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7. 労務管理その他の労働に関する一般常識 136 して支持政党又はいわゆる統一候補を決定してその選挙運動を推進すること自体は自由であ るが、組合員に対してこれへの協力を強制することは許されず、その費用負担についても同 様である。 試験対策解説 労働組合法上の「労働者」とは、他人との間に使用従属の関係に立って労 務に服し、報酬を受けて生活する者をいい、現に就業していると否とを問わないため、失業 者を含みます(労働基準法9条に定める「労働者」の範囲とは異なります)。 東京都労働委員会事務局平成 27 年4月 16 日(ファミリーマート事件) 【事案】フランチャイズ加盟者が労働組合法上の労働者にあたるか、会社が団交に応じてい ないことは、正当な理由のない団交拒否に当たるかが争われた事案。 【命令要旨】 フランチャイズ契約であっても、その実態においてフランチャイジーがフランチャイザーに 対して労務を提供していると評価できる場合もあり得るのであるから、フランチャイズ契約と の形式であることのみをもって、労働組合法上の労働者に該当する余地がないとすることは できない。本件における加盟者の就労等の実態を鑑みると、加盟者は、会社に対して労務を 提供していたといえる。そして、本件における加盟者が労働組合法上の労働者に当たるか否 かは、①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の A 、④ 業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下の B 及び一定の C ⑥顕著な事業者性等の諸事情があるか否かを総合的に考慮して判断すべきである。 ①会社が運営するシステムは、加盟者の労務提供なしには機能せず、加盟者が、会社の業 務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に組み入れられており、(中略)⑥加盟者に は、自らの独立した経営判断に基づいてその業務内容を差配して収益管理を行う機会が実態 として確保されているとは認め難く、実態として顕著な事業者性を備えているとはいえない。 これらの諸事情を総合的に勘案すれば、本件における加盟者は、会社との関係において労 働組合法上の労働者に当たると解するのが相当である。 A 労務対価性  B 労務提供  C 時間的場所的拘束 不当労働行為(労働組合法 7 条) 不当労働行為に該当するもの 不当労働行為に該当しないもの ⑴ 労働者が、次の①〜④のいずれかに該当する ことを理由としてその労働者を解雇し、その他 その労働者に対して不利益な取扱いをするこ と。 ①労働組合の組合員であること ②労働組合に加入し、もしくは労働組合を結成 しようとしたこと ③労働組合の正当な行為をしたこと ⑴ 労働組合が特定の工場事業場に雇用さ れる労働者の過半数を代表する場合にお いて、その労働者が、その労働組合の組 合員であることを雇用条件とする労働協 約(「ショップ協定」)を結ぶこと(左記 ⑴④には該当しない)。 ⑵ 次の①〜⑦に該当する行為等は不当労 働行為とはならない。 ●本書の特徴と使い方● ※「月刊社労士受験」では「判例問題に強くなる」(1月号特集)、 「行政通達に強くなる」(5月号特集) 等、判例・通達を重視した企画を掲載しています。併せて活用してください。 ※本書の内容は、執筆時点(令和元年 12 月末)で確定しているものとなっており、その後の法改正情 報等は反映しておりません。 2. 労働安全衛生法 52 【問2】 × 安衛法 59 条3項、昭和 47 年基発 602 号(平成 13 年度 問 10 − D) 特別教育を企業外で行われる講習会等に参加させることにより行う場合には、それに要する講習 会費、講習旅費等については、事業主が負担すべきものとされている。 Chapter 4 健康の保持増進のための措置 ◆健康診断(法 66 条 1 項) 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(労働 安全衛生法 66 条の 10 第1項に規定する心理的な負担の程度を把握する為の検査等を除く。) を行わなければならない。 健康診断の費用の負担(昭和 47 年基発 602 号) 労働安全衛生法の規定により実施される健康診断の費用については、労働安全衛生法で事 業者に実施の義務を課している以上、事業者が当然負担すべきものである。 健康診断受診に要した時間の賃金(昭和 47 年基発 602 号) ・ 一般健康診断:当然には、事業者の負担するものではないが、受診に要した時間の賃金を 事業者が支払うことが望ましい。 ・ 特殊健康診断:事業の遂行上当然実施しなければならないものであるので、所定労働時間 内に実施することを原則とする。所定労働時間外に行われた場合には、割増賃金を支払わ なければならない。 いわゆるパートタイム労働者について(平成 19 年基発 1001016 号) いわゆるパートタイム労働者であっても、次の2つの要件を満たす労働者に対しては、一 般健康診断を実施しなければならない。 ① 期間の定めのない労働契約により使用される者であること(期間の定めのある労働契約 により使用される者のうち、契約期間が1年以上(特定業務従事者の場合には6か月)で ある者、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、1年以上引き続き 使用されている者を含む。) ② 1週間の労働時間数(所定労働時間)がその事業場において同種の業務に従事する通常 の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること(所定労働時間数が通常の 労働者の4分の3未満であっても概ね2分の1以上であれば一般健康診断を実施すること が望ましいものとされている。) 試験対策解説 一定の要件を満たしたパートタイム労働者も健康診断の対象労働者となり ます。 練習問題 【問1】 事業者は、常時使用する労働者に対し、定期に、所定の項目について医師による健康診断 を行わなければならないとされているが、その費用については、事業者が全額負担すべきこと までは求められていない。 【問2】 期間の定めのない労働契約により使用される短時間労働者に対する一般健康診断の実施義 務は、1 週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の 1 週間 社会保険労務士試験における通達・判例の重要性 近年の社会保険労務士試験は、 「実務で使える人を合格させる!」ものになっています。 試験問題の傾向は、個数問題や、組み合わせ問題など出題形式も工夫されていますが、 最も大きく変化したのは、実務的な問題の増加です。社会保険労務士の実際の実務は、 法律だけではなく行政通達(通達)を基準として動いています。 もう一つ重要なものが、労働関係事件の裁判例(判例)です。労働紛争の増加と労働 審判制度(労働紛争を3回程度の審議で結審するという制度)の普及により、重要な裁 判が毎年のように行われています。社会保険労務士の実務にとって、こういった裁判例 も重要になってきているのです。 行頭のアイコンにより、判例 (命令)か通達かがひと目で分 かります。判例は目次にも掲 載してあり、検索しやすくなっ ています。 判例はキーワードが押さえられ るよう、重要箇所を穴埋め形式 にしています。 出題頻度の高いテーマごとに、 判例・通達を条文とともに紹介 しています。 試験対策解説 試験対策上押さえておきたい ポイントを解説しています。 練習問題 Chapter ごとに重要過去問を ベースにした練習問題を掲載。 解答は全て×です。どうして ×なのかを考えながら、知識 を身につけていきましょう。 考える訓練ができる教材 本書は、通達や判例を効率よく学べるツールと して、開発しました。通達や、判例は、覚える 学習ではなく、「考える学習」が必要になります。 通達や判例を学び、練習問題を解くことにより、 考える訓練ができるようにしています。

勝つ!社労士受験 判例・通達徹底攻略 2020年版 · 8 9 1.基 労基 安衛 労 雇用 徴収 労 健保 年 年 社一 Chapter 1 労働基準法の基本原則 労働条件の原則(法1条2項)

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7. 労務管理その他の労働に関する一般常識

136

して支持政党又はいわゆる統一候補を決定してその選挙運動を推進すること自体は自由であるが、組合員に対してこれへの協力を強制することは許されず、その費用負担についても同様である。試験対策解説 労働組合法上の「労働者」とは、他人との間に使用従属の関係に立って労務に服し、報酬を受けて生活する者をいい、現に就業していると否とを問わないため、失業者を含みます(労働基準法9条に定める「労働者」の範囲とは異なります)。

命 東京都労働委員会事務局平成 27 年4月 16 日(ファミリーマート事件)【事案】フランチャイズ加盟者が労働組合法上の労働者にあたるか、会社が団交に応じていないことは、正当な理由のない団交拒否に当たるかが争われた事案。【命令要旨】 フランチャイズ契約であっても、その実態においてフランチャイジーがフランチャイザーに対して労務を提供していると評価できる場合もあり得るのであるから、フランチャイズ契約との形式であることのみをもって、労働組合法上の労働者に該当する余地がないとすることはできない。本件における加盟者の就労等の実態を鑑みると、加盟者は、会社に対して労務を提供していたといえる。そして、本件における加盟者が労働組合法上の労働者に当たるか否かは、①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の A 、④業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下の B 及び一定の C 、⑥顕著な事業者性等の諸事情があるか否かを総合的に考慮して判断すべきである。 ①会社が運営するシステムは、加盟者の労務提供なしには機能せず、加盟者が、会社の業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に組み入れられており、(中略)⑥加盟者には、自らの独立した経営判断に基づいてその業務内容を差配して収益管理を行う機会が実態として確保されているとは認め難く、実態として顕著な事業者性を備えているとはいえない。 これらの諸事情を総合的に勘案すれば、本件における加盟者は、会社との関係において労働組合法上の労働者に当たると解するのが相当である。

A 労務対価性  B 労務提供  C 時間的場所的拘束

不当労働行為(労働組合法 7条)不当労働行為に該当するもの 不当労働行為に該当しないもの

⑴ 労働者が、次の①〜④のいずれかに該当することを理由としてその労働者を解雇し、その他その労働者に対して不利益な取扱いをすること。

 ①労働組合の組合員であること②労働組合に加入し、もしくは労働組合を結成しようとしたこと

③労働組合の正当な行為をしたこと

⑴ 労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者が、その労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約(「ショップ協定」)を結ぶこと(左記⑴④には該当しない)。

⑵ 次の①〜⑦に該当する行為等は不当労働行為とはならない。

●本書の特徴と使い方●

※「月刊社労士受験」では「判例問題に強くなる」(1月号特集)、「行政通達に強くなる」(5月号特集)等、判例・通達を重視した企画を掲載しています。併せて活用してください。

※本書の内容は、執筆時点(令和元年 12 月末)で確定しているものとなっており、その後の法改正情報等は反映しておりません。

2. 労働安全衛生法

52

【問2】 × 安衛法 59 条3項、昭和 47 年基発 602 号(平成 13 年度問 10 − D) 特別教育を企業外で行われる講習会等に参加させることにより行う場合には、それに要する講習会費、講習旅費等については、事業主が負担すべきものとされている。

Chapter 4 健康の保持増進のための措置◆健康診断(法66条1項)

 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(労働安全衛生法 66 条の 10 第1項に規定する心理的な負担の程度を把握する為の検査等を除く。)を行わなければならない。

通 健康診断の費用の負担(昭和 47 年基発 602 号) 労働安全衛生法の規定により実施される健康診断の費用については、労働安全衛生法で事業者に実施の義務を課している以上、事業者が当然負担すべきものである。通 健康診断受診に要した時間の賃金(昭和 47 年基発 602 号)・一般健康診断:当然には、事業者の負担するものではないが、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい。

・特殊健康診断:事業の遂行上当然実施しなければならないものであるので、所定労働時間内に実施することを原則とする。所定労働時間外に行われた場合には、割増賃金を支払わなければならない。

通 いわゆるパートタイム労働者について(平成 19 年基発 1001016 号) いわゆるパートタイム労働者であっても、次の2つの要件を満たす労働者に対しては、一般健康診断を実施しなければならない。① 期間の定めのない労働契約により使用される者であること(期間の定めのある労働契約により使用される者のうち、契約期間が1年以上(特定業務従事者の場合には6か月)である者、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、1年以上引き続き使用されている者を含む。)② 1週間の労働時間数(所定労働時間)がその事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること(所定労働時間数が通常の労働者の4分の3未満であっても概ね2分の1以上であれば一般健康診断を実施することが望ましいものとされている。)試験対策解説 一定の要件を満たしたパートタイム労働者も健康診断の対象労働者となり

ます。 練習問題

【問1】 事業者は、常時使用する労働者に対し、定期に、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならないとされているが、その費用については、事業者が全額負担すべきことまでは求められていない。

【問2】 期間の定めのない労働契約により使用される短時間労働者に対する一般健康診断の実施義務は、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の 1週間

社会保険労務士試験における通達・判例の重要性 近年の社会保険労務士試験は、「実務で使える人を合格させる!」ものになっています。 試験問題の傾向は、個数問題や、組み合わせ問題など出題形式も工夫されていますが、最も大きく変化したのは、実務的な問題の増加です。社会保険労務士の実際の実務は、法律だけではなく行政通達(通達)を基準として動いています。 もう一つ重要なものが、労働関係事件の裁判例(判例)です。労働紛争の増加と労働審判制度(労働紛争を3回程度の審議で結審するという制度)の普及により、重要な裁判が毎年のように行われています。社会保険労務士の実務にとって、こういった裁判例も重要になってきているのです。

判 命 通

行頭のアイコンにより、判例(命令)か通達かがひと目で分かります。判例は目次にも掲載してあり、検索しやすくなっています。

判例はキーワードが押さえられるよう、重要箇所を穴埋め形式にしています。

出題頻度の高いテーマごとに、判例・通達を条文とともに紹介しています。

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考える訓練ができる教材 本書は、通達や判例を効率よく学べるツールとして、開発しました。通達や、判例は、覚える学習ではなく、「考える学習」が必要になります。通達や判例を学び、練習問題を解くことにより、考える訓練ができるようにしています。

Page 2: 勝つ!社労士受験 判例・通達徹底攻略 2020年版 · 8 9 1.基 労基 安衛 労 雇用 徴収 労 健保 年 年 社一 Chapter 1 労働基準法の基本原則 労働条件の原則(法1条2項)

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1. 労働基準法労基

安衛

労災

雇用

徴収

労一

健保

国年

厚年

社一

Chapter 1 労働基準法の基本原則◆労働条件の原則(法 1 条 2 項)

 労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

通 労働条件(昭和 63 年基発 150 号) 賃金、労働時間等のほか、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等を含む労働者の職場におけるすべての待遇(労働基準法が定める働く条件のすべて)をいう。

◆労働条件の決定(法 2 条 1 項) 

 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

通 労働条件の決定及び義務(昭和 63 年基発 150 号) 労働基準法2条は、労働条件の決定及びこれに伴う労使両当事者の義務に関する一般的原則を宣言した規定である。試験対策解説 労働基準法1条も同様で罰則の適用がありません。

◆均等待遇(法 3 条) 

 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない。

通 判 信条(昭和 22 年発基 17 号、大阪地判昭和 44 年 12 月 26 日) 信条とは、宗教的信条だけでなく、政治的信条をも含み、かつ、政治的基本理念に留まらず、国の具体的な政治の方向についての実践的な志向を有する政治的意見をも含む。判 採用の自由(最判昭和 48 年 12 月 12 日 三菱樹脂事件) 労働者の雇入れは労働条件に含まれないものとされているため、その者の信条を理由として採用を拒んでも労働基準法3条には違反しない。試験対策解説 重要な判例です。労働基準法3条は、採用後の差別的取扱いを禁止しています。

◆男女同一賃金の原則 (法 4 条)

 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

通 賃金について(昭和 23 年基収 4281 号) 賃金額のみならず、賃金体系、賃金形態についての差別的取扱いも含まれる。

通 差別的取扱い(平成9年基発 648 号) 労働者が女性であることのみを理由として、あるいは女性労働者が男性労働者よりも一般的平均的に能率が悪いこと、勤続年数が短いこと、扶養家族が少ないこと等を理由として、「賃金」に差別をつけることは違法である。また、これらが同一である場合、男性はすべて月給制、女性はすべて日給制とし、労働日数の同じ女性の賃金を男性よりも少なくすることは同法4条違反となる。なお、不利に取り扱う場合のみならず、有利に取り扱う場合も差別的取扱いに該当するため、女性であることを理由として男性よりも高い賃金を支払うことも同法4条違反となる。試験対策解説 就業規則に賃金について男性と差別的取扱いをする規定があっても、現実に男女差別待遇の事実がない場合には、その規定は無効となりますが、労働基準法4条の違反とはなりません。

◆中間搾取の排除(法 6 条)

 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

試験対策解説 法律に基いてとは具体的には「職業安定法」などがあります。

通 業として(昭和 23 年基発 381 号) 営利を目的として反復継続して利益を得る意思があれば、たとえ被害労働者1人1回の行為であっても「業」とされる(主業、副業は問わない。)。通 他人の就業に介入する(昭和 23 年基発 381 号) 他人の就業に介入するとは、使用者と労働者の間に、第三者が介入して、その労働関係の開始及び存続について、媒介又はあっせんをなす等、その労働関係についてなんらかの因果関係を有する関与をなしていることをいう。 その例として、職業紹介事業、労働者募集事業、労働者供給事業等がある。通 中間搾取(平成 11 年基発 168 号) 労働者派遣は、労働関係の外にある第三者が他人の労働関係に介入するものではなく、労働基準法6条における「中間搾取」には該当しない。

◆公民権行使の保障 (法 7 条)

 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

判 公民権の行使の保障(最判昭和 38 年 6 月 21 日 十和田観光事件) 公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の就業規則の条項は、労働基準法の規定の趣旨に反し、無効のものと解すべきである。従って、所論のごとく公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害する虞れ