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国際公務員養成プログラム インターンシップ実施記録① 実施機関:国連教育科学文化機関(UNESCO) 2010 9 19 インターンシップを開始してから1ヶ月ほど経過しました。今回は中間報告書です ので、①インターンシップ獲得までの準備について、②勤務している機関並びに部署 について、そして③この一ヶ月間の仕事の内容について3点を中心にご報告させてい ただきます。 【インターンシップ準備編】 1.インターンシップ応募 1.1 応募動機 今回、国連教育科学文化機関(United Nations Education, Sociense and Culture Organization:以下ユネスコ)へのインターンシップ応募のきっかけになったのは、 「海外の学生は修士のころから積極的にCVを送り、インターンをしている」という先輩 の一言でした。この話を聞いた当時、私は修士課程1年でしたが、そのときから、授業 が落ち着く2年になったら国際機関でインターンをしようと心に決めていました。2 年になり、世界銀行、国連児童基金(United Nations Children’s Fund)とインターン シップの公募が出ていたので、申し込みをしましたが、いずれも駄目でした。そして、 今年の春、海外実習で行ったユネスコにも応募しようと決めました。ユネスコでは、統 計研究所というところで先輩が働いていらっしゃる、また過去にもインターンをされ た先輩がいらっしゃるので、ここでなら自分が今まで得てきたものを活かせるかもし れない、自分自身もまたたくさんのものを得ることができるかもしれないと確信した からです。ホームページで、丁度、ユネスコ・バンコク事務所でインターンを募集して いることを知りました。私は、大学院で教育経済を専攻し、ゼミで教育統計を勉強して きたので、いくつかあるバンコク事務所の部署の中でも、統計を専門に扱う部署を選 びました。 1.2 応募書類作成 応募はホームページ上にある申し込みフォーマットに、自分自身の情報を書き込み、 また英語の履歴書とカバーレターを作成し、メールにて応募をしました。英語の履歴 書は、1年のころからゼミで書く練習をし、何かある度に更新をしてきたので、さほど 苦労はありませんでした。しかし、ほかの機関でもそうですが、 推薦者が3まで 書くことができることがく、それがすごくになっていました。そこで、 現在指導 である小川啓一教授、学部生時指導並びに、学部時にインターンをさ せていただいた国連食糧農業機関日事務所の所お名前を、 許可って書かせ ていただくことにしました。 カバーレターのほうは、 めて書くものでどう書いていのか分からず、先輩のバイスを参考に書きました。自分の背景、どういうでインターンをして貢献きるかという熱意を、1の中に込めました。

インターンシップ実施記録① 実施機関:国連教育科 …国際公務員養成プログラム インターンシップ実施記録① 実施機関:国連教育科学文化機関(UNESCO)

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国際公務員養成プログラム                            インターンシップ実施記録①                    実施機関:国連教育科学文化機関(UNESCO)                                2010年 9月 19日

 インターンシップを開始してから1ヶ月ほど経過しました。今回は中間報告書です

ので、①インターンシップ獲得までの準備について、②勤務している機関並びに部署

について、そして③この一ヶ月間の仕事の内容について3点を中心にご報告させてい

ただきます。

【インターンシップ準備編】

1.インターンシップ応募

1.1 応募動機

今回、国連教育科学文化機関(United Nations Education, Sociense and Culture

Organization:以下ユネスコ)へのインターンシップ応募のきっかけになったのは、

「海外の学生は修士のころから積極的にCVを送り、インターンをしている」という先輩

の一言でした。この話を聞いた当時、私は修士課程1年でしたが、そのときから、授業

が落ち着く2年になったら国際機関でインターンをしようと心に決めていました。2

年になり、世界銀行、国連児童基金(United Nations Children’s Fund)とインターン

シップの公募が出ていたので、申し込みをしましたが、いずれも駄目でした。そして、

今年の春、海外実習で行ったユネスコにも応募しようと決めました。ユネスコでは、統

計研究所というところで先輩が働いていらっしゃる、また過去にもインターンをされ

た先輩がいらっしゃるので、ここでなら自分が今まで得てきたものを活かせるかもし

れない、自分自身もまたたくさんのものを得ることができるかもしれないと確信した

からです。ホームページで、丁度、ユネスコ・バンコク事務所でインターンを募集して

いることを知りました。私は、大学院で教育経済を専攻し、ゼミで教育統計を勉強して

きたので、いくつかあるバンコク事務所の部署の中でも、統計を専門に扱う部署を選

びました。

1.2 応募書類作成

応募はホームページ上にある申し込みフォーマットに、自分自身の情報を書き込み、

また英語の履歴書とカバーレターを作成し、メールにて応募をしました。英語の履歴

書は、1年のころからゼミで書く練習をし、何かある度に更新をしてきたので、さほど

苦労はありませんでした。しかし、ほかの機関でもそうですが、推薦者の欄が3人まで

書くことができることが多く、それがすごく気になっていました。そこで、現在の指導

教官である小川啓一教授、学部生時代の指導教官並びに、学部時代にインターンをさ

せていただいた国連食糧農業機関日本事務所の所長のお名前を、許可を取って書かせ

ていただくことにしました。

カバーレターのほうは、初めて書くものでどう書いて良いのか分からず、先輩のア

ドバイスを参考に書きました。自分の背景、どういう形でインターンを通して貢献で

きるかという熱意を、1枚の中に込めました。

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国際公務員養成プログラム                            インターンシップ実施記録①                    実施機関:国連教育科学文化機関(UNESCO)                                2010年 9月 19日

1.3 応募から採用通知が届くまで

2010年4月中旬に応募書類を作成、完成させ、すぐにメールにてユネスコ・バンコク

事務所に送りました。その3ヶ月後、7月にユネスコ・バンコク事務所の私が応募をし

たAIMSという部署の方から、直接メールをいただきました。もう駄目かもしれないと、

諦めかけていた時でしたので、メールをいただいたときはすごく驚いたと同時に、と

ても嬉しかったです。

2. 採用決定から出発まで

採用が決定した後、早速準備に取り掛かりました。メールでできれば早く来てほし

いと言われたからです。まず取りかからなければならなかったのが、航空券の手配と

ビザの申請でした。通常であれば、タイではビザは必要ないのですが、3ヶ月間滞在す

ること、また再入国がしやすいようマルチプルでのビザの申請をする必要がありまし

た。今回一番苦労したのがビザの申請でした。ビザの申請は、在日タイ領事館で取得で

き、東京と大阪にあるので場所としては申請に行きやすかったのですが、必要書類を

そろえなければならないのが大変でした。申請書だけではなく、ユネスコからのレタ

ー(原物)、並びに大学側からのレター(原物)が必要だったからです。また航空券

のeチケットのコピーなども必要だったため、ビザ申請と同時進行で航空券を申請せ

ざるをえませんでした。しかし、領事館の時間が午前中申請、午後受け取りと決められ

ていたので、なかなかその時間に行くことができず、結局、2度申請の手続きをし直し、

ようやくビザを取得することができました。しかし、大学側からのレターにはマルチ

プルのビザの必要性を明記していただいたのですが、ユネスコ側からのレターにそれ

がなかったため、マルチプルビザを取得することができず、今回はシングルビザの取

得となりました。

航空券の方は、いつもお世話になっている旅行会社の方にお願をさせていただいたの

で、スムーズに取ることができました。

航空券、ビザと同時に宿泊先の手配も行いました。宿泊先はユネスコの方から、オフィ

スから近いアパートメントを紹介していただき、そこに直接電話をかけ、予約を取り

ました。

3.インターンシップ先機関及び所属部署について

3.1 ユネスコ

ユネスコは国連の専門機関の1つで、国際連合の経済社会理事会のもとにおかれた、

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教育、科学、文化の発展と推進を目的として、1945年に採択された「国際連合教育科学

文化機関憲章」(ユネスコ憲章)に基づき、翌年1946年に設立されました。

価値観を共有するために市民社会、文化、そして人々を尊重する大和の基盤をつくる

ために設立され、人権が尊重される持続可能な発展を世界が達成するための基盤を築

くため、ユネスコがその中心となり世界で活動をしています。近年では、とくにミレニ

アム開発目標やEFA(Education for All: EFA)達成に向けて、他機関と協力し、ユネス

コならではの機能を発揮しています。

ユネスコのミッションは、具体的には、平和構築、貧困削減、持続可能な開発・発展、教

育、科学、文化、コミュニケーションそして情報を通しての分化の垣根を越えた対話づ

くりです。近年では、特にアフリカ、そしてジェンダー平等に焦点を当てています。

本部はフランスのパリにあり、193の国と地域が加盟しています。世界遺産の登録に

関わっているのも、ユネスコです。

ユネスコ・バンコク事務所は、ユネスコの地域オフィスであると同時に、アジア太

平洋地域全体を統括するオフィスでもあります。バンコク事務所には私の所属する

UIS-AIMS(UNESCO Institute for Statistics-Assessment, Information Systems,

Monitoring and Statistics)のほか、Asia-Pacific Programme of Education for

All (APPEAL)、Asia-Pacific Programme of Educational Innovation for

Development (APEID)、Communication and Information (CI)、Culture、Information

and Knowledge Management (IKM)、Education for All (EFA)、Education for

Sustainable Development (ESD)、Education Policy and Reform (EPR)、HIV/AIDS

Coordination and School Health、ICT in Education、Social and Human Sciences

(SHS)などといった部署があります。

3.2 UIS-AIMS

UIS-AIMSは、ユネスコ統計研究所(UNESCO Institute for Statistics: UIS)の地

域オフィスです。主なミッションは、アジア太平洋地域における政策立案、計画的モニ

タリング、評価そして提案のための、加盟国の統計情報システムのキャパシティーデ

ィベロップメント、及び、2015年までにEFAを達成することです。AIMSはアジア太平洋

加盟国に対し、このようなミッションに沿って、提案や技術協力をしています。

主なテーマは、統計、統計情報システム、モニタリングと評価のキャパシティービル

ディング、識字評価、各国のEFA進行評価を含む地域的EFAイニシアティブのサポート

です。加盟国から要請された統計技術支援などを積極的に行っています。

4.インターン仕事内容

インターンの仕事内容は、大きく分けて2つあります、1つは、ワークショップで使う

ためのワークブックの作成・編集、そしてもう1つは実際にデータを使ってのデータ

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分析です。

4.1 Work Bookの編集

AIMSでは、アジア太平洋地域各国に向け、各国が統計データを管理し、評価できるよ

うにワークショップを行っています。このワークショップを有効的に行うために、現

在2冊の本を作成しています。私は実際にこの本の作成に携わらせてもらっています。

主な仕事内容は下記の通りです。

必要な情報が入っているかどうかのチェック

新たな情報の挿入

グラフデザインの編集

誤字脱字等のチェック

です。この作業を、繰り返し担当の上司と議論をしながら進めます。現在では、ほぼ

最終段階の作業に入りました。

4.2 データ分析

2つ目の仕事は、実際にデータを扱った仕事です。10月に控えているワークショ

ップで使うためのデータ分析のサンプルを、事前に作成します。実際にある一国のデ

ータを用い、SPSSという統計データ解析ソフトを使い、行っています。この作業につい

てはまだ始めたばかりですので、最終レポートで報告できればと思います。

4.3 その他

事務的な作業はほとんどないのですが、時折、上司やほかのスタッフの方々のお手

伝いをさせていただいています。具体的には、PDFデータをエクセルやワードに打ちな

おしたり、データを打ち込んだりというものです。また、ワークショップでどのように

プレゼンをするかなども議論したりしています。

5.気付いたこと

5.1 内部での情報交換

情報交換はメールで行われます。私もここでユネスコのEメールアドレスをいただ

くことができました。まず驚いたのが、新しいインターンやスタッフが来ると、紹介レ

ポートがメーリングリストで、まわることに驚きました。はじめは気恥ずかしく思っ

たのですが、たくさんの部署があるため、メ―リスを通して誰が来たのか分かること

は、部署の枠組みを超えた仲間意識を持つことができ、とても有効だと思いました。

ユネスコ内でのイベントの案内も、メーリングリストを通じてまわってきます。私

もボランティア活動や、宗教的セレモニーに参加させていただいたのですが、普段な

かなかお話しすることができない他の部署のスタッフの方々やインターンの方々と

交流することができました。

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メールはほかにも、上司との仕事のやりとりに使われます。仕事中ずっとメールをチ

ェックしている必要がありますが、頻繁にメ―リスが回ることは無く、上司との仕事

の打ち合わせもメールよりも、直接話をすることが多いです。

5.2 職場環境

私の所属するAIMSは、人数が少なく、全9人です。

ここに私を含め2人のインターンがいます。イン

ターンも1人ずつ、デスクと電話が与えられてい

ますが、パソコンは自分たちで持ちこんでいます。

基本的に仕切りは透明なので、各個人の顔が見

えるため、開放的な空間です。

スタッフの方たちは、とても優しく家族のようで

す。国際機関というと、男性の方が多いようなイ

メージがありましたが、私のところは男女半々です。ユネスコのどこの部署でもそう

ですが、その部署ごとに仲が良く、私の部署もランチは必ずみんなで食べに行きます。

普段の他愛もない話から、仕事の話、また各個人の家族や国、文化の話など幅広く話が

できるのが素敵だなと思いました。また様々な国籍の人が働いているので、ランチタ

イムという、開放される時間に文化や宗教などの話をすると、自分自身の視野が広が

りますし、相手への理解が深まり、お互いの絆が強くなっていくような印象を受けま

した。

日本と違い、年功序列といった関係は無く、本当に家族のだんらんのようなひと時

です。バンコク事務所の所長の方が仕事ぶりを見に来て下さったときには、本当に驚

きました。また、部署を越えてのインターン同士のつながりも深く、インターン同士で

もよく自分たちの国の話や学校の話、仕事の話などをして、お互いに刺激し合ってい

ます。

6.これまでの仕事を通じた感想

気がつけば、一ヶ月弱が過ぎました。はじ

めは、言葉の不安、仕事の不安とあこがれの

場所での仕事という興奮で複雑な気持ちで

した。しかし、いざ始まってみると、職場の

温かいスタッフの方との出会いに一瞬で緊

張がほどけ、やる気でいっぱいになりまし

た。

仕事は、はじめは正直、説明されても具体

的にどう動けばいいのか分からず、模索する一方でした。相手が自分に何を求めてい

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るのか、相手が何を期待しているのかを読みとって行動することの難しさを痛感しま

した。しかし、自分から積極的に、分からないところは何度も聞くという姿勢を意識す

るように心がけました。上司と話をする中で、つまり自分は何をし、どのような結果を

出せばよいのか分かってきたとき、はじめてぐっと上司との距離が縮まったように感

じました。

今回いただいた仕事は、ワークショップで活かすための責任重大な仕事です。ワー

クブックの編集作業は、とても興味深く、自分自身もワークブックの校正をする中で、

この章では何を伝えたいのか、どのようにしたら読み手側に伝わるだろうか、編集側

と読者側の双方の視点に立ってモノを考えるよう心がけました。地道な作業で、ペー

ジをいったりきたりしてなかなか進みませんでしたが、1つ終わるごとの達成感は大

きいものでした。

分析の仕事は、まだはじめたばかりです。しかし、教育統計分析は、授業やゼミで学ん

できたので、それを活かすことができるとあり、大変興奮しています。結果を出すだけ

ではなく、そこから何を読み取ることができるのか、データの数字の奥深くまで探り

たいと思います。

あっという間の1ヶ月でしたが、常に気をつけていたことは、「積極的に行動をする

こと」「お礼と挨拶をしっかりすること」「常に複数の視点を持つこと」でした。お礼や

挨拶をすることで、仲間とのコミュニケーションをとり、距離を縮めていくことだけ

でなく、積極的に仕事に関しては取り組み、上司やスタッフから「一員」として扱って

もらえるように行動することを心がけました。また、仕事において特に、発信者側、受

信者側の双方の視点を持つことで、自分が何を求められ、何を発信すべきなのかをし

っかり整理して取り組むようにしました。

残りの約2ヶ月、この3点と共に、自分ができることをしっかり結果を出していきた

いと思います。

以上

文責:井上 慶子