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一橋大学リーダーシップ・プログラム(HFLP) M&Aと企業価値評価 2017年 9月 30日(土) 講師:岡俊子

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一橋大学リーダーシップ・プログラム(HFLP)

M&Aと企業価値評価

2017年 9月 30日(土)

講師:岡俊子

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Toshiko Oka

経歴

2

1986年3月 一橋大学卒業

1986年4月 等松・トウシュロスコンサルティング

(現アビームコンサルティング) 入社

1992年 ペンシルベニア大学ウォートン・スクールMBA取得

2000年7月 朝日アーサーアンダーセン入社

2002年9月 デロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)プリンシパル

2005年4月 アビームM&Aコンサルティング代表取締役社長

2014年6月 アステラス製薬株式会社社外監査役 (現任)

2015年6月 株式会社ハピネット社外監査役(現任)

2016年4月 PwCアドバイザリー合同会社 パートナー

2016年6月 株式会社岡&カンパニー設立、代表(現任)

2016年6月日立金属株式会社社外取締役(現任)

2016年6月 三菱商事株式会社社外取締役(現任)

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Toshiko Oka

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

1990 1995 2000 2005 2010

1990年以降の世界のM&A推移

億ドル 件

2000年、2007年に、二つの大きなヤマ。 世界のM&A

* 1990/1/1~2014/8/8(公表日ベース) ** 自己株式取得案件、不動産取得案件除く。対象会社の地域別 出所:Thomson

リーマンショック (2008)

+4.1%

中央アジア/ アジア-太平洋

アフリカ/中東 日本

ヨーロッパ 南北アメリカ

案件数

3

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Toshiko Oka

1990年以降の日本のM&A推移

4

2011年以降、再び増加傾向にある。

リーマンショック (2008)

産業再生機構 (2003-07)

中小企業金融 円滑化法 (2009-11)

出所:レコフデータ

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Toshiko Oka

取引金額からみたM&A

5

出所:レコフデータ

取引金額が大きいのはIn-out案件。

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企業をとりまく環境(企業と事業)

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Toshiko Oka

クイズ

7

様々な危機の乗り越え、200年以上存在する 企業は日本には何社存在すると思いますか? (日本は世界で何番目に多いでしょうか?)

質問:

1.300社

2.3,000社

3.30,000社

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Toshiko Oka

日本には200年続く企業が3000社以上ある

8

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

日本 ドイツ オランダ フランス

3,146

837

222 196

(出所:韓国銀行「日本企業の長寿の秘密と啓示」 )

世界一!

スライドのみ

世界で一番長寿企業が存在する。創業100年の企業は2万社存在する。平均寿命は35年くらい。

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Toshiko Oka 9

残したいのは企業?事業?

残したいのは、会社の器? 会社の名前? ブランド? 事業?

企業 事業 ≠

既存事業の賞味期限はあと何年?

次世代を担う事業はある?

会社だとしたら、持続的成長ができる事業を有することが必要。 ⇒事業の入れ替えが必要かもしれない(M&A)

事業だとしたら、より価値を出せる企業体に移すことも一策。 ⇒企業価値をあげるための買収、売却(M&A)

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Toshiko Oka 10

経営者が背負う役割

企業価値

事業A

事業B

事業C

事業D

事業E 事業F

事業G

次世代事業は、既存事業がまだ隆々と している時期に仕込むことが必要

ピークでアウトしていくと次の投資原資が多く出る

会社の伝統を守りながらも、 会社を存続させるためには、環境の変化に対応して、既存事業のチューニングや事業の入れ替えなど攻めの経営が求められる。

時間

会社を残すかどうかは経営者の意志、 事業は経営者の意志では残せない、マーケットが決めること

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Toshiko Oka

価値共創型再編の考え方

自社ポジションの鳥瞰、事業のストレッチ

A社

事業

•事業の棚卸し

•自力成長でも生き残れる力のある事業を開発

•個別事業について事業軸の成長戦略を描く

•事業を成長指向で評価

•外部から価値があるとみられるレベルまで事業をストレッチさせて育成 (M&Aの交渉を有利に展開できる)

•社外の経営資源とどう組み合わせるとより大きな収益機会が創出できるかシミュレーション

11

検討した未来シナリオに合わせて、既存事業をストレッチさせ、必要に応じて外部資源を活用しながら、自由な発想でビジネスを再構築。

提携ディール 提携提案 再編対象・

スキームの検討

価値共創 パートナーの 候補出し

業界予見 自社ポジション の鳥瞰、既存 事業のストレッチ

① ② ③ ④ ⑤

A社 A社

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Toshiko Oka

改革手法の形式知化とその展開

12

切り出す側、呼び込む側の両者がwin-winになる 「価値共創型カーブアウト」手法が活用し易い

業界をリードするという当事者意識のもと、収益機会を創出する価値創造の絵を能動的に描き、実行する。

視座を「子会社⇒グループ⇒ドメイン業界⇒業界を超えた再編⇒国境を越えた再編」に広げていけば、新たな収益機会が見えてくる。

ドメイン業界

ドラスティックな収益拡大を望むのであれば、大型企業買収も一策

業界を超えたM&A

国境を越えた再編 (グローバル展開)

グループ

業界再編に展開

子会社

子会社を橋頭堡に 視座を広げる

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なぜM&Aが失敗に終わるのか?

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Toshiko Oka

ある企業のM&A診断事例

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関係者の声

これまで、買収の意図は一部の人のみに理解されていて、実務を担う人達には浸透させてこなかったと思う

骨太の戦略が欠けており、まずは「買うこと」が心理的に優先されていた

無理やりシナジーを乗せているように見え、本当の買収目的が分からない

買収ありきでシナジー創出の計画を書いたと聞いている。経営企画部のメンバーが『シナジー計画は無理やり作るしかなかった』と言っていた。みんなシナジーが出ないと思っていた中で、やらされていた。

買収企業を当社流に染めるのか、あるいは、相手を”使い倒す”ぐらい活かすのか、根本的な買収後の方向性を定めきれていなかった

一番の問題は、買収目的が無いのに最初から買う事が決まっていたこと

トップの意思がまとまっているように見えず『誰が何のために買ったのか』という話になりがち

買う事が前提で進み、シナジー創出を任されたメンバーの中では、買うことに対する疑念を持っていた人もたくさんいた

曖昧な買収目的が、あるM&Aの失敗の原因だった。

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Toshiko Oka

経営資源の浪費に終わるだけ

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ヒト・モノ・カネ・時間の浪費に終わる

買収目的が曖昧

戦略仮説が不明確になる

DDにおいて検証すべき 論点が定まらない

買収是非が判断できない

買う事が前提になる

買収価格を正当化するシナジーを積む

実現可能性の低い計画が遂行される

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Toshiko Oka

明確な買収目的であることが必要

16

曖昧な表現となっている場合は、「5つの問い」に答えられるまで

深堀が必要。

事業戦略・M&A戦略に対する「5つの問い」 危険な表現集

1. 中長期戦略のゴールは何か

2. M&Aによって何を成し遂げたいのか

3. M&Aでなければ実現できないか

(なぜM&Aが必要か)

4. M&Aを実施することで得られる具体的な効果・

シナジーは何か

5. M&A後、対象会社をグループのどの機能・組織

に位置付けるのか

「基盤構築」

「××の更なる融合」

「××の可能性」

「××事業と××事業のシナジー効果」

「××の融合」

「××の展開可能性」

「~が期待できる」

「有効活用」

「一体経営」

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Toshiko Oka

経済産業省の研究会であがった課題

17

Post – M&A M&A Pre – M&A

① M&A戦略の策定 投資銀行からの情報を鵜呑みにする 海外拠点から検討 常時M&A案件のリスト

統合後の事業のイメージに具体性がない 対象会社の事業から見たシナジーを明確化

対象会社に期待する 事項を明確化

② デューデリジェンス(DD) DDが不十分で、ポストM&Aの段階で問題に気付く シナジーを考えてDDを行う DDの際に対象会社の経営層をそのままアサインできるかを確認

ビジネスDDをアドバイザリー任せにせず、自社で行う

統合計画をクロージング直後にスタートできる程度に準備

③ バリュエーション 高値掴みのリスク

④ 経営戦略の浸透 対象会社も不安 クロージング直後に現地に赴いて拠点を回り、対象会社に期待する事項を伝える

対象会社とともに事業計画を策定

⑤ ガバナンス体制の確立 「押付け」でも「放任」でもない第三の道とは?

⑥ 経営者人材の投入 対象会社をマネジメントできる経営者人材が不足 海外子会社のグローバル人材を対象会社の経営者に当てる

エース級の人材を投入 対象会社に派遣する経営者候補をプレM&Aの段階から関与させる

⑦ モニタリングの徹底 シナジーの定量化が困難 業績悪化時に原因究明が困難

⑧ 事業の再編 経営理念が浸透してから事業再編を行う

出所:「海外M&A(PMI等)研究中間報告」を基に編集

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Toshiko Oka

投資家は、以下の3つを求めている。

買って、 売る。

できるだけ 儲ける。

より が少ない

投資家の目線

18

スライドのみ

安く 高く

早く

リスク

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Toshiko Oka

バリュエーションとプライシング

FAのサポート(例)

Step1. Step2. Step3. Step4.

• プライシングのシミュレーション (バリュエーション)

クロージング 手続き 最終契約 買収監査 覚書締結 基本条件交渉 資料授受・分析

条件交渉 アプローチ 戦略検討

19

• M&A戦略立案

• 再編・再構築戦略立案

• 買収先候補・売却先候補検討

• 候補企業アプローチ

• アプローチ情報

収集・分析

• 候補企業特定

• 検討資料授受

• プレDD

• 簡易バリュエーション

• 実務者ミーティング

• 意向表明

• 売却先候補 絞込み

• トップミーティング

• 基本条件交渉

• 覚書の内容 検討

• 覚書締結

• DD(法務・ 財務・事業)

• バリュエーション (説明目的用)

• 最終条件交渉

• 最終契約の 内容検討

• 案件情報開示 (対内/対外)

• 受け渡し

• 事務手続き

• 戦略立案 サポート

• 候補企業 リストアップ

• 買収提案書 作成

• 売却対象企業 インフォパック作成

• アプローチ 方法検討

• アプローチ 実行・継続

• アプローチ 情報報告

• NDA作成/調印サポート

• 資料請求

• 提出資料整理

• 受領資料整理

• 意向表明作成

• 提示条件の 検討

• 売却候補先 絞込み支援

• トップミーティング設定

• 交渉支援

• 覚書作成/調印サポート

• DDコーディネーション

• 最終交渉支援

• 最終契約書作成/調印サポート

• 開示スケジュール調整

• 開示内容・文書検討

• 調印式等手配

• 受け渡し支援

• 事務手続支援

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Toshiko Oka

どのような事業計画を渡しますか?

20

質問:

あなたは、対象企業の経営に直接関与していません。 あなたが売り手だったらどのベースの事業計画を 買い手(候補)に渡しますか?

1.達成確実な予算ベース

2.達成には頑張りが必要な目標ベース

3.達成は極めて難しい背伸びベース

スライドのみ

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Toshiko Oka

バリュエーションの出発は対象会社作成の事業計画

21

施策1:取引先の見直し

施策2:仕入先の直し

施策3:物流の効率化

施策4:給与体系見直し

施策1~4は例です

③ シナジー 効果

① ベースバリュー

A社:メーカー系同業

B社:商社系同業

C社:異業種

D社:ファンド

A~D社は、例です

0 100 200 300 400億円

価値創造の要因

ベースバリュー 事業計画 (BS、PL、CFS)

バリューの構造

対象会社が有している 潜在的な価値

対象会社の株主価値

これらの シナジーバリューまで 事業計画に 織り込むこともある

② 施策導入による バリューアップ

効果

買い手は、DDによって事業計画に託された意図を見抜くことが重要。

対象会社が提供する事業計画は、用意周到に練られている。

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Toshiko Oka

どのような事業計画を渡しますか?

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質問:

あなたが売り手=対象企業の経営者(未上場のオーナー企業)だったらどのベースの事業計画を渡しますか? M&A後、あなたは引き続き対象企業の経営を任されます。

1.達成確実な予算ベース

2.達成には頑張りが必要な目標ベース

3.達成は極めて難しい背伸びベース

スライドのみ

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Toshiko Oka

4種類の事業計画

23

? ?

バイヤーズ バリュー

スタンドアロン バリュー

セラーズ バリュー

DDによる 発見事項

アップ サイドの

シナジー効果

ダウン サイドの

シナジー効果

売り手の 売却希望価格

掛け値なしの 実力値

入札での 上限値

1 2 3 4

シナジー効果込みの 子会社が合意、コミットする事業計画であること

評価指標に組み込む ことで実行の蓋然性を高める

スタンド アロン計画

事業計画 シナジー込み の計画

経営陣が コミットする計画

買い手作成 対象会社(売り手)

作成 買い手作成

買い手・ 対象会社作成

契約 クロージング

Change of Control

独禁法 等

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Toshiko Oka

進化するDD

24

リスク発見型DD シナジー創造型DD ポストM&A検証型DD

DDの目的は、「リスク」の発見と「チャンス」の創出。

実施 内容

目的

手法

“ディールブレーク要因 がないか”

「リスク」の発見

“どうやって バリューアップするか”

「チャンス」の創出

“どうやって 経営するか”

「ガバナンス」の検証

財務諸表のチェック

売り手の事業計画の 実現性の評価

リスク項目の洗い出し

事業計画に盛り込む施策、オペレーション改善項目、組織運営方法の改善点の抽出

組織の潜在力の顕在化

過去実績を分析

ヒアリングベースで事実 (ファクト)を収集

買収企業および買収対象会社の将来を担う人材をチームアップし、セッションを通して進行

経営陣の組成案作成

KPIの設計

本社側の支援体制構築

マネジメントインタビュー

インセンティブ制度や体系のレビュー

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Toshiko Oka

DDの目的

25

DD結果の反映

DDを実施する際は、ディールの初期段階でM&Aの目的を確認し、目的に応じた調査項目、スケジュールや体制を構築。

DDの目的 リスクの 洗い出し

時価B/S (純資産)の算定

ディールを有利に進める為の

情報収集・分析

ディールストラクチャー検討に 使用する情報

バリュエーション・プライシングに 使用する情報

PMI計画策定に 使用する情報

買収価格へ反映 (定量化できるもの)

最終契約書へ反映 (定量化できないもの)

ディールブレイク (定量化できない、 かつ致命的なもの)

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Toshiko Oka

DAからDay1の期間でM&Aの成否はわかる

買収後

事業精査 フェーズ

買収検討フェーズ PMIフェーズ 買収興味 フェーズ

情報量

時間

DDが始まると、一定の 内部情報が手に入るため、情報量が増える

買収後は、全ての内部情報が 手に入るため、DD時よりも 情報量が格段に増える

買収前

▲ Day1

▲ DA

この期間、 買い手と対象会社の経営陣は、 朝から晩まで休日も一緒に 過ごすこと!

対象会社に関する情報量が圧倒的に増える“DA以降Day1まで”の過ごし方がM&Aの成否を分ける。

セカンドDDの実施: 想定したシナジー効果とその実現に向けた行動計画の作り直し

事業計画の見直し

買い手と子会社経営陣との間での目標設定

経営ガバナンス構造の設計と導入

徹底した意識改革 26

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ポストM&Aとグループ経営

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Toshiko Oka

多くは圧迫経営か、放任経営になっている

買い手は、尊敬されていますか? 「尊敬できない人のもとでは働くのは地獄、魂を売るのと同じ。」

X事業 Y事業

HD 「放任経営」

子会社の典型的行動:

面従腹背

言われたことだけ実行か、

実行するふりをする

押さえつけられ、

くすぶる

子会社の典型的行動:

徹底抗戦

オートノミー(わがまま)

を貫く

情報を隠す

「圧迫経営」

28

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Toshiko Oka

海外子会社社長との関係

29

質問:

御社の最大規模の海外子会社社長が、 某国からサイバー攻撃の予告を受けました。 現地人の社長は、誰に第一報を入れる体制ですか?

1.本社社長

2.本社IT部のヘッド

3.RHQのヘッド

スライドのみ

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Toshiko Oka

買収・被買収企業のケイパビリティ

30

経営ケイパビリティの優劣は、相手方にも見えている。

• 経営のポイントのみ(目標管理と

戦略の骨子)は親会社が押さえる

• グループポリシー(経営管理指標、

リスク管理等)は子会社に適用

• 親会社による過度な干渉を避け、

子会社に主体性を持たせる

• 親会社から経営・事業について指導し、

役員、及び事業ラインに親会社から人材

を派遣

• 経営管理手法は親会社の手法を導入

• 経営のポイントのみ(目標管理と

戦略の骨子)は親会社が押さえる

• 親会社の経営管理の仕組みを無理

に適用しない

• 子会社の優れた経営手法・人材は

親会社グループとして活かす

買収企業の経営ケイパビリティ

低 高

A

C D

B

小が大を飲む

(自主性尊重)

非買収企業へ

積極関与

弱者連合

強者連合

(協業)

被買収企業の経営ケイパビリティ

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Toshiko Oka

子会社の経営ガバナンス

子会社の経営ガバナンスとは?

31

「経営ガバナンス」とは、企業の事業成長を維持・加速させるための、被買収企業に対する経営関与・管理のこと。

①ガバナンス体制

③ 評価・ リテンションプラン

② 目標設定・ モニタリング

被買収企業への

経営ガバナンス

基本方針

規律と 動機付け

シナジーの 最大化

既存事業の 成長維持・加速

買収・被買収企業 のケイパビリティ

文化・制度・ 価値観

M&A戦略

戦略や買収の狙い・ 被買収企業に期待する役割を考慮

買収企業と被買収企業の組織文化や制度・価値観のギャップを考慮

買収企業および被買収企業の経営陣の リーダーシップや事業執行能力を考慮

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Toshiko Oka

ガバナンス

ガバナンス体制の類型

日本本社

A国 事業

海外子会社等

B国 事業

C国 事業

バリューチェーン

戦略

管理

グローバル戦略

開発 生産 販売 サービス

グローバル・プラットフォーム

経営

本社から現地に対する ガバナンスが必須

バリューチェーン上のオペレーションがガバナンスを代替する余地あり

類型 Ⅳ 独立経営型

類型 Ⅱ 機能確立型

プラットフォーム 獲得型

既存ビジネス 強化型

ソフト系

(ヒト・

ノウハウ)

ハード系

(アルゴリズム

設備)

シナジーの源泉

M&Aの戦略的意図

類型 Ⅲ 人的交流型

類型 Ⅰ 完全融合型

日本本社

A国 事業

海外子会社等

B国 事業

C国 事業

グローバル人事/ 研究開発/ 調達

バリューチェーン

戦略

管理

グローバル戦略

開発 (日)

生産 (現地)

販売 (日)

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Toshiko Oka

何を獲得したいのか 戦略意図とガバナンスの方針を合わせること

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類型 Ⅱ

機能確立型

対象会社と

融合

(ヒト・

ノウハウ)

対象会社に

依存

(アルゴリズム

設備)

シナジーの源泉

M&Aの戦略意図

類型 Ⅲ

人的交流型

類型 Ⅰ

完全融合型

類型 Ⅳ

独立経営型

既存ビジネス 強化型

プラットフォーム 獲得型

「積極関与」

• 積極的な組織統合

• 親会社が被買収企業の戦略立案、

事業管理・運営に積極関与

ガバナンスの 基本方針

「肝を押さえる」

• 事業運営は被買収企業に委ねる

• 親会社は経営目標・ビジョン・戦略に関与

• 事業の重要指標(KPI)と、戦略実行の

進捗を定期的に確認する

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Toshiko Oka

遠心力と求心力のバランス

求心力>遠心力

圧迫経営

B事業

A事業

C事業 求心力と遠心力

が最適化

管轄事業部の

視点に縛られる

親会社から

ほど遠い成長を描く

相互理解・

信頼関係が必須 求心力<遠心力

放任経営

•市場の情報・技術動向・商品知識は現場にある

•親会社が活用できる形で投資先から親会社への情報発信が必要

•良きパートナーとして 投資先を理解する感性・包容力が必要

•投資先が大胆に活動できるように 戦略メッセージを出すことが必要

親会社

拡大

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Toshiko Oka

ある案件でのPMI8原則

過去を否定しない。歴史を尊重する。認める。褒める。

七割下手でちょうどイーブン

何度も会う。細かく会う。

何かを変えるには理由が必要。

ミイラ取りがミイラにならないためには、出向者は役者たれ!

出向者同士で話をしない。こそこそ話はもってのほか。

会社に決めてもらう。自発的にやってもらう。押し付けない。

3ナイを見極めて、施策を導入

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Toshiko Oka

M&Aは成功させられる!

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経済合理性 (どのように買うべきか)

シナジー実現性 (買収後にどう効果を出すか)

戦略整合性 (なにを目的として買うのか)

勝ちパターン(突破口)を構築するために、M&Aでどのような機能

を充足する必要があるのか?

貴社が最低限求める企業としての体は何か?

(顧客基盤、真似できない技術、人材の質、等)

戦略を機能させるために、どのような経営体制が必要か?

買収後に、貴社グループ企業として、どのような体制になるかが

想定できているか?

シナジーを実現するための体制は?

買収価格のフォールバックポイントは?

当該企業とのシナジー効果(定性・定量面)はどの程度か?

見えないコストは無いか?

(メーカー子会社であれば、管理費用、出向者の人件費等)

自前で構築するよりも安く実現できるのか?

M&Aを実施する前に明確に答えられるべき“問い”

M&Aを成功に導くKFS(Key Factor for Success)は、3つ。

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