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Copyright © 2019 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved. コーポレート・アドバイザリー本部 企業調査部 調査部 マクロ経済研究センター グローバル経済と主要産業の動向 2019年度下期) 201912

グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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コーポレート・アドバイザリー本部

企業調査部

調査部 マクロ経済研究センター

グローバル経済と主要産業の動向

(2019年度下期) 2019年12月

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目次

本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。

本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。

ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じております。

1.グローバル経済の動向

2

2.主要産業の動向 32

1. 鉄鋼 ・・・33

2. オイル・ガス ・・・34

3. 石油化学 ・・・35

4. 紙パルプ ・・・36

5. 医薬品 ・・・37

6. 食品 ・・・38

7. 電子部品・半導体 ・・・39

8. 家電 ・・・40

17. 不動産 ・・・49

18. アパレル ・・・50

19. 百貨店・スーパー ・・・51

20. 外食 ・・・52

21. レジャー(旅行・ホテル)・・・53

22. 電力 ・・・54

23. 情報サービス ・・・55

産業天気図 ・・・56

1. 世界経済 ・・・ 3

2. 日本経済 ・・・ 4

3. 米国経済 ・・・12

4. 欧州経済 ・・・18

5. 中国経済 ・・・23

6. 為替 ・・・28

9. 機械 ・・・41

10. 自動車 ・・・42

11. 造船 ・・・43

12. 通信 ・・・44

13. 海運(外航) ・・・45

14. 空運 ・・・46

15. 陸運倉庫 ・・・47

16. 建設 ・・・48

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1.グローバル経済の動向

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世界景気は減速傾向にあるものの、2020年は持ち直し

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :世界経済

◆世界経済に減速感世界経済は全体的に減速傾向。IT需要の

一巡、中国での設備投資調整、貿易摩擦の広がりなどが押し下げに作用。2020年は持ち直しに転ずるものの、力強い牽引役が不在の状況が続く見込み。

◆新興国は二極化新興国は、内需が堅調なインド・ASEA

Nは高めの成長を維持するものの、その他地域が減速。とりわけ、新興国GDPの3割を占める中国が、製造業の生産・投資環境の悪化から成長ペース鈍化。また、IT需要の急増が一巡したNIEs、通貨が急落したトルコ・アルゼンチンなどでも下振れ。

◆先進国は減速明確化

先進国では、米国で大統領選を意識した政

策運営が行われる結果、減速しながらも潜在

成長ペースは確保。ユーロ圏と日本も堅調な

内需に支えられて潜在成長率並みの成長は確

保。ブレグジットの混乱が続く英国では、成

長が加速しにくい状態が続く見込み。

◆当面は下振れリスクが大

リスク要因は中国経済と米国の経済政策。

中国で内需の下振れ圧力が高まる可能性があ

るほか、貿易摩擦の激化による輸出入と投資

マインドの下振れなども懸念材料。

世界の実質GDP成長率見通し

▲2

▲1

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1

2

3

4

5

6

2000 05 10 15 20

新興国

先進国

世界

(%)

(年)(資料)各国統計、IMFをもとに日本総研作成

予測

世界の実質GDP成長率の寄与度

▲4

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2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

アルゼンチン

トルコ

(%)

(年)(資料)IMF

予測

通貨急落国の実質GDP成長率

(暦年、%)

2018年 2019年 2020年 2021年

(実績) (見込) (予測) (予測)

世界計 3.6 3.0 3.4 3.4

先進国 2.2 1.7 1.5 1.6

アメリカ 2.9 2.3 2.0 1.9

ユーロ圏 1.9 1.2 1.2 1.3

イギリス 1.4 1.3 1.1 1.3

日本 0.7 1.0 0.6 1.1

新興国 4.5 3.7 4.4 4.5

BRICs 5.9 5.0 5.5 5.4

中国 6.6 6.2 6.1 5.9

インド 6.8 5.2 6.2 6.5

NIEs 2.8 1.6 2.1 1.8

韓国 2.7 1.9 2.3 1.9

台湾 2.6 2.6 2.7 2.0

香港 3.0 ▲1.0 0.3 1.3

ASEAN5 5.2 4.8 5.1 5.1

インドネシア 5.2 5.0 5.2 5.3

タイ 4.1 2.6 3.0 3.1

マレーシア 4.7 4.5 4.7 4.8

フィリピン 6.2 5.9 6.4 6.4

ベトナム 7.1 7.1 6.7 6.6

(資料)IMF、各国統計をもとに日本総研作成

(注1)世界193ヵ国。先進国は、IMFの分類からNIEsを除く。具体的には、米・日・ユーロ圏

    (19カ国)のほか、英・豪・加など35カ国。先進国以外を新興国とした。

(注2)地域は購買力平価ベース。

(注3)インドのみ年度ベース(当年4月~翌年3月)。

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グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :日本経済

概況:景気に足踏み感

景気 企業 鉱工業生産は、大型台風など自然災害の影響

もあり、自動車や汎用機械を中心に大きく低下外需

雇用所得

失業率は1992年以来の低水準圏名目賃金は振れを伴いつつ増加基調 家計 実質消費は増税前の駆け込み需要で大幅増

住宅着工は緩やかに減少物価

※シャドー部は景気後退期

景気動向指数の一致系列は、小売販売の増加で上昇。先行系列は低下傾向が持続

輸出は米国や欧州向けが下振れ

輸入は原油価格の下落により減少

企業物価は原油価格下落に伴い低下傾向消費者物価は上昇幅が縮小

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2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(2015年=100)

(資料)内閣府 (年/月)

景気動向指数

(CI、先行指数)景気動向指数

(CI、一致指数)

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2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(2015年=100)

(資料)経済産業省 (年/月)

鉱工業生産指数

鉱工業在庫指数

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2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(2015年=100)

(資料)日本銀行 (年/月)

実質輸入

実質輸出

▲ 4

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6

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-1.5

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3.5

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2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(%)

(資料)総務省、厚生労働省 (年/月)

現金給与総額(前年比、右目盛、日本総研試算値)

完全失業率(左目盛)

(%)

▲6

▲4

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0

2

4

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2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(%)

(資料)総務省、日本銀行 (年/月)

消費者物価指数

(全国、生鮮除く総合、前年比)

国内企業物価指数(前年比)

70

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2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(2015年=100)

(資料)総務省、国土交通省 (年/月)

実質消費支出指数(左目盛)

新設住宅着工戸数

(年率、右目盛)

(万戸)

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内需は堅調ながら、外需の伸び悩みで製造業生産は低迷 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :日本経済

内需は堅調ながら、外需の伸び悩みで製造業生産は低迷

◆7~9月期は成長率が鈍化

2019年7~9月期の実質GDPは(1次速報

値)は、前期比年率+0.2%と4四半期連続の

プラス成長となったものの、4~6月期(同+

1.8%)から成長ペースは大きく鈍化。訪日韓

国人の減少を受けたインバウンド消費(サービ

ス輸出)の下振れと、在庫投資の減少が成長率

を下押し。一方、個人消費や設備投資、公共投

資など国内最終需要は堅調。

◆鉱工業生産は大幅に低下

10月の鉱工業生産指数は、前月比▲4.2%と

大きく低下。台風の影響で部品調達に支障が出

た汎用・業務用機械工業や、一部メーカーが生

産停止となった自動車工業など、幅広い業種が

減産。先行きの生産計画も、11月が同

▲1.5%、12月は同+1.1%と弱い動きが持続。

生産活動が低迷する背景として、輸出の伸び

悩みを指摘可能。中国やアジア向けに下げ止ま

りの動きがみられる一方、米国向けは自動車を

中心に減少傾向。

◆公共投資は堅調

公共投資は、消費増税に備えて積み増された

公共事業の執行が本格化するなか、増加傾向。

先行指標である10月の公共工事請負金額は、足

許で一段と増加。

▲ 4

▲ 2

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2

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6

2015 16 17 18 19

個人消費 住宅投資設備投資 在庫投資官公需 外需実質GDP

(%)

(年/期)

(資料)内閣府を基に日本総研作成

(注)官公需=政府消費+公共投資+公的在庫変動。

外需=輸出-輸入。

実質GDP成長率(前期比年率)

85

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90

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2013 14 15 16 17 18 19

生産

出荷

在庫(右目盛)

(2015年=100)

(資料)経済産業省

(注)生産指数の白抜き(11月、12月)は、製造工業予測指数を基に

先延ばし。

(年/月)

鉱工業指数(季調値)

(2015年=100)

95

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130

2015 16 17 18 19

世界<100>(右目盛)米国<20>EU<11>中国<23>中国を除くアジア<30>

(資料)財務省、日本銀行を基に日本総研作成

(注1)<>は2018年シェア。後方3ヵ月移動平均。

(注2)中国には香港を含む。

(年/月)

(2012年=100)

実質輸出(季調値)

(2012年=100)

12

13

14

15

16

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20

21

22

23

2015 16 17 18 19

公共工事出来高 請負金額(右目盛)

(兆円)

公共工事出来高と請負金額(年率、季調値)

(年/月)

(資料)国土交通省、東日本建設業保証を基に日本総研作成

(注)非居住用。後方3ヵ月移動平均。

(兆円)

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輸出は力強さを欠く動き

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :日本経済

輸出は力強さを欠く動き

◆財輸出は力強さを欠く動き

足許の財輸出は低迷。品目別にみると、世界

的なIT需要の底入れを受け、電子部品・デバ

イスが堅調に推移したものの、中国などアジア

向けの資本財の伸び悩みが持続。加えて、輸送

用機械は、ウェイトの高い米国向けが大きく減

少。日本から輸出していた完成車の現地生産シ

フトが進んだ模様。

先行き、米国向けの輸送用機械は弱い動きが

続くとみられ、輸出全体でみても、世界景気が

全般的に勢いを欠くなか、力強い回復は期待し

難い状況。もっとも、半導体需要の持ち直しに

加え、世界的な設備投資の抑制姿勢について

も、機械受注が持ち直すなど足許で変化の兆し

がでてきており、電子部品や資本財を中心に、

輸出はやや持ち直す見込み。

◆インバウンド需要は下振れ

10月の訪日外客数は、前月比▲1.8%の減

少。ラグビーワールドカップの開催を受け、参

加国からの訪日客は増加したもの、日韓関係の

悪化を背景に訪日韓国人数の減少が持続。台風

19号による航空便の欠航も下押しに作用。

先行きは、自然災害の影響が一巡するもの

の、訪日韓国人数の低迷が長期化することで、

弱い動きが続く見通し。

95

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2015 16 17 18 19

全品目<100.0>(右目盛)

電子部品・デバイス類<15.8>

資本財<22.3>

輸送機械<29.7>

品目別の実質輸出(季調値)

(2016年=100)

(資料)財務省、日本銀行を基に日本総研作成

(注1)<>内は、2018年名目輸出全体に占めるシェア。

(注2)後方3ヵ月移動平均。

(年/月)

(2016年=100)

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150

2015 16 17 18 19

米国<32.0>中国、香港<9.7>アジア(除く中国、香港)<13.7>その他<44.7>

輸送用機械の地域別実質輸出(季調値)

(2015年=100)

(年/月)(資料)財務省、日本銀行を基に日本総研作成

(注1)<>内は、2018年名目輸出全体に占めるシェア。

(注2)後方3ヵ月移動平均。

90

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9

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13

2016 17 18 19

機械受注・外需(左目盛)

名目資本財輸出(右目盛)

(年率換算、兆円)

(資料)内閣府、財務省、日本銀行を基に日本総研作成

(注)後方3ヵ月移動平均。機械受注の白抜きは受注見通し。

(年/月)

機械受注の外需と資本財輸出(季調値)

(2015年=100)

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

150

200

250

300

350

2016 17 18 19

訪日外客数(左目盛)インバウンド消費(旅行収支の受取、右目盛)

(万人) (億円)

訪日外客数とインバウンド消費(季調値)

(年/月)

(資料)財務省、日本政府観光局を基に日本総研作成

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6 161:167:151

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7 196:215:0

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4 219:239:199

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8

77:117:102

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5

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7

企業収益は足踏みも、設備投資は増加基調 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :日本経済

◆企業収益は足踏み

企業収益は高水準を維持しつつも、このと

ころ弱含み。法人企業統計季報によると、7

~9月期の経常利益は、前期比▲1.1%と2四

半期連続の減益。製造業は、世界的な設備投

資の減速を受けて、鉄鋼、化学などの素材関

連や、生産用機械、情報通信機械の収益が悪

化。非製造業では、消費増税前の駆け込み需

要を受けて小売業が増益となったものの、携

帯電話通信料金を引き下げた情報通信業のほ

か、訪日韓国人客減少の影響を受けた宿泊・

飲食業などで減益に。

10~12月期の企業収益は、消費増税に伴う

駆け込み需要の反動減や、大型台風の襲来な

ど相次ぐ自然災害により生産・販売が下振れ

た影響で一段と減少するものの、その後は、

輸出の持ち直しが下支えとなり、回復に向か

う見込み。

◆設備投資は増加基調

一方、設備投資は、増加基調が持続。7~

9月期の設備投資(ソフトウェア除く)は、

製造業、非製造業ともに増加。人手不足を背

景とした合理化・省力化投資や、老朽化に伴

う維持・更新投資が堅調であり、先行きも、

設備投資は増加基調が続く見通し。

▲3

0

3

6

9

12

15

18

3月 6月 9月 12月見込実績

2016年度

2017年度

2018年度

2019年度

<製造業>

(資料)日本銀行

(注)土地投資額を含み、ソフトウェア、研究開発投資額を含まない。

17年12月は調査対象企業の見直しにより、不連続。

(%)

設備投資額の修正状況(全規模、前年度比)

▲8

▲6

▲4

▲2

0

2

4

6

8

10

3月 6月 9月 12月見込実績

(%)<非製造業>

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

12

14

16

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(兆円)

(年/期)

製造業

非製造業

(資料)財務省

(注)金融業、保険業を除く、全規模・全産業。

法人企業の経常利益(季調値)

2

3

4

5

6

7

8

9

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

製造業

非製造業

(兆円)

(年/期)(資料)財務省

(注)金融業、保険業を除く、全規模・全産業。

ソフトウェアを除く設備投資額。

法人企業設備投資額(季調値)

▲ 8

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

12

2015 16 17 18 19

(兆円)

(年/期)

売上高変動費率人件費減価償却費営業外損益経常利益

経常利益の要因分解(2015年Q1対比)

(資料)財務省を基に日本総研作成

(注)金融業、保険業を除く、全規模・全産業。季節調整値。

変動費=売上原価+販管費-人件費-減価償却費。

Page 9: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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2 201:198:189

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6 161:167:151

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7 196:215:0

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8

所得は堅調に回復 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :日本経済

◆所得環境の改善が持続

雇用者数は、昨年に比べ増加ペースが鈍化し

たものの、前年差+60万人前後の増加基調が持

続。輸出の低迷を背景に、製造業では労働需要

がやや弱含んでいるものの、非製造業の労働需

要の強さが雇用者数の増加に作用。業種別に

は、人手不足が顕著な飲食サービスや医療・福

祉業などで雇用が拡大。加えて、働き方改革な

どの影響で一人当たりの労働時間が減少してい

ることも、雇用者数の押し上げに寄与。

一方、賃金面では、名目賃金の改善傾向が持

続。9月の一般労働者の現金給与総額は、調査

対象企業の入れ替えの影響を除けば、前年比+

1.6%の増加。ベースアップの実施などを背景

に、所定内給与のプラス基調が続いていること

が、名目賃金の押し上げに作用。

◆雇用者所得は堅調に拡大

先行きを展望すると、依然として非製造業を

中心に、多くの業種で人手不足感が強いことか

ら、雇用者数は緩やかな増加が続く見込み。名

目賃金も、労働需給の逼迫を背景に、底堅い伸

びが持続。この結果、雇用者報酬は2%前後の

伸びが持続する見通し。

▲ 50

0

50

100

150

200

2016 17 18 19

製造業 非製造業 全産業(万人)

(年/月)

(資料)総務省

産業別の雇用者数(前年差)

100

110

120

130

140

2014 15 16 17 18 19

製造業 非製造業

(2014年1月=100)

(年/月)(資料)厚生労働省

(注)後方12ヵ月移動平均。

新規求人数

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

2016 17 18 19

所定内給与

所定外給与

特別給与

現金給与総額

(%)

(年/月)

(資料)厚生労働省を基に日本総研作成

(注)2018年1月、2019年1月に実施された調査対象企業の

入れ替えにより生じたデータの断層を調整。

一般労働者の現金給与総額(前年比)

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

2012 13 14 15 16 17 18 19 20

雇用者数

一人あたり名目雇用者報酬

名目雇用者報酬

(資料)内閣府などを基に日本総研作成(年度)

見通し

(%)

名目雇用者報酬(前年比)

Page 10: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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7 196:215:0

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4 219:239:199

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トピック:消費増税後の個人消費の動向 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :日本経済

◆10月の小売販売は大幅に減少

増税後の消費動向をみると、10月の小売販売

は前年比▲7.1%と大幅に減少。

業態別では、百貨店が同▲17.3%、自動車が

同▲17.0%、家電大型専門店が同▲14.2%と大

幅マイナスに。これは、消費増税の反動減によ

る落ち込みに加え、様々な下振れ要因が重なっ

た影響も大。百貨店や家電量販店では台風によ

る臨時休業が販売の下振れにつながったほか、

自動車販売は、部品供給の不具合で一部メー

カーが生産を停止したことも影響。一方、スー

パーでは、主力商品の食料品に軽減税率が適用

された影響もあり、販売の減少幅が小さかった

ほか、キャッシュレス決済時のポイント還元措

置の恩恵を身近に感じられるコンビニは、前年

に比べ売上が増加。

◆消費の回復基調は損なわれず

先行きを展望すると、天候要因など一時的な

マイナス影響の剥落に加え、駆け込み需要の反

動減も2014年の増税時の4割程度と限定的なこ

とから、個人消費の落ち込みは長期化しない見

込み。さらに、増税後の消費者物価をみると、

軽減税率の導入や幼児教育・保育の無償化に加

え、エネルギー価格の下落なども押し下げに寄

与したことで、増税が実施されたにもかかわら

ず物価上昇は限定的。増税後も家計の実質所得

はプラスを維持しているため、個人消費は再び

緩やかな増加基調に復帰する見通し。

▲ 8

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

6

8

10

2016 17 18 19

(%)

(資料)経済産業省

小売販売額(前年比)

(年/月)

▲ 20

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

小売全体 百貨店 自動車 家電大型

専門店

スーパー コンビニ

(%)

(資料)経済産業省

(注)自動車のみ業種別小売額。

10月の業態別小売販売額(前年比)

2.5

1.0

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

2014年 2019年

(兆円)

(資料)内閣府を基に日本総研作成

(注)以下の推計式を基に試算。データは対数階差系列を使用。

実質家計消費=定数項+α ・実質雇用者報酬+β :消費者態度指数+駆け込み・反動ダミー

消費増税前半年間の駆け込み需要(試算値)

0

1

2

3

4

2014年 2019年

消費者物価 総雇用者所得

(%)

(資料)内閣府、総務省

(注)消費者物価は増税月、総雇用者所得は増税直前期の計数

を使用。

消費増税時の名目所得と消費者物価(前年比)

名目所得増加

<物価上昇名目所得増加

>物価上昇

Page 11: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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4 219:239:199

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消費増税を乗り越え緩やかな回復が持続 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :日本経済

(四半期は前期比年率、%、%ポイント)

2019年 2020年 2021年 2022年

7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3

(実績) (予測) (予測)

実質GDP 0.2 ▲ 2.0 1.2 1.6 1.2 0.4 0.8 0.8 0.7 0.7 0.7 0.8 0.7 0.7

個人消費 1.4 ▲ 5.9 2.6 2.0 ▲ 0.5 1.0 0.8 0.8 0.7 0.7 0.7 0.4 0.4 0.7

住宅投資 5.7 ▲ 4.8 ▲ 3.8 ▲ 3.6 0.0 1.3 0.4 0.0 ▲ 2.5 ▲ 2.3 0.0 2.1 ▲ 1.7 ▲ 0.5

設備投資 3.5 ▲ 0.9 1.9 2.1 2.0 1.9 1.9 1.7 1.7 1.5 1.5 1.8 1.7 1.7

在庫投資 (寄与度) (▲ 1.2) ( 0.3) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) (▲ 0.1) (▲ 0.0) ( 0.0)

政府消費 2.2 1.4 0.2 2.1 3.2 ▲ 0.7 1.0 0.5 0.5 0.5 0.5 2.2 1.4 0.6

公共投資 3.4 2.5 1.6 0.0 ▲ 1.4 ▲ 1.6 ▲ 3.3 ▲ 1.5 0.0 0.2 0.2 3.7 0.0 ▲ 1.2

純輸出 (寄与度) (▲ 0.6) ( 1.0) (▲ 0.5) (▲ 0.1) ( 0.6) (▲ 0.3) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) ( 0.0) (▲ 0.1) (▲ 0.3) ( 0.0) ( 0.0)

輸出 ▲ 2.6 4.9 ▲ 0.8 2.0 3.6 ▲ 0.6 2.0 2.2 2.2 1.9 1.6 ▲ 0.9 1.5 1.8

輸入 0.9 ▲ 1.0 2.0 2.8 0.3 0.9 1.9 2.1 2.1 1.9 1.9 0.6 1.3 1.8

(前年同期比、%)

名目GDP 1.9 2.0 1.4 1.4 1.4 1.3 1.3 1.3 1.2 1.2 1.3 1.7 1.3 1.2

GDPデフレーター 0.6 1.5 1.1 1.0 1.0 0.2 0.3 0.5 0.5 0.5 0.5 0.9 0.6 0.5

消費者物価指数 (除く生鮮) 0.5 0.6 0.8 0.7 0.9 0.6 0.6 0.8 0.8 0.8 0.9 0.7 0.7 0.8

(除く生鮮、消費税、教育無償化) 0.5 0.3 0.4 0.4 0.6 0.7 0.7 0.8 0.8 0.8 0.9 0.5 0.6 0.8

鉱工業生産 ▲ 0.8 ▲ 6.5 ▲ 1.0 ▲ 1.3 0.1 4.2 1.1 0.5 0.7 0.5 0.5 ▲ 2.7 1.0 0.6

完全失業率     (%) (%) 2.3 2.3 2.3 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.1 2.1 2.1 2.3 2.2 2.1

経常収支 (兆円) 5.69 2.60 5.95 4.57 5.90 4.08 6.78 5.23 7.10 3.54 7.10 21.32 22.97 22.06

対名目GDP比 (%) 4.3 2.8 4.9 3.7 5.2 2.4 5.0 3.6 4.9 2.2 4.7 3.8 4.1 3.9

円ドル相場 (円/ドル) 107 109 109 109 109 109 109 109 109 109 109 109 109 109

原油輸入価格 (ドル/バレル) 66 64 66 67 68 68 68 68 68 68 68 67 68 68

2019年度 2020年度 2021年度

(前年比、%) (前年比、%)

2019年 2020年 2021年 2018年度 2019年度 2020年度

(予測) (実績) (予測)

米国 2.3 2.0 1.9   9月号 0.8 0.7 0.8

ユーロ圏 1.2 1.2 1.3  10月号 0.7 0.8 0.7

中国 6.2 6.1 5.9  11月号 0.7 0.8 0.7

◆景気は緩やかに回復

先行きを展望すると、消費増税の影響で景

気は一時的に落ち込むものの、その後は、外

需の持ち直しと内需の底堅さに支えられ、緩

やかな景気回復が続く見通し。

輸出は、世界的なIT需要の底入れや、設

備投資抑制姿勢の緩和がプラスに作用。世界

景気が全般的に勢いを欠くなか、力強い回復

は期待しにくいものの、電子部品や資本財を

中心に緩やかに持ち直す見込み。

一方、企業の設備投資は、人手不足や働き

方改革、IT技術の活用などを背景に、情報

化投資や研究開発に対する積極姿勢が持続。

輸出の減少に歯止めがかかることも、製造業

の投資マインドにプラスに作用。

◆増税による消費の落ち込みも限定的

個人消費も、消費増税により前回2014年の

増前時のような深刻な落ち込みや長期低迷と

なる事態は避けられる見通し。増税前の駆け

込み需要の盛り上がりが限定的だったことか

ら、前回のような大幅な反動減は生じない見

込み。また、軽減税率の導入や教育無償化の

実施で、増税後も家計の実質所得はプラスを

維持。駆け込み需要の反動減が一巡するにつ

れて、消費は再び緩やかな増加基調に。

わが国主要経済指標の予測値(2019年11月29日時点)

(資料)内閣府、総務省、経済産業省、財務省などを

基に日本総研作成

(注)2019年7~9月期のGDP(二次QE)の予測は反映せず。

海外経済の前提 過去の実質GDP予測値

Page 12: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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物価の伸びは縮小、長期金利はマイナス圏で推移 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :日本経済

◆物価は落ち着いた動き10月のコアCPIは、消費増税や幼児教育

無償化の影響を除くと、前年比+0.2%と前月に比べ騰勢が鈍化。エネルギー価格のマイナス幅拡大が物価を下押し。先行きは、エネルギー価格のマイナス幅が

縮小に向かうとみられることから、前年比+0%台半ば(消費増税や教育無償化の影響を除くベース)まで騰勢がやや強まる見通し。

◆金融政策の先行き指針を変更日銀は10月の会合で、政策金利のフォワー

ドガイダンスを「2020年春まで現在の長短金利水準を維持」から、「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の水準、またはそれを下回る水準で維持」に変更し、将来的な利下げの可能性を強調。もっとも、短期政策金利については、底堅

い景気と為替の安定を見込むなか、金融機関への副作用などを考慮すると、当面は現行の▲0.1%を維持する見通し。

◆長期金利はマイナス圏で推移11月の長期金利は、香港情勢の緊迫化な

どを受けた投資家心理の悪化から、一時的に▲0.1%を下回る局面もみられたが、その後は、米中貿易摩擦の懸念後退や中国景気の改善期待により上昇。先行きは、世界的なリスク回避の動きを背

景に、現行水準近辺での推移が続く見通し。

わが国主要金利の見通し

▲0.4

▲0.3

▲0.2

▲0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

18/3 6 9 12 19/3 6 9 12 20/3 6 9 12

新発10年物国債金利

無担保コール

TIBOR3M

(%)

(年/月末)

予測

17/12

▲1.5

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2018 19

増税の影響幼児教育無償化エネルギーその他コアCPIコアCPI(消費増税、幼児教育無償化の影響除く)

(年/月)

(資料)総務省を基に日本総研作成

(%)

コアCPI(前年比)

▲60

▲40

▲20

0

20

40

60

80

▲15

▲10

▲5

0

5

10

15

20

2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

CPIエネルギー(左目盛)

原油輸入価格(円建て、右目盛)

(%) (%)

当社予測

(年/月)

(資料)総務省、Bloomberg L.P.などを基に日本総研作成

エネルギー関連指標(前年比)

Page 13: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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景気概況:輸出の減速に歯止めの兆し グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :米国経済

◆製造業の減速に歯止めの兆し

10月の製造業生産は下振れ。とりわけ、GM

のストライキを受けて自動車生産が大幅に減

少。また、海外景気の減速が製造業部門の重石

となり、自動車を除く製造業生産も停滞。

その結果、製造業部門では在庫が積み上が

り。製造業の出荷・在庫バランスをみると、在

庫調整圧力が大きく、在庫の圧縮にはなお時間

を要する見込み。当面、在庫調整が生産の抑制

に作用。

一方、外需の減速には歯止めの兆し。世界製

造業PMIは、依然として良し悪しの判断の分

かれ目である「50」を下回っているものの、今

春を底に上昇が持続。また、今夏に大きく落ち

込んでいた米国のISM製造業輸出受注指数

も、10・11月と水準を切り上げて推移してお

り、底打ちの兆し。米中貿易交渉の進捗ととも

に、先行き、外需は緩やかな回復に向かうとみ

られ、製造業生産も徐々に持ち直しに転じる見

込み。

◆非製造業は底堅さを維持

11月のISM非製造業景況指数は、評価の分

かれ目である50を上回っているものの、前月か

ら低下。もっとも、内訳をみると、新規受注指

数が2ヵ月連続で上昇していることから内需の

増勢に変調はみられず、過度な懸念は不要。

96

98

100

102

104

106

108

2014 15 16 17 18 19

(資料)FRB

製造業生産

(年/月)

(2007年=100)

自動車除く製造業生産

製造業生産

50

52

54

56

58

60

62

64

66

2016 17 18 19

総合

新規受注

(ポイント)

(資料)ISM(年/月)

ISM非製造業景況指数

▲8

▲4

0

4

8

12

2014 15 16 17 18 19

出荷・在庫バランス

出荷(前年比)

在庫(前年比)

(資料)U.S. Census Bureau

(注)出荷・在庫バランス=出荷前年比-在庫前年比。

(%)

(年/月)

製造業の出荷・在庫バランス

在庫調整圧力大

46

47

48

49

50

51

52

53

54

55

56

40

45

50

55

60

65

2016 17 18 19

米ISM製造業輸出受注指数(左目盛)

世界製造業総合PMI(右目盛)

(ポイント)

(資料)ISM、IHS Markit (年/月)

製造業マインド

(ポイント)

Page 14: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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景気概況:家計部門は底堅さを維持 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :米国経済

◆雇用・所得環境は良好さを維持

11月の非農業部門雇用者数は前月差+26.6万

人と堅調な伸びに。また、時間当たり賃金も前

年比+3%を上回る水準を維持。

良好な雇用・所得環境が、消費者マインドの

押し上げに寄与。本年入り以降、消費者マイン

ドは米中貿易摩擦をめぐる先行き不透明感が重

石となり、一進一退の推移が続いているもの

の、過去に比べれば高い水準を維持。

◆個人消費には底堅さ

9月の小売売上高は7ヵ月ぶりに前月割れと

なったものの、10月には前月比+0.2%とプラ

スの伸びに復調。内訳でも、基調を示すコア小

売売上高が前月の落ち込みから増加に転化。9

月の下振れは一時的な調整であり、個人消費は

基調として増勢を維持していると判断。

また、本年入り後、住宅ローン金利の低下を

背景に住宅販売も増加基調。NAHB住宅市場

指数をみると、先行きの新築販売見込みが上振

れしており、住宅購入需要の底堅さを示唆。

1.0

0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

0

10

20

30

40

50

60

2015 16 17 18 19

(資料)Bureau of Labor Statistics(年/月)

雇用者数と時間当たり賃金

(%)

時間当たり賃金(前年比、右目盛)

(万人)

非農業部門雇用者数(前月差、左目盛)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

0

100

200

300

400

500

600

700

800

2015 16 17 18 19

新築住宅販売(左目盛)

中古住宅販売( 〃 )

NAHB住宅市場指数(販売見込み、右目盛)(万件)

(資料)U.S. Census Bureau、NAR、NAHB

(注)NAHB住宅市場指数は、新築一戸建て住宅市場に

対する建設業者の景況感を示す。

(年/月)

住宅販売件数

(ポイント)

▲2.5

▲2.0

▲1.5

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2017 18 19

外食 自動車・部品

建材 ガソリン

その他(コア) 小売売上高

(資料)U.S. Census Bureau (年/月)

(%)

小売売上高(前月比、寄与度)

75

80

85

90

95

100

105

110

70

80

90

100

110

120

130

140

150

2014 15 16 17 18 19

カンファレンスボード消費者信頼感指数(左目盛)

ミシガン大学消費者信頼感指数(右目盛)

(資料)The Conference Board、University of Michigan

(1985年=100)

(年/月)

消費者マインド(期待指数)

(1966年=100)

Page 15: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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2 223:221:215

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トピックス①:好調が見込まれる年末商戦

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :米国経済

◆年末商戦は好調な滑り出し米国では、11月27日の感謝祭を皮切りに年

末商戦が本格化。商戦の先行きを展望する上では、木曜日の感謝祭から翌月曜日のサイバーマンデーまでの5日間の売上が試金石に。NRF(全米小売業協会)のアンケート調査では、客数、1人当たり平均支出額ともに、今年は現行形式の調査が開始された2015年以降で最高水準に。良好な雇用・所得環境に加え、FRBの金融緩和姿勢を受けた株価・住宅価格の上昇による資産効果が、個人消費の追い風となっている状況。ちなみに近年は、店舗ではなくECサイト

で購買する消費者が急増。Adobe Analyticsによれば、足許までのオンライン販売額は前年比+10%台半ば~後半と大幅に増加しており、11~12月のオンライン小売売上高は1,400億ドル超の規模となる見通し。

◆急減速のリスクももっとも、先行き年末商戦が急減速するリ

スクは残存。昨年の年末商戦も堅調な売上が予想されていたものの、最終的な売上の伸びは予想から2%ポイント下振れる結果に。12月の政府機関閉鎖による職員への給与支給の遅延や、FRBの利上げを受けた株価急落などが消費の抑制に作用。本年に関しても、暫定予算失効にともなう政府機関閉鎖や、対中関税第4弾の発動など、下振れリスクが複数存在しており、足許の好調をもって先行きの楽観は禁物。

▲6

▲4

▲2

0

2

4

6

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

実績

当初見通し

(%)

(年)

年末商戦の売上見通しと実績(前年比)

(資料)NRF

(注)11月および12月の売上見通し。

200

220

240

260

280

300

320

340

360

380

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2015 16 17 18 19

買い物客数(左目盛)

1人当たり平均支出額(右目盛)

(資料)NRF(年)

(ドル)

感謝祭以降5日間の買い物客数と支出

(億人)

▲2

0

2

4

6

2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

資産

所得

物価

実質個人消費(実数)

実質個人消費(推計値)

(%)

(資料)BEA、FHFA、Bloomberg, L.P.を基に日本総研作成

(注1)実質個人消費について、雇用者報酬、FHFA住宅価格指数、

S&P500、消費者物価を変数とし、回帰したもの。(注2)試算は、住宅価格は2019年9月、株価は11月平均値から横這

いで推移した場合の資産効果。

(年/期)

資産効果

試算

実質個人消費の変動要因分解 (前年同期比)

10

12

14

16

18

20

22

24

0

20

40

60

80

100

120

140

11~12月の

個人支出見通し

感謝祭

(11月27日)

ブラックフライデー

(11月28日)

サイバーマンデー

(12月2日)

実額(左目盛)

前年比(右目盛)

(資料)Adobe Analytistics

(注)「11~12月の個人支出見通し」は消費者、その他はオンライン

小売業者上位100社のうち80社を対象とした調査結果。

(億ドル)

2019年年末商戦のオンライン販売額推計

1,420

1,440

(%)

Page 16: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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トピックス②:米中貿易戦争は一時休戦へ

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :米国経済

◆米中貿易戦争は一時休戦へ米中通商交渉をめぐっては、先行き、トラン

プ大統領は、少なくとも2020年11月の大統領選挙までは対中姿勢を軟化させる見通し。過去の選挙直前の現職支持率をみると、40%台半ばが再選と落選の境目。再選を目指すトランプ大統領の足許の支持率はちょうど境目付近にあるため、米中貿易戦争の激化による景気悪化や株安が支持率の低下を招く事態を回避する方向へ。メインシナリオとしては、米トランプ政権が

12月15日に予定している対中関税第4弾の発動をいったん延期した後、20年春までに中国の農産物輸入拡大や米国の追加関税の見送りなどを柱とする「第一段階」の通商合意に至ると想定。

◆マイナス影響の波及は回避これまでの米中貿易戦争による米国経済への

マイナス影響は、企業部門を中心に顕在化。とりわけ製造業では、中国向け輸出が大きく減少しているほか、トランプ政権の予測困難な通商政策を受けて受注動向などが見通しづらくなるなか、設備投資に対する慎重姿勢が強まる状況。しかし、先行きは、貿易戦争のエスカレート

が回避されることで、輸出や設備投資が徐々に底入れに向かう見通し。この結果、製造業を中心とする企業部門の弱さが家計部門に波及する事態には至らない見込み。企業の採用マインドはピークアウトしたとみられるものの、人手不足感が強いなかで依然として高水準で推移。このため、雇用削減などが広がり個人消費が腰折れする可能性は小。

20

30

40

50

60

70

80

トルーマン

アイゼンハワー

ジョンソン

ニクソン

フォード

カーター

レーガン

ブッシュ(

父)

クリントン

ブッシュ(

子)

オバマ

トランプ

(%)

大統領選挙直前の現職支持率

(資料)Five Thirty Eight、RCPを基に日本総合研究所作成

(注)トランプ大統領は2019年12月2日時点。

再選

落選再選

再選

落選

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

2016 17 18 19

(資料)NAM

製造業の設備投資計画(先行き12ヵ月、前年比)

(年/期)

(%)

▲10

▲5

0

5

10

15

20

25

30

▲40

▲20

0

20

40

60

80

100

120

2006 08 10 12 14 16 18

ビジネス・ラウンドテーブル

(先行き6ヵ月、左目盛)

NFIB中小企業楽観度指数

(先行き3ヵ月、右目盛)

(資料)Business Roundtable、NFIB

(注)ビジネス・ラウンドテーブルは、米大手企業のCEOで構成される

経済団体。

(ポイント)

(年/期・月)

(%)

企業の新規採用マインド

80

85

90

95

100

105

110

115

120

2016 17 18 19

(2016年=100)

(年/月)(資料)U.S. Census Bureau、IMF

世界計

実質輸出

中国向け

Page 17: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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米国景気・金利見通し:2%前後の成長ペースが持続

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :米国経済

米国経済・物価見通し

米国金利見通し

◆2%前後の成長ペースが続く見通し

良好な雇用・所得環境を背景に内需が底型

く推移するほか、FRBの緩和的な金融政策

が景気の下支えに寄与。加えて、大統領選挙

を控えるトランプ大統領の景気に配慮した政

策運営などを背景に、米中貿易摩擦をめぐる

先行き不透明感が和らぎ、減速が続いていた

設備投資や輸出が底打ち。結果として、2%

前後の成長ペースとなる見通し。

◆FRBは様子見姿勢へ

FRBは、通商政策をめぐる不透明感など

の景気下振れリスクを注視しながらも、今夏

以降に講じた予防的な利下げの効果を見極め

るため、様子見姿勢に転じる見通し。

長期金利は、FRBの利下げ期待が縮小す

るものの、外需の減速や米中対立をめぐる不

透明感といった景気下振れリスクが残存する

なか、低水準での動きが続く見込み。

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

2018/12 19/3 6 9 12 20/3 6 9 12

(%)

(年/月末)

FF金利誘導目標(上限)

ドルLIBOR3ヵ月

10年国債利回り

(資料)FRB、Bloomberg L.P.

予測

1.2

2.5

(四半期は季調済前期比年率、%、%ポイント)

         2019年          2020年1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12

(実績) (予測) (実績) (予測)

実質GDP 3.1 2.0 2.1 1.8 1.9 2.0 2.0 2.1 2.9 2.3 2.0

個人消費 1.1 4.6 2.9 2.1 2.2 2.3 2.3 2.4 3.0 2.6 2.5住宅投資 ▲ 1.0 ▲ 3.0 5.1 0.2 0.4 0.5 0.5 0.6 ▲ 1.5 ▲ 1.8 0.8設備投資 4.4 ▲ 1.0 ▲ 2.7 1.7 2.3 2.1 2.4 2.4 6.4 2.3 1.3在庫投資(寄与度) 0.5 ▲ 0.9 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 ▲ 0.0政府支出 2.9 4.8 1.6 1.2 1.1 1.1 1.0 1.1 1.7 2.2 1.4純輸出(寄与度) 0.7 ▲ 0.7 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.1 ▲ 0.4 ▲ 0.3 ▲ 0.2

輸出 4.1 ▲ 5.7 0.9 1.9 2.3 2.1 2.2 2.2 3.0 ▲ 0.0 1.5輸入 ▲ 1.5 ▲ 0.0 1.5 2.0 2.4 2.2 2.3 2.4 4.4 1.6 2.0

実質最終需要 2.8 3.0 1.9 1.8 1.9 2.0 2.1 2.1 2.8 2.2 2.0消費者物価 1.6 1.8 1.8 1.9 1.9 2.0 2.1 2.1 2.4 1.8 2.0

除く食料・エネルギー 2.1 2.1 2.3 2.3 2.2 2.2 2.1 2.2 2.1 2.2 2.2

(資料)Bureau of Economic Analysis、Bureau of Labor Statisticsを基に日本総研作成

(注)在庫投資、純輸出の年間値は前年比寄与度、四半期値は前期比年率寄与度。消費者物価は前年(同期)比。      

2018年 2019年 2020年

Page 18: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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Fed Watch:当面、金利は据え置きに グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :米国経済

 

◆一段の利下げには至らず先行き、今夏以降に実施されたFRBの予防

的利下げの効果が徐々に顕在化する見通し。例えば、家計部門では既に、住宅ローン金利の低下が消費者の住宅購入の判断を後押しし始めている状況。さらに、米中貿易戦争が一時休戦に至るとみ

られるなか、当面の景気失速は回避される見通し。そのため、一段の利下げは実施されないと予想。

◆利上げには高いハードル一方、利上げの再開も見通せず。過去の経験

を振り返ると、FRBは、1995年、98年にもISM製造業景況指数が良し悪しの判断の分かれ目となる「50」を下回った局面で予防的利下げを実施。その際は、景気失速が回避されたことを確認後、比較的早期に利上げに移行。もっとも、今局面ではインフレ期待の低迷が

大きな障害に。足許のインフレ期待は、過去の予防的利下げの局面に比べて低位にあるほか、2018年半ば以降は実際のインフレ率に同調する形でインフレ期待が低下。こうしたなか、FRBはインフレ期待を押し上げるため、インフレ率が目標の2%からある程度上振れすることを許容する方向。パウエル議長も10月のFOMCで、利上げを検討する条件として「インフレ率は現在の水準を大幅に上回る必要」があると指摘。こうしたなか、先行き、FRBは物価上振れの抑制より景気拡大の維持に重点を置いた政策運営を続ける公算が大。

▲40

▲20

0

20

40

60

80

2000 05 10 15

価格 金利

景気見通し リスク許容

(「良い」-「悪い」、

ポイント)

(年/月)(資料)University of Michigan

消費者の住宅購入判断への影響

悪影響

好影響

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

2015 16 17 18 19 20 21 22

実質GDP見通し(前年同期比)

(資料)BEA、FRBを基に日本総合研究所作成

(%)

(年/月)

日本総合研究所

GDP見通し

2019年9月FOMCでの

実質GDP見通し

(中央値)

10

15

20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

1990 95 2000 05 10 15

FF金利(左目盛)

ISM製造業景況指数(右目盛)

(年/月)(資料)FRB、ISM、NBERを基に日本総合研究所作成

(注)シャドー部は予防的利下げ実施局面。

(%) (%)

政策金利とISM製造業景気指数

0

1

2

3

4

5

1990 95 2000 05 10 15

コアPCEデフレーター

クリーブランド連銀推計インフレ期待(10年)

(%)

PCEデフレータ(前年比)

(年/月)(資料)BEA、クリーブランド連銀、NBER

(注1)シャドー部は予防的利下げ局面。

(注2)インフレ期待は、米国債利回り、物価指標、インフレスワップと調査ベースのインフレ期待を用いてクリーブランド連銀が推計。

Page 19: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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2 201:198:189

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9 191:177:137

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7 196:215:0

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4 219:239:199

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8

77:117:102

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18

ユーロ圏景気概況:製造業に底入れの兆し グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :欧州経済

42

44

46

48

50

52

54

56

58

60

62

2012 13 14 15 16 17 18 19

(年/月)

サービス業

製造業

(資料)IHS Markit

(ポイント)

ユーロ圏のPMI

85

90

95

100

105

110

115

120

2012 13 14 15 16 17 18 1992

94

96

98

100

102

104

106

108

110

ユーロ圏の製造業生産と輸出数量

輸出数量(右目盛)

(2015年=100)

(資料)Eurostat(年/月)

(2015年=100)

製造業生産(左目盛)

▲15

▲10

▲5

0

5

10

15

20

2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

ユーロ圏 ドイツ

ユーロ圏とドイツの製造業の受注・在庫バランス

(年/月)(資料)IHS Markitを基に日本総研作成

(注)「受注指数」-「製品在庫指数」にて算出。

(ポイント)

在庫過剰

70

75

80

85

90

95

100

94

96

98

100

102

104

106

108

110

2014 15 16 17 18 19

小売売上数量

(除く自動車、左目盛)

新車登録台数

(3ヵ月平均、右目盛)

ユーロ圏の消費者物価指数(前年比)ユーロ圏の失業率と小売売上数量ユーロ圏の小売売上数量と新車登録台数

(2015年=100)

(資料)Eurostat、ACEAを基に日本総研作成

(年/月)

(万台)

◆製造業の低迷に歯止め

11月のユーロ圏の製造業PMIは46.6と、

依然として良し悪しの判断の分かれ目となる

「50」を下回っているものの、2ヵ月連続で

改善。一方、サービス業PMIは51.5と、引

き続き底堅く推移。

製造業では、9月のユーロ圏の製造業生産

と輸出数量が、ともに2ヵ月連続で小幅に増

加。海外景気の減速を受けた製造業の低迷

に、底入れの兆し。ただし、受注・在庫バラ

ンスをみると、悪化に歯止めがかかっている

ものの、依然として在庫過剰局面が持続。

ユーロ圏の製造業の本格的な回復には、なお

時間を要する見通し。

◆個人消費は堅調に推移

良好な所得・雇用環境が続くなか、9月の

小売売上数量は2ヵ月連続で増加。

また、域内の自動車需要は大きく持ち直

し。ユーロ圏の新車登録台数は、2018年9月

に導入された排ガス規制に対する自動車メー

カーの対応の遅れを受け急激に落ち込んでい

たものの、足許で18年前半の水準まで回復。

20年入り後、海外景気の減速が一服するとと

もに輸出が持ち直すことで、ユーロ圏の自動

車産業も緩やかに回復へ向かう見込み。

Page 20: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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2 201:198:189

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9 191:177:137

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6 161:167:151

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7 196:215:0

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4 219:239:199

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19

ユーロ圏トピック:仏伊の個人消費の拡大に期待 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :欧州経済

◆仏伊の個人消費に拡大機運ユーロ圏では、先行きも底堅い個人消費が

景気の下支えとなる見通し。堅調なドイツに加え、これまで個人消費の伸びが相対的に緩慢であったフランスやイタリアでも、消費拡大が期待可能。

◆仏ではデモ収束が追い風にフランスでは、製造業の低迷に加え、マク

ロン大統領の政策に対する抗議デモ「黄色いベスト運動」による社会の混乱を受け、2018年末に企業の雇用マインドが大幅に低下。もっとも、マクロン大統領がデモの発端となった燃料税引き上げの見送りや所得減税、最低賃金の引き上げなどを決定したことで、デモは概ね収束。これを受け、2019年入り後は企業の雇用マインドが回復に転じたほか、消費者マインドも大きく持ち直しており、個人消費拡大の追い風に。

◆伊では連立組み換えで不透明感が後退一方、イタリアでは、2018年6月にポピュ

リズム政権が発足し、バラマキ色の強い財政運営方針を受けた金利の上昇や同政権の反EU的な政策が、企業や家計の懸念材料に。もっとも、その後、極右政党の同盟に代わり、親EU・中道左派の民主党が政権入りしたことで、伊政府はEUとの対話路線に姿勢を転換。財政悪化懸念の後退を受けた長期金利の低下や、政治をめぐる先行き不透明感の緩和が、雇用や個人消費の拡大の後押しとなる見込み。

▲25

▲20

▲15

▲10

▲5

0

2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19

ユーロ圏

フランス

ユーロ圏とフランスの消費者信頼感指数

(年/月)

(「改善」‐「悪化」、%ポイント)

(資料)Eurostatを基に日本総研作成

(注)図中の点線は、フランスの消費者信頼感指数の

1990年以降平均。

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

2017/1 4 7 10 18/1 4 7 10 19/1 4 7 10

イタリア

ドイツ

ユーロ圏のHICP(前年比)ユーロ圏企業の人手不足度合いユーロ圏主要国の10年債利回り

(%)

(年/月/日)(資料)Bloomberg L.P.を基に日本総研作成

伊でポピュリズム

政権が発足

同盟に代わり、

民主党が政権入り

46

48

50

52

54

56

58

2014 15 16 17 18 19

ユーロ圏 フランス イタリア

ユーロ圏と仏伊のPMI雇用指数

(資料)IHS Markit

(ポイント)

(年/月)

94

96

98

100

102

104

106

108

110

112

2012 13 14 15 16 17 18 19

ドイツ

フランス

イタリア

ユーロ圏のHICP(前年比)独仏伊の実質個人消費

(2012年1~3月期=100)

(資料)ドイツ連邦統計局、フランス国立統計経済研究所、

イタリア国家統計局を基に日本総研作成

(年/期)

Page 21: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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9 191:177:137

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6 161:167:151

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4 219:239:199

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20

英国:総選挙後に「合意あり離脱」へ グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :欧州経済

◆景気停滞感が持続英国の7~9月期の実質GDPは、前期比

年率+1.2%と、2四半期ぶりのプラス成長。ただし、11月のPMIは、製造業・サービス業ともに良し悪しの判断の分かれ目となる「50」を下回っており、企業活動は停滞感が拭えず。

◆総選挙後の「合意あり離脱」を想定2019年7月のジョンソン首相の就任以降、

Brexit党に流れていた離脱支持層を取り戻す形で、保守党の支持率が上昇。同氏が公言していた10月31日までの離脱は叶わなかったものの、EUと新たな離脱協定案で合意に至ったことなどが評価され、11月に入っても、支持率で他党を大きく引き離している状況。これを踏まえ、12月12日の総選挙では、与

党保守党が議席を積み増し、その後の採決で同首相の離脱協定案が承認されると予想。

◆離脱後の展開は楽観できずもっとも、「合意あり離脱」後の展開は楽

観できず。離脱後、英国政府は、EUや第三国と新たな貿易協定などの交渉を開始。これまでのEUによるFTA等の交渉をみると、交渉開始から発効までに要した時間は、最短の韓国でも4年以上。保守党は、移行期間の当面の期限である2020年末の完全離脱を公約に掲げているものの、それまでに新協定をまとめることは困難と予想されるため、移行期間は延長される公算が大。新たな通商関係の全体像を見通せない不透明感が、引き続き英国経済の重石に。

45

50

55

60

▲2

▲1

0

1

2

3

4

2016 17 18 19

実質GDP(前期比年率、左目盛)

サービス業PMI(右目盛)

製造業PMI( 〃 )

英国の実質GDPとPMI

(資料)ONS、IHS Markit

(%)

(年/月・期)

(ポイント)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

2018 19

保守党 Brexit党+英国独立党

労働党 自由民主党

緑の党 その他

英国の政党支持率

(%)

(年/月)

(資料)YouGov "Voting intention"を基に日本総研作成

(注)毎月の初回の調査結果を図示。

Brexitをめぐるシナリオ

(資料)英国政府、各種報道等を基に日本総研作成

(注)太矢印は当社メインシナリオ。

0 2 4 6 8 10 12 14

米国(13/7)

タイ(13/5)

日本(13/4)

ベトナム(12/6)

マレーシア(10/12)

シンガポール(10/3)

カナダ(09/5)

インド(07/6)

韓国(2007/5)

交渉中

合意済・未発効

発効済

EUの主なFTAなどの交渉期間(2019年12月時点)

(資料)欧州委員会、JETRO、各種報道等を基に日本総研作成

(注)()内は交渉開始年月。交渉期間には交渉中断期間も含む。

(年)

12月12日総選挙

合意あり離脱

移行期間延長あり

保守党第一党

(過半数未達)

EUと再交渉

・国民投票

保守党勝利

(単独過半数)

労働党勝利

否決

離脱再延期

合意案再採決

可決

合意なき離脱

合意案再採決

移行期間延長なし

完全離脱(貿易協定なし)完全離脱(貿易協定あり)

Page 22: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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9 191:177:137

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6 161:167:151

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7 196:215:0

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4 219:239:199

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8

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欧州経済見通し:ユーロ圏景気は緩やかに持ち直し グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :欧州経済

欧州各国の経済・物価見通し<ユーロ圏>

◆2020年入り後に低迷から脱する見込み

ユーロ圏では、当面、外需の減速や製造業

における在庫調整が重石となり、景気回復が

足踏み。もっとも、雇用・所得環境の改善を

背景に個人消費が底堅く推移するなか、先行

き、外需減速の一服とともに製造業も緩やか

に回復へ向かい、1%台前半の成長ペースと

なる見通し。

インフレ率は、景気の回復ペースが緩やか

にとどまるなか、当面、1%台前半の推移が

続く見込み。

<英国>

◆低成長が長期化

英国では、新たな貿易協定などがないまま

EU離脱を余儀なくされる「合意なき離脱」

は回避されると想定。もっとも、新たな通商

協定等のEUとの協議は難航する公算が大き

く、Brexitに対する先行き不透明感が残存。

個人消費や設備投資の低迷などから景気回復

ペースは緩慢にとどまり、1%台前半の低成

長が続く見通し。

インフレ率は、景気の低迷が物価抑制に作

用するものの、賃金面からの押し上げ圧力の

高まりを受け、2020年末にかけて2%をやや

上回る水準となる見込み。

【ホット・トピック】

◆財政政策への期待が上昇

ユーロ圏では、拡張的な財政政策が景気の下支

えに寄与する見込み。欧州委員会による構造的プ

ライマリー・バランスの見通しを基に主要国の財

政スタンスをみると、2021年にかけて総じて拡張

的な財政運営に。低金利の長期化による利払い費

の抑制も追い風となり、拡張的な財政政策スタン

スが、ユーロ圏景気の下支えとなる見込み。

加えて、足許でEUの安定・成長協定で定めら

れた厳格な財政規律の見直しをめぐる議論が本格

化。財政ルールの簡素化や柔軟化により、景気に

配慮した財政運営が行いやすくなれば、各国の機

動的な財政出動が可能に。▲1.5

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2011 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

ユーロ圏 ドイツ

フランス イタリア

ユーロ圏主要国の財政政策スタンス

(構造的プライマリー・バランスの対GDP比前年差)

(%ポイント)

(年)

(資料)欧州委員会「秋季経済見通し」を基に日本総研作成

(注)構造的プライマリー・バランスは、景気循環や一時的要因

による変動と公債金収入や公債費を除いてみた財政収支。

財政引き締め的

財政拡張的

欧州委員会

見通し

(実質GDPは季節調整済前期比年率、消費者物価指数は前年同期比、%) (前年比、%)

         2019年

1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12

(実績) (予測) (実績) (予測)

実質GDP 1.7 0.8 0.9 1.0 1.2 1.3 1.4 1.3 1.9 1.2 1.2

消費者物価指数 1.4 1.4 1.0 0.8 1.2 1.0 1.2 1.3 1.8 1.2 1.2

実質GDP 1.9 ▲ 1.0 0.3 0.5 1.0 1.2 1.3 1.2 1.5 0.6 0.8

消費者物価指数 1.6 1.6 1.0 0.8 1.1 1.0 1.4 1.5 1.9 1.3 1.3

実質GDP 1.1 1.4 1.0 1.2 1.4 1.3 1.4 1.3 1.7 1.3 1.3

消費者物価指数 1.4 1.3 1.2 1.0 1.2 1.1 1.3 1.3 2.1 1.2 1.3

実質GDP 2.3 ▲ 0.9 1.2 0.7 1.3 1.2 1.3 1.3 1.4 1.3 1.1

消費者物価指数 1.9 2.0 1.8 1.7 2.1 2.0 2.1 2.1 2.5 1.9 2.1

(資料)Eurostat、ONSなどを基に日本総研作成    (注)シャドーは予測値。

ユーロ圏

ドイツ

フランス

英国

2020年2020年

2018年 2019年

Page 23: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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1 168:212:53

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2 201:198:189

Color

9 191:177:137

Color

6 161:167:151

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7 196:215:0

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4 219:239:199

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欧州金利見通し:ECBは当面様子見姿勢に グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :欧州経済

ユーロ圏金利見通し

英国金利見通し

▲1.0

▲0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2018/12 19/3 6 9 12 20/3 6 9 12

限界貸出ファシリティ金利

主要リファイナンス金利

預金ファシリティ金利

【ユーロ圏政策金利】

独10年債利回り

予測

▲0.7

(%)

(年/月末)(資料)ECB、Bloomberg L.P.

0.3

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

2018/12 19/3 6 9 12 20/3 6 9 12

英国政策金利 英国10年債利回り

0.4

1.4

予測

(%)

(年/月末)(資料)BOE、Bloomberg L.P.

<ユーロ圏>

◆ECB:当面様子見姿勢に

マイナス金利政策による金融仲介機能の低

下への懸念や、景気の腰折れは回避されると

の見通しを踏まえ、先行き、一段の利下げは

見送られると予想。

独10年債利回りは、景気下振れリスクの残

存や米欧中銀の金融緩和も辞さない姿勢が維

持されるなか、当面は低水準での推移が続く

見込み。2020年春頃からは、景気が緩やかな

回復に向かうと予想されるため、徐々に上昇

圧力が強まっていく見通し。

<英国>

◆BOE:2020年後半に利上げ

賃金の伸びの拡大やインフレ期待の高まり

による物価高への懸念が拭えないなか、BO

Eは、利上げを視野に入れつつ、Brexitをめ

ぐる交渉の進捗や、その景気への影響を見極

め。メインシナリオでは、2020年初めに「合

意あり離脱」に至るとの前提のもと、年後半

に利上げに踏み切ると予想。

英10年債利回りは、BOEの金融引き締め

観測が押し上げ圧力となるものの、景気の低

迷が抑制要因として作用するため、上昇余地

は限定的となる見通し。

Page 24: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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4 219:239:199

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23

政策による下支えで景気失速回避 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :中国経済

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

25

30

2017 18 19

コンピュータ、通信その他機器製造業

業務用機械製造業

リース・企業向けサービス業

業種別固定資産投資(年初来累計、前年比)

(年/月)(資料)国家統計局「全国固定資産投資」

(%)

0

2

4

6

8

10

2017 18 19

実質小売売上高

民間固定資産投資

小売売上高、民間投資

(%)

(年/月)

(資料)国家統計局「社会消費品零售総額」「全国固定資産投資」

(注)民間固定資産投資は年初来累計。

(前年比)

◆足許の景気は減速中国景気は減速傾向。米中貿易摩擦の激化で対米

輸出が減少。先行き不透明感の強まりなどで、民間固定資産投資も減速。さらに豚肉価格の高騰が家計の実質所得・実質消費を押し下げ。

◆景気は早晩底入れへ今後を展望すると、米中貿易摩擦が引き続き中国

経済の重石となるものの、政策による下支えで、景気減速に歯止めがかかる見通し。すでに打ち出された景気対策は小粒ではあるものの、足許では景気底入れの動きが散見される状況。たとえば、インフラ投資は緩慢とはいえ回復して

きており、地方経済は下げ止まりつつある模様。ハイテク製造業向けの減税や補助金、5G免許の

交付などによって、当該分野の固定資産投資も拡大。コンピュータ・通信その他電子機器、はん用機械製造業などの生産にも持ち直しの動き。このほか、世界の半導体需要に回復の兆しが出て

きたほか、中国政府が景気対策を打ち出していることを受けて、製造業の新規受注に持ち直しの兆し。工作機械の輸入回復も、先行き民間固定資産投資が持ち直すことを示唆。こうした状況を受け、中国政府は現段階であえて

景気対策を大きく積み増す必要はないと判断している模様。政府は、副作用にも配慮しているため、今後も想定外の下振れリスクに直面しない限り、安定した雇用・所得環境を確保できる範囲内で、緩やかな減速を許容する見通し。2019年の成長率予測は+6.2%、2020年+6.1%にそれぞれ据え置き。当面の景気下押しリスクとしては、米中貿易摩擦

のほか、政府の投資抑制策、企業のバランスシート調整、家計の債務抑制が指摘可能。

▲ 1

0

1

2

3

4

2017 18 19

(%)

(年/月)

その他

豚肉価格

CPI

CPIの寄与度分解(前年比)

(%)

(資料)国家統計局「居民消費价格」を基に日本総研作成

46

47

48

49

50

51

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53

54

0

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40

60

80

100

120

140

160

17 18 19

工作機械輸入台数

財新・製造業新規受注PMI(

右目盛)

工作機械輸入と財新製造業新規受注PMI

(資料)海関総署、Markit

(注)日本総研が工作機械輸入の季調値を作成。

(2017年=100)

(年/月)

(ポイント)(季調値)

Page 25: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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2 201:198:189

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9 191:177:137

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6 161:167:151

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7 196:215:0

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24

先進国企業は対中直接投資を抑制 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :中国経済

60

80

100

120

140

160

180

2015 16 17 18 19

(年/月)

世界 <100> NIEs+ASEAN <31>

EU <13> 資源国 <13>

日本 <8> 米国 <7>

地域別輸入額(季調値、米ドルベース)

(資料)海関総署「貿易統計」を基に日本総研作成

(注1)< >は2018年のシェア。

(注2)資源国はオーストラリア、ブラジル、ロシア、南アフリカ。

(2015年

=100)

70

80

90

100

110

120

130

140

150

2015 16 17 18 19

(年/月)

世界 <100> 米国 <19>

EU <16> アジア <25>

BRIS <7>

地域別輸出額(季調値、米ドルベース)

(資料)海関総署「貿易統計」を基に日本総研作成

(注1)<>は2018年のシェア。(注2)BRISはブラジル、ロシア、インド、南アフリカ。

(2015年

=100)

◆輸出は弱い動き米国向け輸出は減少。とりわけ資本財輸出が低

迷。米トランプ政権が合計3,600億ドル規模の中国製品の関税率を引き上げたため。他の地域向けも景気の停滞を背景に横ばい圏内で推移。今後、3,600億ドル規模の制裁関税の影響が残る

ため、米国向けの低迷は続く見通し。米国政府が12月15日に、スマートフォンやノートPC、玩具など1,600億ドル分の関税率を引き上げた場合、米国向け輸出にさらなる下押し圧力に。他方、アジアやEU向けは、半導体などのIT需

要の回復や各国の景気対策効果の顕在化などを背景に、再拡大する見通し。

◆輸入も低水準米国からの輸入も減少。中国政府が1,100億ドル

規模の米国製品の輸入関税を引き上げたことが主因。NIEsやASEAN、日本からの輸入は弱含みながらも、大きくは落ち込んでおらず。当面、対米輸入の反転は見込み難い状況。中国政

府は大豆の輸入を再開したものの、米国が要請する輸入額(500億ドル)に満額回答する可能性は小。また、抗がん剤など16品目を報復関税の適用対象から除外したものの、多くの品目が適用対象なのは変わらず。

◆対中直接投資は二極化1~10月の対中直接投資(除く金融業、米ドル

ベース)は前年同期比+2.9%。もっとも、地域別にみると大きな違い。EU、米

国、日本からの投資はそれぞれ同▲27.9%、▲10.6%、▲2.9%。他方、日米欧以外からの投資は同+6.9%。先進国企業は技術流出などを懸念して投資を控え

つつある一方、新興国企業は中国企業との連携を深める方向。

▲ 20

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

2015 16 17 18 19

その他 電気機械

産業用機械 繊維・玩具・履物

全品目

米国向け輸出額の寄与度分解(前年比)

(%)

(年/月)(資料)海関総署「貿易統計」を基に日本総研作成

▲ 30

▲ 25

▲ 20

▲ 15

▲ 10

▲ 5

0

5

10

欧米日

以外

全体 日本 米国 EU

地域別対中直接投資

(資料)商務部「外商直接投資」

(注)米ドルベース、2019年1~10月の前年同期比。

(%)

Page 26: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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2 201:198:189

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9 191:177:137

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7 196:215:0

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個人消費の実勢は小売売上高が示すよりも堅調 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :中国経済

7.0

7.5

8.0

8.5

9.0

9.5

10.0

2015 16 17 18 19

(%)

(年/期)

(年初来累計、前年比)

一人当たり名目可処分所得

(資料)国家統計局「全国居民人均可支配収入」

3

4

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6

7

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9

10

11

12

2015 16 17 18 19

(%)

(年/月)

名目ベース

実質ベース

小売売上高(前年比)

(資料)国家統計局「社会消費品零售総額」

(注)CPI上昇率で実質化、1月と2月は1~2月の合計。

◆小売売上高は増勢鈍化小売売上高の増勢は鈍化。足許では、豚肉価格の

高騰による家計の購買力低下が主因ながら、本統計は消費拡大の実態を十分に反映できていない一面あり。すなわち、モノの売上高と店舗での飲食のみが調査対象で、消費全体の6割程度をカバー。他方、全消費の4割程度にのぼるサービス消費は、高い伸びが持続。たとえば、宅急便の売上高は前年比2割増のペースで安定的に拡大。最終消費のGDP寄与度も横ばいで推移。このほか、小売売上高統計では家電販売が減速し

ているものの、他の統計でみるとエアコンや洗濯機、冷蔵庫などの家電販売は住宅販売の拡大を背景に持ち直し。家電セクターの株価も上昇。個人消費の実勢は、小売売上高が示すよりも堅調であると判断すべき。

◆雇用・所得環境は安定的米中貿易摩擦などの影響で人員をリストラする動

きが一部あるものの、サービス業の拡大によって、政府としてはかつてのように+6.5%以上の実質GDP成長率に拘らなくとも、雇用・所得環境の安定を確保可能に。たとえば、経済成長率が低下したものの、一人当

たり名目可処分所得は年率8%台の高めの伸びを維持。中国人民銀行が公表する雇用環境の見通しDIも高水準が持続。出稼ぎ労働者の就職先も、工場からスマートフォンを利用したランチのデリバリーサービスなどへと多様化。

◆自動車販売は低迷自動車販売台数は低迷持続。インフラ投資・地方

経済の回復力が弱いため。他方、自動車生産台数は5月をボトムに緩やかながらも持ち直し。在庫調整の一巡、メーカーの先行き期待の改善が背景として指摘可能。

▲2

▲1

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

15 16 17 18 19

最終消費(年初累計) 総資本形成(年初累計)

純輸出(年初累計) GDP前年比(年初累計)

GDP前年比(四半期)

実質成長率の寄与度分解(前年比)

(%)

(資料)CEIC、国家統計局 (年/期)

2,400

2,500

2,600

2,700

2,800

2,900

3,000

3,100

2017 18 19

自動車販売台数

自動車生産台数

自動車の生産と販売(季調値年率)

(年/月)(資料)中国汽車工業協会「汽車工業経済運行情況」

(注)季調値年率は日本総研作成。

(万台)

Page 27: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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2 201:198:189

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9 191:177:137

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4 219:239:199

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26

政策効果の顕在化で民間投資は底打ちへ グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :中国経済

0

5

10

15

20

25

4

5

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7

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9

2009 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

平均貸出金利(一般)

平均貸出金利(市場金利)貸出基準金利(1年物、政策金利)LPR(1年物、政策金利)預金準備率(右目盛)

市場金利、政策金利、預金準備率

(資料)中国人民銀行

(注)当局は2019年8月、LPR(Loan Prime Rate)

の制度改革を実施し、新たな政策金利に位置付け。

(年/月)

(%) (%)

0

5

10

15

20

25

30

2015 16 17 18 19

固定資産投資<43>

うちインフラ投資(除く電力)<10>

うち民間固定資産投資<27>

うち不動産開発投資<8>

固定資産投資(年初来累計、前年比)

(%)

(年/月)(資料)国家統計局「民間固定資産投資」

「全国固定資産投資」「全国房地産開発投資和銷售情况」

(注)<>はGDPに占めるシェア、重複計上あり。

◆民間固定資産投資は底打ちへ固定資産投資の増勢は鈍化傾向。内訳をみると、

民間固定資産投資が減速。製造業を中心に民間企業は、2016年ごろから情報化や製造工程自動化のための設備投資を拡大。ところが、インフラ投資が失速したほか、対米輸出の下振れリスクが高まったため、採算悪化を懸念した企業が、新規投資を慎重化。もっとも、民間固定資産投資は早晩底入れする見

通し。世界のIT需要の回復や中国でのインフラ投資・地方経済の底打ちなどを受け、製造業の新規受注に持ち直しの兆し。工作機械の輸入も回復。業種別にみると、ハイテク製造業向けの減税や補

助金、5G免許の交付などによって、コンピュータ・通信その他機器や業務用機械製造業などの固定資産投資が持ち直し。今後、それらの投資拡大の影響が関連産業に波及する見込み。利下げや当局の金融機関への融資拡大要請も投資持ち直しの要因に。

◆インフラ投資の回復は緩やかインフラ投資は底入れ。中国政府が地方政府に対

し融資平台からの調達を抑制させる一方、地方債発行を促し、その発行上限や発行基準を機動的にコントロール。政府は現段階であえて大幅な景気対策を実施する必要はないと判断している模様。このため、インフラ投資の持ち直しは緩やかなペースにとどまる公算大。

◆工業生産は二極化工業生産の増勢は鈍化。内訳をみると、鉄鋼や非

金属(セメントなど)製造業は、インフラ投資や不動産開発投資がさほど伸びそうにないため生産を抑制。他方、コンピュータ・通信その他電子機器、自動車、はん用機械製造業は、需要回復を見込んで生産を再拡大。

0

20

40

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100

120

140

160

2013 14 15 16 17 18 19

工作機械の輸入台数(季調値)

(資料)海関総署「貿易統計」を基に日本総研作成

(2017年=100)

(年/月)

▲ 10

▲ 5

0

5

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2

4

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14

16

18

2017 18 19

全産業コンピュータ・通信その他電子機器はん用機械自動車(右目盛)

工業生産(前年比)

(%)

(資料)国家統計局「規模以上工業増加値」(年/月)

(%)

Page 28: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 201:198:189

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2 223:221:215

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1 168:212:53

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2 201:198:189

Color

9 191:177:137

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6 161:167:151

Color

7 196:215:0

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4 219:239:199

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8

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5

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豚肉価格が消費者物価を大きく押し上げ グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :中国経済

2,400

2,600

2,800

3,000

3,200

3,400

3,600

2017 2018 2019

上海総合株価指数

(ポイント)

(年/月/日)

(資料)上海証券取引所

▲ 10

▲ 8

▲ 6

▲ 4

▲ 2

0

2

4

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10

12

2007 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(%)

(年/月)

消費者物価(CPI)

工業生産者出荷価格(PPI)

CPIとPPI(前年比)

(資料)国家統計局「居民消費价格」「工業生産者出荷价格」

◆物価:消費者物価と企業物価が乖離10月のCPI上昇率は、前年同月比+3.8%へ大

幅上昇。アフリカ豚コレラによる供給不足で、豚肉価格が昨年の2倍に高騰し、CPIを2.4%ポイント押し上げ。一方、非食料品価格の上昇率は原材料費の頭打ちや需要の低迷を受けて、7カ月連続で低下。PPI上昇率は同▲1.6%と、4カ月連続でマイ

ナスに。国際商品価格の下落や内需の回復の遅れが背景。

◆不動産価格:一段と上昇10月の主要70都市の新築住宅価格は前月比+

0.5%と一段と上昇。70都市のうち、価格が上昇したのは50都市。この背景として、金融緩和を主因に住宅販売が持ち直していることが指摘可能。政府は景気を下支えするために緩和的な金融政策を続ける一方、不動産政策については、市場の過熱抑制のため緩和から抑制へ転換。先行き、住宅需要の拡大と不動産価格の上昇にブレーキがかかる見通し。

◆株価:一進一退中国景気と米中協議の先行きが不透明ななか、株

価は一進一退で小動き。今後、景気の底堅さが確認されるにつれ、株価は緩やかに上昇していく見通し。

◆人民元レート:元安は一服中国政府が米国からの大豆輸入を再開し、米国政

府が12月の関税引き上げ見送りを示唆すると、投資家のリスクオフ姿勢が後退し、元安は一服。もっとも、米中間の火種はくすぶり続けるなか、関税を巡る「制裁と報復」の応酬が再開すれば、再び元安圧力が強まる見通し。その場合、中国政府は外貨準備の残高維持などを重視し、元安容認のスタンスをとる見込み。

0

10

20

30

40

50

60

70

100

110

120

130

140

150

2015 16 17 18 19(年/月)

前月比価格上昇の都市数(右目盛)

主要70都市の新築住宅価格

住宅価格と価格上昇都市数

(都市)(2010年

12月=100)

(資料)国家統計局「全国房地産開発投資和銷售

情況」、Thomson Reutersを基に日本総研作成

6.2

6.3

6.4

6.5

6.6

6.7

6.8

6.9

7.0

7.1

7.2

2017 2018 2019

CHIYUA$人民元レート

(元/米ドル)

(資料)DataStream

(注)トムソン・ロイター社調べ。

(年/月/日)

元安

Page 29: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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Words 0:128:0

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00

白 255:255:255

Table Color

1 201:198:189

Table Color

2 223:221:215

Color

1 168:212:53

Color

2 201:198:189

Color

9 191:177:137

Color

6 161:167:151

Color

7 196:215:0

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4 219:239:199

Color

8

77:117:102

Color

5

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回顧:米中通商協議の進展期待が続くなかでも総じて小動き グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :為替

1.08

1.09

1.10

1.11

1.12

1.13

1.14

1.15

1.16

18/12 19/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

ユーロドル相場の推移

(年/月)

(ドル)

↑ユーロ高

↓ユーロ安

(資料)Bloomberg L.P.

104

106

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130

132

18/12 19/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

ドル円相場・ユーロ円相場の推移

ユーロ円相場

ドル円相場

(年/月)

(円)

◆11月のドル円相場

1日発表の米雇用統計が良好な結果となったほか、米中通商協議を巡る両国からの前向きな発言などを受けて円安ドル高傾向となり、7日には一時109円台までドルが上昇。その後は、同協議について具体的な進捗がみられないなか、徐々に合意に対する慎重な見方が広がったことに加え、香港情勢の緊迫化からリスクオンの動きが後退し、108円半ばを中心にもみ合う展開に。月末にかけては、香港人権法案が米議会を通過し、米中通商交渉への影響が懸念されたものの、26日の両国の閣僚級会談で第1段階合意への期待が高まったほか、27日に公表された米GDPや耐久財受注が良好な結果となったことから、再び円安ドル高基調となり、109円台半ばへドルが持ち直し。なお、12月入り後は、2日発表の米ISM製造業景

況指数の下振れや、3日のトランプ大統領の米中合意の先送りを示唆する発言などを受けて、108円台半ばへドルが急落。

◆11月のユーロ相場

対ドルでは、市場予想を上回る米景気指標の発表が相次いだことや、トランプ大統領による対EU自動車関税の発動に対する警戒感が強まったことなどを受けて、月半ばにかけて1.10ドル割れまでユーロが下落。月後半は、ユーロ圏景気の底入れ期待が高まったことなどから、1.10ドル台を中心にユーロが底堅く推移。

対円では、上旬は米中通商協議の進展期待の高まりを受けてリスクオンの円売りが優勢となり、121円台へユーロが上昇。月半ばには、米国の対EU自動車関税発動に対する警戒感が強まり、119円台までユーロが反落したものの、月後半は、ユーロ圏景気に底打ちの兆しがみられたことなどから、120円前後でユーロが底堅く推移。

ドル円相場・ユーロ円相場の推移

ユーロドル相場の推移

Page 30: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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ドル円分析:金利差の安定と円ポジション均衡で、値幅は限定的 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :為替

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2

2.1

2.2

2.3

2.4

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2.7

2.8

19/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

米日金利差

(左)(米-日)

ドル円相場(右)

(%) (円)

(資料)Bloomberg L.P.を基に日本総研作成 (年/月)

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

2015 16 17 18 19

コアPCEデフレーター(前年比)

消費者の期待インフレ率(3年先)

(%)

(資料)BEA、FRB、NY連銀を基に日本総研作成(年/月)

FRBのインフレ目標

▲ 0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

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0

5

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45

2017 18 19

グローバル・リスクオン・オフ指数

(左)円のネットポジション(右)

(資料)Bloomberg L.P.、米CTFC

(注)グローバル・リスクオン・オフ指数は、ソブリン債や通貨、

商品など18の指標に基づき、市場のリスクオン・オフのセンチメントを示す指数。

(年/月/週)

(ポイント) (兆円)

↑円売り持ち超(売り越し)、リスクオン

↓円買い持ち超(買い越し)、リスクオフ

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7

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2017 18 19

変動幅(右目盛)高値安値各年の変動幅平均(右目盛)

(円) (円)

(資料)Bloomberg L.P.を基に日本総研作成(年/月)

◆ドル円相場は膠着気味

11月のドル円相場は、月間では円安に振れたものの、月中の高値、安値の変動幅が約1.8円程度と小動き。ドル円の値動きが乏しくなっている背景には以下2点が指摘可能。第1に、日米金利差の安定。FRBが10月のFOMC

で3会合連続となる利下げを実施して以降、様子見姿勢を強めたことで、市場参加者の間では利下げ観測が後退。市場の政策金利見通しを反映しやすい2年金利差は足許でやや縮小したものの、10月以降、概ね横ばいで推移。第2に、投機筋の円ポジションの偏りが縮小。ドル円

相場では、リスクオンの局面で円売りが強まる一方、リスクオフの局面では円買いが強まる傾向。2017年以降、米国景気が堅調に推移するなか、円売り持ち超となる傾向が強かったものの、19年入り後は徐々に売り持ちが解消。足許では米中通商協議の行方に楽観・悲観双方の見方が混在するなか、均衡に近い局面に。

◆明確な方向感を欠く展開が持続

先行きを展望しても、ドル円相場は明確な方向感を欠く状況が続く見込み。まず、当面は金利差の大幅な変動は見込み薄。トラン

プ大統領が2020年11月の大統領選での再選を見据えて貿易戦争の激化を回避するとみられるほか、既往の金融緩和が景気を下支えすることで本格的な利下げ局面入りは回避される公算大。一方、足許では米インフレ率、消費者のインフレ期待がともに低下傾向にあるほか、貿易戦争の再燃による景気下振れリスクが残るなか、利上げ再開も困難な状況。加えて、先行きも、市場参加者の円ポジションが一方

向に傾きにくい状況は変わらず。当面、米中の包括的な通商合意は難しいとみられるなか、トランプ大統領の米中通商協議を巡る発言などに一喜一憂する状況が続く見通し。

ドル円相場の変動幅

米国のコアインフレ率と期待インフレ率リスクオン・オフと投機筋の円ポジション

日米2年金利差とドル円相場

Page 31: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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ユーロ分析:景気底打ち後もユーロの大幅反発は見込み薄 グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :為替

0

5

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45

17 18 19

キリスト教民主・社会同盟社会民主党緑の党自由民主党ドイツのための選択肢

(図表)ドイツの主要政党の支持率

(%)

(資料)Wahlrecht.deを基に日本総研作成

(年/月/週)

前回の

総選挙

▲ 0.8

▲ 0.7

▲ 0.6

▲ 0.5

▲ 0.4

▲ 0.3

▲ 0.2

▲ 0.1

0.0

0.1

2019/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

EONIA……B

EONIA先物(1年先)……A

1年先までの利下げ期待(A-B)

(%)

(図表)市場が織り込むECBの利下げ期待

(年/月)(資料)Bloomberg L.P.を基に日本総合研究所作成

35

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65

▲ 60

▲ 40

▲ 20

0

20

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16 17 18 19(年/月)

ユーロ圏の景況感指数

センティックス投資家信頼感指数(左)

ZEW景況感指数(期待指数、左)

製造業PMI(右)

(資料)SENTIX、ZEW、IHS Markit

(%ポイント) (%ポイント)

▲ 0.6

▲ 0.4

▲ 0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

(年)

(%)

(資料)欧州委員会を基に日本総研作成

(注)財政政策スタンスは、構造的プライマリーバランス対GDP比

の前年差で計測。

↑財政緊縮

↓財政拡大

欧州委員会

の見通し

ドイツの財政政策スタンス

◆金融政策面からは方向感が出にくい状況

ユーロ圏では、悪化が続いていた投資家や製造業のマインドに改善の兆し。11月はセンティックス投資家信頼感指数やZEW景況感指数(期待指数)が大きく反発。加えて、製造業PMIは依然として善し悪しの判断の分かれ目となる「50」を下回っているものの、2ヵ月連続で改善。

先行きを展望すると、米中貿易戦争の一時休戦と、英国の合意なきEU離脱回避の可能性が高まっており、製造業活動は徐々に持ち直しに向かう見通し。ECBの追加利下げ観測は後退しており、ユーロ下落余地は限られる公算大。一方、ECBは、11月から再開した資産買い入れの実

施期間中は利上げをしない方針を示しているため、市場が利上げ再開を織り込むにはかなりの時間を要する見込み。この結果、ユーロの上値の重い展開が長引く公算大。

◆ドイツの政治情勢が波乱要因にこうしたなかで、ドイツの政治情勢がユーロ相場の波

乱要因に。11月30日に連立与党の一角を占める社会民主党(SPD)で党首を決める決選投票が行われ、財政拡大・連立懐疑派の候補が勝利。連立政権への参画がSPDの存在感を低下させ、支持率の低下につながっているとの見方が党内で広がっていることから、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立が維持されるかは不透明な情勢。

今後、SPDが連立を離脱すれば、CDU・CSUは少数与党となることから、解散・総選挙に追い込まれる可能性大。前回2017年の総選挙時と比べて、与党の支持率が低下する一方、緑の党などの野党の支持率が上昇しているため、政権交代が生じる可能性も否定できず。ドイツの政局が不安定化すれば、ユーロが下振れするリスク。一方、SPDが財政拡大を条件に連立維持の交渉を行

う可能性も。ドイツの財政政策スタンスをみると、19年以降、緩やかな財政拡大に転じているものの、今後、連立維持の条件として追加的な財政出動が実現すれば、ドイツ・ユーロ圏景気の回復期待が高まり、ユーロが上振れする展開も。

ドイツの主要政党の支持率

ユーロ圏の景況感指数 市場が織り込むECBの利下げ期待

Page 32: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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見通し:明確な方向感が出にくい展開が続く見込み

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :為替

ドル円相場見通し

(円)

2019年 2020年7~9 10~12 1~3 4~6 7~9

期中平均 107.36 109 109 109 109(高値) 109.32 113 113 113 113レンジ ~ ~ ~ ~ ~

(安値) 104.45 105 105 105 105

予測

(ドル)

2019年 2020年7~9 10~12 1~3 4~6 7~9

期中平均 1.1122 1.10 1.11 1.11 1.11(高値) 1.1372 1.14 1.15 1.15 1.15レンジ ~ ~ ~ ~ ~(安値) 1.0904 1.06 1.07 1.07 1.07

予測

(円)

2019年 2020年7~9 10~12 1~3 4~6 7~9

期中平均 119.33 120 121 121 121(高値) 123.36 126 127 127 127レンジ ~ ~ ~ ~ ~

(安値) 115.87 114 115 115 115

予測

◆ドル円相場

当面は、米中通商協議の進展や米FRBの金融政策の方向性に対する思惑に左右されやすい展開が続く見込み。

米国景気が底堅さを維持することで、過去の景気後退時のような本格的な利下げ局面入りは回避され、大幅な円高ドル安となる可能性は小。一方で、米中貿易戦争の再燃リスクが残るなか、日米金利差拡大も見込みがたいことから、ドルの上値も限られる見通し。

◆ユーロドル相場

ユーロ圏景気・物価の持ち直しが遅れるなか、ユーロの上値の重い展開が続く見込み。欧州の政治情勢などに対する懸念の高まりも、折に触れユーロ安要因に。

2020年入り以降は、ユーロ圏景気の緩やかな持ち直しが確認されるにつれて、ユーロが底堅さを増す可能性があるものの、ECBの金融緩和の長期化が予想されるなか、ユーロ反発余地は限られる見込み。

◆ユーロ円相場

ECB、日銀ともに金融政策の正常化が遠のく一方、金融緩和余地も限られているため、総じてみれば横ばい圏での推移が続く見通し。

ただし、欧州の政治情勢や中東の地政学リスクなどに対する懸念が強まる場面では、リスク回避の動きにより、一時的に円高ユーロ安に振れやすくなる見込み。

ドル円相場見通し

ユーロ円相場見通し

ユーロドル相場見通し

100

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18/9 12 19/3 6 9 12 20/3 6 9

(円)

(年/月末)

予測

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135

18/9 12 19/3 6 9 12 20/3 6 9

(円)

(年/月末)

予測

1.06

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1.12

1.14

1.16

1.18

18/9 12 19/3 6 9 12 20/3 6 9

(ドル)

(年/月末)

予測

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2.主要産業の動向

Page 34: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

ます。 Copyright © 2019 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.

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海外企業の動向~再建に向けた取り組みが本格化

2018年の粗鋼生産量ランキングをみれば、ここ3年で倒産した鉄鋼メーカー5社を傘下に収めた北京建龍重工集団(中)が9位に上昇する等、中国における鉄鋼メーカーの再編が続いています。また、その他の国においても、経営破綻した複数の鉄鋼メーカーによる再建に向けた動きが本格化しています。

原材料市況~メタルスプレッドの水準に要注意

原材料市況をみれば、2019年初に発生したValeの事故以降、鉄鉱石価格は高止まりしている他、原料炭価格も高値で推移してきました。足元では供給不安が解消されつつあるため、鉄鉱石・原料炭ともにスポット価格は下落していますが、契約価格ベースでのスプレッドは厳しい状況が続いているとみられます。特に国内については、鉄スクラップ市況の下落等を受けて、鋼材市況も弱含んでおり、メタルスプレッドが更に縮小することが懸念されます。

海外市場動向~世界経済の先行き不透明感が増大

2019年度上期のアジア鋼材市況は、米中貿易摩擦を受けた世界経済の先行き不透明感から、下落に転じました。特に、世界最大の消費国である中国を中心に、製造業向け需要が低迷したことから、鋼板類の市況が下落しました。今後についても、中国では、粗鋼生産量が高止まりする中、鋼材輸出量の増加が懸念され、アジアを中心に市況の不透明感が増しています。

国内市場動向~需要は盛り上がりに欠ける

2019年度上期の鋼材需要をみれば、自動車向けや建設(倉庫等)向けは堅調に推移したものの、工作機械・電気機械向けは減少しています。鋼材受注も前年同期を下回っており、市中では荷動きの停滞感が出てきている状況です。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

1.鉄鋼

出所:Bloomberg、鉄鋼新聞社データより弊行作成

企業名 粗鋼生産量

(百万トン)

1 ArcelorMittal 盧 96.4

2 中国宝武鋼鉄集団 中 67.4

3 日本製鉄 日 49.2

4 河鋼集団 中 46.8

5 POSCO 韓 42.9

6 江蘇沙鋼集団 中 40.7

7 鞍鋼集団 中 37.4

8 JFEスチール 日 29.2

9 北京建龍重工集団 中 27.9

10 首鋼集団 中 27.3

図表1 原材料価格、製品価格推移 ~原材料価格は高水準も直近では下落

図表2 世界の粗鋼生産量上位10社(2018年) ~中国企業のシェアは引き続き拡大傾向

図表3 各国の主な破綻企業の動向 ~支援が徐々に進展

出所:各社公表情報・プレスリリースより弊行作成 出所:world steel associationより弊行作成 (年/月)

企業名

(破綻時期)

概況

(公表時期)

1

ブリティッシュ・ スチール(英) (2019年5月)

トルコの財閥オヤック 傘下の投資会社が買収交渉を 開始(2019年8月)。

2 東部製鉄(韓) (2014年10月)

銀行再建団の共同管理下となっていたが、化学事業等を 手掛けるKGグループ(韓)が 第三者割当を引受け。 既存工場への追加投資を発表(2019年9月)。

0

20

40

60

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100

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18/2 18/8 19/2 19/8

(千円/トン)(ドル/トン)

中国輸入入着鉄鉱石価格・豪州(左軸)

豪州原料炭輸出価格(左軸)

熱延鋼板価格(右軸)

Page 35: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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地政学リスク~中東情勢の緊迫化を受けて原油価格の変動リスクは上昇

世界の原油生産の約1/3を占める中東地域では、6月以降タンカーへの攻撃や拿捕が相次いだほか、9月半ばにサウジアラムコの石油関連施設が攻撃されるなど、地政学リスクが高まっています。原油市況をみれば、米中貿易摩擦を背景とする景気減速や石油製品需要の減少懸念が強いことを受け、9月半ばの一時的な急騰を除き、1バレル50~60ドルで推移してきましたが、フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃やイスラエルの政治混乱など、中東情勢は引続き緊迫していることから、原油市況の変動リスクは従来より高まっています。

数年先を見据えた主要プレーヤーの動き~事業多角化

EVの普及や再生可能エネルギーの拡大による石油需要の減退、環境規制の一段の強化などに備え、Royal Dutch ShellやBPなどオイルメジャー各社は石油以外の事業多角化を進めています。具体的には、他社との技術連携などにより石油化学事業や再生可能エネルギー事業などの拡大を図っており、今後の展開や収益化の動向に注目が集まっています。

海外市場動向~堅調な需要拡大が続く

世界の石油・天然ガス需要は、新興国の経済成長が続いているほか、環境規制が厳しい欧州で石炭から天然ガスに燃料シフトが進んでいるため増加していますが、今後は米中貿易摩擦を背景とする景気減速影響が懸念されます。原油市況は、サウジアラムコの石油関連施設が攻撃された9月半ばに急騰したものの、同社より短期間での生産回復見通しが示されたことを受け、足元は1バレル50ドル台半ばで推移しています。

国内市場動向~国内石油元売の再編進展

国内の石油製品需要は、燃料転換や省エネ化の進展を受けて減少が続いています。一方供給面をみれば、出光興産と昭和シェル石油の統合により上位3社グループの寡占度が高まったことで、石油元売各社の競合が沈静化してきていることから、マージンは過去に比べて高い水準で推移しています。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 世界の石油・天然ガス需要 ~石油・ガス共に堅調な推移

図表2 世界の売上高上位10社(ランキング) ~各社業績は堅調推移

図表3 原油価格(WTI)と主要国の生産量 ~景気減速懸念あるも減産進み、価格は横這い

出所:IEA(国際エネルギー機関)「Oil Market Report」、「Natural Gas Information」より弊行作成

2.オイル・ガス

出所:EIA(米国エネルギー情報局)、CFTCデータより弊行作成 出所:各社アニュアルレポートより弊行作成

企業名 売上高 (億円)

当期純利益 (億円)

1 中国石油化工 中国 482,971 10,539

2 Royal Dutch

Shell

英国・

オランダ 462,951 27,859

3 中国石油天然気 中国 393,167 8,785

4 BP 英国 357,628 11,290

5 ExxonMobil 米国 308,550 23,020

6 Total フランス 219,641 13,655

7 Chevron 米国 175,523 16,375

8 Gazprom ロシア 145,173 25,706

9 Lukoil ロシア 141,850 10,930

10 JXTGホールディングス 日本 111,296 3,223 0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

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(兆㎥)

(年)

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40

60

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(百万バレル/日)

(年)

【石油】 【天然ガス】

非OECD

(中国除く)

中国

OECD

非OECD

(中国除く)

OECD

中国

WTI価格(右軸)

(注)上場企業のみ。2018年決算。 (注)ロシアはその他液体燃料を含む。

0

20

40

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80

0

2

4

6

8

10

12

14

15/1 15/8 16/3 16/10 17/5 17/12 18/7 19/2イラン ベネズエラ

リビア 米国

ロシア サウジアラビア

(百万バレル/日) (USドル/バレル)

(注)

(年/月)

Page 36: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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企業名 売上高 (億円)

当期純利益 (億円)

1 DowDuPont 米 94,952 4,245

2 BASF 独 81,712 6,137

3 SABIC サウジ 49,755 6,339

4 LyondellBasell 蘭 43,075 5,180

5 三菱ケミカルHD 日 39,234 1,695

6 3M 米 36,185 5,907

7 Linde 英 31,630 1,191

8 LG化学 韓 28,288 1,473

9 Air Liquide 仏 27,393 2,755

10 東レ 日 23,888 794

環境・安全意識の高まり~中国における環境・安全規制の強化

大気汚染や水質汚濁が深刻化している中国では、環境規制の強化が進んでおり、政府が多くの企業に対して制裁金や工場の操業停止命令を課しています。また、2019年3月に発生した化学工場爆発等を受けて、一部地域では安全基準を満たさない化学工場の閉鎖を迫る動きも出てきています。このため、中国に進出している日系化学メーカーについても、自社の規制対応だけでなく、サプライチェーンにおける規制対応状況の確認や原料調達先の分散など環境や安全面での対応コストが増加する可能性があるとみられます。

業界再編動向~ニッチ分野の集約や注力事業強化のためのアライアンス増加

紙おむつの素材となる高吸水性ポリマー(SAP)大手の日本触媒と三洋化成工業は、新規参入等による競合激化に備えた競争力強化を目的として、2019年5月に対等合併に向けた協議を開始しました。また、日系大手化学メーカーは、欧米市場における自動車や航空機の軽量化に向けた樹脂需要拡大を見据え、同市場での事業拡大を図るべく地場メーカーの買収を進めています。

アジア市場動向~需給緩和によりマージンは縮小トレンド

アジアの石化製品需要は増加しているものの、北米や中東では生産能力増強により供給過剰が拡大していることから、アジアへの余剰製品の流入量が増加しています。この結果、アジア石化メーカーのマージンは縮小してきており、今後収益が低下していく可能性があります。

国内市場動向~エチレンプラントの高稼働率は維持

国内エチレンプラントの稼働率は、余剰設備の削減を進めた結果、高稼働の目安とされる90%を69ヶ月連続(2019年8月時点)で上回りました。もっとも、石化製品の主な輸出先であるアジアでは北米や中東からの流入増加により競争が厳しくなっているほか、内需は製造業向けを中心に弱含んでいることから、今後は需給バランスの適正化を図るため、エチレンプラントの稼働率引き下げが必要となる可能性があります。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 需給ギャップの推移(エチレン換算)(注)

~足元世界全体では供給過剰が拡大

図表2 世界の化学メーカー売上高上位10社(注)

~需給緩和によるスプレッド縮小で収益減少

図表3 日系化学メーカーの買収事例 ~注力事業に関する海外メーカーの買収が続く

出所:経済産業省「世界の石油化学製品の需給動向」より弊行作成

3.石油化学

出所:各社Annual Reportより弊行作成 出所:各社プレスリリースより弊行作成

(注)対象は上場企業のみ。 三菱ケミカルHD及び東レは2019/3月期。

その他は2018/12月期のためDowDuPont分割前。

企業名 概要

19/9月 住友化学 農薬会社ニューファーム(豪州)の南米子会社4社を買収

19/8月 DIC BASF(ドイツ)の顔料事業を

買収

19/8月 住友化学 樹脂コンパウンドメーカー(トルコ)のEmasグループ買収

19/6月 積水化学工業 炭素繊維複合材成型メーカーAIM Aerospace(米国)買収

19/5月 日本触媒 三洋化成工業との経営統合の検討に関する基本合意書締結

19/4月 日本ペイント 塗料メーカーBetekグループ(トルコ)、Dulax(豪州)を買収

(注)需給ギャップ=需要-生産。経済産業省の予測。

-25

-20

-15

-10

-5

0

+5

+10

+15

+20

17 19 21 17 19 21 17 19 21 17 19 21 17 19 21 17 19 21 17 19 21

(百万トン)

(年度)

世界アジア

除く日本北米 欧州 中東 その他日本

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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規制動向~中国古紙輸入規制の影響

世界最大の古紙輸入国である中国では、①輸入古紙に対する異物混入率の基準厳格化、②古紙輸入ライセンスの発行制限、③最大の古紙輸入相手国である米国の古紙に対する追加関税等から、中国国内で深刻な古紙不足が発生しており、規制条件を満たす日本古紙への需要の高まりから輸出価格が上昇しています。但し、2020年には古紙を含む固体廃棄物が全面輸入禁止になるとの見方があり、これが実現されると日本国内に古紙が滞留し、価格に下押し圧力が掛かる可能性があります。

G20サミットを経た海洋プラスチックごみ対策~プラスチック代替品普及の加速化

2019年6月開催のG20サミットでは、2050年までの海洋プラスチックによる追加汚染ゼロ(大阪ブルー・オーシャン・ビジョン)が宣言されたほか、日本はこの実現に向けた途上国への支援(マリーン・イニシアティブ)を表明しました。既に先進国を中心に民間企業によるプラスチック代替紙製品(紙ストロー等)の採用が進んでいますが、今後は途上国での導入も加速すると見られます。

国内市場動向~紙は減少、板紙は一時足踏みも今後は堅調

2019年度第1四半期の国内出荷量は、紙・板紙合計で5.9百万トンと前年同期比-2.7%の減少となりました。紙は、多媒体へのシフトなど構造的な要因から3.1百万トン(同-3.6%)と減少が続いたほか、板紙についても、5月の大型連休に向けた需要増の反動減影響等から2.8百万トン(同-1.8%)と一時的に落ち込みました。但し、板紙に関しては、ネット通販の拡大等を背景に今後は堅調な推移が見込まれます。

価格動向~原燃料価格を反映し紙・板紙とも上昇

原燃料価格については、重油が上昇しているほか、チップや古紙も引続き高値圏で推移しています。製紙各社では、原燃料価格上昇を踏まえた紙・板紙の値上げを進めてきた経緯にあり、足元では需要が底堅い板紙だけでなく、紙についても製品価格は上昇しています。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 紙・板紙国内出荷量 ~足元では紙・板紙ともに減少

図表2 国内製紙売上高上位10社(ランキング) ~大手10社間における規模の差は大きい

図表3 プラスチック代替紙製品の導入事例 ~外食産業における取組みが加速化

出所:日本製紙連合会より弊行作成

4.紙パルプ

出所:各社有価証券報告書より弊行作成 出所:各社プレスリリースより弊行作成

発表

時期

取組

企業内容

2019年

6月サンリオ

サンリオグループの一部レストランで紙ストローを導入(ショップ販売も開

始)

2019年

7月

東京エアポート

レストラン

羽田・成田空港内で運営する48店舗のストローの提供を廃止し、一部店舗

で紙製ストローに変更

2019年

9月

成田

国際空港

グループ直営飲食店及びラウンジ(計5店舗)で使用するプラスチック製のス

トローを紙製に100%切替

企業名売上高(億円)

営業利益(億円)

1 王子ホールディングス 15,510 1,102

2 日本製紙 10,687 196

3 レンゴー 6,531 253

4 大王製紙 5,339 121

5 北越コーポレーション 2,758 101

6 リンテック 2,509 180

7 三菱製紙 2,040 -0

8 中越パルプ工業 967 -4

9 特種東海製紙 818 31

10 巴川製紙所 334 7

-10.0%

-8.0%

-6.0%

-4.0%

-2.0%

+0.0%

+2.0%

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0

5

10

15

20

25

30

35

08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 181Q

191Q

(百万トン)

(年度)

板紙計<左軸> 紙計<左軸>紙(前年度比<右軸>) 板紙(前年度比<右軸>)

Page 38: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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-5.75% -6.00%-5.64%-5.57%

-6.17%

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6

9

12

04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

(兆円)

(暦年)

国内医薬品市場(左軸)

薬価改定率

(右軸)

薬価算定方法、保険適用見直しの動き

新薬開発において、現在主流となっているバイオ医薬品は、低分子医薬品等と比べて開発費が嵩む傾向にあり、先行する欧米市場において薬価は従来比高額となるケースが増えています。今後、日本でもこうした高額医薬品の承認が相次ぐとみられる中、欧米で行われている費用対効果や成功報酬型に基づく薬価算定に対する議論が活発化すると想定されます。また、医療費削減に向けて、OTC医薬品で代替可能な処方薬に対する保険適用のあり方やOTC医薬品利用の促進等に向けた検討も行われるとみられています。

国内医薬品メーカーの動き~オープンイノベーション、異業種との提携の活発化

国内新薬メーカーでは、開発期間短縮と開発費抑制を狙って、アカデミア等とのオープンイノベーションによる協働や欧米で先行するIT企業等と連携したデジタル創薬やバーチャル治験等の取組みを積極化しています。また2025年には後期高齢者が人口の2割超となり、健康寿命の延伸が求められる中、治療分野に止まらず、予防・未病領域での事業強化を進める動きも見られています。

国内市場動向~薬価制度改革・消費増税で縮小傾向が続く

国内では、高齢化進展を背景に医薬品の使用量増加が続くものの、政府は医療費増加を抑制するため薬価制度の見直しや後発医薬品(以下、GE)の使用促進等の施策を打ち出しています。結果として国内市場は2015年以降縮小、更に、2019年10月の消費税率引上げに伴う臨時薬価改定で薬価引下げが進む中、メーカーの事業環境は厳しさを増すとみられます。

国内医薬品メーカーの動向~海外展開の強化が成長の鍵

国内の事業環境が年々厳しさを増す中、国内医薬品メーカー各社は海外展開を強化しています。主力新薬の適応拡大やマーケティング強化、外資大手との販売提携等で製品売上を最大化しつつ、海外企業買収による開発パイプラインの確保等で成長を目指しており、海外展開の注力いかんによって業績の二極化が進む傾向にあります。

5.医薬品

今後の見通し

図表1 国内医薬品市場及び薬価改定率推移 ~2019年度薬価改定は-4.35%

図表2 国内製薬企業売上高上位10社(2018年度) ~2018年度業績は概ね増収増益で着地

図表3 海外企業買収事例(2018年7月~) (注1)

~活発な買収の動きが継続

19年度

下期見通し

業界動向

出所:各社決算短信より弊行作成 出所:各社プレスリリースより弊行作成 出所:厚生労働省「薬事工業生産動態統計年報・月報」より弊行作成

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

企業名 売上高 (億円)

営業利益 (億円)

1 武田薬品工業 20,972 2,050

2 アステラス製薬 13,063 2,439

3 大塚ホールディングス 12,920 1,083

4 第一三共 9,297 837

5 エーザイ 6,001 772

6 中外製薬 5,798 1,243

7 大日本住友製薬 4,593 579

8 田辺三菱製薬 4,248 503

9 協和発酵キリン 3,465 587

10 塩野義製薬 3,637 1,385

(注1)国内生産金額+輸入金額-輸出金額により弊行推計。 (注2)14、19年は消費増税対応分上乗せ前の改定率。16年、18年は特例改 定や薬価制度改革による影響を除く通常改定分(薬剤費ベース)。

買収年月

企業名 対象企業

金額 企業名 本社

18/8 大塚

ホールディングス Visterra アメリカ

4.3

億米ドル

19/5 大正製薬

ホールディングス

Duoc Hau Giang

Pharmaceutical

JSC

ベトナム 160

億円

19/7 大正製薬 UPSA SAS フランス 16.2

億米ドル

19/8 富士フイルム

ホールディングス

Biogen

(Denmark)

Manufacturing

デン

マーク

890

百万米ドル

(注2)

(注1)買収金額100億円相当以上。

(注1)

Page 39: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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売上高(左軸)

営業利益率(右軸)

予(年度)

(兆円)

「食品ロス削減推進法(注)」の施行~各社の対応に注目が集まる

「食品ロス削減推進法」の施行(2019年10月)を受け、食品メーカーでは、環境面に配慮したサプライチェーンの再構築やAI・IOTを利活用した受発注精度の向上に努める必要があるほか、小売や外食事業者を巻き込んだフードチェーン全体での取り組みが求められていること等から、各社の対応が注目されます。 (注)国の基本方針に基づき、地方自治体が食品ロス削減に向けた施策を策定し、事業者はその施策に即して、食品ロス削減に積極的に取り組むこととする努力義務が課されている。

業界再編動向~酒類業界を中心に国内外で再編機運が高まる

食品業界では、人口減や高齢化の進展により国内事業環境が厳しさを増すと見通されるなか、大手各社では海外での事業拡大を企図したM&Aが活発化している他、国内では新規事業創出や合理化等に向けた業界再編が進んでいます。特に、酒類業界では、アサヒグループホールディングスによる豪州ビール会社買収や、キリンホールディングスのファンケルとの資本業務提携が公表されるなど、国内外での再編機運が高まっています。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表3 主な業界再編の動向 ~海外M&Aや国内異業種再編が活発化

6.食品

出所:各社プレスリリースより弊行作成

企業名 主製品 売上高

(億円)

営業利益

(億円)

1 サントリーHD 飲料 25,172 2,508

2 アサヒGHD 飲料 21,202 2,117

3 キリンHD 飲料 19,305 1,983

4 明治HD 乳製品 12,543 993

5 日本ハム 食肉 12,341 322

6 味の素 調味料 11,274 531

7 山崎製パン パン 10,594 243

8 コカ・コーラボトラーズジャパンHD 飲料 9,684 281

9 伊藤ハム米久HD 乳製品 8,507 144

10 雪印メグミルク 乳製品 6,033 172

図表1 大手食品メーカーの業績推移(注1)

~2019年度の損益は前年度並みの水準

図表2 国内売上高上位10社(2019年度) ~飲料メーカーが上位を占める

(注1)コカ・コーラボトラーズジャパンHDを除く国内売上高上位9社(図表2)の合算業績 (注2)キリンHD、サントリーHDが会計基準を変更(日本基準→IFRS)

出所:各社直近期有価証券報告書より弊行作成 出所:各社直近期有価証券報告書より弊行作成

国内市場動向~需要変動は比較的小さく安定推移

食品市場は生活必需品が主体のため需要の変動は小さく、食品メーカーは安定した国内需要に下支えされる貌で事業展開しています。主な業績変動要因としては、①商品出荷価格動向、②為替動向も含めた原材料価格動向、③海外事業の動向、等が挙げられます。

食品メーカー業績~2019年度の損益は前年度並みの水準

食品メーカー大手の2019年度計画をみれば、原材料価格の高騰を背景とした販売価格への転嫁や高価格帯商品の拡販、海外展開の加速等から増収を見込む一方、人件費や物流費のコスト負担の増加を受けて、損益は前年度並みの水準に止まる見込みです。こうしたなか、①主力製品への経営資源の「選択と集中」による収益力の極大化、②物流体制の見直しなど輸配送業務の効率化によるコスト削減、等への取り組みが各社の業績を左右するとみられます。

発表

年/月 企業名 内容

16/4 アサヒGHD

西欧ビール会社買収(3,200億円)

16/12 東欧ビール会社買収(8,883億円)

17/2 キリンHD ブラジルビール会社買収

17/5 日本ハム ウルグアイ食肉会社買収(150億円)

17/11 味の素 米医療食品会社買収(72億円)

18/11 不二製油

グループ本社

米業務用チョコレート製造会社買収

(848億円)

19/2 キリンHD 協和発酵バイオ買収(約1,280億円)

19/7 アサヒGHD AB InBev社の豪州ビール子会社買収

(約1.2兆円)

19/8 キリンHD 化粧品メーカーファンケルの株式取得

(約1,300億円)

(注2)

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

ます。 Copyright © 2019 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.

39

公表日 買収企業 対象企業 買収金額

(億ドル)

2016年9月 ルネサス

エレクトロニクス Intersil 32

2016年10月 Qualcomm NXP 買収断念

2017年3月 Intel Mobileye 153

2017年11月 Broadcom Qualcomm 買収断念

2018年9月 ルネサス

エレクトロニクス

Integrated Device

Technology 67

2019年3月 Microchip Microsemi 98

2019年6月 Infineon Cypress 93

2019年9月 Broadcom Symantec 107 -40%

-20%

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+20%

+40%

+60%

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+100%

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14/1 15/1 16/1 17/1 18/1 19/1

出荷額実績(メモリ) (左軸)

同(電子部品・半導体<除メモリ>)

前年同月比(メモリ) (右軸)

同(電子部品・半導体<除メモリ>)

(億米ドル)

業界再編動向~AI・IoT分野の強化等に向けた取り組みが加速

半導体業界では、相応の財務体力を有する大手半導体メーカーによる、①市場拡大が見込まれるAI・IoT分野へのシフト、②成長分野での競争力の強化に向けた品揃え拡充、③規模拡大によるコスト競争力の向上、等を目的とした大型M&A(注1)が相次いでいます。また、自国の半導体産業強化に向けた中国企業の大型投資等の動きもみられ、このような中国企業の動きが中・長期的には、半導体業界(特にメモリ)の収益環境に大きな影響を及ぼすことが想定されます。

(注1)但し、米国が中国企業による技術獲得を狙った自国企業の買収を承認しないケースや、独占禁止法を理由に大手半

導体メーカーの大型買収を中国当局が承認しないケース等も散見される。

電子部品業界では、今後市場成長が期待される車載・産業分野の強化を企図した大型買収の動き等が進むとみられるほか、投資拡大が期待される5G対応基地局向けや、電子部品の搭載員数増加が期待される5G対応スマートフォンの需要取り込みに向け、高周波数帯に対応可能な電子部品の研究開発や投資に各社が注力しています。

市場動向~メモリ(NAND、DRAM)の価格はピークアウト

電子部品・半導体(メモリ除く)市場は、スマートフォンの普及一巡に加え、米中貿易摩擦を背景とする先行き不透明感から自動車等の買い控えにより、車載分野での需要も縮小しており、市場規模は縮小に転じています。

半導体メモリ市場は、米国の減税施策によりデータセンター向け投資が急速に拡大し、メモリ需要を牽引したものの、足許で投資は一服しており、メモリ需要に停滞感があります。また、主要メーカーによる保存容量の大きい先端品の量産が進展したことから供給量が増加し、容量当たりの単価は下落に転じ、市場規模は前年対比大幅に縮小しております。

今後、EV・IoTの普及を背景に車載・産業向け需要は拡大に転じることが見込まれるものの、メモリ市場の需給改善には時間を要するとみられ、今年度は電子部品・半導体市場全体で前年対比マイナスとなる見通しです。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 半導体・電子部品出荷動向(直近7月迄) ~メモリ(NAND、DRAM)の価格はピークアウト

図表2 世界の売上高上位10社 ~大手半導体メーカーが上位を占める

図表3 業界再編事例 ~AI・IoT分野の強化に向けた取り組みが加速

出所:WSTS・JEITA・IR(台湾電子部品メーカー)より弊行作成

7.電子部品・半導体

出所:各社IRより弊行作成 出所:各社プレスリリースより弊行作成

企業名 売上高(億円)

利益 (億円)

1 Intel 米 78,854 25,951

2 TSMC 台 38,103 14,171

3 SK Hynix 韓 40,927 21,092

4 LG Display 韓 24,626 94

5 Qualcomm 米 25,301 826

6 Micron Technology 米 33,825 16,688

7 Broadcom 米 23,204 5,715

8 Texas Instrument 米 17,568 7,472

9 京セラ 日 16,237 948

10 BOE Technology 中 16,084 69

為替:111円/USD

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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40

売上高

(億円)

1 美的集団 中国 42,310

2 サムスン電子 韓国 41,855

3 LG電子 韓国 35,302

4 格力集団 中国 32,324

5 海爾集団 中国 29,624

6 パナソニック 日本 27,056

7 ワールプール 米国 23,351

8 ソニー 日本 18,259

9 エレクトロラックス スウェーデン 15,305

10 三菱電機 日本 10,740

企業名

出所:各社アニュアルレポートより弊行作成

出所:(右)Gartnerリサーチを基に弊行にてグラフ作成。Gartner, Semiconductor Forecast Database, Worldwide, 3Q19 Update, Nolan Reilly et al., 30 September 2019 (民生用電子機器=Consumer

Electronics)

技術革新動向~IoT・AIの活用が進む

メーカー各社は、新興国開拓に加えて、IoTへの対応やAIを搭載した製品の開発を活発化させており、利便性や省エネ性能等の向上によりコモディティ製品との差別化を図っています。更に今後は、他メーカーとの機器連携や、連携を可能とするIoT・AIプラットフォームの整備が加速していくとみられ、一段の高機能・高付加価値化を狙った各社の開発動向が注目されます。

主要プレーヤーの動き~欧州で攻勢を強める中国メーカー

世界市場の3割を占める中国では不動産投資規制の強化や家計債務の増加に伴う消費減等を背景に、市場拡大ペースは減速する見通しです。こうした中、中国メーカーは中国外で攻勢を強めつつあり、特に足元では米中貿易摩擦の影響を受け難い欧州の開拓を進めています。この巧拙次第では中国メーカーがグローバルベースでのプレゼンスを更に高めていく可能性があるとみられます。

海外市場動向~地域の濃淡あるも需要は増加傾向

グローバルベースの家電需要についてみれば、マクロ環境が厳しい中国の販売減速など地域による濃淡はあるものの、先進国における底堅い買換え需要や東南アジアなど新興国での家電普及率の上昇により、増加傾向で推移しています。こうした中、メーカー各社は新興国市場の取込みを狙って、ローカルニーズを踏まえた現地仕様製品の展開を進めています。

国内市場動向~黒物横這い・白物堅調

国内の家電出荷額をみれば、薄型テレビに代表される黒物家電は単価下落が進んだものの、地デジ特需時に購入したユーザーの買換えやホテル新設等に伴う数量増により出荷額は前年並みの水準となっています。一方、白物家電は共働き世帯における家事の「時短」ニーズの高まりを背景に高付加価値品の販売が引続き堅調に推移しており、市場は拡大しています。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 家電市場推移 ~国内、海外とも需要は底堅く推移

図表2 世界の家電売上高上位10社(2018年)(注) ~中韓メーカーが上位

図表3 不動産投資規制・米中貿易摩擦の影響 ~中国市場の伸び悩み

8.家電

<全世界民生用電子機器出荷台数>

(注)サムスン電子、LG電子、パナソニック、ソニー,三菱電機は白物家電、AV機器を含むセグメント売上高

予想される各市場の変化

中国

欧州

家計債務増加

不動産投資規制強化

市場拡大が鈍化。価格競争激化。

対中関税により、

中国メーカーは苦戦。

安定市場として中国メーカーが攻勢を強める可能性。

中国家電市場を取り巻く環境

市場拡大

ペースの減速

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1.5

2.0

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3.0

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14 15 16 17 18 18/119/1(年)

(兆円) 映像機器出荷額

(テレビ等)

白物家電

出荷額

<国内製品別出荷額>

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17 18 19E 20E

(百万台)

(年)

民生用電子機器 出荷台数

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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41

出所:ユーザベース「Speeda」、各社アニュアルレポートより弊行作成

企業名 売上高 (億円)

1 キャタピラー 米国 57,538

2 三菱重工業 日本 40,783

3 ディア 米国 37,020

4 CNHインダストリアル 英国 32,974

5 小松製作所 日本 27,252

6 クボタ 日本 18,503

7 インガソール・ランド 米国 17,391

8 川崎重工業 日本 15,947

9 IHI 日本 14,834

10 パーカー・ハネフィン 米国 13,109 出所:日本工作機械工業会、日本産業機械工業会、日本建設機械工業会 より弊行作成

工作機械~米中貿易摩擦の長期化を受け2019年受注見通しを下方修正

米中貿易摩擦の長期化に伴う不透明感の高まり等から国内外ともに設備投資を控える動きが続いており、6月の受注は好不調の目安とされる1,000億円を割り込み、7月以降も同水準が続くなど減速感が強まっています。

こうしたなか、日本工作機械工業会は2019年の受注見通しを1兆2,500億円に下方修正(期初計画比▲3,500億円)しており、下期についてはより一層厳しい状況が続くとの見方もでています。

技術革新動向~5G活用に向けた各社の動向に注目

機械メーカー各社は、ユーザーの生産効率化ニーズに対応すべくIoTへの対応を加速させており、一部の事業者では次世代通信規格「5G」の活用を目的に通信事業者と連携する動きが出始めています。IoT対応を進化させるうえで5Gの活用は重要なファクターとみられ、引続きこうした異業種連携が進展していくことが想定されます。

海外市場動向~米中貿易摩擦の影響が顕在化

海外の機械需要をみれば、建設機械は北米の住宅着工やインフラ投資に支えられ堅調に推移する一方、工作機械では米中貿易摩擦の激化によって中国向けを主体に投資様子見の動きが拡がり、急減しています。この結果、機械需要全体では前年同期を大きく下回る水準となっています。

国内市場動向~工作機械の低迷に懸念

国内の建設機械需要は、排ガス規制強化に伴う駆け込み需要の反動減影響が一巡して回復基調にあります。この一方で、工作機械では、米中貿易摩擦等を背景とした完成車メーカーの投資計画延期等により大幅に落ち込んでおり、全体では前年同期を下回る水準となっています。米中貿易摩擦の先行き次第では更なる低迷も想定されるだけに、今後の動向が注目されます。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 機械市場推移(注) ~米中貿易摩擦の影響により減速感が顕在化

図表2 世界の売上高上位10社(18年度) ~日米メーカーが上位を占める

図表3 大手機械メーカーの5G活用に向けた取組 ~IoTの品質向上に向けて異業種で連携

9.機械

出所:各社プレスリリースより弊行作成

-40%

-20%

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+20%

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1.5

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産業機械(左軸) 建設機械(左軸)

工作機械(左軸) 前年度比(右軸) <海外>

(兆円)

-18/7 -19/7

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09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 18/4 19/4

万 <国内>

(年度)

公表日 企業名 内容

2019年 7月

DMG森精機 KDDI

DMG森精機は伊賀事業所にて5Gの基地局をKDDIと共同で設け、150台の工作機械を接続することで、工場内での保守・管理や遠隔操作等への効果を測る実証実験を2019年秋ごろに開始予定。

2019年 9月

ファナック 日立製作所 NTTドコモ

ファナックの本社工場及び日立製作所の大みか事業所の製造現場で5Gの電波伝搬測定および伝送実験の開始を公表。工場及びプラントでの生産制御システムに必要な高信頼ネットワークにおける5G

活用の効果を検証予定。

-40%

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産業機械(左軸) 建設機械(左軸)工作機械(左軸) 前年度比(右軸)

<海外>(兆円)

-40%

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<国内>

(年度)

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

ます。 Copyright © 2019 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.

42

10.自動車

規制動向~NEV規制改訂により、中国でハイブリッド車が優遇される可能性

中国では、2019年7月に、2021年以降を対象としたNEV(New Energy Vehicle)規制改訂案が発表されました。同案では、必要なクレジット数やクレジット獲得条件をより厳格化する一方、ハイブリッド車等の低燃費車に対する優遇制度が検討されており、今後の各社の電動化戦略に影響を及ぼす可能性があります。

業界再編動向~トヨタがSUBARU・スズキとの相互出資拡大で合意

電動化や自動運転、シェアリングサービス等の技術革新・サービス化が進展する中で、完成車メーカー各社も、投資負担を抑制しつつ、同分野の技術向上やサービス拡充を図るべく、異業種企業や同業他社との提携を相次いで発表しています。足元では、スズキ、SUBARUが、其々トヨタとの相互出資拡大を発表しており、引き続き各社の動向が注目されます。

市場動向~ 米中市場が一時的に縮小する見通し

国内自動車販売台数は、長期的には高齢化や若年層の車離れ等を背景に長期的には減少が想定されるものの、足元では、予防安全機能を搭載した自動車の販売が好調なこと等から、3年連続で500万台を超える見込みです。一方、海外では、米国市場が2016年をピークに頭打ちとなっている上、中国市場が米中貿易摩擦等による消費マインドの落込みで一時的に縮小していること等から、世界全体では、2年連続で前年比減少となる見通しです。

各社業績~円高の進展等により、減収減益見通し

2019年度の国内完成車メーカー7社合算(注)の業績は、円高の進展や、先進技術への対応に向けた研究開発費の増加等の影響により減収減益となる見通しです。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

(注)トヨタ(ダイハツ含む)、ホンダ、日産、スズキ、マツダ、三菱自、SUBARU

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 世界の新車販売台数動向 ~アジア市場の成長がグローバル販売を下支え

ぜん

図表2 世界自動車販売台数上位10社(2018年) ~VWが3年連続首位

図表3 中国NEV規制改訂案の主な内容

~ハイブリッド車が優遇される可能性

出所:IHS Markitより弊行作成 出所:IHS Markitより弊行作成 出所:中国工業情報化部より弊行作成

現行 改訂案

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年

必要

クレジット 同12%

算出

方法

EV 0.012×航続距離

(km)+0.8

0.006×航続距離

(km)+0.4

PHEV 2.0 1.6

FCV 0.08×定格出力(kW)

1台当たり

上限クレジット 6.0 5.1

クレジット

の取扱

19年の獲得クレジットは20年に利用可能

獲得クレジットを翌年に持ち越す際は▲50%で利用可能

但し、ハイブリッド車等の低燃費車の場合は0.5を乗じて計算

同14% 同16% 同18% 乗用車

生産台数

の10%

企業名新車販売台数

(万台)

1 VW 独 1,067

2 トヨタ 日 1,032

3 Renault・日産・三菱自 仏・日 1,027

4 Hyundai・Kia 韓 722

5 GM(上海適用五菱汽車除く) 米 633

6 Ford 米 565

7 ホンダ 日 526

8 FCA 伊・米 470

9 PSA 仏 387

10 スズキ 日 326

0.16×定格出力(kW)

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北米(左軸) 中南米(左軸)欧州(左軸) 日本(左軸)中国(左軸) アジア・大洋州(左軸)その他(左軸) 前年比(右軸)

(百万台)

(年)予測

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

ます。 Copyright © 2019 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.

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受注量(左軸)

船腹量増減率(右軸)

海上荷動量増減率(右軸)

(百万DWT) (2004年対比の増減率)

(年)

出所:Clarksons Research 「Shipping Intelligence Network」より弊行作成

LNG船の発注が拡大~韓国勢が大半の受注を獲得

北米におけるシェールガス開発の拡大等を受け、2018年以降LNG船の発注が拡大しています。現状、船価やロット受注への対応力で優位性のある韓国勢が大半を受注しており、受注残高に占める日系各社のシェアは2%程度に止まっています。LNG船は、今後も複数の大型液化プロジェクトに係る発注が予定されている他、艤装工程が多く単価が高いことから各社の操業安定化や業績改善に資する可能性があるだけに、受注確保に向けた日系造船所の対応が注目されます。

中国国有造船グループが統合を発表~韓国に続く大型再編

2019年7月、中国の国有造船グループである中国船舶工業集団(CSSC)と中国船舶重工集団(CSIC)が統合を発表しました。両社合算のシェアは19%(2018年実績、DWTベース)となり、現在統合手続きを進める現代重工業Gと大宇造船海洋Gに迫る規模となる見通しです。中国、韓国の造船業界における相次ぐ大型再編を受け、日系各社においても抜本的な対応策の検討が求められる可能性があり、今後の動向が注目されます。

市場動向~環境規制強化を前に受注量は低迷

2019年の受注量は、2020年1月の環境規制強化を控え、船主が発注を抑制する動きがみられ、1~8月累計で前年同期比-47.4%の35百万DWTとなりました。今後については、環境規制への対応方針(注1)が固まるにつれ、船主が発注の再開に動くとみられるものの、船腹過剰の解消は進んでいないうえ、米中貿易摩擦の影響等から荷動き需要の先行きにも不透明感が増しており、受注量は低迷する見通しです。

各社業績~中韓勢との競合等から引き続き厳しい

日系造船各社の2019年度業績は、不採算船の竣工が続くこと等から、上場6社(注2)合算で営業赤字が見込まれています。また、今後も過剰生産能力を抱える中韓勢との激しい価格競争が見込まれ、引き続き厳しい業況が続く見通しです。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

(注2)川崎重工業、サノヤスHD、住友重機械工業、内海造船、名村造船所、三井E&SHD。

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 世界の新造船受注量と船腹需給の推移 ~船腹過剰の解消は進まず

図表2 世界の新造船竣工量上位10社(2018年) ~中韓造船所が上位

図表3 LNG船(10万m3以上)の受注残高シェア ~韓国勢が大半の受注を獲得

11.造船

企業名 竣工量(万DWT)

受注残 (万DWT)

1 現代重工業G 韓 1,140 3,232

2 中国船舶工業集団 中 925 2,531

3 中国船舶重工集団 中 602 1,496

4 今治造船G 日 533 1,976

5 大宇造船海洋G 韓 520 1,527

6 揚子江船業G 中 509 1,002

7 COSCO造船G 中 453 996

8 ジャパンマリンユナイテッド 日 376 759

9 三星重工業G 韓 288 1,022

10 ツネイシHD 日 278 598

出所:Clarksons Research 「Shipping Intelligence Network」より弊行作成 出所:Clarksons Research 「Shipping Intelligence Network」より弊行作成

1~8月

韓国90%

中国7%

日本2%

その他1%

合計

111隻

(注1)①低硫黄燃料への切替、②脱硫装置の設置、③代替燃料(LNG等)の使用、の何れかが対応策。

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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規制・政策動向~改正電気通信事業法が施行、次の焦点は楽天の本格参入

19年10月、通信料金と端末代金の「完全分離」等を義務化する改正電気通信事業法が施行された一方、通信料金を巡る競争促進の起爆剤として期待されてきた楽天が基地局整備の遅れ等を理由に、利用者を限定した試験サービスでの開始となっています。この結果、大手各社の通信料金は概ね横並びの水準に落ち着いており、今後は楽天の本格参入時期や料金プランが注目されます。

数年先を見据えた主要プレイヤーの動き ~5G投資に見合う収益モデル確立に向け、自らコンテンツ・サービス領域を強化

5Gでは、高速・大容量通信に低遅延性等の新たな性能も加わり、幅広い産業での利活用や新たなビジネス機会の創出が期待されています。一方、5G用の高周波数帯は電波が届き難く、高密度に基地局を配置する必要があるうえ、完全自動運転等の実現には、莫大な投資・時間が掛かるとも言われているなか、大手通信事業者は、5Gの投資負担に見合う収益モデルの確立に向け、自らコンテンツ・サービス領域を強化する動きを進めています。

国内市場動向 ~政府意向を汲んだ値下げ対応により、今後もARPU弱含み

固定通信市場は、家庭用インターネットの浸透で既に頭打ちとなっています。主力の移動体通信市場についても、加入件数は、携帯電話の普及一巡により,成長率は鈍化傾向にある他、格安スマホ等を手掛けるMVNO(注1)の台頭により、緩やかなARPU(注2)低下が続いており、成熟期に移行しています。

足元では、政府主導の下、通信料金に対する値下げ圧力や、過度な顧客囲い込みを是正する動きが強まっている他、新たな通信キャリアの参入も控えており、顧客獲得競争が再び激化するとみられます。こうした中、大手通信事業者は、政府の意向を汲む貌で、通信料金値下げの新プラン等を相次いで打ち出す等、引き続きARPUは弱含むとみられます。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

(注1)加入者一人あたりの月間通信料金。

(注2) キャリアから通信設備を賃借して運営する移動体通信事業者。

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 国内の移動体通信加入件数・ARPU推移 ~加入件数は増加基調も、ARPU低下が継続

図表2 国内の売上高上位先(ランキング) ~過去から大手数社寡占、新たに楽天が参入

図表3 移動体通信事業者の戦略動向 ~自らコンテンツ・サービス領域の強化を促進

出所:総務省、各社決算説明資料より弊行作成

12.通信

出所:各社IR資料より弊行作成 出所:各社プレスリリースより弊行作成

企業名 主事業 売上高 (億円)

営業利益 (億円)

1 NTTグループ

(うちNTTドコモ)

固定

移動体 118,798

(48,408)

16,938

(10,136)

2 ソフトバンクグループ

(うち国内通信事業)

固定

移動体 96,022

(37,463)

23,539

(7,195)

3 KDDI

固定

移動体CATV

50,804 10,137

4 楽天 移動体 11,015 1,704

5 TOKAIホールディングス CATV 1,916 131

6 スカパーJSAT 衛星 1,640 153

企業名 内容

NTT

ドコモ

2019年4月、VRサービスを提供する米Magic Leap

との資本業務提携を発表。

2019年2月、医療関連サービスの展開を目的として、

エムスリーとの資本業務提携を発表。

KDDI

2019年2月、インターネット証券大手のカブドットコム証券への出資を発表。

2018年10月、子供向け就業体験施設を運営するキッザニア買収を発表。

ソフト

バンク

2019年5月、非通信事業の強化に向け、ヤフーの株式を追加取得し、連結子会社化することを発表。

2018年10月、トヨタ自動車と自動運転技術等を活用したモビリティサービス会社設立を発表。

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(百万件)

(年度)

移動体通信

加入件数(左軸)

(千円)

通信キャリア3社の

ARPU推移(右軸)(注)

MVNO(左軸)

(注)移動体通信売上高÷移動体通信加入件数にて算出

Page 46: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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デジタライゼーションへの取組みが活発化~業種・地域を超えた連携が加速

海運業界では、「2025年における自動運行船の実現」を目指す政府方針のもと、船舶の航海データ等を収集して、安全かつ効率的な航行に活用する取組が活発化しています。

具体的には、業界全体では、 2018年5月に海運業者、造船業者、舶用機器メーカー、IT関連企業等から構成されるInternet of Ships Open Platform (IoS-OP)コンソーシアム(運営会社:シップデータセンター)が発足し、足元でデータ流通に関するルール策定・整備等を急いでいるほか、海運各社でも、デジタル技術の活用に向けて専門組織を立ち上げつつ、船舶管理システムの高度化に取り組んでいます。

データ活用に向けては、コンソーシアムの活用に止まらず、関連業界との連携を通じた製品・サービスの開発が不可欠であるほか、欧州船社における先行事例の取り込み等も必要となることから、引き続き業種や地域の垣根を超えた連携が加速していく見通しです。

市況動向~コンテナ船は横ばい、バルカー・タンカーは回復基調

コンテナ船市況は、米中貿易摩擦等の影響(2018年末における駆け込み需要の反動減等)により荷動き成長がやや鈍化していますが、船社の供給調整を通じて船腹の需給ギャップはさほど悪化しておらず、市況は概ね横這いで推移しています。

バルカーでは、2019年に入り、ブラジルの鉱山ダム決壊事故により出荷が滞ったこと等から市況が悪化しました。足元では、ブラジルの鉄鉱石輸出再開等により船腹需要が回復したうえ、2020年1月より強化される環境規制対応に向けた機器設置工事のために一部船舶が非稼働(ドック入り)となっていることから市況は足元回復しています。

タンカーでは、2016年以降の高水準の新造船竣工に伴い需給が大きく緩み、市況軟化が続いていましたが、解撤の増加に伴い、昨年央に市況は底打ちしています。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 海運市況の推移

~バルカー・タンカーは回復基調

図表2 コンテナ船社の船腹量シェアランキング

(船腹量は2019年8月時点)

図表3 邦船大手のデータ活用に向けた取組事例 ~一部では業種・地域を超えた連携が進展

13.海運(外航)

企業名 シェア

1 Maersk デンマーク 18.8%

2 MSC スイス 15.4%

3 COSCO 中国 13.1%

4 CMA CGM フランス 12.2%

5 Hapag-Lloyd ドイツ 7.5%

6 Ocean Network Express 日本 7.0%

7 Evergreen 台湾 5.8%

8 Yang Ming 台湾 3.1%

9 現代商船 韓国 1.9%

10 PIL シンガポール 1.9%

出所:Clarksons Research 「Shipping Intelligence Network」 より弊行作成

出所:Clarksons Research 「Shipping Intelligence Network」 より弊行作成

時期 2019年における事例

日本郵船

2019年6月、グループ会社MTIが自律運航船の実用化を目指すコンソーシアムOne Sea(フィンランドで発足)に参加

商船三井

三井E&S造船等と共同し、昨年末から2019年2月にかけて、仮想桟橋を用いて自動離着桟の実証実験を実施。今年度内に大型内航フェリーでの実証実験を予定

川崎汽船 2019年1月にデジタル化の取組みを強化するための組織「AI・デジライゼーション推進室」を新設

出所:各社プレスリリースより弊行作成

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コンテナ船(左軸)

バルカー(右軸)

タンカー(右軸)

(千ドル/日)(指数)

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Page 47: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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業界構造の変化~航空業界でも気候変動対策が強化される方向性

ICAO(国際民間航空機関)では、①燃料効率を毎年2%改善すること、②2021年以降、航空機から排出されるCO2排出量を2020年比増加させないこと等の目標を設定しました。その手段として、Global Market-Based Measure(GMBM)を整備し、仮に増加させた場合には、増加分に見合う排出権購入を義務付けること(2021~26年までは自主的参加<日本は参加>、2027年には全てのICAO参加国が対象)、等を制定しています。

これを受けて、業界各社では、エンジン改良や代替燃料の活用、運航方法の見直し、等の対策の重要性が増していく見通しです。

また欧州では、フランス政府が本年7月に旅客機の利用に対して環境税を課すことを発表したほか、その他一部の国でも同様の動きが見られ始めています。環境意識の高まりを背景として今後こうした動きが加速していくことも想定されることから、規制強化が旅客需要の動向やグローバル各社の業績に与える影響についても留意が必要となります。

海外市場動向~堅調な成長が続くものの、伸び率は鈍化

世界全体では、①新興国の経済成長や②LCCによる新規需要創出等により、国内線・国際線共に輸送需要が堅調に推移してきました。引き続きこうしたトレンドは不変であるものの、2019年の世界の経済成長率が前年を下回る見込みであるなか、斯業においても有償旅客キロ(有償旅客数に飛行区間距離を乗じたもの)の伸び率に鈍化の兆しが見られます。

国内市場動向~インバウンド旅客数の伸びはやや鈍化

国内市場については、2019年上期は総じて堅調に推移しました。もっとも、訪日旅客数をみれば、韓国人旅客数の落ち込み等を背景に2019年8月単月で前年同月比▲2.2%減少(8月迄累計では、前年同期比+3.9%)する等、翳りも見られ、今後の国際線の需要動向には注意を要する状況です。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 日本の民間航空輸送実績(有償旅客キロ) ~2012年以降堅調に成長

図表2 世界の直近売上高上位10社(ランキング) ~中東・中国系プレーヤーが台頭

図表3 Global Market-Based Measureの概要 ~2020年代から徐々に影響が出る見込み

14.空運

出所:国土交通省「航空輸送統計年報(速報)」より弊行作成

企業名 売上高(億円)

1 Delta Air Lines 米 49,261

2 American Airlines 米 48,547

3 United Continental Holdings 米 45,792

4 Deutsche Lufthansa 独 44,773

5 Air France-KLM 仏 33,262

6 IAG 英 31,017

7 Emirates UAE 29,166

8 Southwest Airlines 米 24,077

9 China Southern Airlines 中 23,387

10 Air China 中 21,635

11 ANAホールディングス 日 20,739

15 日本航空 日 15,009

出所:各社決算開示資料より弊行作成

(注)成長率は前年同期比。

時期 2021~26年 2027~35年

対象 国ごとに自発的に参加 義務的参加

(小規模排出国等は除く)

排出権購入

2020年より増加した排出量について、各運航者の排出量に応じ割り当て

(2030年以降は各社の削減努力を段階的に反映)

航空会社負担

日系エアラインの合計で、制度開始当初年間十数億円程度から、2035年には年間数百億円程度に段階的に増加する見込み(国土交通省試算)

出所:国土交通省ニュースリリースより弊行作成

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(年)

(十億人・km)

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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数年先を見据えた主要プレーヤーの動き~提携・買収の加速

人手不足を背景として、ドライバーやトラック等のアセットを保有していることが競争上重要となっており、足元では輸送能力の確保等を狙った物流会社同士の提携や買収が進んでいます。

一方、中長期的には技術革新により物流事業の装置産業化が進み、サプライチェーン全体での効率化(個々の技術の組み合わせによる最適化)に向けた提案力を有している企業や、シェアリングサービス等の新たなプラットフォームを逸早く構築した企業が競争力を高めていくとみられることから、IoTやAI、自動化技術の活用を目的とした物流会社とIT企業等との提携も進んでいます。

Eコマース事業者の動向~物流事業の強化

即日配送へのニーズが高まるEコマース市場では、Eコマース事業者による物流体制の整備(自社配送網の構築や倉庫内の自動化等)が進んでいます。中長期的には、物流事業のノウハウを蓄積したEコマース事業者が既存の物流会社と競合する可能性も考えられます。

国内市場動向~人件費など増加コストの価格転嫁が進む

国内自動車貨物輸送量は、産業の軽薄短小化等を背景に長らく緩やかな減少傾向にあります。Eコマースの拡大等により2016年度は増加に転じましたが、米中貿易摩擦による中国経済の減速で機械関連貨物の荷動きが鈍ったこと等を背景に、2018年度の輸送量は再び減少に転じました。

もっとも輸送の多頻度小口化の進展により効率性が低下しているためドライバー不足は一段と深刻化しており、その危機感は荷主にも広がりつつあります。足元では人件費や庸車費等の増加コストの転嫁が進み、2018年度の各社業績は総じて改善しています。また今後は、ドライバー不足が一段と深刻化する中で、輸送能力の確保や収益性向上を目的とした再編が徐々に増加していくことも考えられます。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表3 主な提携・買収事例 ~異業種との提携も進む

出所:各社プレスリリースより弊行作成

15.陸運倉庫

図表1 営業用自動車貨物輸送量・前年度比推移 ~米中貿易摩擦等を受け18年度は再び減少

図表2 物流会社ランキング(2018年度) ~総じて業績は改善傾向

出所:国土交通省資料より弊行作成 出所:各社決算短信(日本郵便は日本郵政IR資料)より弊行作成

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(億トン)

(年度)

前年度比(右軸)

営業用自動車貨物輸送量(左軸)

1 日本郵便 宅配 39,606 1,820

2 日本通運 総合物流 21,385 796

3 ヤマトHD 宅配 16,253 583

4 SGHD 宅配 11,181 704

5 日立物流 3PL 7,088 335

6 セイノーHD トラック運送 6,184 312

7 近鉄エクスプレス フォワーダー 5,920 208

8 山九 3PL 5,725 392

9 センコーグループHD 3PL 5,296 197

10 鴻池運輸 陸運 2,942 110

企業名 主たる業種売上高

(億円 )

営業

利益

(億円)

企業名 年 内容

物流・

物流

SBSHD・

リコーロジスティ

クス

2018 リコー物流子会社を買収。物流網の拡充と、物流センター内の機械化・自動化ノウハウの吸収を企図。

SGHD・

セイノーHD

2019 業務提携に向けた基本合意を発表。幹線輸送の共同運行や共同配送に向けて協議を進める方針。

物流・

異業種

ヤマトHD・

ラクスル

2017

物流プラットフォーム構築に向けた資本業務提携を発表。(ラクスルは運送マッチングサービス「ハコベル」を提供中)

異業種の参入

楽天 2018 商品の保管から出荷までを当社が一括して引き受ける総合物流サービス構想を発表。

Page 49: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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底堅い建設需要~人手不足への対策が急務

国内建設需要は大阪万博やリニア新幹線等の大型案件に加え、老朽化したインフラの更新工事等もあり、中長期的に底堅く推移するとみられます。一方、政府は2025年までに約130万人の技能労働者が不足することから、ICT技術の活用等を通じた生産性改善で約40万人分をカバーした上で、約90万人を新規入職者として確保する必要があると試算しています。

外国人労働者の活用~改正入管法施行による成果に期待

こうした中、2019年4月に施行された改正入管法では、在留資格として「特定技能」が創設され、熟練した技術を有し試験に合格した外国人労働者は在留期間の更新が無制限になることが定められる等、国を挙げて受入を強化する姿勢が示されました。受入に際しては言語や処遇、教育面等で解決すべき課題が残っていますが、建設業者にとって深刻な人手不足の解消に向けた一施策として、将来的に競争力を左右する要素となる可能性があるだけに、各社の取組姿勢が注目されます。

国内市場の動向~引き続き底堅い需要が期待される

2019年度第1四半期の国内大手ゼネコン50社の国内受注高は、官公庁工事が大型公共工事の剥落で0.5兆円と前年同期比-16%減少したほか、民間工事でも消費増税の反動減がみられたこと等から、全体でも同-12%減少の2.6兆円となりました。ただし、過去と比べた水準感としては依然高く、都心部の大型再開発案件等を背景に、需要は底堅く推移しています。

国内事業者の動向~大手・中小で採算に開き

技能労働者不足や建築資材価格上昇を背景に、工事単価は上昇基調で推移しています。建設業主要企業(注)の2018年度営業利益率は4.4%と、前年同期比+0.2%P上昇しましたが、中小事業者のなかにはコスト上昇分を転嫁できず採算が悪化している先も見られます。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 大手50社国内工事受注高・建築着工単価 ~建築着工単価は高水準を維持

図表2 ゼネコン売上高上位10社(18年度ランキング) ~多くの企業が高水準の利益を計上

図表3 外国人建設業就労者数の推移 ~人手不足解消に期待

16.建設

出所:有価証券報告書より弊行作成 出所:厚生労働省「外国人雇用状況」より弊行作成

(注)着工単価は年度末月時点の直近3ヶ月平均

出所:国土交通省「建設工事受注動態統計調査報告(大手50社調査)」より弊行作成

企業名 売上高 (億円)

当期利益 (億円)

1 大林組 20,397 1,132

2 鹿島建設 19,743 1,098

3 清水建設 16,650 997

4 大成建設 16,509 1,126

5 竹中工務店 13,536 636

6 長谷工コーポレーション 8,909 874

7 五洋建設 5,419 189

8 戸田建設 5,104 256

9 前田建設興業 4,921 240

10 三井住友建設 4,487 188

(注)建設経済研究所「2019年3月期(2018年度)主要建設会社決算分析」に記載の40社。

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官公庁 民間 着工単価

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(兆円) (万円/㎡)(注)

(年度)

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(万人)

約23万人

政府目標

外国人建設就労者数

(年)

Page 50: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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基準地価~地方圏の商業地で28年ぶりプラスも、二極化は進展

2019年の基準地価(7月1日時点)は全国・全用途平均で前年比+0.4%(住宅地同 -0.1%、商業地同+1.7%)と2年連続の上昇となり、地方圏では商業地が同+0.3%と28年ぶりに上昇に転じました。ただし、人口集中が続く三大都市圏や地方主要都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市等)における地価上昇率は地方圏に比べて大きく、二極化が進展しています。

住宅産業の見通し~長期的に消費者の住宅ニーズが変化する可能性

長期的にみれば国内住宅着工戸数は、転居機会の多い生産年齢人口の減少や平均築年数の長期化等により減少傾向を辿る見通しです。一方、働き方改革の促進やモビリティの進化による消費者の住宅立地に対するニーズ変化や、環境規制強化・意識の高まりを背景としたZEH(注)の普及等、住宅の在り方が大きく変化する可能性があります。こうした将来の変化を見据えた各社の対応が注目されます。

国内市場動向(住宅)~貸家需要の減少

2019年度第1四半期の住宅着工戸数は、節税対策として高まっていたアパート需要の一巡等を背景に貸家が減少し23.4万戸(前年同期比-6%)となりました。10月以降、住宅ローン控除拡大等の支援策が講じられていますが、需要押し上げ効果は限定的とみられ、通期でも前年比減少する見込みです。

国内市場動向(オフィス<東京>)~賃料・空室率ともに改善

オフィスビル賃貸市場(東京都心5区)では、企業の旺盛なオフィス拡張ニーズを背景に空室率低下(2019年6月末1.7%<前年同月比-0.8%P>)と賃料上昇(同21,518円<同+7.0%>)が続いています。今後も供給増加が見込まれていますが、テナント付は順調に進んでおり、市況は当面底堅く推移するとみられます。尚、大阪、名古屋、福岡等の主要都市でも同様に、足下では空室率低下と賃料上昇がみられます。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 住宅着工戸数・東京都心5区オフィス募集

賃料・空室率~住宅着工戸数は減少

図表2 国内不動産業者の2018年度売上上位10社 ~堅調なオフィス市況等を追い風に好業績

図表3 住宅市場を取り巻く環境変化(弊行想定) ~新たな需要・ニーズが創出される可能性

出所:三鬼商事「オフィスリポート」、国土交通省「住宅着工統計」より弊行作成

17.不動産

出所:各社有価証券報告書より弊行作成

企業名 売上高

(億円)

当期利益

(億円)

1 三井不動産 18,612 1,687

2 飯田グループホールディングス 13,450 655

3 三菱地所 12,633 1,346

4 住友不動産 10,132 1,308

5 東急不動産ホールディングス 9,019 375

6 野村不動産ホールディングス 6,685 459

7 レオパレス21 5,052 ▲734

8 オープンハウス 3,907 349

9 日本空港ビルデング 2,736 330

10 NTT都市開発 1,691 177

技術革新

環境規制

価値観の

変化

老朽イン

フラ急増

働き方改革の促進

(テレワーク等)

モビリティの進化

(自動運転・MaaSの普及)

温室効果ガス削減に向けた

規制強化・意識の高まり

所有価値から利用価値へ

(シェアリング)

社会インフラの老朽化加速

地域格差の拡大

ライフスタイルの変化

(注)「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称。エネルギー消費を上回るエネルギーを自宅で太陽光などで発電し、エネルギー収支がゼロもしくはプラスになる住宅。

(注)2018年9月期決算数値

(注)

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分譲 賃貸 持家

(年度)18 191Q 1Q

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05 07 09 11 13 15 17

賃料(左軸)

(年度)191Q

【東京都心5区オフィス(05年度=100)】

空室率(右軸)

Page 51: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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事業環境変化に対する各社の打ち手に注目~M&Aによる事業領域拡大も

厳しい需要環境や消費スタイルの多様化を受けて、一部の企業では事業領域の拡大や、差別化に向けた生産・企画機能強化を企図した買収、アライアンスの事例が見られます。デジタル化の進展などに伴う事業環境変化は今後も加速していくことが見込まれるだけに、今後一段とアライアンスの動きが活発化することが想定されます。

アパレル企業のネット通販戦略の方向性~通販モールとの関係性に注目

ネット通販市場が拡大傾向で推移する中、アパレル各社においては、ネット通販チャネルの育成に注力している先が多くみられます。他方、複数ブランドを取り扱うネット通販モール運営業者でも、顧客基盤拡大やサービス拡充などを企図した投資拡大の動きがみられます。このため、通販モール運営業者の動向を視野に入れつつ、通販モールと自社通販サイト、あるいは実店舗との棲み分けと連携を進めていくなど、収益機会の極大化に向けたアパレル企業のチャネル戦略の動向が注目されます。

国内市場動向~衣料品消費は冷夏影響もあり、依然低迷

主要チャネルである百貨店・スーパー(ショッピングセンター含む)における衣料品の既存店売上高をみれば、消費増税前には一部で冬物を先行予約する等の駆け込み需要も見られましたが、根強い節約志向に加え、ネット通販の拡大などから、多くの月で前年を下回って推移しました。

アパレル企業業績~多様化する消費者ニーズへの対応で明暗

アパレル企業の2019年度上期業績は、消費低迷が続く中、ネット通販の台頭を受けて店舗販売で苦戦を強いられている先や、人手不足に伴う人件費上昇等から収益性が悪化している企業も散見されます。他方、ネット通販への取組強化や、在庫コントロールによる値引販売抑制等で堅調な業績を維持している企業もあり、こうした事業戦略の巧拙によって明暗が分かれています。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 チャネル別衣料品売上高(前年比)推移 ~長期に亘りマイナスが続く

図表2 国内アパレル企業の売上高上位10社 ~厳しい環境下、各社の戦略に注目

図表3 上場企業の動向 ~アライアンス事例

18.アパレル

企業名 決算

(年/月)

売上高

(億円)

前期比

(%)

営業利益

(億円)

1 ファーストリテイリング 18/8 21,301 +14.4% 2,362

2 しまむら 19/2 5,469 -3.4% 255

3 良品計画 19/2 4,097 +7.9% 447

4 エービーシー・マート 19/2 2,667 +4.9% 439

5 青山商事 19/3 2,503 -1.8% 146

6 ワールド 19/3 2,499 +1.6% 148

7 オンワードHD 19/2 2,407 -1.0% 45

8 アダストリア 19/2 2,227 -0.1% 72

9 ワコールHD 19/3 1,942 -0.8% 49

10 AOKIHD 19/3 1,939 -2.3% 134 出所:日本百貨店協会「全国百貨店売上高概況」、日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計」より弊行作成 出所:各社有価証券報告書より弊行作成

年/月 取組事例

19/5

ワールドが子会社であるワールドインベストメントネットワークを通じて、神戸レザークロスの全株式取得を決定し、契約を締結

→同社の靴の生産背景を活用した事業展開、靴ブランドを加えた自社事業ポートフォリオの拡充など

19/6 パルグループHDとノーリーズが資本業務提携を締結

→既存ブランドに無いポジションのブランドの獲得、生産プラットフォームの幅の拡充など

19/8 ワールドとゴードン・ブラザーズジャパンが合弁会社を設立

→余剰在庫を買取、定価より低価格で販売するオフプライスストア業態を展開

19/9 ストライプインターナショナルがGFT社の株式取得を決議

→ベトナム事業の強化

19/9 ヤフーがZOZOに対し、TOBを実施すると発表 →集客効果の拡大、スマホ決済サービスでのシナジー

出所:各社プレスリリースより弊行作成

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(%)百貨店(衣料品)スーパー(衣料品)

(年/月)(年)

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成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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市場規模

百貨店(左軸)

スーパー(左軸)

百貨店前期比(右軸)

スーパー前期比(右軸)

(兆円)

(年度)

環境変化への対応 ~百貨店では大型改装・多角化等への取組み活発化

百貨店業界を取り巻く業界環境は厳しさを増している上、消費増税(19/10月)に伴う駆け込み需要の反動で、高額品の販売が落ち込む可能性がある他、秋口での増税実施が、利幅の厚い重衣料の売上に対して下押し圧力となること等も懸念されています。こうした中、基幹店の大型リニューアルや、不動産・金融をはじめとした事業の多角化等、収益力強化に向けた取組みの効果が注目されています。

ドラッグストアとの競合激化 ~業態を超えたアライアンス加速の可能性

小売業界は業態の垣根を超えた競争が厳しく、スーパーにおいては、価格競争力を武器に食品販売を強化するドラッグストアとの競合が激化しています。ドラッグストア業態では、大手のマツモトキヨシHDとココカラファインが経営統合の協議に入る(19/8月)等、商品開発力の強化や経営効率化に向けた大手同士の再編が動き始めていることから、業態を超えたアライアンスが加速する可能性が高まっています。

百貨店~インバウンド需要減速で先行き不透明感が拡大

2019年度上期は、韓国・香港の訪日客減少等からインバウンド需要が伸び悩んでいる他、急激な気温上昇や長雨により季節性の高い衣料品の販売が苦戦したこと等から、既存店売上高は前年を下回って推移しました。下期は消費増税による影響も懸念されることから、2019年度の市場規模は縮小する見込みです。

スーパー~惣菜販売は堅調ながら競争環境は依然厳しい

2019年度上期をみれば、集客力の向上を狙い各社が強化する惣菜販売は堅調だったものの、天候不順や青果の相場安等の影響が大きく、既存店売上高は前年割れとなりました。食品は軽減税率の対象となるため、スーパーは増税影響を受け難いとみられるものの、他業態との競合が厳しい他、コスト面でも人件費負担が高まっていること等から、今後も厳しい業況が続く見通しです。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 百貨店・スーパーの市場規模/既存店

売上高前年比推移

図表2 百貨店・スーパーの売上高上位4社

(18年・国内・ランキング) 図表3 百貨店大型改装の動向

19.百貨店・スーパー

出所:各社IR資料より弊行作成 出所:各社IR資料より弊行作成

百貨店 企業名 売上高 (億円)

当期利益 (億円)

1 三越伊勢丹ホールディングス 11,968 135

2 エイチ・ツー・オー リテイリング 9,269 22

3 髙島屋 9,128 164

4 そごう・西武 6,153 3

スーパー 企業名 売上高 (億円)

当期利益 (億円)

1 イオンリテール 21,854 119

2 イトーヨーカ堂 12,362 ▲78

3 イズミ 7,321 235

4 ライフコーポレーション 6,987 74 出所:左:経済産業省「商業販売統計・年報」より弊行作成

右:日本百貨店協会、日本チェーンストア協会より弊行作成

時期 店舗名 内容

18/10月 日本橋三越本店 <第一期>化粧品、雑貨、特選フロアの改装

19/3月 日本橋髙島屋S.C. 新館の開業、

本館の全面改装

19/3月 小田急百貨店町田店 衣料品フロアの改装、

専門店の導入

19/9月 大丸心斎橋店 本館の全面改装

19/11月 伊勢丹新宿店 <第二期>メンズ館・本館の全面改装

-8%

-4%

0%

+4%

+8%

18/6 9 12 19/3 6(年/月)

既存店売上高

百貨店

スーパー

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

ます。 Copyright © 2019 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.

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消費増税の影響~中食業態との競合激化~

2019年10月に消費税率が引上げられましたが、軽減税率の導入で飲食料品のテイクアウト・宅配の税率は据え置かれたことから、外食と、惣菜・弁当等の「中食」との更なる競合激化が予想されます。特にコンビニ弁当と顧客層が重複するといわれる客単価1,000円未満の外食業態での影響が大きいとみられており、各事業者では税込み価格の据え置き、軽減税率適用のテイクアウト・宅配への注力等の施策を実施しています。

最低賃金の引上げ~東京・神奈川では時給1,000円超に~

2019年10月より、最低賃金(時間当たり)が引上げられ、全国平均では901円と約3%上昇し、東京、神奈川では初めて1,000円超となりました。人手不足を背景に、各業種で賃金が上昇傾向にあるなか、パート・アルバイト等の比率の高い外食事業者では、コスト面への影響が大きいとみられます。加えて、時給が1,000円を超える東京、神奈川周辺の県では、パート・アルバイトの流出等により人手確保が更に困難になるとの見方も出ています。

国内市場動向~業態別の好不調が鮮明

外食業界では、期間限定商品の活用等、各事業者が進めるメニュー施策が奏功していることから、全体として客単価が上昇傾向にあり、市場規模は底堅く推移しています。ただし、業態別にみれば、居酒屋業態は、職場での宴席の回数減少や、若年層を中心とした飲酒習慣の低下を背景に前年割れが続く一方で、時間帯や客層に合わせたセットメニューの拡充等を図るファストフード業態が集客力を高めており、明暗が分かれています。

外食事業者の課題~店舗運営の負荷軽減に向けた取り組み

外食業界では、人手の確保や人件費上昇の影響が深刻化しており、事業者の収益環境は厳しさを増しています。こうした中、接客サービスの質は維持しつつ、受付案内や会計など店舗運営を効率化するために、ITやロボット等を活用し、従業員の負担軽減やコスト削減に取り組む動きが加速しています。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 外食産業の市場規模

/全店売上高前年比推移 図表2 外食上場の売上高上位10社(ランキング)

図表3 大手チェーン各社の消費税率引き上げへ

の対応

20.外食

出所:各社IR資料より弊行作成 出所:各社プレスリリースより弊行作成

企業名 売上高(億円)

決算期

(年/月) 営業利益

(億円)

1 ゼンショーホールディングス 6,077 19/3 188

2 すかいらーくホールディングス 3,664 18/12 229

3 日本マクドナルドホールディングス 2,723 18/12 250

4 コロワイド 2,444 19/3 41

5 吉野家ホールディングス 2,024 19/2 1

6 サイゼリヤ 1,541 19/8 86

7 トリドールホールディングス 1,450 19/3 23

8 ロイヤルホールディングス 1,377 18/12 57

9 くら寿司 1,325 18/10 69

10 ドトール・日レスホールディングス 1,292 19/2 101 出所:(左)外食産業総合調査研究センターより弊行作成

:(右)各社IR資料より弊行作成

店名 2019年10月以降の対応・価格改定

牛丼

すき家 牛丼は店内飲食・持ち帰り共に増税前後で税込み価格を統一

松屋

吉野家 店内飲食10%、持ち帰り8%の税率を適用

ハン

バーガー

マクドナルド 3割のメニューで10円値上げ、7割のメニューで価格据え置き

モスバーガー 店内飲食10%、持ち帰り8%の税率を適用、自社ポイントで2%還元

ロッテリア 店内飲食10%、持ち帰り8%の税率を適用

26

-5%

0%

+5%

0

7

14

21

28

12 13 14 15 16 17 18

(兆円)

(年)

市場規模(左軸)

前年比(右軸)

-6%

-3%

0%

+3%

+6%

18/2 18/8 19/2 19/8

(年/月)ファストフードファミリーレストラン居酒屋

Page 54: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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-10%

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1,000

1,500

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3,500

4,000

17/8 17/12 18/4 18/8 18/12 19/4 19/8

訪日外国人客数(左軸) 前年同月比

(千人)

(年/月)

旅行需要の減速懸念も~年末年始に期待が高まる

韓国と香港における地政学リスクの顕在化を背景に、主要旅行業者の取扱高は減少しており、現時点では回復の目途が立っていません。加えて、10月以降は消費増税によって消費者が旅行支出を抑制することも想定されます。こうした中、旅行業者では、9日間の大型連休となる年末年始に向けて新たにパッケージ商品を投入するなど需要喚起に注力しています。

インバウンドの伸び悩み~ホテル各社の戦略に注目

訪日外国人の22%(18年実績ベース)を占める台湾、香港からの訪日需要が一巡し全体で伸び悩みが見られる中、韓国人旅行者の大幅減少により、2020年の政府目標であるインバウンド4,000万人達成に向けて不透明感が出ています。この一方で、主要都市ではホテルの新規供給が増加していることから、競合激化を踏まえたホテル各社のインバウンド需要の取り込み施策や、省人化投資による業務効率化等を通じたコスト競争力強化の動きが注目されます。

旅行:GW特需と反動減

2019年度第1四半期の主要旅行業者の取扱実績を見れば、10日間の大型連休となったGWに特需が発生し、旅行業者では航空機を追加でチャーターするなどの対応を進めたことで、前年同期比+5%(4月単月では同+14.5%)の増加となったものの、6月以降はこの反動で同-2~3%の減少となっています。こうした動きは、各社ともおおむね期初計画通りとしています。

ホテル:インバウンド鈍化により足元稼働率は低下傾向

全国ホテルの客室稼働率は、訪日外国人の増加や違法民泊の減少、GW特需などにより2019年度第1四半期こそ前年同期比+2%P改善しましたが、6月以降はGWの反動減と日韓関係の悪化による韓国人旅行者(18年訪日外国人の24%を占める)の大幅減少(8月は前年同月比-48%減)を受けて稼働率は低下に転じており、客室単価も弱含んでいます。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 旅行取扱高・ホテル稼働率(前年同期比) ~10日間の大型連休となったGWに特需

図表2 旅行取扱額・ホテル軒数ランキング ~ホテルは新規開業の増加により競合激化

図表3 訪日外国人客数の推移 ~地政学リスクの顕在化

21.レジャー(旅行・ホテル)

出所:国土交通省「旅行業者取扱額」、オータパブリケイションズ 「週刊ホテルレストラン」より弊行作成

旅行企業 取扱額(億円)

1 ジェイティービー 16,932

2 エイチ・アイ・エス 5,524

3 KNT-CT

ホールディングス 4,954

4 日本旅行 4,498

5 阪急交通社 3,700

【旅行取扱高】 【ホテル軒数】

(注)旅行取扱高は2018年4月~2019年3月、ホテル軒数は2019年1月1日時点

ホテル 企業

軒数 客室

(千室)

1 ルートイン

ホテルズ 297 49

2 東横INN 274 55

3 アパホテルズ&リゾーツ

190 40

4 スーパー

ホテル 132 15

5 リブマックスホテルズ&リゾーツ

107 6

出所:国土交通省「旅行業者取扱額」、「宿泊旅行統計調査」より弊行作成 (注)旅行は前年同月比の四半期平均、ホテルは四半期平均の前年同期比

出所: 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」 (注)2019年7月および8月は推計値、

台風21号

関空被災

日韓関係

悪化

-4.5%P

-3.0%P

-1.5%P

±0.0%P

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+15%

+20%

+25%

13/1Q 14/1Q 15/1Q 16/1Q 17/1Q 18/1Q 19/1Q

旅行取扱高(左軸)

ホテル稼働率(右軸)

(年度)

Page 55: グローバル経済と主要産業の動向 - 三井住友銀行...Color 0 黒 0:0:0 Accent for Words 0:128:0 Color 00 白 255:255:255 Table Color 1 201:198:189 Table Color 2 223:221:215

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1 168:212:53

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

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再エネの主力電源化~FIT制度の見直しや洋上風力の普及施策が進む見通し

政府は、2018年7月に公表した第五次エネルギー基本計画で再生可能エネルギー(再エネ)電源の主力電源化を打ち出しており、再エネ電源の更なるコスト低減等による自立化を図るために、これまで市場拡大を牽引してきた固定価格買取(FIT)制度を2020年度末までに見直し、市場競争原理を取り入れること(価格を市場連動させつつ、プレミアムを付与する等)を検討しています。

また、電源の大型化が見込まれる洋上風力発電の普及に向けて、2018年11月に「再エネ海域利用法(通称)」が国会で可決され、本年4月より施行されています。7月には同法に基づき促進区域として、①秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖、②同県由利本荘市沖、③千葉県銚子市沖、④長崎県五島市沖の4カ所が選定されており、今後同区域において、電力会社にとどまらず建設会社や機器サプライヤー、海運業者等の事業者公募への応札を目指した取組みが活発化していく見込みです。

市場動向~競争環境激化が進む見通し

2019年8月時点における新電力の販売電力量シェアをみれば、大口向け14.8%、小口向け13.3%と、前者では昨年以降頭打ち、後者では依然緩やかな拡大基調が続いています。大口向けでは、大手電力会社が新電力から顧客を奪還する動きもみられ、今後は一段の競争激化が見込まれます。

大手電力の業績~19年度は期ズレ影響により概ね増益予想

2018年度の大手電力10社合算経常利益は、各社ともコスト削減に取り組んだものの、燃料費調整制度に伴う期ズレ影響が一時的なマイナス要因となったこと等から前年比横ばいになりました。引き続き新電力との競合、原発稼働停止による業績への影響にも注意を要しますが、2019年度の合算経常利益(見通しを公表する企業のみ)は、期ズレ影響がプラスに転じること等により増益となる見通しです。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 新電力シェアの推移 ~大口向けは18年以降頭打ち、小口は拡大基調

図表2 大手電力会社10社の業績推移 ~経常利益は一応の水準を確保

図表3 大手電力会社の再エネ目標 ~国内外の再エネ電源開発の動きを加速

22.電力

出所:経済産業省資源エネルギー庁「電力調査統計」より弊行作成 出所:各社有価証券報告書より弊行作成

(注)小口:主に家庭用 大口:主に産業用・業務用

社名 目標時期 場所 数量目標例

東京電力HD NA 国内外 開発6~7GW

関西電力 2030年代 国内外 容量6GW(+2GW)

中部電力 2030年頃 NA 開発+2GW以上

東北電力 NA 東北等 開発2GW

九州電力 2030年 国内外 開発5GW

(保有2.5GW)

四国電力 2030年 国内外 開発0.5GW

北陸電力 2030年 国内 販売電力量3割

出所:各社プレスリリースより弊行作成

0%

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16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 19/1

小口

大口

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0

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10,000

15,000

14/3 15/3 16/3 17/3 18/3 19/3

(億円)

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本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行および弊社が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作

成されたものですが、情報の正確性・完全性を弊行および弊社で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じており

ます。 Copyright © 2019 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.

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数年先を見据えた主要プレイヤーの動き

~国内情報サービス各社はIoT関連サービスの開発・グローバル展開に注力

企業が有するデータ等を蓄積・分析することで、生産性向上や新たな付加価値の創出に繋げる仕組みであるIoTの活用が、企業の競争力の源泉となり得るとみられます。そのため、企業は膨大なデータを蓄積・分析する環境としてクラウドの活用を進めることに加え、IoT関連の投資を拡大させています。国内情報サービス各社は、企業のこうした動きに対応すべく、海外ベンダーのリソース活用等によりクラウドサービスの提供に注力する他、IoT関連サービスの開発に向け、人工知能(AI)技術等のデータ分析に必要な関連技術の強化や人材不足の解消等を目的としたベンチャー企業との提携に加え、業種特有のノウハウを有する企業との協業等に取組んでいます。

また、開発したIoT関連サービス等をグローバル展開するために、海外企業との協業や買収、海外拠点等を新設するといった取組みも出てきており、今後こうした動きはさらに増えてくるとみられます。

国内市場動向~IT活用の多様化により市場は回復傾向

国内の情報・サービス産業は、2008年度の金融危機の際に、企業のIT投資抑制により大幅な需要減となりましたが、2011年度以降は、景気回復による企業の業績改善や、生産性向上や新たな付加価値創出を目的としたIoT(注)投資等の積極化に伴い、需要は拡大傾向に転じています。

また、国内情報・サービス各社が金融危機時の需要減に伴い大幅な人員削減を実施して以降、市場の成熟を背景に人員増強に消極的であった為、近年はIT人材不足が深刻化し、サービス単価も徐々に上昇。2018年度の市場規模は過去ピークの2007年度を上回っています。

今後も引き続きIoT投資等の需要の拡大により、市場の拡大は続くとみられます。

今後の見通し

19年度

下期見通し

業界動向

(注1) Internet of Thingsの略称。様々なモノがネットで繋がりデータを送受信する仕組み。

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向

図表1 国内情報サービス売上高推移(年度)

~IT投資意欲は引き続き拡大

図表2 国内売上高上位10社(2018年度)

~大手処はいずれも前期比増収増益

図表3国内ITサービス各社の取組み事例

~各社IoT・AI関連サービス開発・展開に注力

出所:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より弊行作成

23.情報サービス

出所:各社IR資料より弊行作成(富士通・日立製作所はそれぞれテクノロジーソリューション、情報・通信システムセグメントの実績を記載) 出所:各社プレスリリースより弊行作成

企業名 売上高 (億円)

営業利益 (億円)

1 富士通 31,237 1,880

2 NEC 29,134 585

3 NTTデータ 21,671 1,477

4 日立製作所 20,659 2,109

5 大塚商会 7,599 481

6 野村総合研究所 5,012 714

7 伊藤忠テクノソリューションズ 4,520 359

8 TIS 4,208 380

9 SCSK 3,587 384

10 日本ユニシス 2,990 206

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15

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191Q

売上高(左軸) 前年度比(右軸)

(兆円)

(年度)

年/月 取組事例

2019年9月 日立製作所が2020/1月に米国にてIoT関連会社を新設することを発表。

2019年8月 富士通がデジタライゼーションを支援する新会社を19年度中に設立することを発表。22年度中に売上高3,000億円を目指す。

2019年5月 NECがAIを活用した創薬事業に参入を発表。7月にはノルウェーのバイオテクノロジー企業OncoImmunity ASを買収。

2019年2月 NECが、海外の公共系事業推進を目的として、デンマークのIT最大手KMDホールディングを買収。

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56 Copyright © 2019 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.

業種

景況感

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景況感

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景況感

業種

景況感

前回予測 (19年度上期)

今回予測 (19年度下期)

前回予測 (19年度上期)

今回予測 (19年度下期)

前回予測 (19年度上期)

今回予測 (19年度下期)

前回予測 (19年度上期)

今回予測 (19年度下期)

1

鉄鋼

7

電子部品・

半導体

13

海運 (外航)

19

百貨店・

スーパー

2

オイル・ガス

8

家電

14

空運

20

外食

3

石油化学

9

機械

15

陸運倉庫

21

レジャー (旅行・ホテル)

4

紙パルプ

10

自動車

16

建設

22

電力

5

医薬品

11

造船

17

不動産

23

情報

サービス

6

食品

12

通信

18

アパレル

前回予測:2019年3月時点

今回予測:2019年9月時点

産業天気図

改善 悪化

不況 好況

凡例

グローバル経済と主要産業の動向(2019年度下期) :主要産業の動向