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48 |第2章 分析結果と取組事例(平成28年度) テーマ 2 授業以外 子供 体力 意識向上 において 成果 られた 児童生徒 特徴・学校取組 章 分析結果 取組事例 子供の体力の向上のためには、体育・保健体育の授業時間での積極的な取組 に加えて、授業時間以外でも様々な取組や仕掛け、環境整備などが求められる。 ここでは、体育・保健体育の授業以外での取組により、体力の向上に成果が見 られた児童生徒の特徴・学校の取組を明らかにし、学校が、授業時間以外でど のような働き掛けをすることが子供の体力の向上に効果的かというヒントを探った。 授業以外児童生徒 体力・運動能力 向上取組「行った」学 校「行わなかった」学校体力合計点 小・中学校において、体育・保健体育の授業以外で児童生徒の体力の向上の取組を行った学校と行わなかった学校で体力合計点 を比較した。平均で小学校男子では0.7点、小学校女子では1.1点、中学校では男子が0.4点、女子が0.5点、取組を行った学 校が上回っていた。特に、小学校において大きな効果が得られていた。小学校に比べて中学校での効果が少なかったことから も、より早い時期からの取組が有効であることが考えられる。このため、今後は児童期からの継続的な取組が期待される。 54.1 53.4 55.8 54.7 42.2 41.8 49.7 49.2 中学校 小学校 男子 54.5 54.0 53.5 53.0 52.5 女子 56.0 55.5 55.0 54.5 54.0 男子 43.0 42.5 42.0 41.5 41.0 女子 50.5 50.0 49.5 49.0 48.5 (点) (点) (点) (点) 行った 行わなかった 行った 行わなかった 全国平均 53.9 全国平均 55.5 全国平均 42.0 全国平均 49.4

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テーマ

●授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組

2>>>

48| 第2章 分析結果と取組事例(平成28年度)

テーマ

2授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組

●第2章 分析結果と取組事例

子供の体力の向上のためには、体育・保健体育の授業時間での積極的な取組に加えて、授業時間以外でも様 な々取組や仕掛け、環境整備などが求められる。ここでは、体育・保健体育の授業以外での取組により、体力の向上に成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組を明らかにし、学校が、授業時間以外でどのような働き掛けをすることが子供の体力の向上に効果的かというヒントを探った。

授業以外で児童生徒の体力・運動能力の向上に係る取組を「行った」学校と、「行わなかった」学校の体力合計点

小・中学校において、体育・保健体育の授業以外で児童生徒の体力の向上の取組を行った学校と行わなかった学校で体力合計点を比較した。平均で小学校男子では0.7点、小学校女子では1.1点、中学校では男子が0.4点、女子が0.5点、取組を行った学校が上回っていた。特に、小学校において大きな効果が得られていた。小学校に比べて中学校での効果が少なかったことからも、より早い時期からの取組が有効であることが考えられる。このため、今後は児童期からの継続的な取組が期待される。

54.1

53.4

55.8

54.742.2

41.849.7

49.2

中学校小学校

男子

54.5

54.0

53.5

53.0

52.5女子

56.0

55.5

55.0

54.5

54.0男子

43.0

42.5

42.0

41.5

41.0女子

50.5

50.0

49.5

49.0

48.5

(点)体力合計点

(点)体力合計点

(点) (点)

行った 行わなかった 行った 行わなかった

全国平均53.9

全国平均55.5

全国平均42.0

全国平均49.4

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2章 

分析結果と取組事例

授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組

2章 

分析結果と取組事例

テーマ

授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組 | 49

 テーマ2では、授業以外での子供の体力の向上に関する取組に注目した。運動やスポーツの「好き」を育む活動、運動時間を増加させる活動、体力・運動能力の高い学校の活動を中心に探った。 運動やスポーツの「好き」を育む活動は、自主性を重んじた取組や運動遊びのバリエーションを増やす取組が効果的であった。運動時間を増加させる活動は、放課後の取組が効果的であることが確認された。また、

運動遊具の自由な使用と効果的な配置が子供の運動に対する意欲を促進することもわかった。投能力に関しては、投動作だけに特化した運動ではなく、複合した運動に取り組んだ学校でも効果が見られていた。全体を通して、多様な運動の取組や自由な発想での運動促進が今後、期待される。

体育の授業以外で児童の体力・運動能力の向上に係る取組を「行った」学校と、「行わなかった」学校の実技の状況(T得点)

授業以外で児童の体力・運動能力の向上に係る取組を「行った」学校と、「行わなかった」学校の1週間の総運動時間の420分以上の割合と平均総運動時間

小学校において、体育の授業以外で児童の体力の向上の取組を行った学校と行わなかった学校の各種目の調査結果を、T得点を用いて全国平均値を50として示した。取組を行った学校が、男女ともに全種目で取組を行わなかった学校を上回っていた。特に、20mシャトルラン、反復横とび、上体起こしで、顕著な違いが確認された。※T得点についてはp.104参照。

ソフトボール投げ

長座体前屈

反復横とび

20mシャトルラン

50m走

立ち幅とび

上体起こし

握力

515049484746

515049484746

ソフトボール投げ

長座体前屈

反復横とび

20mシャトルラン

50m走

立ち幅とび

上体起こし

握力

515049484746

515049484746

●男子 ●女子

小学校 行わなかった学校行った学校

小学校において、体育の授業以外で児童の体力の向上の取組を行った学校と行わなかった学校で1週間の総運動時間を比較した。男女ともに、「420分以上」のカテゴリーで最も大きな差が見られた。取組を行わなかった学校では、1週間の総運動時間が短い領域(60分未満など)で、割合が高くなる傾向が見られた。また、全体としての平均値は、男子では取組の効果は確認されなかった。一方、女子では平均で10分程度、取組を行った学校で総運動時間が長くなっていた。

55.9

55.4

33.0

31.6

371.9

361.1

小学校 小学校

56.0

55.5

55.0

54.5

54.0

●男子

行った 行わなかった

33.0

32.5

32.0

31.5

31.0

●女子 ●女子

行った 行わなかった

375

370

365

360

355

(%) (%) (分)

行った 行わなかった

1週間の総運動時間の420分以上の割合

1週間の総運動時間

全国平均369.5

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テーマ

●授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組

2>>>

50| 第2章 分析結果と取組事例(平成28年度)

小学校では運動遊びや複合した運動の実施、中学校では自主性を重視した取組が効果的

 学校質問紙の「授業以外の取組の活動内容」の選択肢の中で、小学校においては、「縄跳び」「ランニング」「運動遊び」の順に取組件数が多かった。児童の「運動やスポーツをすることは好き」という回答が多かった活動内容としては、男子では「複合した活動」「運動遊び」「ボール運動」、女子では「運動遊び」「複合した活動」「ボール運動」の順であった。同時にこれらの活動は、「嫌い」という回答が少ない上位3種にもなっていた。運動やスポーツに対する肯定的な意識を向上させるためには、授業以外の取組として特定の種目よりも、運動遊びや複合した活動などの多様な運動動作を含んだ取組が効果的であると考えられる。一方で、「縄跳び」や「ランニング」といった授業の単元になるような活動は、児童の運動やスポーツに対する好意的な意識には特によ

自主性を重んじた取組、異学年との交流、運動遊びの充実が運動やスポーツの「好き」を育む傾向にある

 学校質問紙の「活動を行う上で、どのような取組をしたか」の選択肢の中で、小学校においては、運動やスポーツが好きと回答した割合が「縦割りでの交流を行った」「児童が行える運動遊びのバリエーションを増やした」「児童による自主的な準備・計画を取り入れた」の三つの取組で高かった。中学校においては、男女ともに「生徒による自主的な準備・計画を取り入れた」「学

級対抗などの対戦形式を取り入れた」が、男子では「縦割りでの交流を行った」が、女子では「生徒が行える運動遊びのバリエーションを増やした」が高い割合を示した。児童生徒による自主的な準備・計画を取り入れることや、運動遊びのバリエーションを増加させることが、運動やスポーツに対する好意的な意識を育むために有効であると考えられる。また、小学校では、特に、異学年との交流を取り入れることが有効であると考えられる。中学校では、このほか学級対抗などの対戦形式を取り入れることも有効であることが確認された(図 2-2)。

子供の運動やスポーツの「好き」を育む活動内容

体育・保健体育の授業以外のどのような取組が、運動やスポーツに対する意識によい影響を及ぼすかを確認するために、学校の取組の活動内容や実施方法と、児童生徒の「運動やスポーツをすることは好きですか」の回答状況を分析した。

い影響を及ぼしていないことが確認された(図2-1)。 中学校男子では、「縄跳び」「生徒の自主性に任せて特定していない」活動、女子では、「生徒の自主性に任せて特定していない」「球技」活動が、生徒の「運動やスポーツをすることは好き」という回答の割合が高かった。これらの結果から、中学校においては、生徒の自主性に任せた取組が、運動やスポーツに対する好意的な意識を育むために有効であると考えられる。

[図2-1] 学校が取り組んだ具体的な活動と、運動や スポーツが好き(好き率)の関連

72.272.472.672.873.073.273.473.673.874.074.274.4

児童の自主性に任せて特定していない

複合した活動 運動遊び ボール運動 体操 縄跳び ランニング 行わなかった

運動やスポーツが好き

74.2

73.5 73.4 73.3 73.273.0 72.9 72.9

(%)●男子小学校

[図2-2] 授業以外の取組(実施方法)のうち、児童生徒の運動やスポーツが好き(好き率)が最も高かった三つの取組

72.0

73.0

74.0

56.0

57.0

58.0

62.0

63.0

64.0

45.5

46.5

47.5

73.5 73.4 73.457.6

57.357.1

63.8 63.8 63.847.1 47.0

46.5

●男子 ●女子中学校

●男子 ●女子小学校

(%)

縦割りの交流

自主的な準備・計画

運動遊びの多様性

運動遊びの多様性

縦割りの交流

自主的な準備・計画

縦割りの交流

自主的な準備・計画

対戦形式 自主的な準備・計画

運動遊びの多様性

対戦形式

(%) (%) (%)

運動やスポーツが好き

運動やスポーツが好き

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2章 

分析結果と取組事例

授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組

2章 

分析結果と取組事例

テーマ

授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組 | 51

分析結果のまとめ

始業前と放課後の取組が中学校女子の総運動時間改善に効果的

 授業以外で取組を行った学校においては、小学校男子を除く全てにおいて1週間の総運動時間が多くなっており、特に女子で効果が顕著であった。小学校においては、男子での効果があまり見られておらず、今後、男子にも効果の期待できる取組方法を導入していくことが期待される。 児童生徒の1週間の総運動時間の増加に有効な取組時間帯についても分析した。男子では、1週間の総運動時間「420分以上」の区分に注目すると、小学校では昼休みと放課後の取組実施が、中学校では始業前と放課後の取組実施が効果的であることが確認された。また、中学校男子においては、総運動時間の長い生徒では、いずれの時間帯の取組でも総運動時間が増加していた。総運動時間の長い生徒は、時間帯を問わず運

動を行っていると考えられる。 女子においても、男子と類似の傾向を示しており、放課後の取組が児童生徒に共通してよい影響を及ぼしていた。また、中学校女子では、特に始業前の取組が1週間の総運動時間が0分の生徒の割合を減少させていた。

子供の運動時間を増加させる活動内容

体育・保健体育の授業以外のどのような取組が、児童生徒の総運動時間を増加させるかを見るために、取組の有無、時間帯、環境面での取組内容による、児童生徒の総運動時間の違いを分析した。

[図2-4] 施設設備の工夫と児童の1週間の総運動時間の「420分以上」の割合

56.3 56.3 56.2 56.0 55.9 55.855.4

33.733.4

32.9 32.8 32.8 32.7

31.7

●男子(%)

57.0

56.0

55.0

54.0

53.0

小学校

運動遊具を自由に使えるようにした

体育館を自由に使えるようにした

身近なものでできる遊具を考案した

自然に運動ができるように遊具を配置した

ボールを投げる運動が安全にできる方法を工夫したり場所を確保したりした

運動できる場所を曜日や学年で区分けした

取組を行わなかった

体育館を自由に使えるようにした

運動遊具を自由に使えるようにした

自然に運動ができるように遊具を配置した

ボールを投げる運動が安全にできる方法を工夫したり場所を確保したりした

運動できる場所を曜日や学年で区分けした

身近なものでできる遊具を考案した

取組を行わなかった

●女子(%)

34.0

33.0

32.0

31.0

30.0

1週間の総運動時間が

420分以上の割合

1週間の総運動時間が

420分以上の割合

体育館と運動遊具の自由な使用が子供の運動実施を促進する傾向にある

 体育・保健体育の授業以外で取組を行う際の環境改善の効果について分析を行った。小学校では、1週間の総運動時間「420分以上」の区分に注目すると効果の大きかった環境改善は、男女ともに「運動遊具を自由に使えるようにした」と「体育館を自由に使えるようにした」であった。いずれの環境改善も、総運動時間の平均値を上昇させていた。 中学校でも、「運動遊具を自由に使えるようにした」と「体育館を自由に使えるようにした」が生徒の総運動時間増加に貢献していた。一方で、「身近なものでできる遊具を考案した」は、男女ともによい影響を及ぼしておらず、中学生に対しては、あまり有効な環境改善とはならないことが推察される。 小学校中学校ともに、運動遊具の自由な使用や、運動実施を促す効果的な配置は総運動時間の増加に有効に作用するものと考えらえる。

[図2-3] 取組の時間帯と1週間の総運動時間「0分」の割合

1週間の総運動時間が

「0分」の割合

●女子(%)

15.5

14.5

13.5

12.5

13.413.7

15.115.3

始業前 放課後 昼休み 行わなかった

中学校

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テーマ

●授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組

2>>>

52| 第2章 分析結果と取組事例(平成28年度)

体力の向上に効果的な活動内容や方法、取組期間について

 授業以外での取組を行った学校と行わなかった学校で総合評価AまたはBの児童生徒の割合を比較したところ、小学校女子で5.1%、小学校男子で3.1%の違いが見られた(図2-5上)。中学校では男子で1.7%、女子で1.5%の差であった。 体力・運動能力の向上に関し、授業以外の取組で行った活動内容と体力合計点との関係を探った。小学校においては、男女ともに「体操」と「複合した活動」を取り入れた学校の体力合計点が高い傾向にあった。中学校では、男女ともに「複合した活動」を取り入れた学校の体力合計点が最も高かった。また、活動を行う上での具体的な方法としては、「数値目標を設定した」が総合評価A+Bの割合が高いことが確認された。 続いて、取組期間と体力の向上の関連を探った。小学校では取組を「年間を通して行った」が最も総合評

価A+Bの児童の割合を高めており、取組期間が長いほど効果が表れるという結果になった(図2-5下)。

ボール投げの記録の向上に効果的な活動内容や方法について

 小・中学校とも、女子の体力が向上傾向にある中、依然として低い数値にとどまっているボール投げについて、授業以外の取組内容との関連を探った。授業以外での取組を行った小学校のソフトボール投げの平均値は、男子で22.4m、女子で13.9mであった。 取組を行った小学校の具体的な活動内容とボール投げの関係を見てみると、「ボール運動」「複合した運動」「運動遊び」の3種において、ソフトボール投げの平均値が男子で22.5m、女子で14.1mであり、ほかの活動内容に比べてやや高い結果であった。 同様に中学校では、授業以外での取組を行った学校のハンドボール投げの平均値は、男子で20.6m、女子で12.9mであった。具体的な活動内容の中では、「複合した運動」において男子で20.7m、女子で13.1mであり、最もよい記録であった。投運動能力の向上にお

いても、一つの動作や種目に限定することなく、複合した多様な運動の実施が効果的であることが推察される。 また、活動を行う上での具体的な取組方法とボール投げの関係性を探った。小学校においては、男女とも最も良好な結果となったのは「縦割り(異学年)での交流を行った」であった(図2-6)。中学校においては「縦割り(異学年)での交流を行った」と「数値目標を設定した」が同程度に良好であった。

体力・運動能力の向上に効果的な授業以外の取組内容や方法調査結果から、授業以外で体力・運動能力の向上に係る取組を行った学校と、行わなかった学校で、総合評価の割合を比較したところ、総合評価がAもしくはBであった児童生徒の割合は、授業以外の取組を「行った」学校が、「行わなかった」学校より高かった。どのような取組内容や方法で効果が見られたかを探った。

[図2-6] ソフトボール投げの記録と取組の実施方法との関連

14.1 14.0 13.914.0 13.9 14.0

13.6

14.5

14.0

13.5

13.0

(m)

取組を行わなかった

縦割り(異学年)での交流を行った

児童による自主的な準備・計画を取り入れた

学級対抗などの対戦形式を取り入れた

数値目標を設定した

記録カードなどを活用し自己の成果を記録した

児童が行える運動遊びのバリエーションを増やした

小学校ソフトボール投げの平均値

●女子

45.5

43.2

41.540.4

38.5

小学校 ●女子(%)

46.0

43.0

40.0

37.0年間を通して行った

半年程度行った

3ヶ月程度行った

1ヶ月程度行った

行わなかった

総合評価A+B率

[図2-5] 授業以外の取組を「行った」「行わなかった」と総合評価A+B率との関連(上図)と、取組期間と総合評価A+B率との関連(下図)

37.4

34.3

38.5

43.6

小学校

(%)38.0

37.0

36.0

35.0

34.0

33.0

32.0男子

総合評価A+B率

(%)44.0

43.0

42.0

41.0

40.0

39.0

38.0女子

行わなかった行った

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2章 

分析結果と取組事例

授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組

2章 

分析結果と取組事例

テーマ

授業以外で子供の体力や意識の向上において成果が見られた児童生徒の特徴・学校の取組 | 53

分析結果のまとめ

児童生徒の目標設定の有無が運動時間に影響

 児童生徒質問紙で、新体力テストの結果や体力の向上について、自分なりに「目標を立てている」と回答した児童生徒と、「目標は立てていない」と回答した児童生徒の、1週間の総運動時間について関係を探った。小・中学校ともに、自分なりに「目標を立てている」が「目標は立てていない」に比べ、1週間の総運動時間が約1.5倍であることがわかった。 また、1週間の総運動時間の区分で見ると、小学校では目標設定をしている児童は、420分以上の割合が目標設定をしていない児童と比べて男子が25.2ポイント、女子が16.3ポイント高くなっていた。 同様に、中学校では目標設定している生徒は、420分以上の割合が目標設定をしていない生徒と比べて男子が14.2ポイント、女子が23.0ポイント高くなっていた(図2-7)。

 自らの新体力テストの結果から課題を明確にし、体力の向上のための自分なりの目標を立てることが運動時間の増加にも好影響を与えることが示された。

体力・運動能力の向上の目標設定が運動時間の増加に好影響目標設定について、児童生徒の目標設定の有無と1週間の総運動時間の関連を探るとともに、学校の目標設定の有無が児童生徒の目標意識に与える影響について分析を行った。

[図2-7] 「目標を立てている」と1週間の総運動時間 の関連

平均値

676.1

422.4

410.1

269.1

平均値

1032.5

806.7

779.6

503.3

中学校

小学校

男子

女子

男子

女子

目標は立てていない

目標を立てている

目標は立てていない

目標を立てている

目標は立てていない

目標を立てている

目標は立てていない

目標を立てている

(%)0 100908070605040302010

(%)0 100908070605040302010

1分以上60分未満 60分以上420分未満 420分以上0分

1分以上60分未満 60分以上420分未満 420分以上0分

63.233.22.3

1.3

37.454.35.92.4

38.048.76.86.6

21.159.111.88.0

89.86.71.0

2.5

69.716.24.79.5

75.612.52.39.6

46.722.17.423.9

学校の目標設定の有無が児童生徒の目標意識にも影響

 学校の目標設定の有無と、児童生徒の目標設定の有無の関連を分析した。学校質問紙で、学校としての「目標を設定している」と回答した学校では、児童生徒が「目標を立てている」割合が、小・中学校の男女ともに高くなっていた(図2-8)。「目標を設定してい

る」学校の児童生徒は、新体力テストの結果や体力の向上について自分なりに「目標を立てている」ことが多いことがわかった。 学校として体力・運動能力の実態を把握・分析し課題を明確にして、具体的な目標(わかりやすい数値等)を提示することにより、児童生徒にも自分の結果を分析させ、学校の目標と照らし合わせて、自分なりに目標や計画を立てて取り組めるようにすることが大切である。

小学校 中学校

65.0

70.0

75.0

目標を立てている児童

目標を立てている生徒

55.0

60.0

65.0

●男子 ●女子●男子 ●女子(%)

学校が設定していた

学校が設定していなかった

学校が設定していた

学校が設定していなかった

(%)

学校が設定していた

学校が設定していなかった

学校が設定していた

学校が設定していなかった

69.2 69.7

71.772.6

57.656.8

60.659.5

[図2-8] 学校の目標設定の有無と児童生徒が目標設定をしている割合