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廃プラスチックのサーマルリサイクル 東京二十三区清掃一部事務組合 小林正自郎

廃プラスチックのサーマルリサイクル1)廃プラを不燃ごみとして分別した当時の状況 昭和48年当時 ごみ量の増大 焼却施設不足 プラスチックごみ増

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Page 1: 廃プラスチックのサーマルリサイクル1)廃プラを不燃ごみとして分別した当時の状況 昭和48年当時 ごみ量の増大 焼却施設不足 プラスチックごみ増

廃プラスチックのサーマルリサイクル

東京二十三区清掃一部事務組合 小林正自郎

Page 2: 廃プラスチックのサーマルリサイクル1)廃プラを不燃ごみとして分別した当時の状況 昭和48年当時 ごみ量の増大 焼却施設不足 プラスチックごみ増

1 東京二十三区清掃一部事務組合の事業

1)23区における清掃事業の変遷

2)都から区への清掃事業の移管

3)23区の清掃事業

4)23区内の清掃施設

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1) 23区における清掃事業の変遷

• 明治22年東京市成立

• 明治31年一般市制の東京市誕生

• 明治33年「汚物掃除法」制定

汚物処理を市町村の固有事務とする。

• 昭和18年東京都設置。

汚物処理が都に引き継がれる。

1 東京二十三区清掃一部組合の事業

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2)都から区への清掃事業の移管

• 昭和39年地方自治法改正:特別区の自治権拡充、

汚物の収集運搬は特別区の事務とし、附則で「別に法律で定める日まで都が行う」

• 平成6年「都区制度改革のまとめ」都区合意。

• 平成10年都区制度改革関連法制定。

• 同年、清掃事業の区移管について都区合意。

• 平成11年各区議会で議決。

• 平成12年都知事が清掃一組の設立を許可。

• 平成12年4月1日清掃事業の区移管、一組設立

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事業移管後の各自治体の役割

ごみの収集・資源回収

23の特別区

中間処理

(焼却、破砕分別処理)

清掃一組

終処分

東京都に委託

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3)23区の清掃事業

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清掃工場 21ヶ所

●不燃ごみ処理施設 2ヶ所

●粗大ごみ処理施設 1か所

○夜間人口:

870万人

○昼間人口:

1,110万人

○ごみ発生量:

322万トン

(平成19年度)

4)23区内の清掃施設

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2 廃プラスチックのサーマルリサイクル

1)廃プラを不燃ごみとして分別した当時の状況

2)35年振りに焼却せざるを得ない状況

3)なぜ焼却できるようになったか

4)実施の状況

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1)廃プラを不燃ごみとして分別した当時の状況

昭和48年当時

○ごみ量の増大 ➪ 焼却施設不足

○プラスチックごみ増 ➪ 焼却炉の損傷

公害防止が不十分

(塩化水素等)

厨芥等の焼却処理を優先(衛生環境維持)

廃プラスチック:不燃ごみとして分別し埋立

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2) 35年振りに焼却せざるを得ない状況

○新たな埋立地の見通しが立たない

○このままではあと30年で満杯

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• 清掃事業区移管に係る区・都協議で確認(平成10年12月)

○ 終処分場は、23区が延命化策を推進○新たな確保について責任を持つ。

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埋立処分場

土砂系

(廃棄物に当たらず)

安定型処分場埋立終了後廃止届

護岸建設費は低い

維持管理なし

跡地利用

廃棄物

管理型処分場埋立終了後長期間管理(廃止届の条件)

遮水構造の堅牢な護岸(高額な建設費)

維持管理費(浸出水・発生ガス対策)

土砂系

総務部長・伊東和憲作成

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[参考]埋立処分場の現状

<埋立処分状況>

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[参考]埋立処分場の現状<ガス抜きパイプ>

ガス抜きパイプ埋め立て処分中のごみ山の内部にはメタンガスがたまります。このガスによる火災が起こらないよう、パイプを打ち込んで、ガスを抜いています。【中央防波堤外側埋立処分場、新海面処分場(現在使用中)】

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[参考]埋立処分場の現状

<ポンプ井(集水池)>

<ポンプ井(集水池)>

浸出水雨がごみ層を通過することにより汚水となってしみでてきます

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3)なぜ焼却できるようになったか

○ 処理できる施設能力(ごみ減量と施設整備)

○ 公害防止性能の飛躍的向上

(ダイオキシン類対策)

○ 高カロリーごみ対応焼却炉の採用(新設・建替)

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ごみ量の動き

バブル崩壊

TOKYO SLIM開始

粗大ごみ有料化

ルールⅠ開始

事業系ごみ全面有料化

企画室 高津雅幸作成

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可燃ごみの全量焼却

可燃系ごみ量

焼却量

企画室 高津雅幸作成

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ごみ減量と清掃工場の削減

清掃工場の建設の中止新宿工場 600t 用地費 約178億円 建設費 約348億円中野工場 400t 用地費 約140億円 建設費 約232億円荒川工場 300t 用地費 約 55億円 建設費 約174億円

約1,127億円の建設経費と年間約30億円の運営経費

規模の削減大井工場(現・品川工場) 1,200t → 600t多摩川工場 600t → 300t 葛飾工場 1,200t → 500t世田谷工場 900t → 300t 足立工場 1,000t → 700t板橋工場 1,200t → 600t

6,100t → 3,000t 規模減 3,100t(平成10年度比 ▲23.9%)

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大気汚染防止対策

<ダイオキシン類の発生抑制> 温度850℃程度 滞留時間2秒以上 燃焼ガスの攪拌混合

焼却炉

150℃程度に冷却ダイオキシン類再合成防止重金属類固体化

減温塔

ろ過式集じん器 洗煙塔 触媒反応塔 煙突

燃焼ガス

塩化水素対策

いおう酸化物対策

ばいじん対策

ダイオキシン類対策

窒素酸化物対策

排ガス 排ガス 排ガス

活性炭・消石灰

か性ソーダ

排ガス

アンモニア

塩化水素対策

いおう酸化物対策

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排ガス中のダイオキシン類測定結果

0.0000001

0 .000001

0 .00001

0 .0001

0 .001

0 .01

0 .1

1

10世

田谷

大井

多摩

川江

東板

橋葛

飾足

杉並

光が

丘大

田第

一目

黒練

馬有

千歳

江戸

川墨

田 北新

江東 港

豊島

中央

渋谷

板橋

(新

)足

立(

新)

多摩

川(

新)

品川

葛飾

(新

ダイ

オキ

シン

類測

定結

果【

ng-

TE

Q/

㎥N

平成9年度 平成18年度

新設炉の法規制基準

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排ガス中の水銀測定結果

0

0 .01

0 .02

0 .03

0 .04

0 .05

0 .06

0 .07世

田谷

大井

多摩

江東

板橋

葛飾

足立

杉並

光が

大田

第一

目黒

練馬

有明

千歳

江戸

墨田 北

新江

東 港

豊島

中央

渋谷

板橋

(新

足立

(新

多摩

川(新

品川

葛飾

(新

水銀

測定

結果

【m

g/N

㎥】

平成9年度 平成18年度

Page 25: 廃プラスチックのサーマルリサイクル1)廃プラを不燃ごみとして分別した当時の状況 昭和48年当時 ごみ量の増大 焼却施設不足 プラスチックごみ増

排ガス中のばいじん測定結果

00.0050 .01

0 .0150 .02

0 .0250 .03

0 .0350 .04

0 .0450 .05

世田

大井

多摩

江東

板橋

葛飾

足立

杉並

光が

大田

第一

目黒

練馬

有明

千歳

江戸

墨田 北

新江

東 港

豊島

中央

渋谷

板橋

(新

足立

(新

多摩

川(新

品川

葛飾

(新

ばい

じん

測定

結果

【g/N

㎥】

平成9年度 平成18年度

新設炉の法規制基準

Page 26: 廃プラスチックのサーマルリサイクル1)廃プラを不燃ごみとして分別した当時の状況 昭和48年当時 ごみ量の増大 焼却施設不足 プラスチックごみ増

排ガス中の塩化水素測定結果

050

100150200250300350400450500

世田

大井

多摩

江東

板橋

葛飾

足立

杉並

光が

大田

第一

目黒

練馬

有明

千歳

江戸

墨田 北

新江

東 港

豊島

中央

渋谷

板橋

(新

足立

(新

多摩

川(新

品川

葛飾

(新

塩化

水素

測定

結果

【ppm

平成9年度 平成18年度

新設炉の法規制基準

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排ガス中の窒素酸化物測定結果

0

1020

3040

50

6070

8090

100世

田谷

大井

多摩

江東

板橋

葛飾

足立

杉並

光が

大田

第一

目黒

練馬

有明

千歳

江戸

墨田 北

新江

東 港

豊島

中央

渋谷

板橋

(新

足立

(新

多摩

川(新

品川

葛飾

(新

窒素

酸化

物測

定結

果【ppm

平成9年度 平成18年度

新設炉の法規制基準

(総量規制の概算値)

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清掃工場の設計カロリーの推移

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000世

田谷

大井

多摩

江東

板橋

葛飾

足立

杉並

光が

大田

第一

目黒

練馬

有明

千歳

江戸

墨田 北

新江

東 港

豊島

中央

渋谷

板橋

(新

足立

(新

多摩

川(

新)

品川

葛飾

(新

設計

カロ

リー

【kca/kg】

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4)実施後の状況

○可燃ごみが1割増、不燃ごみが大幅減

○埋立量が半減、発電量が増加

○可燃ごみに含まれるプラスチック割合が増加

○廃プラスチック混合ごみの実証確認結果では、

法規制値等を下回るなど問題なく操業

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廃プラスチック混合可燃ごみ焼却の実施率とごみ量等の推移

0.0000

0 .2000

0 .4000

0 .6000

0 .8000

1 .0000

1 .2000

18第1 18第2 18第3 18第4 H19第1 H19第2 H19第3 H19第4 H20第1 H20第2 H20第3

四半期

実施

率・1

8年

第1

四半

期と

の比

実施率 区収集可燃ごみ 全可燃ごみ 区収集不燃ごみ 埋立量 発電量

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参考:海外の動き

1990年以前のEU及びドイツの廃棄物処理は直接埋立が主流であったが、発生するガスや浸出水による周辺水域の汚染が問題となる。

EU 1999年4月 EU埋立指針発効

生ごみ等生物分解性の高い有機物の事実上埋立禁止

の方向で各国は自国の法整備をすることになった。

ドイツ 1993年 ドイツ廃棄物処理の技術指針を発表

2005年6月までに埋立処分される廃棄物の前処理義務化

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ドイツ国の清掃工場数と年間処理能力の推移

0

1 0

2 0

3 0

4 0

5 0

6 0

7 0

8 0

1965年

1970年

1975年

1980年

1985年

1990年

1995年

2000年

2005年

2007年

清掃

工場

0

2 0 0 0

4 0 0 0

6 0 0 0

8 0 0 0

1 0 0 0 0

1 2 0 0 0

1 4 0 0 0

1 6 0 0 0

1 8 0 0 0

2 0 0 0 0

年間

処理

能力

【千

トン/年

年間処理能力 工場数

ドイツ環境省「Waste Incineration - A Potential Danger?」のデータより作成

3)サーマルリサイクル

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ご清聴ありがとうございました