Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
ダメージコントロール手術におけるダメージコントロール手術における Vacuum packing closureVacuum packing closure法は他の法は他の 一時的閉腹法より優れているか?一時的閉腹法より優れているか?
大阪府立泉州救命救急センター大阪府立泉州救命救急センター
渡部広明、井戸口孝二、西内辰也石川和男、水島靖明、松岡哲也
背 景
外傷患者のダメージコントロール手術の外傷患者のダメージコントロール手術の際には、際には、迅速な閉腹迅速な閉腹とその後に発生しうるとその後に発生しうる腹部コンパートメント症候群の予防腹部コンパートメント症候群の予防というという2つの観点が閉腹に当たって重要である。2つの観点が閉腹に当たって重要である。
これまで我々はダメージコントロール手術これまで我々はダメージコントロール手術時の一時的閉腹法として時の一時的閉腹法としてVacuum packing Vacuum packing closureclosure法法を積極的に行い、その利点を報を積極的に行い、その利点を報告してきた。告してきた。
Damage controlDamage controlの3つのステップの3つのステップ
1.出血と感染コントロールのための1.出血と感染コントロールのための必要最低限の手術必要最低限の手術
2.2.ICUICUでの全身管理での全身管理
3.待機的手術3.待機的手術
Temporary
ClosureTemporaryTemporary
ClosureClosure
呼吸循環管理呼吸循環管理復温、アシドーシスの補正、復温、アシドーシスの補正、
凝固機能の改善凝固機能の改善
腹部腹部Damage Control SurgeryDamage Control Surgery後の後の一時的閉腹法一時的閉腹法
Towel Clip ClosureTowel Clip Closure
皮膚縫合皮膚縫合
Silos ClosureSilos Closure
Vacuum Packing ClosureVacuum Packing Closure
当センターにおける当センターにおけるVacuum packing closureVacuum packing closure法法 と従来法を比較検討し、と従来法を比較検討し、VPVP法が他の閉腹法より法が他の閉腹法より
優れているかを検討する。優れているかを検討する。
対対 象象 とと 方方 法法
19951995年から現在までに当センターにてダメージコ年から現在までに当センターにてダメージコ ントロール手術が行われた95症例のうち外傷患ントロール手術が行われた95症例のうち外傷患 者者8080例を対象とした。全症例の手術時間、総輸液例を対象とした。全症例の手術時間、総輸液 量、術後腹部コンパートメント症候群量、術後腹部コンパートメント症候群((ACS)ACS)の有無の有無 および予後等を検討した。および予後等を検討した。
目 的
症例の背景症例の背景
皮膚縫合皮膚縫合 Silo closureSilo closureVP closureVP closure
症例数症例数
年齢(歳)年齢(歳)
性差(男:女)性差(男:女)
2727 22 5151
40.740.7±±4.14.1 47.847.8±±2.72.7
1616::1313 4040::1111
従来法従来法
ISSISS
PsPs
30.830.8 27.727.7
0.5350.535 0.6680.668((N.S.N.S.))
((N.S.N.S.))
((N.S.N.S.))
0
20
40
60
80
100
120
140
160
迅速な閉腹が実現できているか?迅速な閉腹が実現できているか?
初回手術時間初回手術時間
N.S.
(分)
皮膚縫合皮膚縫合VPVP法法
サイロサイロ
従来法従来法
迅速な閉腹が実現できているか?迅速な閉腹が実現できているか?初回手術終了までの初回手術終了までのDeadly triadDeadly triad
0
10
20
30
40
50 -20
-15
-10
-5
0 32.0
33.0
34.0
35.0
36.0
プロ
トロ
ンビ
ン時
間プ
ロト
ロン
ビン
時間
(%)
B.E
.B
.E.
(mmol/l)
深部
体温
深部
体温
(℃)
従来法従来法 VPVP法法 従来法従来法 VPVP法法 従来法従来法 VPVP法法
プロトロンビン時間プロトロンビン時間 B.E.B.E. 深部体温深部体温
N.S.N.S. p<0.01 *
0 12 24
累積総輸液量
累積総輸液量(ml)
(ml)
10000
30000
0
初回手術初回手術(DCS)(DCS) ACSACS解除手術解除手術
TAETAE ICUICU
時時
間間
(時)(時)
20000
ACS発症ACSACS発症発症
Silo closureSilo closureSilo closure
150
100
50
0
●
●
●●
●●
●
●●
●
●
●
皮膚縫合皮膚縫合皮膚縫合
収縮期血圧
収縮期血圧(mmHg)
(mmHg) 、、脈拍
脈拍((回)
回)
▲
▲
▲
▲
▲
▲
▲ ▲
▲ ▲ ▲▲
▲脈拍脈拍
収縮期血圧収縮期血圧
ダメージコントロール手術後の皮膚縫合とダメージコントロール手術後の皮膚縫合と腹部コンパートメント症候群腹部コンパートメント症候群
ACSACSを予防できているか?を予防できているか?初回手術終了までの初回手術終了までの
総輸液量と総出血量総輸液量と総出血量
0
5000
10000
15000
20000
総輸液量総輸液量 総出血量総出血量
(ml)
N.S.
従来法
従来法法法
VPVP N.S.
(ml/hr)
初回手術後の時間初回手術後の時間あたのあたの平均水分バランス平均水分バランス
従来法従来法 VPVP法法
平均
水分
バラ
ンス
平均
水分
バラ
ンス
-1000
0
1000
2000
3000
ACSACSを予防できているか?を予防できているか?初回術後初回術後ACSACS発症の有無発症の有無
ACSACS発症例(発症例(88例)例) ACSACS発症例(1例)発症例(1例)
従来法従来法 VPVP法法
27.627.6%% 1.91.9%%
0 500 1000 1500 2000
VPVP法法
従来法従来法
時間あたりの平均輸液量時間あたりの平均輸液量 (ml/hr)
n=1n=1
n=8n=8
術後管理は?術後管理は?
0
100
200
300
400
500
600
初回手術後の時間あたり平均水分バランス初回手術後の時間あたり平均水分バランス(腹部単独外傷症例)(腹部単独外傷症例)
従来法従来法VPVP法法
n=7n=7n=16n=16
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
16000
18000
初回手術終了までの初回手術終了までの 総輸液量と総出血量総輸液量と総出血量
総輸液量総輸液量 総出血量総出血量
従来法
従来法法法
VPVP
予後への影響はどうか?予後への影響はどうか?
0 6 12 18
VPVP法法
従来法従来法N.S.
日日
数数(日)
37.937.9%%52.952.9%%
従来法従来法 VPVP法法
生存例の生存例のICUICU滞在日数滞在日数
救救
命命
率率
一時的閉腹法の比較一時的閉腹法の比較
Skin ClosureSkin Closure
迅速な迅速な閉腹閉腹
減圧減圧
Silos ClosureSilos Closure
Vacuum PackVacuum Pack
排液排液管理管理
感染感染対策対策
簡便簡便
○○
○○
△△
○○
△△
○○
××
○○
○○
△△
××
○○
△△
△△
△△
当センターでの一時的閉腹法の変遷当センターでの一時的閉腹法の変遷
皮膚縫合皮膚縫合
初回手術としての一時的閉腹法初回手術としての一時的閉腹法
SiloSilo
Vacuum packing closureVacuum packing closure
19951995年年 20072007年年
減減
圧圧
法法
SiloSilo
Vacuum packing closureVacuum packing closure
20002000年年
まま とと めめ
VPVP法は迅速な手術終了という観点から法は迅速な手術終了という観点から従来法に劣らない一時的閉腹法である。従来法に劣らない一時的閉腹法である。
術後術後ACSACSの発生が皮膚縫合法に比しての発生が皮膚縫合法に比して極めて低く、極めて低く、ACSACS予防に優れている。予防に優れている。
両群間に両群間にICUICU滞在日数の有意差は見ら滞在日数の有意差は見られなかったが、救命率はれなかったが、救命率はVPVP法で高い傾法で高い傾向が見られた。向が見られた。