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エムプリシティ 300 ㎎、400 ㎎ 標: 当院での運順の確認 公益財団法がん研究会有明病院 液腫瘍科・薬剤部・看護部 第1版 2016

エムプリシティ - jfcr.or.jp...効果: 奏効割合 E-Ld群78.5% vs Ld群65.5% (p=0.0002) 有意な改善 PFS中央値 E-Ld群19.4ヵ月vs Ld群14.9ヵ月 (p=0.0004) 有意な延長あり

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    エムプリシティ                

    300 ㎎、400 ㎎  

     

     

    ⽬目標:   当院での運⽤用⼿手順の確認  

     

     

    公益財団法⼈人がん研究会有明病院  

    ⾎血液腫瘍科・薬剤部・看護部  

     

    第 1 版   2016 年年  

  • 1

    エムプリシティ                 300 ㎎、400 ㎎  

    1)臨床試験結果:

    A)国際共同第Ⅲ相試験(CA204004 試験) 対象患者: 1-3 レジメンの前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫患者646例 E-Ld群 321 例、Ld 群 325 例(日本人患者 60 例 E-Ld群 31 例、Ld 群 29 例) 治療:E-Ld群

    Elotuzumab10 ㎎/kg 1-2 サイクル Days1,8,15,22。3サイクル以降 Days1,15 Lenalidomide25mg/日 Days1-21 Dexamethasone: Day1,8,15,22

    Elotuzumab 投与なしの週 40mg/日(p.o.) Elotuzumab 投与ありの週 8mg/日(i.v.)+28mg/日(p.o.) 効果: 奏効割合 E-Ld群 78.5% vs Ld 群 65.5% (p=0.0002) 有意な改善

    PFS 中央値 E-Ld群 19.4 ヵ月 vs Ld 群 14.9 ヵ月 (p=0.0004) 有意な延長あり OS 中央値 E-Ld 群 43.7 ヵ月 vs Ld 群 39.6 ヵ月 (HR=0.77)有意な延長なし

    安全性: E-Ld群

    発熱(32.3%), 好中球減少症・肺炎 (29.0%), 便秘・発疹 (25.8%), 末梢性浮腫(22.6%), 味覚異常 (19.4%), 貧血 (19.4%), 倦怠感・筋痙縮・リンパ球減少症(16.1%), 不眠症・鼻咽頭炎・感覚鈍麻 (12.9%)

    Ld 群 便秘 (34.5%), 好中球減少症 (31.0%), 不眠症 (27.6%), 鼻咽頭炎(24.1%),

    末梢性ニューロパチー(20.7%), 末梢性浮腫・味覚異常・吃逆・白内障 (17.2%), 発熱・発疹・倦怠感・気管支炎・食欲不振・下痢 (13.8%), 貧血・高血糖・末梢性感覚ニューロパチー・発声障害・疲労・掻痒感・胃腸炎・味覚減退 (10.3%)

    注意を要する有害事象 ・Infusion reaction 全 Grade72.3%(Grade3 以上 8.5%)

    下痢、無力症、咳嗽、呼吸困難、発熱、悪心、頭痛、浮腫性めまい、高血圧、霧視など ・感染症

    全 Grade E-Ld群 81.4%, Ld 群 74.4% (Grade3 以上 E-Ld 群 30.5%, Ld 群 26.5%) ・二次性悪性腫瘍

    全 Grade E-Ld群 10.1%, Ld 群 6.0% (Grade3 以上 E-Ld 群 6.3%, Ld 群 4.4%) ・リンパ球減少

    全 Grade E-Ld群 13.8%, Ld 群 6.9% (Grade3 以上 E-Ld 群 9.1%, Ld 群 3.2%) ・白内障

    全 Grade E-Ld群 12.3%, Ld 群 6.6% (Grade3 以上 E-Ld 群 6.6%, Ld 群 3.2%) ・間質性肺炎

    全 Grade E-Ld群 2.2%, Ld 群 2.2% (Grade3 以上 E-Ld 群 0.3%, Ld 群 0.9%)

    B)海外第Ⅰ相試験(HuLuc63-1701) 対象患者: 2レジメン以上の前治療歴を有する進行性多発性骨髄腫患者35例(6コホート)

    0.5mg/kg コホート3例、1mg/kg コホート 4 例、2.5mg/kg コホート 6 例、 5mg/kg コホート 4 例、10mg/kg コホート 4 例、20mg/kg コホート 14 例

    治療: 8週間を1サイクルとし Elotuzumab を2週間隔で投与し用量を 0.5-20mg/kg の範囲で漸増。 結果: 2.5mg/kg コホートで6例中1例に血中クレアチニン増加を認めた。その後 20 ㎎/kg コホートで

    1例に過敏症を認め最大耐量 20mg/kg が決定された。 本剤と関連ある主な有害事象は infusion reaction【悪寒 32.4%,発熱 17.6%,潮紅 11.8%】で

    あり発現頻度や重症度に用量反応性は認められなかった。

  • 2

    C)海外第Ⅰb/Ⅱ相試験〔HuLuc63-1703 試験〕 対象患者

    第Ⅰb 相:再発または難治性多発性骨髄腫 5 ㎎/㎏ 3 例、10 ㎎/㎏ 3 例、20 ㎎/㎏ 22 例 第Ⅱ相:1-3 レジメンの前治療歴を有する再発または難治性多発性骨髄腫

    10㎎/㎏ 36 例,20 ㎎/㎏ 37 例 治療: ELd 療法(28days/cycle) Elotuzumab 5 or 10 or 20 ㎎/kg 1-2 サイクル Days1,8,15,22。3サイクル以降 Days1,15 Lenalidomide25mg/日 Days1-21 Dexamethasone: Day1,8,15,22

    Elotuzumab 投与なしの週 40mg/日(p.o.) Elotuzumab 投与ありの週 8mg/日(i.v.)+28mg/日(p.o.) 効果 ・第Ⅰb 相:いずれの投与群でも用量制限毒性を認めなかった。 主な有害事象は疲労(64.3%),下痢(60.7%),貧血・便秘・悪心(50%),好中球減少・筋痙縮(42.9%)

    20%以上の Grade3 または 4 の有害事象は好中球減少及び血小板減少 重篤な有害事象は 53.6%に認め発熱性好中球減少症、心房細動及び肺障害

    Infusion reaction は 89.3%に認め、Grade3以上は 10.7% ・第Ⅱ相:10 もしくは 20mg/kg の E-Ld 療法を受けた 73 例において

    sCR 3 例(4.1%), CR 7 例(9.6%), VGPR 31 例(42.5%), PR 20 例(27.4%), ORR83.6% 10mg/kg 群(n=36) 20mg/kg 群(n=37) 全体(n=73) 奏効割合,患者数(%) 33 (91.7%) 28 (75.7%) 61 (83.6%) 奏効期間,中央値(月) 34.8 29.0 29.2 無増悪生存期間,中央値 (月)

    32.5 25.0 28.6

    主な有害事象 下痢(65.8%),筋痙縮(61.6%),疲労(56.2%),便秘(50.7%),悪心(47.9%),上気道感染(46.6%), 発熱(42.5%),背部痛(41.1%) 20%以上の Grade3 または 4 の有害事象はリンパ球減少のみ 重篤な有害事象は 57.5%に認め肺炎、敗血症、気管支炎および蜂巣炎

    Infusion reaction は 10.9%に認め、Grade3以上は 1 例(発疹)のみ

  • 3

    2)当院での運用 ⅰ)対象患者

    再発または難治性の多発性骨髄腫

    *治療前に、RevMate センターへの患者登録、妊娠検査(妊娠可能な女性のみ)、および、処方時の

    遵守状況確認/患者指導どが必要になる。レブラミド Cap の薬剤管理の面でも適正を検討する。本人の管理能力が低い場合は薬剤管理者が必要となる。

    ⅱ)治療スケジュール・用法用量 Elotuzumab(エムプリシティ® ブリストル・マイヤーズスクイブ)

    :10 ㎎/kg 1-2 サイクル Days1,8,15,22 3 サイクル以降 Days1,15 Lenalidomide(レブラミド® セルジーン) :25mg/日 Days1-21 Dexamethasone(静注:デキサート®富士製薬工業、内服:レナデックス®セルジーン)Day1,8,15,22

    Elotuzumab 投与ありの週 33mg/日(i.v.) Elotuzumab 投与なしの週 40mg/日(p.o.)

    <Elotuzumab 投与速度>

    1 サイクル目 初回投与 :30ml/時(30 分)→60ml/時(30 分)→残り 120ml/時で終了まで

    2 回目以降 :60ml/時(30 分)→残り 120ml/時で終了まで 2 サイクル目以降 :120ml/時

    投与中の対応:心電図モニター着用、速度変更時バイタル確認(体温、血圧、脈拍、血中酸素濃度) IR 出現時の対応 Grade1 : 直ちに投与中断。30ml/時より再開し、忍容性が十分に確認された場合には、30 分ごと

    に 30→60→120ml/時まで速度 up 可。 Grade2 : Grade1 に従う。ただし、IR が発現した投与速度を越えないこと。再開後に IR を再発現

    した場合は、中断し同日に再投与しない。 Grade3 : 直ちに投与中断。原則、再投与しない。 Grade4 : 直ちに投与中止。 ⅲ)減量基準

    Elotuzumab 肝機能、腎機能にて調整は不要 Lenalidomide 腎機能障害減量 25mg→15mg→10mg

    30 ≦ Ccr < 60 :10mg で開始し、増量可能と判断された場合は 15mgへ増量可。 30 < Ccr (透析無し) :15mg 隔日投与 30 < Ccr (透析必要) :5mg 連日投与(透析日は透析後に内服)

    Dexamethasone 33mg→16.5mg→6.6mg(内服 8mg) Ⅳ)主な副作用および予防薬 ○Infusion reaction

    CA204004 試験での発現率:全 Grade72.3%(Grade3 以上 8.5%) IR発現した 230 例のうち、64.8%(149/230 例)が 1 サイクル目、30%(69/230 例)が 2 サイクル 目に発現している。

  • 4

    予防① 前投薬 2 剤 Elotuzumab 投与の 30 分前(DEX 投与と同時)に内服する。

    抗ヒスタミン薬 d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 :ポララミン®錠 2mg 1錠 解熱鎮痛薬 イブプロフェン :ブルフェン®錠 200 ㎎ 1錠

    予防② 治療薬:Dexamethasone(点滴静注)を必ず Elotuzumab の前に投与する。

    *Dexamethasone 減量は静注 33mg→16.5mg→6.6mg(内服 8mg)とし、治療及び IR 予防とし て投与するため Off にはしない。 *適正使用ガイドで推奨されているヒスタミン H2 ブロッカーは、胃腸障害予防として PPI を全例内服す

    るため不要とする。IR が重篤な症例ではヒスタミン拮抗薬の観点から追加も検討。 ○血栓症

    ①予防

    全例、低用量アスピリン(バイアスピリン®)100 ㎎ 1錠 を治療開始時より併用する。 胃腸障害予防薬:プロトンポンプ阻害剤(ランソプラゾール®15mg1 日 1 回等)を併用する。

    *低用量アスピリン予防投与開始前に、消化管出血/潰瘍の有無を確認する。

    *血栓症高リスク症例では、ワルファリンカリウム(ワーファリン®、PT-INR1.5~2.0)もしくは、血栓症の

    既往例にはエドキサバン(リクシアナ®: 体重 60kg 以上、60mg 内服/60 ㎏以下もしくは腎機能障

    害では 30mg への減量)、と、フォンダパリニクス(アリクストラ®2.5m 1 日 1 回皮下注射、腎障害で1.5mg に減量)も使用可能。

    *アピキサバン(エリキュース®:静脈血栓治療時から発症抑制は 10 ㎎1日 2 回 7 日間内服後、5 ㎎を1 日 2 回内服を継続)は血栓治療時と再発抑制時のみ可。

    ②血栓症発症時の治療

    従来の未分画ヘパリン→ワーファリンによる抗凝固に加え、FXa(活性 化血液凝固第 X 因子)を選

    択的、可逆的・直接的阻害薬のエドキサバン(リクシアナ®)、フォンダパリヌクス(アリクストラ®)、アピ

    キサバン(エリキュース®) も使用可能である。

    *エドキサバン、フォンダパリヌクス、アピキサバンでは有効なモニタリング法がないが、血算(ヘモグロ

    ビン値及び血小板数)、尿潜血及び便潜血検査等の臨床検査で出血傾向を早期に発見すること。

    ○感染症

    ①予防投与 : 必須) ST 合剤 (バクタ配合錠® 1 錠)

    *腎機能低下時減量:15≦Ccr≦30 0.5 錠、 Ccr

  • ERD療法

    1サイクル目投与時間

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

    レブラミドCap 朝食後 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × × × × × × ×

    ブルフェン錠 ○ ○ ○ ○

    ポララミン錠 ○ ○ ○ ○

    生理食塩液100ml+デキサメタゾン33㎎(商品名:デキサート)

    30分 ◎ × × × × × × ◎ × × × × × × ◎ × × × × × × ◎ × × × × × ×

    生理食塩液250ml+エロツズマブ(商品名:エムプリシティ)

    初回:30ml/時(30分)→60ml/時(30分)→残り120ml/時

    2回目:60ml/時(30分)

    →残り120ml/時

    (約3~3.5時間)

    ◎ × × × × × × ◎ × × × × × × ◎ × × × × × × ◎ × × × × × ×

    生理食塩液 5分 ○ ○ ○ ○

    2サイクル目

    投与時間

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

    レブラミドCap 朝食後 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × × × × × × ×

    ブルフェン錠 ○ ○ ○ ○

    ポララミン錠 ○ ○ ○ ○

    生理食塩液100ml+デキサメタゾン33㎎(商品名:デキサート)

    30分 ◎ × × × × × × ◎ × × × × × × ◎ × × × × × × ◎ × × × × × ×

    生理食塩液250ml+エロツズマブ(商品名:エムプリシティ)

    120ml/時

    (約2~3時間) ◎ × × × × × × ◎ × × × × × × ◎ × × × × × × ◎ × × × × × ×

    生理食塩液 5分 ○ ○ ○ ○

    3サイクル目以降    *Elo投与が2週間毎になるため、DEX内服処方が必要となります!

    投与時間

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

    レブラミドCap 朝食後 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × × × × × × ×

    レナデックス錠 朝食後 × × × × × × × ◎ × × × × × × × × × × × × × ◎ × × × × × ×

    ブルフェン錠 ○ ○

    ポララミン錠 ○ ○

    生理食塩液100ml+デキサメタゾン33㎎(商品名:デキサート)

    30分 ◎ × × × × × × × × × × × × × ◎ × × × × × × × × × × × × ×

    生理食塩液250ml+エロツズマブ(商品名:エムプリシティ)

    120ml/時

    (約2~3時間) ◎ × × × × × × × × × × × × × ◎ × × × × × × × × × × × × ×

    生理食塩液 5分 ○ ○

    薬品名

    薬品名

    薬品名

    減量規定 エロツズマブ:10㎎/㎏ 肝腎機能障害での減量規定はなし デキサメタゾン:静注)33㎎→16.5㎎→6.6㎎  *治療薬及びIR予防として投与するためoffとはしない。最低用量:6.6㎎/div(内服8㎎) レナリドミド:CCr値により減量規定あり。25㎎→15㎎→10㎎

    予防内服:バクタ(orサムチレール)、ビクロックス、バイアスピリン、PPI          *フルコナゾールは適宜検討

    エムプリシティ投与時のIR対策   *基本は、RIT時の対応に準じて対応する。 心電図モニター着 投与中~翌日朝まで    *翌朝、医師のモニターoffの指示を確認し終了とする。 速度変更時のバイタル確認:体温、血圧、脈拍、血中酸素濃度 IR出現時の対応:①直ちに投与を中断し、医師へ報告 ②ソル・コーテフ100mg

    エンムプリシティ  調整後の安定性 8時間  *薬剤部では、投与当日の朝8時頃調整となります。点滴時間2~3時間半程度かかるので、速やかに治療は開始してください。

    DEX投与開始時内服

    DEX投与開始時内服

    DEX投与開始時内服

    レナデックス®錠

     1回    錠・1日1回 朝食後・週1回   曜日服用

    レブラミド®カプセル      1回   カプセル・1日1回 朝食後・3週間毎日内服し、1週間休み *服用後の空シートは保管が必要です 捨てずに、キットに保管してくだい。

    【確定版】Elotuzumab マニュアル.pdf【確定版】ERD スケジュール表.pdf