33
キュウリ メロン スイカ 小玉 スイカ カボチャ ズッキーニ トマト ミニ トマト ナス ベイナス シシトウ ピーマン パプリカ オクラ イチゴ スイート コーン エダマメ サヤエン ドウ サヤイン ゲン ソラマメ キャベツ ハクサイ ブロッコ リー カリフラ ワー レタス リーフレ タス ホウレン ソウ シュンギ チンゲン サイ コマツナ ナバナ類 ミズナ アスパラ ガス ネギ タマネギ ニラ ニンニク モロヘイヤ 食用ギク ミョウガ セリ 切ミツバ ダイコン カブ ニンジン ゴボウ ジャガイモ サツマイモ サトイモ ナガイモ ツクネイモ 山ウド クサソテツ (コゴミ) モミジガサ (シドケ) ミヤマイラクサ (アイコ) イヌドウナ (ホンナ) フキ ジュンサイ タラノメ ギョウジャ ニンニク 67 メロン メロン ウリ科 地這い栽培(ハウス早熟・露地2重トンネル・露地1重トンネル) 栽培型 ハウス早熟 2重トンネル 1重トンネル 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 目標収量 2,500 (kg/10a) 播種  ◎定植   * 開花  収穫 * * * * 栽培暦 作型の特徴 県内で栽培されている主な作型はハウス早熟栽 培、露地2重トンネル栽培、露地1重トンネル栽培 がある。いずれの作型も1株2本仕立て4果どりが 基本である。 ハウス早熟 播種は3月上旬、定植は4月上旬、開花は5月上 旬、収穫は7月上~中旬となる。定植期から開花期 にかけて、低温期であり地温の確保が重要である。 メロンの生育には最低15℃以上の地温が必要なの でハウス内でのマルチ、トンネル等の保温資材の 使用が不可欠である。 露地2重トンネル 播種は3月中旬~下旬、定植は4月中旬~下旬、 開花は5月下旬~6月上旬、収穫は7月中旬~下旬 となる。定植時に遅霜のおそれがあるため、トン ネル内に不織布で小トンネルを設置する。最近は PO系、ビニールの保温力の高いフィルムを用い、 小トンネルはつくらない。この作型では、果実肥 大期に低温に遭遇する場合があり、小玉果やネッ トを大割れさせない温度管理が栽培上重要となる。 露地1重トンネル 播種は4月上旬、定植は霜のおそれがなくなる5 月上旬、開花は6月上中旬、収穫は8月上~中旬で 旧盆出荷となる。この作型では小玉の心配はなく なるが、果実肥大期が梅雨のため、病害の発生が 多く、また、収穫期が盛夏であるために、つるば てしやすく、いかに収穫期まで健全な植物体と草 勢を維持し、糖度ののった果実に仕上げるかが栽 培上の要点となる。 品種と特性 ○緑肉ネット系 秋田美人 果皮は灰緑色。ネットはきわめて安定している。 果肉は黄緑色で厚く、緻密で青臭みなし。果形は 正~やや高球形。果重は1.2~1.5kg、糖度15~16 度、成熟日数は53~58日。つる割病に抵抗性。 FRアムス 果皮は緑色で縦縞があり縞以外の部分にはネッ トがでる。果肉は厚く緑色で、胎座部は淡橙黄色。 果形はやや腰高。果重は1.2~1.5kg、糖度14~ 15度、成熟日数は50~55日。つる割病、うどん こ病に抵抗性。 タカミ 果皮は濃緑色でやや密にネットが出る。果肉は 緑色で厚く、締まりよく、発酵しない。果形はや や腰高。果重は1.2kg~1.5kg糖度は15~16度。 成熟日数は50~60日。つる割病、うどんこ病抵抗 性。つる枯病にも強い。 ○赤肉ネット系 サンデーレッド 果皮は灰緑色~灰黄緑色。果肉は厚く、色はサー モンピンク、肉質は極めて良く食味良好。果形は 豊円形。果重は1.2~1.5kg、糖度15度以上、成熟 日数は45~50日。つる割れ病に抵抗性。8月の条 件下では生育の後半草勢が持たないおそれがある ので遅くても7月下旬までに収穫する作型を組む。 レノン 果肉色は特別に濃くなく、低温期でも安定して

メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

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Page 1: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

67メロン

メロンウリ科

地這い栽培(ハウス早熟・露地2重トンネル・露地1重トンネル)

栽培型 上

ハウス早熟

2重トンネル

1重トンネル

中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月

下 目標収量

2,500 (kg/10a)

●播種  ◎定植  *開花  ■収穫

● ◎ * ■

● ◎ * ■

● ◎ * ■

● ◎ * ■

栽培暦

作型の特徴県内で栽培されている主な作型はハウス早熟栽

培、露地2重トンネル栽培、露地1重トンネル栽培

がある。いずれの作型も1株2本仕立て4果どりが

基本である。

ハウス早熟

播種は3月上旬、定植は4月上旬、開花は5月上

旬、収穫は7月上~中旬となる。定植期から開花期

にかけて、低温期であり地温の確保が重要である。

メロンの生育には最低15℃以上の地温が必要なの

でハウス内でのマルチ、トンネル等の保温資材の

使用が不可欠である。

露地2重トンネル

播種は3月中旬~下旬、定植は4月中旬~下旬、

開花は5月下旬~6月上旬、収穫は7月中旬~下旬

となる。定植時に遅霜のおそれがあるため、トン

ネル内に不織布で小トンネルを設置する。最近は

PO系、ビニールの保温力の高いフィルムを用い、

小トンネルはつくらない。この作型では、果実肥

大期に低温に遭遇する場合があり、小玉果やネッ

トを大割れさせない温度管理が栽培上重要となる。

露地1重トンネル

播種は4月上旬、定植は霜のおそれがなくなる5

月上旬、開花は6月上中旬、収穫は8月上~中旬で

旧盆出荷となる。この作型では小玉の心配はなく

なるが、果実肥大期が梅雨のため、病害の発生が

多く、また、収穫期が盛夏であるために、つるば

てしやすく、いかに収穫期まで健全な植物体と草

勢を維持し、糖度ののった果実に仕上げるかが栽

培上の要点となる。

品種と特性○緑肉ネット系

秋田美人

果皮は灰緑色。ネットはきわめて安定している。

果肉は黄緑色で厚く、緻密で青臭みなし。果形は

正~やや高球形。果重は1.2~1.5kg、糖度15~16

度、成熟日数は53~58日。つる割病に抵抗性。

FRアムス

果皮は緑色で縦縞があり縞以外の部分にはネッ

トがでる。果肉は厚く緑色で、胎座部は淡橙黄色。

果形はやや腰高。果重は1.2~1.5kg、糖度14~

15度、成熟日数は50~55日。つる割病、うどん

こ病に抵抗性。

タカミ

果皮は濃緑色でやや密にネットが出る。果肉は

緑色で厚く、締まりよく、発酵しない。果形はや

や腰高。果重は1.2kg~1.5kg糖度は15~16度。

成熟日数は50~60日。つる割病、うどんこ病抵抗

性。つる枯病にも強い。

○赤肉ネット系

サンデーレッド

果皮は灰緑色~灰黄緑色。果肉は厚く、色はサー

モンピンク、肉質は極めて良く食味良好。果形は

豊円形。果重は1.2~1.5kg、糖度15度以上、成熟

日数は45~50日。つる割れ病に抵抗性。8月の条

件下では生育の後半草勢が持たないおそれがある

ので遅くても7月下旬までに収穫する作型を組む。

レノン

果肉色は特別に濃くなく、低温期でも安定して

Page 2: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

68 メロン

着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ

いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く

安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

のよいネットが安定して発生。成熟日数は57~60

日。つる割病、うどんこ病に耐病性。

○ノーネット系

サンキュー

果皮は淡緑色でノーネット。果肉は緑色で厚い。

果重は1.0~1.3kg、糖度は15~16度、成熟日数は

40~45日。特定の病害に対する抵抗性は持たない。

カナリアン

果皮は鮮黄色でノーネット。果肉は乳白色で香

りがある。果重は1~1.3kg。糖度は15度以内でマ

クワ系のさっぱりした食味。成熟日数は45日前後。

日持ち性は極めて良い。

栽培方法

□育苗育苗場所

ハウス内にトンネルを作り、温床線等の加温施

設を利用して行う。坪当たりの電熱量は播種床

250W、仮植床200Wとする。

必要床面積

10a当たりの必要面積は、播種床1㎡、仮植床

14㎡(12cmポット620鉢分)である。

床土の準備

播種については必ず無菌の培土を利用する。播

種床については市販の培土を利用する場合が多い。

必要床土量は0.56 (12cmポットは1鉢約830ml)。

床土の堆積は有機物の分解には高温時が最適であ

るため、前年の7~8月に準備にとりかかる。土を

15~20cm積んでから苦土石灰をまき、その上に

堆肥を敷いてから肥料をまく。この方法を4~5回

繰り返して堆積する。肥料の流亡を防ぎ、適温を

保ち、堆肥や肥料の分解を早めるためビニール等

で雨よけする。堆肥の腐熟化の促進及び土と堆肥

の混和をよくするため1~2か月おきに切り返しを

おこなう。

播種

播種時期

育苗日数は35日前後とし、定植予定日より逆算

して播種する。

播種量

10a当たりの播種量は600~700粒必要である。

播種方法

培土を詰めた播種箱と仮植用培土を詰めた10.5

~12cmポリポットを並べ、充分灌水し、播種まで

に地温を30℃以上まで上げてから播種する。

播種は無菌の培土を深さ3~5cm位入れた播種箱

に行う。播種後は新聞紙等をかぶせ、土壌水分を

維持させる。播種3日程度で発芽するので、すぐ新

聞紙を取り除く。発芽後は太陽光に充分当てるよ

うにする。

仮植

播種後約1週間、子葉展開時にポリポットに仮植

する。その際、播種床より仮植床のほうが1~2℃

地温が高いことを確認してから作業に入る。

灌水・ずらし

仮植後は軟弱徒長しないように水分を控えめに

管理し、生育に応じて鉢の間隔を広げ十分に光が

当たるようにする。

順化

仮植以降の温度管理はトンネルを空ける時間を

徐々に長くし、定植にかけて低くしていく。定植

直前には15℃位とし、低温に慣らす。

摘心

本葉3枚展開時に本葉2枚で止めるのが一般的。

これにより揃った子づる2本を早く伸長させること

ができる。

・無病原土 :0.5 ・ようりん :

床土1 当りの必要資材

育苗時の温度管理の目安

28~30℃

28~30℃

23~24℃

23~24℃

25~28℃

24~25℃

23~26℃

18~20℃

18~20℃

15~16℃

25~28℃

15~18℃

26~28℃

19~20℃

23~25℃

13~15℃

18~20℃

10~13℃

発芽まで

発芽後

仮植時

活着後

定植7日前

苗  齢 地 温 気 温

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キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

69メロン

□本畑準備本畑は排水が良いことが最も重要となる。粘土

質の水田転換畑は水分管理が難しいため、高畝に

して水分を抑えて根張りを良くすることが重要。

土壌改良

メロンは好石灰作物なので、苦土石灰等を多用

する。堆肥は必ず完熟した良質なものを使用する。

土壌改良資材と堆肥等の有機物を全面施用し、

30cm以上の耕起を行い土を膨軟にするとともに、

排水対策を十分に図る。

土壌改良資材は土壌条件によって施用量を加減する。

施肥

着果と果実品質をよくするため、土壌の肥沃の

程度を十分に考慮して基肥量を決める。多すぎる

と、つるぼけを招き、着果不良となるので注意する。

基肥は窒素成分で10kg/10a程を全量施肥し、砂

地以外は原則、追肥はしない。秋田美人は1割増、

タカミは2割減で施肥する。

一般的な栽培において定植から収穫まで100日

前後と短期で、肥料の吸収も生育前半の茎葉伸長

期から果実肥大期に多い。そのため、速効性の肥

料をある程度含んだ肥料が望ましい。

基肥の施肥は2週間前までに終了する。

【施肥例】

耕起・畝立て

畝立て、マルチ作業は土壌水分が十分にある状

態で行う。また、早めにマルチをして地温を高め

ておく。マルチは地温を上げる効果の高い

0.03mmの透明ポリフィルムを使用する。

畝幅は240~280cmとし、畝の高さは20cm前

後とするが排水不良地ではさらに高畝とする。

トンネル栽培であってもかん水チューブを設置する。

トンネルは風に強くさけにくい0.05mmのPO系

フィルムを使用する。早い作型の二重トンネルで

は保温力の高いフィルムを使用する。

□定植定植は、地中12cmのところで最低地温18℃を

確保したら、晴天が続きそうな晴れた日の日中に

行う。定植後3日程晴天が続けば活着はスムーズに

なる。定植から活着までの地温の確保が前半のポ

イントとなる。定植以降の地温が低いと活着が遅

れ、ひどい場合は根が褐変し、生育が止まること

がある。曇雨天が続いた場合は天候が回復するま

で定植を遅らせた方が結果は良くなる。

育苗鉢より定植床の地温を高くし、摘心後の新

芽が伸び始めた頃に定植する。

定植前に苗鉢に十分かん水し植穴にアブラムシ

類防除のための粒剤を施してよく混和する。

植付けは鉢の上部1/4がベッド上に出る程度の浅

植で、胚軸には床土が付着しないようにし、マル

チの切り口は土でしっかりと押さえる。

□定植後の栽培管理温度管理

定植7日後までは、トンネルの換気をできるだけ

控え、高温、多湿条件で活着を優先させる。その

後は、充分に太陽光線に当てて、地上部の生育と

根の伸長を促す。

霜よけと初期生育の促進を図る目的で、不織布

などで小トンネルした場合は、霜の心配がなくな

り、気温が上がってきたら、速やかに取り除く。

除去は雲りで暖かい日が望ましい。

換気はつる先側のすそを開けて行う。つる伸長

期の高温管理は、軟弱徒長となり、茎葉が薄く柔

トンネルとマルチの例

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ 備考

基 肥

追 肥 (砂地のみ)

10

3

16

3

5

3 1.5kg× 2回

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

有機配合肥料

液肥(砂地のみ)

2,000

200

40

120

3

(8-12-6)

(15-15-15)

Page 4: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

70 メロン

らかくなるため、生育適温になってきたらトンネ

ルの両すそを開けて充分に換気を図り、がっしり

とした草姿を作るようにしする。

開花期、肥大期には夜温をやや高めに管理し、

良い雌花の発生と果実の肥大を促す。

灌水

灌水チューブでの灌水が必要となる。定植から

交配までは灌水を控え根を深く張らせじっくり育

てる。

追肥

原則として砂地以外は行わないが、樹勢の低下

など生育が劣る場合は追肥する。砂地では灌水時

に液肥で着果確認後と着果後15日頃に2~3回追肥

を行う。1回当たりの施肥量は1~1.5kg/10a。

整枝

地這い栽培では原則として、子づる2本仕立て4

果どりが基本となる。しかし、品質の良い揃った大

玉の果実にするために3果どりとする場合もある。

定植前、本葉3枚頃に摘心し、子づるを2本残し

主枝とする。子づるの10~13節から伸長した孫づ

るの第1節に着果させるため、着果節位までの孫づ

るは早めに取り除き、着果節位以降の孫づるも1葉

を残して摘心する。子づるは開花日までに25節で

摘心し、草勢保持のために先端2~3本の孫づるは

放任とする。着果節位の孫づるは、果梗を付けて

出荷する必要のないものは1葉のみで取り除いても

かまわないが、収穫期の日焼け防止のために残す

場合が多い。

トンネル栽培の場合、果実はトンネル内の雨よ

け下に置き、つるもできるだけ雨よけ下に置く。

摘心、摘葉、整枝作業は必ず晴天日に行い、夕

方には傷口が乾くようにする。

交配

ミツバチによる交配が基本である。

開花の5~7日前にミツバチの巣箱をトンネルま

たはハウスに入れ、環境に慣れさせる。

巣箱はハウスの涼しい所または北側に設置しす

る。気温が18℃以上あればミツバチ交配ができる。

14℃以下ではほとんど活動せず、30℃以上では訪

花が減少する。

午前8~10時に訪花が多く、ハウスの場合は

100㎡当たり常時6~10匹程度訪花していれば十

分である。

紫外線カットフィルムや開花直前の薬剤散布は

ミツバチが訪花しないので注意する。

人工交配は、雄花の花びらをむいて両性花の先

になすりつけるようにして行うか、軟らかい毛筆

で雌花の中をなでるように行なう。3回に1回程

度、雄花から花粉を補給する。花粉は水がつくと

死滅するので葉露がつかないように注意する。

ノーネット系については交配は行わず、ホルモ

ン処理によって着果させるのが一般的である。ノ

ーネット系はホルモン着果による果実品質低下が

ほとんどなく、逆に種子の充実にかかる植物体へ

の負担が少ないため、糖度が上がりやすく、収穫

期の萎れが少ない。

□交配後の管理灌水

着果後5~10日頃は果実が急に肥大するので灌

水を開始する。株元が濡れない程度の少量多灌水

を原則とする。

しかし、アムスメロンの場合は開花から着果直

後に灌水すると落花しやすいので注意する。

整枝と仕立て法(地這い栽培)

定植後の温度管理の目安

つる伸長期

開花、着果期

肥大期

生育後期

28~30℃

28~30℃

30℃

30℃

生育ステージ 昼 間

12℃

15℃以上

16~18℃

12℃

夜 間

Page 5: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

71メロン

着果後15~20日頃はネット発生の1週間の時期

なので水分を控え、乾かしぎみに管理する。

着果後20~30日経過しネットが見え始めたら、

果実の肥大を促進するために灌水し、ハウス内湿

度を高め、ネットの発生と盛り上がりを促す。

着果後30日以降は少しずつ水分を減らし、葉が

しおれない程度に水切りを行いながら糖度の上昇

を図る。

摘果

交配後6~8日頃の鶏卵大の時に形の整ったやや

腰高の果実を10~13節の間に1つる当たり2果を

残して摘果する。1株当たり4果を収穫目標とする。

付着している花弁は灰色かび病の防除のため早め

に除去する。摘果遅れ、低節位の着果や着果数が

多いと、小玉化、ネット不良、低糖度等の品質低

下を招く。

玉なおし

着果後15~20日頃果実がひび割れする前にネッ

トの発生が均一になるようにマットを敷く(玉な

おし)。なお、果実下部からの腐敗防止のために収

穫期まで横置きする場合も多いが、収穫するまで

に1回は玉ずらしをして、品質の向上に努める。

□収穫・調整収穫適期、品質保持対策等

収穫適期は交配後の日数、外観の変化、試食等

で判定するが、必ず数個試食を行い糖度及び成熟

度を確認する。糖度は最低14度が必要で、種子部

と皮層部の糖度差が3度以内であれば完熟果。

外観による果実の成熟判断の目安

①結果枝の葉が苦土欠乏により徐々に枯れ始める

②果皮の色が変化する

③ヘタの周囲に離層が入り始める

収穫方法

収穫は果実温度が低いうちに行なう。日中収穫

した果実は涼しい所で果実の温度を下げてから箱

詰する。

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72 メロン

メロンウリ科

ハウス栽培(秋田甘えんぼ)

栽培型 上

半促成栽培 秋田甘えんぼ春系

秋田甘えんぼレッド春系

抑制栽培 秋田甘えんぼ

秋田甘えんぼレッド

中 下

2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 目標収量

250 (kg/a)

230 (kg/a)

●3/1

●3/11

●3/21

●4/1

●4/11

●4/21

●5/1

●5/11

●5/21

●6/1

●6/11

●6/21

●7/1

●7/6

◎4/5

◎4/13

◎4/22

◎5/1

◎5/9

◎5/18

◎5/26

◎6/4

◎6/13

◎6/24

◎7/3

◎7/11

◎7/20

◎7/25

*5/11

*5/18

*5/25

*6/2

*6/9

*6/22

*6/29

*7/7

*7/14

*7/22

*7/28

*8/4

*8/13

*8/19

■7/12

■7/18

■7/24

■7/31

■8/6

■8/19

■8/24

■8/30

■9/6

■9/13

■9/18

■9/26

■10/8

■10/16

上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下

●播種  ◎定植  *開花  ■収穫

栽培暦

作型の特徴本県の気象条件を活かした主な作型は、8~10

月に出荷する抑制メロンである。この時期は、千

葉、熊本等の暖地では気温が高すぎて(夜温が高

く糖度がのらない)良品の栽培が困難であるため、

夏季冷涼な東北地方で特に、有利な作型と言える。

品種と特性秋田甘えんぼ(秋田農試育成)

①良食味。②ネットの盛り上がりが良好で、果実

外観が良い。③果形は球形に近い。④日持性に優

れる。⑤草丈が低く、草姿がコンパクトで着果が

安定している。⑥つる割れ病抵抗性、うどんこ病

に強い。⑦成熟日数50~58日前後である。

「秋田甘えんぼ」シリーズ(秋田農試育成)

秋田甘えんぼの赤肉タイプとして「秋田甘えんぼレ

ッド」、春系のアールス系メロン「秋田甘えんぼ春系」・

赤肉タイプ「秋田甘えんぼレッド春系」種がある。

栽培方法□育苗種子の準備

30坪当たり240粒程度必要。

播種時期

播種時期は、収穫予定日から換算する。

育苗場所

ハウスなどの雨よけと密閉できる施設内で育苗

する。アブラムシの飛来を防ぐため、ハウス側面

と出入り口には防虫ネットを必ず張る。地温が

25℃以上確保できるようにハウス内にトンネルを

作り、温床線等を設置する。坪当たりの電熱量は、

播種床250W、仮植床200Wとする。

床土の準備:床土は必ず消毒済みの無菌土を用い、

排水が良く水持ちの良い土とする。原則、市販の

園芸培土を使用する。

播種

播種箱に新聞紙を敷き、培土を3~5cm程度入れ

灌水後、水分をなじませるとともに空気が入るよ

うに土を混ぜ均平にならす。深さ1cm程度の溝を

7cm間隔に作り、1cm程度の間隔で播種する。

播種後、溝を埋める程度に覆土する。覆土後、

根が持ち上がらないように軽く鎮圧する。十分灌

水し、新聞紙等で覆い、地温は始め30℃に保ち、

播種から48時間後に新聞紙を取り除き、27℃まで

地温を下げ徒長を防ぐ。発芽後は、遮光せず、充

実した苗を作るように心がける。発芽後は、地温

を25℃に保ち徒長を防ぐ。

仮植

予め培土に灌水し、春系種は、地温26~28℃に

温めておいたポリポット(春系種:10.5cm、夏系

Page 7: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

73メロン

種:7.5cm)に仮植する。播種時期にもよるが、

播種後(春系種:6~9日、夏系種:4日)、子葉展

開始期に仮植を行う。子葉を持ち、できるだけ根

を切らないように播種床から掘り取る。倒れない

程度に浅植えし、鉢上げ後、灌水する。

仮植後から定植前の管理

灌水は、午前中に行い、茎葉が混んできたら、定

植まで数回ズラシを行い徒長を防ぐ。定植2~3日

前から地温、気温とも2~3℃下げて順化する。

□本畑準備定植前に土壌pH・ECを測定し、土壌改良資材

の投入量施肥量を決定する。

目標pH6.5とする。EC値は、0.3ms/cm以下で

あれば通常の施肥とする。0.3ms/cm以上であれ

ば、減肥をする。

土壌改良

本畑は、排水が良いことが最も重要となる。粘

土質の水田転換畑は、水分管理が難しいため、高

畝にして水分を抑えて根張りを良くすることが重

要である。

施肥

メロンは一般的な栽培において定植から収穫ま

で100日前後と短期で、交配直前からネット発現完

了期までの間に集中的に養分吸収を行う。そのため、

速効性の肥料をある程度含んだ肥料が望ましい。

【施肥例】

畝立て

畝立て前に排水対策により、ハウス内への浸透

水を防ぐ。

夏系種は、必ずアブラムシ防除のためハウスサイ

ドに防虫網を設置する。

施肥後、十分に灌水し、湿らせる。灌水量は、

30~40mm。目安としては、20~30cmの深さま

で浸透し、管理機が入る限界ぐらいとなります。

適度に土壌水分を保った状態で畝立てします。

畝立て後植え穴からなるべく離して畝の上に灌水

チューブを設置し、直ちにマルチを被覆します。

春系種は、定植予定の1週間前に地温上昇効果のあ

る透明マルチを設置する。

春系は、定植までの1週間は、ハウスを閉めて畝

内の地温を確保する。

【畝立て例】

畝 幅(120cm)

ベット(上底50cm・下底80cm・高さ30cm)

通 路(40cm)

□定植定植適期

春系種は、播種35日前後(夏系種:20日前後)、

本葉3.5~4.0葉(夏系種:本葉2.5葉)朝、地下

20cmの地温が18℃に達しているのを確認してか

ら定植する。曇りや雨が続きそうな時より、朝晩

多少冷えても晴れが続く時に定植する。(夏系種:

定植は早朝又は、午後3時以降とし、日中の強い

日差しを避けて行う)

作業手順

植え穴は直前に開け、軽く灌水して湿らせ、ア

ブラムシ防除の薬剤を混和する。植え穴は深くし

ない。マルチ面より苗鉢の面を高くし、胚軸に土

を付けないように、根鉢の周囲に土を寄せる。浅

植で株もとは乾かす。

栽植様式

株間:30~35cm(春系種:早い時期は広め、5月

に入ってからは30cmとする)

□定植後の栽培管理定植後、活着まで4~6日かかるので、天気がい

い場合は、灌水する。(春系種:予め別に用意して

育苗期の温度管理

昼間の温度

夜間の温度

地   温

24~25℃

17~18℃

昼夜20℃

成分量(単位:kg/a)

※通常追肥は行わない。 (黒ぼく土壌や砂質土壌は、3割程度多めとする。)

チッソ リンサン カリ

基 肥 1 2 1

施肥量(単位:kg/a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

ようりん

高度化成

 〃

200

20

4

5.8

8.5

(10-10-7)

(8-12-5)

使用マルチ

マルチの種類 品 種 目 的

春 系 透 明 地温を上昇

夏 系 シルバー、白黒ダブル 地温を抑制

畝 数

ハウス間口 畝 数

4.5m(2間半) 単条(3畝)

5.4m(3間) 単条(4畝)

6.3m(3間半) 単条(5畝)

Page 8: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

74 メロン

温めておく)

根が、根鉢の外に出て活着するまで手灌水を行う。

春系種は、遅霜の恐れがある5月上旬までは、ハ

ウス内を2重にしたり、ハウス内にトンネルをする

などの保温対策が必要である。温度を確保すると

共に、日差しのある時は、ハウス内及びトンネル

内の気温が高くなりすぎないように換気を行うな

どの細やかな温度管理が必要である。

温度管理

春系種は、定植後、最低気温10℃、最低地温

18℃を確保することで活着がスムーズに行われる。

灌水

ほ場条件、気候、生育状況により判断することが重要

整枝・誘引

1回目の整枝を行う。子葉と主枝以外の側枝と第

1本葉を除去する。

生長点を揃えて誘引する。誘引は、ひもか支柱

で行う。その後交配まで、春系種では誘引は3日に

1回程度を行い、整枝は6日に1回程度、夏系種で

は誘引は2日に1回程度行い、整枝は4日に1回程

度行って、わき芽と下葉2枚を除去する。

交配1週間前程度にミツバチを入れるが、その餌

となる雄花は残しておく。

①定植後の温度管理(春系種)

基 本 管 理 生育過程

生育前半は保温する。また、昼間の温度を 保持するため、ハウスを早めに閉める。

ハウス外の夜温15~17℃を目安にそれ 以上であればハウスを開ける。

定植後

交配後

収穫期

降雨時

ハウス内の換気に努める

湿度を抑え、換気により果実表面を乾かす。

ハウス内に雨が入らないよう閉める。

昼温

夜温

②定植後の温度管理(夏系種)

基 本 管 理 生育過程

気温は十分、低温に気を使う必要はない。 ハウスを開放し、湿度をなるべく下げる。

ハウス内換気、ネットのカビの発生を防ぐ。 湿度を抑え、換気により果実表面を乾かす。

交配期 まで

収穫期

交配後

降雨時

ハウス内の換気に努める

ハウス内に雨が入らないよう閉める。

基 本 管 理 生育過程

土壌が乾燥して、萎れたり、子蔓の伸びが 悪い場合は、2L/株程度灌水する。

灌水が果実の大きさに強く影響を与える。 土壌が乾燥している場合は、着果から硬 化期まで2回、3~4日に1回程度2L/株 灌水する。縦ネットの大割れに注意。

定植から 交配期まで

着果から 硬化期まで

硬化期から 横ネット 発生期まで

横ネット 発生期から 収穫20日前 まで

収穫20日前 以降

大割れしやすいので灌水は避ける。

原則的に灌水の必要はないが、萎れが 続くようであれば、1L/株程度灌水する。

果実の品質に影響を与えるので灌水は控 える。

春系種:定植8~14日後 夏系種:定植1週間後

春系種:6日に1回程度 夏系種:4日に1回程度

春系種:定植24~32日後(21~24節) 夏系種:定植21日後(21~24節)

1回目 整枝

整枝の目安 

その後 整枝

摘心時期 (位置)

春系種:定植10~18日後 夏系種:定植10~12日後

春系種:3日に1回程度 夏系種:2日に1回程度

1回目 誘引

誘引の目安 

その後 誘引

Page 9: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

75メロン

交配・着果

10a当たり必要なミツバチは、1群(1箱)とす

る。

ミツバチは入庫してから直ちに、ハウスに放飼

する。遅くとも、交配1週間前にはミツバチをハウ

ス内に入れる。

ミツバチは雨及び直射日光の当たらない場所に

置く。

収穫時期の判定のため、正確な開花日がわかる

ように印を付ける。

交配・着果の仕方

交配期に入る前日までに主枝(21~24節)を摘

心する。

果実は主枝(11~14節)の側枝に着花させる。

着果予定の側枝は葉を2枚残して開花前に摘心

する。側枝の伸びが悪い場合は、側枝の葉3枚残

して当日摘心する。

交配はミツバチで行う。収穫時期の判定のため、

開花した日がわかるようにしておく。交配後は、

わき芽と雄花と下葉1~2枚程度除去し、地際部の

風通しを良くする。

交配4日後位で受精した花は子房が肥大してく

る。6日後でウズラの卵大の時に2果にする。

付着している花弁は灰色かび病の予防のため早

めに除去する。

交配8日後位で鶏卵大の時に1果に摘果する。

やや縦長で花落ちが小さく、果梗部の短いもの

を選定する。

玉吊り・袋かけ

玉吊りするフックは、市販のフックを使うと作

業が効率的である。

袋かけは果皮の日焼けを防止し、農薬で果面が

汚れるのを防ぎ、果面の湿度を適度に保ち、果実

の肥大とネットの発生を助けるための非常に重要

な作業である。

玉吊り・袋かけの方法

摘果したら直ちに玉吊りする。T字に吊るより

やや上向きにすると良い。下がってきたら再度吊

り直す。

玉吊り後、果皮の日焼けを防止するため直ちに、

袋かけする。新聞紙は、折り目から半分まで切り

目を入れる。

新聞紙は、切り目を果梗まで入れ果実を覆い、

重なった部分をホチキスで止める。

□着果から収穫までの管理着果後の水分管理

収穫まで草勢を維持させ、萎れさせないことが

ポイントである。

着果後の整枝

交配後は各節の雄花と下葉1~2枚ほどを除去し

て地際の通風を良くし、病害の発生を極力抑える

よう管理する。

ネット形成と管理

交配後10~12日程度で硬化期に入る。硬化期の

良否がネット出現に大きく影響する。

交配後13~15日で尻にネットが入る。

交配後14~18日で縦に入る。縦ネット発生期の

高水分は大割れしやすいので、水管理に注意する。

縦に大きく裂けずに、縦を中心として浅い切れ

目がやや密に出てくるのが良い。

交配後20~25日で横ネットが入る。

交配後32~38日でネットのの発生が完了する。

その後糖度が急上昇するので灌水は萎れがない

場合は控える。

□収穫・調整収穫適期、品質保持対策等

収穫は交配後50~58日を目安とする。試し割り

を行い、糖度15度以上あれば収穫となる。

果実が汚れないように新聞紙をかけたまま収穫

し、枝は長めに切る。

収穫適期は短く、遅れると裂果や黄化する場合

がある。

収穫は果実温度が低いうちに行う。日中収穫し

た果実は涼しい場所で果実の温度を下げてから箱

詰めする。高温下での収穫や収穫後ハウス内など

の高温の場所に置くと急速に軟化する。

未熟果、果熟果、収穫日数をすぎたもの、荷造

りの悪いもの、汚れの目立つもの、色玉の目立つ

ものは検査より除外される。緑色の強いものは、

一級落ちとなる。

春系種(定植24~32日後) 交配時期

夏系種(定植21日前後)

着果節位 主 枝(11~14節)

Page 10: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

76 メロン

病害虫防除・生理障害対策メロン共通技術

□病害虫防除つる枯病 (キャンカー)

地際部から発生することが多く、茎葉が水浸状

となり、病気が進むと赤褐色のヤニが出て、発病

後期には小黒粒点を生じる。さらに病状がひどく

なると発生部位から上部のつるが枯れる。高温、

多湿、酸性土壌などの環境条件で発病しやすい。

定植時に地際部を深植せず乾燥気味にすること、

地際部を葉で覆わないで風通しを良くすることで

予防できる。

発病程度が軽いときは塗布剤を発病部位に塗る。

発生が激しく、株が枯死したら、残さを畑から除

去し処分する。

べと病

葉に発生し、葉脈に区切られた多角形の病斑を

つくる。気温が20℃内外で、湿度が高いとき発病

しやすい。梅雨頃から発病が多く、肥料切れや葉

の混んでいる場合に多い。

うどんこ病

主に葉に発生。はじめは、葉のあちこちに白い

小さな斑点が見られる程度であるが、病気が進む

と葉全体に広がる。生育後期に発病が多いので注

意する。

斑点細菌病

春、秋の比較的低温、多湿条件下で多発する。

茎、葉、果実に発生し、病斑部からはしばしば白

濁の汁液がしみ出す。

銅水和剤は最も効果が高いが茎葉を硬化する。

菌核病

茎、葉、果実に発生し、はじめに不正形な濃緑

色の病斑を形成し、軟化して白色のカビを生じ、

さらに進むと白色菌糸と黒色の菌核を生じる。多

肥、密植、多湿で気温が20℃位の時発生する。ハ

ウスでは夜の保温、日中の換気を図る。菌核の状

態で土壌中で越冬する。

疫病

夏期の雨により発生しやすい。葉、茎、果実に発

生する。初め湿潤性の灰緑色の病斑を生じ、次第に

拡大して暗褐色になる。湿度の高いときには病斑

のまわりの灰緑色部に白色霜状のカビを生ずる。

軟腐病

株全体ないし一部の茎葉が急に萎凋して枯死す

る。茎では初め暗緑色水浸状の病斑が生じ、やが

て軟化し、腐敗する。病斑部では強烈な悪臭を放

つ。茎における初期病徴がつる枯病の病徴に似る

が、つる枯病の茎部の病斑に見られるようなヤニ

状の粘着物の形成は認められない。つる割病と同

様導管部が褐変する。果実では水浸状に軟化し、

腐敗する。腐敗の進行に伴いしばしば泡が罹病部

位より流出する。潅水や降雨後などの湿潤状態の

時や排水不良ほ場や浸水しやすい低地ほ場で発生

しやすい。

つる割病

全生育期に発生するが、特に、果実肥大期に急

に発生する。甚だしい場合は全滅の被害にあうこ

ともある。下葉からの萎れと、黄化、茎の褐色状

斑とその部分への白~淡橙色のカビの発生などの

症状がみられ、いわゆる「つる割れ症状」はほと

んどでない。根は発病初期には1~2本が変色し、

その筋につながると思われる側の葉が萎れ、やが

て、萎凋し、枯れる。維管束部は褐変し、上位部

まで及ぶ。急激に発病すると、脱水・葉焼け症状

が萎凋と同時に起こり、4~5日で枯れあがること

もある。

紅色根腐病

地際部や主根、細根の一部が褐変あるいは赤変

する症状を示す。茎の地際部のずいがコルク化し

たり、空洞化する。症状の進んだ主根は表面にひ

び割れを生じる場合が多い。生育後期に、根の赤

変とともに地上部は萎凋する。本菌の生育適温は

28℃付近である。病原菌は栽培後に土壌中の被害

残渣とともに残存、伝染源になるものと考えられ

る。防除法は土壌くん蒸剤による防除効果が高い

という報告がある。

Page 11: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

77メロン

根腐萎凋病

罹病株の根は褐変し、細根は消失する病徴示し、

根あるいは地際茎部が褐変腐敗して、地際がくび

れる。萎凋症状が発生しはじめるのは、交配後15

~20日頃からである。晴天日で高温になると葉が

萎れるが、夕方から夜になると萎れが回復する。

始めは土壌水分の不足と間違えやすい。やがてこ

の萎れが回復しなくなり、枯死する。

ホモプシス根腐病

本県では未確認であるが、東北近県ではウリ科

野菜への被害が増えており、注意が必要である。

病徴は根が侵され、主根、支根が部分的に淡褐

色から褐色となり、灰色から黒色の入墨様症状と

なる。根の皮層細胞に疑似菌核を密生し、0.1mm

前後の微小黒点が集塊し、黒く見える。地上部で

は着果期以降日中株が萎れるようになる。発病株

は生育が遅れたり、激しく発病すると枯死する。

モザイク病

アブラムシが媒介する。生長点が萎縮し、次第

に株全体に広がり、黄化し枯死する。アブラムシ

を防除することで予防できる。被害株は抜き取り

処分する。

えそ斑点病

展開葉に1~2mmのえそ斑点が発現し、次第に

多数形成される。また展開後の葉には大型のくさ

び状に枯れ込むえそ病斑を形成する。果実肥大期

に株が一斉に枯れ出し、株元にコルク層ができる

ため、一見つる枯れ病と間違いやすいが、生長点

が一斉に萎縮することで区別できる。土壌伝染す

るので、発生したら被害植物の根がほ場に残らな

いように抜き取り処分する。土壌消毒を行なうと

ともに種子伝染もするので消毒済種子を使用する。

微生物資材を利用して、媒介するオルピディウム

菌を抑える方法も一部で利用されている。

アブラムシ類

葉裏に点々と寄生し、増殖する。寄生密度が高

まると葉は著しく縮れる。また、排出する汁液に

黒いカビが生じ、果実の商品性を損なう。他に間

接的にウイルスを媒介するので防除を徹底する。

ハダニ類

高温乾燥期に多く発生する。葉裏に寄生して、

寄生密度が高まると葉全体が黄変する。同一薬剤

を連用すると抵抗性がでやすいので、数種の薬剤

を交互に使用する。

アザミウマ類

増殖率が高く、茎葉や果実をかすり状に食害す

る。幼果が加害されると生長に伴って大きな傷跡

として残る。

オンシツコナジラミ

多発すると樹勢が低下するほか、排出する甘露

に黒いカビが生じ(すす病)、果実の商品性を著しく

損なってしまう。間接的にはウイルス病を媒介する。

ウリノメイガ

若齢幼虫は展開した下葉の裏側から葉肉のみを

食害して表層を残すが、中老齢幼虫になると葉を

つづり合わせたり、芽基部の中に潜り込んで食害

する。また、果実の表面を削り取るように食害し

たり、果実や茎の中に潜入することもある。

ハモグリバエ類

幼虫が葉にもぐって食害するため不規則な曲線

状の潜孔が現れる。潜孔の末端にハモグリバエ類

の蛹が観察される。発生量が少なければ実質的な

被害はないが、多発生に至れば、植物体が衰弱す

る。果実には寄生しない。

ネコブセンチュウ

根への寄生が多くなると株全体の生育が悪くな

る。日中の高温や乾燥で萎れ、葉が黄変して枯れ

上がりが早い。根元近くの根を掘ると細根がふく

れてコブができている。収穫期の根にはコブが多

数できており、根全体がコブ状となっている。セ

ンチュウの発生が少ないときや生育後半に寄生を

うけたときは、コブの数も少なく被害は少ない。

□生理障害裂果

成熟期に入って果皮の伸びが無くなった頃に降

雨などで果実内部が急に肥大したときや急激な温

度変化により果皮の硬化が早くなった場合などに

起こる。

果実肥大期の乾燥には灌水を多めに行って乾燥

を防止し、成熟期には灌水過多を避ける。また、

排水不良地は高畝とし排水対策をとる。

Page 12: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

78 メロン

発酵果

高温期、生育後半の草勢低下によるカルシウム

吸収不足により発生しやすい。過繁茂、着果数の

不足、チッソ過多なども原因となる。生育後半に

発生が多く、品種間差もある。草勢の維持と適正な

かん水を行い、着果過多を避ける。

肩こけ果

果実肥大期に低温と日照不足で養分の転流がう

まくいかない場合や、前半に強草勢で後半に草勢

低下した場、または、着果過多や水分の不足など

で起こりやすい。

肥大期の保温、過繁茂防止、肥培管理の適性化、

潅水、適正着果などにより発生を防ぐ。

強繊維果

果肉の繊維が発達してかたく食味が劣る果実で、

根から吸水が不足すると果実内水分を葉のほうへ

移行させるために起こる。

成熟期に土壌水分不足になったとき発生するの

で、灌水などにより乾燥させないことが重要であ

る。

ネット不良果

大玉になり果皮が硬化したり、直射日光が果皮

の一部に強くあたって硬化が進んだ場合や、ネッ

トを形成する力が不足した場合に発生しやすい。

チッソの吸収過多と空気中の湿度の低下も原因と

なる。

草勢の維持、肥効の適正化(チッソの過剰を抑

制)、適正着果などにこころがける。

Page 13: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

79スイカ

スイカウリ科

整枝栽培

栽培型 目標収量

4,100 (kg/10a)

整枝栽培

2月

中 上 下

3月

中 上 下

4月

中 上 下

5月

中 上 下

6月

中 上 下

7月

中 上 下

8月

中 上 下

9月

中 上

●播種  ×接木・仮植  ◎定植  交 交配  ■収穫

~ ● ● × ◎ ■

栽培暦

作型の特徴整枝栽培はつる数を制限して、着果節位までの

孫づるを欠き取る栽培方法で、つる数に見合った

着果数とするため果実の肥大・充実が良く収穫期

が早いことが特徴。

全国的には最も一般的な方法だが、苗数を多く要

することや、労力が多くかかることなどから、県内

での作付け割合は普通栽培に比べ少なく、継続出

荷のための前進作型として位置づけられている。

品種と特性縞無双H

草勢は中位で作りやすい。収穫期はやや遅いが、

空洞果や二次肥大による変形が少なく、収穫適期

幅が広い。

祭ばやし777

食味が良く市場評価が高い。草勢が強く、交配

期まで草勢が抑えた作りをしないと着果が不安定

になりやすい。基肥を抑えて生育を見ながらの管

理が重要。

あきた夏丸

肉質が堅めで、シャリ感が良く、棚持ちが良い

ためカット販売に向く。草勢は強く初期生育も早

いが、低温下での着果が安定している。着果後は

草勢が落ち着き管理しやすい。花落ちが大きく裂

果に注意する。

台木

ドンK、FRダントツなど。

草勢が強い穂木(祭ばやし777、あきた夏丸な

ど)は草勢の弱いドンKとの組み合わせが良い。

栽培方法

□育苗①床土の準備

床土は保水性がよく、また、排水性・通気性の

良い有機質の割合が多いものを使用する。床土は

山土1に完熟堆肥2の割合で堆積し、苦土石灰5㎏、

石灰窒素3㎏、ようりん5㎏を10a当たりの必要床

土1立方メートル分と混和する。

②種子の準備

穂木、台木ともに、10a当たり1果どりで700

粒、2果どりで400~500粒程度必要である。

③播種時期

2月下旬~3月上旬。定植予定日より逆算して40

~45日前に播種する。

④播種

播種床は灌水し予め地温を高めておく。播種床

は3.3㎡当たり250~300W、仮植床は150~200

Wの電熱線を配線する。台木は一昼夜流水で吸水

させ、30℃位に保ち種皮が割れてきてから、播種

箱に条間10cm、種子間隔1.5~2cmで条まきする。

挿し接ぎの場合、穂木は台木の播種後3日程度遅ら

せて、播種箱に条間7cm、種子間隔1cmに条まきする。

播種床は発芽するまで乾燥させないように注意

するとともに床温を25℃前後(最高30℃)に管理

する。発芽適温は28~30℃で、播種後3~4日位

で発芽する。発芽後は地温を日中23~25℃、夜間

15~20℃位とする。

トンネル資材の汚れや保温資材の掛けすぎなど

で光線量が不足すると軟弱徒長になりやすいので

注意する。また、発芽間もない時期に10℃を切る

ような低温に遭遇すると立ち枯れを起こしやすくなる。

Page 14: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

80 スイカ

⑤接ぎ木

挿し接ぎでは穂木播種後8~10日頃の本葉が伸

び始めた頃に接ぐ。仮植は10~12cm径のポット

を用い、ポットの用土には十分灌水し、25℃の温

度を確保しておく。仮植床は本畑100㎡当たり2.5

㎡位必要である。

⑥接ぎ木後の温度管理

接ぎ木後3日間はトンネルを密閉し、地温、気温

とも25~26℃とする。4日目以降から朝夕の光を

与える。接ぎ木後3~4日で接ぎ木部が癒着、発根

を始める。5日目頃から生長し始めるので15~

22℃の範囲内で徐々に床内温度を下げ、トンネル

の換気も徐々に行う。光に当てる時間も徐々に長

くしていき、完全に活着したら通常の管理とする。

⑦順化・硬化

接ぎ木後30日前後より鉢のずらしを行い、直射

日光を十分に当て健苗に育てる。夜温が高すぎる

と養分蓄積が減り苗が老化しやすいので癒着後は

16~18℃、定植3日前には13~15℃を目安とする。

癒着遅れなどで生育が遅れた苗は別の場所に移

動し、生育を揃えるように別管理する。台木の葉

が生長した場合は接ぎ木部分を痛めないように元

から掻き取る。

育苗日数40~45日(本葉3.5枚前後)で定植する。

□本畑準備畑の選定・土壌改良

湿害に弱いので、土層が深く排水の良いところ

を選定する。排水不良地では砕土率を高め、ほ場

内に明渠や暗渠を設ける。

施肥

施肥量はほ場条件により異なるので加減する。

草勢が強い祭ばやし777は50%以上、あきた夏丸

は30~50%程度減じる。

【施肥例】

畝立て

定植7日以上前に、条間3.5m、床幅1.8mの畝

を作る。畝の高さは20~25㎝とするが転換畑では

やや高めとする。

畝立て後はマルチ、トンネル被覆をして地温を

高めておく。夜間の温度確保のため、トンネル資

材は必ずビニール系のものを使う。使用2年目の

トンネル資材は光線透過率が悪くなるので避ける。

雑草の多発が見込まれる場合はガス化しない除草

剤をマルチ部分に使用する。

□定植①苗搬入時の注意

購入苗の場合、搬入は植え付け前日の夕方また

は当日に行う。運搬時には低温や強風にさらさな

いようにシート等で覆う。順調な活着と根崩れ予

防のため、定植前に30℃位の温水に漬けて十分に

吸水させてから定植作業に入る。

②定植作業の注意

定植はマルチ下10㎝の地温が15℃以上になった

ら行い、午後3時以降は地温が下がるので植え付

けしない。(ユウガオ台木の幼根の生長温度は最低

3本仕立て 1果どり

条間3.5m、株間50cm (10a当たり570本)

4本仕立て 2果どり

条間3.5m、株間70cm (10a当たり400本)

5本仕立て 2果どり

条間3.5m、株間90cm (10a当たり320本)

栽植様式

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

1.6~4.4

0.0~2.4

11.3~11.9

1.6~3.6

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

過燐酸石灰

苦土肥料

西瓜専用肥料

液肥

1000

80

0~20

20~60

55

(Mg15%)

(8-12-8)

生育に応じて

Page 15: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

81スイカ

8℃、最適32℃、最高42℃、根毛発生温度は最低

14℃、最高40℃)

植付位置はトンネルの端から40~50cmとする。

植穴にはアブラムシ類予防の殺虫剤を施用する。

植え付けは鉢土と植穴の土がよく密着するよう

にし、浅植えする。トンネル中央につるが自然に

伸びやすいように、やや内側に向けて斜めに植え

付ける。

マルチフィルムの下から熱風が上がらないよう

に株元のマルチを土で押さえる。このとき、病害

発生を防ぐため、胚軸(台木の茎)や子葉に押さ

え土が接触しないように注意する。

植付後、晩霜回避と保温による活着促進を図る

ため保温キャップをかける。活着までは温度重視

で、その後は日照を重視するため5月上旬に取り除

く。

□定植後の栽培管理トンネル開閉管理

定植後1週間位は密閉

して35℃位の高温に保

ち、活着促進を図る。

活着後はトンネル内

の温度が35℃を越えな

いように株に近い側を2

~3cm開けてこまめに

換気する。保温キャッ

プは晩霜の心配がなく

なる5月上旬に外す。

1番短い子づるが5cm程度まで伸びた頃5~

20cm開け換気する。この頃は、子づるの雌花の分

化期にあたるため、9~12℃以下の低温に遭遇さ

せないように注意する。

つる整理後、つるが畝の中央を越したら両側換

気する。梅雨時期等低温で霧雨が続くような天気

のときは密閉状態にしないでトンネルの裾を5~

10㎝程度開け除湿する。

摘心

親づるが本葉8枚になったら摘心し、子づるの伸

長を促す。併せて炭そ病等の予防として穂木、台

木の子葉も取り除く。

整枝・誘引(渦巻き誘引)

作業はつるが柔らかくなる日中に行い、夕方ま

で傷口が乾く時間帯で終える。

1回目の整枝・誘引は定植後25日前後のつるの

長さが70~80cm程度(子づる10葉前後)に伸長

した時に行う。良く揃った子づるを仕立て本数に

応じて主づるとして残し、その他のつるは欠き取

る。主づるから出る脇芽や花芽もすべて欠き取る。

次に、渦巻き状につるを巻きながらつるを引き戻

し、トンネル中央につる先を向ける。この時、つ

るの先端は株元より15~20cm程度、トンネル中

央にでる位にする。また、長いつるは外側に配置

してつるの先端を揃える。

1回目の整枝・誘引後、1~2回、つる先がトン

ネルの縁に届かないうちに巻き込むようにつるを

引く。

2回目の整枝・誘引は、子づるの18節までの脇

芽や雌花を取り除く。次に、着果節位の3~4番花苗の大きさと花芽分化(倉田)

展開葉 分化葉数 花の始原体節位

親づる

子づる

4節

6

8

1

18節

23

30

19

13~14節

18

24~25

15

温度処理と雌花の着生節位

雌花の着生節位 処理 温度

25℃

30℃

35℃

40℃

5.5

5.8

7.6

9.0

11.0

11.0

13.6

14.6

14.6

17.7

18.6

20.1

19.0

23.3

24.5

1番花 2番花 3番花 4番花

花芽分化と環境

温度管理(℃)

渦巻き誘引

1回目 2回目

日中目標 温度

定植~ 活着

花芽分 化期

花蕾充 実期

交配期 成熟期 玉肥大 期

最高気温

最低気温

最低地温

35

40

10

35

1515~18

14

22~28 25~32 22~24 18~30 15~30

35

Page 16: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

82 スイカ

(18~22節以上)の位置をマルチ中央になるよう

につるを引く。

作業時期は1回目の7~10日後の3番花の雌花が

見え始める頃(交配5~7日前)を目安とするが、

草勢により時期を早めたり遅くするなど調整し、

着果性を高める。

交配前の草勢診断とコントロール

交配前の草勢判断として2番花の開花期(3番花

の雌花が見え始める頃)に診断し対応を図る。

交配前後の温度管理

最終のつる引き以降、雌花充実のため、昼夜の

温度格差を少なくする。このため、夕方早めにト

ンネルを閉め、朝の開放時間もやや遅めとする。

交配3日前から、外気温23℃を目安にトンネル

を閉じる。また、交配前日からは15℃以上の夜温

を確保する。

交配以降も7~10日間は15℃以下の低温に遭遇

させないように保温につとめるが、過湿にならな

いようにする。低温では変形果や初期に裂果を誘

発する原因になりやすい。

人工交配

着果節位は18~23節の3~4番花を目標とする。

ただし、草勢の強い品種は3番花とする。

交配は人工交配が基本で一斉着果(同一日着果)

を目標に短期間で行う(株当たり3~4果)。開花

が揃わず、交配日が2~3日ずれる場合は、早いも

のを落として揃う日のものに合わせる。

交配時間は午前6時~10時頃とするが、夜温が

14℃以下の場合は早朝からの交配を行わない。雌

花、雄花が朝露などで濡れている場合は乾いてから

行う。1つの雄花で雌花2個の交配が可能で、雄花

から花粉が出ていることを確認してから交配する。

雄花は自家、他家、他品種とも果実に影響がないの

で手近のものを用いてさしつかえない。

雄花の花弁を取り除くか、折り曲げて、雌花を

傷つけないように、まんべんなく柱頭に花粉をつ

ける。

交配後、すぐに目印を付ける。目印の方法とし

て、雑誌等の縁に着色したものを1枚ごとに切り取

り雌花の下に敷いたり、クレヨン・油性マジック

などで雌花のつるに直接、色を付けたり、毛糸等

を雌花付近のつるに巻き付けたりする方法がある。

いずれも3~4色異なる色を準備し、交配日ごとに

変え、わかるようにする。交配後はトンネルを閉

めて保温し、夜温15℃以上を確保する。

着果後の管理

灌水

着果後~玉肥大前半は果実肥大促進のためもっ

とも水分を必要とする時期なので、降雨がない場

合は確実に灌水を行う。ただし、高温時に大量の

灌水を行うと根腐れをおこすので、涼しい時間帯

に短時間で、数日に渡って行う。灌水チューブで

定期的に行うことが望ましい。

トンネル管理

交配後、7~10日間は15℃以下の低温に遭遇さ

生育状況と生育調整方法

生育状況

草勢が強い場合

2回つる 引き時期

葉面散布、灌注、 着果節位など

生育調整方法

草勢が弱い場合

茎の太さ7mm以上。雌花~つる先50cm以上。巻きひげの先端が3本を超える。

交配3~5日前に行い草勢を一時的に抑えた状態で交配 を 行う。

無チッソ液肥を株元を中心に葉面散布する。かなり強い場合は2~3日後に再散布する。3番果に着果させる。孫づるを長くしてから欠く。

茎の太さ5mm以下。雌花~つる先30cm以下。 巻きひげの先端が3本以下。

交 配 1 0日前に行い草勢が回復した段階で交配に入る。

整枝、わき芽かきを早めに行い着果節位を3番果から4番果に上げる。 液肥を灌注する。

Page 17: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

83スイカ

せないように保温につとめる。交配から3週間は

果実の硬化を避け、肥大促進を図る。このため、

果実に直接風が当たらないように片側換気とし、

やや高めの温度管理(最高35℃前後)とするが、

密閉管理による無理な蒸らしは行わない。

交配後、3週間以降は株元、つる先側両方とも大

きく開け、夜間もそのままで一日の温度差をでき

るだけつける。トンネルは収穫期まで設置し雨よ

け状態にする。

摘果

野球のボール大となり、着果が確認されたら、

過剰な果実を摘果する。横径に対してやや縦径が

長い、果梗部の太い幼果を残す。2果どりは肥大

格差をなくすため、できるだけ同一日交配のもの

を残す。花落ち部の大きいものは裂果の可能性が

高くなるのでなるべく摘果する。

残す果実を決めた際には、灰色かび病、菌核病

等の予防のため花弁を取り除き、正座させる。収

穫時の作業性を良くするため、目印棒立ても合わ

せて行うとよい。フルーツマットを敷く場合も併

せて行う。

玉直し

摘果時に正座させた果実を着果後、15~20日頃

から数回実施する(早い時期は、キズがつきやす

いので注意する。回数が多いほど果形が整い正形

果となる)。

果実の位置を変え、果実温度の部分差をなくし

形状を整える。全面着色させるため、収穫5~10

日前に果実を横にして尻部の着色を図る。フルー

ツマットを使用している場合も回転させる。

□収穫・調整交配後の日数、積算温度や打音、果梗部近くの

葉の枯れ具合、果梗のコルク化の程度などをみて、

最終的には試し割りを行い判断する。糖度は11度

以上を目標とする。

収穫後、玉磨きを行い汚れを落としてから計量、

選別を行う。

跡かたづけ

収穫後の残さが翌年の病害虫の伝染源となるの

で、収穫終了後の後始末はしっかりと行う。後作

を予定していない場合は、エンバクなどの地力増

進作物を作付け、すき込みし地力維持と連作障害

予防を行う。

□病害虫防除トンネルを収穫期まで設置するため、ハダニ類、

アブラムシ類がいったん発生すると増殖が早く防

除が難しくなるので普通栽培より特に注意する。

ハダニ類は見つけしだいスポット的に防除する。

りんご栽培地域等ナミハダニが多い地帯では特に

注意が必要である。果実の表皮を食害する鱗翅目

害虫の被害を予防するため、果実肥大期にBT剤

を散布すると効果的である。

あきた夏丸 交配後45日(1000℃前後)

縞無双H 交配後48日前後(1150℃前後)

祭ばやし777 交配後41~44日 

Page 18: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

84 スイカ

スイカウリ科

トンネル移動式栽培

栽培型 目標収量

3,960 (kg/10a) 移動式栽培

2月

中 上 下

3月

中 上 下

4月

中 上 下

5月

中 上 下

6月

中 上 下

7月

中 上 下

8月

中 上 下

9月

中 上

●播種  ×接木・仮植  ◎定植  交 交配  ■収穫

● ~ ● × ◎ ■

栽培暦

作型の特徴整枝栽培と普通栽培の中間的な位置づけとなる

作型。整枝栽培ではつるを引くことによりトンネ

ル内に着果させるが、移動式ではつるがトンネル

からあふれる頃につる先にトンネルを移動させて

同様の効果を狙う。

仕立方法は「7本仕立て3果どり」が基本で品質

は整枝栽培並み、労力は整枝栽培より少なく、収

穫期は普通栽培より早くなる。

品種と特性縞無双H

草勢は中位で作りやすい。収穫期はやや遅いが、

空洞果や二次肥大による変形が少なく、収穫適期

幅が広い。

祭ばやし777

食味が良く市場評価が高い。草勢が強く、交配

期まで草勢が抑えた作りをしないと着果が不安定

になりやすい。基肥を抑えて生育を見ながらの管

理が重要。

あきた夏丸

肉質が堅めで、シャリ感が良く、棚持ちが良い

ためカット販売に向く。草勢は強く初期生育も早

いが、低温下での着果が安定している。着果後は

草勢が落ち着き管理しやすい。花落ちが大きく裂

果に注意する。

台木

ドンK、FRダントツなど。

草勢が強い穂木(祭ばやし777、あきた夏丸)は

草勢の弱いドンKとの組み合わせが良く、草勢が

中位穂木(縞無双H)は、草勢がやや強いFRダン

トツとの組み合わせが栽培管理しやすい。

栽培方法

□育苗管理①床土の準備

床土は保水性がよく、また、排水性・通気性の

良い有機質の割合が多いものを使用する。床土は

山土1に完熟堆肥2の割合で堆積し、苦土石灰5㎏、

石灰窒素3㎏、ようりん5㎏を10a当たりの必要

床土1立方メートル分と混和する。

②種子の準備

穂木、台木ともに、10a当たり300粒程度必要

である。

③播種時期

2月下旬~3月上旬。定植予定日より逆算して40

~45日前に播種する。

④播種

播種床は灌水し予め地温を高めておく。播種床

は3.3㎡当たり250~300W、仮植床は150~200

Wの電熱線を配線する。台木は一昼夜流水で吸水

させ、30℃位に保ち種皮が割れてきてから、播種

箱に条間10cm、種子間隔1.5~2cmで条まきする。

挿し接ぎの場合、穂木は台木の播種後3日程度遅

らせて、播種箱に条間7cm、種子間隔1cmに条ま

きする。

播種床は発芽するまで乾燥させないように注意

するとともに床温を25℃前後(最高30℃)に管理

する。発芽適温は28~30℃で、播種後3~4日位

Page 19: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

85スイカ

で発芽する。発芽後は地温を日中23~25℃、夜間

15~20℃位とする。

トンネル資材の汚れや保温資材の掛けすぎなど

で光線量が不足すると軟弱徒長になりやすいので

注意する。また、発芽間もない時期に10℃を切るよ

うな低温に遭遇すると立ち枯れを起こしやすくなる。

⑤接ぎ木

挿し接ぎでは穂木播種後8~10日頃の本葉が伸

び始めた頃に接ぐ。仮植は10~12cm径のポット

を用い、ポットの用土には十分灌水し、25℃の温

度を確保しておく。仮植床は本畑100㎡当たり2.5

㎡位必要である。

⑥接ぎ木後の温度管理

接ぎ木後3日間はトンネルを密閉し、地温、気温

とも25~26℃とする。4日目以降から朝夕の光を

与える。接ぎ木後3~4日で接ぎ木部が癒合、発根

を始める。5日目頃から生長し始めるので15~

22℃の範囲内で徐々に床内温度を下げ、トンネル

の換気も徐々に行う。光に当てる時間も徐々に長く

していき、完全に活着したら通常の管理とする。

⑦順化・硬化

接ぎ木後30日前後より鉢のずらしを行い、直射

日光を十分に当て健苗に育てる。夜温が高すぎると

養分蓄積が減り苗が老化しやすいので癒着後は16

~18℃、定植3日前には13~15℃を目安とする。

癒着遅れなどで生育が遅れた苗は別の場所に移

動し、生育を揃えるように別管理する。台木の葉

が生長した場合は接ぎ木部分を痛めないように元

から掻き取る。

育苗日数40~45日(本葉3.5枚前後)で定植する。

□本畑準備畑の選定・土壌改良

湿害に弱いので、土層が深く排水の良いところ

を選定する。排水不良地では砕土率を高め、ほ場

内に明渠や暗渠を設ける。

施肥

基肥量は整枝栽培と普通栽培の中間程度とする。

草勢が強い祭ばやし777は50%以上、あきた夏丸

は30~50%程度減じる。追肥は普通栽培並とする

が樹勢に応じて加減する。

【施肥例】

畝立て・床づくり

①床づくり

定植7日以上前に、床幅1.8m、畝幅5mの畝を

作る。畝の高さは20~25㎝とするが 転換畑では

やや高めとする。

畝立て後はマルチ、トンネル被覆をして地温を

高めておく。夜間の温度確保のため、トンネル資

材は必ずビニール系のものを使う。使用2年目のト

ンネル資材は光線透過率が悪くなるので避ける。

雑草の多発が見込まれる場合はガス化しない除

草剤をマルチ部分に使用する。雑草発生を防ぐた

め、植え付け側通路~定植床の片部にかけて黒マ

ルチを張る。

②主な使用資材

トンネル鋼管(270cm)

トンネル用ビニール(0.05mm×240cm)

マルチ用ポリ(0.03mm×210cm)

黒マルチ用ポリ(0.03mm×90cm)

杭 440本

トンネル鋼管は株間に合わせ90cm間隔で設置す

る。作業は、B側をやや垂直に近い状態に先に刺

し、A側を後で刺す。トンネル張りは定植1週間

前に行い、地温を高めておく。B側の杭は移動後

もそのまま使用できるように、トンネルに添い斜

め、やや外側に向けて刺す。

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

4.8

3.6

9.6

7.2

5.6

4.2

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

苦土肥料

西瓜専用

2000

100

40

80 60

(Mg15%)

(6-12-7)

Page 20: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

86 スイカ

□定植①苗搬入時の注意

購入苗の場合、搬入は植え付け前日の夕方また

は当日に行う。運搬時には低温や強風にさらさな

いようにシート等で覆う。順調な活着と根崩れ予

防のため、定植前に30℃位の温水に漬けて十分に

吸水させてから定植作業に入る。

②定植作業の注意

定植はマルチ下10㎝の地温が15℃以上になった

ら行い、午後3時以降は地温が下がるので植え付け

しない(ユウガオ台木の幼根の生長温度は最低8℃、

最適32℃、最高42℃、根毛発生温度は最低14℃、

最高40℃)。

植付位置はトンネルの端から40cm前後とする。

植穴にはアブラムシ予防の殺虫剤を施用する。

植え付けは鉢土と植穴の土がよく密着するよう

にし、浅植えする。トンネル中央につるが自然に

伸びやすいように、やや内側に向けて斜めに植え

付ける。マルチフィルムの下から熱風が上がらな

いように株元のマルチを土で押さえる。このとき、

病害発生を防ぐため、胚軸(台木の茎)や子葉に

押さえ土が接触しないように注意する。

植付後、晩霜回避と保温による活着促進を図るた

め保温キャップをかける。活着までは温度重視で、

その後は日照を重視するため5月上旬に取り除く。

③栽植様式

栽植密度 条間5m、株間90cm

必要苗数 10a当たり220本

□定植後の栽培管理

トンネル開閉管理

定植後1週間位

は密閉して35℃位

の高温に保ち、活

着促進を図る。

活着後はトンネ

ル内の温度が35℃

を越えないように

株に近い側を2~

3cm開けてこまめ

に換気する。保温

キャップは晩霜の

心配がなくなる5月上旬に外す。

1番短い子づるが5cm程度まで伸びた頃5~

20cm開け換気する。この頃は、子づるの雌花の分

化期にあたるため、9~12℃以下の低温に遭遇さ

せないように注意する。

つる整理後、つるが畝の中央を越したら両側換

気する。梅雨時期等低温で霧雨が続くような天気

のときは密閉状態にしないでトンネルの裾を5~

10㎝程度開け除湿する。

主づる仕立てと摘心

理想としては子づるによる7本仕立てであるが、

長さや太さが揃った主づるを確保することが目的

であり、揃わない場合は子づるの摘心を行い孫づ

るも含めて主づるを確保する。そのため、摘心は2

回に分けて行う。

親づる摘心

仕立て本数に2葉程度余裕をつけた葉数(7~8

節)で親づるを摘心する。子葉節の子づるは欠き

取る。また、帯づるは確実に欠き取る。定植直前

や直後の摘心は活着を遅れさせるので避ける。

調整のための子づる摘心(親づる摘心後3~5日頃)

①親づると子づる1本が強い場合

親づると子づる1本が強い場合は、強い子づるも

2~3節目で摘心し、孫づるを伸ばして「子づる5

本+孫づる2本」で7本を確保する。

②親づると子づる2本が強い場合

親づると子づる2本が強い場合は、強い子づる2

本を1~2節目で摘心し「子づる4本+孫づる3本」

日中目標 温度

定植~ 活着

花芽分 化期

花蕾充 実期

交配期 成熟期 玉肥大 期

最高気温

最低気温

最低地温

35

40

10

35

1515~18

14

22~28 25~32 22~24 18~30 15~30

35

温度管理(℃)

Page 21: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

87スイカ

または「子づる3本+孫づる4本」で確保する。た

だし、果実の肥大は子づるに着果したものが勝る

ため、最低でも3本は子づるを確保し主づるとする。

つるの管理

つるの誘引は50cm前後のころに1回で行う。主つ

るとなる7本を決め、

それ以外の孫つる等

は、植え付け通路側に

反転、放任して遊びづ

るとする。主つるの配

置は強い(長い)子づ

るを外側にし、弱い

(短い)つるを内側に

して振り分け、つる先

を揃える。つるが風で移動しないように割り箸等で

工夫しおさえる。

追肥

トンネルの両側部分に追肥を行うが、植え付け

側にマルチを敷いている場合は、つる先側だけで

もよい。

トンネル移動前の管理

トンネル移動前につる先を揃えておき、交配し

やすい状態にする。また、同一株からのつるであ

ることがわかるように割り箸等で区別し、鋼管ご

とに配置する。

つる先がトンネルの端に届く頃になったら、株

元換気からつる先換気にし、トンネルから自然に

つる先が出るようにして外気にさらす。

移動の時期は交配前5日頃が適期であり、低温に

慣らしてから移動する。栄養生長から生殖生長に

移行させるため移動3日前頃から夜間もつる先側を

開けて低温に遭わせる。

つる先が10~15cm位、9割程度が外に出たらト

ンネルを移動する。移動後につる先がトンネル内

に自然に入ってくるように15~20cm程度裾を開

けてトンネルビニールを張る。

着果位置

着果は主づるの22節前後(4番果)を基本とす

るが、草勢が強い場合は18~20節前後(3番果)

とする。祭ばやし777、あきた夏丸は草勢が強い

ので留意する。

トンネル移動にあたっては移動後のトンネルの

中央部分に着果できるように草勢を判断し、トン

ネル位置を前後させる。

トンネル移動の方法(例)

移動作業は風の無い早朝などに行う。

①苗植え付け側Aの杭を抜き、移動する側Cにマ

イカ線ごと移動する。(投げる)

②トンネル上部に縦に張ったマイカ線を外し、つ

る先側Cに降ろす。外したマイカ線を鋼管刺しの

目印になるように、両端を仮留めしCの位置に縦

に張る。

③ビニール両端の押さえを外し、ビニールを苗植

え付け側Aに引き落とす。

④苗植え付け側Aのトンネル鋼管を抜く。

⑤移動する側Bのトンネル鋼管を抜いて、180度

回転させして刺し直す。この時、目標の着果位置

がトンネルの中央部分になるように移動位置を前

後させる。

⑥移動させたトンネル鋼管のつる先側Cを目印の

マイカ線の内側に刺す。

⑦移動させたトンネルにビニールを張り、両端を

固定する。(つるを痛めないように留意する。必要

に応じ、パッカーでポイントを留める。)

⑧トンネルに添い上部に縦のマイカ線を張る。

⑨つる先側Cにあるマイカ線を引き出し、トンネ

ル上に渡す。

⑩つる先側Cの杭を刺し、ビニールを固定する。

⑪移動したトンネル内に、株毎につる先を配置す

る(鋼管と鋼管の間に7本のつるが納まるように配

沈ま ない よ う に 特 に注意 根が伸びているので浅く耕起 鎮 圧し、 必 ず傾斜 を つける

(黒ポリ等90cm幅) ( 有 孔 ポ リ210cm幅)

通路 70~80cm 180cm 150cm 60~80cm 60~80cm

追 肥量は 普 通栽培 並

Page 22: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

88 スイカ

置し、つる先を揃える)。

移動後の管理

低節位の着果(1~2番果)がある場合は早めに

摘果する。株元からの遊びづるが少ない場合は、

草勢が強くなる恐れがあるので、7本の主づるにか

ぶさらないように反転つるを数本確保する。草勢

が劣るほ場では遊びづるの本数(標準5~6本)を制

限し、主つるに勢いをつける。

トンネル上にかぶさる孫づるや、主づるの中間

部分の葉に重なった余分な強い孫づるは除去する

(先端部を摘み取る程度)。

交配に入る前に遊びづるに着果した果実を必ず

摘果する。草勢が弱い場合は早めに、強い場合は

交配後当日中に行う。

交配前の草勢診断とコントロール

2番花の開花期(3番花の雌花が見え始める頃)

に草勢を診断し対応を図る。

交配前後の温度管理

トンネル移動後は雌花充実のため、昼夜の温度

格差を小さくする。このため、夕方早めにトンネ

ルを閉め、朝の開放時間もやや遅めとする。交配3

日前から、外気温が23℃を目安にトンネルを閉じ

る。また、交配前日からは15℃以上の夜温を確保

する。

交配以降も7~10日間は15℃以下の低温に遭遇

させないように保温につとめるが、過湿にならな

いようにする。低温では変形果や初期の裂果を誘

発する原因になりやすい。

人工交配

交配は人工交配が基本でトンネル移動後3日目位

から作業を開始する。(トンネル移動後5日目頃に

ピークになれば最適)株ごとに一斉着果(同一日

着果)を目標に短期間で行う(株当たり4~5果以

上)。

交配日が2~3日以上ずれる場合は、早いものを

落として揃う日のものに合わせる。なるべく子づ

るに着果させる(不足で加えた孫づるは肥大が劣

る)。

交配時間は午前6時~10時頃とするが、夜温が

14℃以下の場合は早朝からの交配を行わない。

雌花、雄花が朝露などで濡れている場合は乾い

てから行う。1つの雄花で雌花2個の交配が可能で、

雄花から花粉が出ていることを確認してから交配

する。雄花は自家、他家、他品種とも果実に影響が

ないので手近のものを用いてさしつかえない。

雄花の花弁を取り除くか、折り曲げて、雌花を

傷つけないように、まんべんなく柱頭に花粉をつ

ける。

交配後、すぐに目印を付ける。目印の方法とし

て、雑誌等の縁に着色したものを1枚ごとに切り取

り雌花の下に敷いたり、クレヨン・油性マジック

などで雌花のつるに直接、色を付けたり、毛糸等

を雌花付近のつるに巻き付けたりする方法がある。

いずれも3~4色異なる色を準備し、交配日ごとに

変え、わかるようにする。その後、残す果実を選

定する際に目印棒を立てると収穫作業がしやすい。

交配後はトンネルを閉めて保温し、夜温15℃以

上を確保する。

着果後の管理

灌水

着果後~玉肥大前半は果実肥大促進のためもっ

とも水分を必要とする時期なので、降雨がない場

合には確実に灌水を行う。ただし、高温時に大量

の灌水を行うと根腐れをおこすので、涼しい時間

帯に短時間で、数日に渡って行う。灌水チューブ

で定期的に行うことが望ましい。

極端に強い場合

弱 い 場 合

無窒素液肥を株元中心に葉面散布する。かなり強い場合には2~3日後に再散布する。

反転した遊びつるを少なくする。摘果を早めに行う。状況によっては窒素の入った液肥を灌注する。

雌しべの 柱頭

子房

花弁五枚を

折り曲げる

Page 23: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

89スイカ

トンネル管理

交配後、7~10日間は15℃以下の低温に遭遇さ

せないように保温につとめる。(変形果・裂果予防)

ただし、過湿にならないようにする。交配後、3週

間は果実の硬化を避け、肥大促進を図るため、直

接、果実に風が当たらないように片側換気とし、

やや高めの温度管理(最高35℃前後)とするが、

密閉管理による無理な蒸らしは行わない。

交配後、3週間以降は株元、つる先側両方とも大

きく開け、夜間もそのままで一日の温度差をでき

るだけつける。トンネルは収穫期まで設置し雨よ

け状態にする。

摘果

野球のボール大となり、着果が確認されたら、

過剰な果実を摘果する。1株3果を基本とし、果形

の良いものを残す。肥大格差をなくすため、でき

るだけ同一日交配のものを残す。花落ち部の大き

いものは裂果の可能性が高くなるのでなるべく摘

果する。

残す果実を決めた際には、灰色かび病、菌核病

等の予防のため花弁を取り除き、正座させる。収

穫時の作業性を良くするため、目印棒立ても合わ

せて行うとよい。フルーツマットを敷く場合も併

せて行う。

玉直し

摘果時に正座させた果実を着果後、15~20日頃

から数回実施する(早い時期は、キズがつきやす

いので注意する。回数が多いほど果形が整い正形

果となる)。

果実の位置を変え、果実温度の部分差をなくし

形状を整える。全面着色させるため、収穫5~10

日前に果実を横にして尻部の着色を図る。フルー

ツマットを使用している場合も回転させる。

□収穫・調整交配後の日数、積算温度や打音、果梗付近の葉

の枯れ具合、果梗のコルク化の程度などをみて、

最終的には試し割りを行い判断する。糖度は11度

以上を目標とする。

収穫後、玉磨きを行い汚れを落としてから計量、

選別を行う。

跡かたづけ

収穫後の残査が翌年の病害虫の伝染源となるの

で、収穫終了後の後始末はしっかりと行う。後作

を予定していない場合は、エンバクなどの地力増

進作物を作付け、すき込みし地力維持と連作障害

予防を行う。

□病害虫防除トンネルを収穫期まで設置するため、ハダニ類、

アブラムシ類がいったん発生すると増殖が早く防

除が難しくなるので普通栽培より特に注意する。

ハダニ類は見つけしだいスポット的に防除する。

りんご栽培地域等ナミハダニが多い地帯では特に

注意が必要である。果実の表皮を食害する鱗翅目

害虫の被害を予防するため、果実肥大期にBT剤

を散布すると効果的である。

あきた夏丸 交配後45日(1000℃)前後

祭ばやし777 交配後41~44日 

縞無双H 交配後48日(1150℃)前後

Page 24: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

90 スイカ

スイカウリ科

普通栽培(露地小型トンネル)

栽培型 目標収量

4,320 (kg/10a)

2月

中 上 下

3月

中 上 下

4月

中 上 下

5月

中 上 下

6月

中 上 下

7月

中 上 下

8月

中 上 下

9月

中 上

●播種  ×接木・仮植  ◎定植  交 交配  ■収穫

● ×

×

◎ ■

交 ● (5月植え)

普通栽培 (4月植え)

◎ ■

栽培暦

作型の特徴この作型は労働時間が他の作型より少なく、ま

た資材費も少なくてすむことから、比較的大面積

の栽培が可能で、初期若干の保温で収穫期を前進

させ、多収量が得られる。消費量の最も多い時期

に出荷できるので、高単価が期待される反面、年

(冷夏等)によっては価格が急落する等価格変動が

比較的大きい側面をもっている。需要の多い盆前

までの継続出荷のためには5月定植の組み合わせが

重要である。

品種と特性必勝

草勢は中位で秀品率、品質が良い。果実肥大が

良く収量性が高い。初期生育は中庸で、雌花の着

生がよく、着果が安定していて作りやすい。花落

ち部が大きく裂果に注意が必要。

縞無双H

草勢は中位で作りやすい。収穫期はやや遅いが、

空洞果や二次肥大による変形が少なく、収穫適期

幅が広い。

あきた夏丸

肉質が堅めで、シャリ感が良く、棚持ちが良い

ためカット販売に向く。草勢は強く初期生育も早

いが、低温下での着果が安定している。着果後は

草勢が落ち着き管理しやすい。花落ちが大きく裂

果に注意する。

台木

ドンK、FRダントツ 等。

栽培方法

□育苗①床土の準備

床土は保水性がよく、また、排水性・通気性の

良い有機質の割合が多いものを使用する。床土は

山土1に完熟堆肥2の割合で堆積し、苦土石灰5kg、

石灰窒素3kg、ようりん5kgを10a当たりの必要

床土1立方メートル分と混和する。

②種子の準備

穂木、台木ともに、10a当たり200粒程度必要

である。

③播種時期

4月下旬定植は3月中下旬播種。5月中下旬定植

は4月上旬播種。定植予定日より逆算して35~40

日前に播種する。

④播種

播種床は灌水し予め地温を高めておく。播種床

は3.3㎡当たり250~300W、仮植床は150~200

Wの電熱線を配線する。台木は一昼夜流水で吸水

させ、30℃位に保ち種皮が割れてきてから、播種

箱に条間10cm、種子間隔1.5~2cmで条まきする。

挿し接ぎの場合、穂木は台木の播種後3日程度遅

らせて、播種箱に条間7cm、種子間隔1cmに条ま

きする。

播種床は発芽するまで乾燥させないように注意

するとともに床温を25℃前後(最高30℃)に管理

する。発芽適温は28~30℃で、播種後3~4日位

で発芽する。発芽後は地温を日中23~25℃、夜間

15~20℃位とする。

トンネル資材の汚れや保温資材の掛けすぎなど

で光線量が不足すると軟弱徒長になりやすいので

Page 25: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

91スイカ

注意する。また、発芽間もない時期に10℃を切る

ような低温に遭遇すると立ち枯れを起こしやすく

なる。

⑤接ぎ木

挿し接ぎでは穂木播種後8~10日頃の本葉が伸

び始めた頃に接ぐ。仮植は10~12cm径のポット

を用い、ポットの用土には十分灌水し、25℃の温

度を確保しておく。仮植床は本畑100㎡当たり2.5

㎡位必要である。

⑥接ぎ木後の温度管理

接ぎ木後3日間はトンネルを密閉し、地温、気温

とも25~26℃とする。4日目以降から朝夕の光を

与える。接ぎ木後3~4日で接ぎ木部が癒合、発根

を始める。5日目頃から生長し始めるので15~

22℃の範囲内で徐々に床内温度を下げ、トンネル

の換気も徐々に行う。光に当てる時間も徐々に長

くしていき、完全に活着したら通常の管理とする。

⑦順化・硬化

接ぎ木後30日前後より鉢のずらしを行い、直射

日光を十分に当て健苗に育てる。夜温が高すぎると

養分蓄積が減り苗が老化しやすいので癒着後は16

~18℃、定植3日前には13~15℃を目安とする。

癒合遅れなどで生育が遅れた苗は別の場所に移

動し、生育を揃えるように別管理する。台木の葉

が生長した場合は接ぎ木部分を痛めないように元

から掻き取る。

育苗日数40~45日(本葉3.5枚前後)で定植する。

□本畑準備畑の選定・土壌改良

スイカの根は特に湿害に弱いので、土層が深く、

排水の良いところを選定するが、排水不良畑では、

ほ場内に明渠、暗渠を設ける。堆厩肥の施用と

20cm以上の深耕を行い、砕土率を高める。土壌酸

度はpHを6.0~6.5を目安に矯正する。

施肥

ほ場の肥沃度、品種を十分考慮して施肥量を調

整する。土壌改良材は全面に施用し、チッソを含

む基肥は床幅中心に行う。

【施肥例】

施肥量(kg/10a)

追肥 肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

苦土肥料

西瓜専用

2000

100

40

100 60

(Mg15%)

(6-12-7)

成分量(kg/10a)

チッソ リンサン カリ

基 肥

追 肥

6.0

3.6

12.0

7.2

7.0

4.2

畝立て

条間500cm、床幅130cm、高さ20~25cmの畝

をつくる。転換畑では、これよりやや高畝とする。

耕起、畝立て後、ポリマルチ(150~165cm幅、

厚さ0.03ミリ)を定植10日以上前までに張り、地

温を上げる。なお、秋マルチは初期生育の促進効

果が高いので、可能な限り実施する。

□定植・トンネル被覆株間120cm(10a当たり166株、成りづる10

~12本の5果どり)で、畝の中央に植える。定植

は本葉が3.5枚程度展開した若苗で、よく順化され

たものを用いる。定植はマルチ下10cmで15℃以

上の地温を確保してから行う。

定植は温暖で風のない日を選んで行い、当日、

鉢をぬるま湯で十分給水させた後、定植する。植

穴にはアブラムシ予防の薬剤を散布する。深植え

は活着を阻害するので避け、根鉢がマルチ面より

若干高くなるように植え付けマルチ穴の切り口を

土で押える。土壌病害を防ぐため、苗の胚軸には

土が接触しないようにする。地温低下による活着

不良を防ぐため、午後3時までには作業を終えるよ

うにする。

植え付け後は、直ちにトンネル(210cm幅、厚

さ0.05ミリ)被覆を行うが、晩霜害の回避と活着

促進を図るため、保温キャップを被せながら行う。

Page 26: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

92 スイカ

□定植後の栽培管理トンネル管理

定植後から活着までの期間はトンネルを密閉し、

その後徐々にトンネルに穴をあけて換気する。換

気は、定植後20日頃(1株当たりの総葉数が20枚

以上)から行い、最初は風下側から10~15cm程

度の穴を1.2m間隔にあける。その後は、風下側の

穴数を多くしていき、徐々に風上側もあけていく。

(イラスト①→②→③→④の順)

保温キャップは晩霜のおそれがなくなる5月上旬

以降になってから取り除く。

定植後1~2週間で子づるが伸長し、子づるの本

葉も1~2枚展開し始める。この時期は3番花とな

る20節前後の花芽が分化する時期で、収穫目標と

する節位に一斉着果させるには重要な時期に当る。

この時期に日中40℃以上の高温が続くと、雌花が

飛んだり雌花の質が低下するので、日中の温度管

理には十分注意する。

摘心

つるの揃いを良くするため、本葉7~9葉程度に

なったらトンネルの換気穴から手を入れて摘心す

る。

追肥・中耕・マルチング

トンネル除去前の5月下旬に、トンネルの両側1

m幅に追肥し中耕する。この際、土壌条件、生育

状況を勘案し、追肥が着果後に効くように遅効き

の肥料を用いチッソ成分で3~5kg/10aの範囲で施

す。

追肥後は耕起し、その後、果実が沈まないよう

に鎮圧する。鎮圧作業はローラータイプの鎮圧ア

タッチなどを活用し、通路部分が低くなるように

傾斜をつける。干ばつ年では灌水が必要になるの

で、灌水チューブを敷設しておく。

適度な土壌水分を確保した後、透明有孔ポリな

どでマルチを行う。その後、つるが伸びてくる部

分に稲わらを敷くか、ひもやキュウリネットなど

を張って、巻きひげが絡み固定されるようにする。

トンネル除去

トンネル除去は着果に必要なつる数を確保して

から行う。トンネル除去時の最低気温は10℃、平

均気温は15℃以上とする。5月下旬から6月上旬の

好天日に行う。

整枝・誘引・摘花(果)

株元から半径30cm以内に発生した本葉4枚以上

のつる(孫づるを含む)を1株当り10~12本確保

する。その他の弱小つる、枯葉、台木の子葉など

は取り除き、株元周辺の通風を図る。残した10~

12本のつるは両側へ均等に振り分け、畝に直角に

なるように、つるとつるとの間隔が15~20cmに

なるように配列する。長いつるは外側、短いつる

は内側に配置し、つる先が畝に沿って揃うように

する。

株元からおよそ1.5mを目安として、低節位に着

果している果実(1~2番果)は、なるべく早く摘

Page 27: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

93スイカ

花(果)し、葉面積を十分に確保してから交配期

を迎えるようにする。

交配・着果

着果節位が高い果実ほど果皮の薄い大玉となり、

逆に元なり果ほど小玉となる。目標着果節位は18

~20節の3番果とする。1果の肥大には40~50枚

の健全葉が必要であり、2本のつるに1果の着果を

原則とする。正常な雌花は果梗部が長く花弁が大

きい。子房は紡すい形でやや縦長、淡緑色をして

いる。濃緑色のものは低温に遭遇している場合が

多い。

交配はミツバチ交配を主体とする。水田地帯で

は放蜂も考慮するとともに、交配期前後の薬剤散

布はできるだけ避け、蜂への影響を防ぐ。

交配後、15℃以下の低温に遭遇すると変形果や

裂果を誘発する原因となるので留意する。

摘果

大玉、高品質生産のためには1株5果を着果目標

とする。

株元からおよそ1.5m先の果実が鶏卵大よりやや

大きくなった頃(直径3~4cm、着果後3~5日)

見極めを行い摘果する。横径に対してやや縦径が

長く果梗部の太い幼果を残す。

計画出荷を図るため、野球ボール大までの時期

(直径7cm、着果5~7日後)に目印棒を立てる。

目印棒立ては2~3日間隔で色を変えて実施し、収

穫適期の判断にするとともに、色別本数の把握に

より出荷計画に役立てる。

玉直し・日焼け予防

摘果時に正座させた果実を着果後15~20日頃か

ら数回玉直しを実施する。早い時期はキズがつき

やすいので注意する。回数が多いほど果形が整い

正形果となる。果実の位置を変え、果実温度の部

分差をなくして形状を整える。

収穫5~10日前に果実全体を着色させるため、

果実を横にして尻部の着色を図る。この時、日焼

けを防ぐため黄色部分に直射光が当たらない向き

とする。玉直しは、つると果実を手で持ち上げな

がら、花梗、果実を傷めないように十分注意して

行う。同時に稲わらなどを果実に被せ日除けを行

う。

□収穫・調整交配後の日数や積算温度を目安に試し割りを行

い、熟度を確認してから収穫を行う。目標糖度は

11度以上とする。

収穫後、玉磨きを行い汚れを落としてから、計

量、選別を行う。

跡かたづけ

収穫後の残さが翌年の病害虫の伝染源となるの

で、収穫終了後の後始末はしっかりと行う。後作

を予定していない場合は、エンバクなどの地力増

進作物を作付け、すき込みし地力維持と連作障害

予防を行う。

あきた夏丸 交配後45日(1000℃)前後

必  勝 交配後43~44日前後

縞無双H 交配後48日(1150℃)前後

Page 28: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

94 スイカ

病害虫防除・生理障害対策スイカ共通技術

□病害虫防除

炭疽病

葉、茎、果実に発生する。円形または長円形、

暗褐色の病斑を生じ、のちに中心部がややくぼん

で灰褐色に変わり、同心輪紋を生ずる。乾くと裂

けたり破れたりする。多湿時には病斑上に鮭肉色

の粘質物(胞子)が形成される。雨が多いと多発

する。発病後は病斑上に分生子を形成し、降雨時

に飛散し周囲に伝搬する。

敷わらやマルチなどで地表面からのどろのはね

あがりを防ぎ、排水対策に努める。薬剤による予

防防除を中心に行う。

つる枯病

茎、葉、果梗および果実に発生する。茎では、

地ぎわの部分に発生することが多い。はじめ褐色

水浸状の病斑が形成され、しだいに淡褐色から灰

白色になってくぼみ、裂け目ができて、多数の小

黒点が形成される。葉では円形~長円形あるいは

不整形で褐色の大型病斑となり、輪紋は認められ

ない。過繁茂で通風不良の場合や、高温、多雨、

湿潤なときに発生が多い。

土砂のはねかえりは感染・発病の誘因となるの

で、ポリマルチや敷わらを行う。側枝除去、適正

施肥などを行い、換気に努め、多湿を防ぐ。薬剤

による予防防除を中心に行う。

疫病・褐色腐敗病

茎、葉、果実に発生する。茎では熱湯をかけた

ような水浸状病斑が形成され、感染部位から上方

が枯れる。特に褐色腐敗病は伝染性が強く、つる

先に発生しやすい。果実では、はじめ丸いくぼん

だ油浸みのような暗褐色の病斑ができ、速やかに

拡大して暗緑色ないしは暗褐色となって腐敗し、

その表面に白色綿毛状のカビを生ずる。褐色腐敗

病では病斑上に暗灰色ビロード状のものができる

が、白色綿毛状のカビは生えない。梅雨期後半か

ら発生し、特に大雨後に蔓延する。冠水したりす

ると、その後に激発する。

排水を図り、高うねとする。敷わら、ポリマル

チなどを早めに行う。つるや果実を溝に落とさな

いよう注意する。

アブラムシ類

トンネル被覆期間を含め、生育全般で発生が見

られる。被害は吸汁による直接害が主で果実にも

被害が及ぶ。定植時に土壌処理剤を施用するとと

もに、散布剤では、発生初期に、葉裏に薬剤がい

きわたるよう散布する。

ハダニ類

被害葉は初め黄化し、後に褐変して湾曲や萎縮

する。生育後半の乾燥時に多発しやすい。

発生が認められた後に薬剤散布を行うが、ハダ

ニ類は薬剤抵抗性がつきやすいので、各薬剤とも

散布回数は生育期1回のみとする。

□生理障害

苦土欠乏症(葉巻炭そ)

中位葉~上位葉にかけて葉縁部がまき上がる。

葉は緑色を維持したまま、葉脈間および葉縁部に

直径5~10mmの褐色の斑点を生ずる。のちに斑点

部分がそれぞれ融合して、全体的に褐色となり葉

枯れ症状となる。

果実肥大の旺盛な時期に根からの養分吸収が間

に合わず、葉から果実へのマグネシウム転流が起

こった場合に発生しやすい。土壌中のマグネシウ

ムが欠乏条件になくても、カリウム、カルシウム

等の要素が過剰に含まれていると発生しやすい。

堆肥の施用や深耕による土づくりを行い、根群

域を広くする。苦土を施用するとともに、加里や

石灰の多量施用を避け、土壌中の塩基バランスを

改善する。着果量を適正に保ち、1果当たりの葉

面積を不足させないような管理を行う。応急対策

としてマグネシウム剤の葉面散布を数回行う方法

があるが、毎年発生が見られるほ場では基本的な

対策と併用が必要である。

空洞果

果肉部が裂け、すき間や空洞を生ずる。

低節位着果など草勢が弱い時期、特に株元に着

果したものや、後期に果実が二次生長した場合に

Page 29: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

95スイカ

発生しやすい。1果当りの葉数が多すぎる場合も発

生しやすい。

うるみ果

種子周辺の果肉が赤紫色、ビロード状となり軟

化してシャリ感が失われる。

定植直後の活着不良、ほ場の耕土が浅い、排水

不良などにより根の発達が悪い場合に発生しやす

い。また、開花後20日目以降に急激に土壌水分量

が変化した場合や葉数の不足による養分の供給不

足、成熟期の高温乾燥や収穫後に高温下で保存し

た場合にも発生しやすい。

裂果

果実発育と内部圧力の不均衡によって果実の弱

いところから割れる。果実発育初期の裂果と果肉

色がつき始めたころの後期の裂果とがある。前者

は初期肥大中に低温にあうと外皮が伸張せず裂果

する。後者は発育のよい果実が割れやすい。灌水、

降雨などによる水分過多や肥料供給の急変に原因

することが多い。花落ち部分が大きい品種や両性

果で裂果しやすい。

日焼け果

果皮が直射日光により焼ける症状。

果実肥大の後半から収穫期に発生しやすい。玉

直しをした直後や、茎葉の生育が劣り果実が露出

する場合、収穫時にほ場に放置する時間が長かっ

た場合などに発生しやすい。玉直しと同時に稲わ

らなどを果実に被せ日除けを行う。玉直しで尻部

の着色を図る場合には黄色部分に直射光が当たら

ない向きに直す。

扁平果

縦の生長に対して横の生長が勝るものや、腰高

の大果でありながら果梗部のくぼみが深く肩が張

って果皮が厚いもの。

発育初期の不良条件で花芽の素質が悪く、葉数

が不足して果実の発育が不十分なものが後半にな

って発育が進んだ場合になりやすく、低節位着果

の果実に多い。また、着果数と草勢のバランスが

とれていない状態で、着果が少ないのに草勢が著

しく強くなった場合(つるぼけ状態)に発生しや

すい。

肩ふくらみ果

種子の成熟度合いが偏っていて果実の発育が左

右不均一となったもの。

株の栄養条件が悪く不稔花粉や充実の悪い花粉

ができたり、交配時の天候が悪く花粉が出なかっ

たり、交配作業が粗雑で受粉が不均一な場合に発

生しやすい。果実がマルチや土に接し黄化してい

るところは、果温が上がらず発育が遅れ、片ふく

らみ果となりやすい。

黄帯

果肉の中心部あるいは種子のある胎座部に、花

痕部から果梗の接着部にかけて帯状に白~黄色の

繊維スジが発達したもの。もともとは維管束を含

む養水分の流れ道で、成熟するにつれて消失する

のが普通であるが、残ったものが黄帯となる。

チッソ過多によるつるぼけや石灰・ホウソの吸

収阻害で発生が多くなりやすい。

Page 30: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

96 小玉スイカ

小玉スイカウリ科

ハウス半促成栽培・トンネル栽培

栽培型 目標収量

4,000 (kg/10a)

1月

中 上 下

2月

中 上 下

3月

中 上 下

4月

中 上 下

5月

中 上 下

6月

中 上 下

7月

中 上 下

8月

中 上

●播種  ×接木・仮植  ◎定植  ■収穫

● × ◎ ■

× ● 大型トンネル

ハウス半促成

◎ ■

栽培暦

作型の特徴この作型はパイプハウスまたはトンネルを利用

して前進化させ、6月中旬~7月中旬に収穫する作

型である。

また、つる数を制限してつる数に見合った着果

数とするため、果実の肥大や充実、玉揃いがよい

のが特徴である。

大玉スイカよりも早く出荷でき、核家族化した一

般家庭用および贈答用として扱いやすい大きさで

あることから、比較的高単価での取引が期待できる。

品種と特性アグネス

草勢は中位で雌花の発生良く、着果、玉揃いが抜

群に良い。果実は正球形で2kg程度。外皮色が濃

緑で縞も細く濃い。果肉は明るい紅桃色で、肉質

は適度なシャリ感があり上品な甘さを堪能できる。

ハウス促成から抑制に至るまで幅広い作型に適

応する。成熟日数は、6月収穫で30~34日程度。

ひとりじめ7

草勢は、中~やや強程度で、雌花着生や開葯性

が良く、着果性に優れる。果実は果皮色濃く、2~

2.5kgの球張りの良いやや腰高の円球型で揃いが

よく、やや太めの濃い縞柄が現われる。果肉色は

やや濃い鮮紅色。肉質は緻密で締まりがあり、よ

り大玉に近いシャリ質を持つ。

果皮厚は薄いが、比較的硬めで栽培中の生理裂

果や裂皮なく、輸送にもよく耐える。また、空洞

果の発生が少なく、高温期でも日持ちが良い。熟

期は、6~7月収穫で34~29日程度。蔓もちが良

いので、2~3番果についても収量性が高い。

台木

ドンK等

小玉スイカは草勢が強くなりやすく着果不良や

裂果の原因となるので、やや弱勢の台木を使用する。

栽培方法

□育苗①床土の準備

床土は保水性・排水性・通気性のよい、有機質

の割合が多いものを使用する。市販の育苗培土を

使用する場合と自家配合の場合があるが、自家配

合の場合は、山土1に完熟堆肥2の割合で調整し、

苦土石灰2.5kg、石灰窒素1.5kg、ようりん2.5kg

を10a当たりの必要量500 と混和する。

②種子の準備

穂木・台木ともに700粒程度必要である。

③播種

播種時期は2月下旬~3月上旬(定植予定日の40

~45日前)とする。播種床は予め灌水し、播種日

までに十分地温を高めておく。台木は一昼夜吸水

させ、種皮が割れてきてから播種箱に条間10cm、

種子間隔1.5~2cmに条播きする。

挿し接ぎの場合、穂木は台木の播種後3~5日程

度遅らせて、播種箱に条間7cm、種子間隔1cmに

条播きする。

播種床は発芽するまで乾燥しないように十分注

意するとともに、地温を25~30℃で管理する。地

温が20℃を下回ると発芽が不揃いになることがあ

るため特に注意する。発芽後は地温を日中23~

25℃、夜間15~20℃位とする。

トンネル資材の汚れ等で光線量が不足すると軟

Page 31: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

97小玉スイカ

弱徒長になりやすいので注意する。また、発芽間

もない時期に10℃を切るような極端な低温に遭遇

すると立ち枯れ症状を引き起こしやすくなるため、

温度管理に気を付ける。

④接ぎ木

挿し接ぎでは穂木播種後7~10日頃の本葉が伸

び始めた頃に行う。仮植は10.5cm~12cm径のポ

ットを用い、ポットの用土は十分灌水して地温

25℃を確保する。仮植床は本畑100㎡あたり3㎡

程度必要となる。

⑤接ぎ木後の管理

接ぎ木後2日目まではトンネルを密閉し地温・気

温ともに24~26℃とする。3日目以降は朝夕の弱

光線に徐々に当てる。3~4日で接ぎ木部が癒合し

て発根を始め、5日目頃から生育し始めるので、

15~22℃の範囲内で徐々に温度を下げ、光に当て

る時間も徐々に長くしていき、完全に活着させる。

活着後は通常の管理とする。

⑥順化・硬化

本葉1.5葉期頃に鉢のずらしを行い、直射日光を

十分当てて健苗に育てる。夜温が高すぎると養分

蓄積が減り老化苗となりやすいので、癒着後は16

~18℃、定植前には13~15℃を目安に管理する。

癒合の遅れなどで生育が遅れた苗は別の場所に

移し、生育を揃えるように別管理する。台木の葉

が成長した場合は、接ぎ木部を痛めないよう元か

ら掻き取る。

育苗日数45日程度(本葉5枚程度)の成熟した

苗を定植する。若苗定植は樹勢が強くなりすぎる

ので避ける。

□本畑準備湿害に弱いので、土層が深く排水の良いほ場を

選定する。ハウスの設置場所が低地の場合は、降

雨時に水が停滞しやすいので、明渠を掘るなどし

て排水対策を万全にしておく。

土壌改良

土壌pH6.0~6.5を目安に矯正する。

施肥

施肥量はほ場条件によって異なるので加減する。

一般的に小玉スイカは大玉系と比べて草勢が強く

なるので、大玉系の半量以下に抑える。

【施肥例】

畝立て

定植7日以上前に、床幅1.8m、畝幅2.7mの畝を

作る。畝の高さは20~25cmとするが、転換畑や

地下水位の高いほ場ではやや高めにする。

畝立て後はマルチ、トンネル被覆をして地温を

高める。雑草の多発が予想される場合はガス化し

ない除草剤をマルチ部分に施用する。

夜間の温度確保のため、トンネル資材は必ずビ

ニール系のものを使う。使用2年目以降のトンネル

資材は光線透過率が悪くなるので、毎年新品を使

用する。

トンネル栽培の場合は地温確保のため、秋マル

チとする。

栽植様式

4本仕立て3果どり、または5~6本仕立て4果ど

りとする。マルチ端(ハウス中央側)から40cmの

位置に定植する。

成分量(10a当たり)

チッソ リンサン カリ

基 肥 0~1.6kg 0~2.4kg 0~1.2kg

施肥量(10a当たり)

肥料名 基肥 備考

完熟堆肥 土

苦土石灰

有機配合肥料

1,000kg

140kg

ようりん 60kg

0~20kg (8-12-6)

4本仕立て 3果どり

畝幅2.7m、株間60cm (10a当たり615株)

5~6本仕立て 4果どり

畝幅2.7m、株間70cm (10a当たり530株)

ハウス栽培の例

栽植様式

Page 32: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

98 小玉スイカ

□定植①定植作業を行う温度

定植はマルチ下10cmの地温が15℃以上の、風

のない暖かい日の日中に行う。天候の悪い日や、

早朝や夕方などの温度の低い時間帯に無理に作業

を行うと生育が遅れるため避ける。

②苗搬入時の注意

苗運搬時は低温や強風にさらされないようにシ

ートで覆う。順調な活着と根崩れ防止のため、定

植前に30℃の温水に浸けて十分吸水させてから作

業に入る。

③定植作業の注意

植え付け位置は畝の内側の端から40cm前後とす

る。植穴にはアブラムシ防除の殺虫剤を施用する。

植え付けは鉢土と植穴の土がよく密着するよう

にし、浅植する。ハウスの外側に向かってつるが

自然に伸びやすいようにやや外側に向けて斜めに

植え付ける。

マルチフィルムの下から熱風が上がらないよう

に株元のマルチフィルムを土で押さえる。このと

き胚軸(台木の茎)や子葉に押さえ土が接触する

と病害発生の原因となるので十分注意する。

植え付け後、保温による活着促進を図るため、

保温キャップをかける。活着までは温度を重視し

てかけておき、その後は日照量を確保するため取

り除く。遅霜が予想されるときはトンネルを古ビ

ニールなどで覆い保温する。

□定植後の栽培管理温度管理

定植後1週間は、昼間30℃、夜間15℃を確保し、

初期生育と活着促進を図る。子づるが10cm程度伸

びた頃から花芽分化が始まるので適温管理とする。

比較的高温管理となるので、換気はトンネル内の

湿度を抜く程度の換気とし、つる先を常に保温す

る。ただし、蒸し込み管理にならないようにする。

適切な換気を怠ると、過繁茂や変形果の原因にな

るので注意する。

4月中はトンネル換気を主体とし、日が照ったら

必ずトンネルを開けておく。5月以降で、ハウス内が

35℃以上になるときはハウスの換気も行う。急な換

気は品種によって裂果の恐れがあるため避ける。

整枝・誘引

作業はつるが柔らかくなる日中に行い、夕方ま

でに傷口が乾く時間帯で終える。

親づるは本葉8枚を残して早めに摘心する。1回

目の整枝は、子づる長が50~70cmの頃に行い、4

~6本の目標本数に整理してつる先を揃え、余分な

つるは除去する。極端に早く整枝するとつるが強

くなりやすいので注意する。

2回目はつるが1mくらいに伸びた頃につる引き

を行う。側枝を除去し、等間隔につるを並べ、つ

る先を揃える。

3回目は開花する雌花が米粒大の頃(着果目標節

位(18~23節)がつるの先端に見える頃)に側枝を

除去して引き戻しをする。着果させる雌花が畝の

中央からややつる先寄りに咲くようにつるを引く。

また、草勢によってつる引きの時期を下表のよ

うにし、草勢のコントロールを図る。交配直前に

ならないようにする。

交配

着果節位は18節前後の3番花を目標とする。

交配は人工交配が基本で一斉着果(同一日着果)

を目標に短期間で交配を行う。(株当たり3~4果)

開花が揃わず、交配日が2~3日ずれる場合は、早いも

のを落として揃う日のものに合わせる。1株の中で1

花だけ早く咲いた場合は、摘花を行い揃った花が出る

まで待ったほうが揃った果実を収穫しやすい。

交配時間は午前6時~10時頃とするが、夜温が

14℃以下の場合は早朝からの交配を行わない。雌

花、雄花が朝露などで濡れている場合は乾いてか

ら行う。1つの雄花で雌花2個の交配が可能で、雄

花から花粉が出ていることを確認してから交配す

る。雄花は自家、他家、

他品種とも果実に影響

がないので手近のもの

を用いてさしつかえな

い。

雄花の花弁を取り除

着果位置

1回目の整枝 3回目の整枝

雌しべの 柱頭

子房

花弁五枚を

折り曲げる

草勢

交配前日数

弱い

交配7日前

普通

交配5日前

強い

交配3日前

Page 33: メロン - maff.go.jp...68 メロン 着色し、皮際まで、赤く着色する。種子部が小さ いため、果肉が厚く、日持ちが良い。糖度は高く 安定し、果形は高球形。ネットは太く盛り上がり

キュウリ

メロン

スイカ

小玉スイカ

カボチャ

ズッキーニ

トマト

ミニトマト

ナス

ベイナス

シシトウ

ピーマン

パプリカ

オクラ

イチゴ

スイートコーン

エダマメ

サヤエンドウ

サヤインゲン

ソラマメ

キャベツ

ハクサイ

ブロッコリー

カリフラワー

レタス

リーフレタス

ホウレンソウ

シュンギク

チンゲンサイ

コマツナ

ナバナ類

ミズナ

アスパラガス

ネギ

タマネギ

ニラ

ニンニク

モロヘイヤ

食用ギク

ミョウガ

セリ

切ミツバ

ダイコン

カブ

ニンジン

ゴボウ

ジャガイモ

サツマイモ

サトイモ

ナガイモ

ツクネイモ

山ウド

クサソテツ(コゴミ)

モミジガサ(シドケ)

ミヤマイラクサ(アイコ)

イヌドウナ(ホンナ)

フキ

ジュンサイ

タラノメ

ギョウジャニンニク

99小玉スイカ

くか、折り曲げて、雌花を傷つけないように、ま

んべんなく柱頭に花粉をつける。

交配後、すぐに目印を付ける。目印の方法とし

て、雑誌等の縁に着色したものを1枚ごとに切り取

り雌花の下に敷いたり、油性マジックなどで雌花

のつるに直接色を付けたり、毛糸等を雌花付近の

つるに巻き付けたりする方法がある。いずれも3~

4色異なる色を準備し、交配日ごとに変え、わかる

ようにする。交配後はトンネルを閉めて保温し、

夜温15℃以上を確保する。

交配前後の温度管理

交配の3日前と交配後3日くらいは特に夜間の温度

確保に努め、日没2時間前頃にはトンネルを閉める。

朝はトンネル内が27℃以上になってから換気を

始める。換気は温度と湿度のコントロールの役目

があり、トンネル開け幅を調整する。

着果後の管理

灌水

着果後~玉肥大前半は果実肥大促進のためもっ

とも水分を必要とする時期なので、乾燥する場合

は灌水を行う。ただし、高温時に大量の灌水を行

うと根腐れをおこすので、涼しい時間帯に短時間

で、数日に渡って行う。灌水チューブで定期的に

行うことが望ましい。また、収穫期に近づいてから

の灌水は裂果を引き起こすので、絶対に行わない。

温度管理

交配後、7~10日間は15℃以下の低温に遭遇さ

せないように保温につとめる。(変形果・裂果予防)

ただし、過湿にならないようにする。交配後、3週

間は果実の硬化を避け、肥大促進を図るため、直

接、果実に風が当たらないように片側換気とし、

やや高めの温度管理(最高35℃前後)とするが、

無理な蒸らしは行わない。

交配後、3週間以降は株元、つる先側両方とも大

きく開け、夜間もそのままで一日の温度差をでき

るだけつける。トンネルは収穫期まで設置し雨よ

け状態にする。

摘果

鶏卵大~野球のボール大となり、着果が確認さ

れたら、過剰な果実を摘果する。1株3~4果を基

本とし、果形の良いものを残す。肥大格差をなく

すため、できるだけ同一日交配のものを残す。花

落ち部の大きいものは裂果の可能性が高くなるの

でなるべく摘果する。

残す果実を決めた際には、灰色かび病、菌核病

等の予防のため花弁を取り除き、正座させる。収

穫時の作業性を良くするため、目印棒立ても合わ

せて行うとよい。フルーツマットを敷く場合も併

せて行う。

1株当たりの予定した果実が着果しなかった場合

は、葉が多すぎて果実の大玉化や裂果の恐れが出

てくるので、収穫の10日前頃までに余分なつるを

切る。

玉直し

摘果時に正座させた果実を着果後、15~20日頃

から数回実施する。(早い時期は、キズがつきやす

いので注意する。回数が多いほど果形が整い正形

果となる)

果実の位置を変え、果実温度の部分差をなくし

形状を整える。収穫5~10日前に全面着色させる

ため、果実を横にして尻部の着色を図る。フルー

ツマットを使用している場合も回転させる。

追肥

追肥は原則として行わないが、老化苗を定植し

た場合は根張り不足となるため、交配5日後を目安

に10a当たり窒素量で1kg程度を液肥で灌注する。

□収穫・調整収穫作業

交配から収穫までは品種ごとの日数や積算温度、

果梗部近くの葉の枯れ具合などをみて、最終的に

は試し割りを行って判断する。

後片付け

収穫後の残渣が翌年の病害発生の原因となるの

で、収穫終了後のつるや果実残渣はほ場の外に持

ち出す。

□病害虫防除比較的乾燥しやすいハウスやトンネルでの栽培

であるため、アブラムシ類やハダニ類が発生しや

すい。これらは高温期に急激に増殖するため、発

生初期からの防除を徹底して密度を高くしないよ

うにする。

また、収穫中盤以降は梅雨期にあたるため、菌

核病・疫病をはじめとした各種病害も発生しやす

い。ほ場での発生による被害だけでなく、出荷後

に発症する場合もあるため経済的被害が大きい。

ほ場内の排水対策を徹底するとともに、予防的防

除を中心にした薬剤散布を徹底する。

それぞれの対策については、スイカ病害虫の項

目を参照のこと。