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赤外線(IR)吸収スペクトル測定
2008/05/13
M2 谷口
和敬
分子はそれぞれ固有の振動をしている。その分子に 波長を連続的に変化させた赤外線(IR)を照射すると、
分子の固有振動と同じ周波数のIRが吸収され分子の 構造に応じたスペクトルが得られる。 このスペクトル
から分子の構造を解析する分析法の1つである。
光源
分子(試料)
検出器入射光 透過光
赤外線(IR)吸収スペクトル法とは
10410210-510-6 10-4 10-1
3x10-4cm 3x10-3cm
12000cm-1 4000cm-1 400cm-1 10cm-1
可視光線
紫外線
赤外線
マイクロ波
ラジオ波
遠赤外線
普通赤外線
近赤外線
IRスペクトル : 400~4000 cm-1 付近の吸収を観察
IRスペクトルの測定範囲
cm-1 : (波数)
IRスペクトルから何がわかるのか
構造の特徴がわかる
多重結合や官能基の有無
シス-トランス異性
環の置換位置
水素結合による相互作用
同定ができる
既知のスペクトルと比較して、同定及び確認ができる
不純物の有無を確認できる
フーリエ変換型赤外分光器(FT-IR) 干渉計を使って干渉信号(インターフェログラム)
を測定し、それをフーリエ変換することでスペクト ルを得る装置
赤外分光器
分散型赤外分光器
プリズムや回折格子によって赤外連続光を分光し、 各波長における光の強度を表すスペクトルを得る
装置
スペクトルの算出
縦軸に透過率(T , %)または吸光度(absorbance)
T = I / I0
A = - log T = log (I0 / I)I0 : 入射光強度
I : 透過光強度
横軸に波数(cm-1)
v= 2π1
(m1 +m2 )m1 m2[ ]
kフックの法則より求める
Lambert-Beer 則より求める
k : 結合の強さ
m1, m2 : 構成原子
の質量
ν: (波数)= ν/c
= 1/λ
スペクトルの判定
良いスペクトルと悪いスペクトルの例
測定方法 使用器具 試料
液膜法 組立セル 液体
溶液法 固定セル 液体
ヌジョ-ル法 組立セル 固体
KBr法 錠剤成型器
及びホルダー
固体
ATR(全反射)法 ATR測定器 固体、液体、気体
気体セル法 気体セル 気体
フィルム法 固定枠 高分子物質
簡易水溶液法 簡易セル 水溶液
一般測定法
特殊な測定法
IRの測定方法
KBr法
特徴
ハロゲン化アルカリに圧力をかけると可塑性を示し、 赤外領域で透明な板になる性質を利用。
材質 使用可能領域 使用上の注意
溶融石英
NaClKBr
臭化ヨウ化タリウム
> 2500 cm-1
> 600 cm-1
> 350 cm-1
> 230 cm-1
ほとんど用いられない
湿気に弱い
NaClより湿気に弱い
やわらかい、有毒性
赤外透過材質
0.5cm厚の板をセルとして使用
KBr法
操作
注意事項
KBrは湿気に弱い(長時間空気中に放置すると水のピークを 含む)ので手早く測定を行い、デシケーターで保管する。
出来る限り丁寧にすり潰す必要がある(ペーストに近い状態 に)。
操作
試料(1~2mg)を粉砕し、KBr(約 200mg)を加えすりつぶす。これをプ
レスし、
ホルダーに入れ測定する。
固体粉末や結晶の試料とKBrを均等に混合し、 プレスして透明な円盤を作って測定する方法。
ATR法 原理
ATR (Attenuated Total Reflection) 法:屈折率が試料より高い 媒質を使い、赤外光を入射し試料に吸収され媒質で全反射し た赤外スペクトルの測定法
高屈折率
媒質
dpは媒質の屈折率と光の入射
角と波長に依存
ATR法
一回反射の特徴
試料に化学的・物理的処理を加えることなく測定できる。
耐久性の高いダイヤモンドを使用しているので試料の 分析に長期間使用できる
測定した試料の回収ができる。
ATR法 一回反射ATRモジュール
ダイヤモンドATR結晶で全反射が
一回のみでIRスペクトルを測定
ATR法 一回反射ATRモジュールの操作と特徴
操作1.ダイヤモンドATR結晶に何も乗せてない状態でバックグラ
ウンドを測定2.試料をダイヤモンドATR結晶の上に乗せてプレッシャーを
下ろし測定
特徴1.試料の前処理をすることなく、簡単にスペクトルを得ることができる
2.耐久性の高いダイヤモンドを使用しているので試料の分析
に長期間使用できる
3.サンプリング表面が小さいためごく少量試料も測定が可能
4.試料の加圧を一定にするのと同時に、結晶への超過圧を
防ぐことができる
HORIBA FT-IRの使用
試料室の戸は、ゆっくりと開ける。全部開けてしまうと、関節部分 に過負荷が掛かり、間接部が破損、正確な測定が出来なくなる恐 れがある為、過負荷の掛からない角度に固定する事。
HORIBA FT-IR測定装置の使用に当たって注意
間接部
KBr法(透過法)試料室の戸を開き右図の台を
設置、試料室内の水分除去の 為、塩化カルシウムを試料室内 に置く(ネジは無くさない事!)
試料室の戸を閉めてバックグ ラウンド測定
バックグラウンド測定後、試料 (KBr等)をプレスしたセルをホル
ダーに固定、測定台の上に設置
T = I / I0
A = - log T = log (I0 / I) =0.434αLより A∝L
(A:吸光度、α:吸光係数、L:セル長、物質の厚さ又は濃度)
バックグラウンドのスペクトル
途中で止める場合
停止をクリック
KBrとKBr+試料の測定
ダブルクリック
続けて測定する場合、見分けがつくよう
にスペクトルにファイル名を付ける
表示される
ファイル名:最大半角8文字
タイトル:最大半角30文字
コメント:511バイト分
ファイル名が入る
KBrのみ KBr+試料
KBr測定後、KBr+試料の測定
差スペクトルをクリック
KBrのみKBr+試料
引き算されたスペクトル
試料のスペクトル
ATR法(全反射法)
一回反射ATRモジュールを設置、 バックグラウンド測定
バックグランド測定後、試料をダ イヤモンド結晶上に置き、加圧プ レスで加圧後、測定
A = - log T = log (I0 / I) ∝dpより、A∝(1/ν(波数))
即ち、低波数のピーク程、測定強度が高く見積もられる。
ATRでの測定処理
(ATR補正をクリック)
“実行”をクリック後、“確定”をクリック
ATR補正前 ATR補正後
吸光度をクリック