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マーケティング本部 パナソニック リビング ショウルーム...〒540-6217 大阪市中央区城見2丁目1番61号 OBPパナソニックタワー17F 〒980-0014

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発行 : 2020年5月 発行所 : パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社 コミュニケーション部 発行人 : 田中雅資〒571- 8686 大阪府門真市門真1048 http://panasonic.co. jp/ls/ Panasonic Corporat ion 2020 本誌掲載記事、写真、イラストの無断転載を禁ず。c

〒370-0006 高崎市問屋町1丁目6番7号

〒105-8301 東京都港区東新橋1丁目5番1号

〒105-8301 東京都港区東新橋1丁目5番1号

〒060-0809 札幌市北区北9条西2丁目1番地

〒450-8611 名古屋市中村区名駅南2丁目7番55号

〒730-8577 広島市中区中町7番1号

〒810-8530 福岡市中央区薬院3丁目1番24号

〒540-6214 大阪市中央区城見2丁目1番61号OBPパナソニックタワー14F

〒540-6217 大阪市中央区城見2丁目1番61号OBPパナソニックタワー17F

〒980-0014 仙台市青葉区本町2丁目4番6号仙台本町三井ビルディング内

〒060-0809 札幌市北区北9条西2丁目1番地0800-170-3820

札 幌

〒980-0014 仙台市青葉区本町2丁目4番6号 仙台本町三井ビルディング1F0800-170-3830

仙 台

〒105-8301 東京都港区東新橋1丁目5番1号0800-170-3840

( 汐留 )

東 京

〒221-0056 横浜市神奈川区金港町2番6号 横浜プラザビル1F 0800-170-3841

横 浜

〒450-8611 名古屋市中村区名駅南2丁目7番55号0800-170-3850

名古屋

〒530-0011 大阪市北区大深町4番20号グランフロント大阪 南館(2F~B1F) 0800-170-3860

大 阪

〒730-8577 広島市中区中町7番1号 0800-170-3870

広 島

〒810-8530 福岡市中央区薬院3丁目1番24号 0800-170-3880

福 岡

マーケティング本部 パナソニック リビング ショウルーム

北海道電材

東北電材

関東電材

中部電材

中四国電材

九 州電材

近畿特機

近畿電材

首都圏電材

首都圏特機

( 有明 )

〒135-0063 東京都江東区有明3丁目5番1号(03)3599-2600

東 京

コーポレートショウルーム パナソニックセンター

継続能力開発(C P D)自習 型 認 定 研 修

この情報誌は、公益社団法人 日本建築士会連合会の継続能力開発(CPD)の「自習型認定研修」教材として認定されています。

建築士会CPD制度の回答は下記WEBサイトから。http://www.kenchikushikai.or.jp/cpd-new/cpd-index.html

次のうち誤っているものはどれか。

a.日本における博物館の数はわずかな増加を続けている。

b.自然光には作品を損なう紫外線・赤外線が含まれている。

c.LEDは波長を調整することで特定の色が強調できる。

設 問

関連情報は本誌に掲載されています。

皆様のご意見をお聞かせくださいお問い合わせ

(06)6908 -1131・大代表

パナソニックのソリューション

http://www2.panasonic.biz/ls/solution/ http://www2.panasonic.biz/ls/solution/report/archi/qe/

抽選で10名様に木下史青氏の著書を差し上げます。【応募締切】2020年7月31日(金)

皆様のお役に立てるよう、『建築設計REPORT』の編集内容をより充実させていきたいと考えています。下記URL、QRコードにアクセスいただき、5問程度のアンケートにご協力ください。

照明設計サポートサイト P . L . A . M .光による空間づくりをサポート↓お問い合わせ、カタログ請求もこちらから

https://www2.panasonic.biz/ls/lighting/plam/

※開館日や時間を変更したり、事前ご予約制とさせていただく場合があります。 ショウルームご来場の際には、ウェブサイトで事前にご確認ください。

https://www.panasonic.com/jp/corporate/center.html

https://sumai.panasonic.jp/sr/

S P E C I A L I N T E R V I E W価値観・世界観を空間全体で見せるミュージアム

文化庁は、博物館を歴史や科学博物館をはじめ、美術館、動物園、

水族館などを含む多様な施設と位置づけている。日本では1980年

代の後半から1990年代にかけて博物館が数多く建設され、2008年

に5,775館を記録して以降、その数は緩やかに減少している。しか

し、名だたる建築家によって設計され多くの資金が投入されたミュー

ジアムは地域の貴重な資産であり、リニューアルとメンテナンスを繰

り返すことによって良質な社会資本として維持していくことは、それ

を継承する私たちの責務とも言える。貴重な展示品を保存しながら

多くの人に鑑賞されるという相反する課題に取り組みながら、ミュー

ジアムにおける光環境を追求されてきた東京国立博物館の展示デ

ザイナーである木下史青氏に、ミュージアムの展示空間のあり方と

課題をたずねた。

博物館のルーツは文明開化の博覧会─ 美術館と博物館は何が違うのでしょうか。

英語で博物館はMuseumとされ、美術館はArt museumまたはArt

galleryとされています。すなわち、美術館は美術の博物館だといえ

るでしょう。西洋ではミュージアムとは学問の拠点としての施設と捉

えられています。たとえば大英博物館には、大英帝国が七つの海を

越え、まだ知られていなかった世界を発見し、そこで得たモノを持ち

帰って来た収集品が膨大に蓄積されています。モノを集めることに

対する執念を燃やし、全世界から珍しいモノや動物を集めて来て、

学問として体系づけたのが博物館です。こうして、大英博物館が一

般公開されたのは1759年とされています。

日本では長い鎖国を終えた明治の文明開化によって、すべてが始ま

りました。1872(明治5)年に湯島聖堂大成殿を会場として文部省博

物局による日本初の展覧会が開かれました。ここでは、文化財や剥

製、標本などが展示されたのですが、どちらかというと見世物小屋的

なものだったようです。実はこれが東京国立博物館のルーツです。

この1872年3月10日が東京国立博物館の創立日とされていて、

2022年に創立150周年を迎えようとしています。

東京国立博物館には法隆寺宝物館がありますが、奈良県斑鳩の法

隆寺の宝物がここにある理由は、1868年の明治政府による神仏分

離令が背景にあります。これにより、全国で廃仏毀釈という寺院・仏

像の破壊が始まりました。そこで経済的に困った寺院が宝物を皇室

に献上しました。その後それが東京国立博物館の管理になったとい

う経緯があります。

また、美術品に関しても明治を迎えるまで日本には美術という概念

そのものがなく、「美術」という言葉も明治時代始めにつくられたも

のです。明治政府は、美術を新しい日本に根付かせ美術を担う人材

育成のために東京美術学校を創立し、日本にも世界に誇る彫刻が

あるということで、そこに仏像造りをしていた高村光雲を教授として

招きました。そして、人びとにまだ親しまれていなかった美術を、観て

楽しんでもらうために建設したのが美術館でした。

[展示デザイナー/東京国立博物館 学芸企画部 上席研究員][展示デザイナー/東京国立博物館 学芸企画部 上席研究員]

価値観・世界観を   空間全体で見せるミュージアム

C O N T E N T S

*本誌では略称を用いています。また、一部敬称は略させていただきます。表紙写真: 福岡市美術館

特 集 : 地域に輝きを加えるミュージアム

SPECIAL INTERV IEW

木下史青 氏

SPECIAL ED IT ION

東京国立博物館 平成館福岡市美術館北海道立三岸好太郎美術館神奈川県立近代美術館 鎌倉別館彫刻の森 ピカソ館刀剣博物館神戸市立博物館

くらしは文化

国立民族学博物館

1

571113151719

21

建築設計REPORT vol.33 | 21

1965年東京生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科 博士後期課程修了 学位取得(美術)、株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツを経て、1998年より専属の展示デザイナーとして東京国立博物館に勤務。照明、配置、保存など展示に関するプロデュースを主な業務とし、「国宝 平等院展」「国宝 阿修羅展」をはじめとする特別展・総合文化展の展示デザインを手がける。現在、独立行政法人国立文化財機構 東京国立博物館 上席研究員(デザイン)東京国立博物館百五十年史編纂室兼務。2004年、東京国立博物館の本館リニューアルにおいて平常展示のリニューアルデザインを担当し、2006年日本デザイン学会年間作品賞、2016年「平等院ミュージアム鳳翔館」照明改修・北米照明学会照明賞「Award of Merit」、2017年「那覇市立壺屋焼物博物館」照明改修・北米照明学会照明賞「Award of Merit」を受賞。著書:『博物館へ行こう』(岩波ジュニア新書)、『東京帝室博物館・復興本館の昼光照明計画』(東京国立博物館 紀要)、共著に『昭和初期の博物館建築』(東海大学出版会)。

木下 史青氏

S P E C I A L I N T E R V I E W価値観・世界観を空間全体で見せるミュージアム

環境造形デザインの視点でミュージアム空間を捉える─ どうして博物館に関わられるようになったのですか。

東京藝術大学三年生の時に専攻した環境造形デザインは、クルマ

や電気製品などの工業製品やイラストレーションのような作品だけを

デザインするのではなく、それを取り巻く空間・環境全体を考えるデザ

インでした。そこでは、都市・建築・庭園・インテリア・家具のデザイン

がヒトとどのような関係性を持っているかという「ヒト・モノ・バ」への視

点を身に付けることが重視され、流行にあわせて膨大な量を造り、消

費し尽くしてきたこれまでのデザインへの反省がありました。

このデザインの考え方と博物館への興味が初めて結びついたのが、

ミュンヘンのグリュプトテーク(古代彫刻陳列館)を訪れた時でした。

展示空間に足を踏み入れた途端に、空間全体から体全体を揺さぶる

ような衝撃を受け、見たこともない「展示空間の質の高さ」を体験しま

した。ギリシャ神殿の彫刻は自然光のもとにあり、時間によって影も

変化します。そこでは、光の秩序を受けながら変化する古代彫刻を展

示していました。素晴らしい作品の価値観や世界観を空間全体で見

せるグリュプトテークに立ち、このような展示デザインを自分でやって

みたいと思ったのです。

総合文化展である平常展を楽しく見せる展示デザイン─ 展示デザイナーとはどのような仕事なのでしょうか。

展示室の作品配置や照明、展示ケースのデザインをはじめとして、

展示にまつわる全体をプロデュースしています。かつて、展示のすべ

ては学芸員(キュレーター)の仕事でしたが、キュレーターは収集され

た資料の研究を行うべきということで、モノの魅力をお客様に正しく

伝えるために展示デザイナーが設けられました。さらに展示デザイ

ナーに加え、教育普及を担当するエデュケーションスタッフ、収蔵庫

の管理を行う担当部署が協力して進めています。

よく「美術館にいくといつも混んでいる」という声を聞きますが、それ

は博覧会としての「特別展」が混んでいるからです。僕も2009年まで

は特別展のデザインを手がけていたのですが、当時は1日に1万人、

2万人のお客様をお迎えして、2~3時間並ぶこともありました。特別展

の原点を博覧会と考えれば、混雑してはいるものの、そこでは各地に

足を伸ばさなくても、一カ所でその世界をまとめて見ることができます。

また、海外の博物館やコレクションから一つのテーマで集められた特

別展もあるかもしれません。特別展は、さまざまな世界観や価値観が

まとめて見られる福袋のようなお得な展覧会だとも言えます。

一方、総合文化展(平常展)の来館者は日に千人台ということも珍し

くはありません。そこで、東京国立博物館では平常展をもっと活性化

しようと、2004年に本館日本美術の展示をがらりと変えました。現在、

僕が力を注いでいるのは総合文化展をより楽しく、よく見せるというこ

とです。その延長として、「博物館に初もうで」や「博物館でお花見を」

など、総合的に日本文化を伝える企画も展開しています。

総合文化展は平常展といっても、いつも同じものが展示されている

訳ではありません。たとえば日本では、床の間に季節に合わせた掛け

軸を掛け、それに合わせて屏風を出していました。それが日本美術の

「古くからの楽しみ方」なのだと思います。西洋彫刻のように絶対的

な価値を見せるのでは無く、季節の変化を楽しんでいただく。そういう

意味では、日本の博物館が展示替えをするのは当たり前なのです。

東京国立博物館の総合文化展では、浮世絵版画は2週間ごと、絵画

は4週間ごとに展示替えをしています。絵画、彫刻、染織品、工芸品

などの展示室では、ほぼ毎週どこかで展示替えが行われています。

「展示」と「保存」は博物館の重要な役割─ 博物館における展示の課題とは何ですか。

日本では博覧会で珍しく奇妙なモノを展示することから始まった博物館

ですが、展示すればモノは傷んでしまいます。そこで出てきたのが「保

存」という考え方です。博物館にとっては「展示」と「保存」は相反する

重要な課題なのです。正倉院が良い例で、巻子や冊子(正倉院の場

合は仏教の経典など)は1日1万人もの人が見るものではなく、限定さ

れた空間で、プライベートに鑑賞するものでした。そのため、正倉院は

保存(収蔵)に特化されています。しかし、博物館はそうはいきません。

モノは振動、空気汚染、温湿度の変化、虫害、有害な紫外線・赤外線、

強すぎる照明など、さまざまな刺激で傷んでしまいます。博物館・美術

館にはこれを少しでも遅らせようと努力する保存修復研究の専門家、

コンサベーターがいます。「展示」と「保存」を両立していくには、キュ

レーターとデザイナーそして美術作品などの保存・修復担当専門職員

が足並みを揃えていかないと難しいのです。

博物館の展示照明は照明技術の進化の歴史─ 「展示」と「保存」を両立するには何が必要でしょうか。

展示物の価値観と世界観を分かりやすく見せるキーとなるのが照明

です。本来、自然光で見るのが一番自然なのですが、紫外線・赤外線や

照度が強く、展示物を保存する視点からは、自然光は選択できません。

そうなると人工の照明になりますが、電気がまだない時代に、太陽光

や月明かりや火を使って見ていた時代のモノを、人工の光で正しさと

美しさを追求するには、照明の技術開発と実用化のスピードに期待

するしかありません。博物館の展示照明の歴史は、照明技術の進歩

と並行していると言ってよいでしょう。

僕が博物館で展示デザイナーとしてやってきたのは大きく二つ。ガラ

スの性能を上げることと、照明器具の眩しさをカットすることです。照

明では、不快グレアを与えないように光源が目に入らない位置に照

明器具を設置し、ルーバで光を制御しました。また、光ファイバーを用

いた照明システムも採用しました。これは光源から光ファイバーを引

いて光を導き、展示ケース内に小さな点光源を設ける照明システム

です。これなら光を絞って展示を照明演出できるだけでなく、ケース

外に光源(熱源にもなる)を設置できるので展示品に熱を与えること

なく、紫外線や赤外線も抑えられるので保存性に優れています。

展示ケース照明では長い間、美術・博物館用蛍光灯(紫外線吸収膜

付)が用いられてきました。しかしこれは赤外線・紫外線カットフィルム

を装着しており、演色性能を高めるために照度は抑えられています。

このため、博物館・美術館では「暗い」という苦情が多いのです。しか

し、明るさ感を高めることはできます。このため、東京国立博物館本

館では間接照明を用いて天井面を明るく見せるなどの工夫もしてい

ます。

次世代照明の基準を示す試み─ 博物館展示の鍵となる照明には  何が求められていくのでしょうか。

2008~9年に東洋館の耐震改修工事にともなう展示リニューアルを

検討した際、僕が手がけた実施設計の入札仕様書では蛍光灯とハ

ロゲンランプが中心でした。当時のLEDは性能的にまったく使えるも

のではなかったのです。そこから東洋館がリニューアルオープンした

2013年11月までの間、基本設計から実施設計、施工入札までの間

にLEDのコストが急激に下がり、性能も上がってきました。そこで、実

験という意味も含めて東洋館で初めてLEDを採用したのです。

今となっては、気がついたらオフィスも廊下も、私たちの周りのあかり

はLEDになっています。ですから、LEDは違和感のない光になったと

思います。しかし、博物館という場所で光にこだわって見た場合、違

いを感じないでしょうか。音楽がレコードからCDになり、ダウンロード・

データになってしまいましたが、なぜかレコードの良さを感じるように。

LEDは、暗くしても対象が見えすぎてしまいます。実際に、ある美術館

で刀剣の展覧会を開催したところ、国宝や重要文化財の刀剣を並べ

ているのに、すべてが家庭用包丁のように見えてしまいました。違和

感を覚える原因の一つは、点光源の集まりになっているので、その分

だけ眩しくなるためかもしれません。しかし、それだけではないような気

もするのです。また、LEDは波長をさわることができるので、「これまで

見えていなかった青が見えてくる」といった、特性のある光を作り出す

ことが可能です。しかしこれは本物を見せることにはつながりません。

博物館で求められているのは本物をいかに見せるかということです。

僕が委員を務めている照明学会の「美術館・博物館の次世代照明

基準に関する調査委員会」から、近く報告書がまとまります。そこでは

美術館・博物館に求められる照明の要件や性能基準、具体的指針な

どが提示される予定です。これにより、日本の美術館・博物館用にお

ける次世代照明の標準が示されることになると思います。

ミュージアムに行こう─ お話を伺っていると、博物館に行きたくなりました。

東京国立博物館のあるべき姿は静かな空間です。仕事に疲れて訪

れるとほっとする空間を造っておかなくてはいけないと考えています。

この博物館の凄いところは、ここに来れば日本の歴史を考古遺物や美

術・工芸品、歴史資料などでたどれることです。縄文時代から江戸時

代まで、そして昭和・平成まで、本館と平成館 考古展示室でたどること

ができます。東洋館ではエジプトからシルクロードを経て、中国・東南ア

ジア・朝鮮半島まで、これだけの展示品があるのは、アジアではここだ

けです。特別展が開催されていなくても、総合文化展で本物にふれる

ことができるようにデザインを凝らしています。ぜひ、時間を見つけて

お運びください。

─ ありがとうございました。

建築設計REPORT vol.33 | 43

● 展示ケース用照明器具(高演色・調光タイプ)● 調光装置(ライトマネージャーFx)● スペースプレーヤー

主な設備

展示ケース上部に設置された直管LED2灯用器具

国宝 銀象嵌銘大刀に象嵌された「馬」を、スペースプレーヤーで壁面に照射

旧石器時代から江戸時代までの日本の歴史を考古遺物でたどる平成館1階の考古展示室。左奥のボックスに見える壁の中は、国宝 銀象嵌銘大刀(江田船山古墳出土)が展示されているコーナー

東洋館に続いて平成館でも、照明器具にLEDを

採用。旧石器時代から江戸時代までの日本の歴

史を考古遺物でたどる1階の考古展示室は

2015年10月にリニューアルオープンし、展示

ケース内の既設照明を、3000K・4000Kの直管

LED2灯用器具に一新した。照明器具を展示

ケース内天井に設置するとともに、配光制御の

ため、遮光パネルや場所によってピッチの異な

るルーバを装備。ケースの入り隅では対向面の

光源がガラスに映り込まないように配慮されて

いる。また、調光装置を導入することで、時代ご

とのクロスの色や展示品に合わせて、色温度を

3000~4000Kに変更することが可能となった。

S P E C I A L E D I T I O NT O K Y O N A T I O N A L M U S E U M H E I S E I K A N

色温度の異なる直管LED2灯用器具で展示物に最適な照明環境を提供東京国立博物館では、表慶館(1909年開館)、

本館(1938年開館)、東洋館(1968年開館)、

2代目の法隆寺宝物館(1999年7月)に続いて

同年10月に平成館が開館。それまで本館または

東洋館地下で特別展が開催される場合は平常

展※を縮小せざるを得なかったが、平成館2階全

体を特別展専用の展示室とすることで、年間を

通して平常展(本館:日本美術の流れ・平成館

1階:考古展示室)が観覧できるようになった。

2014年2月から2015年4月まで閉室して、平成

館の空調・照明設備を中心とした改修が行われ、※2011年より総合文化展に名称変更

ウェブサイトでもご覧いただけます

/東京都台東区上野公園/東京国立博物館/日本電設工業株式会社/2015年10月

所 在 地施 主電 気 工 事リニューアル竣工

■展示ケース照明設備改修工事

東京国立博物館 平成館

展示物を照射するとともに壁面照度を明るくフラットにすることで背景をつくり、展示物を際立たせ、見やすい展示環境を実現

1階考古展示室の周囲全体を占める展示ケース

T O K Y O N A T I O N A L M U S E U M H E I S E I K A N

東京国立博物館 平成館

5 6建築設計REPORT vol.33 |

全景を隠していた生け垣と木々が撤去され、大濠池沿いの遊歩道から新たなアプローチが設けられた福岡市美術館。庭園灯や1階の新設カフェ、2階レストランからの光が人びとをいざなう

F U K U O K A A R T M U S E U M福岡市美術館S P E C I A L E D I T I O NF U K U O K A A R T M U S E U M

建築設計REPORT vol.33 | 87

S P E C I A L E D I T I O NF U K U O K A A R T M U S E U M

ウェブサイトでもご覧いただけます

(上)ベース照明が落ち着いた雰囲気を醸し出す古美術企画展示室(下)均斉度の高い空間となった近現代美術室C

建築・設備・展示・運営を進化させ時代に即した「より開かれた美術館」1979年、福岡市美術館は前川國男氏の設

計によって、水景と調和する形で大濠公園の

一角に建設された。長きにわたって市民に愛

され続け、来館者数は約2,400万人を数える

が、開館から35年以上が経過し、施設・設備

が老朽化。展示環境や運営サービスも改善

するため、約2年半の休館期間を設けて改修

工事が行われ、2019年3月にリニューアル

オープンを迎えた。この改修は、全国の美術

館で初めてのPFI※方式によって行われた。

「PFI事業者の選定にあたり、福岡市が美術

館のあるべき姿と活動方針を明確に提示。

建築に関しては、市民から愛されてきた建物

そのものも市民の財産であり作品の一つだ

と考え、前川氏の意匠を継承することを求め

るとともに、時代に即した改修が必要だと判

断した」と総館長の中山 喜一朗氏は語る。

「赤茶色の磁器質タイルの外壁やアーチ状

の天井、はつり壁面など、建築意匠はしっかり

残した。その一方で、新たに園路に面して

広々としたアプローチやカフェを設けたよう

に、誰でも気軽に楽しめる『より開かれた美術

館』を改修のコンセプトとした。

以前の特別展示室は、自然光を取り入れるた

めのトップライトが設けられていた。しかし、作

品の保存と安全を考えて吹き抜けを塞ぎ、均

斉度の高い展示空間をめざして内部空間の

デザインを大きく変えた。実施設計では、パナ

ソニックの門真本社で高さ5mの展示室天井

と壁面を再現し、照明実験によるテストや比

較検討を行った。

当館は、20世紀以降の近現代美術の大作や

黒田家伝来の大名道具、仏教美術など数多く

のコレクションを有する。今回の改修は、これら

のコレクションをより魅力的に見せる意味も

あった。今後はさらに多くの人に見に来てほし

い」と語る。

■福岡市美術館リニューアル事業/福岡県福岡市中央区大濠公園/福岡市/特別目的会社「福岡アートミュージアムパートナーズ株式会社」/2018年9月

所 在 地発 注 者P F I 事業者リニューアル竣工

福岡市美術館

*空撮画像提供:福岡市美術館

※PFI(Private Finance Initiative):公共施設などの建設・維持管理・運営を民間の資金や経営・技術的能力を活用して行う手法

メッシュ天井に照明器具が配置された近現代美術室B

展示ケース照明は調光・調色機能を装備し、5000K(左)から3000K(右)までの演出が可能

寺院風のしつらえにした東光院仏教美術室

一般市民が利用できる可動壁の設けられたギャラリー 天井から電源にアクセスできるアートスタジオ

スリットにダウンライトが配されたミュージアムホール ステージの調光操作卓

● 展示ケース用照明器具(高演色・調光調色タイプ)● 特注ベース照明器具 ● シーンマネージャーG● 調光システム ● 庭園灯

主な設備

建築設計REPORT vol.33 | 109

● 高演色調光スポットライト● システムライト(灯具ユニット内蔵タイプ)● 間接照明器具

主な設備

2層吹き抜けの展示室では高天井のLEDシステムライトと高演色調光スポットライトにリニューアル。展示壁面トップの間接照明が彩りを添えている

新一設計事務所によって設計された。2018年

の改修工事では、これまで資料室だった空間を

展示室に改修するとともに、照明のLED化が行

われた。特に吹き抜けでは壁から突き出たアーム

式の蛍光灯と白熱灯の混合照明器具を、シス

テムライトと高演色調光スポットライトに変更。

高い天井と広々とした展示空間を実現するとと

もに、展示壁面トップに間接照明を配し、変化と

彩りを添えている。美術館としては、今後、開館

50年を機に、三岸好太郎の進取の精神に学び

ながら、若い芸術家の紹介や道内外の美術館

と連携した企画の開催など、活動をさらに広げ

て行く意向だという。

S P E C I A L E D I T I O NM I G I S H I K O T A R O M U S E U M O F A R T , H O K K A I D O

既存照明器具をLED化し広々とした展示空間を実現三岸好太郎美術館は1967年、札幌出身の画家・

三岸好太郎(1903-1934)の作品220点が遺族

から寄贈されたのをきっかけに、全国に先駆けた

個人美術館として設立。三岸作品を収集・保存・

研究、展示を行うとともに、展示室でコンサートを

開催するなど多彩な活動で親しまれてきた。

現在の建物は1983年に札幌市中央区北1条か

ら移転し、新館として建設されたもの。緑に包ま

れた白い建物は、吹き抜け空間や大きなガラス

窓、中庭にしつらえた水盤など、三岸好太郎が

晩年に構想したアトリエからイメージを得、岡田

ウェブサイトでもご覧いただけます

階段の踏み板もスポットライトで照射

/北海道札幌市中央区北2条西15丁目/北海道/株式会社髙木設計事務所/島津電設株式会社、株式会社エイト設計/島津電設株式会社/2018年2月

■展示室改修工事所 在 地施 主設 備 設 計施 工電 気 工 事リニューアル竣工

北海道立三岸好太郎美術館

LEDシステムライトが2階の木質フロアを優しく照らす

2階展示室にも高演色調光スポットライトが用いられている

M I G I S H I K O T A R O M U S E U M O F A R T , H O K K A I D O

北海道立三岸好太郎美術館

11 12建築設計REPORT vol.33 |

● 展示ケース用照明器具 (高演色・調光調色タイプ)● マルチ調光調色システム+カスタムアプリ● ベースライト● 導光板照明器具

主な設備

調光・調色機能を備える特注高演色LEDユニットが採用された2階展示室の固定ケース(左)

意匠が採用された。照明に関しては、展示室・収蔵

庫を含む全室の照明をLED化し、既存の蛍光灯

照明およびハロゲンランプスポットをLEDスポット

ライトに一新。固定ケース内は展示物の色を忠

実に再現する特注高演色LEDユニットに変更さ

れ、2700~5000Kまでの色温度変更が可能と

なった。また、照明効果を確認しながら照度や色温

度を直感的に設定・変更可能な専用タブレットが

採用されている。学芸員の長門佐季氏は「1951年

の開館以来『今』を意識しながら活動を続けてき

た神奈川県立近代美術館の精神を鎌倉の地で

継承するため、今後も今日的視点を持ってこれま

で以上に展示の幅を広げていきたい」と語る。

S P E C I A L E D I T I O NT H E M U S E U M O F M O D E R N A R T , K A M A K U R A A N N E X

展示ケース用照明器具をLED化しタブレットによる調光・調色が可能に1951年、鎌倉の鶴岡八幡宮境内に日本初の公

立近代美術館として神奈川県立近代美術館が

開館。1984年には大髙 正人氏の設計による鎌

倉別館が開館した。古都鎌倉にふさわしい重量感

のある和の建築は、キャンティレバー構造を用いて

エントランス上の左右に跳ね出した2階部分を特

徴としている。2019年には鎌倉別館の改修工事が

行われ、10月にリニューアルオープンを迎えた。

改修にあたっては展示室の壁面を一新し、カフェ

と学芸室を新設。大髙建築の重厚な外観を残し

ながら、増築部分は白を基調に軽快で明るい

© BAUHAUSNEO

© BAUHAUSNEO

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作業灯には建築構造と一体化するシームレス照明を採用

2階展示ロビーには存在感を抑えながら壁面照度を確保できる導光板照明を採用

2階固定ケース照明は5000K(左)から2700K(右)まで個別制御可能

/神奈川県鎌倉市雪ノ下/神奈川県/株式会社国設計/藤田電設株式会社/2019年5月

所 在 地施 主設 計電 気 工 事リニューアル竣工

■鎌倉別館改修工事

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

T H E M U S E U M O F M O D E R N A R T , K A M A K U R A A N N E X

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

13 14建築設計REPORT vol.33 |

● 特注フード付高演色調光スポットライト● 特注アッパーライト ● ダウンライト

主な設備

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展示室では壁面展示ケースに日本刀が展示され、ベース照明には3000Kのダウンライト、刀剣には3000Kの特注フード付高演色調光スポットライトが用いられている

刃文、刃境・刃中の微妙な景色などが見えない

点だった。学芸員の久保恭子氏は、「日本刀展

示へのスポット照明は『見え』に関して言えば白

熱灯の光が最適だと信じ、演色性を考えると紫

色励起白色LED※1に期待を寄せるしかないと

考えていたが最終的にはパナソニックの青色励

起LED※2スポットライトを採用。その理由は、年

齢層の異なる学芸員が一致して『自然な光』と

判断したため。演色評価数(Ra)は他のLEDと

変わらないのに、見え方は明らかに異なる。これ

までの評価軸とは異なる指標があるのではない

か。今後の美術館・博物館の次世代照明基準

に関する指針を待ちたい」と語る。

S P E C I A L E D I T I O NT H E J A P A N E S E S W O R D M U S E U M

LEDでは表現できないとされてきた日本刀の『見え』を実現した博物館刀剣博物館は、1968年に渋谷区代々木に開設

されて以降、長きにわたって日本刀の保存・公開

を行ってきたが、東日本大震災を契機に建物の

老朽化が課題となり移転計画が浮上。2018年、

新しい刀剣博物館が墨田区旧安田庭園内に

あった両国公会堂跡地に建設された。1階は

カフェやショップなどが設けられた地域に開かれ

た空間、3階が日本刀展示室となっている。移転

にあたって課題となっていたのは日本刀鑑賞の

ための照明。白熱灯や蛍光灯に代わって普及を

始めたLEDでは、刀身における地鉄の肌合いや※1 紫色励起LED:光源が紫色ダイオードのLED。赤色の演色性に優れる※2 青色励起LED:光源が青色ダイオードのLED。高効率・長寿命

刀身の地鉄はベース照明による面照射。刃文、刃境・刃中の微妙な景色はスポットライトで表現

ケース外から特注フード付高演色調光スポットライトで刀剣を照射

/東京都墨田区横網/公益財団法人 日本美術刀剣保存協会/株式会社槇総合計画事務所/株式会社戸田建設/ダイダン株式会社/コクヨ株式会社/2018年1月

所 在 地施 主設 計施 工電気工事ケース工事竣 工

刀剣博物館

T H E J A P A N E S E S W O R D M U S E U M

刀剣博物館

17 18

● ライトアップ演出用照明器具 ダイナワン

主な設備

市街地や周辺地域のライトアップとカラーを統一することで、回遊性と賑わいを高める試みが行われている旧居留地の神戸市立博物館

にあたって、地域に開かれ、より親しまれる博物館を

めざすため、1階をフリーゾーンとし、2階には国宝や

重要文化財を含む約7万点におよぶ所蔵品の専門

展示室を設けるなど、展示計画を根底から見直した。

同時に、ライトアップも季節やイベントに合わせてカ

ラー演出できるように改修した。これは、周囲の街並

みや夜間景観と調和を図り、季節やイベントによって

夜のカラー演出を行うことで、まち歩きを楽しみ、回

遊性を高めることで賑わいを創り出そうとするもの。

神戸は海外から新しいモノを取り入れ、広めてきた

DNAがある。これからも旧居留地ひいては神戸ブラ

ンドのブラッシュアップをめざし、地域の皆さんと協力

していろいろな取り組みを進めていきたい」と語る。

S P E C I A L E D I T I O NK O B E C I T Y M U S E U M

旧居留地に、まち歩きの楽しみと賑わいを創り出すライトアップ

神戸の旧居留地に建つ神戸市立博物館は、市立

南蛮美術館と考古館を統合し、新しい人文系の博

物館として1982年に開館。付近一帯は明治以降に

発展した外国人居留地だったエリアで、ミナト神戸の

中心地である。建物は1935年に竣工した旧横浜正

金銀行神戸支店ビルを転用。桜井小太郎氏の設

計によるもので、正面にドリス様式の円柱が立ち並

ぶ新古典様式の建物は昭和初期の名建築と言わ

れ、1998年には国の登録文化財に指定。その博物

館が開館から35年を経て、設備と展示空間の見直

しが行われた。館長の大谷幸正氏は「リニューアル

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季節やイベントに合わせたライトアップを毎日実施

柱元に設置されたライトアップ用投光器

■ライトアップ・リニューアル工事/神戸市中央区京町/神戸市/株式会社 LEM空間工房/大昭電設株式会社/2019年11月

所 在 地施 主デザイン監修電 気 工 事リニューアル竣工

神戸市立博物館

K O B E C I T Y M U S E U M

神戸市立博物館

19 20建築設計REPORT vol.33 |

©国立民族学博物館

©国立民族学博物館

本館

展示棟ビデオテーク

中央パティオ展示場 展示場展示パティオ

※1.内、約5000点を展示。 ※2.内、約1万2000点を展示。

大阪府吹田市 収蔵・展示ユニットが増殖を続ける博物館

大阪府吹田市の国立民族学博物館は昭和52(1977)年、日本万国博覧会の跡地に竣工。収蔵資料の増加に伴って増築する構想で建設され、現在では日本有数の規模となった。設計はメタボリズムを提唱した建築家・黒川紀章。その初期の傑作と言われる。

開館から繰り返してきた建物の「増殖」「成長」が、世界有数のコレクションの収蔵・展示を可能にした。南西角にさらなる増築を構想中。

63no.

国立民族学博物館National Museum of Ethnology

展示場内は展示物を引き立て、影が気にならない黒色が基調。アルミダイキャストで格子を成形した展示用パネルや、露出型天井で自由度の高い展示をめざした。

南アジアや東南アジア展示場、音楽展示へ、自在にルートが選べる館内。9つの地域展示場を回遊したり、好みの展示だけを見たり、自由な動線が描ける。

ロビー天井の波模様は指紋を表す。指紋は全人類が持ち、それぞれ異なることが民族学の原理に通じるとされる。

本館中庭。日本庭園に見立て、壁面に雪見障子風の格子をしつらえた。ビデオテークの背面が突き出している。

①ビデオテーク。ビデオ、カセットをロボット制御で再生装置にかけ、来館者が閲覧する装置。当時の最先端技術。現在は、可視光通信を使った最新式のシステムに更新されている。 ②建築前の構想画。

周辺の緑との調和を考え、高さを抑えた建物。日本家屋の軒をイメージしたとも言われる水平線を強調したデザインで、外壁は「利休ねずみ」色のタイル貼り。

「利休ねずみ」は、日本の風景に浸透しやすい色彩として黒川が好んだ。

本館の円筒(写真上)にエレベータなどを集約、各階を最短距離で結ぶ。手前は非常階段。

国立民族学博物館は文化人類学・民族学分

野で世界全域をカバーする研究者達と総合研

究大学院大学2専攻を擁する教育研究機関

であり、研究成果の公開と資料蓄積のために

博物館機能を備えている。ロの字型の本館を

中心に、40m×40mのやや小さいロの字型展

示棟7棟と、特別展示館などを配する。概ね

1階が収蔵、2階が展示、3階が情報・管理、

4階が研究にあてられ、各展示棟はそれぞれ全

機能を備える完結したユニットになっている。

開館当初、資料は渋沢敬三が収集したものや

万博テーマ館のために集めたものなどを核と

用語説明

【メタボリズム】建築や都市は、生物と同じように代謝を繰り返して成長する有機体であり、時代や用途の変化に応じて設計すべきという考え方。1960年代に黒川紀章らが展開した建築運動の理論。

協力:国立民族学博物館 〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1

【渋沢敬三】昭和の実業家、民俗学研究者。資料の収集と保存、研究に努め、民俗学や民具学などで先駆的役割を果たした。【テーマ館】太陽の塔・大屋根など、地上や地下、空中の3層にわたる展示空間。

南北断面図

第8展示棟1983年竣工

多機能資料保管庫2013年竣工

講堂1981年竣工

特別展示館1989年竣工

本館、1、2、3、5展示棟1977年竣工

12

3

5

第7展示棟1996年竣工

第4展示棟1979年竣工

共同研究棟1993年竣工

第6棟計画中

N

本館中央パティオ(中庭)

4F: 研究部門

3F(中3、中4階を含む): 研究・図書・管理部門

2F(中2階を含む): 展示・管理部門

1F: エントランス・収蔵・サービス部門

する約4万5000点※1で、展示棟は4棟であった。

現在は約34万5000点※2。20世紀後半以降に

築かれた民族学コレクションとして世界最大だ

が、1979年以降のユニット増築が収蔵・展示

を可能にしてきた。これは高度経済成長期の

1960年代に展開された黒川紀章らによる建

築運動・メタボリズム(新陳代謝の意)と、初代

館長で建設に貢献した梅棹忠夫の「成長する

博物館」の思想を反映するものであった。

建物をロの字型(格子状)としたのは、来館

者の選択可能な観覧を実現する動線計画に

基づくもので、回遊式とも呼ばれる。展示する

世界各地の文化には独自の価値があって優

劣はない。そのため、同じ平面で見て比べる

べきとする当時の文化相対主義の考え方が

表されたものでもある。中庭(パティオ)も

ロの字型建物の産物で、展示空間として、

また、博物館に屋外の環境や外光を取り込

む仕掛けとしてつくられた。

ユニットは増築を重ねてきたが、敷地南西に

は空地が残されており、今後も増築の可能性

がある。その意味で未完の建物といえ、建築

家没後もメタボリズムのコンセプトが継承さ

れている唯一の例としても貴重である。

くらしは文化

バックナンバー

②②

①①

建築設計REPORT vol.33 | 2221

発行 : 2020年5月 発行所 : パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社 コミュニケーション部 発行人 : 田中雅資〒571- 8686 大阪府門真市門真1048 http://panasonic.co. jp/ls/ Panasonic Corporat ion 2020 本誌掲載記事、写真、イラストの無断転載を禁ず。c

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〒105-8301 東京都港区東新橋1丁目5番1号

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継続能力開発(C P D)自習 型 認 定 研 修

この情報誌は、公益社団法人 日本建築士会連合会の継続能力開発(CPD)の「自習型認定研修」教材として認定されています。

建築士会CPD制度の回答は下記WEBサイトから。http://www.kenchikushikai.or.jp/cpd-new/cpd-index.html

次のうち誤っているものはどれか。

a.日本における博物館の数はわずかな増加を続けている。

b.自然光には作品を損なう紫外線・赤外線が含まれている。

c.LEDは波長を調整することで特定の色が強調できる。

設 問

関連情報は本誌に掲載されています。

皆様のご意見をお聞かせくださいお問い合わせ

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