41
1 ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式 エンジン型式 適用時期 出 典 資 料 ミラ イース DBA-LA300S DBA-LA310S KF-VE(N/A) 2011.9~ 新型車解説書 No.1 修  理  書 No.1 キー・フリー・システムの構造・機能及び故障診断 1 概 要 ①キー・フリー・システムは,キー・レス・エントリ機能にイモビライザ機能を有し,不正手段によるエンジ ン始動を禁止して,セキュリティ性の向上を図ったシステムである。プッシュ・スタート・スイッチを押し, キー・フリー・コンピュータに登録されている ID コードと電子カード・キー,メイン・キーとの ID コード が一致するとエンジンを始動する。 ②電子カード・キーを所持して,運転席,助手席及びバック・ドア付近(約 80cm 以内)に近づき,リクエスト・ スイッチを押すことで,電子カード・キーのボタンを操作することなく,ドア・ロックを“LOCK”,“UNLOCK” する。 参考 電子カード・キーにある“LOCK”,“UNLOCK”ボタンによるキー・レス・エントリ・システムの操作も可能 とした。キー・レス操作が可能な範囲は車両中心から半径約 3m である。ただし電池消耗時や強い電波,ノイ ズのある場合などは作動範囲が狭くなることや,作動しないことがある。また車両のボデー形状により作動 しにくい場所がある。 ③セキュリティ・アラーム・システムを設定し,盗難防止に配慮した。セキュリティ・アラーム・システムは すべてのドアを閉じて,キー・フリー・システムによるドア・ロック作動又はキー・レス操作でドアの施錠 をした場合に,盗難に対する警戒を開始する。警戒中に,キー・フリー・システムによるドア・アンロック 作動又はキー・レス操作以外の操作で解錠してドアを開けると,警報を発して周囲に異常を知らせる。 ④コンビネーション・メータ内にセキュリティ・インジケータを設定した。イモビライザ機能やセキュリティ・ アラーム・システムが作動しているときにインジケータを点滅させ,イモビライザ機能を解除すると消灯す る。 ⑤電子カード・キーにエマージェンシ・キーとトランスポンダを内蔵し,万一電子カード・キーが使用できな くなった場合でもドア・ロックのロック,アンロックやエンジンの始動を可能にした。 1 ) 注意事項 ⑴ キー・フリー・システムの注意事項 注意 植え込み型心臓ペース・メーカ,及び植え込み型除細動器を使用されている方は,車室外発信器;車室内発 信器から約 22cm 以内に近づかないようにすること。電波により,植え込み型心臓ペース・メーカ,及び植え 込み型除細動器の作動に影響を与える恐れがある。 イ電子カード・キーは以下のいずれかの条件が成立した場合にキー・フリー ECU との正確な通信ができず, ドア・ロックのロック,アンロックやエンジンが始動できない場合がある。その際はエマージェンシ・キー で対応すること。 ⒜近くにガソリン・スタンド,コイン・パーキング,TV 塔,発電所又は放送局など強い電波を発する設備

ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    1

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -1

ダ イ ハ ツ 工 業 株 式 会 社

通 称 名 車 両 型 式 エンジン型式 適 用 時 期 出 典 資 料

ミラ イース DBA-LA300SDBA-LA310S KF-VE(N/A) 2011.9~ 新型車解説書 No.1

修  理  書 No.1

キー・フリー・システムの構造・機能及び故障診断

1 概 要

①キー・フリー・システムは,キー・レス・エントリ機能にイモビライザ機能を有し,不正手段によるエンジン始動を禁止して,セキュリティ性の向上を図ったシステムである。プッシュ・スタート・スイッチを押し,キー・フリー・コンピュータに登録されているIDコードと電子カード・キー,メイン・キーとのIDコードが一致するとエンジンを始動する。②電子カード・キーを所持して,運転席,助手席及びバック・ドア付近(約80cm以内)に近づき,リクエスト・スイッチを押すことで,電子カード・キーのボタンを操作することなく,ドア・ロックを“LOCK”,“UNLOCK”する。参考  電子カード・キーにある“LOCK”,“UNLOCK”ボタンによるキー・レス・エントリ・システムの操作も可能

とした。キー・レス操作が可能な範囲は車両中心から半径約3mである。ただし電池消耗時や強い電波,ノイ

ズのある場合などは作動範囲が狭くなることや,作動しないことがある。また車両のボデー形状により作動

しにくい場所がある。

③セキュリティ・アラーム・システムを設定し,盗難防止に配慮した。セキュリティ・アラーム・システムはすべてのドアを閉じて,キー・フリー・システムによるドア・ロック作動又はキー・レス操作でドアの施錠をした場合に,盗難に対する警戒を開始する。警戒中に,キー・フリー・システムによるドア・アンロック作動又はキー・レス操作以外の操作で解錠してドアを開けると,警報を発して周囲に異常を知らせる。④コンビネーション・メータ内にセキュリティ・インジケータを設定した。イモビライザ機能やセキュリティ・アラーム・システムが作動しているときにインジケータを点滅させ,イモビライザ機能を解除すると消灯する。⑤電子カード・キーにエマージェンシ・キーとトランスポンダを内蔵し,万一電子カード・キーが使用できなくなった場合でもドア・ロックのロック,アンロックやエンジンの始動を可能にした。1) 注意事項

⑴ キー・フリー・システムの注意事項

注意  植え込み型心臓ペース・メーカ,及び植え込み型除細動器を使用されている方は,車室外発信器;車室内発

信器から約22cm以内に近づかないようにすること。電波により,植え込み型心臓ペース・メーカ,及び植え

込み型除細動器の作動に影響を与える恐れがある。

イ電子カード・キーは以下のいずれかの条件が成立した場合にキー・フリーECUとの正確な通信ができず,ドア・ロックのロック,アンロックやエンジンが始動できない場合がある。その際はエマージェンシ・キーで対応すること。⒜近くにガソリン・スタンド,コイン・パーキング,TV塔,発電所又は放送局など強い電波を発する設備

Page 2: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -2

ダイハツ

があるとき⒝ポータブル・オーディオや無線機,携帯電話などの無線機器と一緒に携帯したとき⒞本体が金属性のものと接しているとき⒟近くで電波式キー・レス・エントリ・システムのトランスミッタを操作しているとき⒠高電圧機器などのノイズが発生する機器が近くにあるときロメイン・キーは次のいずれかの条件が成立した場合,キー・フリーECUとの正確な通信ができず,エンジンの始動ができない場合がある。⒜メイン・キーのグリップ部が金属性のものと接しているとき⒝メイン・キーがほかの車両のイモビライザ・システム用キー(信号発信器内蔵のもの)と接しているときハ本システムには精密な電子部品を使用している。取り扱いについては次のことに注意すること。⒜電子カード・キーを直射日光下や高温下に放置しないこと。⒝電子カード・キーに強い衝撃や圧力を加えないこと。⒞電子カード・キーを水に濡らさないこと。また,ごみやほこりが入らないようにすること。⒟電子カード・キーを磁気の帯びたキー・ホルダと一緒にしないこと。⒠電子カード・キーの表面にシールなどを貼らないこと。⒡超音波洗浄機などにかけないこと。ニ電子カード・キーを車内に放置しないこと。ホ電子カード・キーを家電製品に接した状態で保管しないこと。また,テレビ,パソコン,電磁調理器とは30cm以上離して保管すること。家電製品の電磁波によって,電子カード・キーが誤動作する場合や,常時通信状態となり,電池が著しく消耗する。ヘエンストなどで,エンジンが止まった状態で車両が動いている場合は,安全な状態で停止するまでドアを開けないこと。ステアリング・ロックが作動し,ロックするおそれがある。トエンジン始動,エンジン停止を早い間隔で繰り返した後,エンジンを始動させようとするとエンジンが始動できない場合がある。この場合は10秒以上待ってからもう一度操作すること。チバッテリ上がり時はステアリング・ロックが作動しないので注意すること。リバッテリ・ターミナルを外す場合は,車両電源がOFFの状態で実施すること。キー・フリーECUは常に車両電源の状態(OFF,ACC又はIG)を記憶しているため,バッテリ・ターミナル接続時には,外す前の電源状態に復帰する。ヌバッテリ取り付け後,すぐにエンジン始動操作を行うと,エンジンが始動できない場合がある。この場合は10秒以上待ってからもう一度操作すること。

Page 3: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -3

ダイハツ

⑵ 作動範囲(図-1)

注意  電池消耗時や強い電波,ノイズのある場所などは作動範囲が狭くなることや,作動しないことがある。また

車両のボデー形状により作動しにくい場所がある。

室内でも,インストルメント・パネルの上や中(グローブ・ボックス内など),荷室,ドア・ポケット内など,

電波を感知しない場所がある。

図-1 作動範囲

Page 4: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -4

ダイハツ

2 構造・機能

1) 構成部品の配置(図-2,3)

図-2 構成部品の配置

Page 5: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -5

ダイハツ

図-3 システム図

2) 構成部品の構造・機能

⑴ 機 能

イ 主要機能

⒜ プッシュ・スタート・スイッチ・インジケータ機能(図-4)

プッシュ・スタート・スイッチにはインジケータが内蔵されており,点灯状態や発光色により,現在の電源状態を確認することができる。

図-4 プッシュ・スタート・スイッチ・インジケータ

Page 6: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -6

ダイハツ

②次の㋑又は㋺のいずれかと㋩の条件が成立時(イモビライザ機能解除),コンビネーション・メータ内にあるセキュリティ・インジケータが消灯する。㋑室内アンテナ検知エリアにてIDコード照合“OK”の状態[電子カード・キー使用時]㋺イモビライザ・コイルで受信したIDコード照合“OK”の状態[メイン・キー使用時]㋩車両電源“ACC”又は“IG・ON”の状態③次のいずれかの条件が成立時(電子カード・キーなし警報),コンビネーション・メータ内にあるセキュリティ・インジケータが高速点滅する。㋑車室内アンテナ検知エリアにてIDコード照合“NG”の状態でプッシュ・スタート・スイッチを押した場合[電子カード・キー電池残量あり時]㋺イモビライザ・コイルで受信したIDコード照合“NG”の状態でプッシュ・スタート・スイッチを押した場合[電子カード・キー電池残量切れ時]

④次のすべての条件が成立時(電子カード・キー持ち出し警報),コンビネーション・メータ内にあるセキュリティ・インジケータが高速点滅し,マルチ・ブザーが5回吹鳴(ピッピッピッピッピッ)すると共に,アンサ・バック・ブザーも3回吹鳴(ピッ,ピッ,ピッ)する。㋑車速が5km/h未満㋺車両電源“ACC”又は“IG・ON”の状態㋩ドア“開”→“閉”(カーテシ・スイッチ“ON”→“OFF”)㋥車室内アンテナ検知エリアで電子カード・キーのIDコード照合“NG”の状態⑤ダイアグノーシス・コード表示実施時,インジケータが点滅して故障コードを表示する。⒞ 電子カード・キー持ち出し警報

次のすべての条件が成立時,コンビネーション・メータ内にあるセキュリティ・インジケータが高速点滅し,マルチ・ブザーが5回吹鳴(ピッピッピッピッピッ)すると共に,アンサ・バック・ブザーも3回吹鳴(ピッ,ピッ,ピッ)し,運転者に電子カード・キーの持ち出しを警告する。

優先順位 インジケータ状態 車両状態

消灯 エンジン始動状態又は車両電源“OFF”状態橙点灯 車両電源“ON”(“ACC”又は“IG・ON”)緑点灯 エンジン始動が可能な状態*

緑点滅

・電源ON操作又はエンジン始動操作を実施してステアリング・ロックを解除しようとしたが,ロック・バーがハンドルに引っかかり,解除できなかった状態

・バッテリ電圧が低い(8V未満)状態終了条件:点滅開始から15秒経過又は再度エンジン始動操作により消灯

橙点滅

・ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)の内部異常及びキー・フリーECUの異常を検出している状態

・IG2リレー回路の異常終了条件:点滅開始から15秒経過又はECU内部異常から復帰により消灯

*:シフト・ポジションがP又はNで,電子カード・キーが車内にあり,ブレーキ・ペダルを踏んでいる状態

⒝ セキュリティ・インジケータ機能(図-5)

①次の条件が成立時(イモビライザ機能作動),コンビネーション・メータ内にあるセキュリティ・インジケータが点滅する。㋑車両電源“OFF”状態㋺車両電源“ACC”の状態で約5分経過した

図-5 セキュリティ・インジケータ機能

Page 7: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -7

ダイハツ

①車速が5km/h未満②車両電源“ACC”又は“IG・ON”の状態。③ドア“開”→“閉”あり。(カーテシ・スイッチ“ON”→“OFF”)④電子カード・キーの位置が,車室内アンテナ検知エリアから車室外アンテナ検知エリアに移動したとき。⒟ 電子カード・キー・リマインダ

次のいずれかの条件が成立時,コンビネーション・メータ内にあるマルチ・ブザーを吹鳴する。①車両電源“ACC”(“IG・ON”の状態でない)かつ運転席のドア“開”。②車両電源“OFF”かつステアリング・ロック状態”アンロック”かつ,運転席のドア“開”。⒠ 電子カード・キーなし警報

次のいずれかの条件が成立時,コンビネーション・メータ内にあるセキュリティ・インジケータが高速点滅し,運転者に電子カード・キーが車室内にないことを警告する。①車室内アンテナ検知エリアにて電子カード・キーのIDコード照合“NG”の状態でプッシュ・スタート・スイッチを押した場合[電子カード・キー電池残量あり時]②イモビライザ・コイルで受信したIDコード照合“NG”の状態でプッシュ・スタート・スイッチを押した場合[電子カード・キー電池残量切れ時]⒡ キー閉じ込み防止機能

①次のすべての条件が成立時,ドア・ロックの“LOCK”制御終了後,即ドア・ロックを“UNLOCK”してキーの閉じ込みを防止する。㋑車両電源“ACC”又は“IG・ON”の状態㋺いずれかのドア“開”(カーテシ・スイッチ“ON”)㋩運転席ドア・ロック・レバーを“UNLOCK”から“LOCK”に変化(運転席ドア・ロック・スイッチ“UNLOCK”→“LOCK”に変化)

②次のすべての条件が成立して1秒経過後,ドア・ロックを“UNLOCK”してキーの閉じ込みを防止する。㋑車両電源“OFF”の状態㋺電子カード・キーが車室内にある㋩車速が5km/h未満㋥運転席ドア・ロック・レバー“LOCK”状態(運転席ドア・ロック・スイッチ“LOCK”状態)㋭いずれかのドアが“開”→全ドア“閉”に変化(カーテシ・スイッチ“ON”→“OFF”)

⒢ アンサ・バック機能

電子カード・キーの操作により,ドア・ロック動作した場合,ルーム・ランプの点灯/消灯及びハザード・ランプの点滅,エンジン・ルーム内に設定したアンサ・バック・ブザーの吹鳴によりアンサ・バックを行う。ただしルーム・ランプの作動はルーム・ランプのスイッチがドア連動位置のときのみ点灯する。アンサ・バック機能仕様

作動状態 部 位 アンサ・バック

ロック時ルーム・ランプ 減光し消灯ハザード・ランプ 1回点滅

アンサ・バック・ブザー 1回吹鳴

アンロック時ルーム・ランプ 約15秒間又は7.5秒間点灯*

ハザード・ランプ 2回点滅アンサ・バック・ブザー 2回吹鳴

参考  *:DS-Ⅱを用いて行うカスタマイズ機能により設定の変更が可能である。

Page 8: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -8

ダイハツ

⒣ 電源切り忘れ警報

車両電源“ACC”又は“IG・ON”の状態でキー・フリー・ドア・ロック操作をすると,車外で“ピーッ”とブザーが鳴り,電源の切り忘れを警告する。⒤ 電子カード・キー置き忘れ(閉じ込め)警報

車室内アンテナの検知エリア内に電子カード・キーがある状態でキー・フリー・ドア・ロック操作をすると,車外で“ピーッ”とブザーが鳴り,電子カード・キーの置き忘れを警告する。⒥ 半ドア警報

いずれかのドアが開いている状態でキー・フリー・ドア・ロック操作又は,電子カード・キーの操作によりドア・ロック動作した場合,車外で“ピーッ”とブザーが鳴り,ドアの閉め忘れを警告する。⒦ 電子カード・キー閉じ込み警報

車室内アンテナの検知エリア内に電子カード・キーがある状態で,キーを使用しないで車外からドア・ロック操作をすると,車外で“ピーッ”とブザーが鳴り,電子カード・キーの閉じ込みを警告し,ドア・ロックを“UNLOCK”する。⒧ 電池電圧低下警報

車両電源が“IG・ON”から“OFF”にしたときに電子カード・キーの電池残量が低下していた場合,マルチ・ブザーが鳴り,電池電圧の低下を警告する。⒨ 電池残量表示機能

“LOCK”又は“UNLOCK”ボタンを押したとき,電池電圧が約2.1V以下の場合(電池消耗時)はインジケータ・ランプを点灯させないことで,電池消耗が確認でき,使用性の向上を図る。参考  電池電圧が約2.0V以下になった場合は電子カード・キーは発信しない。(電池電圧は,周囲の温度によって

変化することもある。)

⒩ 電池残量お知らせ機能

電子カード・キーヘ電池投入後,インジケータ・ランプの点滅間隔によって投入電池の残量がわかる。

電池残量 インジケータ・ランプの点滅間隔約2.5V以上 1秒点灯後,1秒間隔の点滅を3回約2.5V未満 1秒点灯後,約6秒間の高速点滅

Page 9: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -9

ダイハツ

⒪ 電子カード・キー・エマージェンシ機能(図-6)

①電子カード・キーの電池切れなどで,万一電子カード・キーが使えなくなった場合のために,電子カード・キーにエマージェンシ・キーとトランスポンダを内蔵した。参考  エマージェンシ・キーのキー山は,10山である。

②電子カード・キーのオーナメント面をプッシュ・スタート・スイッチに接触させる。この状態のままプッシュ・スタート・スイッチを“ON”にすると,電源切り替え及びエンジン始動ができる。

図-6 電子カード・キー・エマージェンシ機能

ロ セキュリティ・アラーム基本機能

⒜ 概 要

①セキュリティ・アラーム・システムはすべてのドアを閉じて,キー・レス操作でドアの施錠をした場合に,盗難に対する警戒を開始する。②警戒中に,キー・レス操作以外の操作で解錠してドアを開けると,警報を発して周囲に異常を知らせる。⒝ 状態遷移(図-7)

セキュリティ・アラーム・システムは下図のように遷移する。

図-7 状態遷移

Page 10: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -10

ダイハツ

㋺下表の“1. 警戒準備開始条件”が成立すると警戒準備状態へ移行する。〈遷移条件〉

No. 条件名 条件内容 機能遷移

1 警戒準備開始条件

次のいずれかが成立・キー・レス操作によりすべてのドアがロックされた・キー・レス操作ですべてのドアをアンロックした後,30秒以内にドアが開かれず自動的にすべてのドアがロックされた

無警戒状態→警戒準備状態へ

② 警戒準備状態

㋑ユーザが車両から離れる準備を行っていることを想定し,セキュリティ・アラーム・システムのセット準備(警戒準備)に入った状態である。セキュリティ・インジケータが点灯する。㋺下表の“2. 警戒開始条件”が成立すると警戒状態へ,“3. 警戒準備解除条件”が成立すると再び無警戒状態へ移行する。

〈遷移条件〉

No. 条件名 条件内容 機能遷移

2 警戒開始条件 ・“1. 警戒準備開始条件”が30秒以上継続 警戒準備状態→警戒状態へ

3 警戒準備解除条件

次のいずれかが成立・いずれかのドアが開かれた・IGキー・シリンダにキーが挿し込まれた・キー・レス操作によるドア・アンロック要求信号を受信した・運転席ドア・ロック・レバー(運転席ドア・ロック・スイッチ)がアンロックの状態になった

警戒準備状態→無警戒状態へ

③ 警戒状態

㋑ユーザが車両から離れたことを想定し,セキュリティ・アラーム・システムがセットされ車両盗難に対して警戒している状態である。セキュリティ・インジケータが点滅する。㋺下表の“4. 1次警報開始条件”が成立すると1次警報状態へ,“5. 警戒解除条件”が成立すると無警戒状態へ移行する。

〈遷移条件〉

No. 条件名 条件内容 機能遷移

4 1次警報開始条件 ・キー・レス操作以外の解錠によっていずれかのドアが“閉”→“開”に変化した

警戒状態→1次警報状態へ

5 警戒解除条件次のいずれかが成立・IGスイッチ“ON”になった・キー・レス操作によるドア・アンロック要求信号を受信した

警戒状態→無警戒状態へ

① 無警戒状態(図-8)

㋑ユーザが車内又は車両近くにいることを想定し,セキュリティ・アラーム・システムが解除され警戒を行っていない状態である。メータ内のセキュリティ・インジケータは消灯している。

図-8 無警戒状態

Page 11: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -11

ダイハツ

④ 1次警報状態

㋑不正な手段による解錠によりドアが開けられたことを想定し,次のような警報を10秒間発して周囲に異常を知らせる。ⓐセキュリティ・インジケータ点滅ⓑブザー断続吹鳴ⓒハザード・ランプ点滅㋺下表の“6. 2次警報開始条件”が成立すると2次警報状態へ,“7. 警報解除条件”が成立すると無警戒状態へ移行する。

〈遷移条件〉

No. 条件名 条件内容 機能遷移

6 2次警報開始条件 ・警報解除されないまま1次警報が終了した 1次警報状態→2次警報状態へ

7 警戒解除条件

次のいずれかが成立・IGスイッチ“ON”になった・すべてのドアが閉じた状態でキー・レス操作によるドア・ロック又はドア・アンロック要求信号を受信した*

・キー・フリー・システム装着車: 車室内アンテナの検知エリア内に電子カード・キーが入った

1次警報状態→無警戒状態へ

参考  すべてのドアが閉じた状態でキー・レス操作によるドア・ロック要求信号を受信した場合は,無警戒状態へ

移行後,直ちに警戒準備状態へ移行する。

⑤ 2次警報状態

㋑警報解除されないまま1次警報が終了した場合,更に次のような警報を発して周囲に異常を知らせる。ⓐセキュリティ・インジケータ点滅(常時)ⓑブザー断続吹鳴(30秒間)ⓒハザード・ランプ点滅(30秒間)ⓓホーン断続吹鳴(30秒間)㋺下表の“8. 警戒再設定条件”が成立すると再び警戒状態へ,“9. 警報解除条件”が成立すると無警戒状態へ移行する。

〈遷移条件〉

No. 条件名 条件内容 機能遷移

8 警戒再設定条件 ・警報解除されないままブザー断続吹鳴,ハザード・ランプ点滅,ホーン断続吹鳴が終了した

2次警報状態→警戒状態へ

9 警戒解除条件 ・7.警戒解除条件と同様 2次警報状態→無警戒状態へ

ハ セキュリティ・アラーム警報作動履歴確認機能

セキュリティ・アラーム・システムのセット中にシステムが2次警報まで作動した場合,次回のIGスイッチ“ON”時にブザーが吹鳴し,ユーザに2次警報まで作動したことを知らせる。ニ ウェイク・アップ/スリープ機能

ボデー統合ECUは車両電源“ACC”と“OFF”における使用電流を抑えるためのウェイク・アップ/スリープ機能を備えている。

Page 12: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -12

ダイハツ

3) 制御内容

⑴ 作動概要

イ キー・フリー・ドア・ロック/アンロック作動(図-9)

電子カード・キーを所持して車室外アンテナ検知エリア内に入り,リクエスト・スイッチを“ON”すると,電子カード・キーが車室外アンテナから発信された電波を受信し,続いて電子カード・キーのIDコード(電波)を発信する。そのIDコードをキー・フリーECUが受信する。その後,キー・フリーECUはそのIDコードとすでに登録されているIDコードとの照合を行い,照合が正しければ,ボデー統合ECUにロック/アンロック信号を送信する。ボデー統合ECUはドア・ロックを“LOCK”,“UNLOCK”し,アンサ・バック制御を行う。参考  電池消耗時や強い電波,ノイズのある場所などは作動範囲が狭くなることや,作動しないことがある。

リクエスト・スイッチ“ON”↓

キー・フリーECU(車室外アンテナ制御)↓

車室外アンテナ(電波発信)↓

電子カード・キー(車室外アンテナ電波受信)電子カード・キー(IDコード(電波)送信)

↓キー・フリーECU(受信IDコード照合)

キー・フリーECU(ドア・ロック/アンロック信号送信)↓

ボデー統合ECU(ドア・ロック/アンロック,アンサ・バック制御)

図-9 キー・フリー・ドア・ロック/アンロック作動

ロ マニュアル・アンロック作動(キー・レスによるドア・アンロック作動)(図-10)

車両から半径約3m以内で,電子カード・キーの“UNLOCK”ボタンを押すと,電子カード・キーがIDコード(電波)を発信する。そのIDコードをキー・フリーECUが受信する。キー・フリーECUはそのIDコードをすでに登録されているIDコードとの照合を行い,照合が正しければ,ボデー統合ECUにアンロック信号を送信する。ボデー統合ECUはドア・ロックを“UNLOCK”し,アンサ・バック制御を行う。参考  電池消耗時や強い電波,ノイズのある場所などは作動範囲が狭くなることや,作動しないことがある。

また車両のボデー形状により作動しにくい場所がある。

電子カード・キー(アンロック電波(IDコード)発信)↓

キー・フリーECU(マニュアル・ドア・アンロック制御(受信IDコード照合))↓

ボデー統合ECU(ドア・アンロック,アンサ・バック制御)

図-10 マニュアル・アンロック作動(キー・レスによるドア・アンロック作動)

ハ マニュアル・ロック作動(キー・レスによるドア・ロック作動)(図-11)

車両から半径約3m以内で,電子カード・キーの“LOCK”ボタンを押すと,電子カード・キーがIDコード(電波)を発信する。そのIDコードをキー・フリーECUが受信する。キー・フリーECUはそのIDコードをすでに登録されているIDコードとの照合を行い,照合が正しければ,ボデー統合ECUにロック信号を送信する。ボデー統合ECUはドア・ロックを“LOCK”し,アンサ・バック制御を行う。

Page 13: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -13

ダイハツ

参考  電池消耗時や強い電波,ノイズのある場所などは作動範囲が狭くなることや,作動しないことがある。

また車両のボデー形状により作動しにくい場所がある。

電子カード・キー(ロック電波(IDコード)発信)↓

キー・フリーECU(マニュアル・ドア・ロック制御(受信IDコード照合))↓

ボデー統合ECU(ドア・ロック,アンサ・バック制御)

図-11 マニュアル・ロック作動(キー・レスによるドア・ロック作動)

ニ 電源切り替え(電子カード・キー電池残量あり時)(図-12)

電子カード・キーを所持し,ブレーキ・ペダルを踏まずにプッシュ・スタート・スイッチを押すことにより,電源遷移を行う。ブレーキ・ペダルを踏まずにプッシュ・スタート・スイッチを押すと,スイッチを押すごとに,電源が“OFF”→“ACC”→“IG・ON”→“OFF”へと遷移する。電子カード・キーを所持し,ブレーキ・ペダルを踏まずにプッシュ・スタート・スイッチを操作すると,電子カード・キーが車室内アンテナの電波を受信し,続いて電子カード・キーのIDコード(電波)を発信する。そのIDコードをキー・フリーECUが受信する。キー・フリーECUはそのIDコードをすでに登録されているIDコードとの照合を行う。照合結果がOKの場合は電源を遷移させる。参考  ・電池消耗時や強い電波,ノイズのある場所などは作動範囲が狭くなることや,作動しないことがある。

・シフト・ポジションがP以外の状態で,“IG・ON”の状態からプッシュ・スタート・スイッチを押した場合

は,“OFF”の状態にならずに“ACC”の状態になる。

プッシュ・スタート・スイッチ操作(車両電源“OFF”でブレーキ・ペダル踏み込まず)

↓キー・フリーECU(車室内アンテナ制御)

↓車室内アンテナ(電波受信)

↓電子カード・キー(車室内アンテナ電波受信)電子カード・キー(電波(IDコード)送信)

↓キー・フリーECU(受信IDコード照合)キー・フリーECU(“ACC”へ電源遷移)

↓プッシュ・スタート・スイッチ操作(2回目)

↓キー・フリーECU(“IG・ON”へ電源遷移)

図-12 電源切り替え(電子カード・キー電池残量あり時)

ホ エンジン始動(電子カード・キー電池残量あり時)(図-13)

電子カード・キーを所持し,ブレーキ・ペダルを踏んだ状態でプッシュ・スタート・スイッチを押すことによりエンジン始動を行う。電子カード・キーを所持し,ブレーキ・ペダルを踏むと,電子カード・キーが車室内アンテナの電波を受信し,続いて電子カード・キーのIDコード(電波)を発信する。そのIDコードをキー・フリーECUが受信する。キー・フリーECUはそのIDコードをすでに登録されているIDコードと照合を行う。この段階で,プッシュ・スタート・スイッチのインジケータが緑色に点灯し(始動可能状態),更にプッシュ・

Page 14: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -14

ダイハツ

スタート・スイッチを押すと,電源を“IG・ON”に遷移させると共に,ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)にステアリング・ロック/アンロック要求を送信し,ステアリング・ロックをアンロックさせる。ステアリング・ロックがアンロック状態になると,エンジン・コントロール・コンピュータはキー・フリーECUからのイモビUNSET信号とスタータ駆動要求信号を受け,エンジンを始動させる。参考  ・シフト・ポジションがP又は,Nのときエンジンが始動できる。

・電池消耗時や強い電波,ノイズのある場所などは作動範囲が狭くなることや,作動しないことがある。

ブレーキ・ペダル踏み込み↓

キー・フリーECU(車室内アンテナ制御)↓

車室内アンテナ(電波発信)↓

電子カード・キー(車室内アンテナ電波受信)電子カード・キー(電波(IDコード)送信)

↓キー・フリーECU(受信IDコード照合)

↓プッシュ・スタート・スイッチ操作(ブレーキ・ペダル踏み込み)

↓キー・フリーECU(IG・ONへ電源遷移)

キー・フリーECU(ステアリング・ロック・アンロック要求送信)↓

ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)(ステアリング・ロック・アンロック要求受信)ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)(ステアリング・ロック・アンロック駆動)ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)

(アンロック状態確定後アンロック・ポジション信号送信)↓

キー・フリーECU(アンロック・ポジション信号受信)キー・フリーECU(ステアリング・ロックECU電源遮断予告送信)

↓ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)

(電源遮断許可を送信)↓

キー・フリーECU(ステアリング・ロック・アクチュエータ電源遮断)キー・フリーECU(スタータ駆動要求信号・イモビUNSET信号送信)

↓エンジン・コントロール・コンピュータ(イモビUNSET信号受信)エンジン・コントロール・コンピュータ(スタータ駆動要求受信)

↓エンジン始動

図-13 エンジン始動(電子カード・キー電池残量あり時)

Page 15: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -15

ダイハツ

ヘ 電源切り替え(電子カード・キー電池残量切れ時)(図-14)

電子カード・キーのバッテリが切れた場合においても,電子カード・キー/メイン・キーをプッシュ・スタート・スイッチに接触させながら,ブレーキ・ペダルを踏まずにプッシュ・スタート・スイッチを押すことにより,電源遷移を行うことができる。電子カード・キー/メイン・キーをプッシュ・スタート・スイッチに接触させながらスイッチを操作すると,電子式カード・キー/メイン・キー内のトランスポンダがプッシュ・スタート・スイッチ内イモビライザ・コイルから発生する磁場を受け,記憶しているIDコードを発信する。そのIDコードをイモビライザ・コイルが受信し,キー・フリーECUにIDコードを送信する。キー・フリーECUはそのIDコードをすでに登録されているIDコードと照合を行う。照合結果がOKの場合,電源を遷移させる。参考  シフト・ポジションがP以外の状態で,“IG・ON”の状態からプッシュ・スタート・スイッチを押した場合は,

“OFF”の状態にならずに“ACC”の状態になる。

プッシュ・スタート・スイッチ操作(車両電源“OFF”でブレーキ・ペダル踏み込まず)

↓キー・フリーECU(トランスポンダ通信制御)

↓プッシュ・スタート・スイッチ(イモビライザ・コイル通電・磁場発生)

↓電子カード・キー/メイン・キー(トランスポンダ磁場受信)

電子カード・キー/メイン・キー(トランスポンダIDコード送信)↓

プッシュ・スタート・スイッチ(イモビライザ・コイルIDコード受信)プッシュ・スタート・スイッチ(イモビライザ・コイルIDコード送信)

↓キー・フリーECU(受信IDコード照合)キー・フリーECU(“ACC”へ電源遷移)

↓プッシュ・スタート・スイッチ操作(2回目)

↓キー・フリーECU(“IG・ON”へ電源遷移)

図-14 電源切り替え(電子カード・キー電池残量切れ時)

ト エンジン始動(電子カード・キー電池残量切れ時)(図-15)

電子カード・キーのバッテリが切れた場合においても,電子カード・キー/メイン・キーをプッシュ・スタート・スイッチに接触させながら,ブレーキ・ペダルを踏んだ状態でプッシュ・スタート・スイッチを押すことにより,エンジン始動を行うことができる。電子カード・キー/メイン・キーをプッシュ・スタート・スイッチに接触させながらブレーキ・ペダルを踏むと,電子カード・キー/メイン・キー内のトランスポンダがプッシュ・スタート・スイッチ内イモビライザ・コイルから発生する磁場を受け,記憶しているIDコードを発信する。そのIDコードをイモビライザ・コイルが受信し,キー・フリーECUにIDコードを送信する。キー・フリーECUはそのIDコードをすでに登録されているIDコードと照合を行う。照合結果がOKの場合,プッシュ・スタート・スイッチのインジケータが緑色に点灯し(始動可能状態),更にプッシュ・スタート・スイッチを押すと,電源を“IG・ONに”遷移させると共に,ステアリング・ロック・

Page 16: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -16

ダイハツ

アクチュエータ(ECU)にステアリング・ロック・アンロック要求を送信し,ステアリング・ロックをアンロックさせる。ステアリング・ロックがアンロック状態になると,エンジン・コントロール・コンピュータはキー・フリーECUからのイモビUNSET信号とスタータ駆動要求信号を受け,エンジンを始動させる。参考  シフト・ポジションがP又は,Nのときエンジンが始動できる。

ブレーキ・ペダル踏み込み↓

キー・フリーECU(トランスポンダ通信制御)↓

プッシュ・スタート・スイッチ(イモビライザ・コイル通電・磁場発生)↓

電子カード・キー/メイン・キー(トランスポンダ磁場受信)電子カード・キー/メイン・キー(トランスポンダIDコード送信)

↓プッシュ・スタート・スイッチ(イモビライザ・コイルIDコード受信)プッシュ・スタート・スイッチ(イモビライザ・コイルIDコード送信)

↓キー・フリーECU(受信IDコード照合)

キー・フリーECU(電源遷移)キー・フリーECU(ステアリング・ロック・アンロック要求送信)

↓ステアリング・ロック・アクテュエータ(ECU)(ステアリング・ロック・アンロック要求受信)ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)(ステアリング・ロック・アンロック駆動)ステアリング・ロック・アクテュエータ(ECU)

(アンロック状態確定後アンロック・ポジション信号送信)↓

キー・フリーECU(アンロック・ポジション信号受信)キー・フリーECU(ステアリング・ロックECU電源遮断予告送信)

↓ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)

(電源遮断許可を送信)↓

キー・フリーECU(ステアリング・ロック・アクチュエータ電源遮断)キー・フリーECU(スタータ駆動要求信号・イモビUNSET信号送信)

↓エンジン・コントロール・コンピュータ(イモビUNSET信号受信)エンジン・コントロール・コンピュータ(スタータ駆動要求受信)

↓エンジン始動

図-15 エンジン始動(電子カード・キー電池残量切れ時)

Page 17: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -17

ダイハツ

チ エンジン停止,電源“OFF”後のステアリング・ロック(図-16)

車両停止後シフト・ポジションをPレンジに入れ,プッシュ・スタート・スイッチを押して“OFF”操作を行い,ドアを開けることでステアリング・ロックが作動する。

キー・フリーECU(車両停止,シフト・ポジション“P”認識)↓

プッシュ・スタート・スイッチ操作(OFF操作)↓

キー・フリーECU(OFFへ電源遷移)キー・フリーECU(イモビSET状態へ移行)

↓運転席のドア開操作

↓キー・フリーECU(ステアリング・ロック・ロック要求送信)

↓ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)(ステアリング・ロック・ロック要求受信)ステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)(ステアリング・ロック・ロック駆動)

ステアリング・ロック・アクテュエータ(ECU)(ロック状態確定後ロック・ポジション信号送信)

↓キー・フリーECU(ロック・ポジション信号受信)

参考  運転席ドアを先に開けて電源を“OFF”操作した場合は,ステアリング・ロックはロックされずにブザーが吹

鳴する。ドアを閉めることでステアリング・ロックはロックしてブザーの吹鳴が停止する。

図-16 エンジン停止,電源“OFF”後のステアリング・ロック

⑵ ドア・ロック制御

イ キー・フリー・ドア・ロック/アンロック制御

⒜ 概 要

電子カード・キーを所持した人が車室外アンテナ検知エリアに入り,運転席,助手席及びバック・ドアに設置されたリクエスト・スイッチを“ON”すると,キー・フリーECUはドア・ロック/アンロック制御を行う。⒝ 条 件

次のすべての条件が成立した場合,キー・フリーECUよりドア・ロック/アンロック信号をボデー統合ECUへ出力する。①車両電源“OFF”の状態。②全ドアが“閉”の状態(カーテシ・スイッチ“OFF”)。③リクエスト・スイッチ“ON”による車室外アンテナの電波発信後,登録済み電子カード・キーからIDコードを受信し,照合一致。

ロ マニュアル・ドア・アンロック制御(キー・レス操作)

ドア・ロックが“LOCK”状態の車両に対し,次のすべての条件が成立した場合,キー・フリーECUよりドア・アンロック信号をボデー統合ECUへ出力する。①車両電源“OFF”の状態。②全ドアが“閉”の状態。(カーテシ・スイッチ“OFF”)。③登録済み電子カード・キーからマニュアル・アンロック信号を受信した場合。

Page 18: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -18

ダイハツ

ハ マニュアル・ドア・ロック制御(キー・レス操作)

ドア・ロックが“UNLOCK”状態の車両に対し,次のすべての条件が成立した場合,キー・フリーECUよりドア・ロック信号をボデー統合ECUへ出力する。①車両電源“OFF”の状態。②全ドアが“閉”の状態。(カーテシ・スイッチ“OFF”)。③登録済み電子カード・キーからマニュアル・ロック信号を受信した場合。ニ 自動ロック制御

①次のいずれかの条件が成立時,キー・フリーECUよりドア・ロック信号をボデー統合ECUへ出力し,全ドアをロックすることでドア・アンロック状態での放置を防止する。㋑リクエスト・スイッチ“ON”によってドアをアンロックした後,30秒間ドアの開閉がなかった場合。㋺電子カード・キーからマニュアル・アンロック信号によってドアをアンロックした後,30秒間ドアの開閉がなかった場合。

②自動ロック制御は30秒以内に次のいずれかの条件が成立すると解除される。㋑いずれかのドアが開かれた(カーテシ・スイッチ“ON”)。㋺プッシュ・スタート・スイッチを操作した。

ホ 強制アンロック制御(ドア・ハンドル操作)

①次のすべての条件が成立した場合,キー・フリーECUよりドア・アンロック信号をボデー統合ECUへ出力する。㋑運転席ドア・ロック・レバー(運転席ドア・ロック・スイッチ)を“LOCK”にし,ドア・ハンドルを引いてドア・ロックした場合。

㋺車室内アンテナ検知エリアで電子カード・キーのIDコード照合が一致した場合。⑶ 電源切り替え制御(図-17)

各状態でプッシュ・スタート・スイッチを操作することにより,次の図のように電源が遷移する。

図-17 電源切り替え制御

Page 19: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -19

ダイハツ

⑷ ステアリング・ロック制御

イ ステアリング・ロック駆動命令

⒜次の条件がすべて成立した場合,キー・フリーECUはステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)にロック要求を送信する。①車両電源“OFF”の状態。②シフト・ポジションPの状態。③ドア“閉”→“開”,又はドア“開”→“閉”又はドア・ロック・ポジション“アンロック”→“ロック”となったとき。

⒝次の条件がすべて成立した場合,キー・フリーECUはステアリング・ロック・アクチュエータ(ECU)にアンロック要求を送信する。①車両電源が“ACC”又は“IG・ON”になったとき。②キー照合結果OKのとき。ロ ステアリング・ロック駆動(ステアリング・ロック・アクチュエータ)

ステアリング・ロック・アクチュエータは,キー・フリーECUからのステアリング・ロック駆動命令により,アクチュエータを作動させる。なお,ステアリング・ロック・アクチュエータは,車両電源が“IG・ON”状態でのロックの誤動作を防止する機構を備えている。⑸ イモビSET/UNSET制御

イ イモビSET条件

次のいずれかの条件が成立した場合,キー・フリーECUはイモビ“SET”状態(キー照合NG状態)となる。①車両電源“ACC”の状態で,5分以上経過したとき。②車両電源“OFF”になったとき。ロ イモビUNSET条件

次のすべての条件が成立した場合,キー・フリーECUはイモビ“UNSET”状態(キー照合OK状態)となる。①車両電源“ACC”又は“IG・ON”になったとき。②車室内アンテナ発信出力に対して,電子カード・キー又はトランスポンダとのIDコード照合が一致したとき。

③ステアリング・ロックが“アンロック”のとき。⑹ エンジン・コントロール・コンピュータ通信制御

イ エンジン・コントロール・コンピュータ通信開始条件

次の条件が成立した場合,キー・フリーECUはエンジン・コントロール・コンピュータと通信を開始する。①車両電源“IG・ON”になったとき。ロ エンジン・コントロール・コンピュータ通信終了条件

次の条件が成立した場合,キー・フリーECUはエンジン・コントロール・コンピュータと通信を停止する。①エンジン・コントロール・コンピュータとの通信中に,車両電源“IG・ON”から“OFF”,“ACC”に変化。

ハ スタータ駆動要求送信条件

次のすべての条件が成立した場合,キー・フリーECUはエンジン・コントロール・コンピュータヘスタータ駆動要求信号を送信する。①ブレーキ・ペダル踏み込んでいるとき。②キー照合OK状態のとき。③シフト・ポジションがP又は,Nのとき。

Page 20: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -20

ダイハツ

④プッシュ・スタート・スイッチを操作したとき。⑤ステアリング・ロックが“アンロック”のとき。

3 点検・整備

1) 故障コードの表示・消去方法

⑴ ダイアグノーシス・コードの確認,記録,消去

イ 概 要

ダイアグノーシスの異常コードが表示されている場合,そのシステムの不具合が過去に発生したものなのか,現在も継続しているものかを確認し,再現された不具合現象との関係を確かめる必要がある。そのためには,現象確認の前後で2度,ダイアグノーシス・コードを表示させなければならない。注意  「ダイアグノーシス点検」機能で,ダイアグノーシス・コードを出力することはできるが,正規使用状態でも

ダイアグノーシス・コードが発生するコード部位があるため,そのコード部位は通常故障診断していない。

そのコード部位も含めて故障診断するダイアグノーシス・チェック・モードを必ず実施してからダイアグノー

シス・コードを確認する。

ロ ダイアグノーシス・コード表示方法(ダイアグノーシス・チェック・モード)

⒜ DS-Ⅱによる方法

①IG“OFF”後,DLCにDS-Ⅱを接続する。②IG“ON”後,DS-Ⅱの作業サポートを起動し以下の診断を実施する。・アンテナ接続診断・スマート通信テスト・ワイヤレス通信テスト・トランスポンダ通信テスト

③ダイアグノーシス・コードを確認する。⒝ DLC短絡による方法

① ダイアグノーシス・チェック・モード(アンテナ接続診断)

アンテナ接続に異常がある場合,ダイアグノーシス・コードを出力する。1.車両を初期状態にする

初期状態とは,次の条件を満たした状態をいう。ⓐ車両電源が“ALL・OFF”の状態。ⓑ運転席ドア“アンロック”の状態。ⓒ運転席ドア開2.DLCのECU-T端子とE端子の短絡

SSTを使用して,DLCのECU-T端子とE端子を短絡させる。SST: 09991-87403-000   09991-87404-000

3へ進む。3.ダイアグノーシス・チェック・モード開始操作

ⓐ短絡から20秒以内に運転席のドア・ロック・スイッチの操作(ドア・ロック→ドア・アンロック)を行う。ⓑ運転席のドアを(閉→開)する。

4へ進む。

Page 21: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -21

ダイハツ

4.ダイアグノーシス・チェック・モード開始応答

ダイアグノーシス・チェック・モード開始応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。5へ進む。

5.運転席ドアを閉める

ドア・ロック反転から20秒以内に運転席ドアを閉める。6へ進む。

6.ダイアグ・テスト開始応答

アンテナ接続診断開始応答として,ドア・ロックが自動的に3回反転する。7へ進む。

7.ダイアグ・テスト終了応答

アンテナ接続診断終了応答として,ドア・ロックが自動的に3回反転する。8へ進む。

8.ダイアグノーシス・コードの出力

② ダイアグノーシス・チェック・モード(スマート通信テスト)

スマート通信に異常がある場合,ダイアグノーシス・コードを出力する。1.車両を初期状態にする

初期状態とは,次の条件を満たした状態をいう。ⓐ車両電源が“ALL・OFF”の状態。ⓑ運転席ドア“アンロック”の状態。ⓒ運転席ドア開

2へ進む。2.電子カード・キーの配置

点検したい電子カード・キーを車室内アンテナの検知エリア内に置く。3へ進む。

3.DLCのECU-T端子とE端子の短絡

SSTを使用して,DLCのECU-T端子とE端子を短絡させる。SST: 09991-87403-000 09991-87404-000

4へ進む。4.ダイアグノーシス・チェック・モード開始操作

ⓐ短絡から20秒以内に運転席のドア・ロック・スイッチの操作(ドア・ロック→ドア・アンロック)を行う。ⓑ運転席のドアを(閉→開)する。

5へ進む。5.ダイアグノーシス・チェック・モード開始応答

ダイアグノーシス・チェック・モード開始応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。6へ進む。

6.プッシュ・スタート・スイッチの“ON”,“OFF”操作

ドア・ロック反転から20秒以内にプッシュ・スタート・スイッチを1回“ON”させる。7へ進む。

Page 22: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -22

ダイハツ

7.運転席ドアを閉める。

ドア・ロック反転から20秒以内に運転席ドアを閉める。8へ進む。

8.ダイアグ・テスト開始応答

スマート通信テスト開始応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。9へ進む。

9.ダイアグ・テスト終了応答

スマート通信テスト終了応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。10へ進む。

10.ダイアグノーシス・コードの出力

③ ダイアグノーシス・チェック・モード(ワイヤレス通信テスト)

ワイヤレス通信に異常がある場合,ダイアグノーシス・コードを出力する。1.車両を初期状態にする

初期状態とは,次の条件を満たした状態をいう。ⓐ車両電源が“ALL・OFF”の状態。ⓑ運転席ドア“アンロック”の状態。ⓒ運転席ドア開

2へ進む。2.DLCのECU-T端子とE端子の短絡

SSTを使用して,DLCのECU-T端子とE端子を短絡させる。SST: 09991-87403-000 09991-87404-000

3へ進む。3.ダイアグノーシス・チェック・モード開始操作

ⓐ短絡から20秒以内に運転席のドア・ロック・スイッチの操作(ドア・ロック→ドア・アンロック)を行う。ⓑ運転席のドアを(閉→開)する。

4へ進む。4.ダイアグノーシス・チェック・モード開始応答

ダイアグノーシス・チェック・モード開始応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。5へ進む。

5.プッシュ・スタート・スイッチの“ON”,“OFF”操作

ドア・ロック反転から20秒以内にプッシュ・スタート・スイッチを2回“ON”させる。6へ進む。

6.運転席ドアを閉める

ドア・ロック反転から20秒以内に運転席ドアを閉める。7へ進む。

7.ダイアグ・テスト開始応答

ワイヤレス通信テスト開始応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。8へ進む。

Page 23: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -23

ダイハツ

8.電子カード・キー操作

開始応答終了から10秒以内に電子カード・キー操作の“LOCK”,“UNLOCK”いずれかのボタンを押す。9へ進む。

9.ダイアグ・テスト終了応答

ワイヤレス通信テスト終了応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。10へ進む。

10.ダイアグノーシス・コードの出力

④ ダイアグノーシス・チェック・モード(トランスポンダ通信テスト)

トランスポンダ通信に異常がある場合,ダイアグノーシス・コードを出力する。1.車両を初期状態にする

初期状態とは,次の条件を満たした状態をいう。ⓐ車両電源が“ALL・OFF”の状態。ⓑ運転席ドア“アンロック”の状態。ⓒ運転席ドア開

2へ進む。2.DLCのECU-T端子とE端子の短絡

SSTを使用して,DLCのECU-T端子とE端子を短絡させる。SST: 09991-87403-000 09991-87404-000

3へ進む。3.ダイアグノーシス・チェック・モード開始操作

ⓐ短絡から20秒以内に運転席のドア・ロック・スイッチの操作(ドア・ロック→ドア・アンロック)を行う。ⓑ運転席のドアを(閉→開)する。

4へ進む。4.ダイアグノーシス・チェック・モード開始応答

ダイアグノーシス・チェック・モード開始応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。5へ進む。

5.プッシュ・スタート・スイッチの“ON”,“OFF”操作

ドア・ロック反転から20秒以内にプッシュ・スタート・スイッチを3回“ON”させる。6へ進む。

6.運転席ドアを閉める

ドア・ロック反転から20秒以内に運転席ドアを閉める。7へ進む。

7.ダイアグ・テスト開始応答

トランスポンダ・テスト開始応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。8へ進む。

8.トランスポンダ接触

開始応答終了から9秒以内に点検するトランスポンダをプッシュ・スタート・スイッチに接触させる。9へ進む。

Page 24: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -24

ダイハツ

③エンジン・スイッチを“ON”にする。④コンビネーション・メータ内のセキュリティ・インジケータ・ランプが点滅表示され,また同時にメータのLCDにもダイアグノーシス・コードNoが表示される。参考  ・正常な場合は,0.25秒間隔で点滅する。

・DLCの短絡時には,キー・フリー以外のウォーニング・ランプも点滅するが,システムの異常ではない。

・コンビネーション・メータのLCDにはキー・フリー・システム関係のダイアグノーシス・コードのほかに,

CAN通信システム,LIN通信システム,コンビネーション・メータのダイアグノーシス・コードが表示さ

れる。

・上位2桁にECUのIDを表示し,下位2桁にダイアグノーシス・コードNoを表示する。上位2桁に「02」と

表示されているときは,キー・フリーECUのダイアグノーシス・コードが表示されているときである。

・コードの表示は,記憶しているすべてのコードを小さな番号順に繰り返し表示する。

・コードが一つの場合はコードを表示した後4秒おいて再度表示し,コードが複数の場合はコード番号の小さ

なものから2.5秒間隔で表示した後4秒おいて,再度小さなものから順に表示する。

9.ダイアグ・テスト終了応答

トランスポンダ・テスト終了応答として,ドア・ロックが自動的に2回反転する。10へ進む。

10.ダイアグノーシス・コードの出力

ハ ダイアグノーシス・コード表示方法(インジケータ・ランプ及びメータLCDによる表示)(図-18,19)

①車両を停止状態にする。②車両電源“ALL・OFF”状態にし,SSTを使用してインストルメント・パネル下にあるDLCのECU-T端子とE端子を短絡する。注意  ・DLCの短絡には必ず指定のSSTを使用する。

・DLCの短絡位置を間違えると故障の原因になるた

め絶対間違えない。

SST: 09991-87403-000 09991-87404-000

図-18 DLC

Page 25: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -25

ダイハツ

図-19 ダイアグノーシス・コード表示方法

ニ ダイアグノーシス・コード表示方法(DS-Ⅱによる表示)

①車両を停止状態にする。②車両電源を“ALL・OFF”後,DLCにDS-Ⅱを接続する。③車両電源を“IG・ON”後,DS-Ⅱを使用して,ダイアグノーシス・コードを読みとる。ホ ダイアグノーシス・コード消去方法(バッテリ・マイナス端子切り離しによる消去)

異常コード発生箇所を点検修理したときは,バッテリのマイナス端子を30秒以上外すことで消去できる。記憶を消去した後は,再度ダイアグノーシス・コードを出力して正常コードが出力されることを確認する。注意  バッテリのマイナス端子を外した場合には他のシステムのコンピュータ(エンジン・コントロールなど),又

はラジオなどの記憶が同時に消去されるので注意する。

ヘ ダイアグノーシス・コード消去方法(DS-Ⅱによる消去)

①車両を停止状態にする。②いずれかのドアを“開”状態にする。③車両電源を“ALL・OFF”後,DLCにDS-Ⅱを接続する。

Page 26: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -26

ダイハツ

④車両電源を“IG・ON”後,DS-Ⅱを使用して,ダイアグノーシス・コードを消去する。⑵ ダイアグノーシス診断内容

コードNo. ウォーニング表示(あり:○,なし:×)

コード記憶(あり:○,なし:×) 診断項目 診断内容

4桁 2桁

B2788 41 × ○ EFI・ECU通信不良(コード不一致)

EFI・ECUとの通信時,コード照合で不一致になった場合。

B2789 42 × ○ EFI・ECU通信不良(返信なし) EFI・ECUとの通信後,返信がない場合。

B2792 13 × ○ イモビライザ・コイル異常

ダイアグノーシス・チェック・モードのトランスポンダ通信テストにてイモビライザ・コイルの異常を検出した場合。

B2793 14 × ○ イモビ・アンプ異常ダイアグノーシス・チェック・モードのトランスポンダ通信テストにてイモビ・アンプの異常を検出した場合。

B2794 15 × ○ トランスポンダ不良ダイアグノーシス・チェック・モードのトランスポンダ通信テストにて通信不良を検出した場合。

B2795 21 × ○ トランスポンダ・コード不一致

ダイアグノーシス・チェック・モードのトランスポンダ通信テストにてコード照合が不一致になった場合。

B2880 53 × ○ 電子カード・キースマート・コード不一致

ダイアグノーシス・チェック・モードのスマート通信テスト,又はワイヤレス通信テストにてコード照合が不一致になった場合。

B2881 54 × ○ 電子カード・キーローリング・コード異常

ダイアグノーシス・チェック・モードのワイヤレス通信テストにてローリング・コード異常を検出した場合。

B2882 57 × ○ 電子カード・キー異常ダイアグノーシス・チェック・モードのスマート通信テスト,又はワイヤレス通信テストにて通信不良を検出した場合。

B2890 61 × ○ 車室外アンテナ(運転席)不良

ダイアグノーシス・チェック・モードのアンテナ接続診断にて運転席車室外アンテナ系統の断線,短絡を検出した場合。

B2891 62 × ○ 車室外アンテナ(助手席)不良

ダイアグノーシス・チェック・モードのアンテナ接続診断にて助手席車室外アンテナ系統の断線,短絡を検出した場合。

B2892 63 × ○ 車室外アンテナ(バック・ドア)不良

ダイアグノーシス・チェック・モードのアンテナ接続診断にてバック・ドア車室外アンテナ系統の断線を検出した場合。

B2893 72 × ○ 車室内アンテナ(前席)不良

ダイアグノーシス・チェック・モードのアンテナ接続診断にて前席車室内アンテナ系統の断線,短絡を検出した場合。

B2894 73 × ○ 車室内アンテナ(後席)不良

ダイアグノーシス・チェック・モードのアンテナ接続診断にて後席車室内アンテナ系統の断線,短絡を検出した場合。

B2896*1 75 × ○ リモート・エンジン・スタータ通信不良

リモコン・エンジン・スタータECUとの通信時,コード照合が不一致になった場合。

B2898 76 × ○ LIN通信不良 LIN通信不良

B2271 26 ○ ○ IG回路異常 IG2リレー回路の短絡などの異常を検出した場合。

B2272 22 ○ ○ IG1出力回路異常 IG1リレー回路の断線などの異常を検出した場合。

B2273 23 ○ ○ IG2出力回路異常 IG2リレー回路の断線などの異常を検出した場合。

B2274 24 ○ ○ ACC回路異常 ACCリレー回路の断線などの異常を検出した場合。

Page 27: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -27

ダイハツ

コードNo. ウォーニング表示(あり:○,なし:×)

コード記憶(あり:○,なし:×) 診断項目 診断内容

4桁 2桁

B2278 31 × ○ エンジン・スイッチ信号異常

プッシュ・スタート・スイッチから実線入力している信号の断線,短絡などの異常がある場合。

B2282 32 × ○ 車速信号異常コンビネーション・メータから入力している車速信号の断線,短絡などの異常がある場合。

B2283 33 × ○ 車速センサ故障検出 走行中に車速信号の異常を検出した場合。

B2286 35 × ○ エンジン回転速度信号異常

EFI・ECU又はコンビネーション・メータから入力しているエンジン回転速度信号の断線,短絡などの異常がある場合。

B2287 44 ○ ○ ステアリング・ロック通信異常

ステアリング・ロックECUからキー・フリーECU間のLIN通信応答がない場合。

B2292 45 × ○ Lコード登録異常 キーID等の登録又は再登録失敗の場合。B2294 46 ○ ○ ACC異常 ACC電源リレー回路の異常がある場合。B2295 47 ○ ○ IG1異常 IG1電源リレー回路の異常がある場合。B2296 48 ○ ○ IG2異常 IG2電源リレー回路の異常がある場合。

B2781 51 ○ ○ ステアリング・ロックECUドライバ異常

ステアリング・ロックECU内部から異常がある場合。(突出不良等)

B2782 52 ○ ○ 給電回路異常 ステアリング・ロック電源ON故障の場合。(電源リレー接点溶着等)

B2786 43 ○ ○ ステアリング・ロック・ダイアグ通信応答異常

ステアリング・ロックECUからキー・フリーECU間のLIN通信信号に異常がある場合。

ウォーニング表示はプッシュ・ボタン・スイッチのインジケータが橙点滅する。プッシュ・ボタン・スイッチのインジケータが緑点滅したときは,バッテリ電圧異常を示す。(キー・フリーECUの故障ではない)

2) 機能点検(基本点検)

⑴ 電子カード・キーによる作動点検

作動点検は次の状態で実施する。イすべてのドアが閉まっている。

順序 点検項目 手 順 確認内容

1 ドア・アンロック作動電子カード・キーを所持したまま,運転席,助手席及びバック・ドアのアウタ・ハンドルのリクエスト・スイッチを押す。

ドアが“アンロック”し,室外ブザーが2回吹鳴すること。

2 プッシュ・スイッチ作動電子カード・キーを所持したまま運転席に着座して,プッシュ・スタート・スイッチを1回,2回押す。

プッシュ・スタート・スイッチを1回押したときに“ACC・ON”となり,2回押したときに“IG・ON”となること。

3 E/G始動 ブレーキを踏みながら,プッシュ・スタート・スイッチを押す。 エンジン始動が可能であること。

4 ステアリング・ロック/アンロック・ブザー作動

ドアを開けた状態で,プッシュ・スタート・スイッチ(IG・ON)を押す。

“IG・OFF”となり,警報ブザーが吹鳴すること。

5 セキュリティ・インジケータの点滅 “IG・OFF”の状態にする。 セキュリティ・インジケータが点滅するこ

と。

6 イモビライザの作動“IG・OFF”の状態で,電子カード・キーを室内検知エリア外(車室外)に出してプッシュ・スタート・スイッチを押す。

“IG・OFF”以外にならないこと。

7 ドア・ロック作動電子カード・キーを所持したまま運転席,助手席及びバック・ドアのアウタ・ハンドルのリクエスト・スイッチを押す。

ドアが“ロック”し,室外ブザーが1回吹鳴すること。

8マニュアル・キー・レス・エントリ作動及びアンサ・バック

電子カード・キーの“UNLOCK”ボタン及び“LOCK”ボタンを操作する。

ドアが“アンロック”及び“ロック”し,ハザード・ランプがそれぞれ2回及び1回点滅,アンサ・バック・ブザーが2回及び1回吹鳴すること。

Page 28: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -28

ダイハツ

順序 点検項目 手 順 確認内容

9 電池残量 電子カード・キーのボタンを押し続ける。

カード・キーが未登録の場合:電池電圧が2.3V以上あれば1回点灯する。カード・キーが登録済みの場合:電池電圧が2.3V以上あれば点滅する。

10 電池電圧お知らせ機能(電池投入時のみ) カード・キーに電池を人れる。

電池電圧2.5V以上:1秒点灯後,1秒周期で3回点灯する。電池電圧2.3V以上,2.5V未満:1秒点灯後,約6秒間点滅する。電池電圧2.3V未満:1秒点灯後,点滅しない。

⑵ メイン・キーによる作動点検

順序 点検項目 手順 確認内容

1 電源遷移 メイン・キーをプッシュ・スタート・スイッチにかざし,スイッチ操作をする。

“ACC・ON”→“IG・ON”→“OFF”の遷移が可能であること。

2 E/G始動ブレーキを踏みながら,メイン・キーをプッシュ・スタート・スイッチにかざし,スイッチ操作をする。

エンジン始動が可能であること。

⑶ 電子カード・キーによるアンテナ発信点検

順序 点検項目 点検条件 手順 確認内容

1 アンテナ発信

・スマート・フル・キャンセルの状態でない

・電子カード・キーが電池切れでない・すべてのドアが“閉”状態・車両電源“ALL・OFF”

各車室内アンテナ・エリア内に電子カード・キーを置き,ブレーキ・ペダルを踏み続ける。各車室外アンテナ・エリア内に電子カード・キーを置き,リクエスト・スイッチを押す。

電子カード・キーのインジケータが点滅する。

⑷ バッテリ電圧測定

エンジン停止状態でのバッテリ電圧を測定する。基準:10~14V

⑸ プッシュ・ボタン・スタート電源・アース回路の点検

イ 電源回路の点検

①車両電源を“ALL・OFF”後,バッテリのマイナス端子を切り離す。②キー・フリーECUからコネクタを切り離す。③バッテリのマイナス端子を取り付ける。④車両電源を“IG・ON”後,キー・フリーECUハーネス側コネクタのそれぞれの電圧を点検する。キー・フリーECUハーネス側コネクタB32(AM2)~B1(GND)基準:10~14V

ロ アース回路の点検

①車両電源を“ALL・OFF”後,バッテリのマイナス端子を取り外し,キー・フリーECUのコネクタを切り離す。②キー・フリーECU,車両ハーネスのコネクタそれぞれの導通を点検する。㋑キー・フリーECU側コネクタB1(GND)~ボデー・アース 基準:導通なし

㋺キー・フリーECUハーネス側コネクタB1(GND)~ボデー・アース 基準:導通あり

Page 29: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -29

ダイハツ

3) 外部診断器及び車載故障診断装置の活用による点検・整備

キー・フリー・システム系統に不具合が発生し,外部診断器によりDTCが出力された場合には点検・整備を行う必要がある。ここでは,以下に示す,車室外アンテナ(バック・ドア)系統異常,ステアリング・ロック通信系統異常及びエンジン・スイッチ信号系統異常を例として点検・整備方法を説明する。ⅰ) 車室外アンテナ(バック・ドア)系統異常①症状:バック・ドア・リクエスト・スイッチによるロック/アンロックが不可能B2892/63「車室外アンテナ(バック・ドア)不良」検出

②故障内容:車室外アンテナ(バック・ドア)~キー・フリーECU間のハーネスの断線。③点検方法:外部診断器を使用しない場合ⅱ) ステアリング・ロック通信系統異常①症状:ステアリング・ロック作動不可能,エンジン始動不可能B2287/44「ステアリング・ロック通信異常」検出

②故障内容:キー・フリーECUとステアリング・ロックECU間のLIN通信線断線③点検方法:外部診断器を使用しない場合。ⅲ) エンジン・スイッチ信号系統異常①症状:走行中,緊急停止が作動不可能B2278/31「エンジン・スイッチ信号異常」検出

②故障内容:キー・フリーECU~プッシュ・スタート・スイッチ間のハーネス断線。③点検方法:外部診断器を使用しない場合。⑴ 車室外アンテナ(バック・ドア)系統異常(図-20)

図-20 車室外アンテナ(バック・ドア)系統

Page 30: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -30

ダイハツ

イ 症 状

・バック・ドア・リクエスト・スイッチを押してもドア・ロック/アンロックが作動しない。・アンテナ接続診断でダイアグノーシス・コードB2892/63を出力。

ダイアグノーシス・コード 診断項目 検出条件

B2892/63 車室外アンテナ(バック・ドア)不良

1. 車室外アンテナ(バック・ドア)に異常がある場合。2. キー・フリーECUに異常がある場合。3. 車室外アンテナ(バック・ドア)~キー・フリーECU間のハーネスが断線した場合。

ロ 原因説明

電子カード・キーを所持して車室外アンテナ検知エリア内に入り,リクエスト・スイッチを“ON”すると,通常,電子カード・キーが車室外アンテナから発信された電波を受信し,続いて電子カード・キーのIDコード(電波)を発信し,そのIDコードをキー・フリーECUが受信する。車室外アンテナ(バック・ドア)~キー・フリーECU間に断線,短絡などの異常がある場合,車室外アンテナ(バック・ドア)から電波が発信されずドア・ロック/アンロック作動が行われない。また,アンテナ接続診断でもバック・ドア・アンテナ未接続を検出しダイアグノーシス・コードを記憶する。ハ 点検方法

1.車室外アンテナ(バック・ドア)点検

正常な車室外アンテナ(バック・ドア)と入れ替え,再度アンテナ接続診断を行う。基準:B2892/No.63が出力されない

OKの場合は,車室外アンテナ(バック・ドア)を交換する。NGの場合は, 2へ進む。2.ワイヤ・ハーネス点検

次の端子間の導通を点検する。①キー・フリーECU車両ハーネス側コネクタ端子A4(AB1+)~車室外アンテナ(バック・ドア)車両ハーネス側コネクタ端子2(AB1+)②キー・フリーECU車両ハーネス側コネクタ端子A16(AB1-)~車室外アンテナ(バック・ドア)車両ハーネス側コネクタ端子1(AB1-)基準:導通あり

OKの場合は,キー・フリーECUコネクタ部の目視,接触圧点検した後,電源系統,及びアース系統の点検を行い,問題なければキー・フリーECUを交換し再登録を行う。NGの場合は,不具合箇所のハーネス及びコネクタを修理又は交換する。

Page 31: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -31

ダイハツ

⑵ ステアリング・ロック通信系統異常(図-21)

図-21 ステアリング・ロック通信系統異常

イ 症 状

・ステアリング・ロック作動しない。・エンジン始動不可。・プッシュ・スタート・スイッチのインジケータが橙点滅する。・ダイアグノーシス・コードB2287/44を出力。

ダイアグノーシス・コード 診断項目 検出条件B2287/44 ステアリング・ロック通信異常 LIN通信の通信異常及び通信線異常の場合。

ロ 原因説明

キー・フリーECUとステアリング・ロックECU間のLIN通信線断線によりダイアグノーシス・コードを記憶する。また,フェイルセーフが作動し,ステアリング・ロックが作動しなくなると共にエンジン始動を禁止する。ハ 点検方法

1.ダイアグノーシス・コード確認

①ダイアグノーシス・コードを消去する。②車両電源“ALL・OFF”状態からプッシュ・スタート・スイッチを10回押し,再度ダイアグノーシス・コードが出力されないか確認する。基準:ダイアグノーシス・コードが出力されない

参考  規定の回数連続して異常を検出しないとダイアグノーシス・コードが出力されないため,上記のスイッチ操

作を行う必要がある。

Page 32: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -32

ダイハツ

OKの場合は,正常な状態に戻っている可能性があるため,しばらく様子を見る。NGの場合は, 2へ進む。2. LIN通信線点検

①車両電源を“ALL・OFF”後,バッテリのマイナス端子を取り外し,キー・フリーECU,ステアリング・ロックECUのコネクタを切り離す。②キー・フリーECU,ステアリング・ロックECUの各車両ハーネス側コネクタ間の導通点検を行う。㋑キー・フリーECU車両ハーネス側コネクタ端子B8(SLIN)~ステアリング・ロックECU車両ハーネス側コネクタ端子5(LIN)

基準:導通あり

③キー・フリーECU,ステアリング・ロックECUの各車両ハーネス側コネクタ~ボデー・アース又は+B電源間に線間短絡がないことを点検する。㋑キー・フリーECU車両ハーネス側のコネクタ端子B8(SLIN)~ボデー・アース及び+B電源㋺ステアリング・ロックECU車両ハーネス側のコネクタ端子5(LIN)~ボデー・アース及び+B電源基準:導通なし

OKの場合は, 3へ進む。NGの場合は,キー・フリーECU,ステアリング・ロックECUのハーネス及びコネクタの修理又は交換する。3.キー・フリーECU短絡点検

①車両電源を“ALL・OFF”後,バッテリのマイナス端子を取り外し,キー・フリーECUのコネクタを切り離す。②キー・フリーECU~ボデー・アース及び+B電源間に線間短絡がないことを点検する。㋑キー・フリーECU側のコネクタ端子B8(SLIN)~ボデー・アース及び+B電源基準:導通なし

OKの場合は, 4へ進む。NGの場合は,キー・フリーECUを交換する。4.ステアリング・ロックECU短絡点検

①車両電源を“ALL・OFF”後,バッテリのマイナス端子を取り外し,ステアリング・ロックECUのコネクタを切り離す。②ステアリング・ロックECU~ボデー・アース及び+B電源間に線間短絡がないことを点検する。㋑ステアリング・ロックECU側のコネクタ端子5(LIN)~ボデー・アース及び+B電源基準:導通なし

OKの場合は, 5へ進む。NGの場合は,ステアリング・ロック・アクチュエータを交換する。5.キー・フリーECU信号点検

①車両電源を“ALL・OFF”後,プッシュ・スタート・スイッチを1回押す。②IGE電源及びIG2電源の電圧を測定する。㋑ステアリング・ロックECU車両ハーネス側コネクタ3(IGE)~ボデー・アース基準:12V

㋺ステアリング・ロックECU車両ハーネス側コネクタ6(IG2)~ボデー・アース基準:0V付近

OKの場合は,ステアリング・ロック・アクチュエータを交換する。

Page 33: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -33

ダイハツ

NGの場合は,キー・フリーECUを交換する。⑶ エンジン・スイッチ信号系統異常(図-22)

図-22 エンジン・スイッチ信号系統

イ 症 状

・走行中の緊急停止が作動しない。・ダイアグノーシス・コードB2278/31を出力。

ダイアグノーシス・コード 診断項目 診断内容

B2278/31 エンジン・スイッチ信号異常

1. キー・フリーECU~プッシュ・スタート・スイッチ間の通信異常の場合。

2. キー・フリーECUに異常がある場合。3. プッシュ・スタート・スイッチに異常がある場合。

ロ 原因説明

プッシュ・スタート・スイッチから実線入力している信号(SS1,SS2)に断線,短絡などの異常によりダイアグノーシス・コードを記憶する。ハ 点検方法

参考  再現手法は,車両電源を“ALL・OFF”から“ACC”,“IG・ON”へ遷移させる。

1.キー・フリーECU~プッシュ・スタート・スイッチ間ハーネス導通点検

①車両電源を“ALL・OFF”後,バッテリのマイナス端子を取り外し,キー・フリーECU及びプッシュ・スタート・スイッチのコネクタを切り離す。②キー・フリーECU~プッシュ・スタート・スイッチ間に線間断線がないことを点検する。㋑キー・フリーECU車両ハーネス側コネクタ端子B4(SSW1)~プッシュ・スタート・スイッチ車両ハーネ

Page 34: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -34

ダイハツ

ス側コネクタ7(SS1)㋺キー・フリーECU車両ハーネス側コネクタ端子B2(SSW2)~プッシュ・スタート・スイッチ車両ハーネス側コネクタ2(SS2)

基準:導通あり

③プッシュ・スタート・スイッチ車両ハーネス側コネクタ端子5(GND)~ボデー・アース間に断線がないことを点検する。基準:導通あり

OKの場合は, 2へ進む。NGの場合は,キー・フリーECU~プッシュ・スタート・スイッチ間のハーネス及びコネクタの修理又は交換する。2.プッシュ・スタート・スイッチ信号点検

①車両電源“ALL・OFF”状態でプッシュ・スタート・スイッチを押し下げ,プッシュ・スタート・スイッチ側コネクタ2(SS2),7(SS1)からの出力信号を確認する。基準:出力信号あり

OKの場合は,キー・フリーECUを交換する。NGの場合は,プッシュ・スタート・スイッチを交換する。

Page 35: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -35

ダイハツ

参 考

1) システム配線図

⑴ キー・フリー・システム

Page 36: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -36

ダイハツ

⑵ プッシュ・ボタン・スタート・システム

Page 37: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -37

ダイハツ

2) コンピュータ・コネクタ端子配列図

⑴ ボデー統合ECU端子配列図

〈ボデー統合ECU端子名称〉

端子番号 端子記号 端子名称

A1BDR ドア・モータ用リレー駆動IGSW IGスイッチ

B1 - -B2 - -B3 ECUB ECU電源B4 - -C1 - -C2 - -C3 - -C4 - -C5 - -C6 - -C7 - ホーンC8 - -C9 - -C10 - -C11 - -C12 - -C13 - -C14 - -C15 - -C16 - -C17 - -C18 - -

端子番号 端子記号 端子名称C19 - -C20 - -C21 - -C22 - -C23 - -C24 - -C25 - -C26 - -C27 - -C28 - -C29 - -C30 - -C31 - -C32 - -C33 BUZ アンサ・バック・ブザーC34 - -C35 - -C36 - -E1 LKM ドア・ロック駆動E2 - -E3 - -E4 - -E5 DCTY D席ドア・カーテシ・スイッチE6 - -

Page 38: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -38

ダイハツ

端子番号 端子記号 端子名称E7 ACTY カーテシ・スイッチ(D席ドア以外)E8 RTL ターン・ランプRHE9 - -E10 - -E11 ULM ドア・アンロック駆動E12 - -E13 - -E14 - -E15 - -E16 LTL ターン・ランプLHE17 - -E18 - -F1 - -F2 - -F3 - -F4 - -F5 - -F6 - -F7 - -F8 - -F9 - -F10 - -F11 - -F12 - -F13 - -F14 - -F15 - -H11 - ルーム・ランプ電源H12 - -H13 - -H14 - ACC電源H15 - -H16 - -H17 - -H18 HZDS ハザード・スイッチH19 - -H110 - -H111 - IG電源H112 - -H113 - -H114 - -H115 - -H116 - -H117 - -H118 - -H21 - -H22 - -H23 - -

端子番号 端子記号 端子名称H24 - -H25 - -H26 - -H27 - -H28 LTSW 左ターン・スイッチH29 - -H210 RTSW 右ターン・スイッチH211 - -H212 - -H213 - -H214 - -H215 - -H216 - -H217 - -H218 - -H219 HORN ホーン・スイッチH220 - -I1 - IG1リレー電源I2 - AM2I3 - -I4 - IG2リレー電源I5 - ACCリレー電源I6 - -I7 - -I8 - -I9 - -I10 - -I11 - -I12 - -I13 MPX2 LIN通信(キー・フリー)I14 KL キー・レス通信I15 - -I16 - -I17 - -I18 - -I19 - -I20 - -I21 - -I22 - -I23 - -I24 LKS ドア・ロック・スイッチI25 UKS ドア・アンロック・スイッチI26 - -I27 - -I28 - -I29 - -I30 - -I31 - -

Page 39: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -39

ダイハツ

端子番号 端子記号 端子名称I32 - -I33 - -I34 - -I35 - -I36 - -I37 CRL ドーム・ランプ出力I38 SIO 故障診断通信I39 RTL ターン・ランプRHI40 LTL ターン・ランプLHJ1 GND ボデー統合ECU・GNDJ2 - -

端子番号 端子記号 端子名称J3 - -J4 ULM ドア・アンロック駆動J5 LKM ドア・ロック駆動J6 - -J7 - -J8 - -J9 - -J10 ULM ドア・アンロック駆動J11 LKM ドア・ロック駆動J12 - -

⑵ キー・フリーECU端子配列図

〈コネクタA〉

端子番号 端子記号 端子名称1 - -2 ANR+ 後席車室内アンテナ(+)3 ANF+ 前席車室内アンテナ(+)4 AB1+ バック・ドア車室外アンテナ(+)5 ANP+ 助手席車室外アンテナ(+)6 AND+ 運転席車室外アンテナ(+)7 RQP 助手席リクエスト・スイッチ8 SPD 車速9 RQD 運転席リクエスト・スイッチ10 - -11 INDW インジケータ出力(橙)12 SQI インジケータ出力

端子番号 端子記号 端子名称13 - -14 ANR- 後席車室内アンテナ(-)15 ANF- 前席車室内アンテナ(-)16 AB1- バック・ドア車室外アンテナ(-)17 ANP- 助手席車室外アンテナ(-)18 AND- 運転席車室外アンテナ(-)19 P パーキング位置スイッチ20 NSSP シフト・ポジション・スイッチ21 NSSN シフト・ポジションN22 - -23 SWIL エンジン・スイッチ照明24 INDS インジケータ出力(緑)

〈コネクタB〉

端子番号 端子記号 端子名称1 GND1 アース2 SSW2 エンジン・スイッチ23 - -4 SSW1 エンジン・スイッチ15 - -6 LIN2 LIN通信(ボデー統合ECU)7 LIN1 LIN通信(メータECU)8 SLIN LIN通信(ステアリング・ロックECU)9 - -10 COL- イモビ・アンテナ出力(-)11 COL+ イモビ・アンテナ出力(+)12 - -13 IG2D IG2リレー駆動

端子番号 端子記号 端子名称14 - -15 ACCD ACCリレー駆動16 IG1D IG1リレー駆動17 GND2 アース18 RQB バック・ドア・リクエスト・スイッチ19 ANS キー・レス出力20 IGE ステアリング・ロック・モータ電源21 - -22 SIO1 故障診断通信23 SIO2 イモビライザ通信24 - -25 STSW スタータ・リレー駆動26 TACH エンジン回転速度

Page 40: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -40

ダイハツ

端子番号 端子記号 端子名称27 STP ストップ・ランプ・スイッチ28 ACC ACC電源29 IG1 IG電源

端子番号 端子記号 端子名称30 IG2 IG2電源31 - -32 AM2 +B電源

⑶ ステアリング・ロック・アクチュエータ(ステアリング・ロックECU)コネクタ端子配列図

〈ステアリング・ロック・アクチュエータ(ステアリング・ロックECU)端子名称〉

端子番号 端子記号 端子名称1 GND アース2 SGND アース3 IGE ステアリング・ロック電源制御信号4 - -5 LIN LIN通信6 IG2 IG2信号7 +B ステアリング・ロック電源

〈プッシュ・スタート・スイッチ・コネクタ端子配列図〉

〈プッシュ・スタート・スイッチ端子名称〉

端子番号 端子記号 端子名称1 - -2 SS2 エンジン・スイッチ23 - -4 COM アース5 GND アース6 - -7 SS1 エンジン・スイッチ18 COL- イモビ・アンテナ(-)9 COL+ イモビ・アンテナ(+)10 - -11 SWIL エンジン・スイッチ照明12 INDS インジケータ入力(緑)13 INDW インジケータ入力(橙)14 - -

Page 41: ダイハツ工業株式会社 キー・フリー・システムの構 …kiroku.bufsiz.jp/gijyu/H27/jit/H27J-daihatsu.pdf- 1 - ダイハツ工業株式会社 通 称 名 車両型式

-  -41

ダイハツ

3) ECU入出力信号基準値

キー・フリーECU入出力信号基準値

点検系統 端子番号(端子名称) 入出力 項目 測定条件 基準値

プッシュ・スタート・スイッチ

B4(SSW1)-B1(GND)B2(SSW2)-B1(GND) 入力 電圧

プッシュ・スタート・スイッチ“ON” 1.0V以下

プッシュ・スタート・スイッチ“ON” 1.0V以下

ステアリング・ロック・アクチュエータ B20(IGE)-B1(GND) 入力 電圧

ステアリング・ロック・アクチュエータ“駆動” 8~14V

ステアリング・ロック・アクチュエータ“停止” 1V以下

IG電源

B28(ACC)-B1(GND)B30(IG2)-B1(GND)B32(AM2)-B1(GND)B29(IG1)-B1(GND)

電源 電圧 車両電源“IG・ON” 10~14V

アース B1(GND)-ボデー・アース GND 導通 常時 導通あり