーディネータ表

    彰」の平成 24 年度の受賞者を決定、公表した。http://www.jst.go.jp/pr/info/info924/index.html

    月の表と裏の違いをもたらした超巨大衝突を裏付ける痕跡を発見(2012.10.29)産総研は、月探査衛星「かぐや」が月表面を網羅する約

    7000 万地点で取得した 200 億点以上の可視赤外線反射率

    スペクトルのデータをデータマイニング手法を用いて解析

    し、地球から見た月の表側と裏側の地形の違いの原因と考

    えられている月への超巨大衝突の痕跡を発見した。月には

    光の反射率が低くクレーターの少ない「海」と呼ばれる領

    域と、光の反射率が高くクレーターの多い「高地」と呼ば

    れる領域がある。「海」は地球に面した表側に多く、裏側

    にはほとんどない。また裏側は表側より標高が高く地殻が

    厚い。この月の表裏の「二分性」は、月の形成初期の超巨

    大衝突によって表側の「高地」を構成する地殻物質の多く

    が取り除かれたためではないかと考えられている。今回、

    可視赤外線反射率スペクトルデータに対して、クラス分類

    というデータマイニング手法を適用し、衝突溶融物に多く

    含まれる低カルシウム輝石の分布状況を調べた。その結果、

    月の表側にあるプロセラルム盆地に対応する直径 3000

    km もの円状の分布を発見した。これは、超巨大衝突によっ

    て生成した衝突溶融物によるものと考えられ、月の形成初

    期の超巨大衝突を、初めて観測データによって裏付けるこ

    とができた。月はその形成以来ずっと地球の近傍にあった

    ため、月の誕生過程の解明は地球の初期形成史を知ること

    にもつながる。また、今回の解析手法は、地球を周回する

    人工衛星データに適用することで、鉱物資源探査や環境モ

    ニタリングなどへの応用が期待できる。 http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2012/pr20121029/pr20121029.html

    経済対策の取りまとめに向けて(2012.10.26)政府は、デフレからの早期脱却と経済活性化に向けた取り

    組みの加速を目標に、11 月中をめどに新しい経済対策を

    策定する予定。その一環として 10 月 26 日に喫要性の高

    い施策への予備費使用を閣議決定した。これにより、「日

    本再生戦略」重点 3 分野のうち、特に喫要性の高い施策の

    速やかな実施が可能となる。 http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2012/1026_01torimatome.pdf

    食品中の放射性物質の検査結果について公開(2012.10.29) 厚生労働省は、関東、東北地方の 18 自治体での検査結果

    の報告を受け、「食品中の放射性物質の検査結果について

    (第 508 報)(東京電力福島原子力発電所事故関連)」を公

    開した。本報では基準値超過の検体は野生キノコや野生動

    物の肉など 12 検体であった。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002mxu6.html

    エネルギーや資源・貴金属に関する投資商品についての注意喚起(2012.10.26) エネルギーや資源・貴金属に関する投資商品の勧誘を行う

    活動に関する、一般消費者からの相談が増加しているため、

    経済産業省は注意喚起を行った。経済産業省は、不審に思っ

  • 26 PEN November 2012

    た場合や断ってもしつこく勧誘された場合などは、経済産

    業局消費者相談室や消費生活センターなどの相談窓口まで

    問い合わせをするよう呼びかけている。 http://www.meti.go.jp/press/2012/10/20121026006/20121026006.html

    サイエンスアゴラ 2012 にて講演「『ヒッグス粒子』発見で何が解決したのか?」(2012.10.26)東京都内で開催される科学イベント「サイエンスアゴラ

    2012」において、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) は

    「『ヒッグス粒子』発見で何が解決したのか?」と題して講

    演を行う。11 月 11 日、会場は産業技術総合研究所臨海

    副都心センター。http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/20121026153000/

    「民間企業の研究活動に関する調査報告 2011」[NISTEP REPORT No.152]の結果公表(2012.10.25)科学技術政策研究所(NISTEP)は、「民間企業の研究活動

    に関する調査報告 2011」を取りまとめた。本調査は、民

    間企業の研究開発の実施から収益獲得までの一連の動向と

    それに関連する戦略的・組織的動向を把握することを目的

    とし、1968 年度より調査を実施している。http://www.nistep.go.jp/archives/6264

    戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発の平成24 年度新規研究開発課題およびステージアップ課題の決定(2012.10.25)科学技術振興機構は戦略的創造研究推進事業先端的低炭素

    化技術開発(ALCA)の平成 24 度提案募集(プロジェクト

    ステージ)における新規採択研究開発代表者および研究開

    発課題を決定した。また、昨年度より実施していた研究開

    発課題探索(探索ステージ)からステージアップする研究

    開発代表者および研究開発課題を決定し、公表した。http://www.jst.go.jp/pr/info/info923/index.html

    科学技術シンポジウム「科学技術イノベーション推進に向けた知識の結集 —シンクタンク機能のネットワーク形成に向けて—」開催(2012.10.23)科学技術振興機構研究開発戦略センターは、10 月 23 日

    (火)に東京のイイノホールにおいて、科学技術シンポジ

    ウム「科学技術イノベーション推進に向けた知識の結集

    —シンクタンク機能のネットワーク形成に向けて—」を開

    催した。本シンポジウムでは、総合科学技術会議の白石議

    員、日本学術会議の大西会長らの講演やパネルディスカッ

    ションが行われ、科学技術イノベーションをより効果的に

    推進するためにシンクタンク的機関・機能の充実や機関間

    ネットワークの形成が重要であることなどが議論された。http://www.jst.go.jp/report/2012/121105.html

    国連生物多様性の 10 年日本委員会(UNDB-J)生物多様性地域セミナー in 福岡(2012.10.23)国連生物多様性の 10 年日本委員会(UNDB-J)、環境省及

    び福岡市は、11 月 17 日(土)に福岡市において、主とし

    て市民、企業、NPO/NGO 及び自治体を対象に、「生物多

    様性地域セミナー」「生物多様性ふくおか戦略フォーラム」

    を開催する。http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15866

    生物多様性条約第 11 回締約国会議の結果 (2012.10.22)環境省は 10 月 8 日(月曜日)〜 19 日(金)インドのハ

    イデラバードにて開催された生物多様性条約(CBD)第

    11 回締約国会議(COP11)の結果を公表した。8 日の開

    会式に元 COP10 議長である松本龍元環境大臣が、16 日の

    閣僚級会合開会式には長浜博行環境大臣が出席した。http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15858

    平成 24 年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況(2012.10.19)文部科学省は、平成 24 年度国公私立大学及び短期大学の

    入学者選抜の実施状況について、調査結果を公表した。http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/10/1326903.htm

    文部科学省、「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」平成 23 年度年次報告を公開(2012.10.15) 文部科学省は、9 月 27 日(木)に開催した第 14 回地震

    火山部会観測研究計画推進委員会の配布資料を公開した。

    当日の議�