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18 PFU Tech. Rev., 24, 1,pp.18-25 (05,2013)
新世代ファイリングソフトウェア 楽２ライブラリ Smart with Magic DesktopRack2-Filer Smart with Magic Desktop: New Generation File Management Software
藤塚誠弘 *Masahiro Fujitsuka
泉 真悟 *Masato Izumi
中山健成 *Takenari Nakayama
岩峯和之 **Kazuyuki Iwamine
* ソリューション＆ソフトウェアグループ ECM ソフトウェア事業部 商品企画開発部** PFU ソフトウェア株式会社 ECM ソフトウェア統括部 第二開発部
シリーズ累計 30 万ライセンスを販売する楽２ライブラリ．このシリーズのうち楽２ライブラリパーソナルの後継
製品として，楽２ライブラリ Smart with Magic Desktop を開発した．楽２ライブラリシリーズの直感的でわか
りやすい操作性を継承しながらモバイルやクラウドでのデータ活用機能を強化した「楽２ライブラリ Smart」と，
新しいワークスタイルやライフスタイル向けの情報整理機能を備える「Magic Desktop」の 2 つのソフトウェア
を提供している．
Three hundred thousand licenses for the Rack2-Filer have been sold. Based on Rack2-
Filer, we developed Rack2-Filer Smart with Magic Desktop. Rack2-Filer Smart with Magic
Desktop consists of two types of software; Rack2-Filer Smart and Magic Desktop. The intuitive
operations of Rack2-Filer that are easy to understand have been continued in Rack2-Filer
Smart. Rack2-Filer Smart also has improved functions that enable data to be used for various
purposes with smartphones and tablets or via cloud services. Magic Desktop is equipped with
information management functions to meet the needs of today's lifestyle and work environment.
1 まえがき
昨今，スマートフォンおよびタブレット等のスマート
デバイスが急速に普及し始めている．
スマートデバイスは，PC と比較して持ち運びに便利
で直感的に扱いやすく，加えてクラウドサービス注１）や
ソーシャルネットワーキングサービス（以降，SNS注１））
等へも容易に接続できる．そのため，企業および個人が
情報を容易に作成し，流通させることができ，社会で働
く人々のワークスタイルやライフスタイルにも変化をも
たらし始めている．
また昨今，世の中の情報量は指数関数的に増加してい
る．このような中で日々発生する膨大な電子データと電
子化データ（紙文書を電子化したデータ）を融合させ，
注１） クラウドサービスやソーシャルネットワーキングサービスについて
各サービスのご利用にあたり，各事業者が定める利用条件をご確認のうえで，お客様ご自身で利用手続きを行ってください．
いつでも，どこでも，かんたんに情報を扱えることがと
ても重要になってきている．
楽２ライブラリは，2003 年 10 月の販売開始以来，
シリーズ累計 30 万ライセンスを販売するファイリング
ソフトウェアである参１）．PFU は，この楽２ライブラリ
の製品コンセプトを継承しつつ，モバイル＆クラウドの
時代にむけ，設計を一から見直し，企画および開発を行っ
た．
本稿では，このたび新たに提供を開始した「楽２ライ
ブラリ Smart with Magic Desktop（以降，本製品）」
のコンセプトや特長，製品概要および技術観点について
述べる．
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新世代ファイリングソフトウェア 楽２ライブラリ Smart with Magic Desktop
2 本製品のコンセプトと構成・特長
2.1 コンセプト本製品の開発プロジェクトでは，「一人で複数デバイ
スを扱う時代に，人に優しいアナログデータの情報整理
ツールを提供していく」という基本理念の下，製品開発
に取り組んでいる．ここでいう「人に優しい」とは，手
書きメモや書類，写真などの紙の使い勝手を，そのまま
デジタル上で再現することを意味している．
2.2 構成図 - １に本製品の構成を示す．
楽２ライブラリ Smart は，実際の書棚のバインダを
扱う感覚で，データを管理，閲覧および編集することが
できる．
また，Magic Desktop は，PFU 製のカラーイメー
ジスキャナ ScanSnap で読み込んだイメージデータを
整理し，電子文書を取り込んで編集することができる．
これらの製品は，「Magic Desktop で作成した文書
や，会議などで配布された完成した文書を，楽２ライブ
ラリ Smart で保管し，モバイルやクラウドにて活用す
る」という使い方を想定している．つまり，本製品は，「机
の上で写真や資料を並べて情報を整理して編集した後，
それをバインダに綴じて書棚に保管し，必要に応じて閲
覧する」というアナログでの情報整理や活用を，そのま
まデジタルで再現し，さらにデジタルならではの利便性
を付加しようとする製品である．
2.3 特長（１） 楽２ライブラリ Smart
１） 直感的で分かりやすいユーザーインターフェース
楽２ライブラリ Smart では，本（バインダ）が並
んでいる書棚（キャビネット）と，あたかも実際に紙
の本をめくるような「パラパラめくり」で本を閲覧で
きるビューアを提供している．楽２ライブラリの製品
コンセプトと，直感的で分かりやすい操作性を継承し
つつ，使い勝手が良くなるよう従来機能をより進化さ
せている（図 - ２，図 - ３参照）．
さらに，モニタープログラムでの評価を経て，それ
らの結果を製品に反映することで，より良いユーザー
インターフェースに改良されている．
２） モバイル＆クラウド活用で利便性を向上
本製品ではクラウドサービス（SugarSync，
Dropbox）や Wi-Fi注２）経由でデータを持ち出し，閲
覧および編集を行うことができる．
データの持ち出しには，スマートデバイス（iOS
および Android 端末）向けの専用アプリケーション
を利用する．
３） ScanSnap および関連ソフトウェアとのシーム
レスな連携
本製品では従来同様，ScanSnap とのシームレス
な連携を実現している．例えば，バインダを開いた状
態でスキャンボタンを押すだけで，開いているページ
に紙文書が取り込まれる．これはスキャナとの連携設
定が一切不要なため，かんたんに使うことができる．
また，PDF・JPEG ファイル整理・閲覧ソフトウェ
ア「ScanSnap Organizer」や，名刺管理ソフト
ウェア「CardMinder」など，ScanSnap の関連製
品と連携してデータを取り込むこともできる．例え
ば，ScanSnap で名刺を読み込み CardMinder に
取り込むと，名刺の画像データに氏名や会社名など
の属性情報を付与できる．楽２ライブラリ Smart は
CardMinder との連携により，この名刺の画像デー
タおよび属性情報を一緒に取り込むことができ，かん
たんに名刺管理を行うことができる．
注２） Wi-Fi（ワイファイ，Wireless Fidelity）は，Wi-Fi Alliance（米国に本拠を置く業界団体）によって，国際標準規格であるIEEE 802.11 規格を使用したデバイス間の相互接続が認められたことを示す名称．
◆図 - １ 本製品の構成◆
（Fig.1-Overview of Rack2-Filer Smart with Magic
Desktop）
ファイル
①いれる ③ためる ④活用する
②つくる
机
書棚
ScanSnap
モバイル端末
カメラ
イメージファイル
整理および編集
保管および閲覧
SNSと連携
※1 SugarSync は，米国SugarSync, Inc. が提供するクラウドサービスである（日本での サービス提供元は，米国SugarSync, Inc.およびBBソフトサービス株式会社である．）．※2 Dropbox は，米国Dropbox, Inc. が提供するクラウドサービスである．※3 iOSは，iPad や iPhone に搭載されているApple 社製の独自OSである． なお，iPad，iPhone は，Apple Inc. の商標である．※4 Android は，Google Inc. の商標または登録商標である．
完成文書を保管
楽2ライブラリSmart foriOS※3 ／AndroidTM※4
SNS
モバイル＆クラウドで活用
SugarSync※1Dropbox※2
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新世代ファイリングソフトウェア 楽２ライブラリ Smart with Magic Desktop
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（２） Magic Desktop
１） かんたんな情報整理
仕事やプロジェクトの単位でグループラベルを作成
し，コンテンツ（スキャナから取り込んだ画像や文書
ファイルなど）をラベル付けして管理することができ
る．例えば，複数の案件を同時に抱えている場合，案
件単位でグループラベルを作成しておけば，グループ
ラベルを切り替えるだけで表示される文書が切り替わ
る．自分が完成させるべき文書やその参考資料などの
コンテンツがすぐに表示されるので，仕事に集中しや
すい環境が提供される．
そして，完成したドキュメントは，参考資料と共に
楽２ライブラリ Smart に連携し，バインダに保管す
ることができる．
２） SNS 連携による新たな情報整理スタイルを提供
Facebook注３）との連携機能により，新しいコミュ
ニケーションスタイルに対応した．コミュニケーショ
ンをとりながら，効率よくコンテンツ編集作業を進め
られる．
３） Windows®注４）8 に対応したユーザーインター
フェース
Windows8 タブレットでの使用を考慮し，タッチ
操作でも楽しく操作できる新しいユーザーインター
フェースを提供した．
3 人に優しいアナログデータの情報整理ツール
3.1 進化したユーザーインターフェースキャビネットやパラパラめくりなどのリアルな世界を
ソフトウェア上で進化させ，UX（ユーザー・エクスペ
リエンス）注５）を向上した．
（１） リアルさを高めたキャビネット画面
１） キャビネットが部屋にあるような 3D 空間を表
現したデザイン
楽２ライブラリ Smart では，キャビネットのデザ
インを一新した．背面のないキャビネットデザインを
採用し，後ろの背景を描くことで，3D 空間を表現し
ている．こうすることで，キャビネットが部屋の中に
存在するかのような，リアルなデザインを実現するこ
とができた（図 - ２参照）．
２） バインダの表紙を正面に見せる表紙置きに対応
楽２ライブラリ Smart では，キャビネットにバイ
ンダを並べる際に，新たに表紙置きができるようにし
た．表紙置きは，背表紙置きに比べてスペースを必要
とするため，現実世界においては書店等を除いてあま
注３） Facebook は，米国 Facebook,Inc. が提供するソーシャルネットワーキングサービスである．
注４） Windows は米国 Microsoft Corporation の米国，日本およびその他の国における登録商標または商標である．
注５） UX とは，User Experience の略で，製品やサービスをエンドユーザーが使った際に経験する「楽しさ・面白さ・心地良さといったプラスの感情（情感）」を，価値として重視するコンセプトである．
◆図 - ３ メニューアイコン◆
（Fig.3-Menu icons）
◆図 - ２ キャビネット画面◆
（Fig.2-Rack2-Bookshelf window）
表紙置き
背表紙置き
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新世代ファイリングソフトウェア 楽２ライブラリ Smart with Magic Desktop
りない．
反面，背表紙のタイトル表示とは異なり，先頭ペー
ジのサムネイルをバインダの表紙として表示し，ひと
目で内容を把握することができる（図 - ２参照）．現
実世界のバインダにデジタルの利便性を融合した機能
となっている．
３） 大型メニューアイコン併用による操作性向上
従来の右クリックメニューに加えて，使用頻度の高
いバインダ操作については大型のメニューアイコンを
用意し，直感的に操作できるようにした．
メニューアイコンは，「操作対象の絵」と「操作内
容を示すマーク」とを組み合わせたデザインとしてい
る．例えば，「バインダの作成」や「バインダの削除」
ボタンは，バインダの絵の右下に「＋」や「×」マー
クを表示している．また，視認性を高めるためにアイ
コンの絵の下にボタン名称の一部を文字として表示す
ると共に，アイコンのフルネームはツールチップ注６）
にて補完している．
なお，アイコンとツールチップに加えて，ボタン名
の文字を一部表示することで，ツールチップを利用で
きないタブレット等のタッチ操作も考慮したユーザー
インターフェースとなっている（図 - ３参照）．
（２） 利便性を高めたビューア画面
１） ページ隅をつかみながらのよりリアルなパラパ
ラめくりに対応
楽２ライブラリシリーズの特長の 1 つであるページ
めくりに関して，楽２ライブラリ Smart では，より
リアルなめくり操作を追求して，めくり処理を一新し
た．単にページを送るだけでなく，ページ隅をつかみ
ながらのめくりにも対応することで，途中までめくっ
て裏を少し確認して元に戻すといった，よりリアルな
操作を実現できた．
特に，リアルさの追求として，ページめくり時に
裏面やさらにその奥のページも表示するのはもちろん
のこと，ページからはみ出して貼り付けられている
付箋紙のめくり表示も独自実装により実現している
（図 - ４参照）．
２） バインダの任意ページを瞬時に開けるサムネイ
ルビューを採用
従来製品では，インデックス内のページをサムネイ
ル表示し，ページの入れ替え機能を提供していた．
注６） ツールチップとは，設定された箇所にマウスカーソルを合わせると表示される，説明やヘルプなどが書かれた小さなウィンドウである．
楽２ライブラリ Smart では，インデックス内では
なく，バインダ内の全ページを一覧表示できるサムネ
イルビューを用意した．これにより，ひと目で全体を
確認できると共に，瞬時に目的のページにジャンプで
きる．
さらに，サムネイル上で任意のページを複数選択し
て，コピーや移動，削除といった操作ができるため，
ユーザビリティを向上することができた．
3.2 クラウドサービスを利用した新しいスタイルのデータ活用
クラウドサービス上にデータを格納することで，いつ
でも，どこでも，かんたんに，他の PC やスマートデ
バイスへデータを取り出すことができる．これにより，
ユーザーのワークスタイルやライフスタイルに合わせ
た，データ活用を実現している．
（１） スマートデバイスでもバインダのままデータを閲
覧
PC 内のローカルデータとクラウドのデータを一元管
理するため，データ管理機能は一から設計を行った．
従来製品では，バインダ情報を PDF ファイルに変換
してクラウドサービスへ転送する機能を提供し，遠隔地
から PC やスマートデバイスを利用して閲覧できるよ
うにしていた．本製品では，PDF ファイルのような汎
用的なファイル形式ではなく，独自のデータ形式を採用
することで，他の PC やスマートデバイスにおいても，
楽２ライブラリの特長であるキャビネットやバインダの
形状でデータを閲覧できるようになった．
◆図 - ４ ビューア画面◆
（Fig.4-Rack2-Viewer）
ページをはみ出して貼り付けた付箋紙にも対応
ページの隅をつかんでリアルなめくり操作
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新世代ファイリングソフトウェア 楽２ライブラリ Smart with Magic Desktop
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（２） クラウドサービスによるデータ活用の利便性向上
１） 確実にデータ転送を行えるデータ形式を採用
バインダデータをクラウド上へ転送する際は，クラ
ウドサービスから提供される API注７）を利用する．そ
の API には，ファイルサイズの容量制限があるため，
当初はページごとにデータを送信する方式を検討して
いたが，何十ページと連続で送信した場合に，途中で
送信エラーが発生することが多かった．
それに対して，1 ファイルに圧縮した場合は，ファ
イルサイズの容量制限に達する可能性があるものの，
クラウドへのデータ送信処理でエラーが発生する頻度
が少なくなり，かつ，エラー時の対応も 1 ファイル
に対する考慮で済む．
それぞれの方式のメリットとデメリットを勘案した
結果，本製品では「確実にデータを送信できること」
を重視し，1 ファイルに圧縮して送信する方式を採用
した．
２） 利用シーンに応じたデータ共有形式
クラウドサービスを利用したデータ共有として，「①
個人の複数端末での共有」と「②他のユーザーとの共
有」の 2 つのシーンがある（図 -5 参照）．
① 個人の複数端末間でのバインダ共有
昨今は，複数の PC を保持したり，スマートフォ
ンやタブレット端末などのスマートデバイスと PC
とを併用したりするユーザーも多い．そのような場
合，PC 側でバインダデータを作成した後，クラウ
ドサービス上に転送しておけば，クラウドサービス
を経由して，いつでも，どこでも，かんたんに，そ
れらのバインダデータをスマートデバイスへ取り
出すことができる．
② 他のユーザーとのバインダ共有
クラウドサービスには，他のユーザーとデータ
を共有する機能がある．クラウドサービス上の楽２
ライブラリ Smart 用に作成したデータ格納フォル
ダに対して，共有設定をすることにより，自分がク
ラウドサービスに転送したバインダデータを，他の
ユーザーに公開できる．なお，共有設定を行う際に
は，アクセス権限を設定することで，他のユーザー
は参照のみ，といった権限も設定できる．
注７） API（Application Program Interface）とは，ソフトウェアコンポーネントが互いにやりとりするのに使用するインターフェースの仕様である．
3.3 バインダをスマートデバイスに持ち出して活用
PC とスマートデバイスを併用し，新しいワークスタ
イルやライフスタイルを取り入れているユーザー向け
に，楽２ライブラリ Smart では，iOS および Android
端末向けに専用アプリケーションを提供している．この
専用アプリケーションを使うことにより，バインダをス
マートデバイスに持ち出して活用することができる．
（１） 外出先で持ち出したバインダを軽快にタッチ操作
PC と比べてハードウェア性能（CPU，メモリ）が
異なるスマートデバイスにおいても，指先で軽くタッチ
してサクサク閲覧できる軽快な操作を実現した．
１） スマートデバイスでもバインダをサクサク閲覧
ページをめくる際，きれいな画質のままページをめ
くると，画像データサイズが大きいため処理遅延が発
生する．この問題を解消するため，前後複数ページの
画像データを先読みしながら，画質を落とした軽い画
像を表示し，めくり操作が完了した時点で，綺麗な画
像を表示しなおすことで軽快な操作感を実現した．
２） タブレットやスマートフォンなど，利用端末に適
した画質で持ち出し
PC のキャビネットからスマートデバイスにバイン
ダを転送する際に，画像サイズが転送性能に影響する
ため，どの程度の画質が最適なのか検討する必要が
あった．画面の大きなタブレット向けに高画質なデー
タにすると，タブレットより処理性能が低いスマート
フォンでは持ち出しに時間を要したり，期待する操作
感を得られなかったりした．また，画質を落としすぎ
るとタブレットで画像を拡大した時に粗さが目立つこ
とになる．この問題を解決するために，スマートデバ
◆図 - ５ クラウドサービスを利用したデータ共有◆
（Fig.5-Data sharing using cloud services）
Aさんのスマートデバイス
AさんのPCBさんのPC
SugarSyncDropbox
ダウンロード
ダウンロード
DropboxやSugarSync のフォルダ共有機能を用いて，クラウドサービス上で，ＡさんからＢさんへデータを共有 アップロード
クラウドサービスを経由して，複数端末間でのデータ共有
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イス側の端末仕様に合わせて画像サイズや表示品質の
バランスをユーザーが選択できるようにし，使用する
デバイスに応じて最適な画質のバインダを持ち出せる
ようにしている（図 - ６参照）．
持ち出すバインダにはパスワードを設定でき，クラ
ウドサービスでデータを共有している場合でも閲覧者
を制限することができる．
（２） 運用パターンに応じて選べる 2 つの持ち出し方式
楽２ライブラリ Smart では，スマートデバイスにバ
インダデータを持ち出す方法として，Wi-Fi 通信で直
接連携する方式と，クラウドサービスを経由して連携す
る方式の 2 種類を用意している．打合せ前にレビュー
用資料などをさっと持ち出す場合は，通信速度が速い
Wi-Fi を利用するのが便利である．また，マニュアルや
カタログなど，必要に応じて確認したい資料はクラウド
サービス上にバインダを保管しておき，外出先で見たい
時にクラウドサービスからダウンロードして閲覧するこ
とができる．
（３） 持ち出しバインダをスマートデバイスでかんたん
編集
従来製品では，スマートデバイス上でのバインダ情報
の活用を閲覧のみと想定し，PDF 形式での出力を採用
した．本製品ではスマートデバイスでも情報の整理や編
集ができるよう，独自のデータ形式を採用し，スマート
デバイスでのデータ編集機能を実装した．
具体的には，外出先でページを閲覧中に気付いたこ
とがあれば，そのページにテキストやマーカーでメモを
とり，外出先から戻った際にこれらのメモを PC のバ
インダへフィードバックできる機能を提供した．メモの
フィードバックは差分データのみを Wi-Fi 経由で PC
へ送信する仕組みにした．これにより，瞬時にバインダ
へ反映することができるだけでなく，1 度フィードバッ
クした後に，追加でメモを取った場合でも重複なくバイ
ンダへフィードバックできるようになっている．
3.4 外出先で集めた素材を PC へ連携して情報整理
楽２ライブラリ Smart の iOS および Android 端末
向けアプリケーションでは，バインダに対するメモや
マーカー機能に加えて，スマートデバイス上で新規にメ
モを作成する機能を提供している．
このメモ機能はテキストだけでなく，画像データも
メモ内に挿入できる．画像データはスマートデバイス
のカメラで撮影したり，各種アプリケーションと連携
して取り込んだりできる．もちろん，ScanSnap でス
キャンしたイメージデータをスマートデバイスで受信
できる PFU 製ソフトウェア「ScanSnap Connect
Application」を経由して，スキャニング画像も取り込
むことができる．
なお，作成したメモは Wi-Fi 経由で楽２ライブラリ
Smart や Magic Desktop に送信し，素材として活用
できる（図 - ７参照）．
3.5 Magic Desktop によるドキュメントコミュニケーション
Magic Desktop ではラベル付けによるコンテンツ
管理機能を実現し，また SNS との連動によるドキュメ
ントコミュニケーション機能を提供した．
（１） 作業中のコンテンツを机の上で整理，編集する
楽２ライブラリのキャビネットには，もう内容を変更
しない書類や書籍などの「完成したコンテンツ」を保管
する．一方，Magic Desktop では日常的に発生する
アイディアやメモなど，頻繁に内容の追加や変更を行う
「作業中のコンテンツ」をさっと入れて，後でかんたん
に整理できる．
つまり，Magic Desktop で取り込んだ資料を閲覧
◆図 - ７ メモ機能◆
（Fig.7-Page memo function）
楽２ライブラリSmart for iOS／Android
◆図 - ６ タブレット端末用の高画質画面◆
（Fig.6-High-resolution screen for tablet terminals）
拡大
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しながら書類作りを進め，書類が完成したら，参考資料
と一緒に「完成したコンテンツ」として楽２ライブラリ
Smart のバインダへ保管できる（図 - ８参照）．
（２） 効率的なドキュメントコミュニケーションを実現
企業では，各ドキュメントに対して「作成」→「レ
ビュー」→「承認」という過程でコミュニケーション
（ドキュメントコミュニケーション）を行うが，Magic
Desktop ではこのコミュニケーションに Facebook
を活用できる．Magic Desktopのダッシュボードでは，
Facebook のフィード情報を表示し，Facebook に記
事や画像を投稿することができ，情報を収集，発信しな
がらコミュニケーションを図ることができる（図 - ８参
照）．
一人で複数の業務を担当する場合には，ドキュメント
にラベル付けしてグループ管理するグループラベル機能
を利用して，業務別にドキュメントを管理できる．この
グループラベルは Facebook のグループと紐付けがで
き，グループラベルの選択に応じて，表示するグループ
フィードを切り替えることができる．グループラベルの
切り替えというワンタッチ操作で，コンテンツとコミュ
ニケーションが同時に切り替わるため，ドキュメントコ
ミュニケーションを瞬時に開始できる．
このように Magic Desktop では，複数人と SNS
上でコミュニケーションを図りながら仕事を進めると
いった，新しいワークスタイルに対応している．
（３） タブレット端末でもかんたんに情報整理
Magic Desktop では，Windows8 タブレットでの
使用を想定し，画面をデザインした．
マウスとは異なり，タッチ操作では数ミリ単位の細か
い操作は行えない．そのため，ボタンやドラッグ＆ドロッ
プ操作が可能な画面コントロールはタッチしやすいよう
に，大きくデザインしている．また，マウス操作でよく
利用されるマウスオーバー時の処理（例えばツールチッ
プの表示等）は，タッチ操作では利用できないため，設
計段階から採用しなかった．
さらに，各画面コントロールをタッチやドラッグした
際に，ユーザーに何かしらのフィードバックを提供して
いる．例えばコンテンツをドラッグ中は，ドロップ可能
な領域をユーザーに視覚情報としてフィードバックして
いる．
4 モニタープログラムの取り組み
楽２ライブラリ Smart は，製品発売に先駆けてより
多くのお客様にご意見を頂き，製品作りに活用させて頂
くことを目的として，2012 年 6 月にモニタープログ
ラムを実施した．本モニタープログラムには 11,521
名のお客様に参加頂き，そのうち多数の方から評価の回
答を頂いた．
アンケート結果参２）として 87% の方から継続利用し
たいというご回答を頂いた．また，製品の機能および使
い勝手について，よい点や悪い点も含めて実際に利用し
たお客様の生の声を頂き，貴重な経験を得ることができ
た．この評価結果を踏まえ，製品の使い勝手の改善や新
たな利用提案にむけた機能強化を図っていきたいと考え
ている．
5 むすび
モバイル＆クラウド時代におけるファイリングとこれ
からのコミュニケーション機能を融合させた，新しい情
報整理および共有を実現する製品として，「楽２ライブラ
リ Smart with Magic Desktop」の提供を開始した．
今後，スマートデバイスおよびクラウドサービスが
さらに普及し，ソーシャルネットワーキングサービスを
活用したコミュニケーションスタイルが当たり前になる
等，社会で働く人々のワークスタイルやライフスタイル
が大きく変革していくと想像される．
このような時代に向け，いつでも，どこでも，かんた
んに扱うことができるデジタル書庫を提供することがで
きた．
今後，楽２ライブラリで培ってきた人に優しいユーザ
◆図 - ８ Magic Desktop ◆
（Fig.8-Magic Desktop）
クリップボードに資料をまとめて，バインダへ保管
ドラッグ＆ドロップ
ラベルの切り替えで関係資料を一括表示
グループラベル デスクトップ領域 ダッシュボード
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新世代ファイリングソフトウェア 楽２ライブラリ Smart with Magic Desktop
ビリティと，PFU の強みであるスキャナをはじめとす
る電子化技術を活かし，紙と電子の融合によるソリュー
ション，およびユーザー・エクスペリエンスを提供でき
るようにさらなる進化を追求していく．
参考文献参１） 井波，柄田，瀬川：デジタルバインダ楽２ライブラリ，PFU
Tech.Rev.,15,1,pp.25-32(2004)．
参２） 楽２ライブラリ Smart モニタープログラム結果報告 （http://www.pfu.fujitsu.com/raku2library/smart/monitor.html）
