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目次 国別見通し 業種別見通し 3 中国 11 インターネットメディア 25 銀行 4 日本 13 自動車 27 生命保険 5 韓国 15 カジノ 29 不動産 6 オーストラリア 17 高級品 31 海運 7 インド 19 消費財 33 貴金属 8 シンガポール 21 石炭 35 家電 9 インドネシア 23 太陽光エネルギー 37 電力 10 フィリピン 2014アジア見通し 201312102014年は、アジアの2大市場である中国と日本に おける改革がアジア地域のビジネスおよび経済の 動向を左右するでしょう。中国政府は、金利から エネルギー価格まで市場のあらゆる側面で大きな 役割を果たしており、これが中国の長期的な経済成 長に寄与します。一方の日本は引き続きアベノミクス が重要な鍵を握ることは間違いありません。しかし ながら、債務問題への圧力により、日本政府は2013 年に実施したような大胆な景気刺激策の実施は難 しいことが予想されます。また、米国FRBの量的 緩和の縮小がアジア経済にとって深刻な影響を及ぼ すことも指摘されています。すでに、量的緩和縮小と の報道で、アジア新興国通貨の下落と金利の上昇が 加速しています。加えて、中国の住宅市場の過熱と いくつかの地域における地政学的リスクも大きな懸 念材料です。ブルームバーグ・インダストリーズと ブルームバーグ ブリーフの「2014年アジア見通し」 では、 8カ国の経済予測と14業種の今後の動向を検 証します。 ブルームバーグ・ インダストリーズ

ブルームバーグ・ 2014年 アジア見通し · 2016-06-14 · 減速に対する懸念が高まっている。エコノミストは2014年 に7.5%の成長を予想している。

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Page 1: ブルームバーグ・ 2014年 アジア見通し · 2016-06-14 · 減速に対する懸念が高まっている。エコノミストは2014年 に7.5%の成長を予想している。

目次国別見通し 業種別見通し3 中国 11 インターネットメディア 25 銀行4 日本 13 自動車 27 生命保険5 韓国 15 カジノ 29 不動産6 オーストラリア 17 高級品 31 海運7 インド 19 消費財 33 貴金属8 シンガポール 21 石炭 35 家電9 インドネシア 23 太陽光エネルギー 37 電力10 フィリピン

Banking

Food

Gaming

Internet

Economy

Metals

Tech

Chemicals

Autos

Shipping

Solar/Wind

2014年 アジア見通し2013年12月10日

2014年は、アジアの2大市場である中国と日本に おける改革がアジア地域のビジネスおよび経済の 動向を左右するでしょう。中国政府は、金利から エネルギー価格まで市場のあらゆる側面で大きな役割を果たしており、これが中国の長期的な経済成長に寄与します。一方の日本は引き続きアベノミクスが重要な鍵を握ることは間違いありません。しかしながら、債務問題への圧力により、日本政府は2013年に実施したような大胆な景気刺激策の実施は難しいことが予想されます。また、米国FRBの量的 緩和の縮小がアジア経済にとって深刻な影響を及ぼすことも指摘されています。すでに、量的緩和縮小との報道で、アジア新興国通貨の下落と金利の上昇が加速しています。加えて、中国の住宅市場の過熱と いくつかの地域における地政学的リスクも大きな懸念材料です。ブルームバーグ・インダストリーズと ブルームバーグ ブリーフの「2014年アジア見通し」では、8カ国の経済予測と14業種の今後の動向を検証します。

ブルームバーグ・インダストリーズ

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2014年は、中国と日本における改革、米国FRBの量的緩和縮小、アジア諸国における地政学的問題が投資家に課題と機会をもたらすだろう。世界のGDP成長率は2%から2.8%に加速すると予想されてい

るが、アジアでは前年に続き6.3%の安定成長が見込まれている。 アジア地域の根本的な開発ペースは動きが早く、経済圏やセクターごとにばらつきが出るだろう。

2014年のアジア経済は、米国と中国の主要な政治動向によって大きく左右されると思われる。FOMCは、月額850億ドルの資産買い入れを縮小する予定である。ウォール街と一般投資家は、量的緩和縮小のタイミングとその規模が公開されるまで警戒を緩めないだろう。1月に予定されているFRBの議長交代もまた、懸念の一部となっている。

FRBの縮小策は、その結果次第では特にそうだが、アジアの成長を阻害するかもしれない要因が2つある。まず第一に、流動性の収縮により金利が上昇し、貸し渋りと投資抑制が起こる可能性がある。第二に、縮小策が成長を抑制するとの懸念から、雇用が縮小し、消費者の裁量的支出が冷え込み、アジアの輸出が減少する可能性がある。中国が、投資による経済成長より、国内の消費の質を高める方

に戦略の軸足を移すことにより、他のアジア諸国の成長に影響が及ぶだろう。実際には、家計支出や純輸出高による経済成長が投資による成長の減速を埋め合わせできるまで、アジアの他地域の輸出は低迷するだろう。欧米の先進諸国と比べると、中国と東南アジアでは、新しい消

費者層が地域の急成長を今後も後押しすると思われる。自動車はこの典型であり、SUVへの需要が急増することにより

乗用車の売上が増加する。また、生活必需品を扱う多国籍企業は、アジア地域の長期的消

費拡大を享受すべく、機会を捉えて市場シェアの拡大を図っていると考えられる。中国、インド、他の主要新興国市場における高所得層の増加により、高級品の購入も増えるだろう。

一方、今まで著しい成長を遂げていたマカオでは、逆風に直面する恐れがある。マカオの総合カジノリゾート運営業者にとって、2015年を前に同業界の成長が停滞することから2013年の収益は鈍化するだろう。技術面では、2014年は4Kテレビの年となり、日本と韓国の家電

大手と中国の新興企業の間で競争が激しくなるだろう。価格が徐々に低下しているため、世界の消費者の購買は増

加すると思われる。2014年の中国のインターネット企業も、 ショッピングと娯楽メディアでの販売に牽引され、モバイル事業において収益が増加する可能性が高い。

2014年は、米国の量的緩和縮小がアジアの金融セクターを席巻するだろう。債券利回りと金利がさらに上昇し、銀行の純金利マージンが増加するものの不良債権増加のリスクが高まる可能性もある。生命保険会社は債券利回りの上昇から恩恵を受け、純投資収益が増加すると思われる。エネルギー面では、液化天然ガスのコストが利益率を圧迫する

なか、香港、日本、韓国、台湾の電力会社が2014年の大幅な価格引き上げに向けて奮闘することになるだろう。太陽光エネルギー業界の統合は2014年も継続する見込みであり、いくつかの大手企業が生まれることになるだろう。エネルギーの価格安定とアジアでの新たな需要創出は、生産者の売上を拡大し、収益性を改善すると思われる。金属と鉱業では、中国での金の需要増加と銀の無関心が、2013

年に続いて見通しに大きな影響を与えるだろう。世界の石炭市場では、その傾向はこの数年と比較して弱まってはいるものの、過剰供給と中国の鉱山企業の市場シェア拡大に直面することになろう。

2014年の海運業界は、需要の増加と過剰輸送能力の消化が進み、回復に転じると思われる。

- Tim Craighead、ブルームバーグ・インダストリーズおよび Tamara Henderson、ブルームバーグ エコノミスト

2014年はさらなる反動的な展開を予想

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2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

アジアの実質GDP(前年比)

世界の実質GDP(前年比)

EHGDASA指数

EHGDWLD指数

2014年のアジアは約6.3%の成長を維持

出所:ブルームバーグ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 2

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中国の見通し Tom Orlik、ブルームバーグ エコノミスト

中国の改革課題が経済成長を鈍化、投資リターンを抑制中国の指導部は、古い経済モデルが勢いを失うのに伴い、改革への取り組みを再強化しようとしている。政策転換は中期の成長を後押しするものの、短期投資家に報いることはないだろう。実際、世界第2位の規模を誇る中国経済の成長率は、

2007年の14%超から2013年には約7.6%に急速に減速した。労働力の減少と投資リターンの縮小を受けて、さらなる減速に対する懸念が高まっている。エコノミストは2014年に7.5%の成長を予想している。中国政府は、11月に北京で開催した中央委員会全体会議で、経済の持続的な成長を目指した一連の改革案に合意した。総合的な政策転換は、1978年に鄧小平の市場開放が始まって以来、最も重要な決議となる。まず初めに、金融セクターの自由化に向けた政策が施行され、これが市場に最も直接的な影響を与えるだろう。金利と為替レートの自由化、海外投資の拡大促進、新規株式公開の改革に関する計画はすでに動き始めている。この改革案に関する大々的な広報活動によって、投資家の信頼感が高まり、政策発表後の月曜にCSI300指数は3.3%上昇した。しかしながら、現状を根底から変えるのは難しい。中国の労働年齢人口はすでに減少に転じており、労働者は2030年までに7,000万人近く減少する見込みである。債務の大幅な増加により、債務残高はGDPの約200%まで急増した。また、金利自由化により、銀行の利益率が減少し、借入 コストが上昇する。中央銀行は、中央委員会全体会議以降の数週間、銀行間取引金利を1月の約3%から4.5%近くに据え置いた。さらに固定資産税に関する提案が、国内成長と海外のコモディティ需要を減速させる脅威になっている。現在、潜在成長率および改革の規模および影響が不透明であるため、見通しにはばらつきがある。最も楽観的なドイツ 銀行が2014年に8.6%の成長を予想しているのに対し、 ソシエテ ジェネラルは6.9%の経済成長を予想している。

中国に関するアジアの教訓:リバランスは痛みを伴う

ブルームバーグのコンセンサス予想(中国)経済活動 1Q,2013 2Q,2013 3Q,2013 4Q,2013 1Q,2014 2Q,2014 3Q,2014 4Q,2014 2012 2013 2014 2015

実質GDP(前年比%) 7.70 7.50 7.80 7.60 7.60 7.50 7.40 7.35 7.70 7.60 7.50 7.20

消費者物価指数(前年比%) 2.43 2.40 2.80 3.20 3.15 3.30 3.10 3.10 2.65 2.70 3.20 3.20

失業率(%) 4.10 4.10 4.00 4.10 4.10 4.10 4.10 4.10 4.10 4.10 4.10 4.15

対外収支経常収支(対GDP比%) 2.55 2.44 - 2.25 1.65 2.00 2.50 2.00 2.32 2.35 2.10 2.10

財政収支予算(対GDP比%) - - - -2.50 -1.70 - - - -1.68 -2.00 -2.00 -1.90

金利政策金利(%) 6.00 6.00 6.00 6.00 6.00 6.00 6.00 6.00 6.00 6.00 6.00 -

3カ月金利(%) 2.70 2.57 3.59 - - - - - 2.72 - - -

2年債(%) 3.08 3.49 3.85 4.24 4.19 4.15 4.05 3.90 3.10 4.24 3.90 -

10年債(%) 3.59 3.61 4.07 4.51 4.49 4.48 4.42 4.36 3.59 4.51 4.36 -

為替レートUSDCNY 6.21 6.14 6.12 6.09 6.07 6.05 6.03 6.01 6.23 6.09 6.01 5.99

出所:ブルームバーグ {ECFC CN <GO>} 12月9日現在。2013年第4四半期以前は実績値。

-80%

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韓国 日本 台湾対GDP比で見た投資のピーク投資のピーク後10年の平均成長率の鈍化(ピーク前10年の平均成長率との比較)

出所:ブルームバーグ、Penn World Table

金利改革により中国株式は減速

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2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

投資 - 対GDP比消費 - 対GDP比純輸出 - 対GDP比GDP成長率(前年比)

出所:ブルームバーグ

Aa3 AA- A+ムーディーズ S&P フィッチ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 3

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日本の見通し Tom Orlik、ブルームバーグ エコノミスト

財政緊縮により日銀への追加緩和圧力が増加2013年のアベノミクスは順調に進んだが、2014年は困難な年となるだろう。中央銀行の量的緩和と政府支出は2013年を通じて日本の景気を浮揚させてきた。円はドルに対して20%近く下落し、輸出の増加と企業収益を後押ししてきた。TOPIXは主要株式市場で最高のパフォーマンスとなり、消費者信頼感が改善した。

2014年は債務増大に直面した政府が支出の削減に乗り出すだろう。モルガン・スタンレーの日本担当エコノ ミストであるロバート・フェルドマン氏は、財政支出がGDP比で1.5%も縮小する可能性があると述べている。政府の財政刺激策が削減される中、企業および家計の支出が拡大するかどうかに注目が集まっている。現在のところ、企業投資の先行指標は良好である。2013年の最後の数カ月間における機械受注は、輸出や企業収益と同様に上昇傾向にある。小売売上高の成長率が若干の プラスとなるなど、家計部門では物価上昇の見込みへの対応が示唆されている。しかしながら、財政赤字の大幅縮小に向けた対応を考慮すると、これから放たれるアベノミクスの第三の矢(構造改革)は現在の高成長率を維持するには十分ではないと思われる。実際、2014年GDPの予想成長率の中央値は1.5%であり、2013年の約1.9%から低下している。この財政緊縮という課題に直面して、日銀はさらなる緩和策を打ち出す可能性がある。4月には消費税引き上げが予定されている。金融政策の責任者は、国債の買い入れ強化またはETFや不動産投資信託への配分強化が必要かどうかを見極める前に、消費税引き上げの影響を探りたいと考えているだろう。今後、マネーサプライのさらなる積極的な拡大により、円安が一層進み、TOPIXの高値が更新される可能性がある。円相場予想の中央値では、2014年末までに1ドル108.5円に下落すると予想されている。

円安による株価上昇

ブルームバーグのコンセンサス予想(日本)経済活動 1Q,2013 2Q,2013 3Q,2013 4Q,2013 1Q,2014 2Q,2014 3Q,2014 4Q,2014 2012 2013 2014 2015

実質GDP(前四半期比%、SAAR) 4.50 3.60 1.10 3.60 4.80 -4.50 1.60 1.70 1.45 1.90 1.50 1.20消費者物価指数(前年比%) -0.63 -0.27 0.90 0.80 0.90 2.90 2.70 2.70 -0.04 0.30 2.35 1.70失業率(%) 4.20 4.03 3.97 3.90 3.80 3.80 3.90 3.80 4.14 4.00 3.80 3.60対外収支経常収支(対GDP比%) 0.92 1.04 0.98 1.20 1.40 1.40 1.60 1.60 1.02 1.20 1.50 2.00財政収支予算(対GDP比%) - - - - - - - - -9.89 -9.45 -8.00 -6.80金利政策金利(%) 0.10 0.10 - 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 -3カ月金利(%) 0.16 0.16 0.15 0.19 0.17 0.17 0.17 0.17 0.18 0.19 0.17 -2年債(%) 0.05 0.13 0.11 0.11 0.12 0.14 0.15 0.16 0.10 0.11 0.16 -10年債(%) 0.55 0.85 0.69 0.74 0.83 0.87 0.90 0.95 0.79 0.74 0.95 -為替レートUSDJPY 94.2 99.1 98.3 100.0 103.0 104.0 107.0 108.5 86.8 100.0 108.5 110.0EURJPY 120.8 129.0 132.9 134.0 136.0 136.0 137.0 138.0 114.5 134.0 138.0 138.0

出所:ブルームバーグ {ECFC JP <GO>} 12月9日現在。2013年第4四半期以前は実績値。

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01/11 06/11 11/11 04/12 09/12 02/13 07/13 12/13

TOPIX(左軸)USDJPY(右軸、反転表示)

出所:ブルームバーグ TOPIX、USDJPY相場

財政政策が2014年日本成長の足かせとなる可能性

2008

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6 日本の財政赤字(対GDP比%) 日本のGDP成長率(前年比)

出所:ブルームバーグ、IMF

高成長 中央値 低成長

Aa3 AA- A+ムーディーズ S&P フィッチ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 4

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韓国の見通し Tom Orlik、ブルームバーグ エコノミスト

世界の成長率と資本フローの変動が韓国に与える影響は限定的世界経済の成長パターンと資本フローが変化することで、韓国経済は今後も打撃を受けるだろう。しかしながら、債務水準とインフレ率が共に低い中、韓国の政策当局は余裕を持った対応が可能である。

2014年韓国経済の予想成長率の中央値は3.5%であり、2013年の2.7%から上昇となる。公式の見解はさらに楽観的である。韓国銀行は3.8%まで成長率が上昇すると予想している。しかし、この数値は、金融危機前の数年で記録した5%のペースを下回る。輸出がGDPの半分近くを占める韓国では、世界経済の成長が鍵となる。国際通貨基金によれば、2014年の世界のGDP成長率は2.9%から3.6%へと若干加速する見込みである。韓国の年間輸出成長率も、第3四半期に2.8%の伸びを見せるなど(第2四半期の0.7%から上昇)堅調である。ただし、米国の量的緩和縮小や財政問題、中国の改革、日本のアベノミクスの先行きが見通せないことから、輸出にはかなりの不透明感が伴う。円が急落したことで、日本の輸出企業は韓国のライバル企業からシェアを奪う形で売上を伸ばしている。バリューチェーンの上流を目指す中国により市場シェアが奪われる可能性もある。一方、国内では、輸出の継続的な回復が産業界の過剰生産能力(現在は金融危機後で最高の水準に達している)を吸収し、投資が加速すると思われる。所得の伸び悩みと家計債務の負担は今後も消費の足かせとなり、2013年の小売売上高の成長率は、かろうじてゼロを上回る水準にとどまった。韓国では公的債務が少ないことから、政策当局は下振れリスクに対応する余地がある。企画財政部は、2014年の財政赤字の目標をGDPの1.8%に設定しており、2013年から据え置きとしている。韓国銀行は、2014年にインフレ率が2.5%~ 3%に上昇すると予想しており、現在の低インフレ環境においても金融緩和に反対している。予想中央値では、中央銀行の金利ターゲットは第4四半期の2.5%から2.75%に上昇すると予想されている。

通貨戦争により輸出成長率が最初の犠牲者となる

ブルームバーグのコンセンサス予想(韓国)経済活動 1Q,2013 2Q,2013 3Q,2013 4Q,2013 1Q,2014 2Q,2014 3Q,2014 4Q,2014 2012 2013 2014 2015

実質GDP(前年比%) 1.50 2.30 3.30 3.80 3.70 3.50 3.30 3.40 2.00 2.70 3.50 3.50

消費者物価指数(前年比%) 1.40 1.07 1.17 1.30 1.65 2.30 2.65 2.95 2.20 1.30 2.45 2.90

失業率(%) 3.30 3.17 3.10 3.10 3.20 3.10 3.10 3.10 3.00 3.20 3.20 3.10

対外収支経常収支(対GDP比%) 5.32 5.86 6.05 4.35 4.60 3.90 3.30 3.80 4.70 4.95 3.65 3.20

財政収支予算(対GDP比%) - - - - - - - - 2.14 0.50 1.00 1.20

金利政策金利(%) 2.75 2.50 2.50 2.50 2.50 2.50 2.63 2.75 2.75 2.50 2.75 -

3カ月金利(%) 2.75 - - - - - - - 2.87 - - -

2年債(%) 2.55 2.84 2.80 - - - - - 2.85 - - -

10年債(%) 2.78 3.41 3.42 3.60 3.70 3.74 3.84 3.96 3.17 3.60 3.96 -

為替レートUSDKRW 1111 1142 1075 1060 1070 1070 1069 1060 1064 1060 1060 1023

出所:ブルームバーグ {ECFC KR <GO>} 12月9日現在。2013年第4四半期以前は実績値。

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日本の輸出高、前年比3カ月移動平均(右軸)韓国の輸出高、前年比3カ月移動平均(右軸)KRWUSD*(左軸)JPYUSD*(左軸)

* 2011年12月を100として指数化

KOEXTOTY指数 出所:ブルームバーグ

日本の輸出高、前年比3カ月移動平均(右軸)韓国の輸出高、前年比3カ月移動平均(右軸)

FRBの政策が韓国の資本フローに打撃を与える

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01/10 09/10 05/11 01/12 09/12 05/13

Hun

dred

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株式の純流出入額、単位:百万米ドル、3カ月移動平均(右軸)米国債10年物利回り(左軸)

出所:ブルームバーグ KSFIMTDN指数、USGG10YR指数

Aa3 A+ AA-ムーディーズ S&P フィッチ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 5

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オーストラリアの見通し Tamara Henderson、ブルームバーグ エコノミスト

2014年のオーストラリアは前年と同様の展開2014年のオーストラリアの成長見通しでは、引き続き中国のリバランスとFRBの資産買い入れ縮小が重しとなるだろう。コモディティ価格と世界の需要が大幅に改善しない限り、オーストラリア準備銀行は、雇用、消費、成長を後押しするために政策金利を過去最低水準まで引き下げる可能性が高い。

2013年の1月~ 9月は、平均成長率が前年同期の3.9%から2.3%まで鈍化した。国内の需要は特に低迷しており、2013年の第1~ 3四半期は2012年の4.6%に対して0.7%の上昇にとどまった。こうした成長の鈍化は、家計、投資、政府に及ぶ広範なものであり、鉱業関連の投資が特に伸び悩んでいる。オーストラリア準備銀行は2013年の50bpの利下げを含め2011年11月以降225bpの利下げを行ったが、まだ成果を上げていない。10月には、雇用統計の6カ月平均が2013年2回目の悪化となった。雇用市場がここまで悪化したのは、世界的な金融危機が起こった2009年以来である。輸出高の伸びが輸入高を上回り、純輸出は堅調に増加している。対米ドルで豪ドルが13%下落したことにより、輸出企業の競争力が高まると同時に輸入需要が減少したため、オーストラリアの貿易収支は改善した。 インフレ調整後の貿易加重ベースで見ると、アジア太平洋地域全体では前年比で1.6%の下落に対し、豪ドルは5.6% 下落している。とは言うものの、オーストラリア準備銀行は豪ドル安維持を目指した取り組みを続けており、1豪ドルが0.91米ドルとなったつい先日の12月3日にも依然として 「豪ドル高を懸念視」しているとの声明を発表した。

10年物オーストラリア国債の実質利回りは、未だに2%を上回り、アジア太平洋地域で最も魅力的である。こうした中、オーストラリア準備銀行は豪ドル安を維持した取り組みの正当性を具体的に示す必要が出てくるだろう。25bpの追加利下げを行えば、現在の米国債に対する利回りの差が縮小されるだろう。

オーストラリア準備銀行が実施した利下げによる 効果は、未だ雇用市場に浸透せず

ブルームバーグのコンセンサス予想(オーストラリア)経済活動 1Q,2013 2Q,2013 3Q,2013 4Q,2013 1Q,2014 2Q,2014 3Q,2014 4Q,2014 2012 2013 2014 2015

実質GDP(前年比%) 2.10 2.40 2.30 2.30 2.50 2.50 2.80 2.85 3.60 2.50 2.70 2.95

消費者物価指数(前年比%) 2.50 2.40 2.20 2.30 2.60 2.80 2.45 2.60 1.75 2.30 2.60 2.50

失業率(%) 5.47 5.63 5.73 5.90 6.05 5.95 6.00 5.90 5.23 5.70 6.00 5.65

対外収支経常収支(対GDP比%) -2.70 -3.10 -3.30 -2.60 -2.40 -2.50 -2.70 -2.40 -4.13 -2.50 -2.50 -2.20

財政収支予算(対GDP比%) - - - - - - - - -3.34 -1.40 -1.40 -0.75

金利政策金利(%) 3.00 2.75 2.50 2.50 2.38 2.38 2.50 2.63 3.00 2.50 2.63 -

3カ月金利(%) 3.10 2.82 2.60 2.60 2.55 2.57 2.63 2.75 3.07 2.60 2.75 -

2年債(%) 2.83 2.53 2.45 2.70 2.69 2.78 2.89 3.01 2.64 2.70 3.01 -

10年債(%) 3.41 3.76 3.81 4.17 4.20 4.26 4.39 4.51 3.27 4.17 4.51 -

為替レートAUDUSD 1.04 0.91 0.93 0.93 0.90 0.89 0.88 0.89 1.04 0.93 0.89 0.88

出所:ブルームバーグ {ECFC AU <GO>} 12月9日現在。2013年第4四半期以前は実績値。

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0

5,000

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2.25%

2.50%

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3.75%

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4.25%

4.50%

4.75%

5.00%

11/11 05/12 11/12 05/13 11/13

オーストラリア準備銀行基準金利(左軸)雇用の変動率、6カ月移動平均(右軸)

出所:ブルームバーグ RBATCTR指数、AULFEMPC指数

利下げによりオーストラリア債券の魅力が薄れる

-3 -2 -1 0 1 2 3 4

ニュージーランド韓国タイ

オーストラリアマレーシア

中国台湾

シンガポールインドネシアフィリピン

日本インド香港

出所:ブルームバーグ

オレンジのグラフは、10年物の実質利回りが米国債を下回る(青は上回る)ことを示す。

Aaa AAA AAAムーディーズ S&P フィッチ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 6

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インドの見通し Tamara Henderson、ブルームバーグ エコノミスト

センチメントが悪化する中、投資家はインドの総選挙に期待インドは、投資家心理が転換しない限り、投資縮小と成長鈍化という悪循環から脱することはできないだろう。5月31日までに行われる予定の総選挙により、政策への期待が回復する可能性があるが、それまでルピーは軟調に推移するだろう。財政および金融政策に対する懸念から、S&PとフィッチがインドのBBB-の信用格付に対する見通しをネガティブとし、投資適格級からの格下げが示唆されたことにより、投資家心理は2012年に大幅に悪化した。

FRBが債券買入れ縮小を示唆したことを受け、新興国市場全体で売りが先行し、リスク許容度は2013年にさらに低下した。インドの大規模な石油輸入(全輸入額の3分の1)と補助金(政府支出の15%)は柔軟性に欠け、ルピーは急落。インドの経常収支と財政赤字に対する圧力が高まった。結果として、インドの経常赤字は世界的な金融危機が最も深刻であった時期の対GDP2.5%から5%まで急上昇した。

2012年9月以降インド政府は、燃料補助金を削減し、小売および航空セクターへの海外企業の参入を認め、海外投資の上限額を引き上げるなど、投資家や格付機関の好評価を得ようと努力している。しかし、選挙の不透明性、FRBの量的緩和縮小に対する懸念、依然5%を下回る成長率などの要因により、その反応は精彩を欠いたままである。インド準備銀行の新総裁であるラグラム・ラジャン氏は、インフレファイターとして中央銀行の信頼性回復に努めている。9月の就任以来、ラジャン氏は、50bpの利上げを行っており、ルピーとインフレの安定化に貢献している。通貨当局の権限を超える供給は制限されているため、実際のインフレ上昇は抑制されると思われる。政府は、GDP比4.8%という赤字削減目標を達成するために、支出を大幅に減らす必要があるだろう。4~ 9月の名目成長率と歳入のペースは目標を大幅に下回っている。 インド準備銀行による利上げにともない、利払い負担の増加が見込まれ、支出の20%を占めることになるだろう。

インドの投資環境は悪化

ブルームバーグのコンセンサス予想(インド)経済活動 1Q,2013 2Q,2013 3Q,2013 4Q,2013 1Q,2014 2Q,2014 3Q,2014 4Q,2014 2012 2013 2014 2015

実質GDP(前年比%) 4.80 4.40 4.80 4.80 4.90 5.00 5.25 5.40 5.10 - 4.70 5.40

消費者物価指数(前年比%) 11.71 10.66 10.77 9.70 9.00 8.55 8.15 7.95 9.30 - 9.25 8.00

失業率(%) - - - - - - - - - - - -

対外収支経常収支(対GDP比%) -5.07 -5.31 -4.37 -2.55 -2.00 -3.15 -2.70 -3.00 -5.35 - -3.10 -3.00

財政収支予算(対GDP比%) -5.18 -5.80 -5.67 - - - - - -5.88 - -5.00 -4.80

金利政策金利(%) 7.50 7.25 7.50 6.88 6.88 7.00 6.88 6.75 8.00 6.88 6.75 -

3カ月金利(%) 9.78 8.52 10.08 - - - - - 8.92 - - -

2年債(%) 7.73 7.57 8.62 7.00 7.25 7.25 - - 7.94 7.00 - -

10年債(%) 8.05 7.73 9.13 8.74 8.60 8.52 8.46 8.37 8.24 8.74 8.37 -

為替レートUSDINR 54.28 59.39 62.62 62.50 63.25 63.25 62.50 62.25 54.99 62.50 62.25 60.87

出所:ブルームバーグ {ECFC IN <GO>} 12月9日現在。2013年第4四半期以前は実績値。

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2009 2010 2011 2012 2013

海外直接投資、米ドル3カ月/前年同期比(左軸)海外株式ポートフォリオの購入、米ドル3カ月/前年同期比(右軸)

出所:ブルームバーグ

成長率は世界的な金融危機時の最低水準に迫る

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2005年9月 2006年9月 2007年9月 2008年9月 2009年9月 2010年9月 2011年9月 2012年9月

民間消費投資政府純輸出実質GDP成長率(前年比、季節調整前)

出所:ブルームバーグ

Baa3 BBB- BBB-ムーディーズ S&P フィッチ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 7

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シンガポールの見通し Tamara Henderson、ブルームバーグ エコノミスト

FRBの量的緩和縮小に対するシンガポールの準備は万端シンガポールの2014年の見通しは、投資家予想と比較したFRBの資産買い入れの縮小の規模や、海外の裁量需要が流動性縮小に際してどの程度維持されるかに左右される。FRBによる過去2回の金融引き締めを踏まえると、 シンガポールでは成長率の上昇が見込まれる。 通貨当局は、シンガポール・ドルの為替バンドが2013年の市場の大幅な変動に持ちこたえたため、2014年の シンガポール・ドルの実効為替レートの変動に関しても現在のバンドを政策上維持すると思われる。FRBの量的緩和縮小に伴う利回りの上昇と貿易加重ベースでの通貨上昇により、2014年のインフレ率は2%前後で推移するだろう。

2013年のシンガポール経済は、FRBの量的緩和縮小に対する懸念と中国のリバランスという逆風に対する粘り強さを示し、第3四半期の実質GDP成長率は前年比で6%に近づいている。実質GDPの34%を占める家計支出は、低水準の失業率、賃金の上昇、インフレ率の低下(特に住宅価格)により堅調を維持した。また政府支出が、軟調な投資と純輸出を補った。中国向けの石油化学製品輸出の増加は、電子機器と医薬品に対する欧米需要の減少による影響を緩和した。シンガポールの金融サービスセクターは、過去3四半期で前年同期比2桁の目覚ましい成長を遂げるなど、2013年は最も堅調な成長を遂げた。「安全な逃避先」との認識が高まる中、都市国家シンガポールのAAA格は盤石であり、世界で最も強力な銀行の多くが拠点を構えている。5月に マイナス金利を導入するとのスイス銀行の発表を受けて、投資家は銀行預金の逃避先を求めたようだ。2013年の預金増加率はシンガポールで急上昇し、スイスでは急激に低下する結果となった。中国は10月に、人民元適格外国機関投資家(RQFII) プログラムを拡大し、シンガポールに対して中国の株式や債券への投資を認める500億元の投資枠を設定した。これによりシンガポールは人民元のオフショア市場のハブとしての役割を担っている。現在は、人民元とシンガポール・ドル間の直接的な通貨取引を開放する計画が進められている。

金融引き締めサイクルの初期に成長率が上昇

ブルームバーグのコンセンサス予想(シンガポール)経済活動 1Q,2013 2Q,2013 3Q,2013 4Q,2013 1Q,2014 2Q,2014 3Q,2014 4Q,2014 2012 2013 2014 2015

実質GDP(前年比%) 0.30 4.40 5.80 3.85 4.15 2.90 3.50 3.50 1.33 3.00 3.60 3.40

消費者物価指数(前年比%) 4.00 1.63 1.83 2.30 2.00 3.40 3.40 3.20 4.57 2.50 3.00 2.80

失業率(%) 1.90 2.10 1.80 2.15 2.20 2.15 2.10 2.10 1.93 2.05 2.05 -

対外収支経常収支(対GDP比%) 17.44 17.60 - - - - - - 18.60 17.10 16.75 17.25

財政収支予算(対GDP比%) 1.96 2.00 1.98 - - - - - 2.03 0.70 0.55 1.00

金利政策金利(%) 0.38 0.38 0.42 - - - - - 0.38 - - -

3カ月金利(%) 0.38 0.37 0.37 0.40 0.42 0.40 0.44 0.41 0.38 0.40 0.41 -

2年債(%) 0.21 0.20 0.29 0.28 0.31 0.36 0.41 0.35 0.25 0.28 0.35 -

10年債(%) 1.52 2.33 2.33 2.31 2.57 2.69 2.81 2.87 1.29 2.31 2.87 -

為替レートUSDSGD 1.24 1.27 1.26 1.25 1.26 1.26 1.25 1.25 1.22 1.25 1.25 1.26

出所:ブルームバーグ {ECFC SG <GO>} 12月9日現在。2013年第4四半期以前は実績値。

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1996 1999 2002 2005 2008 2011

フェデラル・ファンド金利ターゲット(右軸)

シンガポールGDP成長率、前年比(左軸)

出所:ブルームバーグ

金融サービスセクターは量的緩和縮小懸念の中、堅調に推移

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2003 2005 2007 2009 2011

シンガポールGDP成長率、前年比製造(実質GDPの26%)卸売・小売(実質GDPの16%)運輸・倉庫(実質GDPの8%)金融サービス(実質GDPの13%)

出所:ブルームバーグ(ECST)

Aaa AAA AAAムーディーズ S&P フィッチ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 8

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インドネシアの見通し Tamara Henderson、ブルームバーグ エコノミスト

インドネシアの実質利回り上昇に投資家が再び注目選挙の結果とFRBの量的緩和縮小による世界的な影響の度合いによるが、投資家は、2014年、高い潜在成長力、人口規模、そして1人当たりの所得、雇用、賃金の側面から生活水準の上昇が見込まれるインドネシアに再び注目するだろう。また、インドネシア銀行による利上げも実質利回りを改善し、インドネシア国債の魅力が高まる可能性がある。

8.3%のインフレ率はアジアで最も高い水準であり、中央銀行のターゲットゾーンである3.5~ 5.5%を大幅に上回っている。なお、過去2年の大半はこのレンジ内に収まっていた。洪水被害や祝日用食材による食料価格および電力料金の上昇による当初の物価急騰は、6月中旬から金利が175bp上昇したことによる国内需要の顕著な減少にもかかわらず未だに沈静化していない。この原因の1つとしてルピアの下落があり、2013年はドルに対して約18%下落、アジア太平洋地域で最悪のパフォーマンスとなった。金利上昇はルピアとインフレ予想の安定化に貢献したが、ルピアはFRBの量的緩和縮小と2014年の大統領および議会選挙に対する投資家の懸念による影響を今後も受けるだろう。ルピアの下落によりインドネシアの輸出企業は競争力を増し、輸入需要は抑制される。製品の純輸出高は、2013年の第1~ 3四半期に前年同期比で平均18.2%の増加となった。しかし、インドネシアの貿易収支の改善は経常赤字の削減には至っておらず、第3四半期は対GDP比3.7%に上昇している。これは、過去20年以上で最大のギャップとなる。成長率は5.6%に鈍化したが、この10年のトレンドである

5.8%に近い水準を維持しており、これをアジアで上回るのは中国、フィリピン、シンガポールのみである。第3四半期の実質GDPの54%を占めた家計支出は、金利上昇にもかかわらず底堅く推移した。

2014年はインドネシア銀行のレート引き上げにより実質利回りが改善

ブルームバーグのコンセンサス予想(インドネシア)経済活動 1Q,2013 2Q,2013 3Q,2013 4Q,2013 1Q,2014 2Q,2014 3Q,2014 4Q,2014 2012 2013 2014 2015

実質GDP(前年比%) 6.03 5.83 5.62 5.48 5.32 5.42 5.70 5.85 6.23 5.70 5.65 6.10

消費者物価指数(前年比%) 5.26 5.65 8.60 8.62 7.63 7.40 4.88 5.01 4.28 7.00 6.50 5.21

失業率(%) - - - - - - - - 6.10 6.38 5.92 5.80

対外収支経常収支(対GDP比%) -3.08 -3.28 -3.71 -3.40 -3.20 -3.10 - - -2.81 -3.35 -2.70 -1.35

財政収支予算(対GDP比%) - - - - - - - - -1.52 -2.10 -1.90 -1.50

金利政策金利(%) 5.75 6.00 7.25 7.63 7.75 7.75 7.63 7.38 5.75 7.63 7.38 -

3カ月金利(%) 4.90 5.36 7.16 7.23 7.67 7.33 6.70 6.30 5.02 7.23 6.30 -

2年債(%) 4.13 6.39 7.12 - - - - - 4.34 - - -

10年債(%) 5.54 7.07 8.43 8.16 8.11 7.96 7.59 7.43 5.15 8.16 7.43 -

為替レートUSDIDR 9735 10004 11406 11500 11675 11750 11800 11645 9793 11500 11645 11223

出所:ブルームバーグ {ECFC ID <GO>} 12月9日現在。2013年第4四半期以前は実績値。

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2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

インドネシア5年実質利回り(全体)

現在の実質利回り中央値(新興国市場および米国、日本、オーストラリア、ニュージーランド)

出所:ブルームバーグ、GIDN5YR指数

家計支出は底堅く推移

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2008 2009 2010 2011 2012

インドネシア実質GDP成長率、前年比民間消費、前年比政府支出、前年比民間投資、前年比純輸出、前年比

出所:ブルームバーグ、{ALLD IDGE <GO>}

Baa3 BB+ BBB-ムーディーズ S&P フィッチ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 9

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フィリピンの見通し Tamara Henderson、ブルームバーグ エコノミスト

投資が引き続き経済成長を後押しFRBの量的緩和縮小は、2014年のフィリピンの経済成長にとって主要リスクである。しかし、フィリピンでは民間消費が実質GDPの70%を占めるため、地域内の他の国と比べると、外部要因による影響はさほど大きくない。超大型台風ハイエンによる被害が経済成長(鈍化方向)とインフレ率(上昇方向)に与えたダメージは下半期から弱まっていくだろう。実際、多くの海外労働者が景気動向に左右されない仕事に就いているため、名目GDPの8%を占める海外出稼ぎ労働者による送金は世界経済の停滞の中で緩衝材になっている。また、そのような景気悪化によるペソ下落が、外貨建ての収益をかさ上げしている。

11月8日にフィリピンを直撃した台風ハイエンは、風速300km/hを維持しながらフィリピン諸島の中心部である ビサヤ地方を通過した。フィリピン国家統計調整委員会の統計によれば、この地域は2012年のフィリピンの実質GDPの13%を占めている。ビサヤ地方の生産能力が11月と12月にゼロになると仮定すると、2012年のフィリピンの実質GDP成長率は6.8%から4.6%に減少していたであろう。同地域の生産能力の3分の1が被害を免れた場合は、2012年の成長率は1.5ポイントの低下にとどまっていたであろう。一方、フィリピン経済は、投資の後押しを受けて過去5四半期に7%以上のペースで成長してきた。第1四半期の フィリピンの成長率は、潜在成長率を8%まで拡大するために政府が取り組んだ、道路、鉄道、港湾への投資促進活動により、中国をも上回った。堅調な成長にもかかわらず、 インフレ率は十分に抑制されており、平均3%となっている。また、フィッチ、S&P、ムーディーズは、それぞれ3月、5月、

10月にフィリピンのソブリン格付けを投資適格に引き上げた。ソブリン格付けの引き上げ、特に投資適格への引き上げは投資家層を広げるため、多くの投資を呼び込み借入コストを下げ、ひいては潜在成長率の押し上げと政府の財政改善を達成する良好なサイクルが生まれる可能性がある。

フィリピンの地域別実質GDP成長率

ブルームバーグのコンセンサス予想(フィリピン)経済活動 1Q,2013 2Q,2013 3Q,2013 4Q,2013 1Q,2014 2Q,2014 3Q,2014 4Q,2014 2012 2013 2014 2015

実質GDP(前年比%) 7.70 7.60 7.00 6.80 6.00 6.50 6.70 6.85 6.80 6.90 6.10 6.00

消費者物価指数(前年比%) 3.23 2.63 2.43 3.05 3.80 4.05 3.80 3.95 3.16 3.00 3.80 3.80

失業率(%) 7.10 7.50 7.30 6.90 - - - - 6.98 7.00 7.00 -

対外収支経常収支(対GDP比%) 3.79 3.79 3.10 2.85 2.75 2.60 2.80 3.10 2.82 2.95 2.70 2.30

財政収支予算(対GDP比%) -2.55 -2.36 -2.13 -2.40 -2.40 -2.00 -2.00 -2.00 -2.30 -2.25 -2.05 -2.05

金利政策金利(%) 3.50 3.50 3.50 3.50 3.50 3.63 3.75 3.88 3.50 3.50 3.88 -

3カ月金利(%) 0.25 0.50 - 0.55 0.84 0.94 1.06 - 0.56 0.55 - -

2年債(%) 2.44 - 2.16 - - - - - 2.58 - - -

10年債(%) 3.53 4.28 3.84 3.53 3.64 3.83 3.86 4.13 4.40 3.53 4.13 -

為替レートUSDPHP 40.8 43.1 43.5 43.0 43.8 43.6 43.4 43.1 41.0 43.0 43.1 42.6

出所:ブルームバーグ {ECFC PH <GO>} 12月9日現在。2013年第4四半期以前は実績値。

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

2010 2011 2012合計 首都圏(マニラ地域) ルソン(北部)ビサヤ(中部) ミンダナオ(南部)

出所:フィリピン国家統計調整委員会

ビサヤを中心として建設業がGDPを牽引

-10 -5 0 5 10 15 20 25 30

その他のサービス(BPOサービスを含む)行政

不動産、賃貸、事業活動金融仲介

車両販売・修理、個人用品運輸、倉庫、通信

サービス公益建設製造鉱業工業

農業・漁業合計

ビサヤの2012年GDP成長率(前年比) フィリピンの2012年GDP成長率(前年比)出所:フィリピン国家統計調整委員会

Baa3 BBB- BBB-ムーディーズ S&P フィッチ

4Q 2013

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 10

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4Q 2013

インターネットメディア {BI Inetg <gO>} Praveen Menon、ブルームバーグ・インダストリーズ

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百度・新浪の第4四半期売上予想は2014年モバイル事業の堅調な売上を示唆

中国のインターネットメディアの第4四半期の売上予想では、新たなモバイル 事業モデルによって2014年の売上が大幅に増加することが示唆されている。新浪は、Eコマースにおける アリババとのパートナーシップにより、同社のソーシャルメディア・サービスである微博で3桁の売上増加を達成することで、広告事業で最大の黒字化 (第3四半期比)を予想している。百度の予想でも、一連のモバイルマーケティング活動により売上低迷からの回復が示唆されている。

中国ソーシャルメディア市場は検索サービスよりモバイル関連の売上が好調

運営会社の新浪によれば、中国で最大のソーシャルメディア・プラットフォームである微博は、近い将来にモバイル広告による売上が50%を超すと見込まれており、Facebookのモバイル事業による売上比率に迫っている。実際、中国の検索サービス運営会社はそれほど成功を収めておらず、最大手の百度、そして競合する捜狐・騰訊の合弁企業におけるモバイル事業からの売上比率は約10%である。eMarketerによれば、Googleは売上の19%を モバイル検索から得ているが、この値はその約半分である。

中国のインターネット企業は、ネットショッピングと娯楽メディア関連の販売に牽引されて、 2014年はモバイル事業関連の売上が増加すると思われる。サービス提供会社は、オンライン ユーザーの関心を惹きつけるためのプロモーションに費用をかける一方で、2013年から着目されているゲームやソーシャルメディア広告などのセグメントで収益化を目指すことになるだろう。

2014年、中国インターネット業界はモバイル事業関連の売上が拡大

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 11

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4Q 2013

インターネットメディア前ページから続く

奇虎と捜狐、百度の王座を狙う

奇虎がPC検索シェア30%を狙う中、百度は、中国の350億元(57億ドル)の検索広告市場において厳しい競争に巻き込まれることになるだろう。また捜狐の捜狗は、騰訊とのタイアップにより業績を伸ばした。PC検索による収入と検索件数における百度のシェアは80%を超える。しかし同社のモバイルに おける地位は低く、中国のモバイル検索収入の10%超を占めるにすぎない。第3四半期の捜狐と騰訊を合計したPC検索の収入シェアは4.5%であり、奇虎は同1%である。

百度と騰訊ではコスト上昇が利益率を圧迫

中国のインターネット企業は、販売、マーケティング、研究・開発を中心に支出が増えており、2014年はさらに利益が圧迫される可能性がある。騰訊の営業利益率(GAAP非準拠)は、2012年当初の40%超から34%へと減少した。これは同社がソーシャルメディア・プラットフォームである微信を海外で宣伝し、Eコマースのカテゴリーを増やしたためである。百度の2013年の利益率は7%減少して39%となった。これは、モバイル検索アプリケーションの開発費、とブラウザ部門での人件費、そしてマーケティング費が上昇したためである。

出所:iresearch.com

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 12

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自動車 {BI AUtMA <gO>} Kevin Tynan、ブルームバーグ・インダストリーズ

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アジア経済が自動車市場の成長を牽引

アジア経済動向指標は2013年第4四半期に98.2に達し、2010年以降で最高水準となった。アジアの乗用車生産高は、2012年に世界全体の50.9%を占めた(2011年は48.2%)。中国における生産高は年初来9月末までに14%増加しており、欧米の自動車メーカー各社は、同国における生産能力のさらなる拡大を発表している。一方、日本のメーカーは、タイ(年初来14%)およびインドネシア(年初来13%)などの拠点の生産を2014年に拡大すると表明している。

中国のGDP成長がSUVを始めとする自動車販売を牽引

中国の自動車販売は年初来で14%増加し、9月末までに1,280万台に達した(前年同期は6.7%の増加)。車種別にみると、SUVの販売台数は46%増加し、2013年の市場に占める割合は16%となった(2012年の13%から上昇)。一方、多目的自動車(MPV)は195%の急増を記録した(乗用車は11%)。2014年はMPVの販売台数増加が成長の鍵となるだろう。IMFは、中国の1人当たりのGDP成長率が2013年の7.5%から2014年には8.7%に増加すると推計している。

アジア太平洋地域の自動車販売は2014年に増加する見込みである。中国ではSUVの需要急増とGDP成長により、乗用車の販売が増加するだろう。タイとマレーシアでは景気拡大が予想される一方、国際通貨基金(IMF)は、インドおよびインドネシアの1人当たりGDPは減少すると予想している。

中国経済がアジアの自動車市場を牽引

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 13

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4Q 2013

自動車前ページから続く

アジアの新興国自動車市場は強弱まちまち

IMFの推計によると、アジアの新興国最大規模のインド経済の1人当たりのGDPは2014年に1.8%減少する見通しだ。インドの新車販売は、通貨の変動と高いインフレ率を背景に年初来7.2%減少した。アジアで5番目に大きな自動車市場であるインドネシアの2014年の1人当たりGDPは1.9%減少するとIMFは予想している(2013年は2.6%減)。一方、タイとマレーシアでは2014年に景気拡大が見込まれている。

日本政府は消費税引き上げによる影響を相殺する施策を計画中

11月の日本の自動車販売台数は、3カ月連続で2桁の成長を遂げた。2014年4月に予定されている5%から8%への消費増税を見据えた駆け込み需要もあり、例年最も販売が拡大する3月まで需要は減少しないだろう。日本政府は、消費増税後の需要減退を回避するために、自動車取得税を現行の5%から引き下げると予想される。

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 14

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4Q 2013

カジノ {BI gAMeg <gO>} Tim Craighead、ブルームバーグ・インダストリーズ

マカオの供給主導型カジノ市場は供給が枯渇

マカオのカジノ市場の拡大は2014年に一時的に急停止し、主要な成長要因が損なわれるだろう。世界有数の カジノ都市であるマカオでは、大規模な総合リゾート施設が新設されるたびに大盛況となり、カジノ運営業者6社すべてがその恩恵を受け、カジノ産業の成長は供給に依存してきた。2014年は、2006年以来初めて追加供給がないため新たな客を呼び込むことが難しくなり、運営業者はこれまでの成長率を維持することに苦慮するだろう。

マカオの中国人観光客は2013年の急増後に減少の見込み

マカオを訪れる中国人観光客は、 マカオと中国中央部および北部の省をつなぐ直通高速鉄道が新設され、入境の利便性が拡大、待ち時間が短縮されたことを主な要因に、年初来 9月末までに13%急増した。中国本土からの旅行者はマカオ観光客の65%を占めるようになり、年初来で17%急増したカジノ収入の牽引役となった。2014年も観光客は増えると思われるが、前年比でみると厳しい状況を迎えるだろう。

マカオの総合カジノリゾートは、設備の新設計画が2015年までないため、2014年の成長は鈍化すると見込まれる。そのため、カジノリゾート運営業者は、顧客の滞在の長期化を図るとともに、既存の優良施設の成長維持に注力するだろう。

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マカオは2015年の建設ラッシュを目前に、新規供給が枯渇

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 15

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4Q 2013

カジノ前ページから続く

コタイ地区が引き続きマカオのカジノ産業を牽引

メルコクラウンのシティオブドリームズ、 サンズのベネチアンおよびギャラクシーの各社は、6,000室を誇る競合カジノ、コタイセントラルが近くに新設されたにもかかわらず、開業以来、成長を 維持してきた。これはつまり、観光客は最新のアトラクションを目当てに訪れるが、人気のカジノリゾートが一つのエリアに集約されているため、すべてのカジノ運営業者が恩恵を享受できることを示唆している。コタイ地区のカジノは、成長を維持するための必要観光客数を達成しており、2014年も引き続き観光客を引き付けるだろう。

コタイ地区への期待によりマカオのカジノの評価が上昇

マカオのカジノ運営業者の評価は、収益がプラスのサプライズ要因となり、2013年は40~ 75%の急上昇となった。平均予想EV/ EBITDA倍率は現在17.6であり、2011年以降最高水準となっている。こうした評価の上昇は、2014年のコンセンサス予想となっている収入および収益の成長率低下と対照的である。投資家はおそらく、2015年以降のコタイ地区における新規大規模リゾート施設7件がもたらす成長に期待していると思われる。

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 16

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4Q 2013

高級品 {BI LUXgg <gO>} Deborah Aitken、ブルームバーグ・インダストリーズ

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高級品の売上高は全世界で3.6%増加、3,300億ドルに成長

ユーロモニターによれば、世界の高級品売上高は2014年に3.6%増加し、3,300億ドルとなる見込みである。この予想は2011年まで続いた2桁の成長率を下回っている。なお、2012年と2013年はアジアと欧州における支出が減少したため、市場拡大が減速した。しかし、アジア太平洋地域の売上高は2014年に5.8%増加する可能性がある。一方で西欧を除く欧州市場では約5%の成長が見込まれる。アジアは、2018年までに西欧を上回り、高級品において世界最大の市場になると予想されている。

中国と新興国市場において高級品が普及

高級品企業は、中国と新興国市場の所得増加を大きなビジネスチャンスと捉えている。ユーロモニターによれば、中国の16万9,000世帯の可処分所得は、2014年に20万ドルを超えるとみられている(9.5%増)。こうした高所得者層は、2017年においても全世帯のわずか0.5%と予想されるが、今後5年間に81万3,000世帯増加し、合計244万世帯に達する見込みである。中国の家計は年率8.7%で成長している。参考までにインド、ロシア、ブラジルの同成長率はそれぞれ8.4%、7%、6.7%となっている。

世界の高級品業界では、アジア太平洋地域の成長が欧州の低迷を相殺している。中国やその他のBRIC諸国では高所得者層の増加に伴い、高級品の購入も増加している。宝石と時計の販売が業界の成長を牽引しており、大手ブランドがシェアを拡大している。

中国の新富裕層による高級品需要が増加、2014年の成長を牽引

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4Q 2013

高級品前ページから続く

高級品企業は小規模都市で店舗を展開、旅行者向けサービスを提供

増加傾向にあるアジア人旅行者の再訪を背景に、高級品メーカーは、比較的小さな都市に新たに直営小売店を展開して販売活動を拡大している。単一ブランドの高級品店は、欧米の中小規模の都市において新店舗開設を計画している。北京語を話せるスタッフの配置と、中国人旅行者のニーズを満たすための販売員教育などにより、サービスが改善されている。

米国を訪れる中国人旅行者が大幅に増加する見込み

米国への中国人旅行者が大幅に増加する見込みだ。香港への中国人旅行者は、2013年年初来で3,350万人に達し、米国への旅行者数の約15倍となっている。米国では香港に比べて高級品の価格が低く、これが米国の魅力になっている。中国本土から米国を訪れる旅行者は2013年第1四半期に27%増加し、2006~ 2012年の複合年間成長率である20%を超えた。米国へのアジア人旅行者は270万人で、中国人はその内19%を占めている。なお、5年前の同数値は10%であった。

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 18

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4Q 2013

消費財 {BI FOODA <gO>} Thomas Jastrzab、ブルームバーグ・インダストリーズ

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中国の乳製品業界がアジアでのM&Aを積極化

食品安全基準の改善に向け、中国政府は2014年、乳製品業界の再編を進める可能性がある。光明乳業がこの恩恵を受けるとの観測が広まり、同社の株価はこの1年で2倍以上となった。また、内蒙古伊利実業集団の株価は103%の急上昇となり、中国蒙牛乳業は76%上昇した。双匯国際が豚肉業者のスミスフィールド・フーズを買収したことにより、新興国市場の消費財メーカーが海外でさらに買収を進めるとの期待が高まっている。

欧米の食品メーカーがアジア企業を買収

北米および欧州の食品メーカーは、人口動態と景気拡大の鈍化が両地域の重しとなっているため、2014年は急速に成長するアジア市場での企業買収を加速すると思われる。ユーロ モニターによれば、アジア太平洋地域の加工食品の売上高は、2017年末までに4.2%の複合年間成長率に達する見込み。なお、北米および西欧の同数値はそれぞれ1.1%、0.4%である。

2014年のアジアの消費財業界の成長ペースは減速する見込みだが、引き続き北米と西欧の成長を上回ると予想されている。同セクターでは、安定した成長性や価格決定力の強化に加え、事業規模拡大によるコストメリットの実現に向け、統合が進む可能性がある。

価格競争により消費財業界の再編が加速

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 19

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消費財前ページから続く

日本たばこ産業とセブン&アイが日本企業の海外進出を先導

セブン-イレブンの運営会社である セブン&アイや日本たばこ産業を始めとする日本の消費者関連企業は、2014年以降、海外事業の拡大を目指しており、おそらく買収も視野に入れていると思われる。日本国内の少子高齢化の波はこうした企業の最大の課題である。米国勢調査局の統計によれば、日本では65歳以上の人口の割合がすでに25%を超えている。

中国の食品小売の合併により価格競争が緩和

華潤とテスコが最近中国国内の店舗を統合したことが呼び水となり、分裂した地域を中心に中国の食品小売 セクターの再編が始まるものと思われる。こうした動向により、収益悪化を招いていた飽和状態の市場における価格競争が緩和されるだろう。また、再編により小売店はスケールメリットの獲得やプライベートブランド事業の拡大が可能になり、製品の差別化を図ることができる。

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 20

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4Q 2013

石炭 {BI COALg <gO>} Andrew Cosgrove、ブルームバーグ・インダストリーズ

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燃料炭価格は3.5%の供給増加により頭打ち

2014年、計3,100万メートルトンの燃料炭が市場に追加供給される見込みで、これは2013年の予想海上輸送取引量合計の3.5%にあたる。主に オーストラリアとコロンビアからの供給が増加する見込みだが、違法採掘による追跡不能の輸出が継続しているインドネシアからの供給も増加すると思われる。2014年の供給量増加は2013年よりも少なくなると予想されるが、慢性的な在庫過多により価格の上昇は抑制されるだろう。

中国の輸入が原料炭価格動向の鍵

世界の海運市場が2014年に堅調に推移し、最近の価格上昇モメンタム を維持するには、中国による原料炭輸入の増加が必要となるだろう。 オーストラリアの2013年の輸出増加量の内、中国向け輸出が90%を占めた。オーストラリアの生産者が2014年に新規鉱山の稼働率を最大化する一方、ブラジル、インド、欧州各国は、過剰供給による価格下落を抑制するために2014年の輸出量を2013年の水準から増やす必要がある。

2014年の世界の石炭市場では、過去数年と比べ深刻度は低下しているものの、過剰供給と中国の鉱山市場シェア拡大という問題が続くだろう。2013年の供給合理化により過剰供給が削減されたため、2014年は若干の価格上昇が期待されている。

石炭価格の上昇、新たな供給、中国の購入

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 21

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4Q 2013

石炭前ページから続く

中国の燃料炭輸入の増加率は低水準を維持

2013年の第1四半期に中国による輸入が30%近く上昇したときとは対照的に、2014年は市場間価格差が少なく、電力会社とトレーダーの輸入意欲を削ぐため、中国の燃料炭輸入増加率(燃料炭と褐炭)は低下する可能性がある。また、中国の鉄道インフラの改善と内陸部から需要の多い沿岸部に向けた送電線の開発により燃料炭輸入の必要性が弱まり、輸入の伸びは鈍化すると思われる。

中国とインドの発電所が大量の石炭在庫を保有

中国とインドの発電所における石炭在庫は高水準を維持した状態で2014年を迎えた。中国の発電所では、在庫が2012年後半に記録した過去最高水準に近づきつつある。一方インドの発電所の在庫は120%も増加している。 それに対し、港湾での石炭在庫は6月以降32%減少しており、過去2年間で在庫補充が必要となった水準に近づきつつある。2014年初旬と2013年初旬を比較すると、在庫水準の違いにより購入パターンが異なる可能性が ある。

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 22

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4Q 2013

太陽光エネルギー {BI sOLrg <gO>} James Evans、ブルームバーグ・インダストリーズ

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太陽光エネルギーに関するコンセンサス予想は売上およびEBITの改善を示唆

太陽光発電装置の大手製造業者に関する2014年のコンセンサス予想中央値では、11%の売上増加と通年での営業黒字が予想されている。期待される需要増加と価格安定化が売上増加をもたらし、2年にわたり低価格と低利益に苦しんだ業界の収益が黒字化する見通し。アジアの成長の影響を受ける企業は、モジュール製造企業だけでなく、太陽光プロジェクト開発への参加企業も、売上拡大を実現する可能性がある。

アジアの需要増加により太陽光発電装置に弾み

ワッカーケミーによれば、世界の太陽 光発電装置の新規設置は2014年に42~ 50ギガワットに達する見込みである。なお、2013年の予想は34~ 40ギガワット、2012年は約32ギガワットであった。中国と日本の需要拡大は欧州市場の減速を上回るだろう。また、発電所規模のプロジェクトに対する米国の需要増加も予想される。太陽光発電装置のコスト低下に伴ない、チリの最近の非助成金プロジェクトを始めとする新しい市場が生まれている。

太陽光エネルギー業界の再編は2014年も継続し、いくつかの大手企業が台頭するだろう。価格の安定化とアジア市場の新規需要により、売上は増加し、収益性が改善するだろう。

需要急増を受け、太陽光発電業界の回復が本格化

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 23

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4Q 2013

太陽光エネルギー前ページから続く

中国の35ギガワットの太陽光発電目標により中国国内の製造業者の動きが活発化

中国は、政府のインセンティブ政策により、今後10年の太陽光発電の成長を牽引すると期待されている。中国の輸出主導型の太陽光発電装置製造業者は、欧州市場の鈍化を受け、国内の新たな需要などで巻き返しを図っている。インセンティブ政策には、2015年までの35ギガワットの太陽光発電目標と、太陽光プロジェクトの収入に対する50%のVAT還付などがある。固定価格買取制度により、分散型太陽光発電では1キロワット時当たり0.42元(0.07ドル)、電力会社プロジェクトでは0.9~ 1.0元の補助金が支払わ れる。

日本での太陽光発電助成策により、京セラとシャープの売上が急増

日本では、固定価格買取制度により、シャープ、京セラ、パナソニックなどの太陽光発電装置の販売および設置が活発化している。2014年は日本と 中国が世界の太陽光発電装置需要を牽引すると思われる。日本では、助成承認済みプロジェクトが数多く 進んでおり、第3四半期までに合計 22ギガワットが見込まれているが、 一部のプロジェクトは計画上の問題により建設が取りやめとなる可能性がある。2014年は電力会社および商業 プロジェクトが設置を牽引し、住宅での需要は伸び悩むだろう。

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 24

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4Q 2013

銀行 {BI BAnkA <gO>} Francis Chan、ブルームバーグ・インダストリーズ

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量的緩和の縮小が金利と利益率を引き上げ、アジアの銀行は利益を拡大

FRBの債券買い入れプログラム縮小に伴い、アジアの金利は2014年に上昇する可能性がある。量的緩和により銀行間貸付金利はこの数年で最低水準まで低下したが、こうした金利上昇が実現すれば、アジアの銀行の利益率と収益は改善するだろう。インドや インドネシアなどの金利は、海外投資家のリスク資産売却により引き起こされた通貨下落を中央銀行が食い止めようとするのに伴い、すでに上昇を始めている。

アジアの銀行の不良債権は量的緩和の縮小により増加

FRBの量的緩和縮小に伴い、アジアの銀行では2014年にデフォルトが急増し、流動性の収縮と金利の上昇がもたらされるだろう。インド、中国、韓国の多くの銀行では、2013年にはすでに不良債権比率が上昇しており、この傾向は2014年も続くと思われる。FRBの債券買い入れは、流動性を高め、世界の金利を低下させた。これにより アジアの不良債権比率はピークを付けた2009年から低下している。

2014年は量的緩和の縮小がアジアの銀行業界を席巻するだろう。債券利回りと金利が上昇し、銀行の純金利マージンが拡大する可能性がある。同時に流動性の収縮と金利上昇により、不良債権が増加する恐れがある。利益率と不良債権が銀行評価の明暗を分けるだろう。

量的緩和の縮小により、アジアの銀行の利回りが上昇、不良債権が増加

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 25

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4Q 2013

銀行前ページから続く

アジアの銀行の利益率とROEは経済の減速に伴い低下

コンセンサス予想に基づきブルーム バーグ・インダストリーズが算出する アジアの大手銀行セクターの純金利 マージンの中央値は、2014年に2.30%まで減少すると予想される(2013年は2.33%、2012年は2.57%)。減少の 背景には、経済減速によりローン需要とローン価格が下落し、量的緩和の縮小と金利上昇から得られる利益が損なわれるとの予想がある。ROEの中央値は、信用コストの上昇を背景に2014年には14.8%に低下すると見られている(2013年は14.9%、2012年は17%)。

利益率と不良債権がアジアの銀行の評価を左右

2014年のアジアの銀行の評価は、利益率と不良債権によって左右されるだろう。ブルームバーグ・インダストリーズ が集計したアジア地域の大手銀行 セクターの2013年のPBRは、中国、 インド、東南アジアの銀行が足かせとなり、大半の期間を通じて約1.3倍であった。一方、アジアの先進国の銀行(オーストラリア、シンガポール、香港を含む)のPBRは、2013年年初来で1.28倍から1.52倍に上昇している。コンセンサス予想によれば、銀行 セクター全体の2013年のROEは15.7%となる見込み。

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 26

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Page 27: ブルームバーグ・ 2014年 アジア見通し · 2016-06-14 · 減速に対する懸念が高まっている。エコノミストは2014年 に7.5%の成長を予想している。

4Q 2013

生命保険 {BI LIFeA <gO>} Francis Chan、ブルームバーグ・インダストリーズ

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量的緩和縮小により債券利回りと保険会社のリターンが上昇

アジアの10年物ソブリン債(日本を除く)の利回りは、量的緩和縮小に対する懸念から年初来で上昇している。 香港の利回りが最も急速に上昇し、 3倍以上の2.1%となった。これに続くシンガポールでは利回りが103bp上昇して2.3%となった。オーストラリアや台湾などのその他の主要市場では、利回りが49~ 105bp上昇した。こうした傾向は2014年も続き、アジアの生命保険会社のリターンを上昇させるだろう。

アジアの保険会社は商品のリターンを改善

2014年のアジアの生命保険会社は、ソブリン債の利回りと金利の上昇が投資リターンを引き上げるため、顧客に対する商品のリターンを改善するだろう。たとえば中国では、平安保険と新華人寿保険の両社が先月発売した従来型の商品において、これまでの商品よりも保証利率を引き上げた。

2014年のアジアの生命保険会社は、量的緩和の縮小による債券利回りの上昇から恩恵を受けるだろう。これにより純投資利益が増加し、保険会社は提供商品のリターンを高め、準備金コストを削減できるだろう。したがって、ROEが上昇するというのがコンセンサス予想である。

アジアの生命保険会社は、量的緩和縮小による債券利回りの上昇でROEを改善

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4Q 2013

生命保険前ページから続く

アジアの金利上昇は保険会社の負債コストを削減

2014年には金利上昇が見込まれていることから、アジアの生命保険会社の準備金コストは減少し、エンベディッド・ バリューを下支えするだろう。たとえば、T&Dは、金利が50bp上昇するごとに2014年3月期のエンベディッド・ バリューが4,180億円(41億ドル)上昇すると公表している。準備金の割引率の上昇による恩恵は、債券価格の下落による損失を上回るだろう。AIAや中国人寿保険などの他のアジアの保険会社でも同様の傾向が見られる。

アジアの生命保険会社は利回り上昇によりROEを改善

コンセンサス予想によると、ブルームバーグ・インダストリーズのアジアの生命保険会社セクターの2014年の平均ROEは11.5%まで上昇する可能性がある(2013年は11%)。量的緩和縮小により債券利回りと金利が上昇し、純投資利益と収益が増加する見通し。バンコクライフ、バオベト、平安保険などの新興国市場の生命保険会社は2014年に過去最高のROEを達成すると見られている。第一生命保険と三星生命保険はそれに追随するだろう。

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4Q 2013

不動産 Robert Fong、ブルームバーグ・インダストリーズ

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中国の2013年の住宅販売を超えるのは望み薄

2013年の中国の住宅建設業者は、同セクター15社の10月末までの受注額が31%上昇するなど、記録的な業績を達成した。各社は、低金利と有利な住宅政策を追い風に、15%以上の売上増加を記録した。しかし、開発業者が2014年も前年と同水準の記録を達成するには、前年のような好環境が継続し、さらに旺盛な住宅購入意欲が喚起されないと難しいだろう。

中国の不透明な土地改革により購入が激減

中国で11月に開催された三中全会では、農村部の土地の売却を円滑化することが宣言されたが、具体的な方法に関しては発表されていない。さまざまな方法が各地で試される見込みであり、最終的な政策は開発業者にとって必ずしも有利とはならないだろう。 実際には、農村部の住民、地方政府、開発業者らが不動産規制に対応した新たな慣行に適応しつつ、一連の住宅改革が進む中、不動産取引についても当初は緩やかなペースで行われるだ ろう。

中国の住宅建設業者が2013年の好況を2014年も持続するのは難しいだろう。住宅ローンの貸出条件の厳格化、農村部の土地に関する新しい規則の導入に加え、2015年の大規模な債務借り換えを前に、業界の活動は低迷する可能性がある。また、大規模な株式公開が数多く控えていることから、建設業界の評価指標には引き続き圧力がかかるだろう。

過渡期を迎える中国の住宅販売は記録的な高水準から減少

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不動産前ページから続く

中国の土地販売は2015年の債務借り換えにより減少

中国の開発業者は2015年の多額の債務借り換えを前に、2014年の土地購入と資本支出を抑制するだろう。 ブルームバーグ・インダストリーズ集計の中国開発業者セクター 18社では、約700億元(115億ドル)の債務が2015年に満期を迎え、業界全体では約166億ドルが満期を迎える予定だ。海外の債券市場では過去数年間実質的に閉鎖状態が続いており、成長の下押し圧力となってきた。そのため、開発業者は、2015年の借り換えに苦慮する可能性がある。

香港の株式公開ラッシュにより、開発業者の評価が低下

中国の開発業者は、2014年、香港での大規模な株式公開を数多く控えており、これが評価への圧力となるだろう。中国本土の開発業者はすでに、過去2、3年で買収した法人を資金調達ビークルに転換するという面倒な規制要件の手続きを開始しているため、一部の販売では上場している ペーパーカンパニーがおそらく利用されるだろう。

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海運 {BI sHIPg <gO>} Lee Klaskow、ブルームバーグ・インダストリーズ

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海運業界が黒字回復

コンセンサス予想によれば、2014年海運業者は黒字に転換し、7.7%の 売上増加により収益の中央値が1株当たり0.10ドルに改善する見込みである。2013年海運業者の約56%が赤字であったのに対し、2014年は約24%まで減少するとみられている。ばら積み貨物船では、12.5%の売上増加によりEPS中央値の伸び率が107.2%という最大の上昇が見込まれる。コンテナライナーおよびタンカー業者のEPSは、約69%上昇する見込みである。

低価格船が業界の回復に悪影響

2013年の契約件数が少なく、受注高が過去5年の最低水準に近いことから、船舶供給の増加率は2014年に減速する見込みである。世界経済の成長とともに需要が伸び、船舶の過剰供給は解消されるだろう。低価格の新造船受注は2008年をピークに、40~50%減少したが、その後増加に転じている。低価格船舶には、古い船舶よりも25~ 30%燃料効率が悪く、こうした低価格帯の受注に引き続き抑制が効くか否かで業界の回復にも影響が出る。

2014年の海運業界は、需要増加の兆しが見られ、過剰輸送能力が解消され始めていることから、回復に転じると思われる。世界経済が成長を続ける一方で、海運業者が新造船の抑制を続ける中、業界の回復は需要の好転にかかっている。需給関係が改善するにつれ、価格と利益はある程度改善すると思われる。

海運業界の回復は需要と輸送能力次第

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中国のコモディティ需要がばら積み貨物船輸送を牽引

鉄鉱石の生産能力は今後数年で大幅に増加する見込みであり、海上輸送取引とばら積み貨物船の需要は2014年以降増加するだろう。鉄鉱石は、ばら積み貨物船で輸送する最大のコモディティであり、中国では海上輸送による輸入の約50%を占めている。ばら積み貨物船の需要は、米国で豊作の小麦、 トウモロコシ、大豆、中国の低品質の小麦による輸出増加によって増大するだろう。

輸送能力の縮小により、ばら積み貨物船の料金は39%の急上昇

2013年第3四半期の決算発表時に多くの海運業者は、ばら積み貨物船のファンダメンタルズの改善を示唆した。D/SノルデンのCEOは、6~ 8%の需要増加が3~ 4%の正味船舶供給増加を上回るため、ばら積み貨物船の輸送能力が2014年に逼迫すると予想している。これにより、料金が上昇する見込みで、ブルームバーグ ニュースが集計したコンセンサス予想によれば、2014年にケープサイズの料金が前年比で42%の上昇となり、 パナマックスの料金は同53%上昇すると見られている。

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貴金属 {BI PMetg <gO>} Kenneth Hoffman、ブルームバーグ・インダストリーズ

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2013年にアジアに流出した金は戻らない公算

ETFからの金の流出は2012年末にピークに達した後、2,430万オンスとなった。こうした金の大半は、ロンドンにおけるETF保有から流出してスイスで溶かされ、香港経由で中国へと送られた。9月末までの香港から中国への金の総輸入量は2,660万オンスとなっている。欧米諸国で需要が急増した場合に、ETFでの保有を補充する金がどこから得られるかは不明である。

30年来のドル下落により金が台頭する可能性

米ドルは特に人民元を始めとする他の通貨に対して30年来の下落を記録している。DXY指数が示唆するようにドル下落が継続する場合、金が最も恩恵を受けるだろう。ドル紙幣の発行は無制限実行することも可能だが、世界の金貯蔵量はその価格とは無関係に年間わずか2~3%しか増えていない。こうした見解を中央銀行は持たず、記録的なペースでドルを発行している。

中国の金に対する強い志向と銀に対する無関心さが、これまでに続き2014年の見通しに大きな影響を与えるだろう。事業の合理化を目指す大手鉱山業者から「売り出し」の募集が数多く出ているため、過去4年間減少傾向にあったM&Aは再び増加に向かう可能性がある。

中国の金市場独占が進む

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供給に関する懸念から金のコンタンゴが急上昇

中国が金の購入・保有を進めたことにより、5年先物契約のコンタンゴは 1オンスあたり94ドルから134ドルに上昇した。2013年にロンドンのETFから中国に流出した金は、ETFの需要が回復しても取り戻すことができない。中国は金の世界最大の買い手で あり、長期投資として保有している。結果としてトレーダーはコンタンゴを上昇させた。

鉱山業者のCEO交代により4年間低迷したM&Aが活発化

貴金属の鉱山業者のM&Aは2013年も減少し、その減少幅は5%であった。鉱山業者のM&Aは2009年の570億ドルから60%以上減少し2013年10月末までに200億ドルになった。金属価格の下落と鉱山業界の損失によりM&A市場は低迷したが、こうした状況は2014年に変化すると思われる。大手鉱山企業の多くがCEO交代を実施した結果、保有資産が見直され、数十億ドル規模の鉱山プロジェクトの「売り出し」の募集が出ている。

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家電 {BI CetXg <gO>} Jitendra Waral、ブルームバーグ・インダストリーズ

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テレビメーカーの売上は大型テレビの売上増により5.6%上昇

IDCによれば、高額な大型テレビの売上急増が安価な小型テレビの売上減少分を上回り、2014年のテレビ市場の売上は5.6%増加する予想だ。また、4K技術の開発にともない、2014年の50インチ以上のテレビの売上は26%急増し、小型モデルの売上は9.2% 減少するとIDCは予測している。なお、2013年の大型テレビの売上は世界全体のテレビ売上の27%を占め、40 インチ未満のテレビは33%となった。大型テレビの平均価格は小型テレビの約2倍となっている。

京東方科技集団とTCLが中国のLCD市場を牽引、世界のLCD市場は11%の成長

WitsViewによれ ば、世 界 のLCD メーカーの8.5世代パネル生産能力は2014年に11%、2015年には16%拡大する見込みである。京東方科技集団、TCL集団、南京中電熊猫信息産業集団などの中国ベンダーは、増加する国内需要を満たし、韓国や台湾の サプライヤーに対抗して、生産拠点を中国に集約し、生産能力を拡大するだろう。こうして生産性が向上すると、4Kテレビを中心とするパネル価格が下落すると見込まれる。

2014年のテレビ市場では、4K(スーパーハイビジョン)技術と大画面テレビの需要増大が重要な役割を果たすだろう。LCDパネルの価格下落などにより小売価格が下がり、4Kテレビの売上が急増する可能性がある。中国のLCDメーカーの急速な生産能力拡大により、パネル価格が下落し、京東方科技集団や華星光電などがサムスン、LG、群創光電などの主要サプライヤーから市場 シェアを奪うだろう。

中国のLCDメーカーの生産能力拡大により4Kテレビが急増

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中国がサムスンとLGのLCD市場シェア争奪に挑む

WitsViewのデータによれば、サムスン とLGのLCDテレビパネルの市場シェア は49%を超えるが、中国企業の参入と4Kテレビの販売増加により2014年はシェアが低下する見通しだ。たとえば京東方科技集団は、4Kテレビ向けの8.5世代工場を2014年に増強し、業界のLCDの生産能力を約6.6%引き上げる見込みである。4Kテレビの販売増加(パネル生産能力拡大による価格下落が販売増加に一部寄与)による価格競争がサムスンやLGに打撃を与える可能性がある。京東方科技集団と華星光電のLCDテレビパネルの市場シェアは約11%である。

中国のパネルメーカーが業界の売上増加を牽引

中国のLCDパネルメーカーは生産能力拡大と4Kパネル生産に注力していることから、こうしたメーカーの2014年の売上成長率は競合企業をしのぐ可能性がある。コンセンサス予想では、京東方科技集団の売上高は38%増加、華星光電の親会社であるTCL集団の売上は13%の増加する見込み。台湾メーカーの売上は、中国本土企業との競争激化により平均4.9%減少する可能性がある。韓国では、サムスンの総売上は7.8%増加し、LGディスプレイ の売上はほぼ横ばいとなるだろう。シャープとパナソニックの2015年3月期の売上増加率は1%未満の見通しである。

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電力 {BI egenA <gO>} Joseph Jacobelli、ブルームバーグ・インダストリーズ

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アジアの電力会社は高コストLNGで身動き取れず

アジアの電力会社にとって、高止まりしているLNG価格が2014年に下落することはほとんど期待できないだろう。大半のガス契約と連動している ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTIやインターコンチネンタル取引所のブレント価格は2014年末までにわずか2%前後しか下落しないというのがコンセンサス予想だ。ニューヨーク・マーカンタイル取引所のヘンリーハブのガス価格は1%上昇する見込み。石炭火力発電所の6,000kc燃料炭の スポット価格は、2014年末までに 1トン当たり82.8ドルから87ドルに上昇する見込みである(オーストラリア、ニューカッスル)。リチャードベイ石炭先物は84ドルから82.17ドルに下落する可能性がある。

アジアではLNG価格の上昇分を電気料金に転嫁しきれず、利益率がひっ迫

高騰するLNGコストが利益率をひっ迫する中、香港、日本、韓国、台湾の電力会社は、2014年の大幅な料金引き上げに苦慮するだろう。中華電力、関西電力、台湾電力、東京電力等は、2013年に続く価格引き上げに対する社会的・政治的抵抗に直面する可能性がある。

アジアの電力会社は2014年、高止まりしているLNG価格と金利上昇に対処しなければならないだろう。これにより利益率が圧迫されると思われる。特に、韓国や台湾市場では、社会的・政治的抵抗によって電力料金の大幅な引き上げは阻止される可能性があるのでなおさらだ。中国の石炭火力発電所では、需要低下と輸送網の改善により、燃料価格の上昇を回避できるだろう。

アジアの電力会社は高コストLNGと金利上昇に直面

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4Q 2013

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中国の石炭需要減少によりアジア市場の価格が低下

コンセンサス予想によれば、2014年の中国の経済成長率は約7.5%にとどまり、燃料炭需要の伸びが鈍化するため、アジアの価格上昇圧力は弱まる見込み。中国の石炭価格は、輸送網の改善、排出制限の強化、内陸部から沿岸部の消費地までの長距離送電網の整備により抑制されるだろう。2013年 1~10月の中国国内の電力の80%は、主に石炭を燃料とする火力発電所から供給された。

金利上昇がアジアの電力会社を圧迫

2014年はアジア太平洋地域で現在の低金利が上昇し、従来から負債率の 高い電力会社の資金調達コストを押し上げるだろう。コンセンサス予想によれば、同様の状況がオーストラリア、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、台湾、タイでも見られるだろう。ブルームバーグ・インダストリーズ が算出するアジア太平洋地域発電 セクター(BIEGENAC)のデータによると、アジアの電力会社の純負債資本比率の中央値は115%である。

2014年アジア見通し ブルームバーグ・インダストリーズ / ブルームバーグ ブリーフ 38

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