120
東京法曹会 平成 27 年度 2 回実務研究会 67 2 研究発表) スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~ 平成 27 11 19 日(木) 午後 6 時~

スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

東京法曹会 平成 27 年度 第 2 回実務研究会

(67 期 2 班 研究発表)

スタート!マイナンバー法

~マイナンバーのイロハ~

平成 27 年 11 月 19 日(木)

午後 6 時~

Page 2: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 2 -

スタート!マイナンバー法~マイナンバーのイロハ~

第 1 章 総論

Ⅰ マイナンバー制度の概要(担当:関根みず奈) ·························· 4

第 1 マイナンバー制度とは ······································ 4

第 2 制度が導入された背景 ······································ 4

第 3 マイナンバ―の利用範囲 ···································· 5

第 4 民間企業でのマイナンバ―の利用の具体的場面 ················ 6

Ⅱ 個人情報保護法とマイナンバー制度(担当:久勇介) ···················· 9

第 1 番号法,個人情報保護法,ガイドラインの関係 ················ 9

第 2 個人情報保護法改正 ········································ 9

第 2 章 各論

Ⅰ マイナンバーの取得について(担当:関友樹,中井崇博) ··············· 16

第 1 通知・個人番号カードの交付について ······················· 16

第 2 勤務先以外で提出(取得)が必要な場面について ············· 17

第 3 事業者の対応 ············································· 19

第 4 収集の方法について(本人確認まで含む) ··················· 22

Ⅱ 個人番号の利用(担当:塩津博伸) ··································· 28

第 1 概要 ····················································· 28

第 2 利用範囲の制限 ··········································· 29

第 3 利用目的に関する制限 ····································· 29

第 4 特定個人情報ファイル作成上の制限 ························· 34

Ⅲ マイナンバー提供の制限(担当:中嶋翼) ····························· 36

第 1 提供とは何か ············································· 36

第 2 提供の原則禁止 ··········································· 36

第 3 提供禁止の例外 ··········································· 37

Page 3: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 3 -

Ⅳ 財産調査におけるマイナンバー活用の可能性(担当:平良夏紀) ········· 40

第 1 検討の端緒 ··············································· 40

第 2 現在の財産調査 ··········································· 41

第 3 預金債権とマイナンバー ··································· 45

Ⅴ マイナンバーの民間利用と問題点(担当:川中啓由) ··················· 49

第 1 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等

に関する法律 ··········································· 49

第 2 韓国事情 ················································· 49

第 3 若干の考察 ··············································· 53

Ⅵ 個人番号の管理について(担当:伊庭裕太) ··························· 54

第 1 序論 ····················································· 54

第 2 安全管理措置 ············································· 54

第 3 保管の制限 ··············································· 62

第 4 正確性確保 ··············································· 63

第 5 従業者の監督 ············································· 63

第 6 委託 ····················································· 63

参照条文・添付資料 ····················································· 64

【凡例】

・番号法…行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関す

る法律

・個人情報保護法…個人情報の保護に関する法律

・行政機関個人情報保護法…行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律

・独立行政法人等個人情報保護法…独立行政法人等の保有する個人情報の保護

に関する法律

Page 4: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 4 -

第 1 章 総論

Ⅰ マイナンバー制度の概要

担当:関根みず奈

第 1 マイナンバー制度とは

・国民一人ひとりに個人番号(12 桁)を割り振る制度

・平成 28 年 1 月から社会保障, 税, 災害対策の行政手続等で運用が始まる

制度

⇒マイナンバ―制度(正式名称は「社会保障・税番号制度」という。)は,

住民票を有する人に1人ひとりに 12 桁の個人番号(通称して「マイナンバ

―」という。)を付して, 社会保障, 税, 災害対策の分野で効率的に情報を

管理し, 複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認

するために活用される制度である。マイナンバ―制度は, 番号法に基づいた

制度であり, 平成 28 年 1 月からスタートする。

第 2 制度が導入された背景

1 制度の導入の目的

マイナンバー制度は, 行政を効率化し, 国民の利便性を高め, 公平かつ公正

な社会を実現する社会基盤であり, 期待される効果としては, 大きく3つあ

げられる。【添付資料 1】1 頁参照

(1) 公平・公正な社会の実現

所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため, 負担を不

当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに, きめ細

かな支援を行えるようになる。

(2) 国民の利便性の向上

添付書類の削減など, 行政手続が簡素化され, 国民の負担が軽減され

る。また, 行政機関が持っている自分の情報を確認したり, 行政機関か

ら様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになる。

(3) 行政の効率化

行政機関や地方公共団体などで, 様々な情報の照合, 転記, 入力などに

要している時間や労力が大幅に削減される。複数の業務の間での連携が

進み, 作業の重複などの無駄が削減されるようになる。

2 現在の制度との比較 【添付資料 1】3 頁~4 頁参照

Page 5: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 5 -

現在, 行政機関や地方自治体には「住民票コード」や「基礎年金番号」「運

転免許証番号」など個人を識別するための番号が分野や組織ごとに存在して

いるため, 分野や組織を横断して個人の情報を紐付けすることが難しかっ

た。そのため, 行政機関や地方自治体等の間で連携が不足しているために,

住民側は, 各種手当を申請する際, 関係機関を回って必要書類を集めなけれ

ばならなかった。また, 行政側は, 個人の特定等の確認作業に時間がかか

り, 重複して作業するなど無駄な経費がかかることが多かった。

マイナンバ―制度が導入されることにより, 行政機関, 地方自治体等の間に

おいて個人情報の照会・提供を行うことが可能となる。そこで, 住民側に

とっては, 各種手当を申請する際に提出する書類が簡素化され負担が軽減さ

れる。また, 行政側は, 経費を抑えることができるというメリットがある。

第 3 マイナンバ―の利用範囲

別表第一(第 9 条関係)によると, マイナンバ―は利用範囲は以下のとおり

である。【添付資料 1】12 頁より抜粋

1 社会保障分野

(1) 年金分野:年金の資格取得・確認, 給付を受ける際に利用する。

・独立行政法人日本学生支援機構法による学資の貸与に関する事務

・公営住宅法による公営住宅, 改良住宅の管理に関する事務等

・国民年金法, 厚生年金保険法による年金である給付の支給に関する事

・国家公務員共済組合法, 地方公務員等共済組合法, 私立学校教職員共

済法による年金である給付の支給に関する事務

・確定給付企業年金法, 確定拠出年金法による給付の支給に関する事務

・独立行政法人農業者年金基金法による農業者年金事業の給付の支給に

関する事務等

(2) 労働分野:雇用保険等の資格取得・確認, 給付を受ける際に利用

する。ハローワーク等の事務等に利用する。

・雇用保険法による失業等給付の支給, 雇用安定事業, 能力開発事業の

実施に関する事務

・労働者災害補償保険法による保険給付の支給, 社会復帰促進等事業の

実施に関する事務等

(3) 福祉・医療・その他分野:医療保険等の保険料徴収等の医療保険

者における手続, 福祉分野の給付, 生活保護の実施等低所得者対策の

Page 6: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 6 -

事務等に利用する。

・児童扶養手当法による児童扶養手当の支給に関する事務

・母子及び寡婦福祉法による資金の貸付け, 母子家庭自立支援給付金の

支給に関する事務

・障害者総合支援法による自立支援給付の支給に関する事務

・特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当等の支給に関する事務

・生活保護法による保護の決定, 実施に関する事務

・介護保険法による保険給付の支給, 保険料の徴収に関する事務

・健康保険法, 船員保険法, 国民健康保険法, 高齢者の医療の確保に関

する法律による保険給付の支給, 保険料の徴収に関する事務

2 税分野

国民が税務当局に提出する確定申告書, 届出書, 調書等に記載。当局の内部

事務等に利用する。

3 災害対策分野

被災者生活再建支援金の支給に関する事務, そして被災者台帳の作成に関す

る事務に利用する。

4 その他

上記の他, 社会保障, 地方税, 防災に関する事務その他これらに類する事務

であって地方公共団体が条例で定める事務に利用する。

第 4 民間企業でのマイナンバ―の利用の具体的場面

【添付資料 1】15 頁より抜粋

1 社会保障分野

民間企業は, 個人番号関係事務実施者として, 健康保険, 雇用保険, 年金な

どの場面で提出を要する書面に, 従業員等のマイナンバ―を記載する場面で

利用する。

Page 7: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 7 -

2 税分野

民間企業は, 個人番号関係事務実施者として, 税務署に提出する法定調書

等に, 従業員や株主等のマイナンバ―を記載する場面で利用する。

以上

主な提出書類の例 提出者 提出先 根拠条文

雇用保険被保険者資格

取得届

適用事業所の事業

ハローワーク 雇用保険法施行規則第6条

雇用保険被保険者資格

喪失届

適用事業所の事業

ハローワーク 雇用保険法施行規則第7条

健康保険・厚生年金保

険被保険者資格取得届

適用事業所の事業

健康保険組

合・日本年金

機構

健康保険法施行規則第24条

厚生年金保険法施行規則第15

健康保険・厚生年金保

険被保険者資格喪失届

適用事業所の事業

健康保険組

合・日本年金

機構

健康保険法施行規則第29条

厚生年金保険法施行規則第22

提出者 根拠条文(所得税法)

給与所得の源泉徴収票 給与等の支払をする者 第 226 条第1項

退職所得の源泉徴収票 退職手当等の支払をする者 第 226 条第 2 項

報酬, 料金, 契約金及び賞

金の支払調書

報酬, 料金, 契約金又は賞金の

支払をする者

第 225 条第 1 項第 3 号

配当, 剰余金の分配及び基

金利息の支払調書

利益の配当, 剰余金の分配又は

基金利息の支払をする法人

第 225 条第 1 項第 2 号

不動産の使用料等の支払調

不動産の使用料等の支払をする

法人及び不動産業者である個人

第 225 条第 1 項第 9 号

不動産等の譲受けの対価の

支払調書

居住者又は内国法人に対し譲渡

対価の支払をする法人及び不動

産業者である個人

第 225 条第 1 項第 9 号

Page 8: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 8 -

【添付資料 1】

「マイナンバ― 社会保障・税番号制度 概要資料」

平成 27 年 2 月版 内閣官房社会保障改革担当室 内閣府大臣官房番号制度担当

【参考文献】

・宮内宏『マイナンバ―制度 -そのリスクと取扱いの要点』(NIBEN Frontier

148 号 23 頁, 2015)

・梅屋真一郎『人事・総務のための マイナンバ―制度』(労務行政,2014)

・佐々木隆仁『30 分で理解!イラストでわかるマイナンバ―Q&A30』(日経B

P社,2015)

・政府広報オンラインホームページ

http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/point/

・内閣官房ホームページ

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

Page 9: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 9 -

Ⅱ 個人情報保護法とマイナンバー制度

担当:久 勇介

第 1 番号法,個人情報保護法,ガイドラインの関係

1 番号法と個人情報保護法令

・番号法は個人情報保護法令の特別法

・民間事業者 個人情報保護法

国の行政部門 行政機関個人情報保護法

独立行政法人等 独立行政法人等個人情報保護法

地方公共団体 各個人情報保護条例

・特定個人情報を取り扱う際には,番号法・個人情報保護法令両者の規律を

遵守する必要がある。

2 ガイドライン

・個人情報の保護に関して,事業等を所管する各府省において,個人情報

を取り扱う際の具体的指針を示す等の目的で,平成 27 年 9 月 1 日現在,

27 分野について 38 のガイドラインが公表されている。

・特定個人情報を取り扱う際には,番号法部分は特定個人情報保護委員会ガ

イドライン,個人情報保護法令部分は各府省のガイドラインを参照する必

要がある。

※後述の個人情報保護委員会への権限一元化により,ガイドラインの改

正・統合が見込まれる。

第 2 個人情報保護法改正

1 改正スケジュール

・平成 27 年 9 月 3 日 改正個人情報保護法成立

・平成 28 年1月1日 個人情報保護委員会の設置に関する部分等の施行

・交付日(平成 27 年 9 月 9 日)から2年以内の政令で定める日に改正個人

情報保護法が全面施行

2 改正の 6 つのポイント

①個人情報の定義の明確化

・個人情報の定義の明確化(身体的特徴等が該当)

・要配慮個人情報(いわゆる機微情報)に関する規定の整備

Page 10: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 10 -

②適切な規律の下で個人情報等の有用性を確保

・匿名加工情報に関する加工方法や取扱い等の規定の整備

・個人情報保護指針の作成や届出,公表等の規定の整備

③個人情報の保護を強化

・トレーサビリティの確保(第三者提供に係る確認及び記録の作成義務)

・不正な利益を図る目的による個人情報データベース等提供罪の新設

④個人情報保護委員会の新設及びその権限

・個人情報保護委員会を新設し,現行の主務大臣の権限を一元化

⑤個人情報の取扱いのグローバル化

・国境を越えた適用と外国執行当局への情報提供に関する規定の整備

・外国にある第三者への個人データの提供に関する規定の整備

⑥その他改正事項

・本人同意を得ない第三者提供(オプトアウト規定)の届出,公表等厳格化

・利用目的の変更を可能とする規定の整備

・取り扱う個人情報が 5000 人以下の小規模取扱事業者への対応

(第 189 回通常国会「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定

の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」

概要)

3 個人情報の定義の明確化

(1) 個人情報

ア 定義

改正個人情報保護法において,個人情報とは,生存する個人に関する

情報であって,

① 当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個

人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することがで

き,それにより特定の個人を識別することができることとなるものを

含む。)(改正個人情報保護法 2 条 1 項 1 号)

② 個人識別符号が含まれるもの(同項 2 号)

のいずれかに該当するものである。

このうち,②の個人識別符号が法改正により新たに加わった部分であ

る。

Page 11: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 11 -

イ 個人識別符号

(同法 2 条 2 項)

この法律において「個人識別符号」とは,次の各号のいずれかに該当す

る文字,番号,記号その他の符号のうち,政令で定めるものをいう。

一 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換

した文字,番号,記号その他の符号であって,当該特定の個人を識別す

ることができるもの

二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に

関し割り当てられ,又は個人に発行されるカードその他の書類に記載さ

れ,若しくは電磁的方法により記録された文字,番号,記号その他の符

号であって,その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異な

るものとなるように割り当てられ,又は記載され,若しくは記録される

ことにより,特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別す

ることができるもの

・同法 2 条 2 項 1 号の具体例:指紋データ,顔認識データ

・同法 2 条 2 項 2 号の具体例:旅券番号,運転免許証番号,マイナンバー

cf.携帯電話番号,メールアドレス,クレジットカード番号,サービスID

(2) 要配慮個人情報

(同法 2 条 3 項)

この法律において「要配慮個人情報」とは,本人の人種,信条,社会的

身分,病歴,犯罪の経歴,犯罪により害を被った事実その他本人に対する

不当な差別,偏見,その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配

慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

・個人情報取扱事業者は,法令に基づく場合等のほか,本人の同意を得な

いで要配慮個人情報を取得してはならない(同法 17 条 2 項)。

・本人の同意を得ない個人データの第三者提供の特例(オプトアウトの特

例)について,その対象となる個人データから要配慮個人情報を除いて

いる(同法 23 条 2 項)。

4 匿名加工情報

・匿名加工情報とは,特定の個人を識別することができないように個人情

報を加工して得られる個人の情報であって,当該個人情報を復元するこ

とができないようにしたものをいう(同法 2 条 9 項)。

・匿名加工情報の作成,第三者提供にあたっては,その情報の項目等を公表

する必要がある(同法 36 条)

Page 12: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 12 -

・ビックデータを有効に活用する目的

(ビックデータ…典型的なデータベースソフトウェアが把握し,蓄積し,

運用し,分析できる能力を超えたサイズのデータ(総務省 2012 年版

「情報通信白書」))

5 第三者提供に関する規制

・個人情報取扱事業者は,個人データを第三者に提供したときは,個人情報

保護委員会規則で定めるところにより,当該個人データを提供した年月

日,当該第三者の氏名又は名称その他の個人情報保護委員会規則で定め

る事項に関する記録を作成し,その記録を個人情報保護委員会規則で定

める期間保存しなければならない(同法 25 条)。

・個人情報取扱事業者は,第三者から個人データの提供を受ける際は,個人

情報保護委員会規則で定めるところにより,当該第三者の氏名または名

称,当該第三者による当該個人データの取得の経緯を確認し,当該個人

データの提供を受けた年月日,上記確認事項を記録し保存しなければなら

ない(同法 26 条)。

Page 13: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 13 -

6 個人情報保護委員会の新設

・当該部分の施行日は,平成 28 年 1 月 1 日。

・内閣府の外局として,個人情報保護委員会を新設。

・主務大臣の有する権限が集約され,権限が強化される。

・現行の番号法で組織された特定個人情報保護委員会は,個人情報保護委員

会に改組されることになる。

(同法 40 条 1 項)

個人情報保護委員会は,前二節及びこの節の規定の施行に必要な限度にお

いて,個人情報取扱事業者又は匿名加工情報取扱事業者(以下「個人情報取

扱事業者等」という。)に対し,個人情報又は匿名加工情報(以下「個人情

報等」という。)の取扱いに関し,必要な報告若しくは資料の提出を求め,

又はその職員に,当該個人情報取扱事業者等の事務所その他必要な場所に立

ち入らせ,個人情報等の取扱いに関し質問させ,若しくは帳簿書類その他の

物件を検査させることができる。

(同法 41 条)

個人情報保護委員会は,前二節の規定の施行に必要な限度において,個人情

報取扱事業者等に対し,個人情報等の取扱いに関し必要な指導及び助言をする

ことができる。

(同法 42 条 1 項)

個人情報保護委員会は,個人情報取扱事業者が第 16 条から第 18 条まで,第

20 条から第 22 条まで,第 23 条(第4項を除く。),第 24 条,第 25 条,第

26 条(第 2 項を除く。),第 27 条,第 28 条(第 1 項を除く。),第 29 条第

2 項若しくは第 3 項,第 30 条第 2 項,第 4 項若しくは第 5 項,第 33 条第 2 項

若しくは第 36 条(第 6 項を除く。)の規定に違反した場合又は匿名加工情報

取扱事業者が第 37 条若しくは第 38 条の規定に違反した場合において個人の権

利利益を保護するため必要があると認めるときは,当該個人情報取扱事業者等

に対し,当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべ

き旨を勧告することができる。

(同法 42 条 2 項)

個人情報保護委員会は,前項の規定による勧告を受けた個人情報取扱事業者

等が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において個人

の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるときは,当該個人情報取扱事

業者等に対し,その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

7 個人情報の取扱いのグローバル化

・個人情報取扱事業者は,外国にある第三者へ個人データを提供する場合,

Page 14: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 14 -

原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要がある(同法 24 条)

・特定個人情報の取扱いを海外企業に委託している会社は,個人番号を取得

する際に,海外企業への委託についても本人に同意を得ておくべき。

(同法 24 条)

個人情報取扱事業者は,外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下

同じ。)(個人の権利利益を保護する上で我が国と同等の水準にあると認め

られる個人情報の保護に関する制度を有している外国として個人情報保護委

員会規則で定めるものを除く。以下この条において同じ。)にある第三者

(個人データの取扱いについてこの節の規定により個人情報取扱事業者が講

ずべきこととされている措置に相当する措置を継続的に講ずるために必要な

ものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に適合する体制を整備して

いる者を除く。以下この条において同じ。)に個人データを提供する場合に

は,前条第 1 項各号に掲げる場合を除くほか,あらかじめ外国にある第三者

への提供を認める旨の本人の同意を得なければならない。この場合において

は,同条の規定は,適用しない。

8 その他改正事項

・改正法では,取り扱う個人情報が 5000 人以下の小規模事業者も個人情報

取扱事業者にあたる。

・現行法では,小規模事業者(事業の用に供する個人情報データベース等を

構成する個人情報によって識別される個人の数の合計が過去六月以内のい

ずれの日においても 5000 を超えない者)が個人情報取扱事業者から除

外。

(同法 2 条 5 項)

この法律において「個人情報取扱事業者」とは,個人情報データベース等を

事業の用に供している者をいう。ただし,次に掲げる者を除く。

一 国の機関

二 地方公共団体

三 独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律

(平成 15 年法律第 59 号)第 2 条 1 項に規定する独立行政法人等をいう。

以下同じ。)

四 地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成 15 年法律第 118 号)第 2 条

第 1 項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)

・小規模事業者は,番号法への対応の際,個人情報保護法やそのガイドライ

ンを遵守する形で対応しておくことが望ましい。

以上

Page 15: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 15 -

【参考文献】

・菅原貴与志『詳解個人情報保護法と企業法務第6版―収集・取得・利用から

管理・開示までの実践的対応策』(民事法研究会,2015)

・宇賀克也,水町雅子,磯村健『論点解説マイナンバー法と企業実務』(日本

法令,2015)

・水町雅子『Q&A番号法』(有斐閣,2014)

Page 16: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 16 -

第 2 章 各論

Ⅰ マイナンバーの取得について

担当:関友樹,中井崇博

第 1 通知・個人番号カードの交付について

1 総論

本項目では主に事業者の視点から,主に「個人番号関係事務実施者」

(番号法2条13項,11項,同法9条3項)として,個人番号の取得が

要求されることから,その手続について詳述する。

まずは,その導入として,事業者への提出が要求される個人番号が記載

される通知カード及び個人番号カードがいかなるものであるかについて簡

単に説明したい。

2 通知カードについて

通知カードとは,市区町村から本人に対して個人番号を通知するために

交付されるカードのことで,氏名,住所,生年月日,性別(基本4情

報),そして個人番号が記載される(番号法7条1項)。本人の顔写真は

表示されない。通知カードの交付に当たって申請は不要で,簡易書留の形

で郵送される。10月から交付が開始されるが,手許に届く時期について

は自治体ごとの処理なのでばらつきがあるようである(原稿作成時点では

まだ手許に届いたという話をあまり聞かない。)。

3 個人番号カードについて

個人番号カードとは,基本4情報や個人番号等の記録事項が記載されて

おり,かつ,顔写真も表示されるカードのこと。記録事項についてはカー

ド内臓の IC チップにも記録される。このカードは身分証明書としての役

割も兼ね備えるため,取得の際に要求される本人確認の際にはこれ1枚を

提示すれば足りることになる。

個人番号カードの交付を受けるためには,市区町村への事前の申請が必

要で,来年1月以降に各自治体の窓口で,上記の通知カードと引き替えに

交付される(番号法2条7項,17条)。未成年などの場合には法定代理

人が本人に代わって交付を受けることができる。

Page 17: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 17 -

個人番号カード,通知カードについて

通知カード 個人番号カード

様式 ・個人番号を表面に記載

・顔写真はなし

・個人番号を券面に記載(裏面に記載

する方向で検討)

・顔写真を券面に記載

作 成 ・

交付

・全国民に郵送で送付する

・全市町村が共同で委任する

ことを想定。民間事業者の活

用も視野

・手数料はなし

・交付事務は法定受託事務

・通知カードの郵送とあわせて個人番

号カードの交付申請書が送付される。

申請は郵送ないしオンラインで受け付

けるため,市町村窓口へは1回のみ

(顔写真確認等)の来庁を想定

・有効期限が設けられている

・その他は左記通知カードと同様

利便性 個人番号カードの交付を受け

るまでの間,行政機関の窓口

等で個人番号の提供を求めら

れた際に利用可能

・身分証明書としての利用が可能

・番号法上義務付けられている本人確

認の利用可能

・市町村,都道府県,行政機関等によ

る付加サービスの利用

・電子証明書による民間部門を含めた

電子申請・取引等における利用

第 2 勤務先以外で提出(取得)が必要な場面について

1 総論

第 3 以下では事業者の視点から雇用従業員等からの取得の手続につい

て検討する。もっとも,マイナンバー制度は開始時点においては社会保

障・税・災害対策における行政事務の処理(個人番号利用事務,番号法

2条10項)のための制度という建付である。

したがって個人の視点からは勤務先以外にも自己の個人番号の提出を

求められる場面が出てくる。以下では,そうした個人の視点から(厳密

な意味での取得とは異なるが)個人番号の提供が必要となる場面を間単

に説明する。

2 行政機関

上記個人番号利用事務(番号法9条1項,2項)において行政機関は個

人番号を利用できるとされており,各種サービスを受ける際に個人番号の

提出が必要となってくる。具体的には年金受給や児童手当の支給など社会

Page 18: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 18 -

福祉の支給分野についての個人番号の提供の関心が高いと思われる(詳細

は別表一を参照。)。

なお,税分野では個人事業主の場合の税務当局へ提出する確定申告書へ

の個人番号の記載が重要である。その他,社会保障・地方税・防災に関す

る事務その他これに類する事務であって,地方公共団体が条例で定める事

務も個人番号の利用範囲であるため,個人番号の提供が求められる場面は

広がる。

3 金融機関

①銀行

・投資信託口座

・公共債口座(平成27年1月金融所得一体課税の対象拡大により支

払い調書作成義務が課せられる)

・法人の定期性預金口座(調書対象となる口座のみ)

・国外送金などにかかわる告知書提出

・国外送金などにかかわる調書作成(1000万円以上の国外送金の

み)

・財産形成非課税住宅・年金貯蓄(ただし,平成28年以降の新規手続

きのみが対象)

②証券会社

・有価証券口座

③保険会社

・生命保険・損害保険(死亡保険金,解約返戻金など)

・積立型・年金型商品

④信託銀行

・各種信託商品 など

以上の商品は,たとえば支払調書などの作成対象となっており,番号

の記載が必要となる。したがって,これらの契約によって支払いを受

けたり,特定口座を開設する際には個人番号の提供が必要となる。

4 今後の利用範囲の拡大について

マイナンバー制度の開始時点では利用範囲が厳格に制限されている。

もっとも,マイナンバーの今後の利用・活用拡大を検討する政府の「IT

戦略本部新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会」の「中間取りまと

め」(平成26年4月時点)によれば以下の5つの分野での利用・活用が

検討されることになった。

Page 19: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 19 -

・ 結婚・死亡等のライフイベントに係る手続き,パスポートの発行

や,代理権の確認等に関連する,戸籍等に係る事務

・ 在外邦人によるマイナンバー関連サービス利用や,有事の際の国内

情報の活用等に関連する,旅券や邦人保護等に係る事務

・ 預金保険法や犯罪収益移転防止法等に基づく,金融機関による顧客

の名寄せ,本人確認及び口座名義人の特定・現況確認に係る事務

・ 医療・介護・健康等に係る事務の効率化や全国的なサービス連携等

に関連する医療・介護・健康情報の管理及び医療情報の蓄積・分析等に

係る事務

・自動車の登録に係る事務等

したがって,今後はたとえば戸籍謄本の取り寄せや,海外在留に際して

も個人番号の提示が求められる可能性がある。

5 小括

以上のように,個人の側から見た場合には別表一で掲げられた行政サー

ビスを受けるために個人番号が要求される場面が出てくる。その他勤務先

以外の民間事業者に対しても金融商品を扱う金融機関等に対して,支払い

を受ける際等には税分野の関係から個人番号の開示が求められることにな

る。

制度開始後はマイナンバーの利用・活用が検討されており,老若男女問

わず,個人番号の存在意義が高まることが予想される。

第 3 事業者の対応

1 どのような事務で個人番号を取得する必要があるか

ここからは,先に述べたとおり,事業者の視点から雇用従業者等のマイ

ナンバーの取得について述べる。

まず,個人番号を取得する必要がある事務について,行政機関等へ提出

する書類により,大きく分けて,①給与所得等に関する帳票作成②健康保

険,厚生年金保険に関する帳票作成③雇用保険に関する帳票作成④支払い

に関する帳票作成⑤配当等に関する帳票作成の5つのカテゴリーに分類す

ることができる。

2 誰の個人番号を取得する必要があるのか

上記の分類に従うと,①及び②に関しては従業員及びその扶養親族の

個人番号が,③に関しては従業員の個人番号が,④に関しては支払先の

個人番号が,⑤に関しては株主の個人番号がそれぞれ必要になる。

Page 20: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 20 -

ここでいう従業員には,正社員,契約社員,パート,アルバイトは含ま

れる一方,派遣社員は含まれない。

また,④の支払先として考えられるのは,報酬の支払先(委託料,講演

料,原稿料,賞金,画料等の支払先。但し,年中の同一人に対する支払金

額の合計が5万円を超える場合のみ))及び不動産賃料支払先(支払先及

び斡旋料が個人の場合。但し年中の使用料等の支払金額が15万円を超え

る場合のみ)である。

3 取得時期(具体的なスケジューリング)

事業者は,行政機関等に提出する書面に個人番号を記載する等の事務を

処理するために必要な場合のみ,個人番号の提供を受けて利用することが

できる。したがって,原則として,個人番号が必要となった際に提供を受

けるべきである。

もっとも,本人との法律関係等に基づき,個人番号が将来必要となるこ

とが予想される場合には,事前に提供を受けることができるとされる。例

えば,従業員との関係では,入社時点で,源泉徴収票作成事務の発生は当

然に予想されるため,雇用契約締結時に個人番号を取得することは可能と

考えられている(特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事

業者編)24頁)。

参考までに,個人番号の取得対象と原則的な取得時期について簡単に整

理すると,以下のとおりとなる。

Page 21: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 21 -

個人番号の取得対象と取得時期

取得対象者 取得時期

従業員

(契約社員・

パート・

アルバイト含

む)

平成27年12月以前から

雇用されている者

平成29年1月

(平成28年の年末調整

時)

→給与所得等に関する帳票

平成28年1月以降に雇用

される者

雇用されたとき

→雇用保険関係の帳票

平成28年1月以降に退職

する者

退職するとき

→雇用保険関係の帳票

給与所得等に関する帳票

平成28年1月以降に扶養

家族が国民年金第3号被保

険者関係届を提出する者

資格を取得または喪失する

とき→国民年金第3号被保

険者関係届に関する帳票

従業員の

扶養家族

平成28年1月以降に扶養

家族が国民年金第3号被保

険者関係届を提出する者

資格を取得または喪失する

とき→国民年金第3号被保

険者関係届に関する帳票

それ以外の者 平成29年1月(平成28

年の年末調整時)

→給与所得等に関する帳票

報酬の支払先,不動産賃料等の支払先 平成29年1月

→支払い等に関する帳票

株主 平成27年12月以前から

株主でみなし告知を行って

いる者

平成31年

→配当等に関する帳票

それ以外の者 支払確定時

→配当等に関する帳票

なお,取得に先立ち,取扱規程等の整備や従業員への周知徹底等が要求

されている。取扱規程には,各管理段階における,取扱方法,責任者・事

務取扱者及びその任務等について定めることが考えられる。

取扱規程の制定方法は,現状の個人情報に関する管理規定を改定する方

法,および新しく規定を制定する方法が考えられるが,規定が複雑になる

ことを避けるため,新たに「特定個人情報管理規程」を設ける方が適当と

Page 22: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 22 -

思われる。

第 4 収集の方法について(本人確認まで含む)

1 取得の方法(総論)

以上述べてきたように,事業者は従業員を中心として番号取得が要請さ

れる。その具体的な方法としては①利用目的の明示と②本人確認が必要と

なる。番号法では後者の本人確認が重視され,厳格な手続が要求される。

もっとも,事業者としてはいずれの手続についても法に則った形で遵守し

実践していくことが望まれる。

以下では,まず①利用目的の明示について触れ,その後②本人確認につ

いて詳述する。

2 利用目的の明示について

利用目的の明示については番号法に基づくものではなく,個人情報保

護法18条 1 項以下に基づくものである。番号法は個人情報保護法の特

別法に当たるので,番号法に規定がない場合であっても,同法が適用さ

れるためである。

個人番号の利用目的の通知等の方法は,書類の提示のほか社内LAN

における通知が挙げられるが,個人情報保護法第18条及び主務大臣の

ガイドライン等に従って,従来から行っている個人情報の取得の際と同

様の方法で行うことが考えられる。したがって,かかる利用目的の明示

においては大幅な対応に迫られることはないといえる。

なお,従業員からマイナンバーを取得する際に,源泉徴収や健康保険

の手続きなど,マイナンバーを利用する事務・利用目的を包括的に明示

して取得し,利用することは差し支えない。しかし,後から理由を追加

することは認められないので,社内規定を整備する際には定め方に注意

を要する。

3 本人確認の意義

「番号制度」を導入している多くの国では,他人の番号を盗用し,他

人になりすましを行う悪用例が後を絶たない。そのことから,わが国に

おいて,事業者が個人番号の提供を受ける(事業者からみれば「取

個人番号を取得する際に必要な手続

①利用目的の明示 + ②本人確認

Page 23: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 23 -

得」)に当たり厳格な本人確認の措置を要求した(法16条)。

従来の,銀行口座の作成の際に要求される本人確認は身元確認が行わ

れれば良かった。しかし,番号法で要求される本人確認はこうした「身

元確認」に加えて,「提供を受ける番号が正確であるかどうかの確認」

する「番号確認」(番号の真正性確認)までが要求されることになる。

4 本人から取得する場合

以下では個人番号の取得に際して要求される本人確認の方法について

述べる。

(1) 本人確認に必要な書類について

個人番号を本人から取得する場合には本人確認の措置として以下の

書類のいずれかの提示を受ける必要がある。

個人番号カード及び通知カードについては第 1 で説明したように,

本人への郵送によって10月中旬以降に後者の通知カードが届き,本

人の交付申請に基づいて平成28年1月以降に前者の個人番号カード

が交付されることになる。

番号確認書類は,通知カードのほか氏名・住所・生年月日・性別のい

わゆる個人識別情報が記載されている書類で,住民票の写し又は住民

票記載事項証明書が挙げられる(番号法施行令12条1項1号)。

一方の本人の身元確認書類としては,運転免許証,運転経歴証明

書,パスポート,身体障害者手帳,在留カード,特別永住者証明書等

の本人の顔写真が表示された身分証明書等が挙げられる(番号法施行

規則1条1項1号)。

本人の申請によって交付される個人番号カードは,個人番号に加え

て顔写真も記載し身分証明書を兼ねている。そのため個人番号カード

① 個人番号カード

② 通知カード + 本人の身元確認書類

③ 番号確認書類 + 本人の身元確認書類

マイナンバー取得の際の本人確認

番号確認+身元確認が必要

Page 24: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 24 -

に限っては,それのみで番号確認と身元確認ができることから本人確

認の措置がとれたということになる。

以上の本人確認書類については【添付資料 2】を参照のこと。

(2) 取得の方法について

本人確認書類について基づき個人番号を取得する方法はいくつか存在

する。①対面,②郵送,③オンライン,④電話のいずれかの方法であ

る。それぞれの方法によって,取得の方法が異なるので,以下検討す

る。

ア 対面

この場合は直接本人確認書類の提示を受けることにより個人番号

を取得することになる。

イ 郵送

この場合写しでも可。

ウ オンライン

この場合には個人番号カード内の IC チップをを読み取る方法や電

子署名等(民間発行の電子署名や事業者による ID・パスワードの発

行を想定,身元確認)と合わせてする個人番号の送信(通知カード

の写しを PDF にしたものを送信,番号確認)するといった方法が想

定されている。

エ 電話

この場合は過去に本人確認したうえで特定個人情報ファイルを作

成していることが必要で,当該ファイルに記録されている個人番号

その他の事項を確認するために個人番号の提供を受ける(番号確

認)ことができるにとどまる。この際,別途本人しか知りえない事

項(基礎年金番号など)の申告を受ける必要がある(身元確認)。

以上の本人確認の方法については【添付資料 2】を参照のこと。

(3) 実際に従業員から番号を取得する際の注意点

ア 従業員にも本人確認が必要か

従業員など顔見知りから個人番号を取得する場合であっても,本

人確認は必要。

この点,個人番号カードの提示を受ける場合には顔写真で身元確

認までできるので問題がない。問題はそれ以外の番号確認書類に基

づく場合に,顔写真付の身元確認書類まで提示させることが要求さ

Page 25: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 25 -

れるかである。

この問題につき,番号法施行規則3条5項によれば,雇用関係そ

の他の事情を踏まえて,提示された番号確認書類に記載された人物

と提示者が同一人物であることが明らかであると事業者が認める場

合には,身元確認書類の提出を要しないと定めている。

したがって,事業者が従業員から個人番号を取得する際には雇用

関係から身元が明らかであり番号確認だけ行えば足りることが多い

ので,身元確認書類の提示を省略することが認められることが多い

といえる。

イ 採用する場合

この場合に従業員と同じように顔写真付の履歴書があれば番号確

認書類だけで本人確認が満たされるかが問題となる。

これについて内閣官房の回答によれば採用時の履歴書のみでは身

元確認が十分であるとはいえない。したがって,新規に採用した人

物から個人番号を取得する際には,採用時に番号法や税法で定める

ものまたは国税庁告示で定めるものと同程度の本人確認書類(運転

免許証,写真付き学生証等)による確認を行っている必要がある。

ウ 本人確認の頻度

本人確認は原則として個人番号の提供を受ける際にその都度行わな

ければならない。

ただし,2回目以降の番号確認の場合には個人番号カードや通知

カード等の提示を受けることが困難であれば,事業者が初回に本人確

認を行って取得した個人番号の記録と照合する方法でも構わないとさ

れる。身元確認についてはアで述べたとおり。

5 代理人を通じて個人番号を取得する場合

(1) 番号法によれば,個人番号の提供をできる場合(事業者からすれ

ば取得)として「本人又はその代理人が・・・提供するとき」(番号法

19条3号)と定めており,本人が代理人を通じて事業者等に個人番号

の提供をすることが認められている。

代理人を通じて個人番号を取得する際には以下についての確認が必要

になる(番号法施行令12条2項各号)。

Page 26: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 26 -

(2) 最初に述べたように,本人確認はなりすまし防止を趣旨とする制

度であるから,本人による提供が原則であり,代理人による場合には代

理権の存在が特に重要となる。したがって,本人の身元確認に代わって

代理権の確認と代理人の身元確認が必要となっている。代理権の確認書

類としては,法定代理人の場合は戸籍謄本等,任意代理人の場合は委任

状等が挙げられる(番号法施行規則6条1項各号)。一方,代理人の身

元確認書類としては,代理人の個人番号カード,運転免許証,パスポー

ト等が挙げられる(番号法施行規則7条1項各号)。

本人の番号確認書類は本人から直接提供を受けるのと同様,本人の個

人番号カード,通知カード,住民票,又は住民票記載事項証明書(いず

れも写し可)等が挙げられる(番号法施行規則8条)。

以上の方法が困難な場合等,代理人を介する場合の本人確認の詳細は

【添付資料 3】を参照のこと。

(3) 具体例

実際に代理人を介して個人番号を取得する場合の具体例としては,従

業員を代理人として,従業員の配偶者から個人番号の提供を受ける場合

が考えられる(健康保険被扶養者(異動)届や国民年金第 3 号被保険者

関係届など)。

この場合,上記の手続にしたがって,従業員からは①委任状及び②配

偶者の個人番号確認書類の提出を受ける。なお,従業員の身元確認につ

いては雇用関係により本人であることが明らかな場合であるとして,対

面であれば代理人自身の身元確認書類は不要となる。郵送等により提供

を受ける場合には原則に戻り,③運転免許証やパスポートといった代理

人の身元確認書類(写し)も必要となる。

6 その他 FAQ

(1) 個人番号の提供を拒まれた場合

Q 従業員や外部の対象者に番号の提供を拒否された場合,どのように対

応すればよいか

代理権の確認(1号)

代理人の身元確認(2号)

本人の番号確認(3号)

Page 27: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 27 -

A まず,税や社会保障関連の手続き書類に個人番号を記載することは法

令で定められた事業者の義務であることを周知し再度の提供を求める

べきである。外部の対象者の場合には,これらの内容を文書にして渡

しておく。

それでもなお,提供を受けられない場合には,これらのやり取りの

経緯を記録・保存して,番号を記載できなかったことが単なる義務違

反でないことを明確にしておく。その上で,書類の提出先である行政

機関の指示に従うことになる。

(2) 各支店での個人番号収集の可否

Q 各支店や営業所の従業員の個人番号を代表者がまとめて取得すること

は可能か。

A 各支店や営業所の従業員の個人番号を支店長などの代表者が集めて

本社の担当部署に送ることは可能である。この場合本人確認は本社が

行うことになる。

本社での本人確認が難しい場合には,店舗や営業所等の現場で本人

確認を行ってもかまわない。もっともその場合は担当者を決め,責任

の所在を明らかにしておく必要がある。

以上

【参考文献】

・梅屋真一郎『これだけは知っておきたいマイナンバーの実務』(日本経済新聞

出版,2015)

・藤原宇基・早川祐司(共著)『174の Q&A でみるマイナンバー制度の実務対

応』(税務研究会出版局,2015)

・『週間ダイヤモンド7/18号特集「マイナンバーの正体」』(ダイヤモンド

社,2015)

・日本総合研究所『あなたの会社は大丈夫?マイナンバー対応のすべて』(日本

経済新聞出版社,2015)

・影島広泰・藤村慎也共著『改正マイナンバー法対応のための業務フローと

チェックリスト』(商事法務,2015)

Page 28: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 28 -

Ⅱ 個人番号の利用

担当:塩津博伸

第 1 概要

1 「利用」と「提供」の違い

「利用・提供」と一括りにされることが多いが,両者の規制内容は異なる

ため,「利用」と「提供」を区別して考えることが番号法を理解するうえ

での重要なポイントとなる。

両者を区別するポイントは,特定個人番号の授受の主体(法人格)が同一

であるかどうかである。

例えば,A社従業員の扶養家族が,A社従業員に個人番号を提出する場合

(①),家族と従業員とは別人格であるから,「提供」となる。

また,A社従業員が,扶養家族の個人番号をA社支店に提出する場合

(②),A社従業員とA社とは別人格であるから,「提供」となる。これに

対し,A社支店が,A社(本社)総務部に個人番号を提出する場合(③),

A社支店とA社総務部とは同一法人であるから,「利用」となる。

しかし,A社の総務部が個人番号を親会社のB社に提出する場合は,A社と

B社とは別法人であるから,「提供」となる。

① ② ③ ④

A社従業員家族⇒A社従業員⇒A社支店⇒A社総務部⇒B社(親会社)

①提供 ②提供 ③利用 ④提供

2 利用に関する規制

特定個人情報の利用に関する規制は,以下の5つである。

利用範囲の制限 番号法 9 条

利用目的の特定 個人情報保護法 15 条 1 項

利用目的の公表・通知・明示 個人情報保護法 18 条 1 項・2 項

目的外利用の原則禁止 番号法 29 条 3 項,個人情報保護法 16 条・

32 条

ファイル作成上の制限 番号法 28 条

Page 29: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 29 -

すなわち,まず,個人番号は,番号法で定められた事務の範囲でしか利用

できないという大枠がある。そして,個人番号を利用するには,利用目的を

特定した上,当該利用目的を公表・通知・明示しなければならない。さら

に,実際に個人番号を利用する場合には,原則として当該利用目的の範囲内

でしか利用できない。

利用範囲(法定) ≧ 利用目的(特定) ≧ 実際の利用

以上に加え,民間企業が特定個人情報ファイルを作成することができるの

は個人番号関係事務を処理する必要がある場合に限られるとの規制がある。

第 2 利用範囲の制限

1 個人番号を利用することができる事務

個人番号は,番号法で定められた事務の範囲でしか利用できない。

番号法で定められた事務は「個人番号利用事務」と「個人番号関係事務」

に大別され,民間企業が関係する事務は専ら後者の「個人番号関係事務」で

ある。

2 個人番号関係事務とは

「個人番号利用事務」とは,行政機関,地方公共団体等が社会保障,税,

災害対策に関する特定の事務を処理するために必要な個人情報を検索・管理

するためのキーとして個人番号を利用する事務をいう(番号法 9 条 1 項,別

表 1,2 項)。

これに対して,「個人番号関係事務」とは,行政機関,地方公共団体等が

行う「個人番号利用事務」のために,法令に基づいて各種手続書類に他人の

個人番号を記載して提出するような事務をいう(番号法 9 条 3 項)。

具体的には,社会保障上の各種手続(健康保険,介護保険,厚生年金保険,

雇用保険,労災年金等)上の事務と,法定調書(源泉徴収票,支払調書等)

作成事務が中心となる。

例えば,企業が従業員の個人情報を検索・管理するために個人番号を利用

することは,「個人番号利用事務」に該当しないため,仮に従業員の同意が

あったとしても,許されない。

第 3 利用目的に関する制限

1 利用目的の特定

個人番号も個人情報に該当するから,個人情報保護法上の規制として,

Page 30: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 30 -

利用目的を特定しなければならない(個人情報保護法 15 条 1 項)。

前述したとおり,個人番号は,利用できる範囲が法定されているため,

利用目的は,個人番号を利用できる範囲内(企業の場合は「個人番号関係

事務」の範囲内)で特定しなければならない。

特定の程度としては,個人番号がどのような目的で利用されるのかを本人

が一般的かつ合理的に予測できる程度に具体的に特定することが必要とされ

ている。もっとも,個人番号を利用できる範囲が法定されていることから,

ある程度概括的な特定でも許されるものと考えられる。

【特定例】

従業員から個人番号を取得して源泉徴収票の作成や社会保険届出事務手続

に利用しようとする場合,利用目的としては,「源泉徴収票作成事務」,

「健康保険・厚生年金保険届出事務」のように特定することが考えられる。

2 利用目的の通知等

個人情報保護法上の規制として,利用目的を通知・公表・明示しなけれ

ばならない(個人情報保護法 18 条 1 項・2 項)。

(1) 通知等の方法

通知等の方法としては,社内 LAN における通知等,利用目的を記載した

書面の提示,就業規則への明記等などが考えられるが,主務大臣のガイド

ラインに従い,従来から行っている個人情報取得の際と同様の方法で行え

ばよいと考えられる(番号法特有の問題ではないため詳細は省略)。

Q‐1

個人番号の利用目的を特定して本人への通知等を行う際,個人番号の

提出先を具体的に示す必要があるか。

A‐1

利用目的を示せば提出先も自ずと明らかになるため(例えば利用目的

として源泉徴収票作成事務と通知等しておけば個人番号が税務署に提出

されことが明らかになる),提出先を具体的に示す必要はない。

(2) 複数の利用目的の一括通知等

複数の事務の発生が将来予想される場合には,あらかじめ複数の事務

を利用目的として一括して特定して通知等を行うことができる。

後述する目的外利用の原則禁止との関係で,利用目的を限定し過ぎた

場合には,当初予定していた事務以外の事務が発生し,当該事務のため

に個人番号を利用する必要が生じたときには,新たな利用目的を特定し

Page 31: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 31 -

通知等した上で改めて個人番号を取得するか,利用目的を変更し通知等

するかの対応が必要となることがあり,煩雑であるため,実務上は一括

特定・通知等を行っておいた方がよいかと考えられる。

【就業規則規定例】

第○条(個人番号の利用目的)

当社は,従業員から提供を受けた番号法に基づく個人番号を以下の

目的で利用することとする。

①源泉徴収関連事務等

②扶養控除等(異動)申告書,保険料控除申告書兼給与所得者の配

偶者特別控除申告書作成事務等

③給与支払報告書作成事務等

④給与支払報告特別徴収に係る給与所得者異動届出書作成事務等

⑤特別徴収への切替申請書作成事務等

⑥退職手当金等受給者別支払調書作成事務等

⑦退職所得に関する申告書作成事務等

⑧財産形成住宅貯蓄・財産形成年金貯蓄に関する申告書,届出書及

び申込書作成事務等

⑨健康保険,厚生年金,企業年金届出事務等

⑩国民年金第三号届出事務等

⑪健康保険,厚生年金,企業年金申請・請求事務等

⑫雇用保険届出事務等

⑬雇用保険申請・請求事務等

⑭雇用保険,労災保険証明書作成事務等

⑮持株会に係る金融商品取引に関する法定書類の作成・提供事務

3 目的外利用の原則禁止

(1) 利用目的の範囲内

個人番号については,金融機関を除き,「人の生命,身体又は財産の

保護のために必要がある場合であって,本人の同意があり,又は本人の

同意を得ることが困難であるとき」以外は,目的外利用が一切認められ

ていない(番号法 29 条 3 項により読み替えて適用される個人情報保護

法 16 条)。個人情報保護法と異なり,上記の例外を除き,本人の同意

があっても,目的外利用は一切禁止されている点に注意が必要である。

Page 32: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 32 -

【利用目的の範囲内として利用が認められる例】

○当年以後の源泉徴収票作成事務に用いる場合

○退職者と再雇用契約を締結した場合

○講師と講演契約を再度締結した場合

○不動産の賃貸借契約を追加して締結した場合

Q‐2

土地の賃貸人から地代の支払調書作成事務を利用目的として個人番号

を取得した場合,次年度以降の支払調書作成事務のためにも個人番号を

利用することができるか。

A‐2

同一の利用目的の範囲内であるため,次年度以降の支払調書作成事務

のためにも個人番号を利用することができる。

Q‐3

源泉徴収票作成事務を利用目的として従業員から個人番号を取得した

場合,給与支払報告書,退職所得の特別徴収票にも個人番号を利用する

ことはできるか。

A‐3

給与支払報告書,退職所得の特別徴収票は,源泉徴収票と共に統一的

な書式で作成されることとなるから,「源泉徴収票作成事務」に含まれ

ると考えられる。よって,同一の利用目的の範囲内であると考えられ,

給与支払報告書,退職所得の特別徴収票にも個人番号を利用することが

できる。

(2) 事業承継が行われた場合

合併その他の事由により事業を承継することに伴い,個人番号を取得

した場合には,承継前に特定されていた利用目的の範囲内において個人

番号を利用することができる(番号法 29 条 3 項により読み替えて適用

される個人情報保護法 16 条 2 項)。

例えば,A社がB社を吸収合併した場合,A社は,B社が源泉徴収票

作成事務を利用目的として保有していた従業員Cの個人番号を,従業員

Cの源泉徴収票作成事務のために引続き利用することができる。

(3) 利用目的の変更

当初定めた利用目的の範囲を超える事務のために個人番号を利用しよ

うとする場合には,原則として,新たに利用目的を特定し,通知等した

Page 33: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 33 -

上で,改めて個人番号を取得する必要がある。

もっとも,当初定めた利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認

められる範囲内であれば,利用目的を変更した上,通知等を行うことに

より,変更後の利用目的の範囲内で個人番号を利用することができる

(個人情報保護法 15 条 2 項,18 条 3 項)。事務の発生原因の共通性や

一括して利用目的を特定し通知等することの可能性等が利用目的変更の

可否を決するメルクマールになるものと考えられる。

Q‐4

源泉徴収票作成事務を利用目的として従業員から個人番号を取得した

場合,その後に,利用目的を変更して,通知等を行うことにより,健康

保険・厚生年金保険届出事務等の社会保険届出事務の目的で個人番号を

利用することができるか。

A‐4

社会保険届出事務は,雇用関係を原因として発生する点で源泉徴収票

作成事務と共通する。また,個人番号を取得する際に,源泉徴収票作成

事務と一括して利用目的として特定し通知等することが可能であった。

したがって,当初定めた利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認

められるものといえ,利用目的の変更によって社会保険届出事務の目的

で個人番号を利用することができる。

4 個人情報保護法が適用されない事業者

個人情報保護法が適用されない事業者,すなわち,個人情報取扱事業者

以外の事業者については,利用目的の特定及び通知等を行う義務が課せら

れない。

もっとも,個人情報保護法が適用されない事業者であっても,個人番号

を「個人番号関係事務又は個人番号利用事務を処理するため必要な範囲

内」で利用しなければならないため(番号法 32 条),個人番号をどの事

務を処理するために利用するのかを決めることになり,事実上,利用目的

の特定を行うことになると考えられる。

なお,改正個人情報保護法及び改正番号法の下では,民間事業者は,原

則として,すべて個人情報保護法が適用される事業者となる。そのため,

2017 年 1 月~8 月頃には,すべての民間事業者が利用目的の特定及び通知

等も義務付けられることになる見込みである。

Page 34: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 34 -

第 4 特定個人情報ファイル作成上の制限

1 特定個人情報ファイルとは

「特定個人情報ファイル」とは,個人情報保護法 2 条 2 項が規定する個人

情報データベース等であって,個人番号をその内容に含むものをいう(番号

法 2 条 9 号)。

「個人情報データベース等」とは,特定の個人情報を容易に検索すること

ができるように体系的に構成したものをいう。したがって,例えば従業員の

個人番号をメモした紙片,扶養控除等申告書などを順不同で紙のファイルに

綴ったファイルなどは,検索性を備えていないため,「個人情報データベー

ス等」とはいえず,特定個人情報ファイルに該当しない。

「個人番号をその内容に含む」とは,個人番号にアクセスできる者が,個

人番号と紐づけてアクセスできる状態になっていることを意味する。した

がって,画面上に個人番号が表示されないとしても,コンピューターの内部

処理で個人番号と連携しており,アクセス制御がなされていないような場合

には,「特定個人情報ファイル」に該当する。

Q-5

全従業員の経歴,成績等について個人情報データベース等を作成してお

り,コンピューターの画面上,個人番号は表示されないようにしているが,

システムの内部処理では給与情報と個人番号を介して連携している場合,経

歴,成績等の個人情報データベース等も特定個人情報ファイルに該当する

か。

A-5

システムの内部処理で個人番号と連携している以上,アクセス制御がなさ

れていないのであれば,特定個人情報ファイルに該当する。

2 特定個人情報ファイルを作成することができる場合

特定個人情報ファイルを作成できるのは,原則として,個人番号利用事

務及び個人番号関係事務を処理するため必要がある場合に限定されている

(番号法 28 条)。

○障害への対応等のために特定個人情報ファイルのバックアップファイル

を作成すること

×社内資料として従業員の過去の業務状況を記録するため,特定個人情報

ファイルを作成すること

以上

Page 35: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 35 -

【参考文献】

・宇賀克也,水町雅子,磯村健『論点解説マイナンバー法と企業実務』

(日本法令,2015)

・特定個人情報保護委員会『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドラ

イン(事業者編)(別添)特定個人情報に関する安全管理措置』(2014)

・特定個人情報保護委員会『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドラ

イン(事業者編)に関する Q&A』(2014)

Page 36: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 36 -

Ⅲ マイナンバー提供の制限

―原則禁止と例外規定―

担当:中嶋 翼

第 1 提供とは何か

●用語法 利用:同じ法人内部での特定個人情報の移動 提供:法人格を越える特定個人情報の移動 ●具体例 同一会社,同一グループ会社,省庁 etc 第 2 提供の原則禁止

●着目点 利用と提供で規制の枠組みが異なる→利用と提供の峻別が重要 ●判断枠組み 提供→提供に該当すれば,法19条各号に該当しない限り,提供は禁止される →法19条各号該当性が問題となる (参考) 利用→利用に該当すれば目的内利用が原則,目的外利用は例外的場合に許容

→目的内か否かがまずは問題となる ●制度趣旨の考察 ・利用との違い

・個人情報保護法との比較:マイナンバー法の方が規制が厳格 (参考)個人情報保護法

第二十三条 個人情報取扱事業者は,次に掲げる場合を除くほか,あらかじめ本人の

Page 37: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 37 -

同意を得ないで,個人データを第三者に提供してはならない。 一 法令に基づく場合 二 人の生命,身体又は財産の保護のために必要がある場合であっ

て,本人の同意を得ることが困難であるとき。 三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要

がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき。 四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令

の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であっ

て,本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそ

れがあるとき。 2 個人情報取扱事業者は,第三者に提供される個人データについて,

本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供

を停止することとしている場合であって,次に掲げる事項について,あ

らかじめ,本人に通知し,又は本人が容易に知り得る状態に置いている

ときは,前項の規定にかかわらず,当該個人データを第三者に提供する

ことができる。 一 第三者への提供を利用目的とすること。 二 第三者に提供される個人データの項目 三 第三者への提供の手段又は方法 四 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者

への提供を停止すること。 第 3 提供禁止の例外

●いくつかピックアップ

(参考条文) 第四章 特定個人情報の提供

第一節 特定個人情報の提供の制限等 (特定個人情報の提供の制限) 第十九条 何人も,次の各号のいずれかに該当する場合を除き,特定個人情報

の提供をしてはならない。 一 個人番号利用事務実施者が個人番号利用事務を処理するために必要な限度

Page 38: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 38 -

で本人若しくはその代理人又は個人番号関係事務実施者に対し特定個人情報を提

供するとき。 二 個人番号関係事務実施者が個人番号関係事務を処理するために必要な限度

で特定個人情報を提供するとき(第十号に規定する場合を除く。)。 三 本人又はその代理人が個人番号利用事務等実施者に対し,当該本人の個人

番号を含む特定個人情報を提供するとき。 四 機構が第十四条第二項の規定により個人番号利用事務実施者に機構保存本

人確認情報を提供するとき。 五 特定個人情報の取扱いの全部若しくは一部の委託又は合併その他の事由に

よる事業の承継に伴い特定個人情報を提供するとき。 六 住民基本台帳法第三十条の六第一項の規定その他政令で定める同法の規定

により特定個人情報を提供するとき。 七 別表第二の第一欄に掲げる者(法令の規定により同表の第二欄に掲げる事

務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあっては,その者を含

む。以下「情報照会者」という。)が,政令で定めるところにより,同表の第三

欄に掲げる者(法令の規定により同表の第四欄に掲げる特定個人情報の利用又は

提供に関する事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあって

は,その者を含む。以下「情報提供者」という。)に対し,同表の第二欄に掲げ

る事務を処理するために必要な同表の第四欄に掲げる特定個人情報(情報提供者

の保有する特定個人情報ファイルに記録されたものに限る。)の提供を求めた場

合において,当該情報提供者が情報提供ネットワークシステムを使用して当該特

定個人情報を提供するとき。 八 国税庁長官が都道府県知事若しくは市町村長に又は都道府県知事若しくは

市町村長が国税庁長官若しくは他の都道府県知事若しくは市町村長に,地方税法

第四十六条第四項若しくは第五項,第四十八条第七項,第七十二条の五十八,第

三百十七条又は第三百二十五条の規定その他政令で定める同法又は国税(国税通

則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第一号に規定する国税をいう。以下

同じ。)に関する法律の規定により国税又は地方税に関する特定個人情報を提供

する場合において,当該特定個人情報の安全を確保するために必要な措置として

政令で定める措置を講じているとき。 九 地方公共団体の機関が,条例で定めるところにより,当該地方公共団体の

他の機関に,その事務を処理するために必要な限度で特定個人情報を提供すると

き。 十 社債,株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第

五項に規定する振替機関等(以下この号において単に「振替機関等」という。)

が同条第一項に規定する社債等(以下この号において単に「社債等」という。)

Page 39: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 39 -

の発行者(これに準ずる者として政令で定めるものを含む。)又は他の振替機関

等に対し,これらの者の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で接続した

電子情報処理組織であって,社債等の振替を行うための口座が記録されるものを

利用して,同法又は同法に基づく命令の規定により,社債等の振替を行うための

口座の開設を受ける者が第九条第三項に規定する書面(所得税法第二百二十五条

第一項(第一号,第二号,第八号又は第十号から第十二号までに係る部分に限

る。)の規定により税務署長に提出されるものに限る。)に記載されるべき個人

番号として当該口座を開設する振替機関等に告知した個人番号を含む特定個人情

報を提供する場合において,当該特定個人情報の安全を確保するために必要な措

置として政令で定める措置を講じているとき。 十一 第五十二条第一項の規定により求められた特定個人情報を特定個人情報

保護委員会に提供するとき。 十二 各議院若しくは各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和

二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において

準用する場合を含む。)若しくは議院における証人の宣誓及び証言等に関する法

律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査若しくは調

査,訴訟手続その他の裁判所における手続,裁判の執行,刑事事件の捜査,租税

に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は会計検査院の検査(第五十三条

において「各議院審査等」という。)が行われるとき,その他政令で定める公益

上の必要があるとき。 十三 人の生命,身体又は財産の保護のために必要がある場合において,本人

の同意があり,又は本人の同意を得ることが困難であるとき。 十四 その他これらに準ずるものとして特定個人情報保護委員会規則で定める

とき。 ●収集も原則禁止 (収集等の制限) 第二十条 何人も,前条各号のいずれかに該当する場合を除き,特定個人情報

(他人の個人番号を含むものに限る。)を収集し,又は保管してはならない。

以上

Page 40: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 40 -

Ⅳ 財産調査におけるマイナンバー活用の可能性

-預金債権の特定に関する議論を例に-

担当:平良夏紀

第 1 検討の端緒

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律

(以下「番号法」という。)の目的の一つ=「公平・公正な社会の実現」

⇒ 民事執行実務では,苦労して勝訴判決を得ても,債務者財産,特に債務

者の有する債権(金融機関に対する預貯金債権 1が最も一般的)を把握

できないために強制執行が功を奏さない場合がある。債務者の財産調査

にマイナンバー 2を活用することによって,かかる状況を改善し,「公

平・公正な社会の実現」を目指すべきではないか。

1 本レジュメにて「預金」と記載する場合には,貯金も含むものとする。

2 番号法により導入される番号には,①個人番号(マイナンバー)と②法人番号があるが,本

レジュメで「マイナンバー」と記載する場合には,必要に応じて②法人番号を含むものとす

る。

【設例】

差押債権者をX,差押債務者をY,第三債務者をZ銀行とする。X

は,Yに対し,500 万円の請求債権を有する。Yは,Z銀行に対し,

1000 万円の預金債権を有する。Xは,YのZ銀行に対する預金債権を差

押債権として差押命令の申立てをした。YのZ銀行に対する預金債権

は,以下の複数支店の取り扱うものであった。

A支店 0 円

B支店 200 万円

C支店 500 万円

D支店 0 円

E支店 300 万円

Page 41: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 41 -

第 2 現在の財産調査

1 預金債権に対する強制執行

(1) 差押債権の特定の必要性

ア 民事執行法規則 133 条 2 項

「差し押さえるべき債権の種類及び額その他の債権を特定するに足り

る事項並びに債権の一部を差し押さえる場合にあっては,その範囲を明

らかにしなければならない」

イ 趣旨

・ 執行裁判所において被差押適格の有無(民事執行法 152 条や,146

条 2 項等に該当しないかなど)等を判断するため

・ 債務者及び第三債務者において債権差押命令の効力範囲を認識する

必要があるため

ウ 問題点

債権者が債務者の財産に関して十分な情報を有しない場合には,勝訴

判決等の債務名義を得ても差押えに必要な債権の特定が困難であるた

め,債務名義の強制的実現を図ることができない

(2) 債権の特定の困難性

・ 不動産登記のような公示手段がないこと

・ 債権という観念的な存在であること

・ 第三者(第三債務者)の必然的な存在

⇒ 預金債権については,厳密な特定をすることは債権者にとって酷で

あると考えられ,差押債権の特定基準を具体的に措定することによ

り,間接的に差押債権を特定するという方法が試みられてきた。

(3) 預金債権の特定方法に関する裁判所の態度

最小決平成 25 年 1 月 17 日金法 1966 号 110 頁(以下「25 年決定」とい

う。)

ア 債権者が預金特定のために用いた方法

「預金額最大店舗指定方式」・・・具体的な取扱店舗を特定す

ることなく,「複数の店舗に預金債権があるときは,預金債権

額合計の最も大きな店舗の預金債権を対象とする。なお,預金

債権額合計の最も大きな店舗が複数あるときは,そのうち支店

番号の最も若い店舗の預金債権を対象とする」とした上で,先

行差押えの有無や種類等による順位付けをする方法。

Page 42: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 42 -

<預金額最大店舗指定方式による差押債権目録の記載例>

イ 決定の内容

「本件申立てによる差押えを認めた場合,大規模な金融機関で

ある第三債務者は,全ての店舗の中から預金額最大店舗を抽出

する作業が必要となるが,その際,第三債務者において,全て

の店舗の全ての預金口座について,まず該当顧客の有無を検索

した上,該当顧客を有する店舗における差押命令送達時点での

口座ごとの預金残高及びその合計額等を調査して,当該店舗が

最大店舗に該当するかを判定する作業が完了しない限り,差押

えの効力が生ずる預金債権の範囲が判明しないことになる。し

たがって,本件申立てにおける差押債権の表示は,送達を受け

た第三債務者において,差押えの効力が送達の時点で生ずるこ

とにそぐわない事態とならない程度に速やかに確実に差し押さ

えられた債権を識別することができるものということはできな

い」として,差押債権の特定が十分でないと判断し,申立てを

不適法却下とした。

⇒ 設例の場合でいえば,Z銀行は,その全ての支店(メガバンク

規模とすれば,支店数は 500 前後)につき,Yの預金口座が存

在するかを調査し,調査の結果,B支店・C支店・E支店にY

の預金口座が存在することが判明した後,いずれの店舗がYの

差 押 債 権 目 録

金 500 万円

債務者が第三債務者に対して有する下記預金債権及び同預

金に対する預入日から本命令送達時までに既に発生した利息

債権のうち,下記に記載する順序に従い,頭書金額に満つる

まで

1 複数の店舗に預金債権があるときは,預金債権額合計の

最も大きな店舗の預金債権を対象とする。

なお,預金債権額合計の最も大きな店舗が複数あるとき

は,そのうち支店番号の最も若い店舗の預金債権を対象とす

る。

Page 43: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 43 -

預金額が最大の店舗であるか,判定する作業が必要となる。か

かる作業が完了するまで差押債権が特定されないとすると,差

押命令が第三債務者に送達された時点で差押えの効力を生じる

という差押え制度の趣旨にそぐわない結果となるため,預金額

最大店舗指定方式による申立ては差押債権の特定が十分でない

ことになる。

⇒ 債権者は,少なくとも差押対象となる預金が存在する支店を特

定しなければならない。

<25 年決定に従った差押債権目録の記載例>

⇒ 上記の差押債権目録のように差押債権を特定して申立てを行う

と,A支店の預金債権は 0 円であるため,執行不能に終わる。

次に,YはB支店の預金債権を差押債権として同様の申立てを

するが,B支店には預金債権が 200 万円しかないので,請求債

権の残り 300 万円について,さらに申立てをしなければならな

い。Xがこのような反復申立てをしている間に,YがC支店の

預金について払い戻しを受けてしまうと,XはC支店にあった

はずの預金債権に対する差押命令の申立ての機会も逸すること

になってしまう。

差 押 債 権 目 録

金 500 万円

ただし,債務者が第三債務者(A支店扱い)に対して有する下

記預金債権及び同預金に対する預入日から本命令送達時までに既

に発生した利息債権のうち,下記に記載する順序に従い,頭書金

額に満つるまで

1 差押えのない預金と差押えのある預金があるときは,次の順

序による。

(1) 先行の差押え,仮差押えのないもの

(2) 先行の差押え,仮差押えのあるもの

2 円貨建預金と外貨建預金があるときは,次の順序による。

Page 44: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 44 -

2 財産開示手続

(1) 財産開示手続(民事執行法 196 条以下)

債権者の権利実現の実効性を確保するという見地から,債務者の財産

に関する情報を取得するための方策として,平成 15 年改正により新た

に創設されたもの。

一定の執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者又は一

般先取特権者の申立てにより,執行裁判所は「強制執行又は担保権の実

行における配当等の手続において,申立人が当該金銭債権の完全な弁済

を得ることができなかったとき」等の実施開始要件を審査し,実施相当

の場合には財産開示期日を指定して申立人及び開示義務者(債務者,債

務者に法定代理人がある場合には当該法定代理人,債務者が法人である

場合はその代表者)を呼び出すとともに,期限を定めて開示義務者に財

産目録の提出を求める手続。開示義務者は,財産開示期日において宣誓

の上,期日の時点における債務者の財産を開示しなければならない。

(2) 問題点と現状

・ 対象となる債務名義が限定されていること

・ 強制執行の実施によっても完全な弁済を得られないことが前提条件

となっていること(執行不奏功要件)

・ 財産開示に応じない債務者への制裁が 30 万円以下の過料しかない

こと

⇒ 債権執行事件全体の数が年間 10 万件以上あるのに対し,財産開示

請求事件の件数は年間 1000 件前後と,あまり利用されていない。

3 立法論

日弁連による平成 25 年の提言『財産開示制度の改正及び第三者照会制度

創設に向けた提言』

(1) 財産開示制度の強化

・ 債務名義の限定の廃止

・ 執行不奏功等要件の廃止

・ 開示義務の範囲の拡大

・ 強制手段の強化

⇒ 財産開示制度を強化したとしても,あくまで債務者本人の申告に依

拠する制度である以上,信用性に疑問がある。

(2) 第三者照会制度の創設

・ 債権者の申立てにより執行裁判所は官庁や金融機関等に対し,債務

Page 45: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 45 -

者の財産,収入等に関して必要な照会をすることができる

・ 照会を受けた第三者は速やかに回答する公法上の義務を負う

・ 正当な理由なく回答を拒否した場合又は虚偽の回答をした場合は

30 万円以下の過料

・ 債権者は,照会の結果を受領してから 8 週間後に,債務者に照会結

果等につき通知する

⇒ 公的機関の保有する情報を収集の目的外に利用することはプライバ

シー保護の観点から問題があり,私人に対して回答義務を課すこと

につきその正当化が困難である等の問題がある。

第 3 預金債権とマイナンバー

1 マイナンバーと財産

(1) 法定調書へのマイナンバーの記載

番号法の施行後(平成 28 年 1 月から),従業員に給与を支払う企

業,株式会社,金融機関等は,税務署に提出する法定調書 3にマイナン

バーを記載しなければならない。

⇒ 法定調書の提出義務者は,マイナンバーを通じて特定の個人と財産

とを結びつけて把握することが可能になる。

<国税通則法 124 条 1 項 書類提出者の氏名,住所及び番号の記載等>

提出者 ・税務署長その他の行政機関の長又はその職員に申告書,

申請書,届出書,調書その他の書類を提出する者

提出先 ・税務署長その他の行政機関の長又はその職員

提出物 ・申告書,申請書,届出書,調書その他の書類

記載必須事項 ・氏名(法人については,名称)

・住所又は居所

・番号(番号を有しない者にあっては,その氏名及び住所

又は居所)

※特定口座年間取引報告書,及び国外送金等調書について

の番号記載は制度施行後 3 年の経過措置あり

3 法定調書とは,「所得税法」「相続税法」「租税特別措置法」「内国税の適正な課税の確保

を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署に提出が義

務づけられている書類をいう。

Page 46: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 46 -

(2) 法定調書の種類

・ 利子等の支払調書(※ただし,所得税法施行規則 82 条 2 項 2 号よ

り,普通預金は除外され,租税特別措置法 3 条 3 項より,個人の預

金は除外されている。)

・ 給与所得の源泉徴収票

・ 株式等の譲渡の対価等の支払調書

・ 不動産等の譲受けの対価の支払調書

など

⇒ 普通預金及び個人預金については金融機関は法定調書を提出する義

務がないため,番号法施行後も,金融機関はマイナンバーを通じて

特定の法人と普通預金,又は特定の個人と預金とを結びつけて把握

することはない。

2 財産調査へのマイナンバーの活用

今後,法定調書の拡充により,普通預金及び個人預金についても金融機関

に利子等の支払調書の提出義務があるとされた場合

⇒ Z銀行は,個人預金に関する利子等の支払調書の提出義務者として,Y

のマイナンバーをYの預金に関する利子等の支払調書に記載しなければ

ならない。そのため,Z銀行は,Yの預金につきいずれの支店にあるか

を問わず,Yのマイナンバーと紐付けて一元的に把握することとなる。

⇒ 預金額最大店舗指定方式による申立てがなされた場合においても,Z銀

行はYの預金口座がどの支店に存在するか即座に検索することができ,

どの支店が預金額最大店舗であるか判定することも容易であると思われ

る。したがって,25 年決定が述べる「送達を受けた第三債務者におい

て,差押えの効力が送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならな

い程度に速やかに確実に差し押さえられた債権を識別することができ

る」ということができるのではないか。

3 預金へのマイナンバーの紐付けに関する議論

(1) 議論の経過

ア 「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会中間取りまとめ」

に対する全銀協のパブリックコメント(平成 22 年)

「利子所得等の源泉徴収義務を負う金融機関においては,番号制度

導入に対応するためのシステム構築コスト,受付・登録業務や顧客

周知など,事務・システムに相当の負荷が生じる。仮に,既存預金

口座等と共通番号の紐付けを実施する場合においては,顧客が番号

Page 47: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 47 -

を申告する制度的なインセンティブを付与する等の対応が望まし

い。これらの点に十分配慮した制度設計,導入スケジュールとして

いただきたい。」

イ 内閣府税制調査会「マイナンバー・税務執行ディスカッショング

ループ」の第 1 回議事録(平成 25 年)

「できるだけ早く口座に付番をして,きちんとした管理を積極的に

進めていくべき」

ウ 内閣府官房番号制度担当室「預貯金付番に向けた当面の方針

(案)」(平成 26 年)

【添付資料 4】3 頁

・ 金融機関に対する社会保障の資力調査や税務調査の実効性を高

めること及び預金保険機構等の預貯金口座の名寄せ事務にマイ

ナンバーを利用できるようにすることが預貯金付番の目的

・ 当面,預金者に直接的な義務は課さない

・ 金融機関は預金口座情報をマイナンバー又は法人番号によって

検索できる状態で管理しなければならない旨を規定する

・ 金融機関が預金者に対してマイナンバーの告知を求めることが

できることを明らかにする

・ 預金保険機構等が行う預金口座の名寄せ等にマイナンバーを利

用できるよう規定する

⇒ 現在までの議論では,預金のマイナンバー紐付けの主たる目的

として,民事執行における財産調査への利用が明言されている

わけではない。もっとも,【添付資料 4】6 頁にあるように,

マイナンバーの利用範囲の拡充も今後の検討事項とされている

ため,民事執行における財産調査への利用も検討される可能性

がある。

(2) 預金口座への付番に向けたロードマップ(案)

【添付資料 4】4 頁

⇒当面の実施時期として,平成 30 年を想定

(3) 預金口座へのマイナンバーの紐付けにおける論点

ア 効率的な業務フローの構築

預金者からマイナンバーの提供を受ける場合には本人確認が必要

であるが,そのために金融機関・預金者双方にとって負担の少ない

業務フローを構築する必要がある。

イ 預金者が告知を行わない場合の対応

当面は預金者に告知義務等は課されない予定(上記 3(1)ウよ

Page 48: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 48 -

り)。

新規の口座開設の場合には,マイナンバーの告知を口座開設の条

件とすることで対処可能であるが,既存の口座については,マイナ

ンバーの告知につき何らかのインセンティブ(たとえば,減税等)

を付与する等の対応が必要である。

ウ 預金者の行動に与える影響

マイナンバーの告知に伴う資産・所得情報の捕捉を嫌って,他の

金融資産や海外等へ資金がシフトする可能性も考慮する必要があ

る。

以上

【添付資料 4】

内閣府大臣官房番号制度担当室「次期通常国会で個人情報保護法等と一括改正を

予定しているマイナンバー法改正関係について(案)」

【参考文献】

・ 東京地方裁判所民事執行センター実務研究会『民事執行の実務[第 3 版]債権

執行編(下)』(きんざい,2012)

・ 執行法制研究会『民事執行制度の機能強化に向けた立法提案』(判タ 1384

号 84 頁,2013)

・ 下村眞美『いわゆる預金額最大店舗方式による預金債権の差押命令の申立て

の適否』(金法 1977 号 11 頁,2013)

・ 滝澤孝臣『銀行の複数支店の預金債権に対する差押命令の申立てと差押債権

の特定』(金法 1928 号 65 頁,2011)

・ 水町雅子『番号制度と弁護士業務-民事執行・消費者被害等への活用のため

に-』(自由と正義 65 巻 9 号 53 頁,2014)

・ みずほ総合研究所『個人預金へのマイナンバー付番を巡る論点』(2013)

・ 大野博堂・山田英二『金融機関のためのマイナンバーへの義務的対応&利活

用ガイド』(きんざい,2015)

・ 道垣内弘人・山本和彦他『新しい担保・執行制度[補訂版]』(有斐閣,

2004)

・ 佐藤裕義『裁判上の各種目録記載例集-当事者目録,物件目録,請求債権目

録,差押・仮差押債権目録等-』(新日本法規,2010)

Page 49: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 49 -

Ⅴ マイナンバーの民間利用と問題点

―韓国の事例を参考に―

担当:川中啓由

第1 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法

●1 条(目的)

「この法律は,行政機関,地方公共団体その他の行政事務を処理する者が,

個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する

機能を活用し,並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合して

これらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものと

して整備された情報システムを運用して,効率的な情報の管理及び利用並び

に他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことが

できるようにするとともに,これにより,行政運営の効率化及び行政分野

におけるより公正な給付と負担の確保を図り,かつ,これらの者に対し申

請,届出その他の手続を行い,又はこれらの者から便益の提供を受ける国民

が,手続の簡素化による負担の軽減,本人確認の簡易な手段その他の利便性

の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか,個人番号その

他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう行政機関の保有す

る個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号),独立行政法

人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)

及び個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の特例を定

めることを目的とする。」

第2 韓国事情

1 住民登録法(1962 年)

この法は市,郡または区の住民を登録することによって,住民の居住関係

等,人口の動態を常に明白に把握し,住民生活の便益を増進し,行政事務を

適切に処理する目的定められた(1 条)。

【住民登録番号】

□□ □□ □□ ―□ □□□□ □ □

生年 月 日 性別 出生地 同姓の申告順番 誤謬検証番号

Page 50: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 50 -

2 個人情報流出事例1

●2011 年 7 月 SK コミュニケーションズ

●2011 年 11 月 ネクスン

3 個人情報保護法(2011 年)

●個人情報の定義

「個人情報」とは,「生きている個人に関する情報であり,姓名,住民

登録番号および映像等を通じて,個人を識別できる情報(当該情報だけ

で特定の個人を識別できないとしても,他の情報と容易に結合して識別で

きるものを含む。)をいう」と定義されている(2 条 1 項)。

●個人情報の収集および利用(15 条)

個人情報処理者は,次のいずれかひとつに該当する場合には,個人情報を

収集することができ,当該収集目的の範囲内において当該個人情報を利用

することができる。

・情報主体から収集に対する同意を得た場合

・法律に特別な規定があり,法律上義務を遵守するために不可避な場合

・公共機関による法令等に定められた所管業務の遂行のために不可避な場合

・情報主体との契約の締結と履行のために不可避的に必要な場合

・情報主体またはその法定代理人が意思表示をすることができない状態にあ

り,住所不明等により事前同意を得ることができない場合で,かつ情報主

体または第三者の生命,身体,財産に対する明白に差し迫った危険から保

護するため,必要と認められるとき

・個人情報処理者の正当な利益を達成するために必要な場合で,明白に 情

報主体の権利より優先する場合。この場合,個人情報処理者の正当な利益

と相当の関連があり,合理的な範囲を超過しない場合に限る。

●個人情報の収集制限(16 条)

個人情報処理者は第 15 条第 1 項各号のいずれかひとつに該当する個人情

報を収集する場合には,その目的に必要な最小限の個人情報を収集しな

ければならない。この場合,最小限の個人情報収集であることの立証責任

は個人情報処理者が負担する。

Page 51: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 51 -

●第三者提供/域外移転(17 条)

個人情報処理者は,①情報主体から,収集した個人情報を第三者に提供す

ることにつき同意を得た場合に,または②15 条 2 号,3 号,5 号のいずれ

かの事情により個人情報が収集された場合には,当該収集目的の範囲内で,

当該個人情報を第三者に対して提供(共有する場合を含む)することがで

きる。

また,個人情報処理者が個人情報を国外の第三者に対して提供する場合に,

以下の事項を情報主体に知らせて,同意を得ることを必要とし,また,国

外移転に関し,法に違反する契約の締結を禁止している。

・個人情報の提供を受ける者

・個人情報の提供を受ける者の利用目的

・提供される個人情報の項目

・個人情報の提供を受ける者の個人情報保有/利用期間

・同意を拒否する権利があることおよび同意を拒否することによる不利益が

ある場合にはその不利益の内容

●目的外利用(18 条)

個人情報処理者は,目的を超えて個人情報を利用/提供する場合,情報主

体または第三者の利益を不当に侵害するおそれがない場合で,かつ次のい

ずれかひとつに該当する必要がある。

・情報主体から別途同意を得た場合

・他の法律に特別な規定がある場合

・情報主体またはその法定代理人が意思表示をできない状態にあるか,住所

不明等により事前の同意が得られない場合において,明白に情報主体また

は第三者の急迫の生命・身体・財産の利益の為に必要であると認定される

場合

・統計作成または学術研究等の目的の為に必要な場合で,特定の個人を識別

することのできない形態で個人情報を提供する場合

・個人情報の目的外利用または第三者提供を行わないと他の法律で定めた所

管業務を遂行することができない場合において,保護委員会の審議議決を

経た場合

・条約その他の国際協定の履行のため外国政府または国際機構に提供するた

めに必要な場合

・犯罪の捜査または公訴の提起もしくは公訴維持のために必要がある場合

・法院(裁判所)の裁判業務遂行のために必要な場合

・刑の執行,監護,保護処分の執行に必要な場合

Page 52: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 52 -

●情報主体以外から収集した個人情報の収集元情報等の告知

個人情報処理者は,情報主体以外から収集した個人情報を処理する場合に

おいて,情報主体の要求があった場合には,直ちに,個人情報の収集元情

報,個人情報の処理目的および個人情報処理の停止(法 37 条)を要求す

る権利がある旨を情報主体に知らせなければならないとされている(法

20 条 1 項)。

●個人情報処理者は個人情報が流出したことを知ったときは,遅滞なく情報

主体に対し,流出した個人情報の項目や時点,経緯等を通知しなければな

らないこととされている(法 34 条)。

●紛争解決

個人情報紛争解決制度として,個人情報紛争調停委員会が設置され(法

40 条),集団紛争調停制度が定められている(法 49 条)。また,一定の

要件を充たす団体 には,集団紛争調停を拒否したり,集団紛争調停の結

果を受諾しない個人情報処理者に対する個人情報団体訴訟の提起が認めら

れている(法 51 条)。

4 個人情報流出事例 2

●2012 年 7 月 KT

●2014 年 1 月 KB 国民カード

NH(農協)カード

ロッテカード

●2014 年 3 月 KT

5 数次にわたる個人情報保護法の改正

●住民登録番号の処理の制限(24 条の 2)

(1)個人情報処理者は次の各号のいずれかに該当する場合を除き,住民登録

番号を処理してはならない。

・法令で具体的に住民登録番号の処理を要求し許容している場合.

・情報主体または第三者の急迫な生命,身体,財産上の利益のために明白に

Page 53: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 53 -

必要と認定される場合

・第 1 号と第 2 号に準じて住民登録番号処理が不可避の場合で安全行政部令

で定められた場合

(2)個人情報処理者は住民登録番号が紛失,盗難,流出,偽造,変造または

毀損しないように暗号化措置をもって安全に保管しなければならない。こ

の場合,暗号化の適用対象及び対象別の適用時期等に関して必要な事項は

個人情報処理の規模と流出時の影響等を考慮して大統領令で定める。

(3)個人情報処理者は第 1 項各号により住民登録番号を処理する場合にも情

報主体がインターネットホームページを通して会員として加入する段階で

は住民登録番号を使用せずとも会員として加入できる方法を提供しなけれ

ばならない。

(4)安全行政部(行政自治部)長官は個人情報処理者が第 3 項による方法を

提供することができるように関係法令の整備,計画の樹立,必要な事項と

システムの構築等諸般の措置を執ったり支援をすることができる。

第 3 若干の考察

以上

Page 54: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 54 -

Ⅵ 個人番号の管理について

担当:伊庭裕太

第 1 序論

個人番号をその内容に含む個人情報,すなわち特定個人情報(番号法第

2条8項)を管理するには,①安全管理措置を果たした上で(「安全管理

措置」),②特定個人情報を保管することができる場合でなければ保管で

きず(「保管の制限」),また,③特定個人情報の正確性を確保するよう

努めなければならない(「正確性確保」)。さらに,④特定個人情報を取

り扱う従業者を監督するとともに(「従業者の監督」),⑤特定個人情報

を取り扱う委託先を監督し,許諾がなければ再委託しないようにしなけれ

ばならない(「委託」)。 以下では,上記①から⑤のそれぞれの場面につき,詳述する。 第 2 安全管理措置

1 個人番号の安全管理措置について (1) 安全管理措置とは何か 安全管理措置とは,個人番号の漏えい,滅失又は毀損の防止その他の

適切な管理のための必要な措置をいう(番号法 12 条)。 ⇒安全管理措置で求められるのは,個人番号の漏えい防止だけではないの

で,企業は,その適切な管理のために必要な措置を全般的に講じること

が必要である。 (2) 安全管理措置義務を負う場合 民間企業は,個人番号について上記安全管理措置を講じる義務を負う

(番号法 12 条)。 ⇒健康保険組合で保険給付の支給や保険料等の徴収に関する事務を行う場

合や,行政機関等の受託者として社会保障・税の行政事務に関する委託

業務を行う場合といった,個人番号利用事務(番号法 2 条 10 項)を実

施する場合だけではなく,従業員に対する社会保障手続・税務手続と

いった個人番号関係事務を実施する場合についても課される。 (3) 死者の個人番号 安全管理措置は,番号法上,特定個人情報に対する規律ではなく個人

番号に対する規律なので(番号法 12 条),生存者の個人番号のみなら

ず,死者の個人番号についても安全管理措置義務が及ぶ。なお,個人情

報保護法上の安全管理措置は従来通り,生存者の個人データ対してのみ

Page 55: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 55 -

及ぶものであるため,死者の情報については,番号法上の個人番号に該

当するもののみ安全管理措置が課される。 ⇒しかし,通常,個人番号のみを切り分けて管理するものではないため,

実務上は,個人番号を含む情報全体について,死者の情報,生存者の

もともに,安全に管理することを意識すべきである。 (4) 中小規模事業者 ア 中小規模事業者とは 中小規模事業者とは,事業者のうち従業員(※中小企業基本法におけ

る従業員)の数が 100 人以下の事業者であって,次に掲げる事業者を

除く事業者をいう。 ・個人番号利用事務実施者(健康保険組合等) ・委託に基づいて個人番号関係事務又は個人番号利用事務を業務として

行う事業者 ・金融分野(金融庁作成の「金融分野における個人情報保護に関するガ

イドライン」1 条 1 項に定義される金融分野)の事業者 ・個人情報取扱事業者(個人情報データベース等を事業の用に供してい

る者) イ 中小規模事業者が登場する場面 大企業も上記中小規模事業者も,安全管理措置を講じなければならな

いのは同じであるが,中小規模事業者については,事務で取り扱う個人

番号の数量が少なく,また,特定個人情報を取り扱う従業者が限定的で

あるため,全ての観点において大企業と同じ手法が求められるわけでは

ない。 ⇒ただし,中小規模事業者に該当する場合でも,必ずしも以下の軽減され

た手法を実施する必要はなく,中小規模事業者以外の事業者における手

法を採用することもでき,むしろ,その方がより望ましい。 (5) 個人情報保護法上の安全管理措置との相違点 個人番号を扱うに際して求められる安全管理措置は,個人情報保護法

上の安全管理措置とは異なり,個人番号を取り扱うことのできる範囲が

限定されている。 ⇒個人番号は利用できる範囲のみならず,ファイルを作成できる範囲,収

集・保管・提供できる範囲等が制限されているので,個人番号を適切に

管理するためには,まず「いつ何の情報を誰が取り扱うか」を明確にし

なければならない。 ①「いつ」とは 個人番号を利用できる事務は限定されているため,この事務に焦点を

Page 56: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 56 -

当てて「いつ」を明確化する必要がある。 ⇒まず事務を明確化し,その事務の中で特定個人情報を取り扱う場合をさ

らに詳細化して,「いつ」特定個人情報にアクセスするのかを明確にす

る。 ②「何の情報」かとは 特定個人情報は必要な範囲で利用しなければならないため,その事務

そしてその者にとって必要な情報が何かを明確にしなければならない。 ③「誰が」とは 事業者は,明確化した事務に従事する事務取扱担当者を明確にしてお

かなければならない。 ※上記事務,担当者等の明確化は,企業としていつ誰が何の情報を取り

扱っていて,それが適法であることを確認できる程度に,具体的に明

確化しなければならない。 2 基本方針の策定 特定個人情報等の適正な取り扱いの確保について取り組むために,基本方

針を策定する必要がある。 基本方針に定める項目としては,次に掲げるものが挙げられる。

・事業者の名称 ・関係法令・ガイド等の遵守 ・安全管理措置に関する事項 ・質問及び苦情処理の窓口等

※基本方針は,具体的に企業がどのような特定個人情報を取り扱うのか,ど

のように取り扱っていくのかを明らかにすることに意味がある。したがっ

て,その利用・提供・管理の際のポイント等を記載することが望ましい。 3 組織的安全管理措置 (1) 概要 組織的安全管理措置では,体制や点検等,組織に対する対策を行う。 具体的に組織的管理措置として求められるのは,①組織体制の整備,

②情報漏えい等事案に対応する体制の整備,③取り扱う特定個人情報の

明確化,④記録の整備,⑤点検の5点である。 (2) 組織体制の整備 特定個人情報を取り扱うからには,組織としてどのような体制をとる

Page 57: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 57 -

かを決定しなければならず,特定個人情報を適切に取り扱うための組織

体制を整備しなければならない。 組織体制として整備する項目は,次に掲げるものが挙げられる。

・事務における責任者の設置及び責任の明確化 ・事務取扱担当者の明確化及びその役割の明確化 ・事務取扱担当者が取り扱う特定個人情報等の範囲の明確化 ・事務取扱担当者が取扱規定等に違反している事実又は兆候を把握した場合

の責任者への報告連絡体制 ・情報漏えい等事案の発生又は兆候を把握した場合の従業者から責任者等へ

の報告連絡体制 ・特定個人情報等を複数の部署で取り扱う場合の各部署の任務分担及び責任

の明確化

【中小規模事務者の特例】 中小規模事業者の場合は,特定個人情報を取り扱う担当者(事務取扱担

当者)が限られているかと思われるが,事務取扱担当者が複数いる場合は,

役割分担,責任明確化の観点から,責任者と事務取扱担当者を区分するこ

とが望ましい。 (3) 情報漏えい等事案に対応する体制の整備 情報漏えい等の事案の発生又は兆候を把握した場合に,適切かつ迅速

に対応するための体制を整備する必要がある。 情報漏えい等の事案が発生した場合,二次被害の防止,類似事案の発

生防止等の観点から,事案に応じて,事実関係及び再発防止策等を早急

に公表することが重要である。 情報漏えい等の事案の発生時に,次のような対応を行うことを念頭に,

体制を整備することが考えられる。 ・事実関係の調査及び原因の究明 ・影響を受ける可能性のある本人への

連絡 ・委員会及び主務大臣等への報告 ・再発防止策の検討及び決定 ・事実関係及び再発防止策等の公表

【中小規模事業者の特例】 中小規模事業者の場合は,上記を参考にしつつ,より簡潔な体制の検討

Page 58: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 58 -

を行う。 情報漏えい,滅失,毀損が発生した場合又はその兆しを見つけた場合

に,誰が誰に対しどのようなルートで報告し,誰が責任者となって動く

のかを予め確認しておくべきである。 (4) 取り扱う特定個人情報の明確化(取扱状況を確認する手段の整備) 特定個人情報ファイルの取扱状況を確認するための手段を整備する。 なお,取扱状況を確認するための記録等には,特定個人情報等は記載

しない。 取扱状況を確認するための記録等としては,次に掲げるものが挙げら

れる。 ・特定個人情報ファイルの種類,名称 ・責任者,取扱部署 ・利用目的 ・削除・廃棄状況 ・アクセス権を有する者

【中小規模事業者の特例】 中小規模事業者の場合は,上記を参考にしつつ,より簡潔な明確化を行

うことが考えられる。ただし,少なくとも特定個人情報等の取扱状況の分

かる記録を保存する必要がある。 (5) 記録(取扱規定に基づく運用) 特定個人情報を取り扱うからには,後述するように,組織としてどの

ように特定個人情報を取り扱っていくかを,取扱規程としてまとめる必

要がある。 この取扱規程に基づく運用状況を確認するため,システムログ又は利

用実績を記録する。 記録する項目としては,次に掲げるものが挙げられる。

・特定個人情報ファイルの利用・出力状況の記録 ・書類・媒体等の持出しの記録 ・特定個人情報ファイルの削除・廃棄記録 ・削除・廃棄を委託した場合,これを証明する記録等 ・特定個人情報ファイルを情報システムで取り扱う場合,事務取扱担当者の

情報システムの利用状況(ログイン実績,アクセスログ等)の記録 ※特定個人情報の取扱記録はどのレベルで必要か

⇒点検・監査の際や,問題発生時の調査の際に,「いつ」「誰が」「何

Page 59: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 59 -

を」したのかがわかるように,特定個人情報の取扱記録を作成する必要

がある。 【中小規模事業者の特例】

中小規模事業者における記録としては,業務日誌等において,特定個人

情報の入手・破棄,源泉徴収票の作成日,本人への交付日,税務署への提

出日等を記録することが考えられる。 (6) 点検(取扱状況の把握及び安全管理措置の見直し) 特定個人情報等の取扱状況を把握し,安全管理措置の評価,見直し及

び改善に取り組む必要がある。 具体的には,特定個人情報の取扱状況について,定期的に自己点検す

るか,他部署等による監査を実施することが考えられる。さらには自社

内での点検,監査ではなく,外部の主体による監査を実施することも考

えられる。 【中小規模事業者の特例】 責任ある立場の者が,特定個人情報の取扱状況について,定期的に点検

を行うことが考えられる。 4 人的安全管理措置 (1) 概要 人的安全管理措置では,人に対する対策を行う。 人的安全管理措置として求められるのは,①監督,②教育の2点であ

る。 (2) 監督 事業者は,特定個人情報等が取扱規程等に基づき適正に取り扱われる

よう,事務取扱担当者に対して必要かつ適切な監督を行う。 (3) 教育 事業者は,事務取扱担当者に,特定個人情報等の適正な取扱いを周知

徹底するとともに,適切な教育を行う必要がある。 具体的には,従業者に定期的な研修を行ったり,特定個人情報につい

ての秘密保持に関する事項を就業規則等に盛り込むことが考えられる。 5 物理的安全管理措置 (1) 概要 物理的安全管理措置では,場所・物等に対する物理的対策を行う。 物理的安全管理措置として求められるのは,①取扱場所の制限,②盗

難等の防止,③持出し時の措置,④廃棄の4点である。

Page 60: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 60 -

(2) 取扱場所の制限(特定個人情報等を取り扱う区域の管理) 特定個人情報等の情報漏えいを防止するために,特定個人情報ファイ

ルを取り扱う情報を管理する区域と,特定個人情報等を取り扱う事務を

実施する区域をそれぞれ明確にする必要がある。 具体的には,入退室管理及びサーバー等が設置された場所への持ち込

み機器等の制限が考えられる。 入退室管理方法としては,ICカード,ナンバーキー等による入退室

管理システムの設置等が考えられる。 特定個人情報を書面で取り扱う場合には,壁又は間仕切り等の設置及

び座席配置の工夫等が考えられる。 ※特定個人情報の専用部屋や専用パソコンが必要なわけではない。 (3) 盗難等の防止(電子媒体等を持ち出す場合の漏えい等の防止) 特定個人情報を持ち出す際には,安全な移送方法を検討したり,万一

紛失しても,容易に個人番号が判明しない措置を講じる必要がある。 なお,ここでいう「持出し」とは,特定個人情報等を,上記(2)に

て特定した場所以外に移動させることをいうので,事業所内での移動で

あっても,紛失・盗難等に留意する必要がある。 特定個人情報が記録された電子媒体(USBメモリ等)を持ち出す際

には,データを暗号化した上で電子媒体に記録したり,パスワードによ

る保護をかけたり,施錠できる搬送容器をしようしたりすることが考え

られる。ただし,税務署に法定調書等をデータで提出するに当たっては,

税務署等が指定する提出方法に従う必要があるので留意が必要である。 特定個人情報が記録された書類等を持ち出す際は,封緘したり,目隠

しシールを貼付することが考えられる。 (4) 廃棄(個人番号の削除,機器及び電子媒体等の廃棄) 個人番号関係事務又は個人番号利用事務を行う必要がなくなった場合

で, 所管法令等において定められている保存期間等を経過した場合に

は,個人番号をできるだけ速やかに,復元できない手段で削除又は廃棄

する必要がある。 個人番号あるいは特定個人情報ファイルを削除した場合,又は電子媒

体等を廃棄した場合には,削除又は廃棄した記録を保存する。また,こ

れらの作業を委託する場合には,委託先が確実に削除又は廃棄したこと

について,証明書等によって確認する。 ※実運用ではどのように対応するのがよいか ⇒個人番号を廃棄すべきタイミングを予め明確化した上で管理し,個人番

号が確実に安全かつ確実に廃棄される方法を検討する必要がある。

Page 61: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 61 -

【中小規模事業者の特例】 特定個人情報等を確実に削除・廃棄できるよう,担当者や委託先に委ね

るのではなく,削除・廃棄したことを責任ある立場の者が確認すること等

が考えられる。 6 技術的安全管理措置 (1) 概要 技術的安全管理措置では,不正アクセス等の技術的な対策を行う。 技術的安全管理措置として求められるのは,①アクセス制御,②不正アク

セスの防止,③情報漏えい等の防止の 3 点である。特定個人情報をITシ

ステムを用いて取り扱う際に問題となる。 (2) アクセス制御(アクセス制御,アクセス者の識別と認証) 情報システムを使用して個人番号関係事務又は個人番号利用事務を行う場

合,事務取扱担当者及び当該事務で取り扱う特定個人情報ファイルの範囲を

限定するために,適切なアクセス制御を行う必要がある。 アクセス制御を行う方法としては,以下に掲げるものが挙げられる。

・個人番号と紐付けてアクセスできる情報の範囲をアクセス制御により限定

する。 ・特定個人情報ファイルを取り扱う情報システムを,アクセス制御により限

定する。 ・ユーザーIDに付与するアクセス権により,特定個人情報ファイルを取り

扱う情報システムを使用できる者を事務取扱者に限定する。 また,特定個人情報等を取り扱う情報システムは,事務取扱担当者が正当

なアクセス権を有する者であることを,識別した結果に基づき認証する。 事務取扱担当者の識別方法としては,ユーザーID,パスワード,磁気・

ICカード等が考えられる。 【中小規模事業者の特例】 特定個人情報をどのパソコン等からも利用できるとすると,誰でも自由

に特定個人情報にアクセスできてしまうので,特定個人情報を取り扱うパ

ソコン等を限定する。そして,そのパソコン等を取り扱う担当者を限定す

ることが望ましい。 具体的には,パソコン等にログインしたり,特定個人情報を取り扱う際

にパスワード等を入力しなければならない形にすることが考えられる。 (3) 外部からの不正アクセス等の防止 特定個人情報が不正に外部に漏えいしたり,改ざんされたり,削除され

Page 62: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 62 -

ないよう,適切な対策を講じる必要がある。 具体的には,以下の方法が考えられる。

・ITシステムと外部ネットワークとの接続箇所にファイアーウォール等

を設置し不正アクセスを遮断する。 ・ITシステム及び機器にセキュリティ対策ソフトウェア等を導入する ・導入したセキュリティ対策ソフトウェア等により不正ソフトウェアの有

無を確認する。 ・ログ等の分析を定期的に行い不正アクセス等を検知する。 ・ソフトウェア等を最新状態とする。 等

(4) 情報漏えい等の防止 特定個人情報をインターネット等により外部に移動する場合,通信途中

に情報が漏えいしたり,改ざんされたりするおそれがある。 そこで,暗号化を行ったり,パスワードによる保護等を行うことが考え

られる。 7 取扱規程の策定 事業者は,前記第 2 の1(5)で明確化した「いつ何の情報を誰が取り扱

うか」のフェーズごとに適法な取扱いとなるよう,前記3から6で決定した

安全管理措置を踏まえて,組織としてどのように特定個人情報を取り扱って

いくのかをまとめた取扱規程を策定する必要がある。 取扱規程は,特定個人情報を,①取得する段階,②利用する段階,③管

理・保存する段階,④提供する段階,⑤削除・廃棄する段階ごとに,どのよ

うに特定個人情報を取扱い,どう安全に守っていくか,責任者・事務取扱担

当者は誰か,責任者・事務取扱担当者はどのようなことを行い,どのような

役割を担うかについて定めることが考えられる。 【中小規模事業者の特例】 中小規模事業者においては,特定個人情報をどのように取り扱うかを明

確化することが考えられる。また,担当者が変更になっても特定個人情報

の引継ぎが混乱しないように,担当者変更の際は,確実な引継ぎを行った

上で,責任ある立場の者が確認することが考えられる。 第 3 保管の制限

番号情報が不正に利用されることがないよう,番号法では,特定個人情

報を保管できる場合が限定されている(番号法 20 条)。特定個人情報は

収集できる場合が限定されているので,これにあわせて保管できる場合も

Page 63: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 63 -

同じく限定したものである。 ⇒実務上は,収集の際に十分留意しておけば,保管してはいけないものを

保管することはほぼないと考えられる。 第4 正確性確保

特定個人情報に誤りがあると,それに基づいて誤った税額や保険料額が

決定されたりするなどのリスクがある。そこで,特定個人情報が正確であ

り,最新の情報であるように努力する必要がある(個人情報保護法 19条)。

第5 従業者の監督

特定個人情報を実際に取り扱うのは従業者だが,その取扱いを従業者

個々人のモラルに委ねてはいけない。企業として,安全管理が図れるよう,

従業者に対して必要かつ適切な監督をしなければならない(個人情報保護

法 21 条,番号法 34 条)。 なお,従業者を監督する際には,安全管理措置のみに関して監督をする

のではなく,番号法及び個人情報保護法の規律に従って,個人のプライバ

シーを配慮した取扱いがなされているかを監督することが重要である。 第6 委託

特定個人情報が委託先で取り扱われる場合でも,自社内で取り扱われる

場合と同様に,適切な管理が必要である。 そこで,委託を行う場合は,委託先に対して必要かつ適切な監督をしな

ければならない(番号法 11 条,個人情報保護法 22 条)。また,委託先

も,個人情報取扱業者に該当するか否かにかかわらず,番号法上,自ら安

全管理措置等の義務を負う(番号法 2 条 12 項・13 項,12 条)。 また,番号法では,再委託以降の委託について,最初の委託元の許諾が

なければ再委託以降の委託を行えないこととされている(番号法 10 条 1項)点に留意が必要である。

以上 【参考文献】 ・宇賀克也,水町雅子,磯村健『論点解説 マイナンバー法と企業実務』 (日本法令,2015) ・水町雅子『番号法』(有斐閣,2014) ・特定個人情報保護委員会『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライ

ン(事業者編)(別添)特定個人情報に関する安全管理措置』(2014)

Page 64: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 64 -

参照条文・添付資料

Page 65: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 65 -

参照条文

■行政手続における特定の個人を識別す

るための番号の利用等に関する法律

(平成二十五年五月三十一日法律第二十

七号)

最終改正:平成二七年九月九日法律第六

五号

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、行政機関、地方公

共団体その他の行政事務を処理する者

が、個人番号及び法人番号の有する特定

の個人及び法人その他の団体を識別する

機能を活用し、並びに当該機能によって

異なる分野に属する情報を照合してこれ

らが同一の者に係るものであるかどうか

を確認することができるものとして整備

された情報システムを運用して、効率的

な情報の管理及び利用並びに他の行政事

務を処理する者との間における迅速な情

報の授受を行うことができるようにする

とともに、これにより、行政運営の効率

化及び行政分野におけるより公正な給付

と負担の確保を図り、かつ、これらの者

に対し申請、届出その他の手続を行い、

又はこれらの者から便益の提供を受ける

国民が、手続の簡素化による負担の軽

減、本人確認の簡易な手段その他の利便

性の向上を得られるようにするために必

要な事項を定めるほか、個人番号その他

の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正

に行われるよう行政機関の保有する個人

情報の保護に関する法律(平成十五年法

律第五十八号)、独立行政法人等の保有

する個人情報の保護に関する法律(平成

十五年法律第五十九号)及び個人情報の

保護に関する法律(平成十五年法律第五

十七号)の特例を定めることを目的とす

る。

(定義)

第二条 この法律において「行政機関」

とは、行政機関の保有する個人情報の保

護に関する法律(以下「行政機関個人情

報保護法」という。)第二条第一項に規

定する行政機関をいう。

2 この法律において「独立行政法人

等」とは、独立行政法人等の保有する個

人情報の保護に関する法律(以下「独立

行政法人等個人情報保護法」という。)

第二条第一項に規定する独立行政法人等

をいう。

3 この法律において「個人情報」と

は、行政機関個人情報保護法第二条第二

項に規定する個人情報であって行政機関

が保有するもの、独立行政法人等個人情

報保護法第二条第二項に規定する個人情

報であって独立行政法人等が保有するも

の又は個人情報の保護に関する法律(以

下「個人情報保護法」という。)第二条

第一項に規定する個人情報であって行政

機関及び独立行政法人等以外の者が保有

するものをいう。

4 この法律において「個人情報ファイ

ル」とは、行政機関個人情報保護法第二

条第四項に規定する個人情報ファイルで

あって行政機関が保有するもの、独立行

Page 66: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 66 -

政法人等個人情報保護法第二条第四項に

規定する個人情報ファイルであって独立

行政法人等が保有するもの又は個人情報

保護法第二条第二項に規定する個人情報

データベース等であって行政機関及び独

立行政法人等以外の者が保有するものを

いう。

5 この法律において「個人番号」と

は、第七条第一項又は第二項の規定によ

り、住民票コード(住民基本台帳法(昭

和四十二年法律第八十一号)第七条第十

三号に規定する住民票コードをいう。以

下同じ。)を変換して得られる番号で

あって、当該住民票コードが記載された

住民票に係る者を識別するために指定さ

れるものをいう。

6 この法律(第四十五条第四項を除

く。)において「本人」とは、個人番号

によって識別される特定の個人をいう。

7 この法律において「個人番号カー

ド」とは、氏名、住所、生年月日、性

別、個人番号その他政令で定める事項が

記載され、本人の写真が表示され、か

つ、これらの事項その他総務省令で定め

る事項(以下「カード記録事項」とい

う。)が電磁的方法(電子的方法、磁気

的方法その他の人の知覚によって認識す

ることができない方法をいう。第十八条

において同じ。)により記録されたカー

ドであって、この法律又はこの法律に基

づく命令で定めるところによりカード記

録事項を閲覧し、又は改変する権限を有

する者以外の者による閲覧又は改変を防

止するために必要なものとして総務省令

で定める措置が講じられたものをいう。

8 この法律において「特定個人情報」

とは、個人番号(個人番号に対応し、当

該個人番号に代わって用いられる番号、

記号その他の符号であって、住民票コー

ド以外のものを含む。第七条第一項及び

第二項、第八条並びに第六十七条並びに

附則第三条第一項から第三項まで及び第

五項を除き、以下同じ。)をその内容に

含む個人情報をいう。

9 この法律において「特定個人情報

ファイル」とは、個人番号をその内容に

含む個人情報ファイルをいう。

10 この法律において「個人番号利用

事務」とは、行政機関、地方公共団体、

独立行政法人等その他の行政事務を処理

する者が第九条第一項又は第二項の規定

によりその保有する特定個人情報ファイ

ルにおいて個人情報を効率的に検索し、

及び管理するために必要な限度で個人番

号を利用して処理する事務をいう。

11 この法律において「個人番号関係

事務」とは、第九条第三項の規定により

個人番号利用事務に関して行われる他人

の個人番号を必要な限度で利用して行う

事務をいう。

12 この法律において「個人番号利用

事務実施者」とは、個人番号利用事務を

処理する者及び個人番号利用事務の全部

又は一部の委託を受けた者をいう。

13 この法律において「個人番号関係

事務実施者」とは、個人番号関係事務を

処理する者及び個人番号関係事務の全部

又は一部の委託を受けた者をいう。

14 この法律において「情報提供ネッ

トワークシステム」とは、行政機関の長

等(行政機関の長、地方公共団体の機

関、独立行政法人等、地方独立行政法人

Page 67: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 67 -

(地方独立行政法人法(平成十五年法律

第百十八号)第二条第一項に規定する地

方独立行政法人をいう。以下同じ。)及

び地方公共団体情報システム機構(以下

「機構」という。)並びに第十九条第七

号に規定する情報照会者及び情報提供者

をいう。第二十七条及び附則第二条にお

いて同じ。)の使用に係る電子計算機を

相互に電気通信回線で接続した電子情報

処理組織であって、暗号その他その内容

を容易に復元することができない通信の

方法を用いて行われる第十九条第七号の

規定による特定個人情報の提供を管理す

るために、第二十一条第一項の規定に基

づき総務大臣が設置し、及び管理するも

のをいう。

15 この法律において「法人番号」と

は、第五十八条第一項又は第二項の規定

により、特定の法人その他の団体を識別

するための番号として指定されるものを

いう。

(基本理念)

第三条 個人番号及び法人番号の利用

は、この法律の定めるところにより、次

に掲げる事項を旨として、行われなけれ

ばならない。

一 行政事務の処理において、個人又は

法人その他の団体に関する情報の管理を

一層効率化するとともに、当該事務の対

象となる者を特定する簡易な手続を設け

ることによって、国民の利便性の向上及

び行政運営の効率化に資すること。

二 情報提供ネットワークシステムその

他これに準ずる情報システムを利用して

迅速かつ安全に情報の授受を行い、情報

を共有することによって、社会保障制

度、税制その他の行政分野における給付

と負担の適切な関係の維持に資するこ

と。

三 個人又は法人その他の団体から提出

された情報については、これと同一の内

容の情報の提出を求めることを避け、国

民の負担の軽減を図ること。

四 個人番号を用いて収集され、又は整

理された個人情報が法令に定められた範

囲を超えて利用され、又は漏えいするこ

とがないよう、その管理の適正を確保す

ること。

2 個人番号及び法人番号の利用に関す

る施策の推進は、個人情報の保護に十分

配慮しつつ、行政運営の効率化を通じた

国民の利便性の向上に資することを旨と

して、社会保障制度、税制及び災害対策

に関する分野における利用の促進を図る

とともに、他の行政分野及び行政分野以

外の国民の利便性の向上に資する分野に

おける利用の可能性を考慮して行われな

ければならない。

3 個人番号の利用に関する施策の推進

は、個人番号カードが第一項第一号に掲

げる事項を実現するために必要であるこ

とに鑑み、行政事務の処理における本人

確認の簡易な手段としての個人番号カー

ドの利用の促進を図るとともに、カード

記録事項が不正な手段により収集される

ことがないよう配慮しつつ、行政事務以

外の事務の処理において個人番号カード

の活用が図られるように行われなければ

ならない。

4 個人番号の利用に関する施策の推進

は、情報提供ネットワークシステムが第

Page 68: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 68 -

一項第二号及び第三号に掲げる事項を実

現するために必要であることに鑑み、個

人情報の保護に十分配慮しつつ、社会保

障制度、税制、災害対策その他の行政分

野において、行政機関、地方公共団体そ

の他の行政事務を処理する者が迅速に特

定個人情報の授受を行うための手段とし

ての情報提供ネットワークシステムの利

用の促進を図るとともに、これらの者が

行う特定個人情報以外の情報の授受に情

報提供ネットワークシステムの用途を拡

大する可能性を考慮して行われなければ

ならない。

(国の責務)

第四条 国は、前条に定める基本理念

(以下「基本理念」という。)にのっと

り、個人番号その他の特定個人情報の取

扱いの適正を確保するために必要な措置

を講ずるとともに、個人番号及び法人番

号の利用を促進するための施策を実施す

るものとする。

2 国は、教育活動、広報活動その他の

活動を通じて、個人番号及び法人番号の

利用に関する国民の理解を深めるよう努

めるものとする。

(地方公共団体の責務)

第五条 地方公共団体は、基本理念に

のっとり、個人番号その他の特定個人情

報の取扱いの適正を確保するために必要

な措置を講ずるとともに、個人番号及び

法人番号の利用に関し、国との連携を図

りながら、自主的かつ主体的に、その地

域の特性に応じた施策を実施するものと

する。

(事業者の努力)

第六条 個人番号及び法人番号を利用す

る事業者は、基本理念にのっとり、国及

び地方公共団体が個人番号及び法人番号

の利用に関し実施する施策に協力するよ

う努めるものとする。

第二章 個人番号

(指定及び通知)

第七条 市町村長(特別区の区長を含

む。以下同じ。)は、住民基本台帳法第

三十条の三第二項の規定により住民票に

住民票コードを記載したときは、政令で

定めるところにより、速やかに、次条第

二項の規定により機構から通知された個

人番号とすべき番号をその者の個人番号

として指定し、その者に対し、当該個人

番号を通知カード(氏名、住所、生年月

日、性別、個人番号その他総務省令で定

める事項が記載されたカードをいう。以

下同じ。)により通知しなければならな

い。

2 市町村長は、当該市町村(特別区を

含む。以下同じ。)が備える住民基本台

帳に記録されている者の個人番号が漏え

いして不正に用いられるおそれがあると

認められるときは、政令で定めるところ

により、その者の請求又は職権により、

その者の従前の個人番号に代えて、次条

第二項の規定により機構から通知された

個人番号とすべき番号をその者の個人番

号として指定し、速やかに、その者に対

し、当該個人番号を通知カードにより通

知しなければならない。

Page 69: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 69 -

3 市町村長は、前二項の規定による通

知をするときは、当該通知を受ける者が

個人番号カードの交付を円滑に受けるこ

とができるよう、当該交付の手続に関す

る情報の提供その他の必要な措置を講ず

るものとする。

4 通知カードの交付を受けている者

は、住民基本台帳法第二十二条第一項の

規定による届出をする場合には、当該届

出と同時に、当該通知カードを市町村長

に提出しなければならない。この場合に

おいて、市町村長は、総務省令で定める

ところにより、当該通知カードに係る記

載事項の変更その他の総務省令で定める

措置を講じなければならない。

5 前項の場合を除くほか、通知カード

の交付を受けている者は、当該通知カー

ドに係る記載事項に変更があったとき

は、その変更があった日から十四日以内

に、その旨をその者が記録されている住

民基本台帳を備える市町村の長(以下

「住所地市町村長」という。)に届け出

るとともに、当該通知カードを提出しな

ければならない。この場合においては、

同項後段の規定を準用する。

6 通知カードの交付を受けている者

は、当該通知カードを紛失したときは、

直ちに、その旨を住所地市町村長に届け

出なければならない。

7 通知カードの交付を受けている者

は、第十七条第一項の規定による個人番

号カードの交付を受けようとする場合そ

の他政令で定める場合には、政令で定め

るところにより、当該通知カードを住所

地市町村長に返納しなければならない。

8 前各項に定めるもののほか、通知

カードの様式その他通知カードに関し必

要な事項は、総務省令で定める。

(個人番号とすべき番号の生成)

第八条 市町村長は、前条第一項又は第

二項の規定により個人番号を指定すると

きは、あらかじめ機構に対し、当該指定

しようとする者に係る住民票に記載され

た住民票コードを通知するとともに、個

人番号とすべき番号の生成を求めるもの

とする。

2 機構は、前項の規定により市町村長

から個人番号とすべき番号の生成を求め

られたときは、政令で定めるところによ

り、次項の規定により設置される電子情

報処理組織を使用して、次に掲げる要件

に該当する番号を生成し、速やかに、当

該市町村長に対し、通知するものとす

る。

一 他のいずれの個人番号(前条第二項

の従前の個人番号を含む。)とも異なる

こと。

二 前項の住民票コードを変換して得ら

れるものであること。

三 前号の住民票コードを復元すること

のできる規則性を備えるものでないこ

と。

3 機構は、前項の規定により個人番号

とすべき番号を生成し、並びに当該番号

の生成及び市町村長に対する通知につい

て管理するための電子情報処理組織を設

置するものとする。

(利用範囲)

第九条 別表第一の上欄に掲げる行政機

関、地方公共団体、独立行政法人等その

Page 70: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 70 -

他の行政事務を処理する者(法令の規定

により同表の下欄に掲げる事務の全部又

は一部を行うこととされている者がある

場合にあっては、その者を含む。第三項

において同じ。)は、同表の下欄に掲げ

る事務の処理に関して保有する特定個人

情報ファイルにおいて個人情報を効率的

に検索し、及び管理するために必要な限

度で個人番号を利用することができる。

当該事務の全部又は一部の委託を受けた

者も、同様とする。

2 地方公共団体の長その他の執行機関

は、福祉、保健若しくは医療その他の社

会保障、地方税(地方税法(昭和二十五

年法律第二百二十六号)第一条第一項第

四号に規定する地方税をいう。以下同

じ。)又は防災に関する事務その他これ

らに類する事務であって条例で定めるも

のの処理に関して保有する特定個人情報

ファイルにおいて個人情報を効率的に検

索し、及び管理するために必要な限度で

個人番号を利用することができる。当該

事務の全部又は一部の委託を受けた者

も、同様とする。

3 健康保険法(大正十一年法律第七十

号)第四十八条若しくは第百九十七条第

一項、相続税法(昭和二十五年法律第七

十三号)第五十九条第一項、第三項若し

くは第四項、厚生年金保険法(昭和二十

九年法律第百十五号)第二十七条、第二

十九条第三項若しくは第九十八条第一

項、租税特別措置法(昭和三十二年法律

第二十六号)第九条の四の二第二項、第

二十九条の二第五項若しくは第六項、第

二十九条の三第四項若しくは第五項、第

三十七条の十一の三第七項、第三十七条

の十四第九項、第十三項若しくは第二十

六項、第七十条の二の二第十三項若しく

は第七十条の二の三第十四項、所得税法

(昭和四十年法律第三十三号)第五十七

条第二項若しくは第二百二十五条から第

二百二十八条の三の二まで、雇用保険法

(昭和四十九年法律第百十六号)第七条

又は内国税の適正な課税の確保を図るた

めの国外送金等に係る調書の提出等に関

する法律(平成九年法律第百十号)第四

条第一項若しくは第四条の三第一項その

他の法令又は条例の規定により、別表第

一の上欄に掲げる行政機関、地方公共団

体、独立行政法人等その他の行政事務を

処理する者又は地方公共団体の長その他

の執行機関による第一項又は前項に規定

する事務の処理に関して必要とされる他

人の個人番号を記載した書面の提出その

他の他人の個人番号を利用した事務を行

うものとされた者は、当該事務を行うた

めに必要な限度で個人番号を利用するこ

とができる。当該事務の全部又は一部の

委託を受けた者も、同様とする。

4 前項の規定により個人番号を利用す

ることができることとされている者のう

ち所得税法第二百二十五条第一項第一

号、第二号及び第四号から第六号までに

掲げる者は、激甚災害に対処するための

特別の財政援助等に関する法律(昭和三

十七年法律第百五十号)第二条第一項に

規定する激甚災害が発生したときその他

これに準ずる場合として政令で定めると

きは、内閣府令で定めるところにより、

あらかじめ締結した契約に基づく金銭の

支払を行うために必要な限度で個人番号

を利用することができる。

Page 71: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 71 -

5 前各項に定めるもののほか、第十九

条第十一号から第十四号までのいずれか

に該当して特定個人情報の提供を受けた

者は、その提供を受けた目的を達成する

ために必要な限度で個人番号を利用する

ことができる。

(再委託)

第十条 個人番号利用事務又は個人番号

関係事務(以下「個人番号利用事務等」

という。)の全部又は一部の委託を受け

た者は、当該個人番号利用事務等の委託

をした者の許諾を得た場合に限り、その

全部又は一部の再委託をすることができ

る。

2 前項の規定により個人番号利用事務

等の全部又は一部の再委託を受けた者

は、個人番号利用事務等の全部又は一部

の委託を受けた者とみなして、第二条第

十二項及び第十三項、前条第一項から第

三項まで並びに前項の規定を適用する。

(委託先の監督)

第十一条 個人番号利用事務等の全部又

は一部の委託をする者は、当該委託に係

る個人番号利用事務等において取り扱う

特定個人情報の安全管理が図られるよ

う、当該委託を受けた者に対する必要か

つ適切な監督を行わなければならない。

(個人番号利用事務実施者等の責務)

第十二条 個人番号利用事務実施者及び

個人番号関係事務実施者(以下「個人番

号利用事務等実施者」という。)は、個

人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止そ

の他の個人番号の適切な管理のために必

要な措置を講じなければならない。

第十三条 個人番号利用事務実施者は、

本人又はその代理人及び個人番号関係事

務実施者の負担の軽減並びに行政運営の

効率化を図るため、同一の内容の情報が

記載された書面の提出を複数の個人番号

関係事務において重ねて求めることのな

いよう、相互に連携して情報の共有及び

その適切な活用を図るように努めなけれ

ばならない。

(提供の要求)

第十四条 個人番号利用事務等実施者

は、個人番号利用事務等を処理するため

に必要があるときは、本人又は他の個人

番号利用事務等実施者に対し個人番号の

提供を求めることができる。

2 個人番号利用事務実施者(政令で定

めるものに限る。第十九条第四号におい

て同じ。)は、個人番号利用事務を処理

するために必要があるときは、住民基本

台帳法第三十条の九から第三十条の十二

までの規定により、機構に対し機構保存

本人確認情報(同法第三十条の九に規定

する機構保存本人確認情報をいう。第十

九条第四号及び第六十七条において同

じ。)の提供を求めることができる。

(提供の求めの制限)

第十五条 何人も、第十九条各号のいず

れかに該当して特定個人情報の提供を受

けることができる場合を除き、他人(自

己と同一の世帯に属する者以外の者をい

う。第二十条において同じ。)に対し、

個人番号の提供を求めてはならない。

Page 72: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 72 -

(本人確認の措置)

第十六条 個人番号利用事務等実施者

は、第十四条第一項の規定により本人か

ら個人番号の提供を受けるときは、当該

提供をする者から個人番号カード若しく

は通知カード及び当該通知カードに記載

された事項がその者に係るものであるこ

とを証するものとして主務省令で定める

書類の提示を受けること又はこれらに代

わるべきその者が本人であることを確認

するための措置として政令で定める措置

をとらなければならない。

第三章 個人番号カード

(個人番号カードの交付等)

第十七条 市町村長は、政令で定めると

ころにより、当該市町村が備える住民基

本台帳に記録されている者に対し、その

者の申請により、その者に係る個人番号

カードを交付するものとする。この場合

において、当該市町村長は、その者から

通知カードの返納及び前条の主務省令で

定める書類の提示を受け、又は同条の政

令で定める措置をとらなければならな

い。

2 個人番号カードの交付を受けている

者は、住民基本台帳法第二十四条の二第

一項に規定する最初の転入届をする場合

には、当該最初の転入届と同時に、当該

個人番号カードを市町村長に提出しなけ

ればならない。

3 前項の規定により個人番号カードの

提出を受けた市町村長は、当該個人番号

カードについて、カード記録事項の変更

その他当該個人番号カードの適切な利用

を確保するために必要な措置を講じ、こ

れを返還しなければならない。

4 第二項の場合を除くほか、個人番号

カードの交付を受けている者は、カード

記録事項に変更があったときは、その変

更があった日から十四日以内に、その旨

を住所地市町村長に届け出るとともに、

当該個人番号カードを提出しなければな

らない。この場合においては、前項の規

定を準用する。

5 個人番号カードの交付を受けている

者は、当該個人番号カードを紛失したと

きは、直ちに、その旨を住所地市町村長

に届け出なければならない。

6 個人番号カードは、その有効期間が

満了した場合その他政令で定める場合に

は、その効力を失う。

7 個人番号カードの交付を受けている

者は、当該個人番号カードの有効期間が

満了した場合その他政令で定める場合に

は、政令で定めるところにより、当該個

人番号カードを住所地市町村長に返納し

なければならない。

8 前各項に定めるもののほか、個人番

号カードの様式、個人番号カードの有効

期間及び個人番号カードの再交付を受け

ようとする場合における手続その他個人

番号カードに関し必要な事項は、総務省

令で定める。

(個人番号カードの利用)

第十八条 個人番号カードは、第十六条

の規定による本人確認の措置において利

用するほか、次の各号に掲げる者が、条

例(第二号の場合にあっては、政令)で

Page 73: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 73 -

定めるところにより、個人番号カードの

カード記録事項が記録された部分と区分

された部分に、当該各号に定める事務を

処理するために必要な事項を電磁的方法

により記録して利用することができる。

この場合において、これらの者は、カー

ド記録事項の漏えい、滅失又は毀損の防

止その他のカード記録事項の安全管理を

図るため必要なものとして総務大臣が定

める基準に従って個人番号カードを取り

扱わなければならない。

一 市町村の機関 地域住民の利便性の

向上に資するものとして条例で定める事

二 特定の個人を識別して行う事務を処

理する行政機関、地方公共団体、民間事

業者その他の者であって政令で定めるも

の 当該事務

第四章 特定個人情報の提供

第一節 特定個人情報の提供の制限等

(特定個人情報の提供の制限)

第十九条 何人も、次の各号のいずれか

に該当する場合を除き、特定個人情報の

提供をしてはならない。

一 個人番号利用事務実施者が個人番号

利用事務を処理するために必要な限度で

本人若しくはその代理人又は個人番号関

係事務実施者に対し特定個人情報を提供

するとき。

二 個人番号関係事務実施者が個人番号

関係事務を処理するために必要な限度で

特定個人情報を提供するとき(第十号に

規定する場合を除く。)。

三 本人又はその代理人が個人番号利用

事務等実施者に対し、当該本人の個人番

号を含む特定個人情報を提供するとき。

四 機構が第十四条第二項の規定により

個人番号利用事務実施者に機構保存本人

確認情報を提供するとき。

五 特定個人情報の取扱いの全部若しく

は一部の委託又は合併その他の事由によ

る事業の承継に伴い特定個人情報を提供

するとき。

六 住民基本台帳法第三十条の六第一項

の規定その他政令で定める同法の規定に

より特定個人情報を提供するとき。

七 別表第二の第一欄に掲げる者(法令

の規定により同表の第二欄に掲げる事務

の全部又は一部を行うこととされている

者がある場合にあっては、その者を含

む。以下「情報照会者」という。)が、

政令で定めるところにより、同表の第三

欄に掲げる者(法令の規定により同表の

第四欄に掲げる特定個人情報の利用又は

提供に関する事務の全部又は一部を行う

こととされている者がある場合にあって

は、その者を含む。以下「情報提供者」

という。)に対し、同表の第二欄に掲げ

る事務を処理するために必要な同表の第

四欄に掲げる特定個人情報(情報提供者

の保有する特定個人情報ファイルに記録

されたものに限る。)の提供を求めた場

合において、当該情報提供者が情報提供

ネットワークシステムを使用して当該特

定個人情報を提供するとき。

八 国税庁長官が都道府県知事若しくは

市町村長に又は都道府県知事若しくは市

町村長が国税庁長官若しくは他の都道府

県知事若しくは市町村長に、地方税法第

Page 74: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 74 -

四十六条第四項若しくは第五項、第四十

八条第七項、第七十二条の五十八、第三

百十七条又は第三百二十五条の規定その

他政令で定める同法又は国税(国税通則

法(昭和三十七年法律第六十六号)第二

条第一号に規定する国税をいう。以下同

じ。)に関する法律の規定により国税又

は地方税に関する特定個人情報を提供す

る場合において、当該特定個人情報の安

全を確保するために必要な措置として政

令で定める措置を講じているとき。

九 地方公共団体の機関が、条例で定め

るところにより、当該地方公共団体の他

の機関に、その事務を処理するために必

要な限度で特定個人情報を提供すると

き。

十 社債、株式等の振替に関する法律

(平成十三年法律第七十五号)第二条第

五項に規定する振替機関等(以下この号

において単に「振替機関等」という。)

が同条第一項に規定する社債等(以下こ

の号において単に「社債等」という。)

の発行者(これに準ずる者として政令で

定めるものを含む。)又は他の振替機関

等に対し、これらの者の使用に係る電子

計算機を相互に電気通信回線で接続した

電子情報処理組織であって、社債等の振

替を行うための口座が記録されるものを

利用して、同法又は同法に基づく命令の

規定により、社債等の振替を行うための

口座の開設を受ける者が第九条第三項に

規定する書面(所得税法第二百二十五条

第一項(第一号、第二号、第八号又は第

十号から第十二号までに係る部分に限

る。)の規定により税務署長に提出され

るものに限る。)に記載されるべき個人

番号として当該口座を開設する振替機関

等に告知した個人番号を含む特定個人情

報を提供する場合において、当該特定個

人情報の安全を確保するために必要な措

置として政令で定める措置を講じている

とき。

十一 第五十二条第一項の規定により求

められた特定個人情報を特定個人情報保

護委員会に提供するとき。

十二 各議院若しくは各議院の委員会若

しくは参議院の調査会が国会法(昭和二

十二年法律第七十九号)第百四条第一項

(同法第五十四条の四第一項において準

用する場合を含む。)若しくは議院にお

ける証人の宣誓及び証言等に関する法律

(昭和二十二年法律第二百二十五号)第

一条の規定により行う審査若しくは調

査、訴訟手続その他の裁判所における手

続、裁判の執行、刑事事件の捜査、租税

に関する法律の規定に基づく犯則事件の

調査又は会計検査院の検査(第五十三条

において「各議院審査等」という。)が

行われるとき、その他政令で定める公益

上の必要があるとき。

十三 人の生命、身体又は財産の保護の

ために必要がある場合において、本人の

同意があり、又は本人の同意を得ること

が困難であるとき。

十四 その他これらに準ずるものとして

特定個人情報保護委員会規則で定めると

き。

(収集等の制限)

第二十条 何人も、前条各号のいずれか

に該当する場合を除き、特定個人情報

(他人の個人番号を含むものに限る。)

Page 75: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 75 -

を収集し、又は保管してはならない。

第二節 情報提供ネットワークシステム

による特定個人情報の提供

(情報提供ネットワークシステム)

第二十一条 総務大臣は、特定個人情報

保護委員会と協議して、情報提供ネット

ワークシステムを設置し、及び管理する

ものとする。

2 総務大臣は、情報照会者から第十九

条第七号の規定により特定個人情報の提

供の求めがあったときは、次に掲げる場

合を除き、政令で定めるところにより、

情報提供ネットワークシステムを使用し

て、情報提供者に対して特定個人情報の

提供の求めがあった旨を通知しなければ

ならない。

一 情報照会者、情報提供者、情報照会

者の処理する事務又は当該事務を処理す

るために必要な特定個人情報の項目が別

表第二に掲げるものに該当しないとき。

二 当該特定個人情報が記録されること

となる情報照会者の保有する特定個人情

報ファイル又は当該特定個人情報が記録

されている情報提供者の保有する特定個

人情報ファイルについて、第二十七条

(第三項及び第五項を除く。)の規定に

違反する事実があったと認めるとき。

(特定個人情報の提供)

第二十二条 情報提供者は、第十九条第

七号の規定により特定個人情報の提供を

求められた場合において、当該提供の求

めについて前条第二項の規定による総務

大臣からの通知を受けたときは、政令で

定めるところにより、情報照会者に対

し、当該特定個人情報を提供しなければ

ならない。

2 前項の規定による特定個人情報の提

供があった場合において、他の法令の規

定により当該特定個人情報と同一の内容

の情報を含む書面の提出が義務付けられ

ているときは、当該書面の提出があった

ものとみなす。

(情報提供等の記録)

第二十三条 情報照会者及び情報提供者

は、第十九条第七号の規定により特定個

人情報の提供の求め又は提供があったと

きは、次に掲げる事項を情報提供ネット

ワークシステムに接続されたその者の使

用する電子計算機に記録し、当該記録を

政令で定める期間保存しなければならな

い。

一 情報照会者及び情報提供者の名称

二 提供の求めの日時及び提供があった

ときはその日時

三 特定個人情報の項目

四 前三号に掲げるもののほか、総務省

令で定める事項

2 前項に規定する事項のほか、情報照

会者及び情報提供者は、当該特定個人情

報の提供の求め又は提供の事実が次の各

号のいずれかに該当する場合には、その

旨を情報提供ネットワークシステムに接

続されたその者の使用する電子計算機に

記録し、当該記録を同項に規定する期間

保存しなければならない。

一 第三十条第一項の規定により読み替

えて適用する行政機関個人情報保護法第

十四条に規定する不開示情報に該当する

Page 76: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 76 -

と認めるとき。

二 条例で定めるところにより地方公共

団体又は地方独立行政法人が開示する義

務を負わない個人情報に該当すると認め

るとき。

三 第三十条第三項の規定により読み替

えて適用する独立行政法人等個人情報保

護法第十四条に規定する不開示情報に該

当すると認めるとき。

四 第三十条第四項の規定により読み替

えて準用する独立行政法人等個人情報保

護法第十四条に規定する不開示情報に該

当すると認めるとき。

3 総務大臣は、第十九条第七号の規定

により特定個人情報の提供の求め又は提

供があったときは、前二項に規定する事

項を情報提供ネットワークシステムに記

録し、当該記録を第一項に規定する期間

保存しなければならない。

(秘密の管理)

第二十四条 総務大臣並びに情報照会者

及び情報提供者は、情報提供等事務(第

十九条第七号の規定による特定個人情報

の提供の求め又は提供に関する事務をい

う。以下この条及び次条において同

じ。)に関する秘密について、その漏え

いの防止その他の適切な管理のために、

情報提供ネットワークシステム並びに情

報照会者及び情報提供者が情報提供等事

務に使用する電子計算機の安全性及び信

頼性を確保することその他の必要な措置

を講じなければならない。

(秘密保持義務)

第二十五条 情報提供等事務又は情報提

供ネットワークシステムの運営に関する

事務に従事する者又は従事していた者

は、その業務に関して知り得た当該事務

に関する秘密を漏らし、又は盗用しては

ならない。

第五章 特定個人情報の保護

第一節 特定個人情報保護評価

(特定個人情報ファイルを保有しようと

する者に対する指針)

第二十六条 特定個人情報保護委員会

は、特定個人情報の適正な取扱いを確保

するため、特定個人情報ファイルを保有

しようとする者が、特定個人情報の漏え

いその他の事態の発生の危険性及び影響

に関する評価(以下「特定個人情報保護

評価」という。)を自ら実施し、これら

の事態の発生を抑止することその他特定

個人情報を適切に管理するために講ずべ

き措置を定めた指針(次項及び次条第三

項において単に「指針」という。)を作

成し、公表するものとする。

2 特定個人情報保護委員会は、個人情

報の保護に関する技術の進歩及び国際的

動向を踏まえ、少なくとも三年ごとに指

針について再検討を加え、必要があると

認めるときは、これを変更するものとす

る。

(特定個人情報保護評価)

第二十七条 行政機関の長等は、特定個

人情報ファイル(専ら当該行政機関の長

等の職員又は職員であった者の人事、給

与又は福利厚生に関する事項を記録する

Page 77: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 77 -

ものその他の特定個人情報保護委員会規

則で定めるものを除く。以下この条にお

いて同じ。)を保有しようとするとき

は、当該特定個人情報ファイルを保有す

る前に、特定個人情報保護委員会規則で

定めるところにより、次に掲げる事項を

評価した結果を記載した書面(以下この

条において「評価書」という。)を公示

し、広く国民の意見を求めるものとす

る。当該特定個人情報ファイルについ

て、特定個人情報保護委員会規則で定め

る重要な変更を加えようとするときも、

同様とする。

一 特定個人情報ファイルを取り扱う事

務に従事する者の数

二 特定個人情報ファイルに記録される

こととなる特定個人情報の量

三 行政機関の長等における過去の個人

情報ファイルの取扱いの状況

四 特定個人情報ファイルを取り扱う事

務の概要

五 特定個人情報ファイルを取り扱うた

めに使用する電子情報処理組織の仕組み

及び電子計算機処理等(電子計算機処理

(電子計算機を使用して行われる情報の

入力、蓄積、編集、加工、修正、更新、

検索、消去、出力又はこれらに類する処

理をいう。)その他これに伴う政令で定

める措置をいう。)の方式

六 特定個人情報ファイルに記録された

特定個人情報を保護するための措置

七 前各号に掲げるもののほか、特定個

人情報保護委員会規則で定める事項

2 前項前段の場合において、行政機関

の長等は、特定個人情報保護委員会規則

で定めるところにより、同項前段の規定

により得られた意見を十分考慮した上で

評価書に必要な見直しを行った後に、当

該評価書に記載された特定個人情報ファ

イルの取扱いについて特定個人情報保護

委員会の承認を受けるものとする。当該

特定個人情報ファイルについて、特定個

人情報保護委員会規則で定める重要な変

更を加えようとするときも、同様とす

る。

3 特定個人情報保護委員会は、評価書

の内容、第五十二条第一項の規定により

得た情報その他の情報から判断して、当

該評価書に記載された特定個人情報ファ

イルの取扱いが指針に適合していると認

められる場合でなければ、前項の承認を

してはならない。

4 行政機関の長等は、第二項の規定に

より評価書について承認を受けたとき

は、速やかに当該評価書を公表するもの

とする。

5 前項の規定により評価書が公表され

たときは、第二十九条第一項の規定によ

り読み替えて適用する行政機関個人情報

保護法第十条第一項の規定による通知が

あったものとみなす。

6 行政機関の長等は、評価書の公表を

行っていない特定個人情報ファイルに記

録された情報を第十九条第七号の規定に

より提供し、又は当該特定個人情報ファ

イルに記録されることとなる情報の提供

を同号の規定により求めてはならない。

(特定個人情報ファイルの作成の制限)

第二十八条 個人番号利用事務等実施者

その他個人番号利用事務等に従事する者

は、第十九条第十一号から第十四号まで

Page 78: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 78 -

のいずれかに該当して特定個人情報を提

供し、又はその提供を受けることができ

る場合を除き、個人番号利用事務等を処

理するために必要な範囲を超えて特定個

人情報ファイルを作成してはならない。

第二節 行政機関個人情報保護法等の特

例等

(行政機関個人情報保護法等の特例)

第二十九条 行政機関が保有し、又は保

有しようとする特定個人情報(第二十三

条に規定する記録に記録されたものを除

く。)に関しては、行政機関個人情報保

護法第八条第二項第二号から第四号まで

及び第二十五条の規定は適用しないもの

とし、行政機関個人情報保護法の他の規

定の適用については、次の表の上欄に掲

げる行政機関個人情報保護法の規定中同

表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に

掲げる字句とする。

(以下、省略)

3 個人情報保護法第二条第三項に規定

する個人情報取扱事業者が保有する特定

個人情報(第二十三条第一項及び第二項

に規定する記録に記録されたものを除

く。)に関しては、個人情報保護法第十

六条第三項第三号及び第四号並びに第二

十三条の規定は適用しないものとし、個

人情報保護法の他の規定の適用について

は、次の表の上欄に掲げる個人情報保護

法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、

同表の下欄に掲げる字句とする。

読み替え

られる個

人情報保

護法の規

読 み 替 え

ら れ る 字

読み替える字句

第十六条

第一項

あ ら か じ

め 本 人 の

同 意 を 得

な い で 、

前条

前条

第十六条

第二項

あ ら か じ

め 本 人 の

同 意 を 得

な い で 、

承継前

承継前

第十六条

第三項第

一号

法 令 に 基

づく場合

行政手続における

特定の個人を識別

するための番号の

利用等に関する法

律(平成二十五年

法律第二十七号)

第九条第四項の規

定に基づく場合

第十六条

第三項第

二号

本人 本 人 の 同 意 が あ

り、又は本人

第二十七

条第二項

第 二 十 三

条第一項

行政手続における

特定の個人を識別

するための番号の

利用等に関する法

律第十九条

(情報提供等の記録についての特例)

第三十条 行政機関が保有し、又は保有

Page 79: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 79 -

しようとする第二十三条第一項及び第二

項に規定する記録に記録された特定個人

情報に関しては、行政機関個人情報保護

法第八条第二項から第四項まで、第九

条、第二十一条、第二十二条、第二十五

条、第三十三条、第三十四条及び第四章

第三節の規定は適用しないものとし、行

政機関個人情報保護法の他の規定の適用

については、次の表の上欄に掲げる行政

機関個人情報保護法の規定中同表の中欄

に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字

句とする。

(以下、省略)

(地方公共団体等が保有する特定個人情

報の保護)

第三十一条 地方公共団体は、行政機関

個人情報保護法、独立行政法人等個人情

報保護法、個人情報保護法及びこの法律

の規定により行政機関の長、独立行政法

人等及び個人番号取扱事業者(特定個人

情報ファイルを事業の用に供している個

人番号利用事務等実施者であって、国の

機関、地方公共団体の機関、独立行政法

人等及び地方独立行政法人以外のものを

いう。以下この節において同じ。)が講

ずることとされている措置の趣旨を踏ま

え、当該地方公共団体及びその設立に係

る地方独立行政法人が保有する特定個人

情報の適正な取扱いが確保され、並びに

当該地方公共団体及びその設立に係る地

方独立行政法人が保有する特定個人情報

の開示、訂正、利用の停止、消去及び提

供の停止(第二十三条第一項及び第二項

に規定する記録に記録された特定個人情

報にあっては、その開示及び訂正)を実

施するために必要な措置を講ずるものと

する。

(個人情報取扱事業者でない個人番号取

扱事業者が保有する特定個人情報の保

護)

第三十二条 個人番号取扱事業者(個人

情報保護法第二条第三項に規定する個人

情報取扱事業者を除く。以下この節にお

いて同じ。)は、人の生命、身体又は財

産の保護のために必要がある場合におい

て本人の同意があり又は本人の同意を得

ることが困難であるとき、及び第九条第

四項の規定に基づく場合を除き、個人番

号利用事務等を処理するために必要な範

囲を超えて、特定個人情報を取り扱って

はならない。

第三十三条 個人番号取扱事業者は、そ

の取り扱う特定個人情報の漏えい、滅失

又は毀損の防止その他の特定個人情報の

安全管理のために必要かつ適切な措置を

講じなければならない。

第三十四条 個人番号取扱事業者は、そ

の従業者に特定個人情報を取り扱わせる

に当たっては、当該特定個人情報の安全

管理が図られるよう、当該従業者に対す

る必要かつ適切な監督を行わなければな

らない。

第三十五条 個人番号取扱事業者のうち

次の各号に掲げる者については、その特

定個人情報を取り扱う目的の全部又は一

部がそれぞれ当該各号に定める目的であ

るときは、前三条の規定は、適用しな

Page 80: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 80 -

い。

一 放送機関、新聞社、通信社その他の

報道機関(報道(不特定かつ多数の者に

対し客観的事実を事実として知らせるこ

とをいい、これに基づいて意見又は見解

を述べることを含む。以下この号におい

て同じ。)を業として行う個人を含

む。) 報道の用に供する目的

二 著述を業として行う者 著述の用に

供する目的

三 大学その他の学術研究を目的とする

機関若しくは団体又はそれらに属する者

学術研究の用に供する目的

四 宗教団体 宗教活動(これに付随す

る活動を含む。)の用に供する目的

五 政治団体 政治活動(これに付随す

る活動を含む。)の用に供する目的

2 前項各号に掲げる個人番号取扱事業

者は、特定個人情報の安全管理のために

必要かつ適切な措置、特定個人情報の取

扱いに関する苦情の処理その他の特定個

人情報の適正な取扱いを確保するために

必要な措置を自ら講じ、かつ、当該措置

の内容を公表するよう努めなければなら

ない。

第六章 特定個人情報保護委員会

第一節 組織

(設置)

第三十六条 内閣府設置法(平成十一年

法律第八十九号)第四十九条第三項の規

定に基づいて、特定個人情報保護委員会

(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、内閣総理大臣の所轄に属

する。

(任務)

第三十七条 委員会は、国民生活にとっ

ての個人番号その他の特定個人情報の有

用性に配慮しつつ、その適正な取扱いを

確保するために必要な個人番号利用事務

等実施者に対する指導及び助言その他の

措置を講ずることを任務とする。

(所掌事務)

第三十八条 委員会は、前条の任務を達

成するため、次に掲げる事務をつかさど

る。

一 特定個人情報の取扱いに関する監視

又は監督及び苦情の申出についての必要

なあっせんに関すること。

二 特定個人情報保護評価に関するこ

と。

三 特定個人情報の保護についての広報

及び啓発に関すること。

四 前三号に掲げる事務を行うために必

要な調査及び研究に関すること。

五 所掌事務に係る国際協力に関するこ

と。

六 前各号に掲げるもののほか、法律

(法律に基づく命令を含む。)に基づき

委員会に属させられた事務

(職権行使の独立性)

第三十九条 委員会の委員長及び委員

は、独立してその職権を行う。

(組織等)

第四十条 委員会は、委員長及び委員六

人をもって組織する。

Page 81: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 81 -

2 委員のうち三人は、非常勤とする。

3 委員長及び委員は、人格が高潔で識

見の高い者のうちから、両議院の同意を

得て、内閣総理大臣が任命する。

4 委員長及び委員には、個人情報の保

護に関する学識経験のある者、情報処理

技術に関する学識経験のある者、社会保

障制度又は税制に関する学識経験のある

者、民間企業の実務に関して十分な知識

と経験を有する者及び連合組織(地方自

治法(昭和二十二年法律第六十七号)第

二百六十三条の三第一項の連合組織で同

項の規定による届出をしたものをい

う。)の推薦する者が含まれるものとす

る。

(任期等)

第四十一条 委員長及び委員の任期は、

五年とする。ただし、補欠の委員長又は

委員の任期は、前任者の残任期間とす

る。

2 委員長及び委員は、再任されること

ができる。

3 委員長及び委員の任期が満了したと

きは、当該委員長及び委員は、後任者が

任命されるまで引き続きその職務を行う

ものとする。

4 委員長又は委員の任期が満了し、又

は欠員を生じた場合において、国会の閉

会又は衆議院の解散のために両議院の同

意を得ることができないときは、内閣総

理大臣は、前条第三項の規定にかかわら

ず、同項に定める資格を有する者のうち

から、委員長又は委員を任命することが

できる。

5 前項の場合においては、任命後最初

の国会において両議院の事後の承認を得

なければならない。この場合において、

両議院の事後の承認が得られないとき

は、内閣総理大臣は、直ちに、その委員

長又は委員を罷免しなければならない。

(身分保障)

第四十二条 委員長及び委員は、次の各

号のいずれかに該当する場合を除いて

は、在任中、その意に反して罷免される

ことがない。

一 破産手続開始の決定を受けたとき。

二 この法律の規定に違反して刑に処せ

られたとき。

三 禁錮以上の刑に処せられたとき。

四 委員会により、心身の故障のため職

務を執行することができないと認められ

たとき、又は職務上の義務違反その他委

員長若しくは委員たるに適しない非行が

あると認められたとき。

(罷免)

第四十三条 内閣総理大臣は、委員長又

は委員が前条各号のいずれかに該当する

ときは、その委員長又は委員を罷免しな

ければならない。

(委員長)

第四十四条 委員長は、委員会の会務を

総理し、委員会を代表する。

2 委員会は、あらかじめ常勤の委員の

うちから、委員長に事故がある場合に委

員長を代理する者を定めておかなければ

ならない。

(会議)

Page 82: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 82 -

第四十五条 委員会の会議は、委員長が

招集する。

2 委員会は、委員長及び三人以上の委

員の出席がなければ、会議を開き、議決

をすることができない。

3 委員会の議事は、出席者の過半数で

これを決し、可否同数のときは、委員長

の決するところによる。

4 第四十二条第四号の規定による認定

をするには、前項の規定にかかわらず、

本人を除く全員の一致がなければならな

い。

5 委員長に事故がある場合の第三項の

規定の適用については、前条第二項に規

定する委員長を代理する者は、委員長と

みなす。

(事務局)

第四十六条 委員会の事務を処理させる

ため、委員会に事務局を置く。

2 事務局に、事務局長その他の職員を

置く。

3 事務局長は、委員長の命を受けて、

局務を掌理する。

(政治運動等の禁止)

第四十七条 委員長及び委員は、在任

中、政党その他の政治団体の役員とな

り、又は積極的に政治運動をしてはなら

ない。

2 委員長及び常勤の委員は、在任中、

内閣総理大臣の許可のある場合を除くほ

か、報酬を得て他の職務に従事し、又は

営利事業を営み、その他金銭上の利益を

目的とする業務を行ってはならない。

(秘密保持義務)

第四十八条 委員長、委員及び事務局の

職員は、職務上知ることのできた秘密を

漏らし、又は盗用してはならない。その

職務を退いた後も、同様とする。

(給与)

第四十九条 委員長及び委員の給与は、

別に法律で定める。

第二節 業務

(指導及び助言)

第五十条 委員会は、この法律の施行に

必要な限度において、個人番号利用事務

等実施者に対し、特定個人情報の取扱い

に関し、必要な指導及び助言をすること

ができる。この場合において、特定個人

情報の適正な取扱いを確保するために必

要があると認めるときは、当該特定個人

情報と共に管理されている特定個人情報

以外の個人情報の取扱いに関し、併せて

指導及び助言をすることができる。

(勧告及び命令)

第五十一条 委員会は、特定個人情報の

取扱いに関して法令の規定に違反する行

為が行われた場合において、特定個人情

報の適正な取扱いの確保のために必要が

あると認めるときは、当該違反行為をし

た者に対し、期限を定めて、当該違反行

為の中止その他違反を是正するために必

要な措置をとるべき旨を勧告することが

できる。

2 委員会は、前項の規定による勧告を

受けた者が、正当な理由がなくてその勧

Page 83: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 83 -

告に係る措置をとらなかったときは、そ

の者に対し、期限を定めて、その勧告に

係る措置をとるべきことを命ずることが

できる。

3 委員会は、前二項の規定にかかわら

ず、特定個人情報の取扱いに関して法令

の規定に違反する行為が行われた場合に

おいて、個人の重大な権利利益を害する

事実があるため緊急に措置をとる必要が

あると認めるときは、当該違反行為をし

た者に対し、期限を定めて、当該違反行

為の中止その他違反を是正するために必

要な措置をとるべき旨を命ずることがで

きる。

(報告及び立入検査)

第五十二条 委員会は、この法律の施行

に必要な限度において、特定個人情報を

取り扱う者その他の関係者に対し、特定

個人情報の取扱いに関し、必要な報告若

しくは資料の提出を求め、又はその職員

に、当該特定個人情報を取り扱う者その

他の関係者の事務所その他必要な場所に

立ち入らせ、特定個人情報の取扱いに関

し質問させ、若しくは帳簿書類その他の

物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職

員は、その身分を示す証明書を携帯し、

関係人の請求があったときは、これを提

示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限

は、犯罪捜査のために認められたものと

解釈してはならない。

(適用除外)

第五十三条 前三条の規定は、各議院審

査等が行われる場合又は第十九条第十二

号の政令で定める場合のうち各議院審査

等に準ずるものとして政令で定める手続

が行われる場合における特定個人情報の

提供及び提供を受け、又は取得した特定

個人情報の取扱いについては、適用しな

い。

(措置の要求)

第五十四条 委員会は、個人番号その他

の特定個人情報の取扱いに利用される情

報提供ネットワークシステムその他の情

報システムの構築及び維持管理に関し、

費用の節減その他の合理化及び効率化を

図った上でその機能の安全性及び信頼性

を確保するよう、総務大臣その他の関係

行政機関の長に対し、必要な措置を実施

するよう求めることができる。

2 委員会は、前項の規定により同項の

措置の実施を求めたときは、同項の関係

行政機関の長に対し、その措置の実施状

況について報告を求めることができる。

(内閣総理大臣に対する意見の申出)

第五十五条 委員会は、内閣総理大臣に

対し、その所掌事務の遂行を通じて得ら

れた特定個人情報の保護に関する施策の

改善についての意見を述べることができ

る。

(国会に対する報告)

第五十六条 委員会は、毎年、内閣総理

大臣を経由して国会に対し所掌事務の処

理状況を報告するとともに、その概要を

公表しなければならない。

Page 84: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 84 -

第三節 雑則

(規則の制定)

第五十七条 委員会は、その所掌事務に

ついて、法律若しくは政令を実施するた

め、又は法律若しくは政令の特別の委任

に基づいて、特定個人情報保護委員会規

則を制定することができる。

第七章 法人番号

(通知等)

第五十八条 国税庁長官は、政令で定め

るところにより、法人等(国の機関、地

方公共団体及び会社法(平成十七年法律

第八十六号)その他の法令の規定により

設立の登記をした法人並びにこれらの法

人以外の法人又は法人でない社団若しく

は財団で代表者若しくは管理人の定めが

あるもの(以下この条において「人格の

ない社団等」という。)であって、所得

税法第二百三十条、法人税法(昭和四十

年法律第三十四号)第百四十八条、第百

四十九条若しくは第百五十条又は消費税

法(昭和六十三年法律第百八号)第五十

七条の規定により届出書を提出すること

とされているものをいう。以下この項及

び次項において同じ。)に対して、法人

番号を指定し、これを当該法人等に通知

するものとする。

2 法人等以外の法人又は人格のない社

団等であって政令で定めるものは、政令

で定めるところにより、その者の商号又

は名称及び本店又は主たる事務所の所在

地その他財務省令で定める事項を国税庁

長官に届け出て法人番号の指定を受ける

ことができる。

3 前項の規定による届出をした者は、

その届出に係る事項に変更があったとき

(この項の規定による届出に係る事項に

変更があった場合を含む。)は、政令で

定めるところにより、当該変更があった

事項を国税庁長官に届け出なければなら

ない。

4 国税庁長官は、政令で定めるところ

により、第一項又は第二項の規定により

法人番号の指定を受けた者(以下「法人

番号保有者」という。)の商号又は名

称、本店又は主たる事務所の所在地及び

法人番号を公表するものとする。ただ

し、人格のない社団等については、あら

かじめ、その代表者又は管理人の同意を

得なければならない。

(情報の提供の求め)

第五十九条 行政機関の長、地方公共団

体の機関又は独立行政法人等(以下この

章において「行政機関の長等」とい

う。)は、他の行政機関の長等に対し、

特定法人情報(法人番号保有者に関する

情報であって法人番号により検索するこ

とができるものをいう。第六十一条にお

いて同じ。)の提供を求めるときは、当

該法人番号を当該他の行政機関の長等に

通知してするものとする。

2 行政機関の長等は、国税庁長官に対

し、法人番号保有者の商号又は名称、本

店又は主たる事務所の所在地及び法人番

号について情報の提供を求めることがで

きる。

(資料の提供)

Page 85: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 85 -

第六十条 国税庁長官は、第五十八条第

一項の規定による法人番号の指定を行う

ために必要があると認めるときは、法務

大臣に対し、商業登記法(昭和三十八年

法律第百二十五号)第七条(他の法令に

おいて準用する場合を含む。)に規定す

る会社法人等番号(会社法その他の法令

の規定により設立の登記をした法人の本

店又は主たる事務所の所在地を管轄する

登記所において作成される登記簿に記録

されたものに限る。)その他の当該登記

簿に記録された事項の提供を求めること

ができる。

2 前項に定めるもののほか、国税庁長

官は、第五十八条第一項若しくは第二項

の規定による法人番号の指定若しくは通

知又は同条第四項の規定による公表を行

うために必要があると認めるときは、官

公署に対し、法人番号保有者の商号又は

名称及び本店又は主たる事務所の所在地

その他必要な資料の提供を求めることが

できる。

(正確性の確保)

第六十一条 行政機関の長等は、その保

有する特定法人情報について、その利用

の目的の達成に必要な範囲内で、過去又

は現在の事実と合致するよう努めなけれ

ばならない。

第八章 雑則

(指定都市の特例)

第六十二条 地方自治法第二百五十二条

の十九第一項に規定する指定都市(次項

において単に「指定都市」という。)に

対するこの法律の規定で政令で定めるも

のの適用については、区及び総合区を市

と、区長及び総合区長を市長とみなす。

2 前項に定めるもののほか、指定都市

に対するこの法律の規定の適用について

は、政令で特別の定めをすることができ

る。

(事務の区分)

第六十三条 第七条第一項及び第二項、

第八条第一項(附則第三条第四項におい

て準用する場合を含む。)、第十七条第

一項及び第三項(同条第四項において準

用する場合を含む。)並びに附則第三条

第一項から第三項までの規定により市町

村が処理することとされている事務は、

地方自治法第二条第九項第一号に規定す

る第一号法定受託事務とする。

(権限又は事務の委任)

第六十四条 行政機関の長は、政令(内

閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検

査院にあっては、当該機関の命令)で定

めるところにより、第二章、第四章、第

五章及び前章に定める権限又は事務を当

該行政機関の職員に委任することができ

る。

(主務省令)

第六十五条 この法律における主務省令

は、内閣府令・総務省令とする。

(政令への委任)

第六十六条 この法律に定めるもののほ

か、この法律の実施のための手続その他

この法律の施行に関し必要な事項は、政

Page 86: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 86 -

令で定める。

第九章 罰則

第六十七条 個人番号利用事務等又は第

七条第一項若しくは第二項の規定による

個人番号の指定若しくは通知、第八条第

二項の規定による個人番号とすべき番号

の生成若しくは通知若しくは第十四条第

二項の規定による機構保存本人確認情報

の提供に関する事務に従事する者又は従

事していた者が、正当な理由がないの

に、その業務に関して取り扱った個人の

秘密に属する事項が記録された特定個人

情報ファイル(その全部又は一部を複製

し、又は加工した特定個人情報ファイル

を含む。)を提供したときは、四年以下

の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処

し、又はこれを併科する。

第六十八条 前条に規定する者が、その

業務に関して知り得た個人番号を自己若

しくは第三者の不正な利益を図る目的で

提供し、又は盗用したときは、三年以下

の懲役若しくは百五十万円以下の罰金に

処し、又はこれを併科する。

第六十九条 第二十五条の規定に違反し

て秘密を漏らし、又は盗用した者は、三

年以下の懲役若しくは百五十万円以下の

罰金に処し、又はこれを併科する。

第七十条 人を欺き、人に暴行を加え、

若しくは人を脅迫する行為により、又は

財物の窃取、施設への侵入、不正アクセ

ス行為(不正アクセス行為の禁止等に関

する法律(平成十一年法律第百二十八

号)第二条第四項に規定する不正アクセ

ス行為をいう。)その他の個人番号を保

有する者の管理を害する行為により、個

人番号を取得した者は、三年以下の懲役

又は百五十万円以下の罰金に処する。

2 前項の規定は、刑法(明治四十年法

律第四十五号)その他の罰則の適用を妨

げない。

第七十一条 国の機関、地方公共団体の

機関若しくは機構の職員又は独立行政法

人等若しくは地方独立行政法人の役員若

しくは職員が、その職権を濫用して、専

らその職務の用以外の用に供する目的で

個人の秘密に属する特定個人情報が記録

された文書、図画又は電磁的記録(電子

的方式、磁気的方式その他人の知覚に

よっては認識することができない方式で

作られる記録をいう。)を収集したとき

は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰

金に処する。

第七十二条 第四十八条の規定に違反し

て秘密を漏らし、又は盗用した者は、二

年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処

する。

第七十三条 第五十一条第二項又は第三

項の規定による命令に違反した者は、二

年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に

処する。

第七十四条 第五十二条第一項の規定に

よる報告若しくは資料の提出をせず、若

しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の

Page 87: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 87 -

資料を提出し、又は当該職員の質問に対

して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁を

し、若しくは検査を拒み、妨げ、若しく

は忌避した者は、一年以下の懲役又は五

十万円以下の罰金に処する。

第七十五条 偽りその他不正の手段によ

り通知カード又は個人番号カードの交付

を受けた者は、六月以下の懲役又は五十

万円以下の罰金に処する。

第七十六条 第六十七条から第七十二条

までの規定は、日本国外においてこれら

の条の罪を犯した者にも適用する。

第七十七条 法人(法人でない団体で代

表者又は管理人の定めのあるものを含

む。以下この項において同じ。)の代表

者若しくは管理人又は法人若しくは人の

代理人、使用人その他の従業者が、その

法人又は人の業務に関して、第六十七

条、第六十八条、第七十条又は第七十三

条から第七十五条までの違反行為をした

ときは、その行為者を罰するほか、その

法人又は人に対しても、各本条の罰金刑

を科する。

2 法人でない団体について前項の規定

の適用がある場合には、その代表者又は

管理人が、その訴訟行為につき法人でな

い団体を代表するほか、法人を被告人又

は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する

法律の規定を準用する。

Page 88: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 88 -

別表第一 (第九条関係)

一 厚生労働大臣 健康保険法第五条第二項又は第百二十三条第二項の

規定により厚生労働大臣が行うこととされた健康保

険に関する事務であって主務省令で定めるもの

二 全国健康保険協会又は健康保険

組合

健康保険法による保険給付の支給又は保険料等の徴

収に関する事務であって主務省令で定めるもの

三 厚生労働大臣 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第四条第

二項の規定により厚生労働大臣が行うこととされた

船員保険に関する事務であって主務省令で定めるも

四 全国健康保険協会 船員保険法による保険給付、障害前払一時金若しく

は遺族前払一時金の支給若しくは保険料等の徴収又

は雇用保険法等の一部を改正する法律(平成十九年

法律第三十号。以下「平成十九年法律第三十号」と

いう。)附則第三十九条の規定によりなお従前の例

によるものとされた平成十九年法律第三十号第四条

の規定による改正前の船員保険法による保険給付の

支給に関する事務であって主務省令で定めるもの

五 厚生労働大臣 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十

号)による保険給付の支給又は社会復帰促進等事業

の実施に関する事務であって主務省令で定めるもの

六 都道府県知事 災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)による

救助又は扶助金の支給に関する事務であって主務省

令で定めるもの

七 都道府県知事 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)によ

る里親の認定、養育里親の登録、小児慢性特定疾病

医療費、療育の給付、障害児入所給付費、高額障害

児入所給付費、特定入所障害児食費等給付費若しく

は障害児入所医療費の支給、日常生活上の援助及び

生活指導並びに就業の支援の実施、負担能力の認定

又は費用の徴収に関する事務であって主務省令で定

めるもの

Page 89: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 89 -

八 市町村長 児童福祉法による障害児通所給付費、特例障害児通

所給付費、高額障害児通所給付費、肢体不自由児通

所医療費、障害児相談支援給付費若しくは特例障害

児相談支援給付費の支給、障害福祉サービスの提

供、保育所における保育の実施若しくは措置又は費

用の徴収に関する事務であって主務省令で定めるも

九 都道府県知事、市長(特別区の

区長を含む。)又は社会福祉法(昭

和二十六年法律第四十五号)に規定

する福祉に関する事務所を管理する

町村長(以下「都道府県知事等」と

いう。)

児童福祉法による助産施設における助産の実施又は

母子生活支援施設における保護の実施に関する事務

であって主務省令で定めるもの

十 都道府県知事又は市町村長 予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)による

予防接種の実施、給付の支給又は実費の徴収に関す

る事務であって主務省令で定めるもの

十一 都道府県知事 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三

号)による身体障害者手帳の交付に関する事務で

あって主務省令で定めるもの

十二 市町村長 身体障害者福祉法による障害福祉サービス、障害者

支援施設等への入所等の措置又は費用の徴収に関す

る事務であって主務省令で定めるもの

十三 厚生労働大臣 身体障害者福祉法による費用の徴収に関する事務で

あって主務省令で定めるもの

十四 都道府県知事 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二

十五年法律第百二十三号)による診察、入院措置、

費用の徴収、退院等の請求又は精神障害者保健福祉

手帳の交付に関する事務であって主務省令で定める

もの

十五 都道府県知事等 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)によ

る保護の決定及び実施、就労自立給付金の支給、保

護に要する費用の返還又は徴収金の徴収に関する事

務であって主務省令で定めるもの

Page 90: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 90 -

十六 都道府県知事又は市町村長 地方税法その他の地方税に関する法律及びこれらの

法律に基づく条例による地方税の賦課徴収又は地方

税に関する調査(犯則事件の調査を含む。)に関す

る事務であって主務省令で定めるもの

十七 国税庁長官 地方税法による譲渡割の賦課徴収又は譲渡割に関す

る調査(犯則事件の調査を含む。)に関する事務で

あって主務省令で定めるもの

十八 社会福祉法第百九条第一項に

規定する市町村社会福祉協議会又は

同法第百十条第一項に規定する都道

府県社会福祉協議会(以下「社会福

祉協議会」と総称する。)

社会福祉法による生計困難者に対して無利子又は低

利で資金を融通する事業の実施に関する事務であっ

て主務省令で定めるもの

十九 公営住宅法(昭和二十六年法

律第百九十三号)第二条第十六号に

規定する事業主体である都道府県知

事又は市町村長

公営住宅法による公営住宅(同法第二条第二号に規

定する公営住宅をいう。以下同じ。)の管理に関す

る事務であって主務省令で定めるもの

二十 厚生労働大臣 戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第

百二十七号)による援護に関する事務であって主務

省令で定めるもの

二十一 厚生労働大臣 未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百

六十一号)による留守家族手当、帰郷旅費、葬祭

料、遺骨の引取に要する経費又は障害一時金の支給

に関する事務であって主務省令で定めるもの

二十二 日本私立学校振興・共済事

業団

私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四

十五号)による短期給付又は年金である給付の支給

に関する事務であって主務省令で定めるもの

二十三 財務大臣 国税収納金整理資金に関する法律(昭和二十九年法

律第三十六号)による国税等(同法第八条第一項に

規定する国税等をいう。)の徴収若しくは収納又は

債権者への支払に関する事務であって主務省令で定

めるもの

二十四 厚生労働大臣又は共済組合

等(日本私立学校振興・共済事業

厚生年金保険法による年金である保険給付若しくは

一時金の支給又は保険料その他徴収金の徴収に関す

Page 91: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 91 -

団、国家公務員共済組合連合会、地

方公務員共済組合又は全国市町村職

員共済組合連合会をいう。以下同

じ。)

る事務であって主務省令で定めるもの

二十五 削除

二十六 文部科学大臣又は都道府県

教育委員会

特別支援学校への就学奨励に関する法律(昭和二十

九年法律第百四十四号)による特別支援学校への就

学のため必要な経費の支弁に関する事務であって主

務省令で定めるもの

二十七 都道府県教育委員会又は市

町村教育委員会

学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)に

よる医療に要する費用についての援助に関する事務

であって主務省令で定めるもの

二十八 国家公務員共済組合 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十

八号)による短期給付の支給に関する事務であって

主務省令で定めるもの

二十九 国家公務員共済組合連合会 国家公務員共済組合法又は国家公務員共済組合法の

長期給付に関する施行法(昭和三十三年法律第百二

十九号)による年金である給付の支給に関する事務

であって主務省令で定めるもの

三十 市町村長又は国民健康保険組

国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)

による保険給付の支給又は保険料の徴収に関する事

務であって主務省令で定めるもの

三十の二 都道府県知事 国民健康保険法による国民健康保険保険給付費等交

付金の交付に関する事務であって主務省令で定める

もの

三十一 厚生労働大臣 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)によ

る年金である給付若しくは一時金の支給、保険料そ

の他徴収金の徴収、基金の設立の認可又は加入員の

資格の取得及び喪失に関する事項の届出に関する事

務であって主務省令で定めるもの

三十二 国民年金基金 国民年金法による年金である給付若しくは一時金の

支給又は掛金の徴収に関する事務であって主務省令

で定めるもの

Page 92: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 92 -

三十三 国民年金基金連合会 国民年金法による年金である給付又は一時金の支給

に関する事務であって主務省令で定めるもの

三十三の二 独立行政法人勤労者退

職金共済機構

中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十

号)による退職金、解約手当金又は差額の支給に関

する事務であって主務省令で定めるもの

三十四 市町村長 知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)

による障害福祉サービス、障害者支援施設等への入

所等の措置又は費用の徴収に関する事務であって主

務省令で定めるもの

三十五 住宅地区改良法(昭和三十

五年法律第八十四号)第二条第二項

に規定する施行者である都道府県知

事又は市町村長

住宅地区改良法による改良住宅(同法第二条第六項

に規定する改良住宅をいう。以下同じ。)の管理若

しくは家賃若しくは敷金の決定若しくは変更又は収

入超過者に対する措置に関する事務であって主務省

令で定めるもの

三十六 厚生労働大臣 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年

法律第百二十三号)による職業紹介等、障害者職業

センターの設置及び運営、納付金関係業務若しくは

納付金関係業務に相当する業務の実施、在宅就業障

害者特例調整金若しくは報奨金等の支給又は登録に

関する事務であって主務省令で定めるもの

三十六の二 市町村長 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三

号)による被災者台帳の作成に関する事務であって

主務省令で定めるもの

三十七 都道府県知事等 児童扶養手当法(昭和三十六年法律第二百三十八

号)による児童扶養手当の支給に関する事務であっ

て主務省令で定めるもの

三十八 国税庁長官 国税通則法その他の国税に関する法律による国税の

納付義務の確定、納税の猶予、担保の提供、還付又

は充当、附帯税(国税通則法第二条第四号に規定す

る附帯税をいう。)の減免、調査(犯則事件の調査

を含む。)、不服審査その他の国税の賦課又は徴収

に関する事務であって主務省令で定めるもの

三十九 地方公務員共済組合又は全 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五

Page 93: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 93 -

国市町村職員共済組合連合会 十二号)による短期給付若しくは年金である給付又

は地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施

行法(昭和三十七年法律第百五十三号)による年金

である給付の支給に関する事務であって主務省令で

定めるもの

四十 厚生労働大臣 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法(昭和三十

八年法律第六十一号)による特別給付金の支給に関

する事務であって主務省令で定めるもの

四十一 市町村長 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)によ

る福祉の措置又は費用の徴収に関する事務であって

主務省令で定めるもの

四十二 厚生労働大臣 戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八

号)による援護に関する事務であって主務省令で定

めるもの

四十三 都道府県知事 母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律

第百二十九号)による資金の貸付けに関する事務で

あって主務省令で定めるもの

四十四 都道府県知事又は市町村長 母子及び父子並びに寡婦福祉法による配偶者のない

者で現に児童を扶養しているもの又は寡婦について

の便宜の供与に関する事務であって主務省令で定め

るもの

四十五 都道府県知事等 母子及び父子並びに寡婦福祉法による給付金の支給

に関する事務であって主務省令で定めるもの

四十六 厚生労働大臣又は都道府県

知事

特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和三十

九年法律第百三十四号)による特別児童扶養手当の

支給に関する事務であって主務省令で定めるもの

四十七 都道府県知事等 特別児童扶養手当等の支給に関する法律による障害

児福祉手当若しくは特別障害者手当又は国民年金法

等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四

号。以下「昭和六十年法律第三十四号」という。)

附則第九十七条第一項の福祉手当の支給に関する事

務であって主務省令で定めるもの

四十八 厚生労働大臣 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和四

Page 94: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 94 -

十年法律第百号)による特別弔慰金の支給に関する

事務であって主務省令で定めるもの

四十九 市町村長 母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)による

保健指導、新生児の訪問指導、健康診査、妊娠の届

出、母子健康手帳の交付、妊産婦の訪問指導、低体

重児の届出、未熟児の訪問指導、養育医療の給付若

しくは養育医療に要する費用の支給又は費用の徴収

に関する事務であって主務省令で定めるもの

五十 厚生労働大臣 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法(昭和四

十一年法律第百九号)による特別給付金の支給に関

する事務であって主務省令で定めるもの

五十一 厚生労働大臣又は都道府県

知事

雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)によ

る職業転換給付金の支給に関する事務であって主務

省令で定めるもの

五十二 厚生労働大臣 雇用対策法による再就職援助計画の認定に関する事

務であって主務省令で定めるもの

五十三 厚生労働大臣 戦没者の父母等に対する特別給付金支給法(昭和四

十二年法律第五十七号)による特別給付金の支給に

関する事務であって主務省令で定めるもの

五十四 地方公務員災害補償基金 地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十

一号)による公務上の災害又は通勤による災害に対

する補償に関する事務であって主務省令で定めるも

五十五 石炭鉱業年金基金 石炭鉱業年金基金法(昭和四十二年法律第百三十五

号)による年金である給付又は一時金の支給に関す

る事務であって主務省令で定めるもの

五十六 市町村長(児童手当法(昭

和四十六年法律第七十三号)第十七

条第一項の表の下欄に掲げる者を含

む。)

児童手当法による児童手当又は特例給付(同法附則

第二条第一項に規定する給付をいう。以下同じ。)

の支給に関する事務であって主務省令で定めるもの

五十七 厚生労働大臣 雇用保険法による失業等給付の支給又は雇用安定事

業若しくは能力開発事業の実施に関する事務であっ

て主務省令で定めるもの

Page 95: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 95 -

五十八 厚生労働大臣 賃金の支払の確保等に関する法律(昭和五十一年法

律第三十四号)による未払賃金の立替払に関する事

務であって主務省令で定めるもの

五十九 市町村長又は高齢者の医療

の確保に関する法律(昭和五十七年

法律第八十号)第四十八条に規定す

る後期高齢者医療広域連合(以下

「後期高齢者医療広域連合」とい

う。)

高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者

医療給付の支給又は保険料の徴収に関する事務で

あって主務省令で定めるもの

六十 厚生労働大臣 昭和六十年法律第三十四号附則第八十七条第二項の

規定により厚生年金保険の実施者たる政府が支給す

るものとされた年金である保険給付又は一時金の支

給に関する事務であって主務省令で定めるもの

六十一 厚生労働大臣 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)による港

湾労働者証の交付に関する事務であって主務省令で

定めるもの

六十二 厚生労働大臣 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国

した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に

関する法律(平成六年法律第三十号)による永住帰

国旅費、自立支度金、一時金若しくは一時帰国旅費

の支給又は保険料の納付に関する事務であって主務

省令で定めるもの

六十三 都道府県知事等 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国

した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に

関する法律による支援給付又は配偶者支援金(以下

「中国残留邦人等支援給付等」という。)の支給に

関する事務であって主務省令で定めるもの

六十四 都道府県知事又は広島市長

若しくは長崎市長

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六

年法律第百十七号)による被爆者健康手帳の交付、

健康診断の実施、医療特別手当、特別手当、原子爆

弾小頭症手当、健康管理手当、保健手当、介護手当

若しくは葬祭料の支給又は居宅生活支援事業若しく

は養護事業の実施に関する事務であって主務省令で

定めるもの

Page 96: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 96 -

六十五 厚生労働大臣 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律による一

般疾病医療費の支給に関する事務であって主務省令

で定めるもの

六十六 厚生労働大臣 厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成八年

法律第八十二号。以下「平成八年法律第八十二号」

という。)附則第十六条第三項の規定により厚生年

金保険の実施者たる政府が支給するものとされた年

金である給付の支給に関する事務であって主務省令

で定めるもの

六十七 平成八年法律第八十二号附

則第三十二条第二項に規定する存続

組合又は平成八年法律第八十二号附

則第四十八条第一項に規定する指定

基金

平成八年法律第八十二号による年金である長期給付

又は年金である給付の支給に関する事務であって主

務省令で定めるもの

六十八 市町村長 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)による保

険給付の支給、地域支援事業の実施又は保険料の徴

収に関する事務であって主務省令で定めるもの

六十九 都道府県知事 被災者生活再建支援法(平成十年法律第六十六号)

による被災者生活再建支援金の支給に関する事務で

あって主務省令で定めるもの

七十 都道府県知事又は保健所を設

置する市(特別区を含む。以下同

じ。)の長

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関す

る法律(平成十年法律第百十四号)による入院の勧

告若しくは措置、費用の負担又は療養費の支給に関

する事務であって主務省令で定めるもの

七十一 確定給付企業年金法(平成

十三年法律第五十号)第二十九条第

一項に規定する事業主等又は企業年

金連合会

確定給付企業年金法による年金である給付又は一時

金の支給に関する事務であって主務省令で定めるも

七十二 確定拠出年金法(平成十三

年法律第八十八号)第三条第三項第

一号に規定する事業主

確定拠出年金法による企業型記録関連運営管理機関

への通知、企業型年金加入者等に関する原簿の記録

及び保存又は企業型年金の給付若しくは脱退一時金

の支給に関する事務であって主務省令で定めるもの

七十三 国民年金基金連合会 確定拠出年金法による個人型年金加入者等に関する

Page 97: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 97 -

原簿若しくは帳簿の記録及び保存又は個人型年金の

給付若しくは脱退一時金の支給に関する事務であっ

て主務省令で定めるもの

七十四 厚生労働大臣 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制

度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法

等を廃止する等の法律(平成十三年法律第百一号)

附則第十六条第三項の規定により厚生年金保険の実

施者たる政府が支給するものとされた年金である給

付の支給に関する事務であって主務省令で定めるも

七十五 農林漁業団体職員共済組合 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制

度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法

等を廃止する等の法律による年金である給付(同法

附則第十六条第三項の規定により厚生年金保険の実

施者たる政府が支給するものとされた年金である給

付を除く。)若しくは一時金の支給又は特例業務負

担金の徴収に関する事務であって主務省令で定める

もの

七十六 市町村長 健康増進法(平成十四年法律第百三号)による健康

増進事業の実施に関する事務であって主務省令で定

めるもの

七十七 独立行政法人農業者年金基

独立行政法人農業者年金基金法(平成十四年法律第

百二十七号)による農業者年金事業の給付の支給若

しくは保険料その他徴収金の徴収又は同法附則第六

条第一項第一号の規定により独立行政法人農業者年

金基金が行うものとされた農業者年金基金法の一部

を改正する法律(平成十三年法律第三十九号。以下

「平成十三年法律第三十九号」という。)による改

正前の農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十

八号)若しくは農業者年金基金法の一部を改正する

法律(平成二年法律第二十一号。以下「平成二年法

律第二十一号」という。)による改正前の農業者年

金基金法による給付の支給に関する事務であって主

務省令で定めるもの

Page 98: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 98 -

七十八 独立行政法人日本スポーツ

振興センター

独立行政法人日本スポーツ振興センター法(平成十

四年法律第百六十二号)による災害共済給付の支給

に関する事務であって主務省令で定めるもの

七十九 独立行政法人福祉医療機構 独立行政法人福祉医療機構法(平成十四年法律第百

六十六号)による小口の資金の貸付けに関する事務

であって主務省令で定めるもの

八十 独立行政法人医薬品医療機器

総合機構

独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四

年法律第百九十二号)による副作用救済給付、感染

救済給付、給付金若しくは追加給付金の支給又は同

法附則第十五条第一項第一号若しくは第十七条第一

項の委託を受けて行う事業の実施に関する事務で

あって主務省令で定めるもの

八十一 独立行政法人日本学生支援

機構

独立行政法人日本学生支援機構法(平成十五年法律

第九十四号)による学資の貸与に関する事務であっ

て主務省令で定めるもの

八十二 厚生労働大臣 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医

療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十

号)による処遇改善の請求に関する事務であって主

務省令で定めるもの

八十三 厚生労働大臣 特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する

法律(平成十六年法律第百六十六号)による特別障

害給付金の支給に関する事務であって主務省令で定

めるもの

八十四 都道府県知事又は市町村長 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する

ための法律(平成十七年法律第百二十三号)による

自立支援給付の支給又は地域生活支援事業の実施に

関する事務であって主務省令で定めるもの

八十五 厚生労働大臣 石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八

年法律第四号)による特別遺族給付金の支給に関す

る事務であって主務省令で定めるもの

八十六 厚生労働大臣又は日本私立

学校振興・共済事業団、国家公務員

共済組合連合会、地方公務員共済組

社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例

等に関する法律(平成十九年法律第百四号)による

文書の受理及び送付又は保有情報の提供に関する事

Page 99: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 99 -

合、全国市町村職員共済組合連合会

若しくは地方公務員共済組合連合会

務であって主務省令で定めるもの

八十七 厚生労働大臣 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る

時効の特例等に関する法律(平成十九年法律第百十

一号)による保険給付又は給付の支給に関する事務

であって主務省令で定めるもの

八十八 厚生労働大臣 厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等

に関する法律(平成十九年法律第百三十一号)によ

る特例納付保険料の徴収に関する事務であって主務

省令で定めるもの

八十九 都道府県知事 地方法人特別税等に関する暫定措置法(平成二十年

法律第二十五号)による地方法人特別税の賦課徴収

又は地方法人特別税に関する調査(犯則事件の調査

を含む。)に関する事務であって主務省令で定める

もの

九十 厚生労働大臣 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払

の遅延に係る加算金の支給に関する法律(平成二十

一年法律第三十七号)による保険給付遅延特別加算

金又は給付遅延特別加算金の支給に関する事務で

あって主務省令で定めるもの

九十一 文部科学大臣、都道府県知

事又は都道府県教育委員会

高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成二

十二年法律第十八号)による就学支援金の支給に関

する事務であって主務省令で定めるもの

九十二 厚生労働大臣 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に

関する法律(平成二十三年法律第四十七号)による

職業訓練受講給付金の支給に関する事務であって主

務省令で定めるもの

九十三 地方公務員等共済組合法の

一部を改正する法律(平成二十三年

法律第五十六号。以下「平成二十三

年法律第五十六号」という。)附則

第二十三条第一項第三号に規定する

存続共済会

平成二十三年法律第五十六号による年金である給付

の支給に関する事務であって主務省令で定めるもの

Page 100: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

- 100 -

九十四 市町村長 子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五

号)による子どものための教育・保育給付の支給又

は地域子ども・子育て支援事業の実施に関する事務

であって主務省令で定めるもの

九十五 厚生労働大臣 年金生活者支援給付金の支給に関する法律(平成二

十四年法律第百二号)による年金生活者支援給付金

の支給に関する事務であって主務省令で定めるもの

九十六 公的年金制度の健全性及び

信頼性の確保のための厚生年金保険

法等の一部を改正する法律(平成二

十五年法律第六十三号。以下「平成

二 十 五 年 法律 第 六 十三 号 」 とい

う。)附則第三条第十一号に規定す

る存続厚生年金基金

平成二十五年法律第六十三号附則第五条第一項の規

定によりなおその効力を有するものとされた平成二

十五年法律第六十三号第一条の規定による改正前の

厚生年金保険法による年金である給付又は一時金の

支給に関する事務であって主務省令で定めるもの

九十七 平成二十五年法律第六十三

号附則第三条第十三号に規定する存

続連合会又は企業年金連合会

平成二十五年法律第六十三号による年金である給付

又は一時金の支給に関する事務であって主務省令で

定めるもの

九十八 都道府県知事 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十

六年法律第五十号)による特定医療費の支給に関す

る事務であって主務省令で定めるもの

Page 101: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

1

taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
【添付資料1】
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
Page 102: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

2

3

Page 103: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

4

5

Page 104: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

6

7

Page 105: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

17 1

8

9

Page 106: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

1-1-1

10

11

Page 107: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

12

• 1

1234

1-1-1

13

Page 108: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

1234

5678

1234

9999

9999

5678

9999

25.4.1

9876 25.4.1

14

226 1

226 2

225 1 3

225 1 2

225 1 9

225 1 9

15

Page 109: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

16

17

Page 110: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

18

19

Page 111: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

14 or200 or 2 or

100

23 or150 or 1 or

502 or100

3

4 3 or150 3 or

50

5 2 or100

1 or50

6 1 or30

7 2 or50

6 or30

1 or50

8 1 or50 30 30

9 6 or50 30

20

21

Page 112: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

26 155

22

23

Page 113: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

24

25

Page 114: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

26

27

Page 115: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
【添付資料2】
taira_n
タイプライターテキスト
Page 116: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
【添付資料3】
taira_n
タイプライターテキスト
Page 117: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

1

taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
【添付資料4】
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
タイプライターテキスト
taira_n
長方形
Page 118: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

27

CIO

2

9 3

3

Page 119: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

P 2018 H30

2014

2015

2015

2015 H27 10

2016 H28 1

4

5

Page 120: スタート!マイナンバー法 ~マイナンバーのイロハ~東京法曹会 平成27年度 第2回実務研究会 (67期2班 研究発表) スタート!マイナンバー法

6