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病・医 院 名 この冊子には避妊に関する重要な情報があります 監修 長野赤十字病院 病院長 清澤研道 先生 ペグイントロン®と レベトール®の併用療法を 受けられる患者のみなさまへ ● 治療内容を正しく理解し安心して治療を受けていただくために必ずお読みください。 また、ご家族の方にもご一読いただいて治療にご協力をお願いいたします。 2010年12月作成 11-12-PEG-10-J-F77-PH

ペグイントロン と レベトール の併用療法を 受けられる患者 …...ペグイントロン とレベトール の併用療法の効果は? ペグイントロン

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  • 病・医院名

    この冊子には避妊に関する重要な情報があります

    監修 長野赤十字病院 病院長 清澤研道 先生

    ペグイントロン®とレベトール®の併用療法を受けられる患者のみなさまへ

    ● 治療内容を正しく理解し安心して治療を受けていただくために必ずお読みください。また、ご家族の方にもご一読いただいて治療にご協力をお願いいたします。

    2010年12月作成

    11-12-PEG-10-J-F77-PH

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     C型慢性肝炎はC型肝炎ウイルスの感染により肝臓に障害が起こる病気です。わが国には100人に1~2人の割合でC型慢性肝炎患者あるいはC型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)がいると推測され、21世紀の国民病とまでいわれています。 C型慢性肝炎は自覚症状に乏しく、本人も気づかないことが多いのですが、放置しておくと、20~50年という長い経過のうちに肝硬変、肝がんに進行することが知られています。C型慢性肝炎を治療する目的はこうした病気の進行を食い止めることにあります。

    C型慢性肝炎とは

     治療は原因となっているウイルスを排除することを目的としたインターフェロン療法が中心です。インターフェロン単独療法により約3割の患者さんでウイルスが完全に排除され、肝炎も完治し、肝がんの危険性も著しく減少することが知られ、またウイルスが完全に排除できなくても、肝臓の炎症を抑えることで病気の進行を遅らせることができます。一方、インターフェロンが効きにくい患者さんでは、イントロンA(成分名:インターフェロン アルファ-2b)とレベトール®(成分名:リバビリン)を併用することにより高い効果が得られています。しかし、これまでのインターフェロンは、週3回の注射が必要という難点がありました。そこで、週1回の注射で安定した効果が得られ、さらに投与量を患者さんの体重に合わせて設定できるよう開発されたのがペグイントロン®(成分名:ペグインターフェロン アルファ-2b)です。ペグイントロン®とレベトール®の併用療法はすでに世界各国で行われており、日本でもこの治療が受けられるようになりました。これによって、ウイルス排除は70%以上に向上すると期待されており、肝がんの危険性もさらに減少すると予測されています。加えて副作用も軽減するものと考えられます。

     薬は正しく使用すれば十分な効果が期待できます。しかしながら、人によっては様々な副作用が現れる場合があります。薬の使用に際しては薬とその使用法、副作用などについてよく理解しておくことが大切です。この小冊子はペグイントロン®とレベトール®の併用療法を受けられる患者さんが、安全に治療を受けていただくための注意事項および予想される副作用などについて解説しています。わからないことがあれば、主治医から十分な説明を受けてください。

    C型慢性肝炎の治療は

    はじめに

    はじめに

    ペグイントロン®とレベトール®の併用療法とは?

    ペグイントロン®とレベトール®の併用療法の効果は?

    治療のスケジュールは?

    治療前、治療中、治療後の検査は?

    レベトール®服用中、服用後の避妊について

    よくみられる副作用とは?

    特に注意が必要な副作用とは?

    注意が必要な検査値の異常とは?

    その他治療中に注意すべきことは?

    ペグイントロン®とレベトール®の併用療法を受けられる患者さんへ

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  • ペグイントロン®とレベトール®の併用療法とは?

     C型慢性肝炎の治療に、ペグインターフェロン アルファ-2b製剤であるペグイントロン®と抗ウイルス薬レベトール®を同時に使用する治療法です。インターフェロン単独では効きにくいウイルス量が多い患者さんやインターフェロン単独の治療で効果の得られなかった患者さんおよび治療後に肝炎が再燃した患者さんに高いウイルス排除効果が期待できます。

    ペグイントロン®

     インターフェロンは本来ウイルスなどに感染した時に私たちのからだの中で作られるタンパク質で、ウイルスの増殖を抑える働きをもっています。これを薬として応用したのがインターフェロン製剤です。  インターフェロン製剤には数種類ありますが、ペグイントロン®はレベトール®との併用療法が日本で初めて認められたペグインターフェロン製剤です。ペグイントロン®は、インターフェロンにペグという物質を結合させることにより血中濃度を安定して維持し、週1回の投与を可能にしました。また、患者さんの体格によって効果や安全性にできるだけ違いが生じないよう、体重に応じた用量を設定しました。ペグイントロン®は注射剤であり、皮下に注射します。

     レベトール®は有効成分であるリバビリンを1カプセルに200mg含む抗ウイルス薬です。レベトール®は単独で使用してもC型肝炎ウイルスの増殖を抑制する効果はありませんが、ペグイントロン®と併用することにより、インターフェロンのC型肝炎ウイルスの排除効果を増強します。レベトール®は内服用のカプセル剤です。

    レベトール®

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  • ペグイントロン®とレベトール®の併用療法の効 果は?

      ペグイントロン®48週間併用療法により、インターフェロンの単独療法が効きにくいタイプ(ウイルス遺伝子型が1型で、ウイルス量が多い)*1のC型慢性肝炎では、約60%の患者さんでウイルスが排除でき、従来のイントロンA ®24週間併用療法(約20%)に比較して高い効果*2が期待できます。

    4 5

    *1 C型肝炎ウイルスの遺伝子には1型(1a、1b)や2型(2a、2b)などいくつかのタイプ(遺伝子型=ジェノタイプ)があり、日本ではそのうち1b型が約70%と多く、2a型が約20%、2b型が10%以下です。1b型はインターフェロンが効きにくいタイプです。またウイルスの量が多い(RT-PCR法で105IU/mL(100KIU/mL)以上またはb-DNA法で1Meq./mL以上)場合もインターフェロンが効きにくいことがわかっています。

    *2 治療終了後6ヵ月目に血液中のウイルスが検出されないこと(ウイルス陰性化)およびALTが正常になることが治療効果の目安になります。

    *3 ALTは肝臓の細胞が壊れたときに血液中に出てくる酵素で、GPTとも呼ばれる肝機能の状態を示す指標です。ALTの正常化は肝臓の炎症が治まっていることを示します。

    *4 ALTが正常化すると肝がんの危険性も減少することが知られています。

    ウイルスを排除する効果は? 肝機能(ALT*3)を改善する効果*4は?

       のタイプ(ウイルス遺伝子型が1型で、ウイルス量が多い)以外のC型慢性肝炎では、ペグイントロン®24週間併用療法により約90%の患者さんでウイルス排除が期待できます。

    [国内臨床試験より]

    [国内臨床試験より]

    インターフェロンの単独療法が効きにくいタイプ(ウイルス遺伝子型が1型で、ウイルス量が多い)*1であっても、約50%の患者さんで肝機能(ALT)が正常化します。

    [国内臨床試験より]

    インターフェロンの単独療法が効きにくいタイプ(ウイルス遺伝子型が1型で、ウイルス量が多い)*1であっても、約90%の患者さんで肝機能(ALT)正常値上限の2倍の範囲まで改善されます。  [国内臨床試験より]

  • 治療のスケジュールは?

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    * 投与開始前のヘモグロビン濃度が14g/dL未満、好中球数が2,000/mm3未満または血小板数が120,000/mm3未満の患者さん、高齢の方および女性では、ペグイントロン®の注射の量やレベトール®の服用量の変更(減量)が必要な場合が多いので、投与開始から2週間は入院治療が勧められます。

     ペグイントロン®は週1回、皮下に注射します。投与期間は、ウイルス遺伝子型が1型でウイルス量が多い患者さんの場合は通常48週間で、それ以外の患者さんでは通常24週間です。投与量は患者さんの体重に合わせて設定しますが、十分な検査や経過観察を必要とします。また、投与開始から2週間は入院*して、副作用のチェックを十分行っていただくことをお勧めします。

     レベトール®はペグイントロン®の注射開始と同時に服用を始め、ペグイントロン®の投与中は毎日服用を続けます。体重に応じて1日3~5カプセルを朝食後と夕食後の2回にわけて服用します。

     副作用発現の状態や検査結果などにより、ペグイントロン®の注射の量やレベトール®の服用量が変更される場合、あるいは治療を中止される場合があります。 また治療終了後も少なくとも24週間は定期的な検査が必要となりますので、主治医の指示に従って通院してください。

    ● 体重60kg以下 : 朝食後 1カプセル 夕食後 2カプセル● 体重60kgを超え80kg以下 : 朝食後 2カプセル 夕食後 2カプセル● 体重80kgを超える : 朝食後 2カプセル 夕食後 3カプセル

    [参考]投与量一覧表

    ペグイントロン®とレベトール®の併用療法の治療スケジュール

    35~45

    46~60

    61~75

    76~90

    91~120

    使用バイアル

    100μg/0.5mL用

    150μg/0.5mL用

    60

    80

    100

    120

    150

    0.3

    0.4

    0.5

    0.4

    0.5

    体重(kg)

    投与量(μg)

    液量(mL)

    600mg

    800mg

    1,000mg

    200mg

    400mg

    400mg

    400mg

    400mg

    600mg

    60kg以下

    60kg超80kg以下

    80kg超

    体重1日あたり 朝食後

    投与量

    夕食後

    レベトール®1カプセル=200mg

    ペグイントロン®投与量 レベトール®投与量

    ペグイントロン®

    レベトール®

    週1回投与

    1日3~5カプセル(毎日朝夕食後服用)

    投与期間※

    [24週間または48(~72)週間]経過観察期間

    [定期的な検査:24週間]

    ※投与期間は、ウイルス遺伝子型が1型でウイルス量が多い患者さんの場合は通常48週間(ウイルスの陰性化 時が遅い場合は72週間投与することもあります)で、それ以外の患者さんでは通常24週間です。

    ペグイントロン®の注射については主治医に相談してください。レベトール®を服用できなかった場合は、次の分から服用を再開しますが、忘れた分を次回に1度に服用してはいけません(1回に2回分を服用してはいけません)。何らかの理由で数日以上服用しなかった場合や服用量を間違えた場合には、できるだけ早く主治医に連絡してください。

    旅行などで通院できない場合や服用を忘れた場合は?

  • 治療前、治療中、治療後の検査は?

    8 9

    *1 正常値の目安は医療機関によって異なる場合があります。

    *2 p.5の*3をご覧ください。

    *3 p.5の*1をご覧ください。

    *4 p.16をご覧ください。

    *5 FT3、FT4は甲状腺ホルモン、TSHは甲状腺ホルモンの分泌を促進するホルモンです。FT3とFT4が高値でTSHが低値の場合は甲状腺機能亢進が疑われ、FT3とFT4が低値でTSHが高値の場合は甲状腺機能低下が疑われます。

     治療前の検査は、①肝機能(肝炎の程度)を調べる検査、②ウイルスの有無を調べる検査、③血液中のウイルス量を調べる検査、④ウイルスの遺伝子タイプを調べる検査、⑤治療に影響する他の病気がないかどうかを調べる血液検査などが行われます。

     治療中は①と②の検査で治療効果を確かめる一方、⑤の検査で治療による悪影響がないかどうかチェックします。治療後も①と②の検査で肝炎が再発していないかどうかを確認します。

    肝機能検査には、この他にも血液中の蛋白質などをみる種々の血液生化学検査、超音波検査、CT、肝生検(針を刺して肝臓の組織を調べる)などが行われることがあります。治療に影響する他の病気の検査には血液検査のほか、X線や心電図などが行われることがあります。

    治療前、治療中、治療後の主な血液検査

    検査の目的

    ALT 35IU/L以下少なくとも4週間に1度

    検査項目

    ①肝機能検査 (血液検査)

     ALT(GPT)*2

     (治療前・中・後)

    正常値の目安*1 血液検査の頻度

    肝細胞の壊れ度合いをみます。この数値が高いと炎症が強いことを示します。肝臓の障害程度とは無関係です。治療効果の判定に不可欠です。

    適宜

    ウイルス検査(血液検査)

    ②リアルタイムPCR法  (治療前・中・後)

     コア抗原法 (治療前・中・後)

    ③ウイルス遺伝子型*3

     検査(治療前)

    血液中のC型肝炎ウイルスの有無を調べます。

    血液中のC型肝炎ウイルスの量を調べます。治療効果の予測、治療効果の判定に使います。

    感染しているウイルスの遺伝子タイプを知り、治療効果の予測の参考にします。

    13~18g/dL(男)11~16g/dL(女)

    3,100~9,000/mm3

    1,200~5,800/mm3

    14万~38万/mm3

    2.5~5.5pg/mL

    0.8~1.8ng/dL

    0.3~4μU/mL

    投与開始8週間は毎週、その後は4週間に1~2度

    投与開始後は12週間に1度

    ④血液学的検査 (血液検査)

     ヘモグロビン(Hb)*4

     (治療前・中・後)

     白血球数(WBC)*4

     (治療前・中・後)

     好中球数*4

     (治療前・中・後)

     血小板数(PLT)*4

     (治療前・中・後)

     遊離トリヨード サイロニン(FT3)*5

     (治療中)

     遊離サイロキシン (FT4)*5

     (治療中)

     甲状腺刺激ホルモン (TSH)*5

     (治療中)

    治療に伴う貧血の有無、程度を調べます。

    治療に伴う白血球減少の程度を調べます。

    治療に伴う好中球減少の程度を調べます。

    肝炎の程度と、治療に伴う血小板減少の程度を調べます。

    治療による甲状腺機能への影響の有無を調べます。

    治療による甲状腺機能への影響の有無を調べます。

    治療による甲状腺機能への影響の有無を調べます。

    検査の目的検査項目 正常値の目安*1 血液検査の頻度

  • レベトール®服用中、服用後の避妊について

    10 11

    * 市販の妊娠検査薬を使って検査をする場合は、妊娠検査薬に添付されている使用上の注意をよく読んで正しく使用してください。正しい時期に正しい方法で検査しないと、妊娠していても誤って陰性になることがあります。たとえ1回目の検査で結果が陰性であっても、予定される時期に生理が始まらない(妊娠の可能性が否定できない)場合には、再検査をするか医師に相談してください。

     レベトール®は、動物実験で胎児の奇形を引き起こすことなどが報告されています。このため、この薬は妊婦または妊娠している可能性のある女性には使用できません。

     妊娠する可能性のある女性の患者さん、あるいはパートナーの方が妊娠する可能性のある男性の患者さんは、服用期間中および服用終了(中止)後6ヵ月間は確実な避妊法を用いるなどして妊娠を避ける手段を必ずとってください。

     妊娠している可能性がある女性の患者さんは、この治療を開始する前に、妊娠検査により、妊娠していないことが確認できるまで治療は行われません。また、妊娠する可能性のある女性の患者さんおよび男性の患者さんのパートナーの方は、この薬の服用期間中および服用終了後6ヵ月間は毎月1回妊娠検査*で確認してください。

     また、レベトール®は、動物実験で精液への移行が否定できません。このため、男性の患者さんのパートナーの方が妊娠している場合、この薬の服用期間中および服用終了後6ヵ月間は、精液が子宮内へ移行しないようにコンドームを使用してください。

     レベトール®服用中または服用終了後6ヵ月以内に妊娠した可能性があると考えられる場合は、すぐに主治医に相談してください。

     レベトール®は、動物実験で母乳に移行することがわかっています。このため、この薬は授乳中の女性には使用できません。治療を受ける場合は授乳をやめてください。

    妊娠・授乳について

    パートナーの方のご理解とご協力をお願いいたします

    女性の患者さん

    男性の患者さん

    男性の患者さんのパートナー

    授乳中

    妊 婦

    妊娠検査*妊娠している可能性あり

    妊娠する可能性あり

    妊娠する可能性あり

    妊婦、または妊娠している可能性あり

    必ずコンドームを使用してください

    避妊してください

    治療はできません(治療を受ける場合は、 授乳をやめてください)

    治療はできません

    月1回妊娠検査*をしてください(服用中および服用終了後6ヵ月間)

    (服用中および服用終了後6ヵ月間)

    (+)

    (ー)

    避妊してください月1回妊娠検査*をしてください

    (服用中および服用終了後6ヵ月間)

  • よくみられる副作用とは?

    12 13

     インフルエンザ様症状があるときは、だれでも食欲がなくなりますが、熱が下がった後も食欲不振や吐き気、腹痛、下痢や便秘などの消化器症状が続く場合があります。これらの症状は2~3週間で軽くなっていきますが、食欲不振が強いときは、自分の好物を中心にした食事にしたり、間食などを上手に利用しましょう。

    インフルエンザ様症状

     ペグイントロン®の注射を開始した直後に、ちょうどインフルエンザにかかったときのように、発熱、悪寒、全身倦怠感、頭痛、関節痛などがみられ、このような症状をほとんどの患者さんが経験します。通常3~4日で治まることが多いようですが、症状が強いときは解熱鎮痛薬などを使用します。少量の塩分を含んだ水分の補給につとめましょう。なお、これらの症状があらわれても2回目以降は症状が軽くなります。

    脱毛

     治療開始2ヵ月目くらいから頭髪の抜けが目立ちはじめ、数ヵ月続くことがあります。しかし多くの場合、いつもより抜け毛が気になる程度で、ヘアピースを必要とするほどではありません。通常治療終了後6ヵ月以内に元に戻ります。

    注射部位の反応

     注射部位が赤く腫れたり、痛みやかゆみを感じることがありますが、通常早くて1~2日、長くても3週間で治まります。

    食欲不振、吐き気などの消化器症状

     治療開始初期からみられることがある副作用です。症状が出た場合は、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬や軟膏などを使用して治療される場合があります。アトピーなどのアレルギー体質の方は主治医に相談してください。

    発疹、かゆみなどの皮膚症状

  • 特に注意が必要な副作用とは?次のような症状がみられたら、できるだけ早く主治医 に連絡しましょう。

    14 15

    抑うつ・双極性障害などの精神神経症状

     治療開始から数週間過ぎた時期にみられやすく、もっとも注意が必要な副作用の一つです。不眠は比較的多くの人が経験しますが、うつ病の前兆の場合があります。不眠に続いて不安感やいらいら、何となく落ち着きがない、気分が落ち込むといった症状がみられるときは、早めに主治医に相談してください。

    甲状腺機能異常 

     治療開始から2ヵ月目以降にみられることがあります。甲状腺機能亢進症(動悸、汗をかきやすい)と甲状腺機能低下症(からだがだるい、むくみ)があります。このような症状がみられたら、すぐに主治医に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。

    動悸がする、汗をかきやすい、むくみがある

    不眠が続く、いらいらする、気分が落ち込む

    息切れしやすい、乾咳が続く、微熱がある

    目の症状(網膜症)

    ものが見えにくい、目がチカチカする、目が痛い

     治療開始から2~3ヵ月過ぎた時期にみられやすく、網膜の血行障害によるものです。多くは治療を続けるうちに自然に治りますが、高血圧や糖尿病のある人では特に注意が必要で、定期的な目の検査が重要です。このような症状に気づいたら、すぐに主治医に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。

    心臓の症状や糖尿病の悪化

     まれですが、脈の乱れ(不整脈)や心臓の働きが悪くなること(心不全)があります。特に心臓病のある人は注意が必要です。また糖尿病のある人では病気が悪化することがあります。これらの症状は治療開始から数週間でみられやすいものです。このような症状がみられたら、すぐに主治医に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。

    間質性肺炎

     非常にまれですが、治療開始から2ヵ月目以降にみられることがあります。早く手当てをしないと危険な状態になることがあり、このような症状がみられたらすぐに主治医に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。

  • 注意が必要な検査値の異常とは?ペグイントロン®とレベトール®の併用療法の主な副作用

     副作用には自覚できる症状の他に、検査値の異常として現れることがあります。検査値の異常についてもその程度が大きければ、やがてからだの異常も現れてきますので、薬の量の変更や治療の中止を考えなくてはならない場合があります。ペグイントロン®とレベトール®の併用療法中および治療終了後6ヵ月間は、必ず主治医の指示通りに定期的に検査を受けてください。

    貧血(ヘモグロビン*減少)

     ペグイントロン®とレベトール®の併用療法を受けた多くの患者さんで、ヘモグロビンの減少がみられます。治療開始1~2ヵ月目頃までは減少していきますが、それ以降は安定し、ほとんどの人は治療を続けることができます。治療が終わると約1~2ヵ月で元に戻ります。疲れやすい、息切れがする、めまいなどの症状がみられる場合もありますが、あまり自覚症状はありません。ヘモグロビン減少の程度が大きい人ではレベトール®の量の変更や治療の中止が必要な場合もあります。

    白血球減少、好中球減少

     治療開始から1週間で減少していきますが、治療を続けてもそれ以上減少することはありません。白血球減少、好中球減少の程度が大きくなるとペグイントロン®の減量や治療の中止が必要になる場合もあります。

    血小板減少

     治療開始直後から減少することがありますが、大部分の人は治療を継続できます。血小板は止血に重要な役割を果たしていて、大きく減少すると出血しやすく血が止まりにくいなどの危険が出てきますので、血小板数の減少の程度が大きくなるとペグイントロン®の減量や治療の中止が必要になる場合もあります。

    *ヘモグロビンは赤血球に含まれる赤い色素(血色素)で、からだに酸素を運搬する役割を果たしています。

    よくみられる副作用

    インフルエンザ様症状(発熱、悪寒、全身倦怠感、頭痛、 関節痛など)

    食欲不振

    皮膚(発疹、かゆみなど)

    初期症状(1週間以内)

    精神神経症状(不眠、不安、抑うつなど)

    間質性肺炎 (乾咳、呼吸困難、 運動時息切れ、微熱など)

    目の症状(目の痛み、網膜症)

    循環器症状(不整脈、心不全など)

    糖尿病悪化

    中期症状(2~12週間)

    脱毛 甲状腺機能異常(動悸、汗をかきやすい、 むくみなど)

    後期症状(3ヵ月以降)

    貧血(ヘモグロビン減少)

    血小板減少

    白血球減少

    肝機能障害(AST、ALTの異常)

    検査値異常(治療期間中)

    注意が必要な副作用

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  • その他治療中に注意すべきことは?

    日常生活はできるだけふつうに

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     昔から肝臓病は安静が大切とされてきました。しかし、慢性肝炎では安静にしすぎるとかえって体力が落ちてしまうため、最近ではできるだけふつうの生活をした方がよいと考えられるようになりました。体力保持のためには、むしろ適度の運動が勧められます。

    食事はバランスよく

     偏った食事や暴飲暴食は肝臓に負担をかけるため、バランスのとれた規則正しい食生活を心がけます。特に蛋白質は肉や魚だけでなく、大豆など植物性のものを含め、いろいろな食品からとるようにします。食欲がないときは、1回の食事量を減らして回数を多くする、あるいは好きなものを中心にした献立にするなど、カロリー不足にならないよう気をつけます。ただし、アルコールは避けてください。

    他の人にうつさないための注意

     C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。しかし、血液中のウイルスの量は非常に少なく、日常生活の中で他の人に感染することはほとんどありませんが、念のために下記のようなことに注意しましょう。

    ● 血液や分泌物がついたものは、しっかりくるんで捨てるか、流水でよく洗ってください。

    ● 外傷、鼻血などはできるだけ自分で手当てし、手当てを受ける場合は、手当てする人に血液や分泌物がつかないよう注意してください。ただし、血液がついても洗い流せば問題ありません。

    ● カミソリ、歯ブラシなど血液がつく可能性のあるものは他の人と共用にしないでください。

    ● 乳幼児に口うつしでものを食べさせないでください。

    ● 献血はしないでください。

  • ペグイントロン®とレベトール®の併用療法を受 けられる患者さんへ

    治療を始める前に

    ● 妊娠する可能性のある女性の患者さんおよびパートナーの方が妊娠する可能性のある男性の患者さんは、治療終了後も6ヵ月間は必ず避妊してください。

    ● 男性の患者さんのパートナーの方が妊婦あるいは妊娠している可能性がある場合は、治療中および治療終了後6ヵ月間は必ずコンドームを使用してください。

    この他にわからないことや心配なことがあれば、いつでも遠慮なく主治医、看護師、薬剤師におたずねください。

    治療が終了した後に

    20 21

    ● 現在の体調について、主治医によく話してください。

    ● これまでに薬を飲んで体調が悪くなったことがある場合は、申し出てください。

    ● 現在、服用中の薬があれば、申し出てください。

    治療中に注意すること

    ● 妊娠する可能性のある女性の患者さんおよびパートナーの方が妊娠する可能性のある男性の患者さんは、治療中および治療終了後6ヵ月間は必ず避妊してください。

    ● 男性の患者さんのパートナーの方が妊婦または妊娠している可能性のある場合は、必ずコンドームを使用してください。

    ● 万一、妊娠した疑いのある時は、すぐに主治医に相談してください。

    ● 予想される副作用をよく理解してください(p.12~17をご覧ください)。

    ● 多くの副作用は一時的なものですが、症状によっては薬の量を変更しなくてはならない場合があります。

    ● 特に注意が必要な副作用であるp.14~15の症状に気づいたら、できるだけ早く主治医に連絡してください。

    ● 自覚症状のない副作用があらわれることもありますので、主治医の指示通りに定期的に検査を受けるようにしてください。

    ● ご家族の方は、患者さんの日常生活の中で何か気づいたことがあれば、できるだけ主治医に伝えるようにしてください。また、気づいたことを患者さん本人に知らせて、主治医に伝えるようアドバイスしてください。