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-16- プリズム順応における条件 づけについての一考察 プ リスム j 順応が一 つのユニークな知党_l:の事象なのか,単 i ζ “学習"の日 つの型でしかないのかという古くからの論点がある。プ リズ、ムへの順応なの か, プ リズムへの適応なのか。いわゆる“学習"を否定する極に, Held (Held & Bosso 1961; Held Efstathiou & Greene 1966) があり, なる運動学習を.強調 したのは, Snyder & Pronko (1952) であるが,.より 広い怠味で“学習"との見 Jj 争採るのは, Tayler (1962) そして Taub (Taub Taub & Goldberg 1973 1974) に代表さ れ よう。乙 れま でプ リズム順応における順応獲得の曲線,減衰の曲線,条件 づけ,レ ミニッ セン ス,般化, 転移,系統発生的見地等から検討されてきた。最近, Welch (1974 1978) Kornheiser(1976) らによ って,とのような制i / L から多くの t 沿 いが要約された。彼らも指摘するように乙の問題促起は多くの興味深い定験 l ζ 導き,有効な多くのデータをもたらしてき た。 しかし,学習の 4 つの型 か,ユニーク な過程なのか,又は適応か J I 民んかという問いは, Welch (1978)の指摘を待つまでもなく ,全く単純化しすきるものである。事実, 得ら れたデ ータ は学習のい法見U" が,ある場合には適用可能であり,ある場合 には不可能である。また,データ J こで学習との穎似性があ ったとしても , i J 動的にその基本過程が同一性を示すわけでもない。そして,プリスム J I 頃止 0) f j 倣!な i ベ月u はまだ十分でないが,明らかであるように忠われる。 一括の目的は , プリズム順応を伝統的な学習研究のノ マラグイムのーつであ る条件づけの観点から ,我々の研究室でなされた数種の実砂今中心に とりあ げ,再度検討してみる ζ IlC ある。 プリズム順応と条件づけ ぽリ激事態 がどのよう i ( '784)

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- 16-

プリズム順応における条件

づけについての一考察

太 減 敬 良

プリスムj順応が一つのユニークな知党_l:の事象なのか,単iζ “学習"の 日

つの型でしかないのかという古くからの論点がある。プ リズ、ムへの順応なの

か, プリズムへの適応なのか。いわゆる“学習"を否定する極に, Held

ら(Held& Bosso凧 1961;, Held, Efstathiou & Greene, 1966)があり, ~.

なる運動学習を.強調したのは, Snyder & Pronko (1952) であるが,.より

広い怠味で“学習"との見Jj争採るのは, Tayler (1962) そして Taub

(Taub, 1968 .~ Taub & Goldberg, 1973,1974) に代表されよう。乙れまでプ

リズム順応における順応獲得の曲線,減衰の曲線,条件づけ,レ ミニッ セン

ス,般化, 転移,系統発生的見地等から検討 されてきた。最近, Welch

(1974,1978),Kornheiser(1976) らによ って,とのような制i/、Lから多くのt沿

いが要約された。彼らも指摘するように乙の問題促起は多くの興味深い定験

lζ導き,有効な多くのデータをもたらしてき た。 しかし,学習の 4 つの型

か,ユニーク な過程なのか,又は適応かJI民んかという問いは, Welch

(1978)の指摘を待つまでもなく ,全く単純化しすきるものである。事実,

得られたデータ は学習のい法見U"が,ある場合には適用可能であり,ある場合

には不可能である。また,データJこで学習との穎似性があ ったとしても ,iJ

動的にその基本過程が同一性を示すわけでもない。そして,プリスムJI頃止

は, 今や, 単一の過程からだけの lものでない乙とは,その過程f~0) fリj倣!なiベ月uはまだ十分でないが,明らかであるように忠われる。

一括の目的は,プリズム順応を伝統的な学習研究のノマラグイムのーつであ

る条件づけの観点から,我々の研究室でなされた数種の実砂今中心にとりあ

げ,再度検討してみる ζ とIlCある。

プリズム順応と条件づけ

ぽリ激事態がどのよう

i( '784 )

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- 18-

をとり,特定の状況では,十分な手掛りが仔在すれば 1つではなく多くのf

ターンの刺激一反応 (S. R)の集合がr~ tl時に獲得されるとぷ唆した。そし

て一つの例として,半日はおベース又は応ベースのプリズム眼鏡をつけ,半

日は普通視と ,交互に長期にわたる実験をまず計両した。紡架,被験者は弁

別手掛りとしての眼鏡装者によって,ほとんどあるいは全く混乱ない行動又

は視覚を得るようになった。さらに,れベースプリズムと左ベースプリズム

を半日ずつ交圧に装着する長期実験を行なったが,視覚一運動行動は正確で

あったか,視覚に関しては不明縫であった。

政々は ζ の 2つの実験の前者を同時交替実験 (simultaneousalternation

experiment) ,後者を継時交替実験 (successivealternation experiment)と

名付ける。乙れは学習実験による同時弁別学習 (simultaneousdiscrimina-

tion learning) と継時弁別学習 (successivediscrimination learning)

ている。

ζれまで,我々の研究室でなされた 7つの実験の結果を取り !こげ,

に従っ

そ乙で、

条件づけのハラダイムにおけるプリズム順応の佐佐,及び今後のJjfr.IJを:探っ

てい乙うとする。

なお,乙 ζ で扱われる実験は特に断りのない限り ,修 1EffA He Id -Got tl ie b

装自が佼!"nされた。そして実験はプリテスト ,ワリズム順応作業,ホストテ

ストの 3期からなり,プリ ・ポストテストでは標的が 1側ずっちiiぷさ れ, そ

の(立irfを手が見えない状況でサ旨ノメする ζ とであった。 j唄凶作業は悦野ifIj~ζ手

を見ながら各揮の習字作業を行なう乙とで比較的知時lljjのものであ)た。す

なわち,白と手の共応という観点からなされた比較的短期のフリスムJI仰心笑

験である。

同時交替実験

実験 ! 変換量の異なる水平 2分割視野プリズムへの順応 (太峨,1976)

Kohlerによる半プリズムと異なり ,水ギ万!仰と 2額 (00

,150

) のソ リス

ムが使用された。そして変換成の異なる 2分割視野プリズムと名付けられた

(図-1 ) 0 Iζのプリズム 1('乙よる視野の推移の効果は,プリズムの効果を示す

近似式(太城, 1976) Iにより求められ, 図-2 ,乙示された。 JI即日時間15分。

被験者|はペース左のプリズムが左で O。ガラえが有の実験群 (BLプリズム

LーガラスR):5名。ペース右のプ |リズム右でrガラス左の実験群 (BRプ

リズム :R-L):5名。すべて o'Otlラスの統制群(ガラス) 3名。計13名。

( 786 )

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予の方向

プリズムn頂応における条件づけ lについての一考察 - 19一

図 1 変換散の異なる 2分訓

ネ見聖子プリズムの努~~~

プリズム ガラヌ

のぞき7|眼球

フ" 1&

プリズム効足 ー

f BRフ'リズムRズ .L : ガラスL条件 @

ム,'..... () JQ員 3 ~ (),/ () 応 21- "

,1 ガラス条内7M ltト@@ f o 1) 0 トハ Eλ 11 r'¥.___________ -. 1 0

1 ~ 'O ポ 1- / () ()

ι2 スト -3~ -. (J / ⑤

@ |問 -4 ⑨ " BLプリズムし推 t ガラスR条{サ多-s

、』E J IE

cm) 20ι10 Q 10 20

いの{立 ~il (cm

図2 変換iifの異なる水平 2分詑1]視野プリヌ

ムへの日と予の共応における順応 (15

分]1頂応による

結果は凶 -2である。分割視野プリズムに対する11向ぶの効-果は'.プリテヌ

トとポストテスト問での手による際的定位の去によったもの(プリ ・ポス i

112の推移)だけが乙乙ではぶされている。

験 n 変換量の異なる水平 3分割プリズムへの順応 (太域晶1977

使用されたプリズムが300,15。そして O。の水平 3分別視野プリズムによ

った以外,実験!とほとん lどrru様の手続与で実験がなされた。被験者は科群

( 787 )

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- 20一

5名。結果は図 -3 ,乙示される 。

ハU

プリズム順応

(プリ

・ポスト間推移)伽

‘〉‘〉

左変換条件

右変換条件

-S

⑨Ta』

J

S

⑥ ⑥

F''ts』''s

10

5

Fhu

o 10

自の位置 (cm)

変換量の異なる水平 3分割視野プリズムへの目

と手の共応における順応 (15分順応、による )

プリズム効果

20 -10 -20

図3

実験 1,IIの考察

実験 1, IIは明らかに Kohler(1964)の半プリズム実験のパラダイムに

そった実験である。条件刺激としての視線の方向に付随して (contingent)

順応が起乙る乙とは,その後,より体系的,r_Pick ら (Pick,Hay &

Martin, 1969; Pick & Hay, 1966a)によって確められた。

孜々の実験で予測される最初の順応の様相は,乙れらの実験よりプリズム

効果に一致した不連続な順応であろう。しかし,得られた順応は,2分割プリ

ズムにおいても(図-2 )さらに 3分割jプリズムにおいても (図-3 )平坦な変

化しか示されていない。乙の結果は,他面では,我々の前報告(太城,1976)で検

討されたくさびプリズムの効果としての置換 (displacement)・拡大(stretch-

ing)・一方向への縮少化 (shearing)への順応という観点から当然予測され

( 788 )

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フ - 21一

るとも考えられるものである。 kjollier-Plick lらと本実験との相違は 1つに

5~tH~ という短期であった乙と " 2つの分別視野がそれぞれ狭くかっ聞に

見えない部分が存在するという ζ とはあった。乙の様えま条件の為l乙かかる符

が色たらされたのか。さら比政々の実験は|日と予の共応でのみの11阪応が扱

コtl.その全体的際関が問題はされたが,彼らでは順応の様相巻乙の様に

していない。そして,第 3審fjI(乙,上下方向での分刻

か.左右方向での分割~'Lよるのかもしれ伝 L 。

くさびプリズム!乙よる向(UJ化 (curvaturけに対する

1..車両方[白Jであれ認められている (Festi:nger".l3u:rnha】lar口m11 1

no 0位己 :Ba口nlber,. 1967れ;KくO仙h:胎, 1円964:七:;; :lHi卜1--1長耐制le!ωeld,& Reko邸sh,1963 等)λ。他プ万ゴでl

.万|向向への縮少付1earii川『口時I日19ω)と|いう Mじ:2次元的変化へのj目順l駁民防z応むは l唖' 簡I単斡和r[乙l1.1((.くt、(H

日の

Longdon & Plck, 1971;太域,1976)。乙の様な結

lの単なる条件づけはよって新しい知党が獲得されると

であろう。 ζのようは視点から現13験と Kohler

?の存布が役割jを拘ってもたらされたとも考えら

の実験における順応ι単位る条{午づけのみに

k (1966)がぷすような外的対象(述刺撤)カ

fノ1<~t,の11国応が役割jを持つと巧えてみよう。そう

の存布と,視'~~fの挟さという外的対象l乙 |関する

り ìl~純な構造を陥成する体制化の倒

単なる条件づけ以上lの

にしろ.まだまだおめでいカ

の1は{

見ええ.cl

っち" Kohler

ているのではなく

るかと

ら主l乙

ければならないのでは江カ

U ら位い多くの実験を必恒

応間関た

と 197 岡山

して継n~J的 l乙プリズム交符をなしに場合における

ベース/1:'の300

くさびプリズムと平rfiiガラスがJTJl、られた。

りなり 唖科 8名の被験おが従った。実験問.では,n阪Jl凶iガラスが 5分ととはそれぞれ 41111J1・40分

リズム又はガラス J".IC]

l.,tこ。被験者aがプリズム条件でも,、Il.,flj刀フ

fll!的jR 1111 前jを rl:~J心l乙 hï]=-l}Jii.!去が見えるように.スリット定

cm のスリットによ

{'f:で

市するよう l乙

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プリズム11頂応lζおける条件づけについての一考察 - 23一

けさ験 mr乙おけるスリット位前の移動がないという乙と以外,ほぽrr~]様の手

元きであった。実験滑におけるJI阪応期において悦線の方向が一定lζ保たれた

結果,手が被験者のjJ:而l乙{fllばされて作業している時は平商ガラスlζより ,

左側へれればされているu寺はベース左30。プリズムによっている乙とになる。

高架は図 -.5 (,ζ示される。実験鮮と統制群の推移{1刊;ji乙授が認められる

が.標的{立iFtと実験群nJ]の交庄作用{ζ統計的{乙有志な差は認められない。

実験m.~, の考察

Koh'lerの実験 (1964)ではrd]時l乙2つの刺激条件が促ポされた。それぞ

れに弁別的な順応がもたらされた結果,視線の万向がiR裂な喫肉とされた。

そこで.乙れを l'aylor (1962) による継時交替装行事態でもぶされるかど

うかという点に実験凹が位irt付けられた。結果は条件刺激としての視線の万

roJの効果をノ示す。すなわち,視野のれ半分がプリズムl乙JI頂応し,左半分はも

との状態を維持する傾向である乙 とぞノJミす。しかし,実験 I • 11の文脈から

その全体的構造をみると,実験群では視野の拡大 (stretching)傾向がノ了

れている。さらに統制群ではプリズム効果の視野外への般化が変われている

-城二 1974 ~ Harris, 1963)。さらにE夫験鮮が統制群l乙比べ11民応、idが明らかに

少ないという乙とは,プリズム及びガラスに対する順応の他への般化.そし

統制f:

7・ l5

スムJI頂

応 10

1.

IJ、FD ス

ト間柑移

'ミ験i!t

. J),. •

o αn 2

4 的{立 fll

図 :5 予の運動領域を条件刺激としたj駒E、

3

( 791 )

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てその交互作用により,かかる位置を占めたと考えられる。

実験Wは,実験皿で視線方向が有効な条件刺激となったので,同じように

中枢からの遠心的 (efferent) な指令に基づく筋活動と考えられる様な手の

運動で,その運動領域を条件刺激として,同様の効果がもたらされるか検討す

べく計画された。しかし,その効果ほ認められない。図 -5 ~L示 された拡大傾

向を示す曲線は,統制群においても示され,恐らくプリズム単独による効果と

もみられる。そして,乙れも,視線の方向の役割であると考えられている

(Hay, Langdon & Pick, 1971;太城, 1974)。乙れら 2つの実験では少なく

とも条件刺激として,視線の方向は手の運動領域に比べ,かなり有効である

と言える。乙れは, Rock (1966) が Kohlerの半プリズム実験を検討し,

乙の種の順応は視線の方向 (feltdirection) によるよりは,むしろ被験者に

関しての刺激の現象的位置に条件づけられるのであるとの議論と矛盾する。

Rock による議論は実験 1• IIとの関連からもより高次の知覚順応の結果に

対するものであろう。そして,少なくとも本実験程度の弁別的順応事態で

は, JI頃応を進めるのに有効な弁別刺激として視線の方向が役割を演じている

と考えねばならない。

実験v 2種類のプリズムの交替装着における順応 (太城 1978a)

Taylor (1962)によるベース右とベース左のプリズムの交替装着が短期の

目と手の共応の観点から検討された。頂角300

のプリズムが使用された。 1回

の順応は 5分間で各 3回ずつ,計30分間であった。被験者は 6名であった。

結果は図 -6 ~L示される。全体的に明解な結果とは言い難いが,少なくと

も2回目以後 2種のそれぞれのプリズム効果をより弁別的にしていく方向に

順応が進んでいるとは認められない。

実験 Vの考察

Taylor (1962)は2つの交替装着を試みた。まず,プリズム眼鏡と普通視

の交替実験と我々の実験との相違は,眼鏡装着とそれのない場合という二次

的手掛りが存在しない乙とにある。さらに, 2種のプリズムの交替実験とも

異なるのは,視野が狭い乙とにある。本実験では,プリズム全体からもたら

される視野に比べ非常に小さい (作業面で約15x 18cm)。乙のため視線万向

の変化はほとんどないのに,手の運動の領域(方向)における変化が顕著で

ある。乙の点に関しては,実験Wの再検討でもある。

( 792 )

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コける条件づけについての-咽 - 25-

ーーーーーーーーー一一一一一一一一一一一一一一ー一一一

一一一一一一ー一一一一一ー,一一一一一一一--ー一一一一一一一一一

られるとL、う乙

Kravitz, 1972)

別的

1'978b)凸 L

f ter . effect

の存住 (K

] (分

ム 変化

のll;:が安化する

るか.し位いカ

眼鏡l乙順応が条件づl

JU:J fJである (Uh'lar:ik 山 a n 0 n, 1970; ''''e I c h, 1971;

ゐノj

:rn hcise:r, 1976)をIJ

の観点から巧ぇ

切の光学的視

7

りJLいaロqJ12でのFH

'散の安定した1る2

1ょっ'の光s予{内

L、った乙と i

v,itz., 1977;

1J (sItp a

( 111 U It:ista ble

の る

の庄のみか1']

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効な刺激 となる(視覚的傾斜への順応で Ebenhol tz (1968 )により主張され

た)ような安定したものなのか,順応なし,すなわち,両フリズムの平均状態に

安定してい乙うとするのか,まだ不明確であるが,少なくともより弁別的にな

ってし、く 傾向は見られない。ζれは実験Wで認められたように手の運動領域

の条件刺激としての弱さに加えて,視野の狭さ,全く同一実験装置で同一条

件で実験がなされている為,状況を弁別する有効な手掛りがない乙とにもと

められる。それでは,状況を弁別する有効な手掛りとは, プ リズム眼鏡の着

脱といったもの以外にはプリズム順応の場合どのような刺激であるのだろう

か。かかる観点から以下の実験が計画された。

実験W 音を条件刺激とした順応 (鈴木,1978)

音刺激を条件刺激 とした Kravitz& Yaffe (1972)の追試的な実験であ

る。被験者は300

プリズムと平面ガラスをそれぞれ 5分間とした順応を 5回

繰り返す計50分間で,目と手の共応作業に限った11頃応作業を行なった。さら

に,プリズム条件中はヘ ッドフォンにより, 1,000Hz. 50dbの純音が提示

された。そして,ガラス条件で、はヘ ッドフォンは離された。プリ ・ポストテ

ストは音有り ・音無しの条件が個人間でカウンターバランスするように割り

当てられた。

表-1 音を条件刺激とした順応

訓練順序

テスト条件

音なし

音あり

(表中数値はプリ・ポスト聞の推移。単位m〉は 1~銘ぢ水準でで、差が認められた。)

プリズム+音→平面ガラスI平面ヵ・ラス→プリスム+音

被 験者 被 験 者

SS HK AI NT ST MO YO HH

0.77 1.23 3.02 2.92 11.71 3.84 4.58 5.98 、 、4.84 2.14 4.21 0.22 12.33 5.01 4.59 7.55

全体

4.26

3.39

結果は表 1にまとめられた。明解な差は認、められないで,ホストテスト l直

前の順応条件の効果がより顕著である。個人別に分析すると, Sub. ,MO

と HHにおいて差が認められた。すなわち,音刺激事態への弁別的JI頂応は

少なく,その傾向のみが暗ポされる結果であった。

( 794 )

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プリズム順応|における条件づけについての - 27ー

W 色を条件刺激とした順応の長期実験 (鈴木, 1.978

色を条件刺激とし,比較的長期の順応期間を使ってその効果が検討され

た。ペース右200

プリズムとベース左200

プリズムの 2椅のプリズムの交替11民

応条件を設定した。凶 -7 i'乙示されたような眼鏡を使いfl1UH民視によった。 u良は 4 組}l~ J官、され,Olミのゼラチン紙をはったベースJ1200プリズムによるも

の.総のベース左のものー亦の平面ガラス,緑の平面ガ、ラスからなってい

た。被験者は赤 ・緑のプリズム眼鏡を 1時間交替で 3閲ずつ, 6時118装若し

た。順応作業は日常的活動がJ:f~心で・あった。日と手の共応テス |トは . 実験[

.._ ¥1と異なりテスト用の眼鏡をつけたまま,明室状況で't 被験者のJi:1の高さ

に水平氏はられた板l乙45。の角度で商|し,板上i乙示された標的位iftを標的の

商l乙指ぷするようにされた。テスト用の眼鏡は平而ガラスにより ,テスト

がはさまれる

プリズム

佐田を聞出1・

1品主寸るゴム

l砲淀川アルミ版

図 7 実験に使用されたプリズム

赤 ・緑で 2回ずつ行なわれた。被験者は 2名。

'「芳別 l乙表 ~ 2 11乙示す。数仰はプリテストにおける赤 ・緑ガラス

|眼鏡による標的定位反応をもとに,それぞれへの推移!止によった。被験者

)' Hの場合, 3時間以後では亦・総で走がある。被験者aK13では, 4時

間後条件でのみ統計的に有Jむなjffが認められる。しかし, -Rして紙条件の

場合i乙亦条件より大きな推移iJ;がぷされている。被験者は少数であるが.カ

かる条件では , 色を条件~HJ激として 2 極のプリズムでの順応が条件づけら

れ,弁別的な反応がもたらされうると考えられる。

験 VJ,VIJの考察

匂鴎 HI • ,IVでは.条件刺激として有機体で中継からの述心的 (efte:re:nt)

庁指令l乙基づく情報が問題とされる・が.実験¥1• vnでは.有機体外である物

( 795 )

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プリズム11頂応における条件づけについての一考察 - 29ー

的反応、をする乙とだけを学んだとの可能性を完全に除外する実験計画となっ

ていないという ζ とである。確かにこれは,我々の実験にもあてはまる。今

後さらは手続きが工夫される必要がある。いずれにしろ,背刺激 ・色刺激と

いった刺激事態の特色が, 11防むにおける弁男Ijの手掛りとして窓味をもつため

には,かなり長期の訓練.が必要である a

Krav:itz ら(K r a v it z ! 1972; .Kr a v.I t z & Ya ff e , 1972 )は ,誤り修正反応

いrror-correctiveresponse)として解釈しようとしている。少なくとも, ζ

乙で扱われたような刺激が.,J順応における有効なf白報となるためiζは,かか

る条件での反応の修正過ねが反応形成lζ役割をもっ。 ζれはオペラント条件

づけの枠組で解釈されうる水準のものと考えるのがよい。そして,視線の万

向で代表されるような遠心性の悩報が役割jを担う寝顔のものは,レスポンデ

ント条件づけの枠組で解釈されうる。しかし,ζれらの条件づけの過程iiが変

換視への順応そのものであるかどうかは,実験! ・11,乙おいても示されたよ

うIrc,又,あまりに限られた場合にのみ順応がもたらされ,多くの場合,あ

りに長Wj,f乙渡る ζ とから問題であると考えざる Jをえなし。

全体的考察及び結語

現段階で,変換視への11頂応が,使用された光学的変換そのものに附随した

揮々の二次的な刺激K,条件づけられうるとしづ事実に関しては問題はない

であろう。すなわち, Kohler (1964)事 Taylor(1962) らの示唆した波数の

安定した順応の存在の可能性をぷす。しかし,条件づけられる刺激に関して

は,これまで確実なものは,視線の万向と眼鏡のお脱に関するもののみであ

った。その他の刺激に関しては,効果がある としても ,かなり長期にわたる

11頂応時間を必要とする。

視線の方向rr.JI頃応が条件づけられるその条件つ'けの過程は,恐らく形式的

には.レスポンデント条件づけによるものであり,眼鏡の者脱,tr.()18する情報によって順応が条件づけられるその条件づけの過F・dlま,形式的にはオペラン

ト条件づけによると考えるのがよかろう。しかし,し、ずれかの条件づけのノ

ラダイム l乙合致すると考えられる極々の~llj激が検討されてきたが,乙れら 2

吋の刺激のように,短期に,しかも確実には条件づけを可能にする刺激は丈

い。乙の乙とは,学習のパラダイムにおける条件づけが知党順応の基本的メ

カニズムであるという考え方を芥定する。さらに,分別視野への順応の状況

からみて,視野全体を再構成化し,より良い体制化をしているように忠われ

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る。乙の事も単なる条例:づけ(,ζよって知党11阪応を捉える危険性を示してし

る。知覚順応|の最終所産が陀怠深く検討される必便がある。山々は乙乙で,

件づけは知党JI仰むにおける附随的効果か,又は11仰心の発火剤的役割ぞかcrL:

ているようであると考える。そして,11国応における法本的メカ ニズムである

と条件づけ告考えるのはJ早急であると??わ lざるをωはい。

フタイムでプ リズム ll~iJJむの I~;U閣を倣う乙とは科学におけ" るパー シ

(parsirnony)の原則からもJ131iUζ魅ノJ的であり ,それなりの成;jlLlが

1るものと忠われる 。しかし, l_l!なる外見 If ~.. 1の矧似から,そのメカ 二 世

ムはおけるI,o-AtJ:を主仮する ζ とはfι11倹であり,さらに,そ乙で研ヲElをq:111・

してしまう ζ とを特に?ji,む|しなければえよらえよL。

件づけiの観点からも ,どのような条件で,どオ

るか,よ|り厳栴l乙検村されていかねばならないが,早急に検討されねげt_r(

打いζ 止は.民lUHHiilJむ171験による地JJ.そしてーIJと予の共応以外の多くの

る。

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