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森林ごみ 粗大ごみ ここ最近の 生活ごみ WALOJTWALOJT使WAL8 使1 NEMOWALNEMONEMO3R20182 12 JICA1 WALWALJ-PRISM21 500WALWAL沿10 WAL11 J-PRISM17 2 5 2 3R+J-PRISM23R+使3R使サイクロン「ジータ」はトンガの首都ヌクアロファ のあるトンガタプ島に上陸。甚大な被害とともに 大量の災害廃棄物が発生した サイクロン「ジータ」の後、 災害廃棄物が大量に運び込まれた タプヒア処分場。アクセス道路が新設され、 ごみの種類によって廃棄場所が 区分けされている トラックに積まれたグリーンウェイストが運 び込まれるタプヒア処 分 場 。受 付の女 性が、搬入者の名前や廃棄物のカテゴ リーなどを記録する WALの社長によるラジオで の呼びかけに応じた道路 脇の土地所有者が、グリー ンウェイストの仮置き場とし て土地を提供した リサイクルのためアルミ缶を梱包しているパラオのコロール州のリサイク ルセンター。一定量が集まったところで船に積み、海外へ輸出する 〔プロジェクト紹介〕 大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクトフェーズ2 J-PRISM220172月~20222月) 大洋州の地域全体で行うプロジェクト。①「大洋州地域廃棄物・汚染管 理戦略」の達成度のモニタリング、②域内の廃棄物管理の専門家の育 成、③災害廃棄物管理ガイドラインの作成、④域内の有価物を輸出す るための「3R+リターン」という、四つのテーマを柱に取り組んでいる。 3 トンガ T o n g a 首都:ヌクアロファ 通貨:パアンガ 人口:10.6万人(2015年) 公用語: トンガ語、英語 廃棄物管理の改善の専門家としてトンガ で活 動 。サイクロン「ジータ」による災 害 廃棄物の処理を現地スタッフへのOJT 通じてサポートする。 18 19 !簿!3Rマーシャル諸島 パラオ ソロモン諸島 バヌアツ フィジー トンガ サモア ミクロネシア連邦 パプアニューギニア オーストラリア トンガタプ島 ヌクアロファ 大洋州地域 J-PRISM対象国) 新しい アクセス道路 国際航業 小田真之介さん 特集 14 May 2018

サイクロンが - JICA...RIS M 2」 の 活動 の 柱 には 、「 3R+ リターン 」 も 挙 げ 制)、られる。リデュース(ごみ発生抑 リユース(再使用)、リサイ

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Page 1: サイクロンが - JICA...RIS M 2」 の 活動 の 柱 には 、「 3R+ リターン 」 も 挙 げ 制)、られる。リデュース(ごみ発生抑 リユース(再使用)、リサイ

森林ごみ

粗大ごみ

ここ最近の生活ごみ

だった。しかし、被害のあまりの

大きさに活動スケジュールを急

きょ変更し、WAL職員への緊急

教育訓練(OJT)を実施した。「災

害時の経験は、WALがサービス

を提供するババウ島でも生かされ

るから」と、廃棄物の処理プロセ

スを記録に残した。

 

復旧作業のOJTを実施する

なかで、小田さんはトンガの災害

廃棄物管理の課題に気づいた。

「廃棄物収集車両や処分場で使う重

機の不足とメンテナンス不良です」

 

WALでは生活ごみの収集車

両を8台所有しているが、全車両

を災害廃棄物の処理に使用したた

め、生活ごみの収集サービスは1

週間ほどストップした。家庭内に

ごみがたまり、収集再開時には大

量の生活ごみを集める必要が生じ

てしまった。

「トンガにおいて今回のような国

家非常事態宣言下では、災害に対

するすべての管理をトンガ緊急事

態管理庁(NEMO)が司ります。

WALは処分場での廃棄物処理

に必要な重機の配備をNEMO

に承認されたのですが、両者の連

携がうまくいかず、ほとんど稼働

しない状態で処分場に置かれたまま。

教訓として、緊急時のNEMOと

の連絡系統、重機や車両の確保、

災害廃棄物管理と3R+リターンの取り組み

サイクロンが上陸!

トンガの災害廃棄物管理

サイクロンによる経験を、

今後の廃棄物管理に生かす

 

2018年2月12日、サイク

ロン「ジータ」が大洋州の島国、

トンガ王国に上陸した。JICA

のプロジェクト専門家として現地

に滞在していた小田真之介さんに

よれば、「私が聞いたかぎりでは、

トンガタプ島に上陸したなかで過

去最大規模のサイクロン」とのこ

と。幸いにも人的被害はなかった

が、街中の木や電柱は倒れ、家々

の屋根は吹き飛ばされ、1週間以

上も停電や断水が続いた。嵐が通

過した翌朝、道路には「グリーン

ウェイスト」(木などの廃棄物)

や住宅の廃材があふれ、その前で

住民たちは呆然と立ち尽くしてい

たという。

 

街のいたるところに堆積した災

害廃棄物は、トンガ保険省から委託

を受けた廃棄物公社(WAL)に

よって処理が始められた。WAL

だけでなく、一般の住民も率先し

てグリーンウェイストや粗大ごみ

をトラックに積み、トンガタプ島

唯一のタプヒア処分場に運び込む

のだが、それは長い列を成すほど

だった。

 

小田さんの今回の派遣目的は、

J-

PRISM2の活動としてト

ンガタプ島で1世帯につき月額約

500円で提供されているWAL

の廃棄物管理サービスを、離島の

ババウ島に展開するためのもの

そして災害廃棄物の受け入れ計画

が不可欠だと感じました」

 

そんななか、「もう処分場はいっ

ぱいで、ごみは受け入れてもらえ

ない」という根拠のない噂が飛び

交った。そこで、WALの社長はラ

ジオで国民に、「沼地があればグ

リーンウェイストを捨ててくださ

い。不法投棄とは見なしません。

ただし、土地所有者の承諾は得る

ように」と呼びかけた。すると、「う

ちの土地に捨ててもかまわない」

という住人がラジオ局に電話をく

れたので、その申し出をすぐにラ

ジオ局が放送したところ、処分場

までグリーンウェイストを運べな

い住民が、提供された道路沿いの

空き地に捨てることができた。

「災害廃棄物の仮置き場を島全体

に10か所ほど設定し、マップを作

成して周知しておけば、非常時に混

乱を避けることができるはず」とい

う小田さんの提案に、WALの

社長も前向きな検討を約束した。

 

11年にスタートした「J-

P R

ISM」は、17年2月から5年間

にわたる「フェーズ2」に入り、

その取り組みの一つの柱として、

地域全体での災害廃棄物管理ガイ

ドラインの作成がサモアを拠点に

始まっている。サイクロン「ジー

タ」によるトンガでの廃棄物管理

の経験もそこには生かされること

が期待される。

リサイクル組合を設立し、

「3R+リターン」を実現

「J-

PRISM2」の活動の柱

には、「3R+リターン」も挙げ

られる。リデュース(ごみ発生抑

制)、リユース(再使用)、リサイ

クル(再資源化)の3Rに、リ

サイクル可能な資源や有価物など

の処理困難物を海外へ輸出すると

いう「リターン」を加えたもので、

島とう

嶼しょ

国ならでは取り組みだ。

 

その課題解決のために、今、域

内のリサイクル業者による組合の

設立が進められている。人口の少

ない国では、リターンしようにも

一定の資源ごみ量が集まるまでに

時間がかかったり、運搬する船の

燃料費がかさみ、資源の買い取り

価格によっては赤字になったりす

るなどの困難がつきまとう。輸出

が行われなければごみとして最終

処分場行きとなるため、処分場を

使用できる期間も短くなってしま

う。そこで、域内の国々でまとめ

て輸出することでリターンを実現

サイクロン「ジータ」はトンガの首都ヌクアロファのあるトンガタプ島に上陸。甚大な被害とともに大量の災害廃棄物が発生した

サイクロン「ジータ」の後、災害廃棄物が大量に運び込まれたタプヒア処分場。アクセス道路が新設され、ごみの種類によって廃棄場所が区分けされている

トラックに積まれたグリーンウェイストが運び込まれるタプヒア処分場。受付の女性が、搬入者の名前や廃棄物のカテゴリーなどを記録する

WALの社長によるラジオでの呼びかけに応じた道路脇の土地所有者が、グリーンウェイストの仮置き場として土地を提供した

リサイクルのためアルミ缶を梱包しているパラオのコロール州のリサイクルセンター。一定量が集まったところで船に積み、海外へ輸出する

〔プロジェクト紹介〕

大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクトフェーズ2(J-PRISM2)

(2017年2月~2022年2月)大洋州の地域全体で行うプロジェクト。①「大洋州地域廃棄物・汚染管理戦略」の達成度のモニタリング、②域内の廃棄物管理の専門家の育成、③災害廃棄物管理ガイドラインの作成、④域内の有価物を輸出するための「3R+リターン」という、四つのテーマを柱に取り組んでいる。

3トンガ

Tonga

首都 :ヌクアロファ通貨 :パアンガ人口 :約10.6万人(2015年)

公用語 :トンガ語、英語

廃棄物管理の改善の専門家としてトンガで活動。サイクロン「ジータ」による災害廃棄物の処理を現地スタッフへのOJTを通じてサポートする。

2018年5月18~19日、福島県いわき市で「第8回太平洋・島サミット」が開催される。

これまでの島サミットでも太平洋諸国の廃棄物管理が

重要なテーマとして取り上げられてきた。

同地域で取り組むプロジェクトの現状を報告する。文⃝松井健太郎

大洋州は

災害多発地帯

緊急時の

対応は迅速に!

ごみはしっかり

帳簿で管理!

3Rで集めた

資源ごみは海外へ

マーシャル諸島パラオ

ソロモン諸島

バヌアツ

フィジー

トンガ

サモア

ミクロネシア連邦

パプアニューギニア

オーストラリア

トンガタプ島

ヌクアロファ

大洋州地域(J-PRISM対象国)

新しいアクセス道路

国際航業小田真之介さん

特集

しようと、リサ

イクルや輸出の

拠点となる施設

の設置場所など

について、地域

全体で議論がさ

れている。

14May 2018