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例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート S e l f - s c o r i n g s h e e t s f o r e x p e r i m e n t r e p o r t u s i n g e x a m p l e a n d c h e c k l i s t R y o k o H A Y A S H I , T a k a s h i K A W A N A M I プロジェクトデザイン実践では学生が自主的にテーマ設定を行うために,学生個人 やチームで作成するレポートは個々に扱う内容が異なり,実装結果の評価手法や評価 基準もまちまちになることが多い.そのような状況ではレポート採点は教員にとって は難易度の高い作業であり,学生にとっては評価基準があいまいに見えることが問題 である.そこで文例の提示によって文章の質改善を支援するとともに採点基準を明確 化することを試みた.本報告では 2014 年度にプロジェクトデザイン実践で使用した 文例と自己採点表を含むチェックリストを紹介し,使用した結果を報告する. キーワード:文章作成法,工学教育,コミュニケーションスキル In the lecture of “Design Project/Implementing and Operating”, students decide their theme by themselves so that each reports deal with wide ranges of technical contents, requirement, performance evaluation style and standard. In this situation, we have two problems: It is a complicated work for teacher. And the grating seems to be unfair for students. In order to solve these problems, we tried to help the improvement of writing quality and making clear the requirement and rating standard by showing an example for the report. This paper shows the checklist we used in “Design Project/Implementing and Operating” on 2014 and reports its efficiency. Keywords: Technical writing, Engineering education, Communication skill プロジェクトデザイン実践 1) では学生が自主的にテーマ設定を行うために,学生個人やチームで作成 するレポートは個々に扱う内容が異なり,しかも広範囲の内容を扱うことになる.すると,実装結果の 評価手法や評価基準もまちまちになることが多い.そのような状況では教員はレポート内容を熟読した うえでその技術的な内容に相当する分野に合わせて個々のチームに適切な助言と採点を行う必要があ る.それは教員にとっては難易度の高い作業であり,学生にとっては評価基準が不明瞭で不公平に見え る場合もあることが問題である.しかし本来,技術的な内容を報告するレポートは定型文の割合が多い 文章であり,文章作成上の方法論も定石がある 2,3) ため,文例の提示によって文章の質改善を支援でき る可能性がある.また,採点表を兼ねたチェックリストをつけることで採点基準を明確化し,同時に学 生自身がレポート提出前に文章の質改善をするよう動機づけできる可能性がある.そこで,本報告では 287 例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート KIT Progress 24

例文とチェックリストを含む 実験レポート自己採点シート...3.自己採点シートの概要 今回使用した自己採点シートはExcelファイルであり,レポートの要件となる文章を指定のセルに貼

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事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

例文とチェックリストを含む 実験レポート自己採点シート

Self-scoring sheets for experiment report using example and check list

林 亮子,河並 崇

Ryoko HAYASHI, Takashi KAWANAMI

プロジェクトデザイン実践では学生が自主的にテーマ設定を行うために,学生個人

やチームで作成するレポートは個々に扱う内容が異なり,実装結果の評価手法や評価

基準もまちまちになることが多い.そのような状況ではレポート採点は教員にとって

は難易度の高い作業であり,学生にとっては評価基準があいまいに見えることが問題

である.そこで文例の提示によって文章の質改善を支援するとともに採点基準を明確

化することを試みた.本報告では 2014 年度にプロジェクトデザイン実践で使用した

文例と自己採点表を含むチェックリストを紹介し,使用した結果を報告する. キーワード:文章作成法,工学教育,コミュニケーションスキル

In the lecture of “Design Project/Implementing and Operating”,

students decide their theme by themselves so that each reports deal with wide ranges of technical contents, requirement, performance evaluation style and standard. In this situation, we have two problems: It is a complicated work for teacher. And the grating seems to be unfair for students. In order to solve these problems, we tried to help the improvement of writing quality and making clear the requirement and rating standard by showing an example for the report. This paper shows the checklist we used in “Design Project/Implementing and Operating” on 2014 and reports its efficiency. Keywords: Technical writing, Engineering education, Communication

skill

1.はじめに

プロジェクトデザイン実践 1)では学生が自主的にテーマ設定を行うために,学生個人やチームで作成

するレポートは個々に扱う内容が異なり,しかも広範囲の内容を扱うことになる.すると,実装結果の

評価手法や評価基準もまちまちになることが多い.そのような状況では教員はレポート内容を熟読した

うえでその技術的な内容に相当する分野に合わせて個々のチームに適切な助言と採点を行う必要があ

る.それは教員にとっては難易度の高い作業であり,学生にとっては評価基準が不明瞭で不公平に見え

る場合もあることが問題である.しかし本来,技術的な内容を報告するレポートは定型文の割合が多い

文章であり,文章作成上の方法論も定石がある 2,3)ため,文例の提示によって文章の質改善を支援でき

る可能性がある.また,採点表を兼ねたチェックリストをつけることで採点基準を明確化し,同時に学

生自身がレポート提出前に文章の質改善をするよう動機づけできる可能性がある.そこで,本報告では

287例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

KIT Progress №24

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

2014年度にプロジェクトデザイン実践で使用した文例と自己採点表を含むチェックリストとして機能

する自己採点シートを紹介し,使用した結果を報告する.

2.プロジェクトデザイン実践におけるレポート課題内容

プロジェクトデザイン実践は2年次後学期に開講される科目である.先行科目として2年次前学期に

開講されるプロジェクトデザインIIで設計した内容を,技術的および時間的に可能な範囲で実装し,結

果を検証する内容である.課題内容の詳細は文献1)に譲るが,レポートの回数,レポートの内容と簡

単な要件,出題時期を表1に示す.表1に示すようにレポートは4回出題され,それぞれが通常想定す

る実験レポートの1つの章に対応して,4回のレポートを結合すると1つの実験レポートになるように

構成されている.

プロジェクトデザイン実践の実験スケジュールを簡単に紹介する.標準的なスケジュールでは,実験

は予備実験と本実験に分かれている.予備実験は装置の試作を含めて第3〜6週に,チーム内の共同作

業として行う.本実験は目的にあうかどうかの検証実験として個人に検証項目を割り当て,第9〜12

週に行う.

表1に示す個々のレポート内容と出題時期,その時期の講義内容との対応付けを述べる.プロジェク

トレポート第1報はレポートの第1章に相当し,実験の背景と目的を書く.出題時期は第4週であるが,

これは講義全体の流れでの位置づけは予備実験を行う時期に相当する.第2報はレポートの第2章に相

当し,実験内容を説明するものであって,実験内容を理解するために必要な図を作成してその説明を行

うこととなる.出題時期は第9週であるが,これは講義全体の流れでの位置づけは予備実験を終了して

中間のまとめとなる,講義クラス内でのポスターセッションを行った後の時期に相当する.そのため,

実験を実際に行って,改善点がある程度明確になった段階である.第1報と第2報はチーム課題である.

第3報は個人課題であり,第9〜12週で行う本実験の終了後に出題される.第3報はチーム内で各人

が担当する実験内容を分担して本実験を行った結果を報告するものである.実験結果は数値で示すもの

とし,視覚的にわかりやすいグラフを作成してその結果を説明することが必要である.第13週に出題

される第4報は再びチーム課題となり,得られた結果を概観する文章を作成してまとめとする.また,

参考文献を示す必要がある.

表1 プロジェクトデザイン実践のレポートの概要

レポート種別 内容 出題時期

プロジェクトレポート

(第1報)(チーム)

実験の背景と目的を書く. 第4週

プロジェクトレポート

(第2報)(チーム)

実験内容を説明する.作成した実験装置の説明図を入れ

て説明することが必要である.

第9週

プロジェクトレポート

(第3報)(個人)

各人が担当した実験の実験方法と実験結果を説明する.

実験結果を示すグラフを入れてその説明を行うことが必

要である.

第12週

プロジェクトレポート

(第4報)(チーム)

レポート全体をまとめる.実験内容を手短に説明すると

ともに,得られた結果を簡潔にまとめ,結論を示す.参

考文献リストを示す必要がある.

第13週

288 例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

図1 プロジェクトレポート(第1報)自己採点シート

3.自己採点シートの概要

今回使用した自己採点シートはExcelファイルであり,レポートの要件となる文章を指定のセルに貼

付けたり,レポートの要件を確認した学生が自分の名前を指定のセルに記入すると,自動的に配点分が

与えられて点数を計算するしくみである.学生にはExcelを用いてこの表に指定の項目を記入してから

印刷し,提出するよう指導する.そのため,学生がExcelの基本的な使い方を修得済みであることが使

用の前提条件となるが,セルに文字を記入する程度の基本的な操作ができれば良いので,2年次以上の

講義であれば問題なく,学生のスキルに不安があれば,簡単な操作法の補足を10分程度,講義中に行

うことで問題なく運用できる.点数の自動付加は参照しているセルに何らかの文字を入力すると行わ

れ,文章内容をチェックするものではないので,内容が適切かどうかのチェックは人間が目視で行う必

要がある.また,記入内容が実際のレポートにあわないなど不適切な場合には点数を与えないことを周

知する必要がある.また,記入に使用するシートの他に,学生の課題内容の理解を支援するための記入

例のシートを追加している.この形式は筆頭著者である林が他科目のために考案したものである.

PD実践プロジェクトレポート第1報採点表(チーム課題)

担当教員名 チーム番号 チーム名

記入上の注意

チェック担当者氏名

配点 得点

1

合計 5 0

問題点を解決するために具体的には何をするのか?1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

1

PD実践では何を検証するのか?(=目的)1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

皆さんが使う技術は何か?その技術を表す言葉を下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.(この欄の内容は,各教員で独自に指定する可能性がある.)

1

1

チェック項目

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

1

3.各項目をチェックする担当者をチーム内で分担する.担当者はチェック項目ができていることを確認したら,表中のチェック担当者氏名記入欄に記名すること.

教科書P.82で指定された設定に従って表紙を作成したか?

PD実践でこのチームの皆さんが解決しようとする問題点は何か?1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

2014年度にプロジェクトデザイン実践で使用した文例と自己採点表を含むチェックリストとして機能

する自己採点シートを紹介し,使用した結果を報告する.

2.プロジェクトデザイン実践におけるレポート課題内容

プロジェクトデザイン実践は2年次後学期に開講される科目である.先行科目として2年次前学期に

開講されるプロジェクトデザインIIで設計した内容を,技術的および時間的に可能な範囲で実装し,結

果を検証する内容である.課題内容の詳細は文献1)に譲るが,レポートの回数,レポートの内容と簡

単な要件,出題時期を表1に示す.表1に示すようにレポートは4回出題され,それぞれが通常想定す

る実験レポートの1つの章に対応して,4回のレポートを結合すると1つの実験レポートになるように

構成されている.

プロジェクトデザイン実践の実験スケジュールを簡単に紹介する.標準的なスケジュールでは,実験

は予備実験と本実験に分かれている.予備実験は装置の試作を含めて第3〜6週に,チーム内の共同作

業として行う.本実験は目的にあうかどうかの検証実験として個人に検証項目を割り当て,第9〜12

週に行う.

表1に示す個々のレポート内容と出題時期,その時期の講義内容との対応付けを述べる.プロジェク

トレポート第1報はレポートの第1章に相当し,実験の背景と目的を書く.出題時期は第4週であるが,

これは講義全体の流れでの位置づけは予備実験を行う時期に相当する.第2報はレポートの第2章に相

当し,実験内容を説明するものであって,実験内容を理解するために必要な図を作成してその説明を行

うこととなる.出題時期は第9週であるが,これは講義全体の流れでの位置づけは予備実験を終了して

中間のまとめとなる,講義クラス内でのポスターセッションを行った後の時期に相当する.そのため,

実験を実際に行って,改善点がある程度明確になった段階である.第1報と第2報はチーム課題である.

第3報は個人課題であり,第9〜12週で行う本実験の終了後に出題される.第3報はチーム内で各人

が担当する実験内容を分担して本実験を行った結果を報告するものである.実験結果は数値で示すもの

とし,視覚的にわかりやすいグラフを作成してその結果を説明することが必要である.第13週に出題

される第4報は再びチーム課題となり,得られた結果を概観する文章を作成してまとめとする.また,

参考文献を示す必要がある.

表1 プロジェクトデザイン実践のレポートの概要

レポート種別 内容 出題時期

プロジェクトレポート

(第1報)(チーム)

実験の背景と目的を書く. 第4週

プロジェクトレポート

(第2報)(チーム)

実験内容を説明する.作成した実験装置の説明図を入れ

て説明することが必要である.

第9週

プロジェクトレポート

(第3報)(個人)

各人が担当した実験の実験方法と実験結果を説明する.

実験結果を示すグラフを入れてその説明を行うことが必

要である.

第12週

プロジェクトレポート

(第4報)(チーム)

レポート全体をまとめる.実験内容を手短に説明すると

ともに,得られた結果を簡潔にまとめ,結論を示す.参

考文献リストを示す必要がある.

第13週

289例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

図2 プロジェクトレポート(第1報)自己採点シート記入例

プロジェクトデザイン実践におけるレポート第1報の自己採点シートを図1に示す.この課題は5点

であるため,5項目のチェック項目を設けてそれぞれに1点ずつを配点した.第1報は背景と目的が主

な内容であり,また体裁も厳密に指定されているため,それらを確認する内容とした.この種のチェッ

クリストでは,受講学生が実際には確認していないにもかかわらず,機械的に「チェックした」と申告

する状態も,残念ながら見受けられる.それを避けるため,図1に示すように,第1報に含めるべき内

容を1文または単語で最低限の内容を記述させるとともに,作成者と別にチェック担当者を指定するよ

うに指導した上で,チェック担当者の氏名を記入させ,責任の所在を明らかにするようにしている.ま

た,教員がチェック項目を作成することで,教員自身が採点基準をあらかじめ明確にすることができ,

それを学生に明示することができる.図1の自己採点シートの記入例を図2に示す.図2に示すように

記入例を具体的に学生に見せることで,記入方法の理解を支援するとともに,教員が想定する記入内容,

すなわち含めるべき情報の詳細度を学生が理解することを支援する.

PD実践プロジェクトレポート第1報採点表(チーム課題【記入例】

担当教員名 石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

チェック担当者氏名

配点 得点

前山道夫 1 1

合計 5 5

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

さらに具体的には,PD実践では何を行うのか?(=目的)1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

大橋 淳 1 1

金沢市で,あまり知られていない(ガイドブックにあまり載っていない)が見応えのある観光スポットを選定し,紹介アプリを作成する.

皆さんが使う技術は何か?その技術を表す言葉を下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.(この欄の内容は,各教員で独自に指定する可能性がある.)

今井翔 1 1

Java, スホアプリ

PD実践でこのチームの皆さんが解決しようとする問題点は何か?1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

倉田義男 1 1

金沢市を活性化したい

問題点を解決するために具体的には何をするのか?1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

前橋康男 1 1

観光をサポートするスマホアプリを作成する.

教科書P.82で指定された設定に従って表紙を作成したか?

金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

3.各項目をチェックする担当者をチーム内で分担する.担当者はチェック項目ができていることを確認したら,表中のチェック担当者氏名記入欄に記名すること.

チェック項目

PD実践プロジェクトレポート第1報採点表(チーム課題)【記入例】

担当教員名 石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

チェック担当者氏名

配点 得点

前山道夫 1 1

合計 5 5

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

さらに具体的には,PD実践では何を行うのか?(=目的)1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

大橋 淳 1 1

金沢市で,あまり知られていない(ガイドブックにあまり載っていない)が見応えのある観光スポットを選定し,紹介アプリを作成する.

皆さんが使う技術は何か?その技術を表す言葉を下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.(この欄の内容は,各教員で独自に指定する可能性がある.)

今井翔 1 1

Java, スマホアプリ

PD実践でこのチームの皆さんが解決しようとする問題点は何か?1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

倉田義男 1 1

金沢市を活性化したい

問題点を解決するために具体的には何をするのか?1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

前橋康男 1 1

観光をサポートするスマホアプリを作成する.

教科書P.82で指定された設定に従って表紙を作成したか?

金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

3.各項目をチェックする担当者をチーム内で分担する.担当者はチェック項目ができていることを確認したら,表中のチェック担当者氏名記入欄に記名すること.

チェック項目

290 例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

3章に示した自己採点シートは,2014年度に実施したプロジェクトデザイン実践の4回のレポー

トの全てについて実施した.第2報と第4報はいずれも第1報と同様にチーム課題である.第2報と第

4報の自己採点シートは付録として本稿の末尾に付す.第2報は第1報と同様に配点が5点であったた

め,5項目を設定した.第4報は配点が10点であったため,10項目を設定した.

レポート第3報は個人課題である.この第3報の採点表記入例を図3に示す.第3報の配点は5点で

あるが,個人課題であって文章作成を個別指導する良い機会であったため,10項目を設定し,最終成

績に加点する際に5点満点に計算しなおすこととした.第3報の要件は,実験結果を定量的に示すこと

と,その内容を説明することであるため,グラフを入れることを配点の4項目目とし,その説明を適切

に行うことを5項目目および6項目目とした.それ以外の項目は,主に文章の論理的な構成や体裁に関

するものである.現在のカリキュラムは,2年次の前学期に「アカデミックライティング」を開講して

おり,学生はその科目で基本的な文章の構成法を学んでいるので,その内容を復習するとともに,実地

で使用することを支援するために設定した.特に項目2,5,6は段落の作り方を復習し意識させる意

図で設定した.

本章で紹介した自己採点シートの教育的な効果の検討はこれからであるが,使用して気づいた点や感

触を述べる.レポート第1報と第2報はチーム課題であり,もともと配点が5点で,記入項目も5項目

であることから,受講学生にとっても記入の負担は小さく,意図もよく伝わったようであった.レポー

ト内容の修正は1回程度で満点に至るチームが多かったようである.一方,第3報と第4報は個人課題

とチーム課題の違いはあるが,どちらも自己採点シートに10項目あった.第3報と第4報のいずれ

も,受講学生にとってそれを読み,記入する負担は大きかったようであった.自己採点シートの各チェ

ック項目で,指定した内容と異なる内容を記入したものや,自己採点シートに記入した内容とレポート

内容が適合しないレポートが多々あった.

以上から,記入項目が5件程度であれば十分な作業時間と学生の理解度が得られる場合が多く,10

件程度になると,作業時間が不足する傾向や学生の理解度が小さくなる傾向があると考えられる.著者

らは2015年度もプロジェクトデザイン実践を担当する予定であるため,記入項目を精査し,採点シ

ート1件につき,チェック項目を5件程度に削減して実施することを検討する.

レポート第3報と第4報は,第2章で表1に示したように,それぞれ第12週と第13週に出題され

ており,授業運営上は第3報の出題を1週程度早めにするなどの対応を行っても,量の多い課題を2週

間〜3週間程度の短期間に複数個出題することとなる.また,プロジェクトデザイン実践では第11〜

14週程度の時期に,レポートに並行して小論文も課していた.他科目も達成度確認試験や課題を課す

時期でもあるため,学生は第3報と第4報のレポート作成に,教員が当初期待するほどの時間をかけら

れなかったことが推測される.このような状況下で教育効果を上げる方法は今後の課題である.

4.おわりに

本稿では,2014年度にプロジェクトデザイン実践において作成し,使用した採点シートの事例を

紹介した.この採点シートのねらいは,学生のプロジェクトレポート作成を支援し,同時に教員がレポ

ート要件を明確にして採点基準を明確化することであった.実際に講義で使用した結果,採点シートの

項目数が5件の場合はおおむね良好に機能したが,学期末に近い段階で10項目を含む採点シートでは

意図した効果が得られなかった.2015年度も著者らはプロジェクトデザイン実践を担当するため,

チェック項目数と内容を改良した採点シートを作成し,教育効果の改善を目指す予定である.

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

図2 プロジェクトレポート(第1報)自己採点シート記入例

プロジェクトデザイン実践におけるレポート第1報の自己採点シートを図1に示す.この課題は5点

であるため,5項目のチェック項目を設けてそれぞれに1点ずつを配点した.第1報は背景と目的が主

な内容であり,また体裁も厳密に指定されているため,それらを確認する内容とした.この種のチェッ

クリストでは,受講学生が実際には確認していないにもかかわらず,機械的に「チェックした」と申告

する状態も,残念ながら見受けられる.それを避けるため,図1に示すように,第1報に含めるべき内

容を1文または単語で最低限の内容を記述させるとともに,作成者と別にチェック担当者を指定するよ

うに指導した上で,チェック担当者の氏名を記入させ,責任の所在を明らかにするようにしている.ま

た,教員がチェック項目を作成することで,教員自身が採点基準をあらかじめ明確にすることができ,

それを学生に明示することができる.図1の自己採点シートの記入例を図2に示す.図2に示すように

記入例を具体的に学生に見せることで,記入方法の理解を支援するとともに,教員が想定する記入内容,

すなわち含めるべき情報の詳細度を学生が理解することを支援する.

PD実践プロジェクトレポート第1報採点表(チーム課題【記入例】

担当教員名 石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

チェック担当者氏名

配点 得点

前山道夫 1 1

合計 5 5

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

さらに具体的には,PD実践では何を行うのか?(=目的)1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

大橋 淳 1 1

金沢市で,あまり知られていない(ガイドブックにあまり載っていない)が見応えのある観光スポットを選定し,紹介アプリを作成する.

皆さんが使う技術は何か?その技術を表す言葉を下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.(この欄の内容は,各教員で独自に指定する可能性がある.)

今井翔 1 1

Java, スホアプリ

PD実践でこのチームの皆さんが解決しようとする問題点は何か?1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

倉田義男 1 1

金沢市を活性化したい

問題点を解決するために具体的には何をするのか?1文で下の欄に記入するとともに,第1報に入っていることを確認すること.

前橋康男 1 1

観光をサポートするスマホアプリを作成する.

教科書P.82で指定された設定に従って表紙を作成したか?

金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

3.各項目をチェックする担当者をチーム内で分担する.担当者はチェック項目ができていることを確認したら,表中のチェック担当者氏名記入欄に記名すること.

チェック項目

291例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

図3 プロジェクトレポート(第3報)自己採点シート記入例

PD実践プロジェクトレポート第3報採点表(個人課題)

石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

チェック欄

配点 得点

◯ 1 1

第3報の内容

これが最初の段落となる

第3報表題: 1 1

◯ 1 1

1. ◯ 1 1

2.◯ 1 1

◯ 1 1

合計 10 10

第3報に入れた全ての図には説明文がついているか?確認した後に,チェック欄に「◯」を記入すること.なお,「...を図Xに示す.」等の文だけでは不足する.図の内容を文章で表現すること.

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

第3報の全ての段落は以下を満たしているか?確認した後に,チェック欄に「◯」を記入すること.

第3報には,自分自身が調べた結果を示す図を1つ以上入れる.例えば計測結果をまとめた折れ線グラフ(「散布図」を使用して作成すること),アンケート結果をまとめた棒グラフなどが考えられる.入れた図はどんなものかを下の欄に記入するとともに,実際に第3報に入っていることを確認すること.

1 1

金沢市のホームページを見た後の「行ってみたい度」をまとめた積み上げ棒グラフと,「にし茶屋街」紹介アプリを見た後の「行ってみたい度」をまとめた積み上げ棒グラフを入れる.

第3報の2つ目の段落は,「自分が作成したもの」または「調査内容」を説明する文章とする.下の欄に段落内容を表す1文(トピック•センテンスという)を記入し,レポート中でも段落の最初の文にせよ.そしてレポート内では,トピック・センテンスの内容を詳しく説明するように続き(段落の残り)を書くこと.

第3報中の全ての文には主語があるか?確認した後に,チェック欄に「◯」を記入すること.

段落の最初は1文字あける.段落の途中では改行を入れない.

1つの段落に入れる文章は10個程度以内とする.1文だけの段落は駄目である.非常に長い段落(文が20個以上)も駄目である.

1 1

まず,私が作成した「にし茶屋街」を紹介するアプリの概要を述べる.

【記入例】

教科書P.86で指定された設定に従って表紙と本文を作成したか?確認した後に,チェック欄に「◯」を記入すること.

第3報の最後の段落は,調査結果からわかったことをまとめる文章とする.下の欄に最後の段落のトピック•センテンスを記入し,その文の内容を詳しく説明するように,その続き(段落の残り)を書くこと.

1 1

私が作成した「にし茶屋街」を紹介するアプリを実際にユーザに使用してもらい,アプリが便利かどうか,さらにアプリが提示する情報が魅力的かどうか,に関する評価を行った.

第3報は,自分自身が担当して調べたことや作成したものの内容を具体的に説明する文章とする.下の欄に「何を作成したのか」「何を調べたのか」を6文程度以内で記入せよ.それが第3報の最初の段落となる.さらに,それにふさわしい表題を記入せよ.それを第3報の表題とせよ.

金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

3.記入した内容が全て印刷できるよう,行の高さを適宜調節し,かつ1ページにおさめること.

チェック項目

「にし茶屋街」紹介アプリの概要と効果

担当教員名

私は金沢市の観光スポットの一つである「にし茶屋街」を紹介するアプリを作成し,その効果を調べた.最初にアプリの概要を説明する.そして,情報工学科の学生10名を対象として,金沢市のホームページを見た後と,アプリを使った後とで,行ってみたい度を5段階評価で回答してもらったので,その結果を示してアプリの有効性を議論する.

1 1

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

292 例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

付録 A:プロジェクトレポート第2報採点表記入例

PD実践プロジェクトレポート第2報採点表(チーム課題)【記入例】

石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

チェック担当者氏名

配点 得点

2

2

.

1

2

.

2

2

.

3

2

2

.

1

2

.

2

2

.

3

大橋 淳 1 1

合計 5 5

検証または試作方法と実装方法

評価方法

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

第2報に入れた全ての図には説明文がついているか?なお,「...を図Xに示す.」等の文だけではなく,図の内容を文章で表現すること.

2.3は,「現在作成しているものがどうなると成功なのか」を説明する文章とする.「何がどうなると成功なのか」「それを確認するために何をするのか」を下の欄に説明し,その内容が2.3に入っていることを確認する.

今井 翔 1 1

友人などにスマホアプリを使ってもらい,その観光スポットに行きたくなるかどうかをアンケート調査する.「行きたい」との回答が50%以上であれば成功とする.その観光スポットに行くために必要な情報がアプリから十分得られたかどうかも評価項目とする.

2.2はPD実践で現在作成しているもの(プログラム,装置,システムなど)の内容を具体的に説明する文章とする.2.2には,皆さんが作成するものの説明図(装置の概要図,システムの全体構成図など)を1つ以上入れる.入れた説明図はどんなものかを下の欄に記入するとともに,第2報に入っていることを確認すること.

前山道夫 1 1

観光をサポートするスマホアプリの状態遷移図およびフローチャート

全体構成を次のようにして,自分たちのレポートの各章や節のタイトルを下欄に記入する.なお,実際のタイトルは,内容を具体的に表すように変えることが望ましい.

前橋康男 1 1

担当教員名

金沢市を活性化する観光アプリの試作

アプリ作成の技術的な背景と他都市の観光アプリ事例

金沢市観光アプリの概要

便利で使いやすい観光アプリとは

金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

3.各項目をチェックする担当者をチーム内で分担する.担当者はチェック項目ができていることを確認したら,表中のチェック担当者氏名記入欄に記名すること.

チェック項目

検証方法(←レポート第2報は,第2章となるため.)

文献調査

2.1は,文献調査結果のうちで特別重要なものを2つ以上選定し,その内容を説明する文章とする.2.1の結果,実装内容が明確になることが理想である.「文献調査の結果,何をどう実装すると良いことがわかったのか」を下の欄に1文で記入し,それが2.1の最後の文になっていることを確認すること.あわせて第2報の最後に参考文献リストが入っていることを確認すること.

倉田義男 1 1

我々が目的とするアプリでは,画面の一部をタップすると他の情報を表示する機能が必要であるが,文献[1]によると...を使用すると実装できることがわかった.

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

図3 プロジェクトレポート(第3報)自己採点シート記入例

PD実践プロジェクトレポート第3報採点表(個人課題)

石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

チェック欄

配点 得点

◯ 1 1

第3報の内容

これが最初の段落となる

第3報表題: 1 1

◯ 1 1

1. ◯ 1 1

2.◯ 1 1

◯ 1 1

合計 10 10

第3報に入れた全ての図には説明文がついているか?確認した後に,チェック欄に「◯」を記入すること.なお,「...を図Xに示す.」等の文だけでは不足する.図の内容を文章で表現すること.

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

第3報の全ての段落は以下を満たしているか?確認した後に,チェック欄に「◯」を記入すること.

第3報には,自分自身が調べた結果を示す図を1つ以上入れる.例えば計測結果をまとめた折れ線グラフ(「散布図」を使用して作成すること),アンケート結果をまとめた棒グラフなどが考えられる.入れた図はどんなものかを下の欄に記入するとともに,実際に第3報に入っていることを確認すること.

1 1

金沢市のホームページを見た後の「行ってみたい度」をまとめた積み上げ棒グラフと,「にし茶屋街」紹介アプリを見た後の「行ってみたい度」をまとめた積み上げ棒グラフを入れる.

第3報の2つ目の段落は,「自分が作成したもの」または「調査内容」を説明する文章とする.下の欄に段落内容を表す1文(トピック•センテンスという)を記入し,レポート中でも段落の最初の文にせよ.そしてレポート内では,トピック・センテンスの内容を詳しく説明するように続き(段落の残り)を書くこと.

第3報中の全ての文には主語があるか?確認した後に,チェック欄に「◯」を記入すること.

段落の最初は1文字あける.段落の途中では改行を入れない.

1つの段落に入れる文章は10個程度以内とする.1文だけの段落は駄目である.非常に長い段落(文が20個以上)も駄目である.

1 1

まず,私が作成した「にし茶屋街」を紹介するアプリの概要を述べる.

【記入例】

教科書P.86で指定された設定に従って表紙と本文を作成したか?確認した後に,チェック欄に「◯」を記入すること.

第3報の最後の段落は,調査結果からわかったことをまとめる文章とする.下の欄に最後の段落のトピック•センテンスを記入し,その文の内容を詳しく説明するように,その続き(段落の残り)を書くこと.

1 1

私が作成した「にし茶屋街」を紹介するアプリを実際にユーザに使用してもらい,アプリが便利かどうか,さらにアプリが提示する情報が魅力的かどうか,に関する評価を行った.

第3報は,自分自身が担当して調べたことや作成したものの内容を具体的に説明する文章とする.下の欄に「何を作成したのか」「何を調べたのか」を6文程度以内で記入せよ.それが第3報の最初の段落となる.さらに,それにふさわしい表題を記入せよ.それを第3報の表題とせよ.

金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

3.記入した内容が全て印刷できるよう,行の高さを適宜調節し,かつ1ページにおさめること.

チェック項目

「にし茶屋街」紹介アプリの概要と効果

担当教員名

私は金沢市の観光スポットの一つである「にし茶屋街」を紹介するアプリを作成し,その効果を調べた.最初にアプリの概要を説明する.そして,情報工学科の学生10名を対象として,金沢市のホームページを見た後と,アプリを使った後とで,行ってみたい度を5段階評価で回答してもらったので,その結果を示してアプリの有効性を議論する.

1 1

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

PD実践プロジェクトレポート第2報採点表(チーム課題)【記入例】

石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

チェック担当者氏名

配点 得点

2

2.1

2.2

2.3

2

2.1

2.2

2.3

大橋 淳 1 1

合計 5 5

検証または試作方法と実装方法

評価方法

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

第2報に入れた全ての図には説明文がついているか?なお,「...を図Xに示す.」等の文だけではなく,図の内容を文章で表現すること.

2.3は,「現在作成しているものがどうなると成功なのか」を説明する文章とする.「何がどうなると成功なのか」「それを確認するために何をするのか」を下の欄に説明し,その内容が2.3に入っていることを確認する.

今井 翔 1 1

友人などにスマホアプリを使ってもらい,その観光スポットに行きたくなるかどうかをアンケート調査する.「行きたい」との回答が50%以上であれば成功とする.その観光スポットに行くために必要な情報がアプリから十分得られたかどうかも評価項目とする.

2.2はPD実践で現在作成しているもの(プログラム,装置,システムなど)の内容を具体的に説明する文章とする.2.2には,皆さんが作成するものの説明図(装置の概要図,システムの全体構成図など)を1つ以上入れる.入れた説明図はどんなものかを下の欄に記入するとともに,第2報に入っていることを確認すること.

前山道夫 1 1

観光をサポートするスマホアプリの状態遷移図およびフローチャート

全体構成を次のようにして,自分たちのレポートの各章や節のタイトルを下欄に記入する.なお,実際のタイトルは,内容を具体的に表すように変えることが望ましい.

前橋康男 1 1

担当教員名

金沢市を活性化する観光アプリの試作

アプリ作成の技術的な背景と他都市の観光アプリ事例

金沢市観光アプリの概要

便利で使いやすい観光アプリとは

金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

3.各項目をチェックする担当者をチーム内で分担する.担当者はチェック項目ができていることを確認したら,表中のチェック担当者氏名記入欄に記名すること.

チェック項目

検証方法(←レポート第2報は,第2章となるため.)

文献調査

2.1は,文献調査結果のうちで特別重要なものを2つ以上選定し,その内容を説明する文章とする.2.1の結果,実装内容が明確になることが理想である.「文献調査の結果,何をどう実装すると良いことがわかったのか」を下の欄に1文で記入し,それが2.1の最後の文になっていることを確認すること.あわせて第2報の最後に参考文献リストが入っていることを確認すること.

倉田義男 1 1

我々が目的とするアプリでは,画面の一部をタップすると他の情報を表示する機能が必要であるが,文献[1]によると...を使用すると実装できることがわかった.

293例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

付録 B:プロジェクトレポート第4報採点表記入例

【記入例】

石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

担当者氏名

配点 得点

手順1:

手順2:

手順3:

手順1:

手順2:

手順1:

手順2:

目的: 1 1

実装

内容:

評価

方法:

評価

結果:

第1

段落:

今後の

課題:

前山道夫 1 1

合計 10 10

1

11

1

本プロジェクトテーマは,金沢市の活性化を目指し,観光スポットを紹介するスマホアプリをJavaを利用して作成した.我々は金沢市の観光スポットを6カ所選定し,チームの6名が1カ所すつ担当してアプリを作成した.アプリを評価するため,ユーザを20名募集して,まず観光スポット名のみを提示して「行ってみたい度」を5段階評価してもらった.その後,本プロジェクトテーマが実装したアプリを使ってもらい,再度「行ってみたい度」を5段階評価してもらった.その結果,「行ってみたい度」はアプリ使用後に5カ所で増加した.そのため,本プロジェクトテーマで作成したアプリは,金沢市の活性化にある程度役立つことができるものと考えられる. 1 1

第4報の第4章の第1段落は,実装または実験結果をまとめる文章とする.上欄の目的〜評価結果内容に具体的な情報を加えて下欄に5〜6文程度を記入し,第1段落とせよ.記入例を参照して,上欄の記入内容がどのように第1段落に入っているかを理解してから自分たちの第1段落を作成せよ.

第4報全体の内容を確認するため,PD実践で取り組んだ内容全体に関して,下欄に指示した内容を記入せよ.そして,下欄の内容が互いに整合していない場合は,整合するように変更し,第1〜4章もそれに従って修正せよ.

第4報は,第3章の作成から始めた方がスムーズであると考えられる.第4報の第3章は,次の手順で作成する.チェック担当者は全員分がそろっているかどうか,および各節に適切な標題がついているかどうかを確認してから,署名すること.

プロジェクトレポート第3報の本文を全員分そのままコピペする.このときに,1人分の第3報=1つの節とし,順番に3.1,3.2,...と番号をつける.

各自で第3報を見直し,教員から修正するよう指示があった場合は,それに従う.

チーム全員分の第3報の並べ方を決め,それぞれの標題を再検討する.また,他のメンバや第2章の記述との重複がある場合は,重複を解消する(最適な箇所だけにする).

大橋 淳

前橋康男

プロジェクトレポート第2報の本文をそのままコピペする.

教員から修正するよう指示があった場合は従い,さらに第3章中の個々の試作/検証方法,評価方法の全てを網羅するように修正する.

PD実践プロジェクトレポート第4報採点表(チーム課題)

3.記入した内容が全て印刷できるよう,行の高さを適宜調節し,かつ1ページにおさめること.

倉田義男1 1

1 1

1 1

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

第4報の第1章は次の手順で作成する.チェック担当者は適切に作成したことを確認すること.

担当教員名 金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

チェック項目

プロジェクトレポート第1報の本文をそのままコピペする.

教員から修正指示があった場合は従い,さらに第1報作成時のPD実践での目的から変更がある場合は修正する.

観光スポットを紹介するスマホアプリを,Javaで作成する.金沢市の観光スポットを6カ所選定し,チーム6名が1カ所ずつ担当してアプリを作成した.

ユーザ20名に本テーマで作成したアプリを使ってもらい,使用前と使用後で,その観光スポットに「行ってみたい度」を5段階評価してもらった.

6カ所の観光スポットのアプリを使った後では,「行ってみたい度」が5カ所で向上した.そのため,金沢市の活性化に役立ちそうである.

1

第4報の第2章は次の手順で作成する.チェック担当者は適切に作成したことを確認すること.

1

金沢市を活性化する

第4報の第4章の第2段落は,実装または実験内容に基づく,今後の課題を述べる文章とする.今後の課題はPD実践での取り組みに必要ではあったが,時間や技術力などが不足して今回はできなかったことである.今後の課題内容を下欄に記入し,どうすればできそうか,などの具体的な説明を加えて5〜6文程度を書き,第2段落とせよ.

今回はiPhoneユーザが利用できるアプリまでは開発できなかった.今後の課題はiPhone用のアプリ開発や,プラットフォームを問わないウェブベースでのアプリが考えられる. 1 1

第4報では参考文献リストをレポートの最後にまとめてつける.各章にはつけない.チェック担当者は参考文献リストがついていることと,件数は十分で形式は適切かどうかを確認してから署名すること.

294 例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

参考文献

1) 「プロジェクトデザイン実践」,千徳,岩田,共立出版,(2014).

2) “Technical Writing and Professional communication for Nonnative Speakers of English”,

2nd ed., T. N. Huckin and L. A. Olsen, McGraw-Hill, Inc., (1991).

3) 「論理的な文章が自動的に書ける!」,倉島保美,日本実業出版社,(2003).

[受理 平成 27 年 9 月 1 日]

林 亮子 講師・博士(情報科学) 工学部 情報工学系 情報工学科

河並 崇 講師・博士(工学) 工学部 情報工学系 情報工学科

事例報告 KIT Progress No.24

例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート

付録 B:プロジェクトレポート第4報採点表記入例

【記入例】

石川花子 チーム番号 K1 チーム名

記入上の注意

担当者氏名

配点 得点

手順1:

手順2:

手順3:

手順1:

手順2:

手順1:

手順2:

目的: 1 1

実装

内容:

評価

方法:

評価

結果:

第1

段落:

今後の

課題:

前山道夫 1 1

合計 10 10

1

11

1

本プロジェクトテーマは,金沢市の活性化を目指し,観光スポットを紹介するスマホアプリをJavaを利用して作成した.我々は金沢市の観光スポットを6カ所選定し,チームの6名が1カ所すつ担当してアプリを作成した.アプリを評価するため,ユーザを20名募集して,まず観光スポット名のみを提示して「行ってみたい度」を5段階評価してもらった.その後,本プロジェクトテーマが実装したアプリを使ってもらい,再度「行ってみたい度」を5段階評価してもらった.その結果,「行ってみたい度」はアプリ使用後に5カ所で増加した.そのため,本プロジェクトテーマで作成したアプリは,金沢市の活性化にある程度役立つことができるものと考えられる. 1 1

第4報の第4章の第1段落は,実装または実験結果をまとめる文章とする.上欄の目的〜評価結果内容に具体的な情報を加えて下欄に5〜6文程度を記入し,第1段落とせよ.記入例を参照して,上欄の記入内容がどのように第1段落に入っているかを理解してから自分たちの第1段落を作成せよ.

第4報全体の内容を確認するため,PD実践で取り組んだ内容全体に関して,下欄に指示した内容を記入せよ.そして,下欄の内容が互いに整合していない場合は,整合するように変更し,第1〜4章もそれに従って修正せよ.

第4報は,第3章の作成から始めた方がスムーズであると考えられる.第4報の第3章は,次の手順で作成する.チェック担当者は全員分がそろっているかどうか,および各節に適切な標題がついているかどうかを確認してから,署名すること.

プロジェクトレポート第3報の本文を全員分そのままコピペする.このときに,1人分の第3報=1つの節とし,順番に3.1,3.2,...と番号をつける.

各自で第3報を見直し,教員から修正するよう指示があった場合は,それに従う.

チーム全員分の第3報の並べ方を決め,それぞれの標題を再検討する.また,他のメンバや第2章の記述との重複がある場合は,重複を解消する(最適な箇所だけにする).

大橋 淳

前橋康男

プロジェクトレポート第2報の本文をそのままコピペする.

教員から修正するよう指示があった場合は従い,さらに第3章中の個々の試作/検証方法,評価方法の全てを網羅するように修正する.

PD実践プロジェクトレポート第4報採点表(チーム課題)

3.記入した内容が全て印刷できるよう,行の高さを適宜調節し,かつ1ページにおさめること.

倉田義男1 1

1 1

1 1

なお,教員がレポート内容を確認した結果,チェック項目を満たしていないと判断した場合は,減点されることがある.

第4報の第1章は次の手順で作成する.チェック担当者は適切に作成したことを確認すること.

担当教員名 金沢大好き

1.この採点表はExcelを使用して記入すること.得点は自動的に計算する.(印刷して手書きで記入することは認めない.)

2.チェック項目を満たしたかどうか,表中の指示に従って記入すること.

チェック項目

プロジェクトレポート第1報の本文をそのままコピペする.

教員から修正指示があった場合は従い,さらに第1報作成時のPD実践での目的から変更がある場合は修正する.

観光スポットを紹介するスマホアプリを,Javaで作成する.金沢市の観光スポットを6カ所選定し,チーム6名が1カ所ずつ担当してアプリを作成した.

ユーザ20名に本テーマで作成したアプリを使ってもらい,使用前と使用後で,その観光スポットに「行ってみたい度」を5段階評価してもらった.

6カ所の観光スポットのアプリを使った後では,「行ってみたい度」が5カ所で向上した.そのため,金沢市の活性化に役立ちそうである.

1

第4報の第2章は次の手順で作成する.チェック担当者は適切に作成したことを確認すること.

1

金沢市を活性化する

第4報の第4章の第2段落は,実装または実験内容に基づく,今後の課題を述べる文章とする.今後の課題はPD実践での取り組みに必要ではあったが,時間や技術力などが不足して今回はできなかったことである.今後の課題内容を下欄に記入し,どうすればできそうか,などの具体的な説明を加えて5〜6文程度を書き,第2段落とせよ.

今回はiPhoneユーザが利用できるアプリまでは開発できなかった.今後の課題はiPhone用のアプリ開発や,プラットフォームを問わないウェブベースでのアプリが考えられる. 1 1

第4報では参考文献リストをレポートの最後にまとめてつける.各章にはつけない.チェック担当者は参考文献リストがついていることと,件数は十分で形式は適切かどうかを確認してから署名すること.

295例文とチェックリストを含む実験レポート自己採点シート