9
1 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋脚の設計・施工 阪神高速道路(株)建設事業本部大阪建設部守口ジャンクション建設事務所 岡﨑 展也 阪神高速道路(株)建設事業本部大阪建設部守口ジャンクション建設事務所 山名 宗之 阪神高速道路(株)建設事業本部建設技術課 小坂 ……………………………………………………………………………… 守口ジャンクション連絡路Aにおける,12 号守口線と新設連絡路が接続する区間(守口線-AP3 橋脚間)は,維 持管理面,走行性向上の観点から縦目地は設けず,床版連結を行い,既設橋脚と同一断面で基礎の配置を計画し ている.しかし,AP3 橋脚については,地下埋設物や交差点道路により構造寸法に制約を受けるため,基礎をケ ーソンとし,橋脚を鋼構造とした上でケーソンとの接合部に従来のアンカーフレーム形式ではなく,ソケット接 合形式(ケーソン基礎頂版部に設置した鋼管(ソケット鋼管)の中に,鋼製柱を挿入し,その隙間にコンクリート を充填し結合する形式)を採用することによりケーソン径を縮小している.本論文では,鉄道構造物では採用実 績があるが,道路橋での採用実績は少なく,高速道路施工として初めての採用となる「柱と梁のソケット接合形 式橋脚」の設計・施工についてまとめるものである. キーワード:ソケット接合形式,鋼製橋脚,オープンケーソン はじめに 守口ジャンクションは,阪神高速 12 号守口 線と近畿自動車道を相互に接続するジャンクシ ョンである(図-1).本ジャンクションの整備 により,高速自動車国道と都市高速道路の連絡 を強化し,都心部に集中する交通の分散を図る とともに,事故・災害時の代替路線となって道 路網の信頼性を高め,更に一般道路を介して両 道路を乗り継ぐ交通が周辺に与える影響を解消 し,乗り継ぎ交通の時間短縮を図るものとなっ ている.なお,ジャンクションの整備は,ON ランプ方式とし,12 号守口線へ流入する連絡 技報第 26 2013 図-1 守口JCT位置図

守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

1

守口ジャンクションにおける柱と基礎の

ソケット接合形式橋脚の設計・施工

阪神高速道路(株)建設事業本部大阪建設部守口ジャンクション建設事務所 岡﨑 展也

阪神高速道路(株)建設事業本部大阪建設部守口ジャンクション建設事務所 山名 宗之

阪神高速道路(株)建設事業本部建設技術課 小坂 崇

………………………………………………………………………………

要 旨

守口ジャンクション連絡路Aにおける,12 号守口線と新設連絡路が接続する区間(守口線-AP3 橋脚間)は,維

持管理面,走行性向上の観点から縦目地は設けず,床版連結を行い,既設橋脚と同一断面で基礎の配置を計画し

ている.しかし,AP3 橋脚については,地下埋設物や交差点道路により構造寸法に制約を受けるため,基礎をケ

ーソンとし,橋脚を鋼構造とした上でケーソンとの接合部に従来のアンカーフレーム形式ではなく,ソケット接

合形式(ケーソン基礎頂版部に設置した鋼管(ソケット鋼管)の中に,鋼製柱を挿入し,その隙間にコンクリート

を充填し結合する形式)を採用することによりケーソン径を縮小している.本論文では,鉄道構造物では採用実

績があるが,道路橋での採用実績は少なく,高速道路施工として初めての採用となる「柱と梁のソケット接合形

式橋脚」の設計・施工についてまとめるものである.

キーワード:ソケット接合形式,鋼製橋脚,オープンケーソン

はじめに

守口ジャンクションは,阪神高速 12 号守口

線と近畿自動車道を相互に接続するジャンクシ

ョンである(図-1).本ジャンクションの整備

により,高速自動車国道と都市高速道路の連絡

を強化し,都心部に集中する交通の分散を図る

とともに,事故・災害時の代替路線となって道

路網の信頼性を高め,更に一般道路を介して両

道路を乗り継ぐ交通が周辺に与える影響を解消

し,乗り継ぎ交通の時間短縮を図るものとなっ

ている.なお,ジャンクションの整備は,ON

ランプ方式とし,12 号守口線へ流入する連絡

技報第 26 号 2013

図-1 守口JCT位置図

Page 2: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

2

路(連絡路 B,連絡路 C)は

阪神高速施行,近畿道へ流入

する連絡路(連絡路 A,連絡

路 D)は NEXCO 西日本施行と

している(図-2).

ただし,それぞれの既設

構造物の改築を伴うもの(す

り付け部)や共用橋脚の施工

については,事業を円滑に進

めるべく阪神高速-NEXCO 西

日本の 2者間において調査設

計・工事に関する受委託協定

を締結している.本稿で取り

扱う AP3 橋脚については,

NEXCO 西日本施行箇所である

が,12 号守口線拡幅部に該当するため,阪神高

速が受託し設計・施工を行っている箇所である.

1.AP3橋脚

守口ジャンクション連絡路Aにおける,12号守

口線と新設連絡路が接続する区間(守口線-AP3

間)は,維持管理面,走行性向上の観点から縦目

地は設けず,床版連結を行い,既設橋脚と同一断

面での基礎を配置計画している(図-3)1).

正 面 図

場所打ち杭φ1200

L=30000 , n=6本

▽ 3.740

▽ 0.700

▽9.994

TP+11.897

▽9.982

(2900) (500)

12003000

5400

1200

2000 1519

1000

1000

6300

2500

8300

300

200

▽1.682

500

2000

▽-0.818

0~4863882

300 300

DL=0.000DL=0.000

6232

12559

13800

2415 2600 803

200~659

1000

500

6500

▽ 10.003

▽ 2.003

1935

4565

ケーソン基礎φ4000

L=22000

2100

充填コンクリート

1600

梁連結

環状コンクリート

ソケット鋼管φ=4000

3303

TP+11.897CL BCLACL

31127

3284 11502 11884 4457

40715425101813876401

TP+11.730

TP+11.686TP+11.836 TP+11.772

BP6AP3守P308

(P164)

2548

CoAsCo

守.308

Co

As Co

FH= GH=3.78

守.308 (NO.0+18.90)

1598

1378411266

3000

2540

3754

16

▽10.001 ▽9.986

AsAs

(BP5-BP6)

2038 2038 9167TP+11.696

TP+11.727TP+11.758

1690

▽ 10.006

▽ 10.005 ▽ 10.003

1723

1755

TP+11.866

1881

▽9.985

9471 2620 2620

1842

TP+11.825

▽9.983 ▽9.980

TP+11.784

1803

▽ 3.768

3900

L=6100

図-3 AP3 橋脚構造一般図

AP3【新設】 守 P308【既設部】

BP6【新設】

AP3

図-2 守口JCT計画図

正 面 図

場所打ち杭φ1200

L=30000 , n=6本

▽ 3.740

▽ 0.700

▽9.994

TP+11.897

▽9.982

(2900) (500)

12003000

5400

1200

2000 1519

1000

1000

6300

2500

8300

300

200

▽1.682

500

2000

▽-0.818

0~4863882

300 300

DL=0.000DL=0.000

6232

12559

13800

2415 2600 803

200~659

1000

500

6500

▽ 10.003

▽ 2.003

1935

4565

ケーソン基礎φ4000

L=22000

2100

充填コンクリート

1600

梁連結

環状コンクリート

ソケット鋼管φ=4000

3303

TP+11.897CL BCLACL

31127

3284 11502 11884 4457

40715425101813876401

TP+11.730

TP+11.686TP+11.836 TP+11.772

BP6AP3守P308

(P164)

2548

CoAsCo

守.308

Co

As Co

FH= GH=3.78

守.308 (NO.0+18.90)

1598

1378411266

3000

2540

3754

16

▽10.001 ▽9.986

AsAs

(BP5-BP6)

2038 2038 9167TP+11.696

TP+11.727TP+11.758

1690

▽ 10.006

▽ 10.005 ▽ 10.003

1723

1755

TP+11.866

1881

▽9.985

9471 2620 2620

1842

TP+11.825

▽9.983 ▽9.980

TP+11.784

1803

▽ 3.768

3900

L=6100

AP3【新設】 守 P308【既設部】

図-3 AP3 橋脚構造一般図 BP6【新設】

Page 3: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

3

しかし,AP3橋脚については,既設橋脚と同一

断面に基礎を配置した場合,地下埋設物(庭窪浄

水場の取水管や用水路)や交差点道路に干渉し,

構造寸法に制約を受けることとなる(図-4).

そこで,基礎をケーソンとし,橋脚を鋼構造と

した上でケーソンとの接合部に従来のアンカーフ

レームではなく,ソケット接合形式(ケーソン頂

版上に受け用鋼管を用意し,鋼製柱を挿入する.

鋼製柱外側に孔あき鋼板ジベル(以下,PBLと記

述)を設け,鋼製柱と鋼管の間にコンクリートを

充填し定着)を採用することによりケーソン径を

縮小する案について,これまでの橋脚基礎形式と

比較した結果(表-1),近傍交差点への影響を

少なくでき,最も経済的であることから,AP3

橋脚基礎形式にソケット接合形式橋脚を採用し

た.

2.鋼管ソケット接合形式概要

鋼管ソケット接合は,鋼製橋脚を柱状体基礎

(ケーソン,PCウェル等)の上部に設置した鋼

管(以下,ソケット鋼管と記述)の中に差し込み,

その隙間にコンクリートを充填し(以下,環状

コンクリートと記述)結合するもので,従来の

一般的な接合で用いられるフーチング・アンカー

フレームを省略することにより,基礎構造及び作

業占有帯の縮小と工期の短縮等が期待できる構造

図-4 AP3 橋脚付近平面図

①案従来方式

(RC橋脚+ケーソン基礎)

②案従来方式【組杭案】

③案採用案

【ソケット接合形式橋脚】

橋 脚 RC柱 RC柱鋼製柱

(孔空き鋼板リブ)

基 礎ケーソン基礎(杭径5m)

場所打ち杭基礎(組杭 杭径3m×2本)

ケーソン基礎(杭径4m)

近接埋設物移設アリ

(移設後、ケーソン基礎施工)移設ナシ

(埋設管の管理が難しい)移設ナシ

交通影響交通影響中

(③案より規制範囲が少し大きい)交通影響大

(杭本数が多く規制範囲が大きい)交通影響小

工期 約12ヶ月 約4.1ヶ月 約7.5ヶ月

経済性(数値は②案比)

約 2.3 倍 約 1.5 倍 1.0 倍

概要図

近接埋設物

近接埋設物

近接埋設物

近接埋設物近接埋設物

表-1 AP3 橋脚基礎形式比較

①案従来方式

(RC橋脚+ケーソン基礎)

②案従来方式【組杭案】

③案採用案

【ソケット接合形式橋脚】

橋 脚 RC柱 RC柱鋼製柱

(孔あき鋼板ジベル)

基 礎ケーソン基礎(杭径5m)

場所打ち杭基礎(組杭 杭径3m×2本)

ケーソン基礎(杭径4m)

近接埋設物移設アリ

(移設後、ケーソン基礎施工)移設ナシ

(埋設管の管理が難しい)移設ナシ

交通影響交通影響中

(③案より規制範囲が少し大きい)交通影響大

(杭本数が多く規制範囲が大きい)交通影響小

工期 約12ヶ月 約4.1ヶ月 約7.5ヶ月

経済性(数値は③案比)

約 2.3 倍 約 1.5 倍 1.0 倍

概要図

近接埋設物

近接埋設物

近接埋設物

近接埋設物近接埋設物

Page 4: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

4

である(図-5).

この接合方式は,鉄道関連の構造物では標準的

な接合法として多くの採用実績があるが,道路橋

での採用実績は少なく,道路橋大規模構造物での

採用は,国土交通省四国地方整備局施行の小坂高

架橋での実績2)があるのみであり,守口ジャンク

ションAP3橋脚で2例目となっている.

3.鋼管ソケット接合形式橋脚の設計概要

3-1 鋼管ソケット接合形式の設計

鋼管ソケット接合部は,鋼製橋脚と基礎とを連

結する構造であり,その要求性能は,道路橋示方

書・同解説(以下,道示と記述)V耐震設計編 3)の

アンカー部の規定に基づき,小坂高架橋の設計手

法を参考にし,次のとおり設定している.

① 常時およびレベル 1 地震時に対して耐震性能

1(発生する応力が許容応力度以下)を確保す

る.(道示Ⅴ2.2(4))

② レベル 2 地震動に対して塑性変形を生じさせ

ない.(道示Ⅴ11.1(3))

③ 鋼製橋脚の水平耐力と同等以上の耐力を有す

る.(道示Ⅴ11.4)

また,設計での想定を超える外力(レベル 2 地

震動以上)が作用した場合にも,鋼製橋脚基部の

塑性化により終局に至る破壊モードとなるよう,

各部材の有する耐力の大小関係を『鋼製橋脚<基

礎(ケーソン部)<鋼管ソケット接合部』としてい

る.

上記の要求性能を満足させるために,接合部の

設計として,次の 2条件を満たすように設計して

いる.

① 接合部の設計曲げ耐力が,橋脚基部(コンクリ

ート充填鋼製橋脚)の終局曲げ耐力の 1.4 倍

(安全率)を上回ること 4).

② 接合部の設計曲げ耐力が,基礎(オープンケー

ソン)の終局曲げ耐力を上回ること.

ここで,鋼管ソケット接合の設計曲げ耐力は,

鉄道構造物等設計標準・同解説 4)の耐力評価式

(以下,鉄標式と記述)により算出している.接合

部の耐荷モデルを図-6 に,鉄標式を以下に示す.

鉄標式では,鋼管ソケット接合の耐荷機構とし

図-5 鋼管ソケット接合

柱差込部の力の釣り合い 杭部の力の釣り合い

図-6 鉄標式による鋼管ソケット接合の耐荷モデル 4)

Page 5: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

5

て,鋼製橋脚とソケット鋼管との間に発生する支

圧力の偶力と,鋼製橋脚とコンクリート間に発生

する摩擦力の偶力により,鋼製橋脚に作用する曲

げモーメントおよびせん断力に抵抗するものと仮

定している.図-6に示されている釣り合いモー

メントについて解くことで,接合部の曲げ耐力

( utM )を次式で与えている.

QP23

Q2P5LQPQP23

PLdπ22TM

2

ut

ここに,

utM :鉄標式による鋼管ソケット接合部の曲げ耐力

T :鋼製橋脚に作用する摩擦力の合力の最大値

P :鋼製橋脚に作用する支圧力の合力の最大値

Q :曲げ耐力時の作用せん断力

d :鋼製橋脚の外径

L :柱の差込み長

なお,柱の差し込み長さは, L (差込み長)≧

1.5 d (鋼製橋脚外径)とする 4).

また,鋼製橋脚とコンクリート間の摩擦力の合

力の最大値T ,および支圧力の合力の最大値 Pは,それぞれ以下の式で表される.

φL tanQ)(P22π

Q2PQPd

4πcT

cs VVP

ここに,

c :粘着力(平鋼管の場合,c=0.7N/mm2)

φ :摩擦角(平鋼管の場合,φ=20°)

sV :ソケット鋼管が負担するせん断力

cV :環状コンクリートが負担するせん断力

なお,本 AP3 橋脚では,実験 5),6)で耐力向上

の効果が示されているソケット鋼管内面にずれ止

め用の鉄筋(D13)を採用し,更に施工実績 2)もあ

る PBLを差し込み部の橋脚外面に設置する構造を

採用し,より安全性の高い構造としている.

PBL の設計は,ずれ止め耐力が橋脚基部の終局

曲げ耐力を上回ることとしている.PBL によるず

れ止めの耐荷モデルを図-7 に,耐力評価式を以

下に示す.

n

1irirupblpbl θcoshPmM

ここに,

pblM :PBLのずれ止め耐力

upblP :PBLの孔1個のせん断耐力

m :ジベル1本あたりの孔個数

rh :鋼製橋脚断面中心から孔中心までの距離

rθ :PBLの取付け角度

なお,PBLのせん断耐力は,「鋼・コンクリート

複合橋脚設計手引き」7)に従い算出している.

ソケット鋼管の外径は,ケーソン基礎と同径と

し,板厚は,終局耐力の照査で決定している.ま

た,腐食代として 1mmを考慮している.

3-2 構造概要

以上から,決まった AP3橋脚接合部の構造図を

図-8に示す.

ソケット鋼管外径 D =4,000mm,鋼製橋脚外径

d =1,600mm であり,両者の比 d/D =2.5 となっ

た.これは,実験 5),6)等で終局強度を推定でき

ると確認された d/D =1.47~3 の範囲に入ってお

り,今回の AP3橋脚にソケット接合形式を採用で

きるものとなった.

図-7 PBL の耐荷モデル

Page 6: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

6

4.鋼管ソケット接合形式橋脚の施工概要

鋼管ソケット接合形式橋脚の施工概要を図-9,

写真-1~12に示す.

【STEP1】オープンケーソンの最終ロットを圧入

した後,工場にてソケット鋼管内側にずれ止め

鉄筋(D-13 SS400)を溶接したソケット鋼管(1/4

円)をケーソン上に油圧クレーンで設置した.

その際,溶接後も真円を確保できるように,歪

防止材(PL16t×150×600(SS400))を現場溶接に

て設置し,ソケット鋼管(1/4円)の間を各々溶

接した(図-10,11).ケーソンとソケット鋼

管をコンクリートで一体化させ,オープンケー

ソンの施工同様に所定の深さまで圧入掘削した.

150

28x150=4200

4400

2000

4500(t=33mm SM490Y)

300

6100

S1 D13

鋼製橋脚1700

1600(t=9mm SM400)

1700

2400

200

100

環状コ

ンク

リー

ト頂版

コン

クリ

ート

4-FB 32x16x2877 (SS400)

ずれ止め

50

埋戻し時切断

ソケット鋼管

450-200

450-200

90

2400

2260

50

8000

29 φ1542 29

320 φ1600 320

80

15x140=2100

80

σck=30N/㎜

2

PBL

PBL詳細図

80

15x140=2100

80

2260

100 140

320

80

φ80

8

300

φ1060

300

A-A

8

7.5°

6-φ40孔30°

PBL

32

16

ずれ止め部詳細図

4-FB 32x16x2877 (SS400)

ずれ止めリング

図-8 鋼管ソケット接合部詳細図

図-9 鋼管ソケット接合形式橋脚の施工ステップ概要

STEP1 STEP2 STEP3

油 圧 ジ ャ ッキ

ソ ケ ッ ト鋼 管

ク ラム シ ェ ル バ ケ ッ ト

① ケーソン圧入完了

② ソケット鋼管設置

③ ソケット鋼管圧入掘削

④ 底版コンクリート打設

⑤ 頂版コンクリート打設

⑥ 鋼製橋脚設置

鋼 製 橋 脚

頂 版 コン ク リ ー ト

環 状 コ ン ク リ ー ト

根 巻 き コ ン ク リ ー ト

鋼 製 橋 脚中 詰 め コ ン ク リ ー ト

仮 壁 部 撤 去

⑦ 環状コンクリート打設

⑧ 中詰めコンクリート打設

⑨ 根巻きコンクリート打設⑩ ソケット鋼管仮壁部撤去

⑪ 埋戻し

150

28x150=4200

4400

2000

4500(t=33mm SM490Y)

300

6100

S1 D13

鋼製橋脚

1700

1600(t=9mm SM400)

1700

2400

200

100

環状コ

ンクリ

ート

頂版コ

ンク

リー

4-FB 32x16x2877 (SS400)

ずれ止め

50

埋戻し時切断

ソケット鋼管

450-200

450-200

90

2400

2260

50

8000

29 φ1542 29320 φ1600 320

8015

x140=2100

80

σck=30N/㎜2

PBL

32

16

ずれ止め部詳細図

4-FB 32x16x2877 (SS400)

ずれ止めリング

33 コンクリートケーソン

ソケット鋼管

Page 7: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

7【STEP2】ケーソンの底版コンクリート,頂

【STEP2】ケーソンの底版コンクリート,頂版コ

ンクリートを施工し,頂版コンクリート上に鋼

製橋脚を設置した.なお,高さ調整は,ライナ

写真-1ソケット鋼管工場検査 写真-2ソケット鋼管現地搬入 写真-3ソケット鋼管据付

写真-4 ソケット鋼管歪み防止材 写真-5ソケット鋼管据付 写真-6ソケット鋼管圧入

写真-7鋼製橋脚架設 写真-8ソケット鋼管内面

写真-10 根巻きコンクリート打設 写真-11仮壁撤去 写真-12 鋼製梁架設

写真-9環状コンクリート打設完了

歪防止材

(PL16t×150×600)

現地溶接部

図-11 ソケット鋼管歪み防止材

図-10 ソケット鋼管施工概要

【STEP2】ケーソンの底版コンクリート,頂版コ

ンクリートを施工し,頂版コンクリート上に鋼製

橋脚を設置した.なお,高さ調整は,ライナープ

レートで行った.鋼製橋脚とソケット鋼管の位

Page 8: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

8

置設定は,鋼製橋脚を吊り下げた状態で,鋼材

により溶接仮留を行い,位置決めした.

【STEP3】鋼製橋脚の位置が確定した後,鋼製

橋脚とソケット鋼管の隙間を充填する環状コン

クリートの打込みを行い,ケーソン基礎と橋脚

を一体化させた.その後,中詰めコンクリート,

根巻きコンクリートの打設を行い,通常のケー

ソン基礎同様に,基礎上部の仮壁部の鋼管

(t=9mm部分)撤去を行い,埋戻しを行った.

5.まとめ

守口ジャンクションAP3橋脚において,地下埋

設物や交差点道路により構造寸法に制約を受ける

ため,基礎をケーソンとし,橋脚を鋼構造とした

上でケーソンとの接合部に高速道路としては初め

ての「ソケット接合形式」を採用したことにより,

構造寸法を小さく抑えることができた.

ソケット鋼管自体の施工では,現場溶接による

歪み防止を考慮した施工の必要が出た反面,通常

のアンカーフレーム施工が無くなり,更に基礎上

部の複雑な鉄筋の中でのアンカーフレーム設置作

業等が無くなった分,施工面は簡素化され,施工

日数も下部工事全体で1ヶ月程度は短縮でき,6

ヶ月程度で完成できた.これらの工程短縮及びア

ンカーフレーム自体の省略等により工費縮減が期

待できるものとなっている.既往の実験5),6)で確

認された「ソケット鋼管外径」と「鋼製橋脚外径」

の比率の範囲内であれば,今後も適用が効果的な

構造であると考えられる.

参考文献1)藤林健二,小坂 崇,佐々木一則: 守口ジャンクショ

ンの構造概要,阪神高速道路第 42 回技術研究発表

会論文集,2010. 2)社団法人 日本橋梁建設協会 技術委員会 架設小委

員会: 交差点急速立体化施工法-クイックブリッ

ジ工法 小坂高架橋の施工-,橋梁技術発表会平成

20 年度発表会,2008. 3)社団法人 日本道路協会:道路橋示方書・同解説 Ⅴ耐

震設計編,2002 年 3月

4) 鉄道総合技術研究所:鉄道構造物等設計標準・同解説

鋼とコンクリートの複合構造物,2002年 12月.

5)野澤伸一郎,木下雅敬,築嶋大輔,石橋忠良,:ずれ止

めを用いたコンクリート充填鋼管ソケット接合部の

耐力評価,土木学会論文集,№634/Ⅴ-45,pp.71-

89,1999.11

6) 高嶋 豊,蒲原武志,佐々木保隆,小田章治,吉川信

男:孔あき鋼板リブ付き鋼管ソケット接合の耐力評

価式の提案,土木学会 構造工学論文集 Vol.54A,

pp.798-806,2008年 3月

7) 阪神高速道路㈱:鋼・コンクリート複合橋脚設計手引

き,2008年 6月

DESIGN AND CONSTRUCTION OF SOCKET CONNECTION BETWEEN A STEEL PIER AND FOUNDATION IN MORIGUCHI JUNCTION

Nobuya OKAZAKI, Muneyuki YAMANA and Takashi KOSAKA

In the construction of links at Moriguchi Junction between the Hanshin and Kinki Expressways, a connected slab system has been adopted for the connection of a new link on pier AP3 to the existing Moriguchi Route (#12) to eliminate longitudinal joints for increased ease of maintenance and driving comfort, with the foundation located on the same cross-section with the existing pier. Due to structural and dimensional restrictions from underground installations and surface road intersections, pier AP3 was designed to have caisson foundation connected via steel socket for the benefit of a smaller caisson diameter compared to conventional anchor frame system. The socket connection system is a method to connect a bridge pier to the foundation by inserting a steel pier column into a steel socket pipe which is fixed to the top plate of caisson foundation and placing concrete in the gap between the column and the socket pipe. This type of connection has had applications to railway structures, but none to expressway structures before. This paper describes the design of the socket connection and its construction as the first application to an expressway.

Page 9: 守口ジャンクションにおける柱と基礎の ソケット接合形式橋 …...DL=0.000 DL=0.000 6232 12559 13800 2415 2600 803 200~659 1000 500 6500 10.003 2.003 1935

9

岡﨑 展也 山名 宗之 小坂 崇

阪神高速道路株式会社 阪神高速道路株式会社 阪神高速道路株式会社

大阪建設部 守口JCT建設事務所 大阪建設部 守口JCT建設事務所 建設事業本部 建設技術課

Nobuya Okazaki Muneyuki Yamana Takashi Kosaka