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連携型博士研究人材総合育成 システムシンポジウム 2017 平成 29 11 30 日(木) 於・北海道大学学術交流会館 インターンシップ研修報告 名: 横山 幸司 属: 東北大学 大学院環境科学研究科 先進社会環境学専攻 研 修 先: パナソニック株式会社 先端研究本部 エナジーマテリアルプロジェクト室 デバイス技術研究課 研修期間: 平成29110日~210

インターンシップ研修報告 - 連携型博士研究人材総 …...連携型博士研究人材総合育成 システムシンポジウム2017 平成29年11 月30日(木)

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連携型博士研究人材総合育成システムシンポジウム2017

平成29年11月30日(木)

於・北海道大学学術交流会館

インターンシップ研修報告

氏 名: 横山幸司

所 属: 東北大学大学院環境科学研究科先進社会環境学専攻

研 修 先: パナソニック株式会社先端研究本部エナジーマテリアルプロジェクト室デバイス技術研究課

研修期間: 平成29年1月10日~2月10日

本日の報告内容

1. 自己紹介・自身の研究内容

2. インターンシップ研修の内容

3. 事前の印象と実際の違い

4. インターンシップ研修を通して学んだこと

5. これからインターンシップ研修に臨まれる方へのメッセージ

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1. 自己紹介・自身の研究内容 4

横山幸司 (よこやま こうじ)

1991年8月 岩手県釜石市生まれ

東北大学大学院環境科学研究科先進社会環境学専攻博士課程後期2年

研究キーワード: 機能性炭素ナノ材料、機器分析・分光分析、太陽電池、燃料電池

つくる

• 骨格構造制御• 異元素導入制御

いかす

• 有機太陽電池の光電変換層• 燃料電池の触媒材料

みる・はかる

• 電子顕微鏡観察• X線光電子分光分析, etc.

1. 自己紹介・自身の研究内容 5

Fluorination Nitrogendoping

有機化学的プロセスによる窒素含有カーボンナノチューブの制御合成

燃料電池触媒活性評価・活性発現機構の実験的解明

0 1

−6

−4

−2

0

Potential (V vs. Ag/AgCl)

Curr

en

t d

en

sity (

mA

cm

-2)

Pt-C電子状態変調のモニタリングによる活性発現機構の解明

SWCNTs

SWCNTs F-SWCNTs N-SWCNTs

N-SWCNTs

二次電池の大容量化

2. インターンシップ研修の内容 7

研究テーマ名『新原理電池用電極材料の開発~カーボンナノチューブ電極の作製・評価~』

電極構造の最適化

球状炭素ナノ材料(カーボンブラック)

繊維状炭素ナノ材料(カーボンナノチューブ)

イオン拡散

ガス拡散

2. インターンシップ研修の内容 8

カーボンナノチューブの高分散処理と電極の作製・構造評価

•空隙率評価

•細孔径分布評価

カーボンナノチューブ電極の放電試験と構造の追跡評価

凍結乾燥による分散処理

結着剤との混練による電極化

細孔径分布評価

放電0% 放電25% 放電50% 放電100%

2. インターンシップ研修の内容 9

得られた成果・知見

凍結乾燥装置の提案・組立てと同装置を用いた高分散処理手法の確立

カーボンナノチューブ電極は従来のカーボンブラック電極と比較して大きな細孔と同程度の空隙率をもつ

カーボンナノチューブ電極は従来のカーボンブラック電極よりも高い放電容量をもつ

カーボンナノチューブ電極の細孔構造は放電中も保たれており、電極の十分なイオン・ガス拡散性が保たれることにより放電容量が向上する可能性を示唆

博士課程学生の保有技術の提供

学生側: 保有技術の応用展開・実地経験企業側: 新規開発の道筋となる技術共有

Win-Winの関係

3. 事前の印象と実際の違い 11

①大企業の研究開発本部=「寡黙なエリート研究者集団」?

②製品化が最終目標=「デバイスの性能評価>>材料の基礎評価」?

③チーム・グループで研究を進める=「もどかしさ」?

【事前の印象】

3. 事前の印象と実際の違い 12

①大企業の研究開発本部=「寡黙なエリート研究者集団」?

②製品化が最終目標=「デバイスの性能評価>>材料の基礎評価」?

③チーム・グループで研究を進める=「もどかしさ」?

【実際に受けた印象】

組織全体として、和気藹々としている 情熱に満ち溢れ、積極的に議論をぶつけ合う技術者の姿

要求性能・スペックには厳しい基準 その上での材料の基礎評価をしっかりと重視(後述 ☞ p.16)

「楽しそう!」 開放的、自分の頭で考え、やってみる姿勢に共感

「目標が明確!」 大学と変わらない研究環境・研究思想

報告の義務が増えるなど、仕事量は多くなる傾向 同じ方向性を共有していれば、個人の自主性は損なわれない 相談し合える、励まし合える

意思決定の遅れは全く感じず、むしろ速いことも(後述 ☞ p.15)

4. インターンシップ研修を通して学んだこと

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『「電極体積の膨張率○○%以内」という電池への明確な

ニーズがある、それを間近で体感できることに幸せを見出し、そしてそれを満たすために1日1日、全力を尽くす』

大学: 学術的価値の追求○×に関して「未だ報告例がない」から研究する➡明確な数値目標や期限がない

①要求性能・スペックを明確な数値目標として設定することの重要性

明確な数値目標や期限の設定➡「これだけの性能を持つデバイスをいつまでに実用化する」ために研究する

企業: 顧客価値の追求

4. インターンシップ研修を通して学んだこと

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『ここにあの器具を使って、この器具をあの部屋の器具で代用すれば・・・すぐにやってみよう!』

②スピード感覚、それを実現するための工夫する力・行動力

(凍結乾燥装置の図面を手にしながら)『このような装置があれば良いのですが・・・(器具が揃うはずないから、できないですよね・・・)』

その日のうちに装置を組み立て、翌日から稼働させることができた

ヨコヤマ

4. インターンシップ研修を通して学んだこと

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『狭い視野で甘い材料評価をしていると、製品化などに進んだ後におかしな結果が出て、膨大な費用と時間の損失になる。だからこそ、多角的な視野からの厳密な評価が企業にこそ必要なんだ』

③企業の研究開発だからこそ求められる材料の分析・評価の厳密さ

デバイス性能評価

構成材料の基礎評価

学んだことを活かし、研究室でも実践していること

①ゼミでの具体的な数値目標と研究計画の発表義務付け

②「ないものは作ろう・見つけよう」運動の提唱

プローブ固定ホルダが欲しいけど、ない… ドアのヒンジで代用!

③徹底した材料評価の重要性の伝承

企業に就職する後輩たちにも「企業の研究職でも求められる能力」

4. インターンシップ研修を通して学んだこと

Before After

要求性能値

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5. これからインターンシップ研修に臨まれる方へのメッセージ

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求められる4つの能力(習慣化しておくとよい「癖」)

①コミュニケーション力・傾聴力(感謝する / 相手の発言を承認する)

②質問力(「なぜそうなのか」「本当にそうなのか」を疑う / ゼミで積極的に質問)

③タイムマネジメント力(1日の行動計画を書き出し、帰宅時に達成度を評価)

④行動力(後回しにしない / とりあえず始めてみる)

インターンシップ研修で実践して頂きたい 3つの行動

①意見・要望をためらわない

②改善点を見つけたら、積極的に指摘してみる

③大学に戻ってから学んだことを積極的に活かす(「わかる」から「できる」へ)