ファインバブル処理が大腸菌O157:H7株の殺菌・除菌に及ぼす影響

誌名誌名 日本食品保蔵科学会誌

ISSNISSN 13441213

巻/号巻/号 451

掲載ページ掲載ページ p. 11-17

発行年月発行年月 2019年1月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

(11) 日本食品保蔵科学会誌 VOL.45 NO. 1 2019 〔報 文〕

ファインバブル処理が大腸菌0157:H7株の

殺菌・除菌に及ぽす影響

中村宣貴*l• 稲津康弘*l・北澤裕明*1 • 兼田朋子*2

タンマウォンマナスイカン*3• 永田雅靖*l• 椎名武夫*4§

* 1 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門

* 2 徳島県立農林水産総合技術支援センター

* 3 国立大学法人岐阜大学応用生物科学部

*4 国立大学法人千葉大学大学院園芸学研究科

The Effects of Fine Bubble Treatments

on the Sterilization of Escherichia coli O 157 : H7

11

NAKAMURA Nobutaka*1, INATSU Yasuhiro*1. KITAZAWA Hiroaki*1, KANETA Tomoko*2,

THAMMAWONG Manasikan*3, NAGATA Masayasu*1 and SHIINA Takeo*4§

* 1 Food Research Institute, NARO, 2-I -12 Kannondai, Tsukuba, lbaraki 305-8642

* 2 Tokushima Agriculture, Forestry, and Fisheries Technology Support Center,

1660 Ishii, Ishii, Ishii, Myozai, Tokushima 779-2133

* 3 Faculty of Applied Biological Sciences, Gifu University, 1-1 Yanagito, Gifu, Gifu 501-1193

* 4 Graduate School of Horticulture, Chiba University, 648 Matsudo, Matsudo, Chiba 271-8510

To evaluate the bactericidal property of Fine Bubbles (hereafter, FB), we added a bacterial solution

to a solution with or without FB prepared from a nonsterilizing surfactant solution using a mechanical

aerating homogenizer. Then, we examined the change in the number of viable bacteria. Our results

revealed no changes in the number of viable bacteria owing to the presence or absence of FB, and

therefore, the bactericidal effect of FB under these experimental conditions could not be confirmed.

Next. an FB solution prepared from a sterilized cationic surfactant solution was added to a bacterial

solution. The results demonstrated a decrease in the number of viable bacteria with the addition of

the surfactant ; however, there was no change in the number of viable bacteria irrespective of

whether FB was used. Specifically, no improvement in the bactericidal property of the cationic

surfactant owing to the use of FB could be observed. Furthermore, using an FB generation apparatus

consisting of a pressurized tank and a circulation tank, and inoculated filter paper and cut lettuce as

carriers, we examined the bactericidal effects of air FB and ozone FB treatment on decontamination

of E. coli 0157: H7. Consequently, although the bactericidal effect of FB in the circulation tank was

confirmed, the effect differed depending on the carrier ; the bactericidal effect was revealed to be

enhanced by increasing dissolved ozone concentration in the pressurized tank due to pressurization,

not by FB.

(Received May 9, 2018 ; Accepted Sep. 26, 2018)

Key words : sterilization, fine bubble, ozone, E. coli O I 57: H 7, cut lettuce

殺菌，ファインバブル，オゾン，大腸菌0157:H 7, カットレタス

ファインバブル（以下， FB)は， 1-lOOμmの気泡で FB (UFB)の総称である II。FBは，キャビテーション

あるマイクロバブルと， lμm以下の気泡であるウルトラ やフリーラジカルの発生，帯電性，圧壊時の高温・高圧

* 1 〒305-8642 茨城県つくば市観音台 2-1 -12 * 2 〒779-3233 徳島県名西郡石井町石井字石井1660* 3 〒501-1193 岐阜市柳戸 1-1* 4 〒271-8510 千葉県松戸市松戸648§Corresponding author, E-mail : shiina@chiba-u.jp

12 日本食品保蔵科学会誌 VOL. 45 NO. 1 2019 (12)

などの原理に基づくその殺菌性が期待されてきた匹 FB

を用いた適切な殺菌・洗浄技術を確立するためには，併

用される殺菌性物質による効果とFB自体の効果を分離

して検討することが肝要である。 FBを利用した殺菌に

関してはいくつかの研究事例が報告されている 3)~9)が，

これらの報告では， FB自体の殺菌性については検証さ

れていない。また， FB処理もしくはオゾンガスを用い

たFB処理が大腸歯に殺菌効果を示す10),11)とする報告が

ある一方で， FB自体には殺菌効果は認められない"1,

もしくは酵母に対しては活性化効果が認められる 10),11),13)

など， FB自体の殺菌性に関する結論を下す状況にはな

い。執筆者らは， FBの高精度作製技術の確立を目的と

して，数種類の界面活性剤を用いて作製されたFBの特

性について検討を行う 14)~16)とともに，新規開発された大

豆湘由来の界面活性剤を用いることで数μm程度のマイク

ロバブルが長期間安定的に作製できることを明らかにし

た叫また， FB技術の食品の殺菌・洗浄への応用に資

するため， FB処理によるオゾンガスの溶解特性につい

て検討を行った叫

本研究では， FBを用いた青果物洗浄に関する知見を

得ることを目的として，菌液，植菌した野菜表面および

濾紙上におけるFB処理による殺菌・除菌効果，特にFB

自体の効果について検討を行った。具体的には，強い殺

菌力を示さない界面活性剤を用いて安定的なFBを作製

し，それを大腸菌菌液に添加することにより， FB自体

の殺菌効果について検討を行った。また，濾紙またはカ

ットレタス上に存在する大腸菌を対象として，空気FB

もしくはオゾンFB処理が殺菌・除菌に及ぽす影響につ

いて検討した。

材料および方法

1. 用いた菌株および培養方法

本研究では， KosEKIらの手法19)を参考に，国立研究開

発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部

門より入手した 4種類の腸管出血性大腸菌0157:H 7菌

株 (MN28, MY29, CR 3およびDT66にリファンピシ

ン耐性を付与した株）を実験に供した。それぞれの大腸

菌は，リファンピシンを添加 (5mg・£ ―')したTSB培

地 (TrypticaseSoy Broth, ニッスイ製）を用いて37℃

で一晩培養した。そして， 25℃にて遠心分離 (4,000X

g, lOmin)後に上清を捨て，生理食塩水を用いて適宜

希釈後，等量の 4種類の菌液を混合し，実験用菌液とし

た。

生菌数は，対象を必要に応じてストマッカー処理後に

生理食塩水で希釈し，リファンピシンを添加 (5mg.

£-1) したTSA培地 (TrypticaseSoy Agar, ニッスイ

製）と希釈液 1m£ を混釈し， 37℃で24h培養後，カウン

トしたコロニー数から算出した。実験終了後，すべての

実験サンプルはオートクレーブで滅菌後，適切に廃棄し

た。

2. 試験に用いた界面活性剤

FB水の大腸菌0157:H 7の菌液に対する殺菌性につ

いては，気泡の安定性を向上させるため界面活性剤を用

いた試験区と，界面活性剤を含まない対照区との間で比

較した。界面活性剤として，大腸菌に対して強い殺歯力

を示さない非イオン性界面活性剤であるショ糖ラウリン

酸エステルを含有する界面活性剤L-150A(ショ糖ラウ

リン酸エステル38%, エタノール10%,水52%, 第一工

業製薬社製）および比較的強い殺菌力を有するカチオン

性（陽イオン）界面活性剤である臭化セチルトリメチル

アンモニウム（関東科学（梱製，以下， CTAB) を用いた。

3. オゾン含有ガスの作製

既報8)と同様に，無声放電式のオゾンガス発生装置

（（樹荏原製作所製， OZSD-3000A) を用いた。オゾン含

有ガスの材料としては酸素の純ガスを用い，ガス流量

0.4 R, ・min―1, ガス中のオゾン濃度は，約0.5%とした。

4. 溶存オゾン濃度の測定

溶存オゾン濃度の測定には，ヨウ素滴定法20)を用いた。

過剰なヨウ化カリウムと測定対象の溶液200叫を反応さ

せた後，酸化生成物からヨウ素を遊離させるために， pH

4以下に調整した。そして， O.INのチオ硫酸ナトリウ

ムで滴定し，滴定量からオゾン濃度を算出した。

5. FB処理方法

本実験では， FB処理法として，機械攪拌式，超音波

式，加圧溶解式と高速旋回流式とのハイブリッド式（以

下，二元式）の 3種類を用いた。

機械攪拌式は，既報18)と同様に，ホモジナイザー（マ

イクロテック・ニチオン社製，ヒスコトロン：ドライブ

ユニットNS-51, ジェネレーターシャフトNS-20CG, 回

転数10,OOOrpm, 処理可能量 5-2, 000叫）を用いた。

超音波式は，超音波式ホモジナイザー (BRANSON

社製， SONIFIERModel 450, パワーレベル 9:300

w) を用い，ホーン部を水面付近に設置・動作させるこ

とでFB処理を行った。

二元式には，バブルタンク社製マイクロバブル発生装

置を用いた。本装置は，ガス導入部，ポンプ部，溶解夕

ンク，ノズル部 (BT-50)から構成されている (Fig.1)。

基本的な運転条件は，液体流量4.ZR・min―1, 吐出圧力

0. 2MPa (大気圧基準），ガス流贔O.H・min―1(大気圧

基準）とした。

なお，機械攪拌式および超音波式では，逆浸透膜処理

水（以下， RO水）を用いた試験区において十分な気泡

を作製することは困難であり，二元式では，界面活性剤

を用いると過剰な気泡が生成され，実験遂行に支障が生

じる。そこで，界面活性剤を用いるFB処理については

機械攪拌式および超音波式，界面活性剤を用いないFB

処理については二元式を用いて実験を実施した。なお，

いずれの実験系においても，溶液の温度は，事前に25℃

に調整し，処理後に溶液全体が白濁する程度の気泡が生

成されることを目視で確認した。

(13) （報 文〕 微細気泡による殺菌・除菌の効果 13

また，既報8)と同様に，レーザ回折式粒子径分布測定

装置（島津製作所製， SALD-2000) を用いて平均気泡

分布を測定した。その結果，界面活性剤を用いた試験区

では光の散乱が強すぎるため測定が困難であった。そこ

で，機械攪拌式 (10,OOOppmのL-150A溶液， 5ppmの

CTAB溶液）および超音波式 (5ppmのCTAB溶液）に

ついては光学式顕微鏡（デジタルマイクロスコープ（（樹

キーエンス製， VHX-900)) を用いて撮影した画像，ニ

元式（界面活性剤の未使用）についてはレーザ回折式粒

子径分布測定装置（島津製作所製， SALD-2000) を用

いて平均気泡分布を測定した。その結果，それぞれ28.6

士31.3, 20. 2土 26.4, 18.9士29.7, 16.1土 0.24μm(平均

土標準偏差）であり，いずれの実験系でもFBが生成さ

れていることを確認した。

6. 実験条件

本実験の概要をTable1に示す。本項目の

Ex.1, (2)がEx.2に該当する。

(1) FB水が菌液の殺菌に及ぼす影響 FB自体の殺

菌性について検討するため， L-150A溶液 (0および

10, OOOppm) について，界面活性剤濃度およびFBの有

(1) が

無が殺菌性に及ぽす影響について検討した。初発菌数は，

殺菌効果を確認しやすくするために低濃度 (4.1log10

CFU・g―')とした。そして，菌液20mRに対してFB水を

180mR添加し，添加 5min後における生菌数を測定した

（以下同様）。

次いで，殺菌性を有する界面活性剤溶液中のFBの存

在が殺菌性の変化に及ぼす影響について検討を行った。

まず，予備的な検討として，事前に25℃に調整したCTAB

溶液の濃度 (0~15ppm) およびFBの有無が殺菌性に

及ぽす影響について調査した（初発菌数3.1 log10 CFU

. gり。また， FB処理中に温度変動が観察されたため，

温度 (10~40℃)が殺菌性に及ぽす影響を調査した。な

お，予備試験により高温域での殺菌性が高いことがわか

ったため（データ省略），初発菌数は前述の試験より裔

めの6.8log,。CFU・g―]とした。さらに，温度を厳密に

制御したCTAB溶液 (5ppm) について， FB処理の有

無がFB水の殺菌性に及ぼす影響について検討を行った

（初発菌数6.8 log10 CFU・g―')。

(2) FB処理が植菌した濾紙およびカットレタスの殺

菌・除菌に及ぽす影響 対象物に付着した菌に対する

-~Microbubble generator~------------------------,

Gas flow meter

Pressurized tank 1

Pressurized tank 2

(additional tank)

Pressure meter

I I

MB Nozzle : I I I

Circulation tank

Fig.1 -----------------------------------------------

The schematic of fine bubble generator system (Hybrid type) used in this study (Ex.2)

Samples were set in Circulation tank or Pressurized tank 2.

Table 1 Experimental overview

Surfactant

Name Sterilizing

effect

Cone.

(ppm)

Temp

（℃） Fine Bubble method Target

Ex. 1 *' L-150A

CTAB

゜10,000

5, 10, 15, 20

25

10, 20, 25, 30, 40

Mechanical Agitation

Mechanical Agitation, Sonification

Bacterial solution

Bacterial solution

Ex. 2*2 25

25

Hybrid

Hybrid

Inoculated filter paper

Inoculated cut lettuce

*'Effect of Fine Bubble water on sterilizing of bacteria. *'Effect of Fine Bubble treatment on sterilizing of bacteria on filter paper and cut lettuce.

14 日本食品保蔵科学会誌 VOL.45 NO.l 2019 (14)

殺菌 ・除菌 効果を検討するため，植菌した 油 紙

(Munktell社製定麓油紙392:湿潤破断強度>30kPa, 平

均細孔径 2~ 8μm) およびカットレタス (3cm x 3 cm)

を担体とした洗浄試験を実施した。濾紙およびカットレ

タスに，希釈した菌液 lmeぉよび100成をそれぞれ定屈

・ 植歯後，室温（約25℃)のクリーンベンチ内に 2時間

静置し，十分に乾燥させて実験に供した。乾媒後の初発

歯数は，いずれも 6.2 log,。CFU・g―'とした。FB処理

時のガスには，空気およびオゾン含有ガスを用い，実験

前にそれぞれ30min間循環させて環境を安定させた後に

実験を実施した。また， FB装置内の位置による殺菌・

除菌効果を評価するため，試験区は， 二元式の循環柏内

(FBが視認可，以下，循環区）および，二元式の加圧槽

内 (FBが視認不可，以下，加圧区） とし，それぞれに

濾紙もしくはカットレタスを入れ， 5 min処理後の生歯

数を調査した（乾煉後の初発菌数はそれぞれ6.0および

6.1 log,。CFU・g―')。また，カットレタスについては，

RO水 1£ を入れた 2£ ビーカー内での攪拌処理につい

ても同様に調査した。

7. 統計処理

いずれの実験も 3回繰り返した。また，統計処理には

表計算ソフ ト(MicrosoftExcel)を用い， Tukey-Kramer

法により検定を行った。

士口係 果

1. 菌液へのFB水の添加が殺菌に及ぽす影響

殺菌性のない界面活性剤 (L-150A) の濃度およびFB

処理の有無が，菌液に対する殺菌性に及ぼす影響に関し

543210 (l_bO.[lGIい）0函oownou--g ;i[qB!J¥

a a a rl-'. r+- I エ

＇ ＇ ＇

Water Water +MB

1% 1%

+MB

Treatment

Fig. 2 Effect of L-150A concentration with or without

FB treatment for 5 min (mechanical agitation method)

on the viable cell count of E. coli 0157: H7

L-150 A Solutions were kept at 25℃ before test. and the

temperature increased 3℃ after FB treatment. Values are

the average of triple samples from each of 3 experiments (n

= 9). Means with different lowercase letters were significantly

different among the different treatment based on Tukey-

Kramer test for multiple comparisons (P<0.05)

て調究を行った。その結果， L-150A添加の有無およびFB

処理の有無による 生歯数の差は認めら れなか った

(Fig. 2)。

一方，殺菌性のある界面活性剤 (CTAB) の涙度 (0

~15ppm)およびFB処理の有無が，殺菌性におよぼす

影響の予備的な調査を行った結果， CTAB濃度が高い試

験区で生菌数が低<, 15ppmでは検出限界以下であった。

また， 5およびlOppmにおいては， FB処理区において

FB未処理区より生菌数が低かった (Fig.3)。この試験

において溶液温度を測定した結果， FB処理により，溶

液温度が 3℃程度上昇したことが確認された。そこ

で， 5ppmのCTAB溶液を用いて，温度と殺歯性との関

係について調査を行った結果，温度の上昇により著しく

殺歯性が向上した (Fig.4)。これらの結果を受け，氷涵

およびウォーターバスを用いてFB処理中の温度を厳密

に制御したうえで，殺菌性の調査を行った。その結果，

CTABを添加することによる殺歯効果は確認されたが，

FB処理の有無およびFB処理方法による差は見られなか

った (Fig.5)。2. FB処理が植菌 した濾紙およびカ ットレタスの殺菌

・除菌に及ぼす影響

植菌した濾紙を対象として，界面活性剤を用いない空

気FB処理およびオゾンFB処理による生菌数変動を調査

した結果をFig.6に示す。なお，オゾンi農度は，循環漕

内および加圧槽内でそれぞれ1.9ppmおよび2.8ppmであ

った（後述のカットレタスの試験区でも同様）。濾紙FB

処理による生菌数低減緻（初発菌数一処理後菌数）は，

空気FB処理では循環柏区，加圧槽区でそれぞれ1.55,

4

3

2

l

o

(-_3已J01ioo~uno

u-lau ;:JJq匹

A

a

a

a

b

c

d

N.D

d

N.D

d

N.D

Water Water 5ppm 5ppm lOppm lOppm 15ppm 15ppm +MB +MB +MB +MB

Treatment

Fig. 3 Effect of CT AB concentration with or without

FB treatment for 5 min (mechanical agitation method)

on the viable cell count of£. coli 0157: H7

CT AB Solutions were kept at 25℃ before test, and the

temperature increased 3℃ after FB treatment. Values are

the average of triple samples from each of 3 experiments (n

= 9). Means with different lowercase letters were significantly

different among the different treatment based on Tukey-

Kramer test for multiple comparisons (P<0.05).

(15) 〔報 文〕 微細気泡による殺菌・除菌の効果 15

゜

8

6

4

2

0

(7_blJ.n

氏）

0-blJ

o-）~unoul-g ;JJqBTJ¥

_.,_Control

-A-25℃ ---10℃ ―,._30℃

—口— 20℃-0-40℃

2

1

(73[lh[30

1zoo

1uno u-―au 8!qBIJ¥ JO 8SB8J u3d

3

Air c

Ozone

b

b 8m~

?ipp

a

1.9 ppm

10 20

Time(min)

30 ゜Pressurized Tank 2

Circulation Tank

Pressurized Tank 2

Circulation Tank

Fig. 4 Changes of the viable cell count of E. coli 0157:

H7 in the presence of CTAB (5 ppm) at different

temperature

Values are the average of 3 separate experiments (n = 3)

8

7

6

5

4

3

2

1

0

(-_bJJ.nJuo-bJJo-）

:i.uno u ]FD cljqBTJ¥

a b

b

b

Fig. 6 Effect of air and ozone FB treatment (Mixed

type) on the viable cell count of E. coli 0157: H7 on

filter paper in pressurized tank 2 and circulation tank

(FB was observed only in circulation tank)

Solutions were kept at 25℃ during test. Initial cell levels

were 6.0 log,。CFU・g―1.Values are the average of triple

samples from each of 3 experiments (n = 9). Means with

different lowercase letters were significantly different among

the different treatment based on Tukey-Kramer test for

multiple comparisons (P< 0.05).

度であった。

考 察

Control . Mechanical

no-m1xmg agitation

Sonication

CT AB solution (5ppm, 25℃)

Fig. 5 Effect of different FB treatment (mechanical

agitation method, sonication method) on the viable cell

count of E. coli 0157: H7 in the presence of CT AB

CT AB Solutions were kept at 25℃ during test. Values are

the average of triple samples from each of 3 experiments (n

= 9). Means with different lowercase letters were significantly

different among the different treatment based on Tukey-

Kramer test for multiple comparisons (P< 0.05).

0.44であっ た。生菌数低減量 は，オゾンFB処理では循

環槽内，加圧槽区でそれぞれ1.85, 2. 35であり，空気FB

処理区とは異なり， 加圧槽において生菌数減少量が大き

い傾向を示した。

植菌したカッ トレ タスに対する空気お よびオゾンを用

いたFB処理および攪拌処理による 生菌数変動を調査 し

た結果をFig.7に示す。生菌数低減羅 は，空気FB処理

時の循環区， 加圧区および攪拌区でそれぞれ1.95, 1. 66,

1. 60 (log10 CFU・g―I)'オゾンFB処理の循環区， 加圧

区お よび攪拌区でそれぞれ2.50, 3. 22, 2. 34 (log1。CFU

・g―I)であり， FB処理区については池紙の試験区と同

様な傾向を示 した。 また攪拌区の生歯数低減量は， 空気

処理では加圧区，オ ゾン処理では循環区 とそれぞれ同程

界面活性剤 (L-150A, CT AB)溶液をFB処理 （機械

攪拌）することで作製したFB水の菌液への添加の影響

を調壺 した結果， FB処理の有無によ る添加後の生菌数

の差は認められなかった (Fig.2)。FBについては，そ

の圧壊作用により 生 じるラジカルの殺菌効果を示唆する

報告があるものの叫 本実験条件においては， FB水添加

によ る有意な殺菌効果は認めら れなかった。 また， 今回

用いたCTABについては，食品添加物としては認可され

ていないため，実際の利用においては留意する必要があ

る。

連続的なFB処理では，循環槽内においてFBが発生し，

加圧槽内ではFBは消滅する。植菌した濾紙およびカッ

トレ タスを担体に空気FB処理を行った結果，循環槽内

で加圧槽 より生菌数が低下 した (Fig.6, Fig. 7)。これ

は，循環槽内に存在するFBによ る浮上連行などに よる

除去効果と考えられた。一方，循環槽内と加圧槽内にお

ける生菌数低減羅の差は，濾紙およびカッ トレ タスにお

いてそれぞれ1.11および0.29 (log1。CFU・g―＇）であっ

た。すなわち， FB処理による微生物の除去効果は，担

体によ り効果が異なると考えられた。Souら (2010)S)は，

カットレタスを対象として，ショ糖エステル水溶液を用

いたFB処理による前洗浄により殺菌剤の効果が高 まる

ことを示 してい る。また， FB処理を行うことで，洗浄

に必要な界面活性剤利用量が低減することが知られてい

る21)~23)。これらの知見より，界面活性効果を有する物質

16 日本食品保蔵科学会誌 VOL. 45 NO.I 2019 (16)

3

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4

2

ー

゜

Air

a

a, b

a

Pressurized

Tank 2 Circulation

Tank

c

2.8 ppm 9m~

d

壬．pp

ー

Ozone

b. d

Stirring Pressurized

Tank 2 Circulation

Tank

Stirring

Fig. 7 Effect of air and ozone FB treatment (Mixed type) in pressurized tank 2

and circulation tank and stirring in beaker on the viable cell count of£. coli 0

157 : H7 on fresh cut lettuce (FB was observed only in circulation tank)

Solutions were kept at 25℃ during test. Initial cell levels were 6 .1 log10 CFU・g―1_

Values are the average of triple samples from each of 3 experiments (n = 9). Means with

different lowercase letters were significantly different among the different treatment

based on Tu key -Kramer test for multiple comparisons (P< 0.05).

とFB処理を併用することで，安定した洗浄効果・除菌

効果が示されると推察される。

オゾンFB処理時の溶存オゾン濃度について検討した

結果，溶存オゾン濃度は系内で一定ではなく，測定箇所

により明らかに異なった。本実験条件では， FBが存在

する循環槽内より FBが存在しない加圧槽内において生

菌数がより低減した (Fig.6, Fig. 7)。すなわち，オゾ

ンFBによる殺菌効果は， FBの有無ではなくオゾンi農度

そのものに依存すると考えられた。菌液に対して連続式

のオゾンFB処理を行うことで，同程度の濃度のオゾン

水より殺菌効果が向上することが報告されている叫 液

体などをオゾンFB作製装置内に循環させながら殺歯す

る場合，オゾン濃度が高いプロセス（加圧槽内など）に

おいて殺菌効果が高くなる可能性が考えられた。FBの

有効活用を図るためには， FBの効果とそれ以外の要囚

の効果を分離して検討することが重要であろう 。

FBが微生物に及ほす効果についてはいくつかの研究

報告:l)-13)があるが，未だ統一 した見解は得られていない。

本研究では， FBの微生物の殺菌 ・除菌効果について検

討を行い，本実験条件においてはFB自体には殺菌効果

は認められず，また除菌効果は認められるが，対象によ

り効果の程度が異なる可能性があることが示された。FB

技術を青果物の除菌 ・殺歯に用いる際には，界面活性剤

などの洗浄効果向上もしくは，オゾンなどのガスの溶解

効率向上などを目的として利用することは適切であると

思われる。一方， FB水の添加により菌液中の生菌数が

低下する JO)との報告もある。FBには複数の発生方式が

あり，気泡径分布等の基礎的物性が異なることが報告さ

れている叫 今後， FBの発生方式や気泡径分布などのFB

特性が， FB自体の殺菌 ・除菌に及ぽす影響についての

検討を行い，より殺歯，洗浄効果の高い条件を探索する

必要がある。

要 係勺

FB処理が殺菌 ・除菌に及ぽす影評に関する知見を得

ることを目的として， FB水自体の殺菌効果およびFB処

理による殺菌 ・除菌効果について検討を行い，以下の知

見を得た。

① 機械攪拌式のホモジナイザーを用いて，殺菌性の

ない界面活性剤溶液およびそのFB水を菌液に添加

し，生菌数の変動を調査した。その結果， FBの有

無による生菌数の変動は認められなかった。

② 殺菌性のあるカチオン性界面活性剤溶液およびそ

のFB水を菌液に添加した結果，界面活性剤の添加

による生菌数の低下は認められたが， FBの有無に

よる生菌数の変動は認められなかった。すなわち，

FBによるカチオン性界面活性剤の殺菌性向上は認

められなかった。

③ 二元式（加圧溶解式および巖速旋回流式の混合

式）のFB作製装置を用いて，植菌した濾紙とカッ

トレ タスを担体として空気FB処理とオゾンFB処理

の殺菌 ・除菌効果について検討を行った。その結果，

循環槽内のFBには除梢効果が確認されたが，対象

により効果が異なること，加圧槽内では溶存オゾン

濃度が高まることで殺歯効果が高まることが明らか

となった。

謝辞 本研究は，農林水産省委託プロジェクト研究

「食品素材のナノスケール加工及び評価技術の開発」に

より実施されたものである。

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（平成30年5月 9日受付，平成30年9月26日受理）