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1 エネルギー政策の選択肢と 日本の投資余力 北澤 宏一 日本学術会議東日本大震災対策委員会 エネルギー政策の選択肢分科会委員長 2011.5.20

エネルギー政策の選択肢と 日本の投資余力 - …...3 日本の原子力商業利用開始の背景 昭20 ヒロシマ・ナガサキ昭和20年 「原子力開発十年史」参照

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エネルギー政策の選択肢と日本の投資余力

北澤宏一

日本学術会議東日本大震災対策委員会

エネルギー政策の選択肢分科会委員長

2011.5.20

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日本の原子力商業利用開始の背景昭20 ヒロシマ・ナガサキ 昭和20年 「原子力開発十年史」参照

22 GHQによる日本の原子力研究禁止令 理研サイクロトロン海中廃棄

GHQによる日本の学術体制答申(総理へ)

→24 学術会議、STAC(科学技術行政協議会)発足

昭28 アイゼンハワー国連宣言「秘密にしていた原子力研究を平和利用のため

に公開、国際管理」提案 ←米ソ対立構造への急速な傾斜 日本連合国側に

昭29 日本国内に商業応用への機運、特に国会議員の間に

29年度予算修正案で「秘密のうちに準備された」原子力予算議員提案

「原子力開発10年史-科学技術庁」より

メディアの反対意見表明、学術会議反対声明(時期尚早)

その後:世界の殆どの先進国が原子力商業応用受入へ

(敗戦国日本は政治主導型でキャッチアップを目指した原子力参入を昭29

以来行った。間もなく学術会議は原子力平和利用3原則「自主、民主、公開」

を主張して研究開始。科学技術庁、原子力研究所など研究体制整備。世界3

位の原子力発電国へ。昭和末期大国の仲間入りを果たす)

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学界・学術会議を含む原子力の背景

• 第2次世界大戦は1945年原爆技術の開発時期とも相まって終戦に至ったが、その

後は米ソ拮抗時代に突入した。アイゼンハワーの「原子力平和利用の推奨と技術秘密の開示」を提言した53年の国連演説を受け、世界はこぞって原子力商業化への競争がスタートした。我が国でもその動きに乗り遅れまいとする努力が54年政治

家主導で原子炉新設を目指す突然の予算請求という形で開始され、じょじょに学界もその動きに巻き込まれていった。GHQの首相への提言により、49年学術会議

が設立。茅誠二初代学術会議会長らが性急な原子力開発に懸念を示していたが、54年日本学術会議は「困難な議論」の末、原子力平和利用に関する「自主、民主

、公開」の三原則を決め、以降、多数の研究者が関連の調査・研究に参画。

• 日本の経済は戦後順調に回復、1960-80年代は「東洋の奇跡」と呼ばれる成長。そ

の中で電力業界はGDP比3%の産業として地歩を築いた。原子力は安価でクリーンな電力として日本の年間総発電量の78年1割、82年2割、93年3割のベースロードを担うに至り、業界および政府はさらに5割を目指して新設および稼働率を上げ

ることを目指していた。

• 日本の国民・世論はヒロシマ・ナガサキ、第5福竜丸の被爆、その後も継続した原

水爆実験による放射能による大気海洋汚染(放射能マグロ事件など)に対する恐怖感の強い国であった。

• 日本原子力学会 59年設立(茅誠二初代会長)、60年代基盤確立期、70年代発展期、80年代混迷期、90年代停滞期、2000年代新時代基盤確立期、2010年代新発展期と学会は総括、80年代は海外の2度の大事故、日本での放射能漏洩事故、J

CO臨界事故などから原子力工学科に学生が来なくなった時代を迎えて学会は苦悩。30年を経て、2010年代には「原子力ルネッサンス時代」を期待。

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「原子力開発10年史」原子力委員会編 昭40

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「国策になったのだから・・。」

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• 我が国の原子力の電力導入の歴史は我が国の「東洋の奇跡」とされた経済成長の一部を支えてきたという点で、また、その後の世界各国の原子力化の動きを見てもそれが開始された1950-60年代の判断として 「妥当なものであっ

た」とする見方はできると考える。当時のGDPは現在よりも一桁以上小さかった、原子力以外の代替エネルギーでも化石エネルギーと水力しか存在しなかった。

• 国策としてのエネルギー安全保障:必要な量のエネルギーを受容可能な価格で入手できるよう確保。

• 総じて「過去50年間の原子力への移行と努力は成功」と見ても良いであろう。しかしながら、3.11を契機に卒原子力の選択肢も生じた。

• 周囲の情勢は大きく変化: 日本の経済力は数十倍に成長 電力産業のGDPに占める割合は現在は3%。原子力は0.9%程度。一方で、日本の娯楽費はGDPの20%を占めるに至っている。国民の価値観も変化。

• 自然エネルギーは「オモチャ」とされていたがここ10年急速に基幹エネルギー

に仲間入り。コスト急激に低下。世界では自然エネが原子力の設備容量を抜く勢いに。中国と米国が欧州についで自然エネに参画。

• ダーウィンの進化論:「次世代に栄える種は賢い種でも強い種でもない。環境変化にもっとも素早く追随できる種である。」

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日本は地震国として特殊な国

• 世界の大国の中で日本だけが地震に安全な場所がない

(水や気温など長所もあり。この国に住み続ける工夫必要)

• 東日本大震災(2011) 東海岸は22m程度太平洋方向に移動 列島は東西に引き延ばされた 震源地は南北方向500kmもの長さ(下北沖から房総沖まで)

• 大地震(数十年に1度)、巨大地震(千年に1度)の可能性

(東海、南海などの可能性がいま控える)

環境の変化1原子力の危険性の高まり明らかにフェイルセイフにするとコスト高

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英国で2011FIT改定:メガソーラーは大幅値下げ 個人を優遇

• 旧: Price paid per kWh • GBP USD Size

• £0.41 $0.66 < 4kW retrofit

• £0.36 $0.58 4 to 10 kW or <4 kW new build

• £0.31 $0.51 10 to 100 kW

• £0.29 $0.47 100 kW to 5 MW

新規 New Tariffs: Price paid per kWh 2011年5月18日報道

• £0.41 $0.66 < 4kW retrofit

• £0.36 $0.58 4 to 10 kW or <4 kW new build

• £0.31 $0.51 10 to 50 kW? • £0.19 $0.31 50 to 150 kW

• £0.15 $0.24 150 to 250 kW

• £0.09 $0.14 250 kW to 5 MW http://www.renewableenergyworld.com/rea/blog/post/2011/05/cuts-to-uk-solar-incentive-may-

spread-economic-benefits?cmpid=WNL-Wednesday-May18-2011

世界の太陽電池の値段急速に低下 海外でkWh12円!も

GDPは50年前に較べ数10倍も大きい

再生可能エネの受入可能に

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卒原子力のコスト

• 日本の電力の3割を占める原子力発電を現状で入手可能な

再生可能エネルギーの中で最も高価な家庭用小型太陽電池ですべて置き換えたとして単純に売電コストの増分を比較すると、一世帯(2.65人)あたり缶ジュース一本(毎日)の出費

が増える程度。

• 新エネのコスト低下は急速(上記は42円で計算したが本年の英国のメガソーラー売電価格はkWh14セントに改訂)であ

るので、実際の負担はそれより少ないことを予想。

• 太陽電池、風力発電などの設置可能場所は日本では価格設定を高くすれば十分に土地提供希望あり。売電価格20-42円(家庭用、大規模などで価格異なる)に設定→急速な導入希望増加予想。価格と購入約束期間(10-20年)の設定によ

り変化(現在は急速な導入を避けるようキャップ設定)。

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学術会議東日本大震災復興対策委員会

「エネルギー政策の選択肢分科会」設置の目的

2011.5.11

• エネルギー政策について従来の枠にとらわれずに抜本的に見直すきっかけを作る。本分科会そのものの活動は2ヶ月。

• 学術会議のポテンシャルを活かして調査と分析を進める。その他の多くの外部活動との適切な連携を推進し、尊重。

• 東日本大震災復興計画の進捗をも視野に入れるため、常に迅速に資料収集・分析を行い、中間時点でも未定稿現状報告ができるように務める。

• 今後の長期的な検討(WG設置など)の体制作りを準備し、エビデンスベースでの資料作りと報告・提言に向け努力。

• 世界のあらゆる組織による情報を評価し、フレキシブルに出典を明記して採り入れる。

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エネルギー政策の選択肢第1回委員会2011.5.11• エネルギー政策の選択肢案

1)ただちにすべての原子炉を停止する。民生および産業への影響の大きさを推測する。今後5年程度の社会変化を予測する。

2)電力の30%を再生可能エネルギーおよび省エネで賄い、原子力による電力を5年程度で代替する。国民生活のシナリオを考える。

3)20年程度で電力の30%を再生可能エネルギーで賄い、原子力電力を代替する。国民生活のシナリオ変化を考える。

4)原子炉を国民に受容される安心・安全なものとして再提起し、将来における中心的な低炭素化エネルギーに位置付ける。その発電コストの変化を考える。

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エネルギー政策の選択肢

A案 ただちに脱原発を実施するケース

• 原発を速やかにすべて停止。3割の原子力電力シェア分は計画的節電で受け留め(1980年代の電力レベルにいったん戻る)。省エネ社会の重要性を世界にも示す。一時的に化石エネは増えるが、5年以内に省エネと新エネの導入でこのショックを緩和。5年以降は新規成長路線。新エネのコスト低下を誘導。

省エネと新エネを新経済成長を招く中核の革新技術に位置付け。

• 電力節減30%の割り振りプランの作成

一般家庭・オフィス節電で15%可

(エネルギー経済研究所2011.4.10公表)

• 代替化石エネ電源の導入 (ガスタービン発電導入)

ここ数年の炭酸ガス排出量増加を世界に容認してもらう?

• ベースロード用であった原子力の発電量の代替を順次考慮

• 日本の経済に与える影響 経済萎縮の最小化策

• 既に貯まっている使用済み燃料は今後の安全保管の必要があるためその安全策を考慮

すでに各サイトに貯蔵中 処理法

高レベル廃棄物の処理場所(未確定・当面見通しつかず)

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• 日本の現在の娯楽費の4分の1規模の「クリーンエネルギー産業」に新規投資開始(年額25兆円、GDPの5%)。5年間で原発15GW相当の新エネを獲得。同時に省電力15%を達成。これにより5年間で卆原発を達成。

• 投資総額は5年間で125兆円。原発実質30GW(電力の30%総発電量)のうち、15GW分は15%の節電で、もう半分の電力15%分は新エネ開拓で代替。

• 25兆円のクリーンエネ産業創出により、5%の新規雇用期待。被災で仕事を失った人、及び現在の余剰労働力4.9%に雇用。

• この速度で新エネ創出を継続。2030年までに電力のすべてを新エネで賄う。さらに2050-60年頃にはすべてのエネルギーを新エネで賄う。これにより現在の化石エネ輸入年25兆円のすべてが国産化。25兆円の投資がサステナブルに置き換わっていく。

• まず、一部被災地の海岸線を風力・ソーラーベルトとし、建物を省エネ・新エネ化して、エネルギーポジティブ地域化。新エネは地域雇用促進、また、屋根貸しなど地域収入源へ。将来的に、さらに、東北地域を洋上風力、波力発電など研究開発の世界拠点に。

エネルギー政策の選択肢

B案 5ヶ年程度で電力の3割を代替 2011.4.2.

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エネルギー政策の選択肢

C案 20年後に脱原発を終了

自然エネルギーのややマイルドな速度での導入

20年後電力源シェア3割へ

• 現在の政府目標である「2030年までに太陽光発電を5300万kW計画」をベースとし、海岸線風力とミニ水力を復興計画に含める。

• 電力の3割を占める原発を順次代替

• 投資額年間7兆円程度

• 民間投資総額を誘導:Feed-In-Tariff(FIT)

• 省エネ技術の同時進展

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エネルギー政策の選択肢

D案 原発の安全性確保と発電維持案

• 日本の原発を今後ともにエネルギー政策の重要な一環として位置付ける。日本を安全な原発最先端国としての地位確立を目指し、国際競争量のある技術に位置付ける。

• 今後の巨大地震に耐えるフェイル・セイフ型原子炉の追求 大型プール底原子炉など

• 従来の実施体制を改善するために、送電、配電、販売、発電の主体と地域独占の方式について考慮。保安院、安全委員会などの役割の明確化と責任体制の確立

• 使用済み燃料の保管・処理場所の確保と高レベル廃棄物処分場所の確保

• 原子力発電所の稼働率(60%)を90%に引き上げる 定期点検などのプロセスと規制の合理化

• 電力における原発のシェア現在実質30%を2020年までに40%程度(さらに50%目指す)に高めていくための新規立地計画

• コスト見直し:原発を産業としてみると年1.5兆円程度(1兆kWhの3分の1:3000億kWhを実質発電、発電コスト公称5円/kW) 電力全体売り上げ年15兆円の1割を原子力の売り上げと見ること可、政府が使う原子力関連予算年6000億円、原発の安

全性対策のコスト、今後の賠償もコストに含めるべき(?)。

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2011.4.16. http://www.sakigake.jp/p/news/world.jsp?nid=2011041601000183

再生エネが2010年に原発を逆転 米シンクタンクが報告

【ワシントン共同】2010年の世界の発電容量は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーが原発を初めて逆転したとする世界の原子力産業に関する報告書を、米シンクタンク「ワールドウオッチ研究所」が15日までにまとめた。

原発は1980年代後半から伸び悩み、2010年の発電設備容量は375ギガワット。

一方、再生可能エネルギー発電設備容量は、風力と太陽、バイオマス、小規模水力の合計が381ギガワット、初めて原発を設備容量で上回った。

(北澤参考:風力は設備容量の1/5程度、太陽光は1/8程度の稼働率をかけて考える必要) しかしそれを考えてもいよいよ再生可能エネルギーが「基幹エネルギー」に仲間入り。

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23資料:自然エネルギー世界白書 REN21

世界の自然エネ設備10年に381GWに、原

子力の設備容量を凌駕「日本がFIT

を拡大しないのは国際競争力が失われるから」???ロシア以外は日本より大規模投資

日本

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風力発電設備容量

すでに世界は風力発電容量が原発のそれに近づいてきた

日本の風力は国立公園規制・騒音問題などのため普及せず地域の居住区・エネ区計画など

グランドデザインで加速可さらに洋上風力を入れれば→大幅増可能:設置コスト倍程度

国のエネ需要全体対応可海岸線の長い日本は有利

英仏は2010年4月20日洋上風力で大型計画を打ち出した英国 13兆円投資で総電力の3割

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世界の自然エネ投資2010年20兆円に

3年で5倍の勢い

日本の化石燃料輸入年25兆円GDPの5%

エネルギーが国産になると新規財源に

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2010.4.20 日経新聞

• 英国政府が、大規模な風力発電計画を進めている。2020年までに7000基以上

の洋上風力タービン(風車)を設置する計画である。英国の全消費電力の3分の1を賄い、世界中の風力発電企業の研究施設や製造拠点を集積させ、一大産業に発展させることを狙う。

• 事業規模は約13兆円に上り、送電網の整備だけでも2兆円に達する。

• サルコジ大統領は、フランスが洋上風力発電に着手することを公表。北部に100億ユーロ(1兆1200億円)以上の投資を行う予定。

• 初期段階では600機のタービンがノルマンディー・ブリタニー・ロアールアトランティックの5つの地域に設置されるが、これらの5つの発電所の発電容量は3ギガ

ワット。

• 2020年に全エネルギーの23%を再生エネルギーにするという同国の目標を達成

するためには、少なくとも6ギガワットの洋上風力発電を導入する必要。

• ドイツのメルケル首相は今年9月に「2050年までに電力の80%を再生可能エネ

ルギー/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E5E2E3EBE0E2E0E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXで賄う」とする新エネルギー政策を発表。

ドイツは太陽光や風力などの再生可能エネルギーの積極的な導入で世界をリードしてきたが、地球温暖化対策とグリーン産業の成長を狙い、もう一段強くアクセルを踏み込んだ。

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家庭、オフィスにプラグインハイブリッド車などの蓄電池普及望ましいさらに、揚水発電(5GW程度)を太陽電池および風力による電力の需給調節用に

太陽電池と風力は両方が混じる方が平坦化に有利両者ともに広域で平均化されるとさらに有利に⇒スマートグリッド化

当面は不足時に天然ガス発電、水力発電などで調節

より将来的には水素電解による貯蔵⇒燃料電池や水素エンジン

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2011.1月

家庭とオフィスでの電力消費(48%)は

産業と大口需要家の合計(52%)と同

定度個人やオフィス

の節電努力は重要大口:東大、ディズニーランド

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家庭の電力消費がこの30年倍に急増

産業は省エネ進む→個人の節電努力が今後の鍵の一つ

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家庭の努力は冷蔵庫、給湯、暖冷房、照明節電はちょっとの心がけで15%は可能 日本エネ経済研

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フクシマはすでに海外諸国のエネルギー政策に少なくとも1年以上の「原子力新設・再開計画の凍結」(米中)、自然エネ

計画の発表(英仏)、卒原子力発表(独伊)などの影響

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中国、再生可能エネルギー投資で世界最大に• 中国の再生可能エネ 2009年 風力設備製造企業100社、太陽電池3000社に

• 2009年は中国が、米国・英国を抜き初めて世界最大に(米国ピュー慈善財団報告書2010年04月05日)

• 投資額中国総額346億ドル(3兆円)、米国186億ドル、英国112億ドル。

• 中国、英国、ブラジル、スペインなどは、再生可能エネ導入割合の義務付けや排出量取引など、国が政策の枠組みを持っていると指摘。国レベルの枠組みを欠く、米国、日本、オーストラリアは、経済力に比べて出遅れていると指摘。

• 2009年の再生可能エネ投資額は、世界全体で1620億ドル。設備容量では250ギガワット以上となっており、これは世界のエネルギー需給の6%に相当する。

• 中国での風力発電急拡大の背景は、政策における強力な後押し。環境コストを配慮しない形の経済成長は持続可能ではないという政府の危機意識が強い。中国資源総合利用協会再生可能資源専門委員会の見込みによると、中国風力発電の発電能力計画は2015年に90GW,2020年120ギガワット。

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中国はここ数年再生可能エネに非常に熱心に

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中国の風力に対する政策的戦略

• 風力発電市場拡大を後押し 中国政府の強力な優遇政策中国政府は2006年以

降、風力発電市場の拡大に優遇政策を強化してきた。グリッド会社に対しては、すべての再生可能エネルギー技術による発電の購入と、そのためのインフラ建設の強制的な責任を負わせている。電力価格についても、風力発電設備の累積発電時間が3万時間までの場合に対して保護価格が適用。グリッド会社も再生可能エネルギー(水力発電を除く)の購入によるコスト増加をユーザーに転嫁する

ことが認められている。税金の面では、環境プロジェクトに対して売上を計上した年から最初の3年間は企業税を全額免除、次の3年間は企業税を半額に免除する減税や、設備投資における増値税(付加価値税)などの免除といった政策が行

われている。また、発電能力が5ギガワット以上の電力会社に対しては、企業全体の発電能力における割合として非水力再生可能エネルギー発電設備の発電能力を2010年までに3%以上、2020年までに8%以上にする、という国家強制設

備導入基準を設定している。

• 市場の急拡大に伴って発電コスト低下。現在中国の発電量のうち約7割が火力発電に依存。火力は0.32元/KWH、風力は0.40元/KWHと既に差が縮まった。今後2012年までに風力は0.35元/KWHへ更に低下する見通し。風力発電は最も早く

政府の補助金に頼らない収益体制を確立できると予測。

• http://money.quick.co.jp/pr/eco/report/asia_vo3.html

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Solar and Nuclear Costs: The Historic Crossover

このような見方も現れているが、内容未確認

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Ref: Amory Lovins, 2010; Global Wind Energy Council (GWEC), GlobalWind Energy Report 2010 (Brussels: 2001); IAEA, PRIS database; European Photovoltaic Industry Association,“Global Market Outlook for Photovoltaics until 2014” (Brussels: May 2010)

世界の電力系統に繋がれた原子力と再生可能エネルギーから電力の正味年増加

風力の増分

太陽電池の増分

原発の増分(20年増えない)

ここ12年、原子力は横ばいで再生可能エネ

の増加が続いて来た。そして、いま、その規模は総発電量で数分の1以上になっている。

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40

Ref:Who’s winning the Clean Energy Race? 2010 edition(The Clean Energy Economy,The PEW Charitable Trust.)

再生可能エネルギー種別投資額比較2004-2010

10億ドル←10兆円

風力

太陽光

その他

世界の投資総額20兆円へ

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41

Ref: Pew Charitable Trusts, “Who’s Winning the Clean Energy Race –Edition 2010” (Philadelphia: 2011).

2009および2010年の再生可能エネルギーへの投資額各国比較10位まで

日本は10位までには入っていない中国がこの3年急速参入

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42Ref:Who’s winning the Clean Energy Race? 2010 edition(The Clean Energy Economy,The PEW Charitable Trust.)

再生可能エネ投資GDP比率 再生可能エネ設備容量比較(2010年) (2010年)

日本は昔は熱心だったがこの10年熱が冷めた世界はここ10年熱心に

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Ref:Who’s winning the Clean Energy Race? 2010 edition(The Clean Energy Economy,The PEW Charitable Trust.)

再生可能エネ設備融資総額比較(2010年) 10億ドル

日本

アセットファイナンスが中、米の投資のしかた

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44Ref:Who’s winning the Clean Energy Race? 2010 edition(The Clean Energy Economy,The PEW Charitable Trust.)

小型再生可能エネ設備投資総額比較(2010年) 10億ドル

日本は家庭用屋根型ソーラーで第4位

ドイツはFIT,日本は補助金で支援してきた

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日本の太陽電池国内設置量2005年からは抑制されていたことが分かる世界の設置の20分の1程度()

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価値ある新事業があるとき、日本社会はどの程度の投資に耐えられるか?

経済負担と経済成長:何が違うのか?パソコン、携帯電話、i-PodなどでGDPが増えるとこれは「経済成長」

しかし、新エネルギーに投資が増えると「経済負担」を心配する声

このため日本のエネ構造が変わりにくかった。

「新しい価値あるもの(こと)を持続的に買う」:これは経済成長国民の意識が変化した場合には「経済負担が経済成長」変化の条件←持続性が付与できるか!

持続的になるまでの途中段階:投資を継続させるメカニズム新エネは総額が大きいのでこれまで日本はひるんでいた

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日本の電力費と経済予測 年15兆円• 日本の娯楽費 年 100兆円(GDPの20%)

• v.s. 電力費 15兆円

(うち原子力分は4.5兆円 0.9%)

• 電力が産業の米と思うと怖くて大金を電力に投資できない

←種々の経済予測ーGDPがどれだけ減るかなど

• 「クリーンな電力は国民の楽しみ」であると捉えるととたんに安い出費となる 娯楽費と同一のカテゴリーで考えよ

「国民の生き甲斐」としての出費を当面日本は続ける!

反省事項:

• 経済予測にはモデル成立の前提条件(仮説)がある

• 価値感が変化すると、評価項目の評価順位が変わる。

国民の価値観の変化→予測の本質的変化

(評価順位を変えた吟味が必要)

ちなみにオランダではNPO活動がGDPの20%、雇用の20%もNPOによる。

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• 日本は対外投資で世界最大の蓄積(2009:276兆円)

:海外の国債購入、M&Aによる海外企業の買収、子会社の進出

• 日本の対外純資産は近年毎年20兆円以上増加:世界1の276兆円(2009)。この資産から生じる毎年の所得黒字が貿易黒字の平均10兆円の倍に(15-20兆円)。2つの大型黒字(貿易黒字と経常所得黒字)を日本は毎年

国内で使う事ができず海外にさらに投資されている。

→経常収支の黒字年20-25兆円→海外に投資:日本の投資余力

この範囲で国内投資しても日本は経常収支赤字に落ち込まない

• このまま海外投資だけを続けると→止めどなき円高へ

→国内から製造業の逃避→国内に失業→政府税収の落ち込み

• 日本企業は海外では元気、国内では撤退気味

• 汗を流して稼いだお金で日本は大国になり、なにをしようとしているのか?

これが見えていない→今回は見えるようにできるはず

• 原則:儲かったお金はさらに儲かりそうなところに投資される

→日本国内にもうかるメカニズムがなかった→これを作れ

→投資余力は日本に最大に存在する→国の保証でリスクの低い投資

日本は海外投資正味蓄積額世界最大これを国内投資に振り向ける事はできるか

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日本の輸出入額及び差引額の推移

(資料:財務省貿易統計)

日本の輸出:黄

日本の輸入:緑40

60

貿易黒字

19861990

2000 2008

10

25年間も

貿易黒字が毎年平均10兆円

日本は世界最大の貿易黒字蓄積を築き上げて来た

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日本の経常収支の推移

経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+移転収支

-10

-5

0

5

10

15

20

25

3035 (兆円)

(年度)1985 1995 2000 05 08

財務省「国際収支統計」

1990

海外投資からの所得収支黒字が2005以降貿易

黒字を追い抜いた

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日本の対外純資産(世界断トツ)

-50

0

50

100

150

200

250

300

1973 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 7

(年)

(単位・兆円)

対外純資産

英国を抜く、以降世界トップ参考資料:財務省調べ 「本邦対外資産負債残高」

80 90 00 05

日本の民間の投資余力はここに表れている 毎年増分を国内投資に廻してもまったく困らない

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失われた90年代

バブル期

10兆円

このほかに日本の貿易黒字年10兆円

海外投資からの所得は急増中

黒字

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0

50

100

150

200

250

300

350

400

1970 72 74 76 78 80 86 88 90 92 94 96 98

2000

2002

2004

円レート推移 (円/ドル)

(出所)日本銀行「金融経済統計資料」

1949年~1970年まで1ドル=360円固定

360

止めどなき円高は製造業を日本から逃避させる

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FITによるクリーンエネ産業への投資• 投資を呼び込む方策: 政府の巨額財政赤字 v.s. 日本の金融のだぶつき(民間)

• →政府補助金では規模を大きくすることは不可(これまでの補助金モデルから脱却)

• 政府の役割は:グランドプランと信用の付与 あとは民間と国民に任せる

• 必要条件:被災地の職の確保、

• 被災地にも収入の道

• →投資家(全国の個人、機関投資家)ー

中央地方政府関与による信用付与で長期リスク低下を図る

製造・組み立て・取り付けなどの職ができる場所(被災地)

設置場所(被災地)ーメンテナンス、場所提供による収入(高齢者への年金)

• 復興は内需振興型 前述のように日本は経常収支の対外黒字をつくり過ぎ

→一部は積極輸入奨励も必要

• 報いられる投資のメカニズムを作れば巨額な投資余力は国内に十分ある

年間25兆円程度の余力

ただし、「経済成長」にまで持って行くには完成までの持続性付与が必須

• FIT制度(フィードインタリフ)+グリーン国債・環境税・規制 その他の制度を総動員

• 被災地を分散型クリーン電力のメッカにー高齢者社会に好適なビジネスモデル

• 震災復興グランドビジョンに織り込まれる必要

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低炭素社会戦略センター 山田興一、松橋隆治ら

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• 現在の値段で太陽電池を購入すると1kWで50万円。30GWを購入すると15兆円。稼働率を考慮してその8倍を購入すると120兆円。省エネで半分をカバーしたとすると60兆円。これを5年でやるには年間12兆円投資必要。

実際には大量購入割引、および、価格の急速な変化があり、コストはその半分以下になることを予想。

• 30GW分を風力で投資すると1kW30万円として9兆円。稼働率を考慮して6倍とすると54兆円。半分を省エネでカバーするとして27兆円。5年でやるには5.4兆円。

• 日本の発電能力は230GW、2001年(過去最大)の最大瞬間需要電力は182GW、原発は稼働率を最大に大きく見ても46GW、従って計算上は、周波数変換の問題がなければ原発なしで需要を満たせるという議論もある。

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電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」日本のFIT

結果的に伸びればそれは支援策として成功:インセンティブは湧くか?まずは伸びるような政策必要。

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積極的政策手法の提案平成22年1月13日地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ検討会エネルギー供給WG

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各国比較原子力発電量2009

日本第3位、2位の

フランスは電力の8割が原子力

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世界全体の原子力発電量の推移 1966年-2011年

ここ25年増えず

今後引退続き減少1979TMI,1986チェルノブイリ、2011フクシマ

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世界437基の原子炉は高齢が多い。米国では寿命40年、認められるともう20年。仏では原則30年。今後退役増大。

当面は退役分を計画中新設ではカバーできない。→減少

平均年齢26歳

稼働中の世界の原子炉437基の年齢

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世界の原子炉数は数年後から急速に減少する

• China’s 2020 target for installed nuclear capacity have fluctuatedbetween 40 GW and 120 GW. However, the average construction timefor the first 10 operating units was 6.3 years. At present, about 27 GW are under construction, with 18 new building sites initiated in 2009 and 2010, the prospects for significantly exceeding the original 2008 target of 40 GW for 2020 now seems unlikely.

• China has reacted surprisingly rapidly and strongly to the Fukushima events by temporarily suspending approval of nuclear power projects, including those under development.

M. Schneider, A. Froggatt, S. Thomas World Nuclear Industry Status Report 2010-2011

Worldwatch Institute, Washington, D.C., U.S.A.

• 中国が最も活溌に原子炉増強を行っているが廃炉になっていく原子炉の半分以上はリプレイスされない。さらに、中国は福島原発事件に敏感に反応して開発中を含めて新規原子炉認可を一時的にストップしているため、減少速度はさらに大きくなる。→世界は再生可能に多額のお金を使わないと温暖化ガス大量排出になる。

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ドイツ:卒原子力→洋上風力へ Rechargenews 2011.5.6.

ドイツの再生可能エネルギーは17%(原子力22%)に来ている3.11後:これからの積み増しは地上から移り洋上風力大幅活用予定

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ギアレスの技術が洋上風力に使えるー欧州での三菱重工

海外で頑張る日本勢欧州:ビジネスとしての日常

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波力発電実証計画cost estimate for the UK project by Seabased AB(スエ

ーデンのベンチャー)2008年より製造開始スエーデン西、ノルウェイ西海岸に設置、英国での大型実証計画開始波力資源は広域に存在

その他実証段階にある自然エネ新技術あり研究必要

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洋上浮上風力の実証試験 ノルウェイ、英国

本気で自然エネで脱原発、脱温暖化を行うには洋上発電、さらには

浮上洋上風力発電に手を出す必要

• ノルウェー沖10km程度まで深さ700mまで

• 洋上浮上風力発電2009年より発電開始• Statoil ASA社 Hywind商標 Technip社構造、Nexans海中ケーブルを担

• オランダBlue H社、潜水型駆台方式、英国でETI社と協同。2009年より実証試験300mまで、沖に離れる方が風力は一定で強くなる場所探せる。現在成功裏に試験中。事業拡大を企図。

http://www.renewableenergyworld.com/rea/news/article/2011/05/a-buoyant-future-for-floating-wind-turbines?cmpid=WNL-Wednesday-May4-2011

http://www.energytechnologies.co.uk/home/news/10-10-11/ETI_project_identifies_potential_for_floating_offshore_wind_turbines_in_deeper_water.aspx

実証段階にある自然エネ新技術

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実証段階にある自然エネ新技術太陽熱発電

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