第9章 アルキン アルキンの命名法 接尾語 イン –yne 三重結合に近い端から番号をつける エンインの場合 二重結合と三重結合にかかわらず多重結合に近い末端から番号をつける。選択の余地があるときは二重結合が小さくなるようにする。
アルキンの反応:HXおよびX2の付加
三重結合 電子豊富 直線状分子 ひとつの結合あたりの強さ 三重結合(318kJ) > 二重結合(268kJ)
アルキンへのHX付加
Markovnikov則にしたがって二段階の付加が進行する。 一段目はトランス付加
アルキンへのX2付加
アルケンと同じように、臭素などがアルキンにトランス付加する。
アルキンへのHX付加:反応機構 アルケン→アルキルカルボカチオンが生成する アルキン→ビニル型カルボカチオンが生成する
第二級ビニル型カチオン ビニル型カルボカチオンは、アルキル型カルボカチオンより生成しにくい。
アルキンの水和 アルキンの水銀(II)触媒水和
H
ケト−エノール平衡 エノールからケトンへの互変異性(ケト−エノール互変異性)
内部アルキンのヒドロホウ素化ー酸化
ヒドロホウ素化 → 酸化によるエノール化 → 互変異性でケトンへ
末端アルキンのヒドロホウ素化ー酸化
ヒドロホウ素化(二回付加) → 酸化によるエノール化 → 互変異性でアルデヒドへ
末端アルキンは立体障害が小さいので二回付加進行する。
水銀触媒とヒドロホウ素化の違い
水銀触媒による末端アルキンの水和ではメチルケトンが生成 ヒドロホウ素化ではアルデヒドが生成する
アルキンの還元
アルキンの水素化の方がより吸熱的=反応起こりやすい 触媒を選べばアルキン→アルケンの段階でストップできる
Lindlar 触媒と Pd/C 触媒
Lindlar触媒:低活性パラジウム触媒(炭酸カルシウム担体、 酢酸鉛、キノリン処理)
Pd/C触媒:高活性パラジウム触媒(活性炭担体)
Lindlar 触媒と Pd/C 触媒
Lindlar触媒:低活性パラジウム触媒(炭酸カルシウム担体、 酢酸鉛、キノリン処理) cis-アルケンが選択的に生成する。
Pd/C触媒:高活性パラジウム触媒(活性炭担体)
trans-アルケンの合成
液体アンモニア(沸点−33°C)中金属リチウムで還元すると trans-アルケンが得られる。
アルキンノ酸化的開裂
アルキンも強力な酸化剤で酸化的開裂可能 問題点:反応性が悪い。通常はアルケンに還元してから 酸化的開裂を行う。
アルキンの酸性度
末端アルキンと強い塩基(NaNH2)でアセチリドアニオンが生成す
る。
末端アルキンの水素は他の炭化水素の水素と比べて酸性度が高い
末端アルキンの酸性度が高い理由 s軌道は軌道エネルギー低い 軌道のS性が高いとアニオンが安定。
アセチリドアニオンのアルキル化 アセチリドアニオンは、第一級ハロゲン化物と反応してアルキル化される。
アセチリドアニオンのアルキル化
第二級ハロゲン化物の場合は、反応性が低くうまくいかない 脱離反応が進行