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パブリックコメント用 KHKS 圧縮水素蓄圧器用複合圧力容器 に関する基準 (案) KHKS 0225 (2018) 平成30年 月 日 制定 高圧ガス保安協会

パブリックコメント用 KHKSE2...パブリックコメント用 2 JIS K 7010 (1995) 繊維強化プラスチック用語 JIS K 7078 (1991) 炭素繊維強化プラスチックの層間せん断試験方法

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パブリックコメント用

KHKS

圧縮水素蓄圧器用複合圧力容器

に関する基準

(案)

KHKS 0225 (2018)

平成30年 月 日 制定

高圧ガス保安協会

2018

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目 次

1 適用範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2 引用規格 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

3 用語の定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

4 材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

4.1 耐圧部分の金属材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

4.1.1 規格材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

4.1.2 同等材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

4.1.3 特定材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

4.2 耐圧部分の非金属材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

4.2.1 炭素繊維 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

4.2.2 樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

4.3 非耐圧部分の材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

4.3.1 金属材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

4.3.2 非金属材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

4.4 材料仕様書の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

5 設計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

5.1 最小厚さの計算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

5.1.1 計算の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

5.1.1.1 金属ライナー製複合圧力容器の最小厚さの計算の方法 ・・・・・・・・・ 8

5.1.1.2 プラスチックライナー製複合圧力容器の最小厚さの計算の方法 ・・・・・ 8

5.1.2 最小厚さ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

5.1.2.1 金属ライナー製複合圧力容器の最小厚さ ・・・・・・・・・・・・・・・ 9

5.1.2.2 プラスチックライナー製複合圧力容器の最小厚さ ・・・・・・・・・・・ 10

5.2 設計確認試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

5.2.1 設計確認試験に用いる複合圧力容器 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

5.2.2 静強度の確認試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

5.2.2.1 破裂試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

5.2.2.2 金属ライナーの破裂前漏洩の確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

5.2.2.3 ねじ部の静強度確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

5.2.2.4 プラスチックライナーのボス部のトルク試験 ・・・・・・・・・・・・・ 12

5.2.2.5 プラスチックライナーのガス透過試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

5.2.2.6 プラスチックライナーの融着部引張試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

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パブリックコメント用

5.2.2.7 層間せん断試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

5.2.3 疲労強度等の確認試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

5.2.3.1 疲労試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

5.2.3.2 最小厚さ確認試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

5.2.3.3 環境試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

5.2.3.4 水素ガスサイクル試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

5.2.3.5 温度クリープ試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

5.2.3.6 疲労解析及びき裂進展解析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

5.2.4 破裂圧力の最小厚さにおける破裂圧力への補正 ・・・・・・・・・・・・・・ 18

5.3 材料の許容引張応力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

5.3.1 規格材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

5.3.2 同等材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

5.3.3 特定材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

5.3.4 樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

5.4 材料の縦弾性係数等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

5.4.1 規格材料の縦弾性係数及び線膨張係数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

5.4.2 同等材料の縦弾性係数及び線膨張係数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

5.4.3 特定材料の縦弾性係数及び線膨張係数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

5.4.4 樹脂含浸炭素繊維層の縦弾性係数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

6 加工 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

6.1 材料の切断 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

6.2 金属ライナーの成形 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

6.3 プラスチックライナーの成形 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

6.4 金属ライナーの成形後の熱処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

6.5 金属ライナーに使用する材料の機械試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

6.5.1 常温における機械試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

6.5.2 設計温度における機械試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

6.6 ボス部等のねじ加工 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

6.7 電位差腐食防止の施工 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

6.8 ワインディング ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23

6.9 樹脂の熱硬化処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

6.10 自緊処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

7 構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

7.1 複合圧力容器に設けなければならない穴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

7.2 ボス部の取付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

7.3 製造確認試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

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7.3.1 製造確認試験における試験の種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

7.3.2 製造確認試験に用いる複合圧力容器 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

7.3.3 製造確認試験における試験の方法及び合格基準 ・・・・・・・・・・・・・・・ 25

8 検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

8.1 設計の検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

8.1.1 設計の検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

8.1.2 設計の検査の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

8.2 材料の検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

8.2.1 材料の検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

8.2.2 材料の検査の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

8.3 加工の検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

8.3.1 加工の検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

8.3.2 加工の検査の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

8.4 構造の検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

8.4.1 構造の検査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

8.4.1.1 胴の真円度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

8.4.1.2 鏡部の形状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

8.4.1.3 耐圧試験及び気密試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

8.4.1.4 製造確認試験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

8.4.2 構造の検査の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

9 追加要求事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

解説

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パブリックコメント用

1

1 適用範囲

この基準は、特定設備検査規則(以下「特定則」という。)の適用を受ける特定設備で、圧縮水

素蓄圧器用の複合構造を有する圧力容器(ライナーに樹脂含浸連続炭素繊維を巻き付けた複合構

造を有する圧力容器であって、フルラップ構造に限る。以下「複合圧力容器」という。)の材料、

設計、加工、構造及び検査に適用する。

この基準を適用する複合圧力容器の適用範囲は、次の a)~d)による。

a) 内容積は 500L 以下とする。

b) 設計圧力及び常用の圧力は 105MPa 以下とする(ただし、負圧を除く。)。

c) 設計温度及び常用の温度は-40℃以上、85℃以下とする。

d) 大使用期間は 15 年以下とする。

2 引用規格

次に掲げる規格は、この基準に引用されることによって、この基準の規定の一部を構成する。

ASME Section II (1998 addenda) 材料

ASME Section VIII Division 1 (1998 addenda) 圧力容器の製造に係る規則

ASTM D638 (2014) プラスチックの引張特性の標準試験方法

ASTM D2343 (2009) 強化プラスチックに用いたガラス繊維ストランド、ヤーン及びロービン

グの引張特性の標準試験方法

ASTM D2344 (2016) ショートビーム試験によるポリマー複合材料及びその層間せん断強さ

試験方法

ASTM D2583 (2013) バーコルインプレッサによる硬化樹脂の圧入硬さ試験方法

ASTM D4018 (2011) 炭素及び黒鉛繊維特性の試験方法

ASTM D4814 (2016) 自動車用スパーク着火エンジン燃料

ASTM E1820 (2015) 破壊靱性測定の標準試験方法

ASTM E647 (2015) 疲労き裂進展速度測定の試験方法

ISO 306 (2013) プラスチック-熱可塑性材料-ビカット軟化温度(VST)の測定

ISO 472 (2013) プラスチック-用語

JIS B 0190 (2010) 圧力容器の構造に関する共通用語

JIS B 8266 (2003) (追補 1:2006)圧力容器の構造-特定規格

JIS G 3214 (1991) (追補 1:2009)圧力容器用ステンレス鋼鍛鋼品

JIS G 4303 (2012) ステンレス鋼棒

JIS G 4304 (2012) (追補 1:2015)熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

JIS G 4305 (2012) (追補 1:2015)冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

JIS H 0001 (1998) アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金-質別記号

JIS H 4000 (2014) (追補 1:2017) アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条

JIS H 4040 (2015) アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線

JIS H 4080 (2015) アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管

JIS H 4140 (1988) アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品

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パブリックコメント用

2

JIS K 7010 (1995) 繊維強化プラスチック用語

JIS K 7078 (1991) 炭素繊維強化プラスチックの層間せん断試験方法

JIS K 7161-1 (2014) プラスチック-引張特性の求め方 第 1 部:通則

JIS K 7161-2 (2014) プラスチック-引張特性の求め方 第 2 部:型成形、押出成形及び注型

プラスチックの試験条件

JIS K 7206 (2016) プラスチック-熱可塑性プラスチック-ビカット軟化温度(VST)試験方

JIS R 3413 (2012) ガラス糸

JIS R 3420 (2013) ガラス繊維一般試験方法

JIS R 7608 (2007) 炭素繊維-樹脂含浸ヤーン試料を用いた引張特性試験方法

JIS Z 2343-1 (2001) 非破壊試験-浸透探傷試験-第 1 部:

一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類

KHKS 0220 (2016) 超高圧ガス設備に関する基準

KHKS 1222 (2016) ねじ構造の強度設計指針

3 用語の定義

この基準で使用する用語の意味は、特定則で使用する用語の例及び JIS B 0190 によるほか、次

の a)~ab)による。

a) 耐圧部分

金属ライナー製複合圧力容器及びプラスチックライナー製複合圧力容器(以下「複合圧力

容器」という。)のうち、内面に圧力 0 Pa を超える圧力を保持する部分(樹脂含浸炭素繊維

層を含む。)及び圧力によって生じる荷重を保持する部分をいう。ただし、次の 1)~4)を除く。

1) 圧力の保持の目的に直接供されないもの

2) 耐圧部分に施すライニング、メッキ等強度部材以外のもの(電位差腐食防止のための防

食層を含む。)

3) プラスチックライナー

4) 保護層

b) 設計温度

複合圧力容器を使用することができる 高の温度及び 低の温度(低温(0℃未満をいう。

以下同じ。)で使用する場合に限る。)として、設備の運転時、停止時、異常時、環境温度等

を考慮して設定する温度をいう。

c) 常用の温度

複合圧力容器が通常使用される状態での 高の温度及び 低の温度をいう。

d) 設計圧力

複合圧力容器を使用することができる 高の圧力をいう。

e) 常用の圧力

複合圧力容器が通常使用される状態での 高の圧力をいう。

f) 設計圧力サイクル数

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パブリックコメント用

3

複合圧力容器の圧力の変動に対応する使用繰返し回数をいう。

g) フルラップ構造

ライナーにヘリカル巻(ライナー胴部及び鏡部に繊維をら旋状に巻き付ける方法をいう。)

又はインプレーン巻(ライナー胴部及び鏡部に繊維を直線状に巻き付ける方法をいう。)及び

フープ巻き(ライナー胴部に繊維を軸とほぼ直角に巻き付ける方法をいう。)により樹脂含浸

連続炭素繊維を巻き付ける構造をいう。

h) ライナー

複合圧力容器の 内層を構成する、金属製又はプラスチック製の容器をいう。

i) ボス

複合圧力容器に配管、閉止プラグ等を取付ける金属製の口金部分(開口側及び閉口側のい

ずれも含む。)をいう。

j) 樹脂含浸炭素繊維層

樹脂含浸連続炭素繊維に硬化処理を施した積層をいう。

k) 樹脂含浸ガラス繊維層

樹脂含浸連続ガラス繊維に硬化処理を施した積層をいう。

l) 保護層

複合圧力容器を外部衝撃等から保護するために複合圧力容器の外面に設ける層及び保護パ

ッドをいう。

m) 防食層

金属ライナーと樹脂含浸炭素繊維層との間の電位差腐食を防止するための塗膜、樹脂含浸

ガラス繊維層等をいう。

n) 金属ライナー製複合圧力容器

ライナーに金属ライナーを使用する複合圧力容器をいう。

o) プラスチックライナー製複合圧力容器

ライナーにプラスチックライナーを使用する複合圧力容器をいう。

p) 全厚さ

金属ライナー製複合圧力容器にあっては、金属ライナー、樹脂含浸炭素繊維層、保護層及

び防食層それぞれの呼び厚さを合計した厚さをいい、プラスチックライナー製複合圧力容器

にあっては、プラスチックライナー、樹脂含浸炭素繊維層及び保護層それぞれの呼び厚さ(ボ

ス部にあってはボスの呼び厚さを含む。)を合計した厚さをいう。

q) 小厚さ

金属ライナー製複合圧力容器にあっては、金属ライナー及び樹脂含浸炭素繊維層それぞれ

の計算厚さをいい、プラスチックライナー製複合圧力容器にあっては、樹脂含浸炭素繊維層

及びボス部それぞれの計算厚さをいう。

r) 応力比

設計温度における炭素繊維の引張強さを、設計温度及び設計圧力において複合圧力容器の

樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維に生じる応力で除した値をいう。

s) 小破裂圧力

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パブリックコメント用

4

設計温度において複合圧力容器が具備すべき 小の破裂圧力で、次の 1) 及び 2) のいずれ

か大なる圧力をいう。

1) 設計圧力の 2.25 倍以上の圧力

2) 複合圧力容器の 小厚さを用いて求まる樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維の応力比が 2.25

以上となる圧力

t) 自緊処理

金属ライナー製複合圧力容器の金属ライナーの疲労強度の改善を目的に、金属ライナー製

複合圧力容器に耐圧試験圧力以上の圧力を負荷して、金属ライナーに圧縮残留応力を付与す

る処理をいう。

u) エルハルト式

金属ライナーの製造方法で、金属塊より押し出し等によって成形するものをいう。

v) カッピング式

金属ライナーの製造方法で、金属板の絞り加工等によって成形するものをいう。

w) マンネスマン式

金属ライナーの製造方法で、ライナーの鏡部を継目無管の両端部を熱加工(金属を加えな

いものに限る。)により成形するものをいい、管の端部の熱加工による接合で成形するものを

除く。

x) 設計確認試験

複合圧力容器の製造に先行して、当該複合圧力容器と材料、設計、形状寸法、加工、構造、

検査、製造設備等がすべて同一の複合圧力容器(以下「同一仕様の複合圧力容器」という。)

又は同一仕様の複合圧力容器で胴の長さのみ胴部の応力分布に影響を与えない長さ以上とす

る複合圧力容器(以下「同一仕様のサブスケール複合圧力容器」という。)を用いて設計の

妥当性を確かめるために行う試験をいう。

y) 製造確認試験

複合圧力容器の製造と並行して、当該複合圧力容器と同一仕様の複合圧力容器を用いて製

造の品質を確かめるために行う試験をいう。

z) 設計書

複合圧力容器の設計、加工、構造及び検査に係る仕様、検査、品質管理等を示す書類をい

い、複合圧力容器の製造者が作成するものをいう。

aa) 材料仕様書

複合圧力容器の耐圧部分及び非耐圧部分に使用する材料の品名、型番、形状、材料特性に

係る要求仕様、検査及び試験に係る要求仕様、品質管理に係る要求仕様、提出書類等の要求

仕様を示す書類であって、複合圧力容器の製造者が作成し材料の製造業者に提示するものを

いう。

ab) 構造図

複合圧力容器の耐圧部分及び非耐圧部分の材料、形状寸法、構造、数量等を示す図面をい

い、複合圧力容器の製造者が作成するものをいう。

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パブリックコメント用

5

4 材料

4.1 耐圧部分の金属材料

4.1.1 規格材料

複合圧力容器の耐圧部分に使用する金属材料の規格材料は、次の a)及び b)による。

a) 金属ライナー製複合圧力容器の金属ライナーに使用する材料は、アルミニウム合金であっ

て、次の 1)~4)のいずれかに適合する材料とする。ただし、使用するアルミニウム合金は、鉛

及びビスマスの含有成分量が、それぞれ 0.01%以下の材料とする。

1) JIS H 4000(A6061P に限る。)

2) JIS H 4040(A6061BE 及び A6061BD に限る。)

3) JIS H 4080(A6061TE、A6061TES、A6061TD 及び A6061TDS に限る。)

4) JIS H 4140(A6061FD 及び A6061FH に限る。)

b) プラスチックライナー製複合圧力容器のボス部に使用する材料は、ステンレス鋼又はアル

ミニウム合金であって、次の 1)又は 2)による。

1) ステンレス鋼は、次の 1.1)~1.4)のいずれかに適合する材料とする。

1.1) JIS G 3214(SUSF316 及び SUSF316L に限る。)

1.2) JIS G 4303(SUS316 及び SUS316L に限る。)

1.3) JIS G 4304(SUS316 及び SUS316L に限る。)

1.4) JIS G 4305(SUS316 及び SUS316L に限る。)

ただし、使用するステンレス鋼は、絞りの値が 75%以上で、かつ、次の式 1 により求めた

ニッケル当量が、次の表 1 に示す複合圧力容器の常用の温度の 低温度に応じたニッケル当

量の要求値以上の材料とする。

ニッケル当量(質量%) = 12.6×C + 0.35×Si + 1.05×Mn + Ni + 0.65×Cr + 0.98×Mo …(式 1)

ここで、C は炭素、Si はケイ素、Mn はマンガン、Ni はニッケル、Cr はクロム及び Mo は

モリブデンの各質量分率の値(質量%)を示す。

表 1 ニッケル当量の要求値

常用の温度の 低温度 T (℃) -40≦T<-10 -10≦T<+20 +20≦T≦+85

ニッケル当量の要求値 (質量%) 28.5 27.4 26.3

2) アルミニウム合金は、次の 2.1)~2.3)のいずれかに適合する材料とする。ただし、使用す

るアルミニウム合金は、鉛及びビスマスの含有成分量が、それぞれ 0.01%以下の材料とす

る。

2.1) JIS H 4000(A6061P-T6 に限る。)

2.2) JIS H 4040(A6061BE-T6 及び A6061BDS-T6 に限る。)

2.3) JIS H 4140(A6061FD-T6 及び A6061FH-T6 に限る。)

4.1.2 同等材料

複合圧力容器の耐圧部分に使用する金属材料の同等材料は、次の a)~c) のいずれかに適合する

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パブリックコメント用

6

材料とする。ただし、アルミニウム合金を使用する場合は、4.1.1 に定める鉛及びビスマスの含有

成分量の規定を満足することとし、ステンレス鋼を使用する場合は、4.1.1 に定める絞りの値及び

ニッケル当量の要求値を満足することとする。

a) 規格材料と化学成分及び機械的性質が同一であって、製造方法、形状又は板厚の範囲が異

なるもの。

b) 規格材料と化学成分及び機械的性質が同一であって、当該 JIS の改正年度が異なるもの。

c) 規格材料と化学成分、機械的性質、試験方法及び試料採取方法が極めて近似的なものであ

って、規格材料と材料の性質が極めて類似したもの。

4.1.3 特定材料

複合圧力容器の耐圧部分に使用する金属材料の特定材料は、ASME Section VIII Division 1 の

Part UNF に掲げるアルミニウム合金及び Part UHA に掲げるステンレス鋼であって、Part UNF

及び Part UHA に規定する材料の使用制限を満足し、かつ、規格材料と化学成分、機械的性質、

試験方法及び試料採取方法が極めて近似的なものであって、規格材料と材料の性質が極めて類似

した材料とする。ただし、アルミニウム合金を使用する場合は、4.1.1 に定める鉛及びビスマスの

含有成分量の規定を満足することとし、ステンレス鋼を使用する場合は、4.1.1 に定める絞りの値

及びニッケル当量の要求値を満足することとする。

4.2 耐圧部分の非金属材料

4.2.1 炭素繊維

複合圧力容器の耐圧部分に使用する炭素繊維は、次の a)及び b)に適合する材料とする。

a) ISO 472 に定める炭素繊維であって、JIS R 7608 又は ASTM D4018 に定める試験方法によ

って求めた引張強さ、破断ひずみ及び縦弾性係数が、材料仕様書に規定する要求値を満たす

材料とする。ただし、 小引張強さは 3,500N/mm2 以上、 小破断ひずみは 1%以上とする。

b) 樹脂との接着性を向上するために行う炭素繊維の表面処理は、材料仕様書の規定に従って

行われていなければならない。

4.2.2 樹脂

複合圧力容器の炭素繊維に含浸する樹脂は、次の a)及び b)に適合する材料とする。

a) 樹脂は、エポキシ樹脂又は変性エポキシ樹脂とする。

b) 樹脂は、材料仕様書に規定する特性等が明らかな材料とする。

4.3 非耐圧部分の材料

4.3.1 金属材料

複合圧力容器の非耐圧部分に使用する金属材料で、内部流体の水素ガスと接する部分の金属材

料にあっては 4.1 の規定に準じる材料とし、水素ガスと接しないその他の金属材料にあっては使

用目的に適した材料とする。

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パブリックコメント用

7

4.3.2 非金属材料

複合圧力容器の非耐圧部分に使用する非金属材料は、次の a)~h)による。

a) プラスチックライナーは、次の 1)~4)に適合する材料とする。

1) 熱可塑性プラスチックとする。

2) 軟化温度は 90℃以上とする。ここで、軟化温度の測定方法は JIS K 7206 又は ISO 306 に

よる。

3) 溶融温度は 100℃以上とする。

4) 水素による劣化、損傷等が生じない材料とする。

b) 炭素繊維を保護層に使用する場合には、4.2.1 の規定を適用する。

c) ガラス繊維は、次の 1)~3)のいずれかに適合する材料とする。

1) JIS R 3413 の「4 種類」に定める E ガラスであって、JIS R 3420 又は ASTM D2343 に定

める試験方法によって求めた引張強さが 1,400N/mm2 以上の材料

2) JIS K 7010 に定める S ガラス繊維であって、JIS R 3420 又は ASTM D2343 に定める試験

方法によって求めた引張強さが 2,800N/mm2 以上の材料

3) JIS R 3420 又は ASTM D2343 に定める試験方法によって求めた引張強さ及び破断ひずみ

が S ガラス繊維と同等以上の材料

d) ガラス繊維に含浸する樹脂は、4.2.2 の規定を適用する。

e) 樹脂を保護層又は防食層に使用する場合には、4.2.2 の規定を適用する。

f) 樹脂の硬化及び硬化の促進に用いる助剤は、使用する樹脂に対して適切な材料とする。

g) 保護パッド及び保護パッドを取り付けるための接着剤は、保護する材料を損なわないもの

とする。

h) a)~g)以外の非金属材料で、内部流体の水素ガスと接する部分の非金属材料にあっては水素

による劣化等が生じない材料とし、水素ガスと接しないその他の非金属材料にあっては使用

目的に適した材料とする。

4.4 材料仕様書の作成

複合圧力容器の製造者は、4.2 及び 4.3.2 に規定する材料(必要な場合は、4.1 及び 4.3.1 に規定

する材料も含む。)について、材料仕様書を作成し、それぞれの材料の製造業者に提示する。材料

仕様書には、材料の種類に応じて次の a)~g)の要求仕様を含むものとする。

a) 一般

材料の種類に係わらず、次の 1)~7)を含むものとする。

1) 材料の製造業者名

2) 材料名

3) 材料の品名、型番、区分等を示す記号

4) 材料特性の要求仕様に係る試験方法、検査方法等の基準。ただし、指示が無い場合にあ

っては、材料の製造業者が適用した試験方法、検査方法等を示す書類を複合圧力容器の

製造者に提出すること。

5) 購入数量

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6) 材料の製造年月日及び使用可能期限

7) 提出書類及び書類への記載事項

b) 炭素繊維の材料仕様書には、次の 1)及び 2)を含むものとする。

1) 小引張強さ、 小破断ひずみ及び縦弾性係数の要求値

2) 炭素繊維の表面処理の仕様

c) 樹脂の材料仕様書には、次の 1)及び 2)を含むものとする。

1) 樹脂の粘度、エポキシ当量、比重及びゲル化時間

2) 熱変形温度又はガラス転移温度

d) プラスチックライナーの材料仕様書には、次の 1)及び 2)を含むものとする。

1) 軟化温度及び溶融温度

2) 耐水素脆化特性に係る要求事項

e) ガラス繊維の材料仕様書には、ガラス繊維の引張強さ及び破断ひずみを含むものとする。

f) 樹脂の硬化及び硬化の促進に用いる助剤の材料仕様書には、樹脂との混合に係る要求事項を

含むものとする。

g) 保護パッドの材料仕様書には、次の 1)及び 2)を含むものとする。

1) 接着剤の材料

2) 接着(加圧力、保持時間等)に係る要求事項

5 設計

5.1 最小厚さの計算

5.1.1 計算の方法

5.1.1.1 金属ライナー製複合圧力容器の最小厚さの計算の方法

金属ライナー製複合圧力容器の耐圧部分の 小厚さとは、有限要素法その他の適切な解析手法

により、次の a)~e)に示す状態 1 から状態 5 の順序で温度及び圧力を負荷して b)~e)の各状態に

対して得られる耐圧部分の応力が、5.1.2.1 の規定を満足するときの当該応力を求めるために仮定

された厚さをいう。この場合において、a)~c)の状態 1 から状態 3 まで及び d)~e)の状態 4 から状

態 5 は弾塑性熱応力解析で、c)~d)の状態 3 から状態 4 は弾性熱応力解析で耐圧部分の応力計算を

行う。

a) 状態 1:常温においてゼロ圧力を負荷

b) 状態 2:常温において自緊処理圧力を負荷

c) 状態 3:常温においてゼロ圧力を負荷

d) 状態 4:設計温度において設計圧力を負荷

e) 状態 5:設計温度において 小破裂圧力を負荷

5.1.1.2 プラスチックライナー製複合圧力容器の最小厚さの計算の方法

プラスチックライナー製複合圧力容器の耐圧部分の 小厚さとは、有限要素法その他の適切な

解析手法により、次の a)~c)に示す状態 1 から状態 3 の順序で温度及び圧力を負荷して b)及び c)

の各状態に対して得られる耐圧部分の応力が、5.1.2.2 の規定を満足するときの当該応力を求める

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ために仮定された厚さをいう。この場合において、a)及び b)の状態 1 から状態 2 は弾性熱応力解

析で、b)及び c)の状態 2 から状態 3 は弾塑性熱応力解析で耐圧部分の応力計算を行う。

a) 状態 1:常温においてゼロ圧力を負荷

b) 状態 2:設計温度において設計圧力を負荷

c) 状態 3:設計温度において 小破裂圧力を負荷

5.1.2 最小厚さ

5.1.2.1 金属ライナー製複合圧力容器の最小厚さ

金属ライナー製複合圧力容器の 小厚さは、次の a)及び b)を満足する厚さとする。

a) 樹脂含浸炭素繊維層の 小厚さは、次の 1)及び 2)のいずれも満足する厚さとする。

1) 5.1.1.1 d)の状態 4 において、樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維に生じる応力の 大値が、

5.3.4 で規定する許容引張応力以下となる。

2) 設計温度において複合圧力容器の破裂圧力が 小破裂圧力以上となる。

b) 金属ライナーの 小厚さは、次の 1)又は 2)のいずれかの方法で求まる厚さとする。

1) 弾塑性熱応力解析に基づく応力評価を行い、JIS B 8266 附属書 8 の線形弾性解析に準じ

て各応力成分を応力分類した結果が、次の 1.1)及び 1.2)の規定を満足する厚さ。

1.1) 5.1.1.1 c)の状態 3 において、金属ライナーに生じる応力強さが、次の式 2 及び式 3 を満

たす。

. ・・・(式 2)

・・・(式 3)

ここで、 、 、 、 及び は、次による。

:一次一般膜応力(N/mm2)

:一次局部膜応力(N/mm2)

:一次曲げ応力(N/mm2)

:バウシンガー効果を考慮する引張降伏後の圧縮降伏値の低下係数( 1)

:金属ライナーの材料の常温における降伏点又は 0.2%耐力(N/mm2)

1.2) 5.1.1.1 d)の状態 4 において、金属ライナーに生じる応力強さが、次の式 4 及び式 5 を満

たす。

・・・(式 4)

2 ・・・(式 5)

ここで、 、 、 及び は、次による。

:一次局部膜応力(N/mm2)

:一次曲げ応力(N/mm2)

:二次応力(N/mm2)

:5.3.1~5.3.3 で規定する金属ライナーの材料の設計温度における許容引張応力

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(N/mm2)

2) ミーゼスの相当応力が、次の 2.1)及び 2.2)の規定を満足する厚さ。

2.1) 5.1.1.1 c)の状態 3 において、金属ライナーに生じるミーゼスの相当応力が、金属ライナ

ーの材料の常温における降伏点又は 0.2%耐力の値以下である。

2.2) 5.1.1.1 d)の状態 4 において、金属ライナーに生じるミーゼスの相当応力が、5.3.1~5.3.3

で規定する金属ライナーの材料の設計温度における許容引張応力の値以下である。

5.1.2.2 プラスチックライナー製複合圧力容器の最小厚さ

プラスチックライナー製複合圧力容器の 小厚さは、次の a)及び b)を満足する厚さとする。

a) 樹脂含浸炭素繊維層の 小厚さは、次の 1)及び 2)のいずれも満足する厚さとする。

1) 5.1.1.2 b)の状態 2 において、樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維に生じる応力の 大値が、

5.3.4 で規定する許容引張応力以下となる。

2) 設計温度において複合圧力容器の破裂圧力が 小破裂圧力以上となる。

b) ボス部の 小厚さは、次の 1)又は 2)のいずれかの方法で求まる厚さとする。

1) 5.1.1.2 b)の状態 2 において、ボス部に生じる応力強さが、次の式 6 及び式 7 を満たす。

・・・(式 6)

2 ・・・(式 7)

ここで、 、 、 及び は、次による。

:一次局部膜応力(N/mm2)

:一次曲げ応力(N/mm2)

:二次応力(N/mm2)

:5.3.1~5.3.3で規定するボス部の材料の設計温度における許容引張応力(N/mm2)

2) 5.1.1.2 b)の状態 2 において、ボス部に生じるミーゼスの相当応力が、5.3.1~5.3.3 で規定

するボス部の材料の設計温度における許容引張応力の値以下である。

5.2 設計確認試験

5.2.1 設計確認試験に用いる複合圧力容器

設計確認試験に用いる複合圧力容器(以下「試験体」という。)は、設計確認試験の種類に応じ

て同一仕様の複合圧力容器又は同一仕様のサブスケール複合圧力容器とする。

5.2.2 静強度の確認試験

5.2.2.1 破裂試験

試験体に同一仕様の複合圧力容器を用い、次の a)及び b)により破裂試験を行い、これに合格し

なければならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~6)による。

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1) 試験に使用する試験体の個数は 3 個とする。

2) 試験は非水槽式とし、常温で試験体に気相部が残らないように腐食性及び危険性のない

液体(イオン交換水等をいい、以下「試験液体」という。)を充満させた後、加圧装置を

用いて均等な速度で徐々に圧力を加え、試験体が破壊するまで昇圧する。

3) 昇圧速度は、 小破裂圧力の 80%を超える圧力では毎秒 0.35MPa 以下とする。

4) 破裂圧力は、圧力計等で目視により確認するとともに、チャート等で記録する。

5) 試験は設計温度で行う。

6) 試験から求まる破裂圧力は、5.2.4 に示す方法により、 小厚さにおける破裂圧力への補

正を行う。

b) 合格基準

破裂試験は、設計温度で、 小厚さにおける破裂圧力が、 小破裂圧力以上である場合に

合格とする。

5.2.2.2 金属ライナーの破裂前漏洩の確認

金属ライナー製複合圧力容器は、KHKS 0220 に従って、次の a)~c)により破裂前漏洩を確認す

る。

a) 金属ライナーの内面き裂の 深点で、き裂進展方向の部位の厚さ t の 0.8 倍のき裂深さにお

いて、次の式 8 及び式 9 を満たす。

KI < KIC ・・・(式 8)

0.2 ・・・(式 9)

ここで、KI、KIC、Sy及び t は、次による。

KI :応力拡大係数(MPa√m)

KIC :常用の温度における金属ライナーの材料の平面ひずみ破壊靱性で、水素脆化を

考慮しない値(MPa√m)

Sy :常用の温度における金属ライナーの材料の降伏点又は 0.2%耐力の値(N/mm2)

t :き裂進展方向の部位の厚さ(mm)

b) KIの計算に用いるき裂の形状は、アスペクト比(き裂深さ/き裂長さ)が 1/3 の半楕円形き

裂とする。

c) 破裂前漏洩の確認は、常用の圧力と常用の温度の組合せで行う。評価点はライナーの応力

分布を考慮して適切な位置とし、自緊処理による圧縮残留応力も含める。

5.2.2.3 ねじ部の静強度確認

ねじ部は、設計圧力及び設計温度において KHKS 1222 その他の適切な方法によって静強度評価

を行い、ねじ部に生じる応力が KHKS 1222 その他の適切な方法で定める許容限界値以下となるこ

とを確認する。

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5.2.2.4 プラスチックライナーのボス部のトルク試験

プラスチックライナー製複合圧力容器は、試験体に同一仕様の複合圧力容器を用い、次の a)及

び b)によりボス部のトルク試験を行い、これに合格しなければならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~6)による。

1) 試験に使用する試験体の個数は 1 個とする。

2) 試験体を回転しないように固定し、トルクレンチ等を用いて、ボス部のねじ形状に適合

するねじを有するバルブ、プラグ等を、複合圧力容器の製造者が設計書又は構造図で規

定する 大締付けトルクの 150%以上で締め付ける。

3) バルブ、プラグ等を取り外し、ボス部のねじ部とボスの外観検査を行う。外観検査は、

目視により有害な傷のないことを確認し、また、寸法測定器等を用いた測定によりねじ

の寸法許容差並びに設計書又は構造図に示すボス部の製作公差を超える変形の無いこと

を確認する。その後、再度 2)と同様の方法によりバルブ、プラグ等を締め付ける。

4) 3)のバルブ、プラグ等の再度の締付けの後、5)又は 6)により漏洩試験又はガス透過試験

のいずれかの試験を行う。

5) 漏洩試験の方法は、次の 5.1)~5.3)による。

5.1) 漏洩試験は常温で行う。

5.2) 試験体に乾燥した清浄な空気又は窒素等の不活性ガスを注入し、加圧装置により設計

圧力の 10 分の 1 ずつ段階的に設計圧力まで加圧する。加圧後、設計圧力で 2 時間以上

保持する。

5.3) 設計圧力を保持したまま、発泡液をボス部に塗布する等の漏洩による発泡が確認でき

る方法で、目視により発泡数の確認を 10 分間以上行い、1 分間当たりの発泡数を記録

する。

6) ガス透過試験の方法は、5.2.2.5 a) 3)及び 4)による。

b) 合格基準

試験の合格基準は、次の 1)~3)による。

1) a)3)の外観検査は、有害な傷がなく、ねじの寸法許容差並びに設計書又は構造図に示すボ

ス部の製作公差を超える変形の無い場合を合格とする。

2) a)5)の漏洩試験は、1 泡/2 分間以下の漏洩である場合を合格とする。

3) a)6)のガス透過試験は、5.2.2.5 b)の合格基準を満たす場合を合格とする。

5.2.2.5 プラスチックライナーのガス透過試験

プラスチックライナー製複合圧力容器は、試験体に同一仕様の複合圧力容器を用い、次の a)及

び b)によりガス透過試験を行い、これに合格しなければならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~4)による。

1) 試験に使用する試験体の個数は 1 個とする。

2) 試験体を回転しないように固定し、トルクレンチ等を用いて、ボス部のねじ形状に適合

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するねじを有するバルブ、プラグ等を、複合圧力容器の製造者が設計書又は構造図で規

定する 大締付トルクの 200%以上で締め付ける。

3) 試験体を常温で密閉容器又は密閉室内に定置し、試験体に乾燥した清浄な水素ガス又は

5%水素/95%窒素の混合ガスを注入し、加圧装置により設計圧力の 10 分の 1 ずつ段階的

に設計圧力まで加圧した後、ガス透過量を単位時間当たりの透過量がほぼ一定となった

時から 500 時間測定する。

4) 質量分析計による測定、ガス濃度の測定、ガス検知による測定等により、ガス透過によ

る水素ガスの漏洩量を測定して記録する。

b) 合格基準

ガス透過試験は、単位時間当たりのガスの透過量の測定値が、水素ガスの場合は 5cc/L/hr

以下、混合ガスの場合は 0.15cc/L/hr 以下の場合を合格とする。

5.2.2.6 プラスチックライナーの融着部引張試験

プラスチックライナー製複合圧力容器であって、プラスチックライナーに融着部を有する場合

は、次の a)及び b)によりプラスチックライナーの融着部引張試験を行い、これに合格しなければ

ならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~5)による。

1) 試験片は、JIS K 7161-1 の「6 試験片」、JIS K 7161-2 の「6 試験片」又は ASTM D638 の

「6 試験片」に定める試験片とする。

2) 試験片は、当該試験片の中央部分に融着部を有するものとし、当該融着部の融着温度、

時間、接合力等の融着の施工条件はプラスチックライナーの成形に用いる融着の施工条

件と同一であって、融着部の応力を除去するために熱処理を施す場合にあっては、当該

試験片の融着部に同一の熱処理を施したものであること。

3) 試験は、-50℃以下、常温及び設計温度以上(設計温度が 57℃未満の場合は 57℃以上)

のそれぞれの温度において、それぞれ 5 個の試験片について、JIS K 7161-1 の「5 装置」

及び「9 手順」、JIS K 7161-2 の「5 装置」及び「8 手順」又は ASTM D638 の「5 装置」、

「8 試験速度」及び「10 手順」により行う。

4) 試験の結果、試験片の幅の狭い平行部分以外で破断した場合は、当該試験片による試験

結果は無効とし、当該試験片に替わる試験片を採取し、再試験を行うことができる。

5) 試験後、目視により破断位置及び破断面の破断形態を観察し、記録する。

b) 合格基準

プラスチックライナーの融着部引張試験は、a)3)の各温度における試験片が融着部以外の幅

の狭い平行部分又は融着部で破断し、かつ、破断形態が延性を示す場合に合格とする。

5.2.2.7 層間せん断試験

樹脂含浸炭素繊維層は、次の a)及び b)により層間せん断試験を行い、これに合格しなければな

らない。

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a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~6)による。

1) 試験片は 5 個とする。

2) 試験片の形状及び寸法は、ASTM D2344 の「8 試験片」又は JIS K 7078 の「5 試験片」

に定める試験片とし、沸騰水中にて 24 時間煮沸したものを使用する。

3) 試験は、ASTM D2344 の「7 装置」及び「11 手順」又は JIS K 7078 の「4 装置及び器

具」及び「6 操作」に定める装置及び方法により行う。

4) 試験の結果、試験片が中央部以外で破断した場合又は水平な層間せん断破壊以外で破壊

した場合は、当該試験片による試験結果は無効とし、当該試験片に替わる試験片を採取

し、再試験を行うことができる。

5) 試験は設計温度で行う。

6) 試験結果を用い、ASTM D2344 の「12 計算」又は JIS K 7078 の「7 計算」により個々

の試験片のせん断応力を求める。

b) 合格基準

層間せん断試験は、個々の試験片のせん断応力の値が、13.8N/mm2 以上の場合に合格とす

る。

5.2.3 疲労強度等の確認試験

5.2.3.1 疲労試験

試験体に同一仕様の複合圧力容器を用い、次の a)及び b)により疲労試験を行い、これに合格し

なければならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~6)による。

1) 試験に使用する試験体の個数は、3)の試験圧力サイクル数に対応する試験体の個数(2

個~5 個)とする。

2) 試験は非水槽式とし、試験体に試験液体(試験中は、試験液体を適切に管理すること。)

を充満させた後、加圧装置を用いて複合圧力容器が使用される状態を考慮した圧力範囲

で、毎分 10 回以下で圧力サイクルを負荷する。

3) 疲労試験での試験圧力サイクル数 N は、試験体の個数に対応して次の式 10 より求まる回

数以上で、漏れが確認されるまでの回数(ただし、 大 2N 回)とする。

N=Kn × 設計圧力サイクル数 ・・・(式 10)

ここで、Knは試験体の個数 n に対応する係数で、次による。

n=2 の場合 Kn = 4.0

n=3 の場合 Kn = 3.5

n=4 の場合 Kn = 3.0

n=5 の場合 Kn = 2.6

4) 試験は常用の温度で行う。

5) 試験中は、圧力範囲、圧力サイクル数及び外表面温度を、測定器具等により連続的に測

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定し、チャート等で記録する。

6) 試験中は、目視等により破裂及び漏れの生じないことを確認する。

b) 合格基準

疲労試験は、次の 1)及び 2)のいずれも満足する場合を合格とする。

1) 試験圧力サイクル数 N 回で破裂及び漏れが生じない。

2) 試験圧力サイクル数 2N 回又は漏れ発生のどちらか短い回数まで試験を行い、試験中に試

験体が破裂しない。

5.2.3.2 最小厚さ確認試験

試験体に同一仕様の複合圧力容器を用い、次の a)及び b)により 小厚さ確認試験を行い、これ

に合格しなければならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~5)による。

1) 試験に使用する試験体の個数は 1 個とする。

2) 試験は非水槽式とし、試験体の胴部の樹脂含浸炭素繊維層の厚さを 小厚さまで切除し

た試験体に、試験液体(試験中は、試験液体を適切に管理すること。)を充満させた後、

加圧装置を用いて複合圧力容器が使用される状態を考慮した圧力範囲で、毎分 10 回以下

で設計圧力サイクル回数以上の圧力サイクルを負荷する。

3) 試験は常用の温度で行う。

4) 試験中は、圧力範囲、圧力サイクル数及び外表面温度を、測定器具等により連続的に測

定し、チャート等で記録する。

5) 試験中は、目視等により試験体に変形及び漏れの生じないことを確認する。

b) 合格基準

小厚さ確認試験は、規定の圧力変動を設計圧力サイクル数以上繰返しても、試験体に変

形及び漏れが生じない場合を合格とする。

5.2.3.3 環境試験

試験体に同一仕様の複合圧力容器又は同一仕様のサブスケール複合圧力容器を用い、次の a)及

び b)により環境試験を行い、これに合格しなければならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~12)による。

1) 試験に使用する試験体の個数は 1 個とする。

2) 試験体の表面に、直径 100mm の円を試験体の長手方向の同一線上に沿って重複しないよ

うに 6 カ所定める。

3) 2)で定めた 6 カ所に、4)で定める振り子式衝撃を各1回加える。

4) 振り子式衝撃は、次の 4.1)~4.4)による。

4.1) 振り子式衝撃試験機は、次の 4.1.1)~4.1.3)による。

4.1.1) 衝撃体は、鋼製のピラミッド型(底面は正方形、側面は正三角形)で、試験体に衝撃

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を加える頂点と、各稜線は半径 3mm の丸みをもつものとする。

4.1.2) 振り子の衝撃中心は、ピラミッド型衝撃体の重心と一致し、振り子の重心と回転軸の

距離は 1m とする。

4.1.3) 振り子の全質量は 15kg とする。

4.2) 衝撃時の振り子のエネルギーは 30N・m 以上とする。

4.3) 振り子で衝撃を与える間、試験体は両端のボス又は固定ジグで保持する。

4.4) 振り子による衝撃は、内圧を負荷しない状態で行う。

5) 環境暴露液は、次の 5.1)~5.6)の 6 種類とする。

5.1) 硫酸(容積比 19%溶液)

5.2) 水酸化ナトリウム(重量比 25%溶液)

5.3) メタノール 5%とガソリン 95%の混合液(ASTM D4814 に適合する M5 燃料 5/95%)

5.4) 硝酸アンモニウム(重量比 28%溶液)

5.5) メタノール水溶液(容積比 50%溶液)

5.6) 塩化ナトリウム(重量比 5%溶液)

6) 2)に定めた 6 カ所に、直径が 90mm 以上 100mm 以下で厚さが約 0.5mm のガラスウール

のパットを置く。

7) 5)に定める 6 種類の環境暴露液を、6)のそれぞれ異なるガラスウールのパットに 1 種類ず

つ浸み込ませ、浸透液の状態が試験中に変化しないようにする。

8) 試験体に試験液体(試験中は、試験液体を適切に管理すること。)を充満させた後、加圧

装置を用いて設計圧力の 10%以下から設計圧力以上の圧力範囲で、毎秒 2.75MPa 以下の

昇圧速度で、圧力サイクルを 3,000 回負荷する。

9) 3,000 回の圧力サイクル負荷後、試験体を加圧装置を用いて段階的に設計圧力の 125%の

圧力に加圧し、環境暴露液へ暴露された状態で 48 時間保持する。

10) 試験は常用の温度で行う。

11) 試験中は、圧力範囲、圧力サイクル数及び昇圧速度を、測定器具等により連続的に測定

し、チャート等で記録する。

12) 試験中は、目視等により、試験体に漏れ及び破裂の生じないことを確認する。

b) 合格基準

環境試験は、設計圧力の 125%の加圧試験で、試験体に漏れ及び破裂の生じない場合を合格

とする。

5.2.3.4 水素ガスサイクル試験

プラスチックライナー製複合圧力容器は、試験体に同一仕様の複合圧力容器又は同一仕様のサ

ブスケール複合圧力容器(複合圧力容器の内容積が 100L を超える場合に限る。)を用い、次の a)

及び b)により水素ガスサイクル試験を行い、これに合格しなければならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~6)による。

1) 試験に使用する試験体の個数は 1 個とする。

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2) 試験は、試験体に水素ガスを充満させ、加圧装置を用いて 2MPa 以下から設計圧力以上

の圧力範囲を毎時 1 回以上の割合で 1,000 回以上負荷させることによって行う。

3) 水素ガスサイクル試験中は、圧力範囲及び圧力サイクル数を測定器具等により連続的に

測定し、チャート等で記録する。

4) 水素ガスサイクル試験終了後、気密試験を実施する。気密試験は、試験体を乾燥させた

後に密閉容器又は密閉室内に定置し、水素ガスで設計圧力以上の圧力まで加圧装置を用

いて加圧し、1 分間以上保持した後、検知器等により密閉容器又は密閉室内のガス濃度

の測定又はガスの検知により行う。

5) 水素ガスサイクル試験及び気密試験は、常用の温度で行う。

6) 試験後、試験体を切断器等で切断し、ライナー及びライナーとボスの結合部を目視によ

り検査する。

b) 合格基準

水素ガスサイクル試験は、次の 1)及び 2)のいずれも満足する場合を合格とする。

1) a) 4)の気密試験において、試験体に漏れがなく、密閉容器又は密閉室内に水素ガスが検

知されない。

2) a) 6)の試験体切断後の目視検査において、試験体のライナー及びライナーとボスの結合

部に、疲労割れ、樹脂の剥がれ、シール材の劣化、静電気の放電による損傷等の損傷及

び劣化がない。

5.2.3.5 温度クリープ試験

試験体に同一仕様の複合圧力容器又は同一仕様のサブスケール複合圧力容器を用い、次の a)及

び b)により温度クリープ試験を行い、これに合格しなければならない。

a) 試験の方法

試験の方法は、次の 1)~5)による。

1) 試験に使用する試験体の個数は 2 個とする。

2) 試験体に試験液体を充満させた後、85℃以上及び相対湿度 50%未満で、加圧装置を用い

て段階的に設計圧力の 125%以上の圧力まで加圧し、その状態で 2,000 時間保持する。

3) 試験中は、試験温度、相対湿度及び加圧圧力を、温度計、湿度計、圧力計等の計器で連

続的に測定し、チャート等で記録する。

4) 2)の保持後に、次の 4.1)~4.3)により、気密試験を行う。

4.1) 気密試験は、空気、窒素等の安全な気体を使用して、加圧装置により設計圧力の 10 分

の 1 ずつ段階的に設計圧力まで加圧し、設計圧力で実施する。

4.2) 試験は常用の温度で行う。

4.3) 目視、発泡検査等により、漏れ等の異状がないことを確認する。

5) 4.3)の確認後に、5.2.2.1 a) 2)~6)による破裂試験を行う。ただし、5.2.2.1 a) 5)の試験温度

は、常用の温度とする。

b) 合格基準

温度クリープ試験は、次の 1)及び 2)のいずれも満足する場合を合格とする。

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パブリックコメント用

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1) a) 4)の気密試験は、漏れ等の異状が生じない。

2) a) 5)の破裂試験は、常用の温度で、 小厚さにおける破裂圧力が、 小破裂圧力以上で

ある場合に合格とする。

5.2.3.6 疲労解析及びき裂進展解析

金属ライナー及びねじ部は、次の a)及び b)の規定により、疲労解析及びき裂進展解析を行い、

合格基準を満足しなければならない。

a) 金属ライナー製複合圧力容器の金属ライナーは、次の 1)及び 2)により疲労解析及びき裂進

展解析を行い、それぞれの合格基準を満足しなければならない。

1) 疲労解析は、JIS B 8266 附属書 8 に準拠し、設計疲労曲線は材料及び使用環境に対応す

る曲線を使用する。自緊処理の影響(圧縮残留応力)については、繰返し荷重下での挙

動が試験などによって検証されている場合に限り、考慮することができる。

2) き裂進展解析は、次の 2.1)及び 2.2)を考慮して KHKS 0220 に基づき行う。

2.1) き裂進展曲線には材料及び使用環境に対応する曲線を使用し、限界き裂深さを定める

KICの値には、常用の温度における水素脆化を考慮しない平面ひずみ破壊靱性の値を用い

る。

2.2) 金属ライナー材料の疲労き裂進展速度は、ASTM E647 に従って、水素純度 99.99%以上、

設計圧力以上の試験環境中で求めるものとし、試験片 3 個の平均値とする。また、試験

の方法は ASTM E1820 に定める試験方法により、き裂面の方向は試験体の周方向に垂直

で長手方向に平行な方向とし、試験時の周波数は 1Hz 以下とする。なお、金属ライナー

と同一材料で、同一試験条件における疲労き裂進展速度のデータが入手できる場合は、

当該データを用いることができる。

b) 金属ライナー製複合圧力容器の金属ライナーのねじ部及びプラスチックライナー製複合圧

力容器のボス部のねじ部は、次の 1)及び 2)により疲労解析及びき裂進展解析を行い、それぞ

れの合格基準を満足しなければならない。

1) 疲労解析は、KHKS 0220 に基づき行う。この場合、設計疲労曲線又は 適疲労曲線は、

材料及び使用環境に対応する曲線を使用する。

2) き裂進展解析は、KHKS 0220 に基づき行う。この場合、き裂進展曲線は、材料及び使用

環境に対応する曲線を使用し、限界き裂深さを定める KIC の値には、使用環境を考慮し

た KISCCを用いる。

c) 合格基準

疲労解析及びき裂進展解析は、それぞれ次の 1)及び 2)を満足する場合を合格とする。

1) 疲労解析は、累積使用係数が 1 以下となる。

2) き裂進展解析は、KHKS 0220 の 4.8.2 (1)の手順 10 より求まる許容繰返し回数が設計圧力

サイクル数以上となる。

5.2.4 破裂圧力の最小厚さにおける破裂圧力への補正

破裂試験における破裂圧力を、 小厚さにおける破裂圧力に補正する式は、次の式 11 による。

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・・・(式 11)

ここで、 、 、 及び は、次による。

: 小厚さにおける破裂圧力(MPa)

:破裂試験における破裂圧力(全厚さにおける破裂圧力)(MPa)

:有限要素法その他の適切な解析手法により算出した全厚さにおける破裂圧力(MPa)

:有限要素法その他の適切な解析手法により算出した 小厚さにおける破裂圧力(MPa)

5.3 材料の許容引張応力

5.3.1 規格材料

設計温度における規格材料の許容引張応力の値は、次の a)及び b)による。

a) 金属ライナー製複合圧力容器に使用する金属ライナーの材料の設計温度における許容引張

応力の値は、複合圧力容器の製造者が保証する設計温度における 小降伏点又は 小 0.2%耐

力の値の 1.5 分の 1 以下の値とする。

b) プラスチックライナー製複合圧力容器に使用するボス部の材料の設計温度における許容引

張応力の値は、特定則例示基準別添 1 の別表第 3 に規定する設計温度における降伏点又は

0.2%耐力の値の 1.5 分の 1 以下の値とする。

5.3.2 同等材料

設計温度における同等材料の許容引張応力の値は、次の a)及び b)による。

a) 金属ライナー製複合圧力容器に使用する金属ライナーの材料の設計温度における許容引張

応力の値は、当該材料に対応する規格材料の許容引張応力の値以下の値とする。

b) プラスチックライナー製複合圧力容器に使用するボス部の材料の設計温度における許容引

張応力の値は、当該材料に対応する規格材料の許容引張応力の値以下の値とする。

5.3.3 特定材料

設計温度における特定材料の許容引張応力の値は、次の a)及び b)による。

a) 金属ライナー製複合圧力容器に使用する金属ライナーの材料の設計温度における許容引張

応力の値は、複合圧力容器の製造者が保証する設計温度における 小降伏点又は 小 0.2%耐

力の値の 1.5 分の 1 以下の値とする。

b) プラスチックライナー製複合圧力容器に使用するボス部の材料の設計温度における許容引

張応力の値は、ASME Section II Part D Table Y-1 に規定する設計温度における降伏点又は

0.2%耐力の値(単位 ksi)に 6.89 を乗じて得た値の有効数字 3 桁までの値(有効数字 4 桁以

下の値を切り捨てた値)の 1.5 分の 1 以下の値とする。

5.3.4 樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維

設計温度における樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維の許容引張応力は、次の式 12 を満たす値とす

る。

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パブリックコメント用

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≦. ・・・(式 12)

ここで、 、 、 及び は、次による。

:設計温度における樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維の許容引張応力(N/mm2)

:常温における炭素繊維の 小引張強さ(N/mm2)

:常温における樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維の強度発現係数で、a)の規定によ

る。

:設計温度における樹脂含浸炭素繊維層の強度低下係数で、b)の規定による。

ここで、 及び は、次の a)及び b)により求める。

a) 常温における樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維の強度発現係数は、設計確認試験における 3 体

の破裂試験の破裂圧力を用い、有限要素法その他の適切な解析手法により求まる破裂圧力時の

樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維に生じる 大引張応力と炭素繊維の引張強さの比の値以下の値

とする。

b) 設計温度における樹脂含浸炭素繊維層の強度低下係数は、同一ロットの樹脂含浸炭素繊維層

より 6 体の引張試験片を採取し、3 体は常温、3 体は設計温度で引張試験を行い、それぞれの試

験より求まる引張強さの平均値の比の値以下の値とする。

5.4 材料の縦弾性係数等

5.4.1 規格材料の縦弾性係数及び線膨張係数

設計温度における規格材料の縦弾性係数及び線膨張係数の値は、特定則例示基準別添1第 12 条

に規定する値による。

5.4.2 同等材料の縦弾性係数及び線膨張係数

設計温度における同等材料の縦弾性係数及び線膨張係数の値は、当該材料に対応する規格材料

の縦弾性係数と線膨張係数の値による。

5.4.3 特定材料の縦弾性係数及び線膨張係数

設計温度における特定材料の縦弾性係数及び線膨張係数の値は、ASME Section II Part D

Subpart 2 に規定する値による。

5.4.4 樹脂含浸炭素繊維層の縦弾性係数

設計温度における樹脂含浸炭素繊維層の縦弾性係数の値は、設計温度における炭素繊維の弾性

係数、樹脂の弾性係数及び樹脂含浸炭素繊維層の炭素繊維の体積含有率を用い、複合則に基づき

算定する等の適切な方法により得られた値とする。

解析に用いる樹脂含浸炭素繊維層の縦弾性係数は、炭素繊維の巻き付け方法も考慮した異方性

の縦弾性係数を適切に設定しなければならない。

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6 加工

6.1 材料の切断

金属ライナー、ボス部等の材料の切断は、機械的方法又は熱的方法による。熱的方法で切断し

た場合は、スラグ、有害な変質部、熱硬化部等を機械的方法により除去する。

6.2 金属ライナーの成形

金属ライナー製複合圧力容器における金属ライナーの成形は、次の a)~d) による。

a) 金属ライナーの成形は、冷間加工による成形を原則とし、熱間加工により成形する場合に

は、固溶化熱処理温度以下の温度で行う。

b) 金属ライナーは、スピニング加工、エルハルト式、カッピング式、マンネスマン式等の適

切な方法を用いて一体(胴部及び鏡部に接合がないことをいう。)で成形する。

c) 成形終了後、金属ライナーの鏡部の外面に対し、次の 1)により浸透探傷試験を行い、2)の

判定基準を満足することを確認する。

1) 浸透探傷試験の方法は、JIS Z 2343-1 による。

2) 浸透探傷試験は、次の 2.1)~2.4)の判定基準をすべて満足する場合に合格とする。

2.1) 表面に割れによる浸透探傷指示模様がない。

2.2) 線状の浸透探傷指示模様の 大長さは 4 mm 以下とする。

2.3) 円形状の浸透探傷指示模様の長径は 4 mm 以下とする。

2.4) 面積2,500mm2の範囲内に 大長さ又は長径が4mm以下の線状の浸透探傷指示模様又は

円形状の浸透探傷指示模様が多数ある場合は、表 2 の浸透探傷指示模様の種類に対応する

大長さ又は長径についての点数と当該浸透探傷指示模様の個数との積の和が 12 以下と

する。

表 2 浸透探傷指示模様の種類及び寸法に応じた点数

浸透探傷指示模様の

種類

浸透探傷指示模様の

大長さ又は長径が

2mm 以下のものの点数

浸透探傷指示模様の

大長さ又は長径が

4mm 以下のものの点数

線状の指示模様 3 6

円形状の指示模様 1 2

d) 成形終了後、金属ライナーの鏡部の内面は内視鏡による目視検査を行い、有害なしわ等の

欠陥のないことを確認する。

6.3 プラスチックライナーの成形

プラスチックライナー製複合圧力容器におけるプラスチックライナーの成形は、次の a)及び b)

よる。

a) プラスチックライナーの成形は、射出成形、ブロー成形、回転成形、押出し成形等の成形

方法を用いて、適切な成形条件を定めて行う。

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b) プラスチックライナーの胴部を融着で接合する場合の融着は、次の 1)~3)による。

1) 融着の方法は、レーザによる融着、超音波による融着又は熱融着のいずれかの方法によ

る。

2) 融着は、プラスチックライナーの材料の種類、プラスチックライナーの厚さ等に対応し

て複合圧力容器の製造者が定めた融着の方法及び融着施工条件(周波数、融着温度、融

着速度等の融着条件をいう。)に従って行う。

3) 融着の方法及び融着施工条件は、設計書又は構造図に明示する。

6.4 金属ライナーの成形後の熱処理

金属ライナー製複合圧力容器における金属ライナーの成形後の熱処理は、次の a)~c)による。

a) 熱処理は、JIS H 0001 の記号 T6 に対応する溶体化処理後人工時効硬化処理に対応する熱

処理とし、熱処理温度及び保持時間の熱処理条件は、金属ライナーの厚さ等の寸法形状に応

じて、材料規格等に従って定めた適切な条件とする。

b) 熱処理の方法は、次の 1)~3)による。

1) 熱処理は、金属ライナー全体を一度に熱処理炉に入れて行う。

2) 熱処理温度は、金属ライナーに設置する熱電対を含め、熱処理炉に設置する複数の熱電

対で管理する。

3) 昇温速度、降温速度、任意の 2 点間の 大温度差、熱処理炉への出入れの温度条件等の

熱処理の方法の詳細は、定められた方法による。

c) 熱処理温度及び保持時間の熱処理条件、並びに熱処理の方法の詳細は、設計書又は構造図

に明示する。

6.5 金属ライナーに使用する材料の機械試験

6.5.1 常温における機械試験

金属ライナー製複合圧力容器の金属ライナーに使用する材料の常温における機械試験は、次の

a)~g)による。

a) 試験板は、金属ライナーの成形前の同一ロットの材料から、同一形状の金属ライナーで、

同一熱処理炉による金属ライナーの成形後の同時熱処理毎に、1 個の試験板を作成する。

b) 試験板は、金属ライナーの成形後の熱処理と同時に、同一熱処理炉で熱処理を行う。ここ

で、熱処理の方法等は 6.4 b)及び 6.4 c)の規定による。

c) 試験板は、金属ライナーの胴部の長手方向に相当する位置より採取し、b)の熱処理後、金

属ライナーの素材の材料規格に規定する試験の種類、試験片の種類、採取位置、試験片の採

取方向及び試験片の数量に従って試験片を採取する。

d) 試験は常温で行い、機械試験の方法は、金属ライナーの素材の材料規格の規定による。

e) 試験より得られた引張強さ、降伏点又は 0.2%耐力並びに伸びの値が、複合圧力容器の製造

者が保証する常温における 小規定値以上となることを確認する。

f) 曲げ試験の合格基準は、金属ライナーの素材の材料規格の規定による。

g) 複合圧力容器の製造者が保証する常温における引張強さ、降伏点又は 0.2%耐力並びに伸び

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の値の 小規定値は、設計書又は構造図に明示する。

6.5.2 設計温度における機械試験

金属ライナー製複合圧力容器の金属ライナーに使用する材料の設計温度における機械試験は、

次の a)~e)による。

a) 試験板の採取及び試験板の熱処理は、6.5.1 a)及び b)の規定に準じるものとする。

b) 試験板からの試験片の採取位置、試験片の採取方向及び試験片の数量は、6.5.1 c)の引張試

験の規定に準じるものとする。

c) 試験は設計温度で行い、試験の種類は高温引張試験とする。なお、高温引張試験の方法は、

設計書又は構造図に明示する。

d) 試験より得られた降伏点又は 0.2%耐力の値が、複合圧力容器の製造者が保証する設計温度

における 小降伏点又は 小 0.2%耐力以上となることを確認する。

e) 複合圧力容器の製造者が保証する設計温度における 小降伏点又は 小 0.2%耐力の値は、

設計書又は構造図に明示する。

6.6 ボス部等のねじ加工

金属ライナー製複合圧力容器における金属ライナーの口金部のねじ加工及びプラスチックライ

ナー製複合圧力容器におけるボス部のねじ加工は、次の a)及び b)による。

a) ねじは平行ねじとする。

b) ねじ山はきれいに切削され、割れ、剥離、かえり等の有害な欠陥がないこと。

6.7 電位差腐食防止の施工

金属ライナー製複合圧力容器において、金属ライナーと樹脂含浸炭素繊維層との間で電位差腐

食の恐れがある場合には、防食層を設ける等の適切な電位差腐食防止措置を施す。

6.8 ワインディング

複合圧力容器における樹脂含浸炭素繊維層及び樹脂含浸ガラス繊維層のワインディングは、次

の a)~c) による。

a) ワインディングの層数は、樹脂含浸炭素繊維層にあっては 3 層以上とする。

b) ワインディング部に継目がある場合には、継目部での重なりの長さは繊維の巻き付け、剥

離の防止等に対して十分な長さとし、 外層に継目を設けてはならない。

c) ワインディングは、樹脂含浸炭素繊維層等の設計に対応して複合圧力容器の製造者が定め

た施工条件に従って行う。ここで、施工条件は、次の 1)~4)による。

1) ワインディングパターン(巻き付け角度、層数、フープ巻き又はヘリカル巻きの区別等)

2) 巻き付け方法毎の 巻き付け作業時に繊維に作用させる張力

3) 巻き付け方法毎の巻き付け速度

4) 1)~3)の施工条件は、設計書又は構造図に明示する。

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6.9 樹脂の熱硬化処理

複合圧力容器におけるワインディング後に樹脂を硬化させるための熱硬化処理は、次の a)~e)

による。

a) 樹脂の熱硬化処理温度は、繊維及び金属ライナーの材料特性(組織、結晶粒、機械的性質

等)又はプラスチックライナーに影響を与えない温度とする。

b) 熱硬化処理は、樹脂の全表面が均一に加熱されるように複合圧力容器の内部、外部又は内

外部から行い、部分的な熱硬化処理は行わないものとする。

c) 熱硬化処理は、樹脂含浸炭素繊維層の厚さ等の寸法形状に対応して複合圧力容器の製造者

が定めた加熱方法、加熱温度、保持時間等の熱硬化処理条件に従って行う。

d) 複合圧力容器の製造者は、樹脂の材料特性に応じ樹脂が適切に硬化したことを示す圧入硬

さを設定し、ASTM D2583 の圧入硬さ試験を行い、設定値を満足し樹脂が適切に硬化するこ

とを確認する。

e) c)の熱硬化処理条件及び d)の設定した圧入硬さは、設計書又は構造図に明示する。

6.10 自緊処理

金属ライナー製複合圧力容器において金属ライナーに自緊処理を行う場合は、次の a)~d) によ

る。

a) 自緊処理は、耐圧試験圧力以上の圧力を水圧により負荷して行う。

b) 自緊処理圧力は、除荷後において金属ライナーに再降伏を生じない圧力とする。

c) 自緊処理は、金属ライナーの厚さ等の寸法形状に対応して複合圧力容器の製造者が定めた

自緊処理圧力、保持時間等の自緊処理条件に従って行う。

d) 自緊処理条件は、設計書又は構造図に明示する。

7 構造

7.1 複合圧力容器に設けなければならない穴

複合圧力容器に設けなければならない穴は、次の a)及び b)による。

a) 複合圧力容器には、胴の内径にかかわらず、検査等を行うために必要な大きさの穴を1つ

以上設ける。

b) 穴の位置は、複合圧力容器の端部のみとし、穴の中心線は複合圧力容器の胴部の中心線に

一致するものとし、胴部には穴を設けない。

7.2 ボス部の取付け

プラスチックライナー製複合圧力容器におけるプラスチックライナーへのボス部の取付けは、

次の a)及び b)による。

a) プラスチックライナーへのボス部の取付け部の形状は任意とするが、ボスに凹凸を設ける

ことでボスの取付位置を固定する。

b) ボス部は、ねじ締付等によりボス部が移動しないように強固に取り付け、5.2.2.4 のプラス

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チックライナーのボス部のトルク試験を行うことで確認する。

7.3 製造確認試験

7.3.1 製造確認試験における試験の種類

製造確認試験における試験の種類は、次の a)及び b)による。この場合において、同一仕様で製

造された複合圧力容器について、200 基ごとを 1 組とし、1 組の中の 初の複合圧力容器の製造の

際に製造確認試験を行う。ただし、1 組の製造が 1 年を超える場合には、1 年を超える時点で再度

製造確認試験を行うものとする。

a) 製造確認試験における破裂試験

b) 製造確認試験における疲労試験

7.3.2 製造確認試験に用いる複合圧力容器

製造確認試験に用いる複合圧力容器(以下「試験容器」という。)は、同一仕様の複合圧力容器

とする。

7.3.3 製造確認試験における試験の方法及び合格基準

製造確認試験における試験の方法及び合格基準は、破裂試験にあっては次の a)、疲労試験にあ

っては次の b)による。

a) 製造確認試験における破裂試験の方法及び合格基準は、次の 1)及び 2)による。

1) 破裂試験の方法は、5.2.2.1 a) 2)~6)による。この場合、試験に用いる試験容器の個数は、

1 個とする。

2) 合格基準は、5.2.2.1 b)による。

b) 製造確認試験における疲労試験の方法及び合格基準は、次の 1)及び 2)による。

1) 疲労試験の方法は、5.2.3.1 a) 2)~6)による。この場合、試験に用いる試験容器の個数は、

1 個とし、試験圧力サイクル数 N は、5.2.3.1a) 3)の試験圧力サイクル数 N とする。

2) 合格基準は、5.2.3.1 b)による。

8 検査

8.1 設計の検査

8.1.1 設計の検査

複合圧力容器、試験体及び試験容器(以下、総称して「複合圧力容器等」という。)の設計の検

査は、次の a)及び b)による。

a) 設計は、材料仕様書、設計書及び構造図に適合しているものでなければならない。

b) 設計は、4~7 の規定に適合しているものでなければならない。

8.1.2 設計の検査の方法

設計の検査の検査方法は、次の a)及び b)による。

a) 設計の検査は、次の 1)~3)による。

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1) 材料仕様書、設計書及び構造図により、4~7 までの規定に適合しているかどうかを検査

する。

2) 5.1 の 小厚さの計算は、有限要素法その他の適切な解析手法で用いた入力データを確認

し、5.1.1 により計算した出力データにより、金属ライナー、ボス部及び樹脂含浸炭素繊

維層の各 小厚さが、各部の使用厚さから腐れ代、保護層及び防食層の厚さを除いた厚

さ以下で、かつ、5.1.2 の規定を満足しているかどうかを検査する。

3) 5.2 の設計確認試験は、5.2.2.1~5.2.2.7 及び 5.2.3.1~5.2.3.5 のそれぞれの設計確認試験の

試験方法及び合格基準に適合しているかどうかについて、5.2.2.1~5.2.2.7 及び 5.2.3.1~

5.2.3.5 のそれぞれの設計確認試験に規定の検査の方法で検査する。また、金属ライナー

及びねじ部について、5.2.3.6 に規定の方法により疲労解析及びき裂進展解析を行い、合

格基準を満足しているかどうかを検査する。

b) 設計の検査結果を、設計検査成績表に記録するとともに、材料、加工及び構造の検査につ

いて、次の 1)及び 2)に掲げる検査対象部位ごとに検査項目を材料・加工検査成績書又は構造

検査成績書にそれぞれ記入する。

1) 材料及び加工の検査の対象となる部材

2) 構造の検査の対象とする部分

8.2 材料の検査

8.2.1 材料の検査

複合圧力容器等の金属材料及び炭素繊維は、表面に使用上有害な傷、打こん、腐食等の欠陥が

ないものでなければならない。

8.2.2 材料の検査の方法

材料の検査の検査方法は、次の a)及び b)による。

a) 材料の検査は、次の 1)~10)による。

1) 耐圧部分及び非耐圧部分の金属材料について、材料の製造業者が発行した材料試験成績

書等に記載された材料の種類の記号と、構造図に記載された材料の種類の記号を照合し、

一致していることを確認する。

2) 耐圧部分及び非耐圧部分の非金属材料について、材料の製造業者が発行した材料証明書

等に記載された材料の種類の記号と、構造図に記載された材料の種類の記号を照合し、

一致していることを確認する。

3) 耐圧部分及び非耐圧部分の金属材料の材料試験成績書に記載された機械的性質、化学成

分等が、材料規格に示される機械的性質、化学成分等(必要に応じて材料仕様書の要求

を含む。)に適合し、かつ、4.1 及び 4.3.1 の規定に適合していることを、材料仕様書で要

求する提出書類で確認する。

4) 耐圧部分及び非耐圧部分の非金属材料の製品の仕様が、4.2、4.3.2 及び材料仕様書の規定

に適合していることを、材料仕様書で要求する提出書類で確認する。

5) 耐圧部分及び非耐圧部分の金属材料の品名、型番、区分等を示す記号と、金属材料の材

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料試験成績書に記載された材料の品名、型番、区分等を示す記号等を照合し、一致して

いることを確認する。

6) 耐圧部分及び非耐圧部分の非金属材料の品名、型番、区分等を示す記号と、材料仕様書

で要求する提出書類に記載された材料の品名、型番、区分等を示す記号等を照合し、一

致していることを確認する。

7) 金属材料及び炭素繊維の外観が、8.2.1 の規定に適合していることを目視等により検査す

る。

8) 炭素繊維の表面処理が、材料仕様書に規定の表面処理の規定に適合していることを目視

等により検査する。

9) 耐圧部分及び非耐圧部分に使用する材料の製造年月日及び使用可能期限が、複合圧力容

器等の製造及び使用に対して問題のないことを、材料仕様書で要求する提出書類で確認

する。

10) 材料の寸法及び数量が、材料・加工検査成績書及び材料仕様書に記載どおりであるかど

うか確認する。

b) 材料の検査結果を、検査対象部位ごとに材料・加工検査成績表に記録する。

8.3 加工の検査

8.3.1 加工の検査

複合圧力容器等の加工の検査は、次の a)~c)による。

a) 材料の切断、成形その他の加工(プラスチックライナーの融着を含む。)は、加工後の材料

の表面に使用上有害な傷、打こん、腐食等の欠陥がないようにしなければならない。

b) 加工は、6.2~6.10 の規定に適合しているものでなければならない。

c) ライナーの鏡部を成形した場合における鏡部の寸法の基準寸法に対する偏差は、胴部との

接続部における内径の 1.25%以下とする。

備考: ライナーの鏡部を成形した場合における鏡部の寸法の基準寸法に対する偏差は、次の図にお

いて、A及びBの位置における矢印間の偏差をいう。

8.3.2 加工の検査の方法

加工の検査の検査方法は、次の a)及び b)による。

a) 加工の検査は、次の 1)~12)による。

1) 加工後の材料が、8.3.1 a)の規定に適合しているかどうかについて、目視により検査する。

2) 主要寸法は寸法測定器等を用いて測定し、構造図どおりであるかどうかについて検査す

る。

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3) 金属ライナーの成形後の外面の非破壊試験が、6.2 c) 2)の規定に適合しているかどうかに

ついて、非破壊試験機を用いて 6.2 c) 1)に規定する試験方法により行う。

4) 6.2 d)の金属ライナーの成形後における鏡部の内面しわの検査は、限度見本のしわ形状

(明らかに割れ形状のしわを有する限度見本を除く。)と同等以下であるかどうかについ

て、内視鏡を用いて目視検査等により検査する。この場合において、限度見本は設計確

認試験に合格した試験体等より作成するものとする。

5) 6.3 b)のプラスチックライナーの成形の検査は、次の 5.1)及び 5.2)に適合しているかどう

かについて検査する。

5.1) 成形後の検査は、成形後の材料の表面に使用上有害な傷等がないこと、融着部の融着が

十分であり割れ等の有害な欠陥がないことを、内外面について目視検査等より検査する。

5.2) 融着の方法及び融着施工条件が、設計書又は構造図に規定のとおりであるかどうか記録

により確認する。

6) 金属ライナーの成形後の材料の熱処理及び機械試験の試験板の熱処理が、設計書又は構

造図に規定の熱処理条件並びに 6.4、6.5.1 b)及び 6.5.2 a)の規定に適合しているかどうか

について、熱処理温度及び熱処理時間を示す熱処理温度チャート等により検査する。

7) 金属ライナーの成形後の材料の機械試験が、6.5.1 e)、6.5.1 f)及び 6.5.2 d)の規定に適合し

ているかどうかについて、引張試験機、寸法測定器等を用いて 6.5.1 d)及び 6.5.2 c)に掲

げる試験方法により検査する。

8) 6.6 b)の金属ライナーの口金部及びボス部のねじ加工後の検査は、ねじ加工後の材料の表

面に使用上有害な割れ等がないことを目視検査等により検査する。

9) 6.7 の電位差腐食防止措置の検査は、防食層として設けた塗膜又は樹脂含浸ガラス繊維層

の厚さについて、寸法測定器等を用いて測定し、構造図どおりであるかどうかについて

検査する。

10) 6.8 a)及び c)のワインディングの検査は、次の 10.1)~10.3)により設計書又は構造図に規

定の施工条件どおりであるかどうかについて検査する。

10.1) ワインディングパターンを寸法測定器、目視、層毎の巻き付け記録等により確認する。

10.2) ワインディング角度を角度計等により計測する。

10.3) 巻き付け方法毎のワインディング時の繊維の張力及び巻き付け速度を、張力計等を用

いて計測する。

11) 6.9 c)及び d)の樹脂の熱硬化処理の検査は、次の 11.1)及び 11.2)により設計書又は構造図

に規定の熱硬化処理条件に適合しているかどうかについて検査する。

11.1) 熱硬化処理の加熱方法、加熱温度及び保持時間を、熱硬化処理記録チャート等により

確認する。

11.2) 熱硬化処理終了後、バーコル硬さ試験器を用いて樹脂の圧入硬さを測定し、設計書又

は構造図に規定の圧入硬さの設定値を満足することを確認する。

12) 6.10 c)の自緊処理の検査は、加圧装置を用いて水圧により自緊処理圧力まで均等な速度

で徐々に加圧し、設計書又は構造図に規定の自緊処理圧力で保持時間以上保持している

かどうかについて、目視又は自緊処理圧力及び保持時間を示す自緊処理記録チャートに

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より検査する。

b) 加工の検査結果を、検査対象部位ごとに材料・加工検査成績表に記録する。

8.4 構造の検査

8.4.1 構造の検査

8.4.1.1 胴の真円度

複合圧力容器等のライナーの胴部及び胴部の樹脂含浸炭素繊維層の真円度は、胴部の軸に垂直

な断面における 大外径と 小外径との差が、それぞれ当該断面における基準外径の 10 分の 1 以

下とする。なお、樹脂含浸炭素繊維層の外側に保護層を有する場合の基準外径は、保護層の基準

外径とする。

8.4.1.2 鏡部の形状

複合圧力容器等のライナーの鏡部の形状は、等張力測地線に基づく形状(鏡部の樹脂含浸繊維

層及びガラス繊維層の繊維に生じる張力が等しくなり、繊維の直角方向に作用するせん断力がゼ

ロとなる鏡部の形状をいう。)又は鏡部に巻き付ける繊維層に剥離、すべり等が生じない形状とし

て、複合圧力容器の製造者が適切に定める。

8.4.1.3 耐圧試験及び気密試験

複合圧力容器等の耐圧試験及び気密試験は、それぞれ次の a)及び b)による。

a) 耐圧試験は、次の 1)~3)による。

1) 複合圧力容器等は、設計圧力の 1.5 倍以上の圧力で試験液体を使用して耐圧試験を行い、

これに合格するものでなければならない。

2) 耐圧試験は、耐圧試験装置を用いて試験圧力まで昇圧して一定時間放置した後、試験圧

力において 3)の規定に適合しているかどうかについて目視により検査する。

3) 耐圧試験は、局部的なふくらみ又は伸び、漏れ等の異状が生じない場合に合格とする。

b) 気密試験は、次の 1)~3)による。

1) 複合圧力容器等は、空気、窒素等の安全な気体を使用して設計圧力以上の圧力で気密試

験を行い、これに合格するものでなければならない。

2) 気密試験は、気密試験装置を用いて試験圧力まで昇圧して一定時間放置した後、試験圧

力において 3)の規定に適合しているかどうかについて目視、発泡検査等により検査する。

この場合において使用する気体は、乾燥した清浄な空気、窒素等でなければならない。

3) 気密試験は、漏れ等の異状が生じない場合に合格とする。

8.4.1.4 製造確認試験

製造確認試験は、7.3.3 の製造確認試験における試験の方法に従って行われ、合格基準を満足し

なければならない。

8.4.2 構造の検査の方法

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構造の検査の検査方法は、次の a)及び b)による。

a) 構造の検査は、次の 1)~7)による。

1) 複合圧力容器等の各部の形状等は、5.1、5.2、6.2、6.6、6.7、8.4.1.1 及び 8.4.1.2 の規定並

びに構造図に適合しているかどうかについて、目視、寸法測定器等により検査する。

2) 金属ライナー及びプラスチックライナーの厚さは、超音波厚み計、寸法測定器等により

測定する。なお、鏡部の厚さが位置によって異なる厚さを有する形状の場合には、等間

隔に分割した複数の点で厚さを測定する。

3) 複合圧力容器等の樹脂含浸炭素繊維層及び保護層の厚さは、製造確認試験における疲労

試験に用いた複合圧力容器等の胴部及び鏡部を切断器等により切り出し、当該断面での

樹脂含浸炭素繊維層及び保護層の厚さを寸法測定器等により測定して、樹脂含浸炭素繊

維層と保護層の厚さの比率を求め、複合圧力容器等の樹脂含浸炭素繊維層と保護層の全

厚さに比率を乗じて、樹脂含浸炭素繊維層及び保護層のそれぞれの厚さを算出する。こ

こで、試験体からの切り出しによる断面部の厚さ測定は、胴部にあっては等間隔で 4 点、

鏡部にあっては直角に交わる 2 断面で切断して円周方向の等位置で 4 点測定し、それぞ

れの平均値を測定厚さとする。

4) 製造確認試験における破裂試験は、試験液体を使用して破裂圧力まで均等な速度で徐々

に加圧できる加圧装置を用いて 5.2.2.1 a)2)~6)に従って試験を行い、5.2.2.1 b)の規定に適

合しているかどうかについて、圧力計等の目視検査及びチャート等により検査する。

5) 製造確認試験における疲労試験は、試験液体を使用して圧力を 0MPa から設計圧力以上

まで連続的に負荷及び除荷ができる加圧装置を用いて 5.2.3.1 a)2)~6)に従って試験を行

い、5.2.3.1 b)の規定に適合しているかどうかについて、目視により検査する。この場合

において、圧力変動の範囲と繰り返し回数は、試験の開始から終了まで連続的に記録し

たチャート等により検査する。

6) 耐圧試験は、耐圧試験装置を用いて試験圧力まで昇圧して一定時間放置した後、8.4.1.3

a)3)の規定に適合しているかどうかについて、目視により検査する。この場合において

使用する試験液体の温度は、複合圧力容器等がぜい性破壊を起こすおそれのない温度と

する。

7) 気密試験は、気密試験装置を用いて試験圧力まで昇圧して一定時間放置した後、8.4.1.3

b)3)の規定に適合しているかどうかについて、目視、発泡検査等により検査する。この

場合において使用する気体は、乾燥した清浄な空気、窒素等とする。

b) 構造の検査結果を、検査対象部位ごと及び試験項目ごとに構造検査成績表に記入する。

9 追加要求事項

複合圧力容器の製造者は、複合圧力容器の適用範囲、材料、設計、加工、構造、検査及び検査

の方法に係る 1~8の規定に加えて、次の a)~h)に掲げる追加要求事項を満足しなければならない。

a) 複合圧力容器等の品質に影響する業務及び当該業務を行っている各組織と、品質管理組織

との関係を示す文書が定められ、各組織の権限、責任及び相互関係が明確に定められている。

また、現実の組織を反映した組織図が定められている。

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b) 複合圧力容器等の設計、材料、加工、試験及び検査に係る社内規格、作業指示書、仕様書

その他の品質に関する文書の承認、発行、変更等に係る管理方法が社内規格に定められ、社

内規格に基づき品質に関する文書の管理が適切に行われている。

c) 複合圧力容器等の品質に影響する業務において使用する品質記録の種類やその管理その他

必要な事項が社内規格に定められ、社内規格に基づき品質記録の管理が適切に行われている。

d) 複合圧力容器等に係る製造工程、試験、製造設備及び検査設備の設備管理等の一部を外部

の者に行わせている場合において、外注管理に必要な事項が社内規格に定められ、社内規格

に基づき外注管理が適切に行われている。

e) 複合圧力容器等の製造工程ごとの管理方法が社内規格に定められ、社内規格に基づき複合

圧力容器等の製造が適切に行われている。

f) 不適合品の使用を防止するための管理及び不適合が発生した場合の是正及び予防に関する

事項が社内規格に定められ、社内規格に基づき不適合の管理が適切に行われている。

g) 複合圧力容器等の製造設備は、品質を確保するのに必要な性能を有するものであって、品

質を確保するのに必要な精度及び精度を保持するための点検、保守、校正などの基準が社内

規格に定められ、社内規格に基づき製造設備の点検、保守などの管理が適切に行われている。

h) 複合圧力容器等の検査設備は、要求される試験、検査を実施できる設備であって、品質を

確保するのに必要な精度及び精度を保持するための点検、保守、校正などの基準が社内規格

に定められ、社内規格に基づき検査設備の点検、保守などの管理が適切に行われている。