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4・3 いろいろな過程のエントロピー
(a) 転移温度における相転移エントロピー
トルートンの規則: 種々の液体がほぼ同じ標準蒸発エントロピー (約 85 J K-1 mol-1)
trs
trstrs T
HS ∆=∆
トルートンの規則からはずれることは、各分子配列の規則性が異なることを示している
水:液体状態で水素結合により分子配列に規則性がある(低エントロピー)
メタン:軽い分子なので回転状態が限定される。よって気体状態で低エントロピー。
(b) 完全気体の膨張
Tqq
TS rev
f
irev ==∆ ∫d1
4・3 いろいろな過程のエントロピー
完全気体が体積 Vi から Vf まで等温膨張する際のエントロピー変化
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=−=
i
frevrev V
VnRTwq ln
これらより
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=∆
i
f
VV
nRTS ln
(d) エントロピーの測定
∫∫
∫
+∆
++
∆++=
T
T
vapT
T
fusT
b
b
i
i
TT
TH
TT
TH
TT
STS
(g)dC(l)dC
(s)dC)0()(
pp
0
p
4・3 いろいろな過程のエントロピー
温度 T における系のエントロピーは、 T =0 からいろいろな温度における Cp を測定し、順次積分することによって
求められる。
デバイの補外法: 低温領域では、以下の近似が
成り立つことが知られている。
3aTCp =
エントロピー計算でよく使う考え方 TqS dd =
4・3 いろいろな過程のエントロピー
定容変化 ⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛===∆ ∫∫
i
fV
T
T
VT
T TT
CT
TCTqS
f
i
f
i
lndd
定圧変化 ⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛===∆ ∫∫
i
fp
T
T
pT
T TT
CT
TCTqS
f
i
f
i
lndd
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=∆
i
f
i
f
pp
nRTVV
nRTS lnln等温変化
例題4・3
4・3 いろいろな過程のエントロピー
25 ℃1.00 atm500 cm3
1-1 K J 118.0
5001000ln +=⎟
⎠⎞
⎜⎝⎛=∆ nRTS
100 ℃1000 cm3
25 ℃1000 cm3
始状態
等温膨張
終状態
(仮想的)中間状態
?=∆S
1S∆
2S∆
21 SSS ∆+∆=∆
1-
1-1-
2
KJ0.057 K 298K 373ln x mol K J 12.48 x mol 0.0204
ln
+=
⎟⎠⎞
⎜⎝⎛=
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=∆
i
fV T
TnCS
定容変化
-121 K J 0.175 +=∆+∆=∆ SSS
例題
4・3 いろいろな過程のエントロピー
0 ℃ 100 ℃
水とお湯が接触したときのエントロピー変化を考える。
50 ℃ 50 ℃
q
S
0 J
0 J K-1
418,400 J 209,200 J 209,200 J
1305 J K-1 703 J K-1 703 J K-1
1305 J K-1 1406 J K-1
下のエントロピー値は、0 ℃の水を基準とした相対値であることに注意
接触によって熱量は一定だがエントロピーは 101 J K-1 増大
⎟⎟⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+°=
i
fp T
TCCSS ln)0(
1 リットル
418,400 J 418,400 J
4・4 熱力学第三法則絶対温度が 0 K に近づくと系のエントロピー S は 0 に近づく
絶対温度 0 K の完全結晶では S(0 K) = 0とする
cf. 下巻19章 ボルツマンの式 WkS ln=W: ある熱力学的状態をと
りうる状態の数、完全に秩序だった状態では W=1
圧縮 膨張
固体 気体
分離 混合
同じ方向 違う方向
違う速さ同じ速さ
低エントロピー 高エントロピー
低エントロピー 高エントロピー
4・6 ヘルムホルツエネルギーとギブスエネルギー
熱の移動による変化は、クラジウスの不等式によって以下のように示される。
0dd ≥−TqS
0dd ≥−TUS
UST dd ≥
0d , ≥VUS 0d , ≤VSU
0dd ≥−THS
HST dd ≥
0d , ≥pHS 0d , ≤pSH
定容 (V 一定)の熱移動 定圧 (p 一定)の熱移動
dU = 0 もしくは dS = 0 の場合 dH = 0 もしくは dS = 0 の場合
自発変化の場合、U, V が一定なら S 増大 S, V が一定なら U 減少
自発変化の場合、H, p が一定なら S 増大 S, p が一定なら H 減少
4・6 ヘルムホルツエネルギーとギブスエネルギー
ヘルムホルツ(自由) エネルギー A ギブズ(自由)エネルギー G
新しい熱力学量の導入
0dd ≤− STU 0dd ≤− STH
TSUA −=STUA ddd −=
0d , ≤VTA
TSHG −=STHG ddd −=
0d , ≤pTG自発的となる条件
どうして H や U ではだめか?・・・・・エネルギーが低くなるというだけでは不十分。S は? ・・・・・ 孤立系でそのものだけの S をみていても不十分。周囲の S も考慮すべき。
4・6 ヘルムホルツエネルギーとギブスエネルギー
(a) ヘルムホルツ エネルギーについてのメモ (p. 122)
・・・ dAの式の形はエネルギーが低い方がいいような印象
を与えるが、それは誤解である。 dS は系のエントロピー変
化、 -dU/T は外界のエントロピー変化で、その合計が最大
に向かうのである。
(c) ギブズ エネルギーについてのメモ (p. 124) ことばを若干改訂してあります
・・・ 実験室における化学反応で使われる。・・・・G が減少
することが自発反応のめやすになる。・・・系のエントロピー
が非常に増加するような反応では「自発的な吸熱反応」が
あり得ることを示す。
4・6 ヘルムホルツエネルギーとギブスエネルギー
ヘルムホルツエネルギー A の特徴
A はその反応において系がなすことができると最大の仕事を示す
Aw ∆=max
分子論的解釈 4.3: A は系の内部エネルギー U から乱雑に保存されているエネルギー TS を差し引いたものである。
cf. 論拠 4.2
0<∆ST 0>∆STのとき のとき
Uw ∆<max Uw ∆>max
! !
4・6 ヘルムホルツエネルギーとギブスエネルギー
ギブスエネルギー G の特徴
G はその反応において系がなすことができると最大の非膨張仕事を示す
Gw ∆=max e,
cf. 論拠 4.3
人間の脳のエネルギー消費量は、体全体のエネルギー消費量の20 %を占めるといわれている。成人の一日の消費エネルギーを8400 kJ (2000 kcal) とすると人間の脳はおおよそ何 W の機関と
言えるか?
W20s J 19 s 60 x 60 x 24
0.2 x J 10 x 4.8 1-6
≈==φ
例題 4.6 に代えて
基礎物理化学基礎物理化学 アトキンスアトキンス 6版6版4章:4章:演習演習4.1, 4.2, 4.4, 4.8, 4.11,4.12, 4.13, 4.15, 4.18, 4.20, 4.21, 4.24.1, 4.2, 4.4, 4.8, 4.11,4.12, 4.13, 4.15, 4.18, 4.20, 4.21, 4.233数値問題数値問題 4.3, 4.5, 4.7, 4.134.3, 4.5, 4.7, 4.13理論問題理論問題 4.20, 4.21, 4.24, 4.25, 4.324.20, 4.21, 4.24, 4.25, 4.32
今後の予定
7月 9日(月) 授業(本日)7月16日(月) 休日
17日(火)以降に中間試験成績、出席集計掲示7月23日(月) 授業、まとめ7月30日(月) テスト (いつもの授業時間 13:00-14:30)
先に連絡した8月7日には試験を行いません