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ドライアイの症状
■疲れ眼、それはドライアイかも知れません。
最近、眼が疲れやすい、あるいは何となく眼に不快感を感じるという人が増えています。テレビ・ワープ
ロ・パソコン・携帯電話など眼が酷使される現代では、目に不快感があると仕事だけではなく、日常生
活でも大変不便に感じることになります。
こういった疲れ眼などの原因として最近注目されているのが眼の乾き、ドライアイです。眼が疲れやす
い原因は、眼を使い過ぎたためばかりではなく、もしかしたらドライアイという病気の一症状かもしれな
いのです。
次の 12 の症状のうち5つ以上当てはまればドライアイの可能性があります。
■眼が乾くために、 不快な症状が現れるドライアイ
ドライアイは、涙液の減少あるいは質的な変化により眼の表面に障害を生じる疾患です。涙が足りない
と眼は乾いて傷つきやすい状態となり、重症になると、充血をおこしたり眼の表面にたくさんの細かい
傷がついている場合もあります。
◆涙は3つの層で眼を守る!
ドライアイ
涙は 3 つの層からなっています。いちば
ん外側には薄い油の層、目に接した側
には粘着質のムチン、真ん中がさまざ
まな成分を含んだ水の層があります。
涙は、まばたきによって眼の表面にベ
ールのような網目状の涙の膜をつくっ
ていますが、ドライアイではまばたきし
てもこの膜をきちんと修復できず、保護
してくれるはずの膜は穴だらけのままで
す。そうなると、異物や雑菌が目にくっ
つきやすくなり、さまざまな目の病気を
引き起こす可能性が高くなってしまいま
す。
◆健康な目とドライアイ
【健康な目】
目は光を正しく通すことで、物をきっきり見ることができます。
【ドライアイ】
目の表面がデコボコになると、光が正しく入らず、かすんで見えます。
■ドライアイは、大きく分けると下記の2つのタイプに分かれます。
◆(涙液減少型ドライアイ)・・・涙の量の異常
目は、刺激を受けたり、乾いたりすると、反射的に涙を流して涙の膜を安定させようとします。つまり、
正常な状態だと、一時的に目が乾いても、すぐに目が潤うしくみができているのです。しかし、涙液減少
型ドライアイでは、『目の刺激→神経伝達→涙の分泌』というシステムに異常があり、目が乾いても涙
が分泌されにくくなります。 このタイプのドライアイは、加齢・糖尿病・シェーグレン症候群等に
みられることがあります。
◆(蒸発亢進型ドライアイ)・・・涙の質の異常 涙液層の大部分は水/ムチン層より構成されており、この涙の膜が目の表面を覆うことで乾燥を防い
でいます。この水/ムチン層の外側にあるのが油層で、涙(水分)が蒸発するのを防いでくれています。
しかし、このタイプは、涙膜の油層を作っているマイボーム腺に異常があり、油層が十分に分
泌されず、涙が蒸発しやすくなります。また、VDT 作業などでまばたきの回数の減少、エアコン
などの送風・湿度の低下などの生活環境によっても涙が蒸発しやすくなります。
■ドライアイの検査 ◆目の傷の有無・程度を探る顕微鏡検査
目の表面の傷を見る検査です。 フルオレセインという黄~橙色の試薬を点眼すると、角膜(黒目)の傷
のある部位が染まります。 細隙灯顕微鏡で染色部を観察しながら、傷の有無や程度をチェックしま
す。
顕微鏡で角膜(黒目)を調べたのが、上図です。正常の人の角膜はつるつるしていますが、ドライアイの人の目は、
表面に薄緑色のぶつぶつ(ドライスポット)が浮き上がっているように見えます。ドライスポットは、涙の量・質のバ
ランスがくずれて目の表面の細胞がはがれ、傷ついている部位に現れます。
◆涙の質を調べる BUT 検査
◆涙の量を調べるシルマー検査
■ドライアイの治療
◆点眼液による治療
ドライアイの治療に使われる主な点眼液は、涙に近い成分をもつ人工涙液とヒアルロン酸ナトリウムを
含む角結膜上皮障害治療薬があります。それに加えて最近では、ムチンや水分の分泌を促すジクアホ
ソルナトリウムなどが発売されて、ドライアイ治療に使われています。
ヒアルロン酸ナトリウムには粘性があり、水分を保つ効果があります。水分を補給するだけでなく、涙
や点眼液を目の表面に長く保てることから、角膜の傷の修復につながります。ジクアホソルナトリウム
は目の表面に重要なムチンや水分を分泌させる効果があります。ムチンや水分の分泌が増え、十分な
量になると涙がしっかり目にくっつくようになり、まばたきがなめらかになって、角膜の傷の修復をはじ
め、ドライアイ症状を改善します。
涙がたくさん出ていても、涙の性質が良くないた
めに目の表面がすぐ乾くこともあります。涙の質
を調べる検査で、目を開いてから目の表面の涙
の膜が破壊されるまでの時間(BreakUpTime)を
測ります。BUT が 5 秒以下の場合、ドライアイが
疑われます。
◆涙点プラグによる治療
■ドライアイの予防・日常の注意点
1. パソコン作業などで画面に向かう時は、まばたきを意識的に増やしましょう。
2. 画面に照明や窓の光が映り込むと、画面が見づらくなり、凝視することになります。また、文字が
小さくても同様です。見やすい画面で作業しましょう。
3. エアコンや扇風機の風が顔にあたると、目はすぐ乾いてしまいます。作業をする場所や、仕事環
境にも配慮をしましょう。室内が乾燥している場合は加湿器を置くなど、適度な湿度に注意しま
しょう。
4. 目が疲れたら、蒸しタオルをまぶたの上にのせて5分ほど休憩しましょう。
5. 午後や夕方になると目の調子が悪くなる、という人はドライアイの可能性が大です。眼科で検査
を受け、早期の対処で悪化させないようにしましょう。
6. コンタクトレンズを使用していて、目がゴロゴロする、充血する、などの症状が出る場合は、ドライ
アイの可能性が大です。コンタクトレンズの使用は中止するか、または違和感が出ない程度の
短時間の使用にして、メガネと併用しましょう。
7. 市販の点眼薬や洗浄液の乱用は、その時は快適に感じても、かえって症状を悪化させることが
多々あります。点眼薬に含まれる防腐剤や刺激物の副作用のほか、貴重な自分の涙を洗い流
してしまうことになります。自分の涙を増やすように心がけましょう。
8. ドライアイは、アレルギーなどを併発する場合も多くみられます。また、ドライアイだと思っていた
ら、違う病気であったという場合もあります。目の疲れや違和感を感じる時は、自己判断に頼ら
ずに受診してください。